以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、プリンタとしてのシリアルプリンタについて説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの機構部の要部を示す第1の斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの機構部の要部を示す第2の斜視図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの機構部の要部を示す第3の斜視図である。なお、図3〜5は、いずれも、シリアルプリンタのアッパカバーを外した状態を表す。
図において、11はシリアルプリンタの本体、すなわち、装置本体、FLは左のサイドフレーム、FRは右のサイドフレーム、FUはサイドフレームFL、FRの上端間に延在させられたアッパフレーム、12は該アッパフレームFUに沿って、サイドフレームFL、FR間に延在させて配設されたガイドレール、13は装置本体11に対して着脱自在に配設されたリボンカートリッジ、Pは媒体としての用紙、15は用紙Pをセットするための媒体載置台としてのテーブル、17は用紙Pの挿入口、19はテーブル15にセットされた用紙Pを矢印方向に搬送する第1の媒体搬送部材としてのフロントローラ、21は該フロントローラ19によって搬送された用紙Pを更に搬送する第2の媒体搬送部材としてのリヤローラ、22はサイドフレームFL、FR間に架設されたガイド部材としてのキャリッジシャフト、23はキャリッジユニットである。該キャリッジユニット23は、キャリッジシャフト22に沿って、かつ、前記ガイドレール12によって案内されて、主走査方向に移動させられるキャリッジ本体部としてのキャリッジフレーム25、及び該キャリッジフレーム25に搭載され、主走査方向に移動させられる印字ヘッド28を備える。
また、31は装置本体11におけるサイドフレームFR側の背面に取り付けられ、駆動されて駆動力を発生させるスペース用の駆動部としてのスペースモータ、32はサイドフレームFRに隣接させて回転自在に配設され、スペースモータ31の出力軸に取り付けられた駆動側の回転体としての駆動プーリ、33はサイドフレームFLに隣接させて回転自在に配設された従動側の回転体としての従動プーリ、35は前記駆動プーリ32と従動プーリ33とによって張設され、スペースモータ31によって発生させられた駆動力をキャリッジフレーム25に伝達する駆動力伝達部材としての、かつ、ベルト部材としてのタイミングベルトであり、該タイミングベルト35の所定の箇所に前記キャリッジフレーム25が固定される。前記スペースモータ31、駆動プーリ32、従動プーリ33、タイミングベルト35等によってキャリッジユニット23を走行させる走行駆動装置が構成される。なお、前記タイミングベルト35には、一方の面に、所定のピッチで複数の歯が形成され、前記駆動プーリ32及び従動プーリ33には、タイミングベルト35の歯と噛合する歯が形成される。
前記スペースモータ31を駆動すると、駆動プーリ32が回転させられ、駆動プーリ32の回転がタイミングベルト35を介して従動プーリ33に伝達される。このとき、タイミングベルト35は走行させられ、それに伴って、キャリッジユニット23は、キャリッジシャフト22に沿って、かつ、前記ガイドレール12によって案内されて、主走査方向に移動させられる。なお、スペースモータ31の出力軸と駆動プーリ32との間には図示されないギヤ機構が配設され、該ギヤ機構の所定のギヤ間の噛合を変更することによって、駆動プーリ32を正方向及び逆方向に回転させることができる。したがって、スペースモータ31を正方向に駆動するだけで、タイミングベルト35を往復走行させることができ、キャリッジユニット23を往復移動させることができる。
次に、前記キャリッジユニット23の組立方法について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジユニットの組立方法を説明するための第1の図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジユニットの分解斜視図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジユニットの組立方法を説明するための第2の図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジユニットの組立方法を説明するための第3の図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジユニットの背面図である。
図において、23はキャリッジユニット、25はキャリッジフレーム、28は印字ヘッド、29は該印字ヘッド28に取り付けられ、印字ヘッド28を駆動するための図示されない印字ヘッド駆動部が配設された印刷配線板、30は該印刷配線板29に取り付けられたコネクタ、48は該コネクタ30に対して着脱自在に接続され、前記印字ヘッド駆動部に印字データを送るとともに電流を供給するためのケーブルである。
前記キャリッジフレーム25は、印字ヘッド28を保持するヘッド保持部としての第1のフレーム51、該第1のフレーム51に取り付けられたケーブル保持部としての第2のフレーム52等を備え、該第2のフレーム52はコネクタ30に接続されたケーブル48を保持する。
前記印字ヘッド28は、熱伝導性の高い材料、本実施の形態においては、アルミニウムによって形成されたケーシング55内に、いずれも図示されない、コア、該コアに巻回させられた複数のコイル、該各コイルに対応させて揺動自在に配設されたアーマチュア、該アーマチュアの先端に取り付けられた印字ワイヤ等を備え、前記印刷配線板29に配設された印字ヘッド駆動部において印字データに基づいて駆動電流が発生させられ、該駆動電流がコネクタ30を介して所定のコイルに供給されると、アーマチュアが回動させられ、印字ワイヤが前進(シリアルプリンタにおける下方に向けて移動)させられ、ワイヤガイド56から突出させられる。
前記ケーシング55の所定の箇所、本実施の形態においては、印字ヘッド28の左右の両端(主走査方向における両端)に、印字ヘッド28を第1のフレーム51に取り付けるための突起片201が突出させて形成され、該各突起片201に固定部材としてのねじ57を貫通させるための穴h1が形成される。そして、前記各突起片201の下端に、前記第1のフレーム51に向けて突出させて第1の係止部としての突起部202が形成される。
また、前記ケーシング55には、前記印字ヘッド28を駆動したときに前記コイルに発生する熱を効率的に放散するための複数のフィン203が形成される。
そして、前記第1のフレーム51は、前記印字ヘッド28を駆動したときに発生した熱を第1のフレーム51の外周面から効率的に放散することができるように、熱伝導性の高い材料、本実施の形態においては、アルミニウムの成形品、すなわち、アルミ成形品であるアルミダイキャストによって形成される。
また、前記第1のフレーム51は、前記キャリッジシャフト22(図4)を貫通させるための筒状部211、該筒状部211の左右の両端から前方に向けて(印字ヘッド28側に向けて)突出させて形成された一対のアーム213、該各アーム213の前端間を連結するブリッジ215等を備える。そして、各アーム213の前端が、印字ヘッド28の取付面となり、該取付面に、前記ねじ57を螺合させるための穴h2がタップ加工によって形成される。さらに、前記取付面の下端に、前記突起部202と対応させて第2の係止部としての溝m1が形成される。なお、前記筒状部211は、図9に示されるように、両端に形成され、キャリッジシャフト22を完全に包囲する環状部285、及び該環状部285間に形成され、キャリッジシャフト22を部分的に、本実施の形態においては、180〔°〕程度包囲する連結部286を備える。
したがって、前記各突起片201を前記各アーム213の前端に当接させ、突起部202を溝m1に差し込むことによって突起部202と溝m1とを係止させ、続いて、前記ねじ57を穴h1内に挿入し、穴h2と螺合させることによって印字ヘッド28を第1のフレーム51に取り付けることができる。
また、前記筒状部211の長手方向(主走査方向)における中央に、上方(シリアルプリンタにおける上方)に向けて突出させて矩形の形状を有する取付突起216が形成されるとともに、後方に向けて(第2のフレーム52側に向けて)突出させて矩形の形状を有する板状の第1のベルト挟持部220が形成される。そして、前記取付突起216の中央に第2のフレーム52側に向けて突出させてボス部210が形成され、該ボス部210にタップ加工によって穴h3が貫通させて形成される。
さらに、前記各アーム213の前端の近傍には、上方に向けて突出させて、L字状の形状(かぎ形状)を有する第1の係止要素としての係止突起217が形成される。該各係止突起217は、上方に向けて立ち上げて形成された立上突起片218、及び該立上突起片218の上端から後方に向けて(第2のフレーム52に向けて)水平方向に延在させて形成された水平突起片219を備える。なお、前記立上突起片218の下半部には、左右に突出させて位置決め用の突部225が形成される。
また、前記第2のフレーム52は、前記第1のフレーム51に伝達された熱が第2のフレーム52に更に伝達されるのを抑制するために、アルミニウムより熱伝導性が低く、アルミニウムより軽い材料、本実施の形態においては、樹脂の成形品、すなわち、樹脂成形品によって形成される。なお、該樹脂成形品は、強度を高くするために、m−PPE(変成ポリフェニレンエーテル樹脂)等の樹脂にガラス繊維等の繊維を加えた(混合した)複合材料(強化樹脂)、本実施の形態においては、ガラス入り変性PPEによって一体に形成(一体成形)される。
前記第2のフレーム52は、上半部に、ケーブル48を保持するための当接部259を備えるとともに、前記ガイドレール12(図4)と摺動させられる摺動片226を備え、下半部に、印刷配線板29、コネクタ30等を収容するための収容室231を備える。該収容室231は、左右に配設された側壁233、及び各側壁233間に延在させられた背壁234によって形成される。
そして、前記各側壁233に、左右に向けて突出させて突壁部236が形成され、各側壁233の内周面に、前記係止突起217と係止させるために、L字状の形状を有する第2の係止要素としての係止溝238が形成される。
背壁234には、後方に向けて突出させて突壁部241が形成され、該突壁部241の内周面に、前記取付突起216を収容するための、矩形の形状を有する凹部243が形成される。また、前記突壁部241の所定の箇所に、ボス部210を貫通させ、かつ、移動自在に収容するための、小判形の形状を有する穴h4が形成される。なお、該穴h4は、長軸が主走査方向に置かれ、短軸が副走査方向に置かれる。
前記突壁部241の下端には第2のベルト挟持部245が形成され、該第2のベルト挟持部245は、前方に向けて開口させられるスリット246を備え、該スリット246内にタイミングベルト35を保持するベルト保持部248が形成される。そして、該ベルト保持部248におけるタイミングベルト35と対向する面に、タイミングベルト35の歯と噛合する歯が形成される。
したがって、前記スリット246内にタイミングベルト35を挿入した後、図1及び7に示されるように、第1のフレーム51を第2のフレーム52に向けて矢印方向に移動させ、取付突起216及び第1のベルト挟持部220を収容室231内に進入させ、取付突起216を凹部243内に、ボス部210を穴h4内に、第1のベルト挟持部220を第2のベルト挟持部245内に挿入(セット)し、各係止突起217と係止溝238とを係止させ、続いて、図8に示されるように、固定部材としてのねじ59を穴h3と螺合させることによって、第1のフレーム51を第2のフレーム52に取り付けることができる。
この場合、第1のフレーム51が第2のフレーム52に取り付けられた状態で、各係止突起217と係止溝238とが係止させられるので、第2のフレーム52がキャリッジシャフト22を回転中心として第1のフレーム51に対して回動するのを阻止することができ、回動方向において第1のフレーム51に対して第2のフレーム52を位置決めすることができる。
また、穴h4が小判形の形状を有するので、穴h4内で前記ボス部210及びねじ59を主走査方向に移動させることによって、主走査方向において第1のフレーム51に対して第2のフレーム52を位置決めすることができる。
なお、第1のフレーム51を第2のフレーム52に取り付ける際に、タイミングベルト35がベルト保持部248によって保持された状態で、第1のベルト挟持部220が第2のベルト挟持部245のスリット246内に圧入される。したがって、タイミングベルト35の所定の箇所にキャリッジユニット23を固定することができる。
このようにして、第1のフレーム51が第2のフレーム52に取り付けられると、図6に示されるように、ケーブル48がコネクタ30に取り付けられ、印字ヘッド28、印刷配線板29、コネクタ30、ケーブル48等が一体に形成されて前進(キャリッジフレーム25側に向けて移動)させられ、印刷配線板29及びコネクタ30が収容室231内に挿入される。
そして、前記各突起片201が前記各アーム213の前端に当接させられ、前記ねじ57を穴h1内に挿入し、穴h2と螺合させることによって、印字ヘッド28が第1のフレーム51に取り付けられる。
これに伴って、ケーブル48が第2のフレーム52の開口縁部に当接させられるので、熱伝導性が低い材料、例えば、樹脂製のフィルムから成る押さえ58を第2のフレーム52に係止させることによって、ケーブル48を第2のフレーム52に取り付けることができる。そのために、前記押さえ58における所定の箇所に穴h5が、前記当接部259における穴h5と対応する箇所に係合部としての突起260が形成され、該突起260が穴h5に嵌入される。また、前記押さえ58の外周縁における複数箇所、本実施の形態においては、4箇所に、係止部261〜264が、前記第2のフレーム52の前側の外周縁における前記係止部261〜264と対応する箇所に被係止部271〜274が形成され、係止部261〜264と被係止部271〜274とが係止させられる。
なお、図7においては、便宜上、第1のフレーム51が第2のフレーム52に取り付けられる前に第2のフレーム52にケーブル48が取り付けられているが、実際は、前述されたように、ケーブル48は、第1のフレーム51が第2のフレーム52に取り付けられた後、印字ヘッド28が第1のフレーム51に取り付けられるときに、コネクタ30に接続された状態で第2のフレーム52に取り付けられる。
次に、筒状部211内にキャリッジシャフト22を貫通させてキャリッジユニット23を装置本体11にセットした状態について説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジユニットを装置本体にセットした状態を示す背面図、図11は図10のX−X断面図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジフレームの要部拡大図である。
図において、12はガイドレール、22はキャリッジシャフト、23はキャリッジユニット、25はキャリッジフレーム、28は印字ヘッド、51は第1のフレーム、52は第2のフレーム、55は前記印字ヘッド28のケーシング、57、59はねじ、61はプラテン、62はインクリボン、Pは用紙、201は突起片、210はボス部、211は筒状部、216は取付突起、h3は穴、217は係止突起、218は立上突起片、219は水平突起片、220は第1のベルト挟持部、243は凹部、241は突壁部、245は第2のベルト挟持部、246はスリット、248はベルト保持部、284は前記ねじ59が穴h4から抜けるのを防止するための抜け止め用のワッシャである。
印字ヘッド28が駆動され、印字ワイヤがインクリボン62及び用紙Pを介してプラテン61を押下すると、印字ヘッド28は反力として力F1を受ける。印字ヘッド28及び第1のフレーム51はねじ57によって連結されているので、印字ヘッド28が力F1を受けると、第1のフレーム51に、キャリッジシャフト22を軸として矢印A方向に回転させようとする力が加わり、第2のフレーム52にも、同様に、矢印A方向に回転させようとする力が加わる。これにより、第2のフレーム52にはガイドレール12の反力によって力F2が加わる。
この場合、前述されたように、印字ヘッド28を第1のフレーム51に取り付ける際に、突起部202と溝m1とが係止させられる。したがって、突起部202と溝m1との間において第1のフレーム51が印字ヘッド28から受ける力F3の分だけ、ねじ57に加わる応力が小さくなる。したがって、ねじ57が破損するのを抑制することができる。
また、第1のフレーム51に、矢印A方向に回転させようとする力が加わるのに伴って、係止突起217と係止溝238とが係止させられる部分において、第1のフレーム51における水平突起片219より上方に力F4が、水平突起片219より下方に力F5が加わる。この場合、力F4、F5は、いずれも押圧力であり、引張力ではないので、係止突起217及び係止溝238が破損するのを抑制することができる。
さらに、第1のフレーム51に、矢印A方向に回転させようとする力が加わるのに伴って、第1のベルト挟持部220と第2のベルト挟持部245との間において、第1のベルト挟持部220が第2のベルト挟持部245を力F6で押す。したがって、前記力F5を力F6の分だけ小さくすることができるので、係止突起217及び係止溝238が破損するのを一層抑制することができる。
ところで、第1のフレーム51を第2のフレーム52に取り付ける際に、第1のベルト挟持部220が第2のベルト挟持部245内に挿入されるようになっているが、係止突起217と係止溝238との間には係止ガタがあるので、第1のベルト挟持部220が第2のベルト挟持部245内に挿入されたときに、第1のベルト挟持部220と第2のベルト挟持部245との間に隙間があると、第1のフレーム51は矢印A方向に回転しようとし、第2のフレーム52は矢印A方向と反対の方向に回転しようとして、キャリッジフレーム25が不安定な状態になってしまう。
そこで、第1のベルト挟持部220が第2のベルト挟持部245内に挿入される前の、ボス部210の最下端部Paと第1のベルト挟持部220の上面Saとの距離をLaとし、穴h4の最下端部Pbと第1のベルト挟持部220の上面Saとの距離をLbとすると、距離La、Lbは圧入関係にされ、
La<Lb
にされる。本実施の形態において、距離Laは距離Lbより約0.2〔mm〕短くされる。
したがって、第1のフレーム51が第2のフレーム52に取り付けられるのに伴って、第1のフレーム51がキャリッジシャフト22によって所定の位置に固定されるので、第2のフレーム52を下方(矢印C方向)に移動させようとする力が発生する。その結果、第1のベルト挟持部220と第2のベルト挟持部245とが互いに押し付けられるので、キャリッジフレーム25を安定した状態に置くことができる。
また、第1のベルト挟持部220と第2のベルト挟持部245とを互いに押し付けるための治具を必要としないので、シリアルプリンタのコストを低くすることができる。
このように、本実施の形態においては、第1のフレーム51がアルミ成形品によって形成されるので、第1のフレーム51の強度を高くすることができる。したがって、第1のフレーム51によって印字ヘッド28を十分に保持することができる。そして、印字ヘッド28を駆動するのに伴って発生した熱を、第1のフレーム51の外周面から効率的に放散することができる。
また、第2のフレーム52が樹脂成形品によって形成され、ケーブル48が第2のフレーム52によって保持されるので、印字ヘッド28を駆動するのに伴って発生した熱がケーブル48に伝達されるのを十分に抑制することができる。したがって、ケーブル48を十分に保護することができる。
さらに、第2のフレーム52を樹脂成形品によって形成することにより、キャリッジフレーム25においてアルミ成形品によって形成される部分を小さくすることができるので、キャリッジユニット23のコストを低くすることができる。
また、第2のフレーム52が樹脂成形品によって形成される分だけキャリッジユニット23を軽くすることができるので、スペースモータ31に加わる負荷を小さくすることができる。したがって、キャリッジユニット23を移動させる速度を高くすることができ、シリアルプリンタのスループットを高くすることができる。
なお、仮に、第1のフレーム51とキャリッジシャフト22との間の摩擦抵抗を小さくするためにキャリッジシャフト22に塗布された潤滑剤、例えば、グリスが第2のフレーム52に付着すると、樹脂成形品によって形成された第2のフレーム52にクラックが発生してしまうが、本実施の形態においては、第2のフレーム52がキャリッジシャフト22から離れた箇所に配設されるので、グリスが第2のフレーム52に付着することはなく、第2のフレーム52にクラックが発生することはない。
そして、前記樹脂成形品がガラス入り変成PPEによって形成されるので、第2のフレーム52の強度を高くすることができる。したがって、キャリッジユニット23の耐久性を高くすることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図13は本発明の第2の実施の形態におけるキャリッジユニットの組立方法を説明するための第1の図、図14は本発明の第2の実施の形態におけるキャリッジユニットの組立方法を説明するための第2の図、図15は本発明の第2の実施の形態におけるキャリッジユニットの組立方法を説明するための第3の図である。
この場合、筒状部211の長手方向(主走査方向)における中央に、上方(シリアルプリンタにおける上方)に向けて突出させて、矩形の形状を有する取付突起216が、後方に向けて(ケーブル保持部としての第2のフレーム52側に向けて)突出させて、矩形の形状を有する板状の第1のベルト挟持部320が形成される。該第1のベルト挟持部320は、後端にベルト保持部321を備え、該ベルト保持部321における、駆動力伝達部材としての、かつ、ベルト部材としてのタイミングベルト35と対向する面に、該タイミングベルト35の歯と噛合する歯325が形成される。
第2のフレーム52の背壁234には、後方に向けて突出させて突壁部341が形成され、該突壁部341の内周面に、前記取付突起216を収容するための、矩形の形状を有する凹部243が形成される。また、前記突壁部241の所定の箇所に、固定部材としてのねじ59を貫通させるための、小判形の形状を有する穴h4が形成される。そして、前記突壁部341の下端には第2のベルト挟持部345が形成され、該ベルト挟持部345は、前方に向けて開口させられるスリット346を備える。
したがって、第1のベルト挟持部320のスリット321内にタイミングベルト35を挿入した後、図14に示されるように、第2のフレーム52をヘッド保持部としての第1のフレーム51に向けて矢印方向に移動させ、取付突起216及び第1のベルト挟持部320を収容室231内に進入させ、取付突起216を凹部243内に、ボス部310を穴h4内に、第1のベルト挟持部320を第2のベルト挟持部345内に挿入し、第1の係止要素としての各係止突起217と第2の係止要素としての係止溝238とを係止させ、続いて、図8に示されるように、ねじ59を穴h3と螺合させることによって、第1のフレーム51を第2のフレーム52に取り付けることができる。
この場合、タイミングベルト35を第1のベルト挟持部320のスリット321内に挿入する作業、第2のフレーム52を第1のフレーム51に向けて移動させる作業、及びねじ59を穴h4内に挿入し、穴h3と螺合させる作業を同じ方向から行うことができる。したがって、キャリッジユニット23の組立作業を簡素化することができる。
次に、筒状部211内にガイド部材としてのキャリッジシャフト22を貫通させてキャリッジユニット23を装置本体11にセットした状態について説明する。
図16は本発明の第2の実施の形態におけるキャリッジユニットを装置本体にセットした状態を示す背面図、図17は図16のY−Y断面図、図18は本発明の第2の実施の形態におけるキャリッジフレームの要部拡大図である。
図において、320は第1のベルト挟持部、341は突壁部、345は第2のベルト挟持部である。
印字ヘッド28が駆動され、印字ワイヤがインクリボン62及び用紙Pを介してプラテン61を押下すると、印字ヘッド28は反力として力F1を受ける。印字ヘッド28及び第1のフレーム51は固定部材としてのねじ57によって連結されているので、印字ヘッド28が力F1を受けると、第1のフレーム51に、キャリッジシャフト22を軸として矢印A方向に回転させようとする力が加わり、第2のフレーム52にも、同様に、矢印A方向に回転させようとする力が加わる。これにより、第2のフレーム52にはガイドレール12の反力によって力F2が加わる。
この場合、前述されたように、印字ヘッド28を第1のフレーム51に取り付ける際に、突起部202が溝m1に差し込まれる。したがって、突起部202と溝m1との間において第1のフレーム51が印字ヘッド28から受ける力F3の分だけ、ねじ57に加わる応力が小さくなる。したがって、ねじ57が破損するのを抑制することができる。
また、第1のフレーム51に、矢印A方向に回転させようとする力が加わるのに伴って、係止突起217と係止溝238とが係止させられる部分において、第1のフレーム51における水平突起片219より上方に力F4が、水平突起片219より下方に力F5が加わる。この場合、力F4、F5は、いずれも押圧力であり、引張力ではないので、係止突起217及び係止溝238が破損するのを抑制することができる。
さらに、第1のフレーム51に、矢印A方向に回転させようとする力が加わるのに伴って、第1のベルト挟持部320と第2のベルト挟持部345との間において、第1のベルト挟持部320が第2のベルト挟持部345を力F6で押す。したがって、前記力F5を力F6の分だけ小さくすることができるので、係止突起217及び係止溝238が破損するのを一層抑制することができる。
ところで、第1のフレーム51を第2のフレーム52に取り付ける際に、第1のベルト挟持部320が第2のベルト挟持部345内に挿入されるようになっているが、第1のベルト挟持部320が第2のベルト挟持部345内に挿入される前の、第2のベルト挟持部345のスリット346の高さをHaとし、第1のベルト挟持部320の高さ(タイミングベルト35を含む高さ)をHbとすると、高さHa、Hbは圧入関係にされ、
Ha<Hb
にされる。本実施の形態において、高さHaは高さHbより約0.2〔mm〕低くされる。
したがって、第1のフレーム51が第2のフレーム52に取り付けられるのに伴って、第1のフレーム51がキャリッジシャフト22によって所定の位置に固定されるので、第2のフレーム52を下方(矢印C方向)に移動させようとする力が発生する。その結果、第1のベルト挟持部320と第2のベルト挟持部345とが互いに押し付けられるので、キャリッジフレーム25を安定した状態に置くことができる。
また、第1のベルト挟持部320と第2のベルト挟持部345とを互いに押し付けるための治具を必要としないので、シリアルプリンタのコストを低くすることができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。