JP5878092B2 - 金属粉末冶金用潤滑剤組成物および該組成物の製造方法 - Google Patents

金属粉末冶金用潤滑剤組成物および該組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属粉末を圧縮成型する冶金工程において、高い圧縮力で圧縮した場合でも容易に金型から成型品を抜き出すことができる高い潤滑性を持つ金属粉末冶金用潤滑剤組成物に関する。
金属粉末を金型に入れ、プレス機にて圧縮成型して部品を得る冶金では、金型から部品をスムーズに取り外すため金属石鹸や脂肪酸アミド等の潤滑剤が使用されている。これらの潤滑剤は、通常、金属粉末と均一に混合された後、700MPa程度の圧力で圧縮成型する冷間内添型の潤滑剤であるが、これ以上の高圧力で成型すると金型から部品がスムーズに取り外せない問題が生じてしまう。しかしながら市場からは高密度部品の要求が高く、800MPa程度の高圧力で連続して圧縮成型することが求められていた。
高圧力で圧縮形成すると、金型から部品をスムーズに取り外せない問題が生じる。そのため、金型から部品をスムーズに取り外せるように潤滑性を高める必要がある。そうした方法として、金型に直接潤滑剤を塗布等する方法が知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。しかし金型に直接潤滑剤を塗布する方法は、金型や金属粉末を加熱して成型しなければならないため光熱費等の費用がかかり、塗布時間や加熱時間も必要になるため経済的に好ましくない。更に、潤滑剤を塗布するための専用設備も必要になることから、冷間内添型の潤滑剤で高圧力に対応できる潤滑性が求められていた。
また、特許文献4では、融点の異なる2種類の潤滑剤を高温下で混合し、急速に冷却して得られる準安定な潤滑複合剤が開示されている。しかしながら、このような2種類の潤滑剤では潤滑剤としての効果が不十分である。
特開2000−144206号公報 特開2000−199002号公報 特開2005−256073号公報 特許4758045号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、金属粉末に添加する冷間内添型の潤滑剤であって、冶金による成型において、高圧力でも金型から容易に成型部品を取り出せることのできる金属粉末冶金用潤滑剤組成物および該組成物の製造方法を提供することにある。
そこで本発明者等は鋭意検討し高圧力でも良好な潤滑性を持つ内添型の金属粉末冶金用潤滑剤組成物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表される脂肪酸アミド(A)、下記の一般式(2)で表されるN,N’−アルキレンビス脂肪酸アミド(B)及び下記の一般式(3)で表される脂肪酸グリセリド(C)を含有することを特徴とする金属粉末冶金用の潤滑剤組成物である。
Figure 0005878092
(式中、Rは炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
Figure 0005878092
(式中、R及びRはそれぞれ炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
Figure 0005878092
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または一般式(4)で表される基を表す。ただし、R〜Rのいずれか1つ以上は一般式(4)で表される基でなければならない。)
Figure 0005878092
(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基及び炭素数11〜23のヒドロキシアルケニル基の群から選択されるいずれかの基を表す。)
さらに、本発明は、上記の脂肪酸アミド(A)、N,N’−アルキレンビス脂肪酸アミド(B)及び脂肪酸グリセリド(C)を含む混合物を、該混合物が融解する温度(融点)以上に加熱して液体の形態にして、これをスプレー噴霧する工程を含む、金属粉末冶金用潤滑剤組成物の製造方法も提供する。
本発明の効果は、金属粉末に添加する冷間内添型の潤滑剤であって、冶金による成型において、高圧力でも金型から容易に成型部品を取り出せることのできる金属粉末冶金用潤滑剤組成物を提供したことにある。
実施例7のX線結晶構造解析の結果を示す図である。 実施例13のX線結晶構造解析の結果を示す図である。 実施例7の示差走査熱量測定の結果を示す図である。 実施例13の示差走査熱量測定の結果を示す図である。
本発明の金属粉末冶金用潤滑剤組成物の1成分である脂肪酸アミド(A)は、下記の一般式(1)で表される。
Figure 0005878092
(式中、Rは炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
一般式(1)のRは、炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表す。こうした基としては、例えば、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基等のアルキル基;ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イソペンタデセニル基、イソヘキサデセニル基、イソヘプタデセニル基、イソオクタデセニル基、イソノナデセニル基等のアルケニル基が挙げられる。これらの中でも潤滑性が高いことからアルキル基が好ましい。なお、脂肪酸アミド(A)として一般的に入手できるものとしては、例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
本発明の金属粉末冶金用の潤滑剤組成物の1成分であるN,N’−アルキレンビス脂肪酸アミド(B)は、下記の一般式(2)で表される。
Figure 0005878092
(式中、R及びRはそれぞれ炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表す。)
一般式(2)のR及びRは、炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表す。こうした基としては、例えば、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基等のアルキル基;ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イソペンタデセニル基、イソヘキサデセニル基、イソヘプタデセニル基、イソオクタデセニル基、イソノナデセニル基等のアルケニル基が挙げられる。これらの中でも潤滑性が高いことからアルキル基が好ましい。R及びRは同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。製法としては、例えば、エチレンジアミンとオレイン酸やステアリン酸あるいはこうした脂肪酸の混合物等とを、既存の方法でアミド化反応すればよい。
一般式(2)のRは1〜6のアルキレン基を表す。こうした基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ターシャリブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。これらの中でも、原料事情がよく安価に入手できることからRはエチレン基であることが好ましい。
本発明の金属粉末冶金用潤滑剤組成物の1成分である脂肪酸グリセリド(C)は、下記の一般式(3)で表される。
Figure 0005878092
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または一般式(4)で表される基を表す。ただし、R〜Rのいずれか1つ以上は一般式(4)で表される基でなければならない。)
Figure 0005878092
(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基及び炭素数11〜23のヒドロキシアルケニル基の群から選択されるいずれかの基を表す。)
一般式(3)のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子または一般式(4)で表される基を表すが、すべてが水素原子になることはなく、いずれか1つ以上は一式(4)で表される基となる。具体的には、一般式(4)で表される基が1つ入るとモノグリセリドとなり、2つ入るとジグリセリドとなり、3つ入るとトリグリセリドとなる。
一般式(4)のRは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基及び炭素数11〜23のヒドロキシアルケニル基の群から選択されるいずれかの基を表す。炭素数11〜23のアルキル基としては、例えば、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ペンタデシル基、イソペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、イソノナデシル基、エイコシル基、イソエイコシル基、ヘンエイコシル基、イソヘンエイコシル基、ドコシル基、イソドコシル基、トリエイコシル基、イソトリエイコシル基等が挙げられる。
炭素数11〜23のアルケニル基としては、例えば、ウンデセニル基、イソウンデセニル基、ドデセニル基、イソドデセニル基、トリデセニル基、イソトリデセニル基、テトラデセニル基、イソテトラデセニル基、ペンタデセニル基、イソペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、イソヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、イソヘプタデセニル基、オクタデセニル基、イソオクタデセニル基、ノナデセニル基、イソノナデセニル基、エイコセニル基、イソエイコセニル基、ヘンエイコセニル基、イソヘンエイコセニル基、ドコセニル基、イソドコセニル基、トリエイコセニル基、イソトリエイコセニル基等が挙げられる。
炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基としては、例えば、アルキル基として上記に挙げたいずれかの基の水素原子を水酸基に置換したもの等が挙げられる。また、炭素数11〜23のヒドロキシアルケニル基としては、例えば、アルケニル基として上記に挙げたいずれかの基の水素原子を水酸基に置換したもの等が挙げられる。
〜Rの3つの基がすべて一般式(4)で表される基の場合、一般式(3)はトリグリセリドになる。トリグリセリドは油脂として知られているが、本発明に使用するものは天然油脂でも合成油脂でもかまわない。天然油脂としては、例えば、アマニ油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、ラノリン、乳脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が挙げられる。合成油脂としては、例えば、種類の異なる天然油脂同士でのエステル交換や、天然油脂と任意の脂肪酸とのエステル交換によって得られるものが挙げられる。
〜Rの3つの基のうち、2つが一般式(4)で表される基で残りの1つが水素原子の場合、一般式(3)はジグリセリドになる。ジグリセリドとしては、例えば、上記に挙げたいずれかの油脂のアシル基を1つだけ水素原子に変えたものが挙げられる。
〜Rの3つの基のうち、1つが一般式(4)で表される基で残りの2つが水素原子の場合、一般式(3)はモノグリセリドになる。モノグリセリドとしては、例えば、上記に挙げたいずれかの油脂のアシル基2つを水素原子に変えたものが挙げられる。
これらの中でも、特に潤滑性が良好で成型密度を上げることができることから、水酸基を持つものが好ましい。具体的には、Rがヒドロキシアルキル基あるいはヒドロキシアルケニル基を含有する脂肪酸トリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリドである。ジグリセリドは分子中に1つの水酸基を持ち、モノグリセリドは2つの水酸基を持ち、ヒドロキシアルキル基等を持つトリグリセリドは分子中に3つの水酸基を持つことから、ヒドロキシアルキル基等を持つトリグリセリドがより好ましい。なお水酸基を持つトリグリセリドとしては、天然油脂の中ではひまし油やラノリンを挙げることができる。
脂肪酸アミド(A)、N,N’−アルキレンビス脂肪酸アミド(B)及び脂肪酸グリセリド(C)の配合量は特に規定されないが、潤滑性が良好になることから(A)/(B)=1/9〜9/1(質量比)であることが好ましく、(A)/(B)=3/7〜7/3(質量比)がより好ましい。また(C)成分は、(A)、(B)及び(C)の合計量に対して0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%がより好ましい。0.5質量%未満になると冶金における高圧力での成型ができない場合があり、10質量%を超えると二次凝集が生じ焼結部品の密度が不均一となる恐れがある。
本発明の金属粉末冶金用の潤滑剤組成物は、(A)、(B)及び(C)の各成分を必須成分として含有する。これらの混合形態に規定はないが、潤滑性を最大限に引き出すために、上記3成分を均一に混合することが好ましい。均一に混合するためには、各成分の融点以上、例えば、150〜180℃程度の温度で全ての成分を溶解して均一に混合した後、常温に戻して固化させればよい。3成分を均一に混合した後の形態は、その後金属粉末と混合することから粉末状であることが好ましい。粉末状にするための方法は特に指定はなく、粉砕機による粉砕やスプレー噴霧等で粉末を得る方法が挙げられる。また、当該微粉末の形状は球状であることが好ましい。微粉末を球状にしての流動性を高めることで、微粒子のケーキングの予防や金属粉との混合性を高める効果があるからである。また、粒子径分布が狭い、均一な球状の粉末が得られる点でスプレー噴霧により製造することが好ましい。
常温に戻して固化する際、急冷すると潤滑剤組成物が完全な結晶化に達せず、不安定な状態で安定するいわゆる準安定状態で固化する場合がある。この準安定状態で固化した相は準安定相(α相)と呼ばれるが、準安定相を含む潤滑剤組成物は、ゆっくり冷却することで得られる完全に結晶化した安定な相(β相)と比較して、金属圧粉体の成型密度が上がらない場合がある。よって溶融した潤滑剤組成物を冷却して固化する際は、急冷せずにゆっくり冷却することが好ましい。具体的には、溶融した潤滑剤組成物をスプレー噴霧等で粉末にする場合であれば、雰囲気温度を40℃以上で且つ上記3成分の混合物の融点未満(例えば、45℃〜100℃)にした槽の中に噴霧し、その後放置して室温と同じ温度まで下げることが好ましく(自然冷却)、20〜40℃のもとで1時間放置することが更に好ましい。なお、冷却方法にかかわらず、好ましい本発明の潤滑剤組成物は、得られる潤滑油組成物が完全に結晶化しているものである。得られる固化物に準安定相が含まれるかどうかは、X線結晶構造解析や示差走査熱量測定によって判断することができる。
更に微粉末の粒径はメディアン径で5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。5μm未満の粒径のものを得るには多大な労力を必要とし、100μmを超えると金属圧粉体の成形密度が上がらない場合がある。
本発明の金属粉末冶金用潤滑剤は金属粉末と混合して使用する。使用できる金属粉末は特に限定されず、冶金用に用いられる公知の金属粉末を使用すればよい。こうした金属粉末としては、例えば、鉄、銅、チタン、タングステン、モリブデン、ニッケル、クロム等の金属粉末ほかに、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、鉄−モリブデン合金、鉄−珪素合金、鉄−ニッケル−銅−モリブデン合金、鉄−クロム−ニッケル−モリブデン合金等の金属粉末が挙げられる。
本発明の金属粉末組成物における本発明の金属粉末冶金用潤滑剤の使用量は特に限定されないが、上記(A)成分の添加量が、金属粉末に対して好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%となる量であればよい。0.001質量%未満であると効果が得られない場合があり、10質量%を超えると流動度や見掛密度、あるいは金属圧粉体の成形密度が下がってしまう等悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の金属粉末組成物は、金属粉末冶金用潤滑剤に使用できる公知の添加剤の添加を拒むものではなく、使用目的に応じて、例えば、グラファイト、ポリエチレンワックス、熱可塑性エラストマ、ポリアミド、熱硬化性樹脂などの高分子材料、パラフィン、カルナバワックス、モンタンワックス、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステルなどの合成エステル、ポリエーテル等を添加することができる。
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
<潤滑剤の製造>
実施例1〜12及び比較例1〜13の各サンプルを160℃で溶融混合後、50℃の雰囲気に調整した空冷槽内にスプレー噴霧機を用いて圧縮空気圧0.25MPaで噴霧した。噴霧終了後、空冷槽の保温のための加熱をやめ、放置して室温まで冷却した。冷却後、166メッシュ(目開き90μm)の分級網を用いて大きな粒子を除去したあとに得られた粒子を試験に用いた。なお、実施例13は、空冷槽内の雰囲気を28℃に調整して噴霧後の粒子を急速冷却させた以外は、上記と同じ方法で試験用の潤滑剤を作成した。
<試験方法>
酸化されていないアトマイズ純鉄粉486g、電解銅粉10g、グラファイト粉末4gの合計500gをガラス製V型混合機に投入し、下記の表1に示した潤滑剤を上記混合粉末金属粉末に対して0.8%添加し、混合機の回転速度を25〜30rpmに設定して15分間混合した。その後、圧縮性試験は日本粉末冶金工業会で定められたJPMA−P−13−1992「金属圧粉体の抜出力測定方法」に準拠し、圧粉試験用標準金型(内径φ:11.285mm、有効長:60mm)を用いた。具体的には、調製した混合粉末を7.0g精秤し、これを上記圧粉試験用金型のキャビティーに流し込み、上下パンチで挟み込んで成形荷重800MPaで圧縮し、上パンチのみ抜き取り円筒キャップをかぶせて抜出し圧を測定した。成形体の直径及び高さをノギスで測定して曲面の面積を求め、成形密度と単位面積あたりの応力、すなわち抜出し圧を求めて比較した。なお、成型密度の値は高いほどよく、抜出し圧の値は低いほどよい。
<冷却方法による結晶構造の差>
同じ組成であるが製造方法が異なる実施例7と実施例13の潤滑剤について、その結晶構造を確認するために、X線結晶構造解析と示差走査熱量測定を行った。測定に使用した機器は以下の通りである。それぞれの測定結果を図1〜図4に示す。
X線解析装置(XRD):Multi Flex(株式会社リガク社製)
示差走査熱量計(DSC):DSC6200(セイコーインスツル株式会社製)
<使用サンプル>
A−1:オレイン酸アミド
A−2:パルミチン酸アミド
A−3:ステアリン酸アミド
B−1:N,N’−エチレンビス(オレイン酸アミド)
B−2:N,N’−エチレンビス(ステアリン酸アミド)
B−3:N,N’−プロピレンビス(ステアリン酸アミド)
C−1:菜種油(パルミチン酸3%、ステアリン酸1%、オレイン酸24%、リノール酸15%、リノレン酸7%、ガドレイン酸12%、エルカ酸35%、その他3%)
C−2:大豆油(パルミチン酸11%、ステアリン酸4%、オレイン酸23%、リノール酸53%、リノレン酸8%、その他1%)
C−3:ひまし油(ステアリン酸1%、オレイン酸3%、リノール酸4%、リシノレイン酸90%、その他2%)
C−4:牛脂(ミリスチン酸3%、パルミチン酸26%、パルミトレイン酸3%、ステアリン酸22%、オレイン酸39%、リノール酸2%、その他5%)
C−5:オレイン酸モノグリセリド(一般式(3)においてR及びRは水素原子、Rはオレイン酸残基)
C−6:ジオレイン酸モノグリセリド(一般式(3)においてRは水素原子、R及びRはオレイン酸残基)
C−7:ポリエチレンワックス(重量平均分子量8000)
C−8:ポリエチレングリコール(重量平均分子量11000)
C−9:グリセリン
C−10:エチレングリコールジオレート
Figure 0005878092
Figure 0005878092
XRDの分析結果より、実施例7と実施例13とでは明らかに異なる回折パターンが得られ、冷却方法の違いによって結晶面が大きく異なることが確認できる。両分析結果で最も大きな差は、2θの約21°付近にあるピークの強度差であり、実施例7はこのブラッグ反射強度が高いことから、結晶化度は実施例13よりも高く、安定なβ相が多いと推定される。
DSCの分析結果より、実施例13には61℃付近に準安定なα相のピークが認められ、95℃付近に安定なβ相が認められた。一方、実施例7には、準安定なα相がなく安定なβ相のみ認められた。
以上の結果より、実施例7は準安定なα相を含まず、結晶性の高い安定なβ相のみで構成され、実施例13は準安定なα相を含む結晶構造であることが確認できた。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(1)で表される脂肪酸アミド(A)、下記の一般式(2)で表されるN,N’−アルキレンビス脂肪酸アミド(B)及び下記の一般式(3)で表される脂肪酸グリセリド(C)を含有することを特徴とする金属粉末冶金用潤滑剤組成物。
    Figure 0005878092
    (式中、Rは炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
    Figure 0005878092
    (式中、R及びRはそれぞれ炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
    Figure 0005878092
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または一般式(4)で表される基を表す。ただし、R〜Rのいずれか1つ以上は一般式(4)で表される基でなければならない。)
    Figure 0005878092
    (式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基及び炭素数11〜23のヒドロキシアルケニル基の群から選択されるいずれかの基を表す。)
  2. 脂肪酸アミド(A)とN,N’−アルキレンビス脂肪酸アミド(B)との比が、質量比で(A)/(B)=1/9〜9/1であり、(A)、(B)及び脂肪酸グリセリド(C)の合計量に対して、(C)の割合が0.5〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の金属粉末冶金用潤滑剤組成物。
  3. 脂肪酸グリセリド(C)のR 、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基またはヒドロキシアルケニル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属粉末冶金用潤滑剤組成物。
  4. 潤滑剤組成物の形状が、メディアン径5〜100μmの微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属粉末冶金用潤滑剤組成物。
  5. (i)下記の一般式(1)で表される脂肪酸アミド(A)、下記の一般式(2)で表されるN,N’−アルキレンビス脂肪酸アミド(B)及び下記の一般式(3)で表される脂肪酸グリセリド(C)を含む混合物を該混合物が融解する温度以上に加熱する工程、および(ii)該混合物をスプレー噴霧する工程を含むことを特徴とする金属粉末冶金用潤滑剤組成物の製造方法。
    Figure 0005878092
    (式中、Rは炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
    Figure 0005878092
    (式中、R及びRはそれぞれ炭素数15〜19のアルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
    Figure 0005878092
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または一般式(4)で表される基を表す。ただし、R〜Rのいずれか1つ以上は一般式(4)で表される基でなければならない。)
    Figure 0005878092
    (式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基、炭素数11〜23のアルケニル基、炭素数11〜23のヒドロキシアルキル基及び炭素数11〜23のヒドロキシアルケニル基の群から選択されるいずれかの基を表す。)
  6. 前記混合物をスプレー噴霧する工程は、40℃以上かつ該混合物が融解する温度未満の雰囲気で行われ、その後自然冷却する工程をさらに含む、請求項5に記載の金属粉末冶金用潤滑剤組成物の製造方法。
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