JP5876913B1 - 光ファイバ及び光ファイバ製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス材料と樹脂材料との熱膨張係数の差に起因する硬化時における残留応力を抑制し、低損失化を図ることができる光ファイバ及び光ファイバ製造装置を提供する。【解決手段】ガラス材料を主体とするコア部92,93の周囲に硬化した樹脂と流動性を有する樹脂とを含むクラッド部を備えるか、或いは、ガラス材料を主体とするクラッド部の周囲に硬化した樹脂と流動性を有する樹脂とを含む被覆部を備える光ファイバ94を硬化性の樹脂及び非硬化性の樹脂を混在させてコア部93又はクラッド部の周囲に塗布する樹脂塗器13と、前記硬化性の樹脂を硬化させる樹脂硬化器14と、を備える光ファイバ製造装置により製造する光ファイバ94。【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバ及び光ファイバ製造装置に関する。
光ファイバのコア部をガラス材料とし、クラッド部を樹脂材料とした樹脂クラッド(ポリマークラッド)光ファイバが開発されている。樹脂クラッド光ファイバは、コアおよびクラッドの両方に石英ガラスを使用する光ファイバと比較し、大口径コアによる高い接続性(高NA)、高い曲げ強度、低コストという利点を有する。一方、コアも樹脂で製造されたプラスチック光ファイバに対しては、低損失という利点を有する。
図1に、一般的な光ファイバの製造装置の構成例を示す(非特許文献1参照)。図1に示すように、光ファイバの製造装置は、加熱炉11、ファイバ外径測定器12、樹脂塗布器13、樹脂硬化器14、キャプスタン16、ボビン18、線引母材を保持し線引量に応じて母材を加熱炉11へ送り出す母材送り装置(不図示)等から構成される。樹脂塗布器13は、被覆となる樹脂を塗布する。
樹脂クラッドファイバの製造については、ガラス材料の母材91がコア心線92のみであり、まず最初にコア心線92のみが紡糸された後、クラッドと被覆の両方の役割を有する樹脂がコア心線92の外側に塗布され、樹脂を硬化させて実現される。
またコア心線92およびクラッド部84をガラス材料とする光ファイバ94の製造についても、基本的には図1と同じ装置構成であり、コアおよびクラッド構造を有するガラス母材を使用することで実現される。
光通信技術ハンドブック、オプトロニクス社、三木哲也偏、p.244、2002年1月
しかし樹脂クラッド光ファイバは、ガラス材料と樹脂材料との熱膨張係数の差が大きいため、コア部とクラッド部の熱膨張係数の差が時には1桁程度にもなり、硬化時に高い残留応力が発生し、伝搬損失が増加するという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、ガラス材料と樹脂材料との熱膨張係数の差に起因する硬化時における残留応力を抑制し、低損失化を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の光ファイバは、ガラス材料を主体とするコア部と、前記コア部よりも低い屈折率領域を有しかつ樹脂材料を主体とするクラッド部と、を備える光ファイバであって、前記クラッド部が、硬化した樹脂と非硬化性樹脂とを乖離した状態で含み、前記クラッド部の外側表面が硬化した樹脂のみから成り、前記硬化した樹脂により前記コア部と前記クラッド部の外側表面とが繋がり、光ファイバ断面における所定の位置に前記コア部を固定していることを特徴とする。
また本発明の第1の光ファイバは、前記硬化した樹脂と非硬化性樹脂の屈折率が等しいことを特徴とする。これにより2つの樹脂の界面で発生する反射損失・散乱損失を抑制することができる。
また本発明の第1の光ファイバは、前記非硬化性樹脂が、粒状構造又は粒状が繋がった構造を有することを特徴とする。
また本発明の第1の光ファイバは、コア部が複数あるマルチコアであることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の第2の光ファイバは、ガラス材料を主体とするコア部と、前記コア部よりも低い屈折率領域を有しかつガラス材料を主体とするクラッド部と、樹脂材料を主体としかつ前記クラッド部を覆う被覆部と、を備える光ファイバであって、前記被覆部が、硬化した樹脂と非硬化性樹脂とを乖離した状態で含み、前記被覆部の外側表面が硬化した樹脂のみから成り、前記硬化した樹脂により前記クラッド部と前記被覆部の外側表面とが繋がり、光ファイバ断面における所定の位置に前記クラッド部を固定していることを特徴とする。
また本発明の第2の光ファイバは、前記硬化した樹脂と非硬化性樹脂の屈折率が等しいことを特徴とする。これにより2つの樹脂の界面で発生する反射損失・散乱損失を抑制することができる。
また本発明の第2の光ファイバは、前記非硬化性樹脂が、粒状構造又は粒状が繋がった構造を有することを特徴とする。
また本発明の第2の光ファイバは、前記コア部が複数あるマルチコア光ファイバであることを特徴とする。
また本発明の光ファイバ製造装置は、硬化性の樹脂、非硬化性の樹脂を混在させて塗布する機能を具備することを特徴とする。具体的には、本発明の光ファイバ製造装置は、本発明に係る光ファイバを製造する光ファイバ製造装置であって、硬化性の樹脂及び非硬化性の樹脂を混在させてコア部又はクラッド部の周囲に塗布する樹脂塗器と、前記硬化性の樹脂を硬化させる樹脂硬化器と、を備え、前記樹脂塗器は、漏斗状の形状を有し、該漏斗状の中心に前記コア部又はクラッド部を挿通させつつ、上部から前記漏斗内に前記硬化性の樹脂を流し込むダイスと、前記ダイスの前記漏斗内斜面に配置され、前記非硬化性の樹脂を流し込む樹脂吐出用の管とを備えることを特徴とする。
なお、本発明では「非硬化性樹脂」と「流動性を有する樹脂」は同一に扱う。
また、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
本発明によれば、ガラス材料と樹脂材料との熱膨張係数の差に起因する硬化時における残留応力を抑制し、低損失化を図ることができる。また、本発明は、樹脂クラッドファイバでありながら、ガラス光ファイバと同等もしくはそれ以上に残留応力を抑制し、低損失化を図ることができる。またコア心線及び樹脂クラッドを共にガラス材料とする光ファイバにおいても本発明の技術を適用することで伝搬損失の改善が期待できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(実施形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ製造装置の構成図である。本装置は、加熱炉11、外径測定器12、樹脂塗布器13、樹脂硬化器14、張力測定器15、キャプスタン16、スクリーニング17、ボビン18、線引速度検出器19を備える。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ製造装置の構成図である。本装置は、加熱炉11、外径測定器12、樹脂塗布器13、樹脂硬化器14、張力測定器15、キャプスタン16、スクリーニング17、ボビン18、線引速度検出器19を備える。
本実施形態に係る第1の光ファイバは、ガラス材料を主体とするコア心線と、硬化した樹脂及び流動性を有する樹脂を含む樹脂クラッドと、を備える。本実施形態に係る第2の光ファイバは、ガラス材料を主体とするクラッドと、硬化した樹脂及び流動性を有する樹脂を含む樹脂被覆部と、を備える。硬化した樹脂及び流動性を有する樹脂の屈折率は等しい。以下では、一例として、第1の光ファイバについて説明するが、第1の光ファイバにおけるコア部をコア部及びクラッド部とし、第1の光ファイバにおけるクラッド部及び被覆を被覆とすることで、第2の発明にも適用することができる。
加熱炉11は、光ファイバ母材91を加熱延伸する。これにより、コア心線92を生成する。
外径測定器12は、コア心線92の外径を測定する。
樹脂塗布器13は、コア心線92の周囲に樹脂を塗布する。樹脂硬化器14は、コア心線92の周囲の硬化性樹脂を硬化させる。これにより、コア心線92の周囲に樹脂クラッド84が形成された光ファイバ94を生成する。ここで、樹脂硬化器14の硬化方法は任意であり、例えば、UV照射型又は加熱型が例示できる。
キャプスタン16は、所定の巻き取り速度で光ファイバ94を引き取る。張力測定器15は、キャプスタン16の引き取る張力を測定する。
スクリーニング17は、光ファイバ94に所定の張力を加え、スクリーニング試験を行う。
ボビン18は、光ファイバ94を巻き取る。
外径測定器12は、コア心線92の外径を測定する。
樹脂塗布器13は、コア心線92の周囲に樹脂を塗布する。樹脂硬化器14は、コア心線92の周囲の硬化性樹脂を硬化させる。これにより、コア心線92の周囲に樹脂クラッド84が形成された光ファイバ94を生成する。ここで、樹脂硬化器14の硬化方法は任意であり、例えば、UV照射型又は加熱型が例示できる。
キャプスタン16は、所定の巻き取り速度で光ファイバ94を引き取る。張力測定器15は、キャプスタン16の引き取る張力を測定する。
スクリーニング17は、光ファイバ94に所定の張力を加え、スクリーニング試験を行う。
ボビン18は、光ファイバ94を巻き取る。
図2に、樹脂塗布器13の構造の第1例を示す。一般的なダイス131は漏斗状になっており、その漏斗状の中心に光ファイバ92を通して同時にその漏斗132内に硬化性樹脂82を流し込み、樹脂クラッド84を形成する。本実施形態のダイス131は、漏斗132内斜面にさらに樹脂吐出用の管133があり、この部分から非硬化性樹脂83を流し込む構造になっている。硬化性樹脂82はダイス131上部から漏斗132内に流し込まれる。この結果、非硬化性樹脂83と硬化性樹脂82が漏斗132内で混合される。ただし、本発明での混合は化学的に混ざり合うという意味ではなく、2種類の樹脂が物質的には乖離した状態で形状・体積のみが変化する状態を意味する。
また樹脂クラッド84形成後の光ファイバ94において、樹脂クラッド84の内部は硬化性樹脂82と非硬化性樹脂83が混合された構造であるが、表面は硬化性樹脂82で覆われており、外見上は一般の光ファイバと変わらない。また樹脂クラッド84の表面の硬化性樹脂82の少なくとも一部はコア心線92へ繋がっており、コア心線92が光ファイバ94の外径に対して所定の位置に固定されるため、非硬化性樹脂83でクラッド内が満たされていても偏芯し難い構造となっている。
また樹脂クラッド84は、被覆と同時にクラッドの機能を備えるが、硬化性樹脂82と非硬化性樹脂83の屈折率が同一であるため、光伝搬時の樹脂クラッド84による反射損失を一般的な光ファイバ並みに抑制することができる。
また樹脂クラッド84は、非硬化性樹脂83が混在しているため、コア心線92にかかる残留応力を大幅に低減する。また硬化性樹脂82として、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化型もしくはUV硬化型の樹脂がある。また非硬化性樹脂83としては、シリコーン系やマッチングオイル等の樹脂がある。
図2のダイス131は、非硬化性樹脂83の吐出方向がダイス中心ではなく、若干ずれた方向にある場合の形態である。図に示すように非硬化性樹脂82が渦巻き状にダイス131中心の穴へコア心線92と共に引き込まれ、図3に示すように、非硬化性樹脂83がツイスト状に編み込まれた構造の樹脂クラッド84が形成される。
図4に示すように、非硬化性樹脂83の導入方向がダイス131中心の場合、図5に示すように、コア心線92の延伸方向に略平行に非硬化性樹脂83が配列された直線のストライプ状の樹脂クラッド84が形成される。これに対し、図3に示すように、非硬化性樹脂83がツイスト状になっている場合、硬化性樹脂82と非硬化性樹脂83の交互の繰り返し密度(単位ファイバ長における巻き数)が高くなるため、局所的にコア心線92にかかる残留応力が高い部分が少なくなり、光ファイバ94の低損失化が可能となる。
図14における{1}、{2}に実際に作製した光ファイバ94の製造条件とその結果を示す。{1}はダイスにおける非硬化性樹脂83の吐出方向がダイス131の中心に向いているため、ファイバ長手方向にストライプの構造になっており、光伝搬損失は0.25dB/kmとなった。{2}は非硬化性樹脂83の吐出方向がダイス131の中心からずれた位置にあるため、吐出された非硬化性樹脂83が渦を巻き、ツイスト状の構造となっている。その結果、樹脂の繰り返し密度が大きくなり、光伝搬損失が0.23dB/kmまで下がった。
図6に、樹脂塗布器13の第3例を示す。図6のダイスは、図2のダイス131を上下に分割して上側ダイス131U及び下側ダイス131Dとし、下側ダイス131Dのみ回転機構を有している。下側ダイス131Dの回転により硬化性樹脂82と非硬化性樹脂83の交互の繰り返し密度がさらに増加するため更なる残留応力の低減が可能となり、光ファイバ94の低損失化が可能となる。
図7は、光伝搬損失と密度の下側ダイスの回転数に対する関係性を表した図である。密度は、単位ファイバ長における巻き数を示す。図から分かるように、回転数が大きくなり密度が増加するに従い、光伝搬損失が低下している。
図14における{3}は回転数が100rpmの時の結果である。非回転時と比較し樹脂の繰り返しのピッチが高密度になるため、さらに低損失の0.20dB/kmを実現している。
また条件によっては非硬化性樹脂83が樹脂クラッド84の外径表面に顕れてしまう可能性があるため、樹脂クラッド84の周囲を硬化性樹脂82で覆ってもよい。例えば、非硬化性樹脂83の吐出口134の内側(コア心線92の近傍)及び非硬化性樹脂83の吐出口134の外側から硬化性樹脂82を流し込んでもよい。また、図1に示す光ファイバ製造装置に、さらに、硬化性樹脂専用の樹脂塗布器(不図示)および樹脂硬化器(不図示)を設け、樹脂塗布器13および樹脂硬化器14の後に、硬化性樹脂82で光ファイバ94を包み込んでもよい。
また非硬化性樹脂83の吐出量を細かく変化させることで、樹脂クラッド84を作製後の非硬化性樹脂83の形状を、粒状もしくは粒状に繋がった構造に形成することが可能である。
図8及び図9は、非硬化性樹脂83を粒状化する場合の実施例である。図8に示すように、吐出を細かく繰り返すことで、図9に示すように、微小な非硬化性樹脂83の粒状構造を形成する。粒状構造の大きさは任意であるが、例えば、数μm〜数十μmとすることが好ましい。粒状の非硬化性樹脂83は、残留応力を下げるため、コア心線92にできるだけ近接した位置にあることが望ましい。
図14における{4}にその結果を示す。{4}における吐出中の吐出量は、{3}における吐出量より大きくした。光伝搬損失0.20dB/kmを達成している。
図10及び図11は、非硬化性樹脂83を粒状に繋がった構造に形成する場合の実施例である。図10に示すように、吐出量を0にせずに細かく変動させることで、図11に示すように、粒状が繋がった構造を形成する。図7の粒状が繋がっていない構造に比べ、非硬化性樹脂83の体積の割合が大幅に増加するため残留応力が低減し、より低損失化が可能となる。
図14における{5}にその結果を示す。{5}における最大時の吐出量は、{3}における吐出量より大きくした。非硬化性樹脂の体積の割合が高いため、{4}と比較し更なる低損失化(0.18dB/km)を達成している。
(実施形態2)
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る光ファイバ製造装置の構成図である。本実施形態に係る光ファイバ製造装置は、光ファイバ94をマルチコア光ファイバに適用した例である。
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る光ファイバ製造装置の構成図である。本実施形態に係る光ファイバ製造装置は、光ファイバ94をマルチコア光ファイバに適用した例である。
複数の母材91を個別の加熱炉11で形成した後、束ねて1つの樹脂塗布器13へ導入し、樹脂を流し込み、非硬化性樹脂83が粒状化した樹脂クラッド84を形成した。図13に、作製したマルチコア光ファイバの斜視図を示す。粒状の非硬化性樹脂83が広く分布した構造になっている。図15における{6}にその結果を示す。光ファイバのコア数が6、ダイス回転数が200rpmでいずれのコア心線92も伝搬損失:0.20dB/km以下を達成した。
図14に、実施形態1及び実施形態2にて説明した光ファイバ94の実施例を示す。{1}〜{6}は、第1の光ファイバを実際に作製した製造条件とその結果を示す。
{1}は、実施形態1における樹脂塗布器13の第2例を用いて図5に示す光ファイバ94を作製した場合の実施例である。この場合の光伝搬損失は0.25dB/kmとなった。
{2}は、実施形態1における樹脂塗布器13の第1例を用いて図3に示す光ファイバ94を作製した場合の実施例である。このときの光ファイバ94は、{1}に比べて樹脂の繰り返し密度が大きくなり、光伝搬損失が0.23dB/kmまで下がった。
{3}は、実施形態1における樹脂塗布器13の第3例を用いて光ファイバ94を作製した場合の実施例である。このときの光ファイバ94は、非回転時と比較し樹脂の繰り返しのピッチが高密度になるため、{2}に比べてさらに低損失の0.20dB/kmを実現している。
{4}は、実施形態1において非硬化性樹脂83を粒状化した場合の実施例である。非硬化性樹脂83の吐出量が{3}における吐出量より大きいため、光伝搬損失0.20dB/kmを達成している。
{5}は、実施形態1において非硬化性樹脂83を粒状に繋がった構造に形成した場合の実施例である。{4}に比べ、非硬化性樹脂83の体積の割合が大幅に増加するため残留応力が低減し、より低損失化が可能となる。
{6}は、実施形態2におけるマルチコア光ファイバに適用した実施例である。光ファイバのコア数が6であっても、いずれのコアも伝搬損失が0.20dB/km以下を達成した。
{1}は、実施形態1における樹脂塗布器13の第2例を用いて図5に示す光ファイバ94を作製した場合の実施例である。この場合の光伝搬損失は0.25dB/kmとなった。
{2}は、実施形態1における樹脂塗布器13の第1例を用いて図3に示す光ファイバ94を作製した場合の実施例である。このときの光ファイバ94は、{1}に比べて樹脂の繰り返し密度が大きくなり、光伝搬損失が0.23dB/kmまで下がった。
{3}は、実施形態1における樹脂塗布器13の第3例を用いて光ファイバ94を作製した場合の実施例である。このときの光ファイバ94は、非回転時と比較し樹脂の繰り返しのピッチが高密度になるため、{2}に比べてさらに低損失の0.20dB/kmを実現している。
{4}は、実施形態1において非硬化性樹脂83を粒状化した場合の実施例である。非硬化性樹脂83の吐出量が{3}における吐出量より大きいため、光伝搬損失0.20dB/kmを達成している。
{5}は、実施形態1において非硬化性樹脂83を粒状に繋がった構造に形成した場合の実施例である。{4}に比べ、非硬化性樹脂83の体積の割合が大幅に増加するため残留応力が低減し、より低損失化が可能となる。
{6}は、実施形態2におけるマルチコア光ファイバに適用した実施例である。光ファイバのコア数が6であっても、いずれのコアも伝搬損失が0.20dB/km以下を達成した。
図15に、実施形態1及び実施形態2にて説明した光ファイバ94の実施例を示す。{7}〜{12}は、第2の光ファイバを実際に作製した製造条件とその結果を示す。本実施例は、コア心線92およびクラッドが共にガラス材料の母材を使用する。なお本実施例は、図2〜図11内の「コア心線92」を「コアおよびクラッドが共にガラス材料から形成される光ファイバ心線」に置き換えて検討した場合の結果である。コア数、ダイスの構造、ダイス回転数、非硬化性樹脂の吐出方向、非硬化性樹脂の吐出パターン及び樹脂クラッド構造といった{7}〜{12}の各条件は、それぞれ実施例1の{1}〜{6}と同じである。
図15に示すように、いずれも図12と同等の伝搬損失が得られた。なお従来型の硬化性樹脂82のみで光ファイバを作製した場合の伝搬損失(コア数:1)は0.27dB/kmであったため、本発明の有効性を確認した。
なお従来型の硬化性樹脂のみで樹脂クラッドの光ファイバを作製した場合の伝搬損失は1.2dB/kmであった。
本発明は情報通信産業に適用することができる。
11:加熱炉
12:外径測定器
13:樹脂塗布器
14:樹脂硬化器
15:張力測定器
16:キャプスタン
17:スクリーニング
18:ボビン
19:線引速度検出器
82:硬化性樹脂
83:非硬化性樹脂
84:樹脂クラッド
91:光ファイバ母材
92:コア心線
93:光ファイバ−コア心線
94:光ファイバ
131:ダイス
132:漏斗
133:樹脂吐出用の管
134:吐出口
12:外径測定器
13:樹脂塗布器
14:樹脂硬化器
15:張力測定器
16:キャプスタン
17:スクリーニング
18:ボビン
19:線引速度検出器
82:硬化性樹脂
83:非硬化性樹脂
84:樹脂クラッド
91:光ファイバ母材
92:コア心線
93:光ファイバ−コア心線
94:光ファイバ
131:ダイス
132:漏斗
133:樹脂吐出用の管
134:吐出口
Claims (6)
- ガラス材料を主体とするコア部と、
前記コア部よりも低い屈折率領域を有しかつ樹脂材料を主体とするクラッド部と、
を備える光ファイバであって、
前記クラッド部が、硬化した樹脂と非硬化性樹脂とを乖離した状態で含み、
前記クラッド部の外側表面が硬化した樹脂のみから成り、
前記硬化した樹脂により前記コア部と前記クラッド部の外側表面とが繋がり、光ファイバ断面における所定の位置に前記コア部を固定していることを特徴とする光ファイバ。 - ガラス材料を主体とするコア部と、
前記コア部よりも低い屈折率領域を有しかつガラス材料を主体とするクラッド部と、
樹脂材料を主体としかつ前記クラッド部を覆う被覆部と、
を備える光ファイバであって、
前記被覆部が、硬化した樹脂と非硬化性樹脂とを乖離した状態で含み、
前記被覆部の外側表面が硬化した樹脂のみから成り、
前記硬化した樹脂により前記クラッド部と前記被覆部の外側表面とが繋がり、光ファイバ断面における所定の位置に前記クラッド部を固定していることを特徴とする光ファイバ。 - 請求項1又は2に記載の光ファイバにおいて、
前記硬化した樹脂と非硬化性樹脂の屈折率が等しいことを特徴とする光ファイバ。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の光ファイバにおいて、
前記非硬化性樹脂が、粒状構造又は粒状が繋がった構造を有することを特徴とする光ファイバ。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の光ファイバにおいて、
前記コア部を複数備えるマルチコア光ファイバであることを特徴とする光ファイバ。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の光ファイバを製造する光ファイバ製造装置であって、
硬化性の樹脂及び非硬化性の樹脂を混在させてコア部又はクラッド部の周囲に塗布する樹脂塗器と、
前記硬化性の樹脂を硬化させる樹脂硬化器と、
を備え、
前記樹脂塗器は、
漏斗状の形状を有し、該漏斗状の中心に前記コア部又はクラッド部を挿通させつつ、上部から前記漏斗内に前記硬化性の樹脂を流し込むダイスと、
前記ダイスの前記漏斗内斜面に配置され、前記非硬化性の樹脂を流し込む樹脂吐出用の管と、
を備えることを特徴とする光ファイバ製造装置。
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