JP5873033B2 - 中空糸膜モジュールの接着固定部における接着剤の選定方法、中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュールの接着固定部における接着剤の選定方法、中空糸膜モジュールの製造方法 Download PDF

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本発明は、精密ろ過や限外ろ過等の分離プロセスに用いられる中空糸膜モジュール、該中空糸膜モジュールの接着固定部における接着剤の選定方法、該中空糸膜モジュールの製造方法に関し、さらに詳しくは、各種工業製品の製造プロセスに用いられる水の精製、河川水、湖沼水、地下水などを原水とする上水の製造、下水・排水等の水処理プロセス等に用いられる中空糸膜モジュール、該中空糸膜モジュールにおける接着剤の選定方法、該中空糸膜モジュールの製造方法に関する。
中空糸膜ろ過による分離プロセスは、各種工業製品の製造プロセスに用いられる水の精製、河川水、湖沼水、地下水などを原水とする上水の製造、下水、排水等が生物処理された水の回収等において広く採用されている。
従来の中空糸膜モジュールでは、多数本の中空糸膜の束を固定するために、中空糸膜の両端を種々のポッティング樹脂層で固定している。また、中空糸膜の束を収容するモジュールケースの上部には、循環や排水の排出に用いられる上部排水排出ノズルが設けられている。浸漬型膜モジュールの場合にはむき出しの中空糸膜が上部のヘッダーと下部のスカートとにポッティング樹脂で接着固定されている。
外圧式の中空糸膜モジュールは、膜の目詰まりを防止するため、一定時間のろ過の後、逆流洗浄や原水側に空気を導入する空気洗浄等を行うのが一般的である。逆流洗浄に用いられた水等の液体と、空気洗浄に用いられた空気等の気体とは気液混合流を形成し、保護材に設けられた穴を通過し、排出流路を通じて上部排出ノズルから排出される。また、浸漬型の膜モジュールでは、むき出しの中空糸膜を持つ膜モジュールが液体に浸漬されていて、モジュール下部から気体による物理洗浄を実施する。このとき、空気洗浄で上昇する気泡によって膜モジュール上部の膜が接着固定されているポッティング樹脂との界面付近の膜は激しく揺動する。その際に中空糸膜が接着剤との界面で破断するという問題があった。
このような問題を解決する手段として、特開2009−018283号公報(特許文献1)には固定樹脂の一部を軟質樹脂で構成する方法が開示されている。
特開2009−018283号公報
しかしながら、上記特許文献の技術を用いても、膜の物性によっては、膜の破断を抑制できない場合がある。
本発明は、上記のような状況に鑑み、膜の物性値を測定することによってモジュールケースに中空糸膜束を固定する際に、最適な硬化後硬度をもつポッティング樹脂などの接着剤を選定する選定方法および該選定方法を用いた中空糸膜モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、膜の破断が起こる始動原理を明らかにすることができた。以下に説明する。まず、最初に膜に微小な傷が発生し、それを起点として膜の破断が起こる。微小な傷が発生してから、破断に至るまでの耐性は破壊靱性という物理量で表すことができる。すなわち、膜の破壊靱性が膜の破断耐性に深いかかわりがあることを見出した。膜の破断は硬度の低い樹脂により応力を緩和することで抑制することができる。したがって、膜の破壊靱性によって最適な硬度のポッティング樹脂を選定することができる。
すなわち、本発明は、複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束と、少なくとも前記中空糸膜束の端部を取り囲む外壁部と、前記中空糸膜束の端部において前記中空糸膜同士、及び該中空糸膜と前記外壁部の内面とを直接または間接に接着固定する接着固定部と、を備えた中空糸膜モジュールにおける前記接着固定部の接着剤の選定方法であって、前記中空糸膜の破壊靱性の値をAとし、前記接着固定部の接着剤のゴム硬度の値をBとし、且つ、前記破壊靱性の単位はN・mmであり、前記ゴム硬度はJIS K 6253 Type Aに基づく値であり、前記Aの値と前記Bの値とが、以下の式を満たすような前記ゴム硬度の前記接着剤を選定することを特徴とする接着剤の選定方法。
式: B ≦ 2.09×A+52.3
また、本発明は、複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束と、少なくとも前記中空糸膜束の端部を取り囲む外壁部と、前記中空糸膜束の端部において前記中空糸膜同士、及び該中空糸膜と前記外壁部の内面とを直接または間接に接着固定する接着固定部と、を備えた中空糸膜モジュールの製造方法であって、前記中空糸膜の破壊靱性の値をAとし、前記接着固定部の接着剤のゴム硬度の値をBとし、且つ、前記破壊靱性の単位はN・mmであり、前記ゴム硬度はJIS K 6253 Type Aに基づく値であり、前記Aの値と前記Bの値とが、以下の式を満たすような前記ゴム硬度の前記接着剤を選定することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
式: B ≦ 2.09×A+52.3
本発明によれば、ケース内に納められた外圧式または浸漬型等の中空糸膜モジュールにおいて、接着固定部を最適な硬度とすることができるため、逆洗及び空気洗浄の少なくとも一方を行っても膜の破断が起こらないことを簡便な方法で担保することができる。
特にこれまで、膜破断耐性が小さい膜、すなわち破壊靱性値が低い膜については、必要以上に硬化後硬度の低いポッティング樹脂等を使用しており、構造体としての強度を得ることができていなかった。しかしながら、本発明によれば膜破断を抑制する最上限の硬度と、構造体としての強度を併せ持つポッティング樹脂などの接着剤を選定して作成したモジュールを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る外圧式中空糸膜モジュールの上部を示す概略の断面図である。 破壊靱性を測定するサンプルの欠陥(傷)の形成する方法の概略を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る中空糸膜モジュールの上部を示す模式的な断面図である。 本発明の実施例にかかるエアバブル試験法の概略を説明する図である。 膜破断に至るまでの時間に対するポッティング樹脂硬度の影響を示し、10種類の膜1A〜1Jにおける膜破断に至るまでの時間とポッティング樹脂硬度との関係を示すグラフである。 本発明にかかる中空糸膜の破壊靱性と膜破断を防ぐのに必要なポッティング樹脂硬度との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る中空糸膜モジュールの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示されるように、第1の実施の形態における中空糸膜モジュール20は、多数本(複数)の中空糸膜1の両端部(または片端部)1aがポッティング樹脂領域21にて固定されて中空糸膜束22が形成され、中空糸膜束22がモジュールケース(以下、「ケース」という)2内に納められている。ケース2は、中空糸膜束22の両端部22aを含む全体を取り囲んでおり、外壁部の一例に相当する。なお、他の形態に係る中空糸膜モジュールとして、例えば、中空糸膜1の両端部のうち、上端部がヘッダーに取り囲まれてポッティング樹脂等で接着固定され、下端部がスカートに取り囲まれて接着固定された浸漬型中空糸膜モジュールに関するものであってもよく、この場合には、ヘッダー、及びスカートが外壁部の一例に相当する。
本実施形態では、気液排出部であるノズル3が上になるように、中空糸膜1の長手方向(図1の上下方向)が鉛直方向となるように設置する。ポッティング樹脂領域21は、中空糸膜1の端部1aを固定する注型樹脂からなるポッティング樹脂層6と、ポッティング樹脂層6に固定されたリング部材5とを有し、更に、ノズル3に対面する位置で中空糸膜束22を環状に取り囲むテーパ状で多孔を有する保護材4が設置されている。
本実施形態では、ポッティング樹脂層6が中空糸膜束22の両端部22a(図1では、上端部22aのみを図示)において中空糸膜1同士、及び中空糸膜1とケース2の内面2aとを接着固定しており、ポッティング樹脂層6が接着固定部の一例に相当する。また、本実施形態では、上下に形成されたポッティング樹脂層6の両側において中空糸膜1の中空部が開口しているが、片方のポッティング樹脂層6側でのみ中空糸膜1の中空部が開口しているようにしてもよい。
本実施の形態に用いる中空糸膜1は、公知の高分子製多孔質膜が用いられる。例えば、エチルセルロース、ニ酢酸セルロース、酢酸セルロース、セルロース等のセルロース類、6,6ナイロン等のポリアミド類、ビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニリデン系樹脂、ポリエーテルスルフォンやポリスルフォン等のスルフォン系樹脂、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂等の高分子を素材とした、精密ろ過膜や限外ろ過膜を挙げることができる。
本実施の形態に使用するケース2の素材および被接着部材としては、特に限定はされないが、耐熱性が良好なスルフォン系樹脂やポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、SUS(ステンレス材料)等の金属材料等を好適に用いることができる。
本実施の形態では、図1に示されるように、ケース2と中空糸膜束22とをポッティング樹脂層6により直接的に固定した例にて説明しているが、中空糸膜1とケース2との固定方法には制限がなく、例えば、ケース2と密着可能な部分構造を有する被接着材と中空糸膜1をポッティング樹脂層6で接着固定したろ過素子を製作した後に、該ろ過素子とケース2とをねじ込みまたは固定治具等を利用して間接的に固定しても良い。
ポッティング樹脂層6の材料は特に制限はないが、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂等が適用でき、硬化後の硬度および薬品耐性などの条件から選定することができる。
本実施の形態において中空糸膜1の製造法および材質は特に問わない。例えば、溶融製膜法を用いる場合、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレンなどを用いることができる。また、湿式製膜法を用いる場合、ポリフッ化ビニリデンやポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアクリロニトリルなどを用いることができる。
本実施の形態に係る中空糸膜モジュール20を製造するに際しては、ポッティング樹脂層6を形成するポッティング樹脂(接着剤)の硬化後の硬度を、中空糸膜1の破壊靱性に応じて選定している。具体的には、中空糸膜1の破壊靱性の値をAとして、ポッティング樹脂層6の接着剤のゴム硬度Bが以下の式(1)を満たすように接着剤の硬度を選定している。
式(1): B ≦ 2.09×A+52.3
破壊靱性とは物質の粘り強さを示し、粘さとも呼ばれる。破壊靱性は強度と異なる意味を持つ。大きな破壊靱性を有するという事は、欠陥(クラック)の進展に対する抵抗性(進みにくさ)が大きいということである。破壊靱性の値は次の二点で決定される。
1.欠陥(クラック)の寸法
2.クラックの進展する際の破壊抵抗性
したがって、どのような欠陥を用いても、それらの寸法と試料の外形寸法と破壊荷重がわかっていれば、破壊靱性を算出できる。
本実施の形態に係る中空糸膜1の破壊靱性の測定方法を以下に説明する。図2に示されるように、例えば、中空糸膜1のサンプルを10cmの長さにカットし、高さLが1mm程度の一対の台8の間にサンプルを設置する。次に、市販の剃刀9を用いて中空糸膜1の長さ5cmの中央部分に切り込みを入れる。このとき切り込みの深さDは中空糸膜1の膜厚dの80%とした。すなわち、膜厚dが0.3mmであれば0.24mmの切り込みを入れる。こうして作製した中空糸膜1のサンプルを引張試験により破壊に至るまでの仕事量を測定し、その値を破壊靱性として評価した。
本発明者等は、鋭意検討の結果、中空糸膜1の破断が起こる始動原理を明らかにすることができた。以下に説明すると、まず、最初に中空糸膜1に微小な傷が発生し、それを起点として中空糸膜1の破断が起こる。微小な傷が発生してから、破断に至るまでの耐性は破壊靱性という物理量で表すことができる。すなわち、中空糸膜1の破壊靱性が中空糸膜1の破断耐性に深いかかわりがあることを見出した。そして、中空糸膜1の破断は硬度の低い樹脂により応力を緩和することで抑制することができるので、中空糸膜1の破壊靱性とポッティング樹脂層6の硬化後の硬度との相関性が分かれば、所望の期間、中空糸膜1が破断に耐え得る中空糸膜モジュール20、つまり、所望の耐久性を有する中空糸膜モジュール20を製造するのに最適なゴム硬度のポッティング樹脂(接着剤)を選定できることを知見し、上記の式(1)を導出した。
また、本発明者等は、中空糸膜モジュール20の構造体としての強度を確保しようとすると、ポッティング樹脂層6のゴム硬度として100以上が必要であることも知見した。従って、本実施形態に係る中空糸膜モジュール20では、中空糸膜1の破壊靱性の値をAとした場合に、ポッティング樹脂層6の硬化後のゴム硬度Bが以下の式(2)を満たすように接着剤が選定され、中空糸膜モジュール20が製造されている。
式(2): 100 ≦ B ≦ 2.09×A+52.3
本実施の形態にかかるポッティング樹脂(接着剤)の選定方法、中空糸膜モジュール20の製造方法、及び中空糸膜モジュール20によれば、ろ過性や強度、耐薬品性などを優先して中空糸膜1を設計し、その中空糸膜1の破壊靱性に応じて硬化後のゴム硬度が最適なポッティング樹脂を選定してポッティング樹脂層6を形成できる。その結果、逆洗及び空気洗浄の少なくとも一方を行っても中空糸膜1の破断が起こらないことを簡便な方法で担保することができる。
なお、現状、中空糸膜1の破壊靱性は引張強度などの他のパラメーターとは相関がみられず、破壊靱性をコントロールして製膜することは困難である。つまり、破壊靱性をコントロールして中空糸膜1の破断を抑制するということは非常に難しい。従って、実際に製造した中空糸膜1の破壊靱性に応じて硬化後のゴム硬度が最適となるようにポッティング樹脂を選定し、その結果、中空糸膜1の破断を効果的に抑制できることには非常に大きな意味がある。
また、従来の技術では、特に膜破断耐性が小さい膜、すなわち破壊靱性値が低い膜を使用して膜モジュールを形成する場合に必要以上に硬化後硬度の低いポッティング樹脂等を使用しており、膜モジュールの構造体としての強度を得ることが難しかった。しかしながら、本実施の形態によれば、中空糸膜1の破断を抑制するゴム硬度の最大値を採用できるので、構造体としての強度の構造も同時に実現できる中空糸膜モジュール20を提供することができる。
次に、第2の実施形態に係る中空糸膜モジュール50について図3を参照して説明する。なお、中空糸膜モジュール50について、第1の実施形態に係る中空糸膜モジュール20に実質的に対応する部材や要素については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
中空糸膜モジュール50は、第1の実施の形態におけるポッティング樹脂層6に代えて、多層の樹脂層としている。具体的には、中空糸膜1の長さ方向の端部1a側に耐圧上必要な硬度を保持する耐圧保持層51を有し、中空糸膜1の長さ方向の中央部側に樹脂層52を有する。更に中空糸膜1の破壊靱性の値をAとして、以下の式(3)の条件を満たす場合に、硬化後のゴム硬度Bが以下の式(4)を満たす樹脂層52を形成する接着剤が選定されている。
式(3): 100 ≧ 2.09×A+52.3
式(4): B ≦ 2.09×A+52.3
本実施の形態によれば、第1の実施の形態同様に、ろ過性や強度、耐薬品性などを優先して中空糸膜1を設計し、その中空糸膜1の破壊靱性に応じて最適な樹脂層52の硬化後の硬度を選定できる。その結果、逆洗及び空気洗浄の少なくとも一方を行っても中空糸膜1の破断が起こらないことを簡便な方法で担保することができる。
また、第2の実施の形態では、仮に、樹脂層52が最適なゴム硬度である一方で、樹脂層52の単体では、中空糸膜モジュール50の構造体としての強度を満たさない場合であっても、耐圧保持層51を有しているので中空糸膜モジュール50の構造体としての強度を担保している。
以下、本実施の形態を実施例に基づいて説明する。なお、各実施例において、上述の実施形態に対応する部材には、上述の実施形態と同一の符号を付して説明する。
[実施例1]
内径169mmのヘッダー部を有する円筒状のABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体)樹脂製モジュールケース2(図1参照)に、ABS樹脂製であって、リング部材5をメチルエチルケトンに溶解したABS樹脂溶液を用いてあらかじめ溶着固定した。リング部材5の厚さは3mmのものを用いた。さらに、モジュールケース2にポリプロピレン製の保護材4を設置した。保護材4の厚さは3mmのものを用いた。リング部材5及び保護材4内に挿入する中空糸膜1は、PVDF(Poly Vinylidene Fluoride;ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))製の膜を4種類(1A〜1D膜)およびPE製(Polyethylene;ポリエチレン)製の膜を4種類(1E〜1H膜)、PAN(Polyacrylonitrile)の膜(1I膜)、PSf(Polysulfone)製の膜(1J膜)を用意した。これら10種類の膜の物性を表1に示す。内径および外径はそれぞれ0.66mmおよび1.22mmとし、充填膜本数は6600本として30℃に加温した遠心成型機にセットした。ポッティング樹脂層6を1.55Kg注型剤ポットに注入した後、遠心接着架台を回転させ、4時間遠心成型した。このときポッティング樹脂層には、合計10種類の膜(1A〜1J膜)に対して、それぞれ硬化後のゴム硬度が異なるウレタン樹脂7種類(硬化後ゴム硬度(JIS K 6253 Type A):0、10、30、40、70、100、140)を用い、合計45種類の中空糸膜モジュールを作製した。
Figure 0005873033
こうして作製した40種類のモジュールについて、エアバブル試験を行った。エアバブル試験法は、図4のように中空糸膜モジュール20の下部20aから純水を供給し、上側のサイドノズル3より供給した純水を排出した。この純水の流量は0.5m/hとした。また、このような状態で中空糸膜モジュール20の下部20aから空気もあわせて供給し、上側のサイドノズル3より排出した。このときの空気の流量は5Nm/hに設定した。このような試験法により、ポッティング樹脂層6のゴム硬度が、中空糸膜1A〜1Jの破断に至るまでの時間に与える影響を評価した。その結果を図5に示す。この結果から、すべての種類の中空糸膜1A〜1Jにおいてポッティング樹脂層6のゴム硬度が低いほど膜破断までの時間が長いことがわかる。さらに膜破断までに要する時間が1,000時間であればモジュールの耐久性として必要十分であると判断し、このときの中空糸膜1A〜1Jの破壊靱性とポッティング樹脂層6のゴム硬度との関係を調べると図6のようになる。
なお、図6は、中空糸膜の破壊靱性を横軸としており、ゴム硬度を縦軸としている。例えば、中空糸膜1Dの破壊靱性は30(N・mm)なので(表1参照)、図6の破壊靱性が30(N・mm)に対応する3か所のプロットが中空糸膜1Dであると判断できる。この3か所のゴム硬度は、低い方から順番に110,115,140を示すが、図5の中空糸膜1Dのグラフを見ると、ゴム硬度140の場合には、破断に至るまでの時間が明らかに1000時間未満である。一方で、ゴム硬度110の場合には、破断に至るまでの時間が明らかに1000時間を超えており、更に、ゴム硬度115の場合には、破断に至るまでの時間が僅かに1000時間を超えている。
次に、図6において、膜破断までに要する時間が1000時間未満となったケースを比較例とし、1000時間以上のケースを実施例としている。上記の中空糸膜1Dを例に説明すると、ゴム硬度110,115の場合は実施例であり、ゴム硬度140の場合は比較例となる。この比較例と実施例との境界線は、まず実施例の近似線形曲線により傾き(y=2.09x+34.87)を決め、最外実施例を代入することにより切片を決定した。この境界線は、中空糸膜1A〜1Jの破壊靱性がAであった場合に、当該中空糸膜1A〜1Jの破断を抑制することができるポッティング樹脂層6のゴム硬度の最大値Bを表し、以下のような式(5)となる。
式(5): B=2.09×A+52.3
この式(5)の意味について更に詳述すると、ポッティング樹脂層6のゴム硬度が高くなるほど中空糸膜1A〜1Jは破断し易くなり、破断までに要する時間は短くなってしまう。一方で、ポッティング樹脂層6のゴム硬度が低くなると、必然的に中空糸膜モジュール20の耐圧強度が低くなってしまう。ここで、膜破断までに要する時間について、実際のろ過運転では膜面に付着する汚れの落ちやすさによって、膜モジュールが受けるエアバブルの総時間に差が出てくるが、おおむね1,000時間以上なら中空糸膜モジュール20の耐久性は必要十分であると判断でき、この1,000時間を担保できるポッティング樹脂層6のゴム硬度の最大値が上記式(5)のBである。このことは、ポッティング樹脂層6のゴム硬度が上記式(5)のB以下であれば、所望の期間(具体的には、1000時間)使用しても中空糸膜1が破断せず、中空糸モジュール20としての耐久性が必要十分なものとなり、更に、最大値Bとすれば、中空糸モジュール20としての耐久性を維持しつつ、中空糸膜モジュール20の構造体としての強度を最大にできることを意味する。この最大値Bがポッティング樹脂層6の最適なゴム硬度である。
また、仮に、上記式(5)から得られたゴム硬度の最大値Bでは、耐久性は担保できるものの、中空糸膜モジュールの構造体として所望の強度を確保できないといった場合には、上述の第2の実施形態で説明したように接着固定部を多層構造とすることで構造体としての強度及び中空糸膜の破断抑制を同時に実現することができる。例えば、接着固定部を中空糸膜の長さ方向において二層とし、中空糸膜長さ方向端部側の接着部(耐圧保持層)を構造体として必要な強度とし、中空糸膜長さ方向中央部側の接着部を上記式(5)から得られる最適なポッティング樹脂のゴム硬度とすることで、これを実現できる。
より具体的には、接着固定部に相当する部分に求められるゴム硬度として、中空糸膜モジュールの構造体として必要な強度を確保するために100が必要であるとしたときに、中空糸膜の破壊靱性Aから得られる最適なゴム硬度が100を下回る(100≧2.09×A+52.3)場合には、接着固定部に相当する部分を二層構造とする。そして中空糸膜長さ方向端部側の接着部(耐圧保持層)の強度を100以上とし、中空糸膜長さ方向中央部側の接着部のゴム硬度を中空糸膜の破壊靱性Aから得られる最適なゴム硬度(2.09×A+52.3)とすることで、中空糸膜の破断を抑制することができる。
本実施の形態に係る中空糸膜モジュールは、ケース内に納められた中空糸膜モジュールにおいて、逆洗や空気洗浄を行う際に起因する膜の破断を膜の物性に応じて必要十分な硬度のポッティング樹脂で抑制することができるので、各種工業製品の製造プロセスに用いられる水の精製、河川水、湖沼水、地下水などを原水とする上水の製造、下水・排水等の水処理プロセス等に用いるのにきわめて有効である。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J…中空糸膜、2…モジュールケース(外壁部)、2a…モジュールケースの内面、6…ポッティング樹脂層(接着固定部)、22…中空糸膜束、22a…中空糸膜束の端部、20,50…中空糸膜モジュール、51…耐圧保持層、52…樹脂層。

Claims (2)

  1. 複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束と、少なくとも前記中空糸膜束の端部を取り囲む外壁部と、前記中空糸膜束の端部において前記中空糸膜同士、及び該中空糸膜と前記外壁部の内面とを直接または間接に接着固定する接着固定部と、を備えた中空糸膜モジュールにおける前記接着固定部の接着剤の選定方法であって、
    前記中空糸膜の破壊靱性の値をAとし、前記接着固定部の接着剤のゴム硬度の値をBとし、且つ、前記破壊靱性の単位はN・mmであり、前記ゴム硬度はJIS K 6253 Type Aに基づく値であり、
    前記Aの値と前記Bの値とが、以下の式を満たすような前記ゴム硬度の前記接着剤を選定することを特徴とする接着剤の選定方法。
    式: B ≦ 2.09×A+52.3
  2. 複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束と、少なくとも前記中空糸膜束の端部を取り囲む外壁部と、前記中空糸膜束の端部において前記中空糸膜同士、及び該中空糸膜と前記外壁部の内面とを直接または間接に接着固定する接着固定部と、を備えた中空糸膜モジュールの製造方法であって、
    前記中空糸膜の破壊靱性の値をAとし、前記接着固定部の接着剤のゴム硬度の値をBとし、且つ、前記破壊靱性の単位はN・mmであり、前記ゴム硬度はJIS K 6253 Type Aに基づく値であり、
    前記Aの値と前記Bの値とが、以下の式を満たすような前記ゴム硬度の前記接着剤を選定することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
    式: B ≦ 2.09×A+52.3
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