JP5872356B2 - ハニカム構造体の検査方法 - Google Patents

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本発明は、ハニカム構造体の検査方法に関する。更に詳しくは、導電性のハニカム構造体に生じたクラックの検出を高精度に行うことが可能なハニカム構造体の検査方法に関する。
従来、ハニカム構造体は、排ガス中の微粒子の捕集フィルタ、また、内燃機関、ボイラー、化学反応機器、及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体等に用いられている。ハニカム構造体は、例えば、図10に示すように、流体の流路となる一方の端面111から他方の端面112まで延びる複数のセル102を区画形成する多孔質の隔壁101と、最外周に位置する外周壁103とを有する筒状のものである。このようなハニカム構造体300は、例えば、セラミックや金属を含む成形原料から坏土を調製し、この坏土をハニカム形状に成形した後、焼成することにより形成することができる。
上記したハニカム構造体の製造工程において、ハニカム構造体に種々のクラック等の欠陥が発生する場合がある。そして、ハニカム構造体の隔壁等にクラック等が発生すると、ハニカム構造体の濾過性能や強度が低下し、ハニカム構造体の性能が十分に発揮されないこととなる。このようなハニカム構造体のクラックを検査する最も簡易な方法は目視によるものである。しかし、ハニカム構造体の隔壁等に生じたクラックの目視による検査は極めて困難であり、特に近年のハニカム構造体の隔壁の薄肉化やセル密度の増加により、目視検査は更に困難になっている。また、ハニカム構造体が触媒担体として用いられる場合には、ハニカム構造体の隔壁の表面に触媒が担持される。このような触媒が担持された状態のハニカム構造体については、クラックの目視による検査は極めて困難である。
また、クラック等の破損を検査する方法としては、例えば、コンピュータ断層撮影を用いた検査方法を挙げることができる。コンピュータ断層撮影は、放射線等を利用して検査対象を走査し、コンピュータを用いて処理することによって、検査対象の内部画像を撮影するものである。このような内部画像から、検査対象の破損の有無を検査することができる。しかしながら、このような方法では、ハニカム構造体における大きなクラックしか検知することができない。即ち、このようなコンピュータ断層撮影を用いた検査方法では、ハニカム構造体の微細なクラックを検知することは極めて困難である。
このようなことから、セラミック製のハニカム構造体に温度勾配を発生させ、表面温度分布を測定し、得られた温度分布にクラックの特徴を強調する選択処理を行ってクラックを顕在化させるクラック検出方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。即ち、特許文献1に記載されたクラック検査方法においては、まず、検査対象のハニカム構造体を熱処理炉等に投入して、外部からの熱により加熱する。その後、加熱したハニカム構造体を熱処理炉等から取り出し、そのハニカム構造体の表面温度分布を測定する。そして、測定した表面温度分布を示す熱画像から、クラックの有無を判定する。この際、熱画像からそのままでクラックを認識することは困難であることから、所定の熱画像処理を行うことにより、検査精度を向上させている。
特開2003−207472号公報
しかしながら、特許文献1に記載のような、外部からの熱により検査対象を加熱してクラックの有無を検査する検査方法は、上述した熱画像処理を行ったとしても、十分な検出精度を得ることができないという問題があった。特に、特許文献1に記載の検査方法は、微細なクラックについての検出が困難であり、より高精度にクラックを検出することが可能な検査方法を創出することが要望されている。
また、特許文献1に記載の検査方法は、検査に要する時間が長いという問題もあった。即ち、特許文献1に記載の検査方法においては、検査対象のハニカム構造体を、輻射熱等により一旦加熱し、その後、クラック検査を行うため、1つのハニカム構造体のクラック検査に要する時間が、非常に長くなってしまう。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、導電性のハニカム構造体に生じたクラックの検出を高精度に行うことが可能なハニカム構造体の検査方法を提供するものである。
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体の検査方法を提供する。
[1] 導電性の材料からなり、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する筒状のハニカム構造体に電流を流し、前記電流を流した前記ハニカム構造体を発熱させ、発熱させた前記ハニカム構造体の表面の温度分布を、温度計測手段によって計測し、計測した前記温度分布から、前記ハニカム構造体のクラックの有無を検査するハニカム構造体の検査方法。
[2] 前記ハニカム構造体に前記電流を流す際の、前記ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力が、0.3〜23.3W/gである前記[1]に記載のハニカム構造体の検査方法。
[3] 前記ハニカム構造体に前記電流を流す際の、印加時間が1〜300秒である前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の検査方法。
[4] 発熱させた前記ハニカム構造体の表面の前記温度分布として、前記ハニカム構造体の端面及び側面の前記温度分布を計測する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[5] 前記温度計測手段が、前記ハニカム構造体から放射される赤外線を検出するものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[6] 前記ハニカム構造体を発熱させる際の印加電力を一定に維持する前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[7] 前記ハニカム構造体が、前記隔壁及び前記外周壁を有する筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備えたものであり、前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に延びる帯状に形成されている前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[8] 前記ハニカム構造体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の電極部が、前記一対の電極部における他方の電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設されている前記[7]に記載のハニカム構造体の検査方法。
[9] 前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の一方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記一方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの0〜10%である前記[7]又は[8]に記載のハニカム構造体の検査方法。
[10] 前記ハニカム構造体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、それぞれの前記電極部の中心角の0.5倍が、15〜65°である前記[7]〜[9]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[11] 前記ハニカム構造体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、それぞれの前記電極部の厚さが、0.01〜5mmである前記[7]〜[10]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[12] 前記ハニカム構造体の前記隔壁に触媒が担持されている前記[1]〜[11]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[13] 検査対象の前記ハニカム構造体の前記温度分布を熱画像として取得し、取得した前記熱画像を確認することにより、検査対象の前記ハニカム構造体のクラックの有無を判定するクラック判定工程を更に備え、前記クラック判定工程は、前記熱画像において一の方向に沿って温度が上昇していない箇所が存在する場合に、その方向に沿ってクラックが発生していると判断する第一の判定基準と、前記熱画像において、前記第一の判定基準とは異なる局所的な発熱が確認された場合に、前記ハニカム構造体に微小のクラックが発生していると判断する第二の判定基準と、を有する前記[1]〜[12]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
[14] 検査対象の前記ハニカム構造体の前記温度分布を熱画像として取得する工程と、クラックの発生していない正常なハニカム構造体を用意し、前記正常なハニカム構造体に電流を流し、電流を流した前記正常なハニカム構造体の温度分布を計測し、前記正常なハニカム構造体の熱画像を取得する工程と、前記正常なハニカム構造体の前記熱画像と、検査対象の前記ハニカム構造体の前記熱画像とを比較し、検査対象の前記ハニカム構造体のクラックの有無を判定するクラック判定工程と、を更に備える前記[1]〜[12]のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
本発明のハニカム構造体の検査方法は、導電性の材料からなり、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する筒状のハニカム構造体を検査対象として行われる検査方法である。本発明のハニカム構造体の検査方法においては、上記ハニカム構造体に生じたクラックの検出を行うことができる。即ち、本発明のハニカム構造体の検査方法においては、まず、ハニカム構造体に電流を流し、電流を流したハニカム構造体を発熱させる。次に、発熱させたハニカム構造体の表面の温度分布を、温度計測手段によって計測する。次に、計測した温度分布から、ハニカム構造体のクラックの有無を検査する。このように、本発明のハニカム構造体の検査方法においては、通電により、検査対象となるハニカム構造体を自己発熱させ、その発熱状態を計測することによって、クラックの有無の検査を行う。このように構成することによって、導電性のハニカム構造体に生じたクラックの検出を高精度に行うことができる。
また、本発明のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体を自己発熱させ、その発熱状態を計測するため、ハニカム構造体の表面のクラックだけなく、ハニカム構造体の内部にクラックが発生している場合にも、そのクラックを検知することができる。以下、ハニカム構造体の表面のクラックを、「表面クラック」ということがある。また、ハニカム構造体の内部のクラックを、「内部クラック」ということがある。例えば、ハニカム構造体に大きなクラックが発生していると、クラックの発生箇所には電流が流れず、ハニカム構造体のクラック周辺は、発熱しなくなる。そのため、ハニカム構造体に表面クラックが発生している場合には、その表面クラック周辺は発熱せず、温度分布に顕著な差異を認めることができる。逆に、ハニカム構造体に微小のクラックが発生していると、そのクラックの発生箇所に放電が生じ、局所的に電力が集中する。このような局所的に電力が集中する部分では、局所的な発熱が見られる。上記と同様に、ハニカム構造体の内部クラックが発生している場合においても、クラックの形状において、ハニカム構造体の発熱状態が異なることとなる。例えば、ハニカム構造体の内部に大きなクラックが発生している場合においても、その内部クラック周辺は発熱しないため、ハニカム構造体の端面や側面といった表面の温度分布に対して、内部クラックの影響が現れる。即ち、ハニカム構造体の内部クラックによって、ハニカム構造体の内部の発熱が抑制された場合には、ハニカム構造体の表面の温度分布に差異を認めることができる。このような温度分布を解析することにより、ハニカム構造体に生じたクラックの検出を良好に行うことができる。
本発明のハニカム構造体の検査方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明のハニカム構造体の検査方法の一の実施形態の検査対象であるハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2に示すハニカム構造体の一方の端面を示す平面図である。 ハニカム構造体に電流を流す状態を示す模式図であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向に垂直な断面を示す断面図である。 本発明のハニカム構造体の検査方法の一の実施形態の検査対象であるハニカム構造体の他の例を模式的に示す斜視図である。 図5Aに示すハニカム構造体の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。 実施例2の検査方法において、印加時間が10秒の状態における温度分布の熱画像を示す。 実施例3の検査方法において、印加時間が20秒の状態における温度分布の熱画像を示す。 比較例1の検査方法における温度分布の熱画像を示す。 比較例2の検査方法における温度分布の熱画像を示す。 従来のハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1)ハニカム構造体の検査方法:
本発明のハニカム構造体の検査方法の一の実施形態は、図2及び図3に示すような、ハニカム構造体100を検査対象として行われる、ハニカム構造体の検査方法である。ハニカム構造体100は、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する隔壁1と最外周に位置する外周壁3とを有する筒状のものである。本実施形態のハニカム構造体の検査方法における検査対象としては、このように構成されたハニカム構造体100のうち、導電性の材料からなるハニカム構造体100であることが必要である。即ち、本実施形態のハニカム構造体においては、図1に示すように、通電により、検査対象となるハニカム構造体100を自己発熱させ、その発熱状態を計測することによって、クラックの有無の検査を行う。ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の検査方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。図2は、本発明のハニカム構造体の検査方法の一の実施形態の検査対象であるハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示すハニカム構造体の一方の端面を示す平面図である。導電性の材料からなるハニカム構造体のことを、以下、導電性ハニカム構造体ということがある。
本実施形態のハニカム構造体の検査方法は、図1に示すように、まず、ハニカム構造体100に電流を流し、電流を流したハニカム構造体100を発熱させる。図1においては、電源81とハニカム構造体100とを電気的に接続し、このハニカム構造体100に電流を流す場合の例を示す。次に、発熱させたハニカム構造体100の表面の温度分布を、温度計測手段90,91によって計測する。図1においては、ハニカム構造体の100の端面及び側面を、2つの温度計測手段90,91によってそれぞれ計測した場合の例を示す。ハニカム構造体100の表面の温度分布を計測する際には、検査対象であるハニカム構造体100の端面及び側面の少なくとも一方の温度分布を計測してもよい。
次に、温度計測手段90,91によって計測した温度分布から、ハニカム構造体100のクラックの有無を検査する。ハニカム構造体100に大きなクラックが発生している場合には、そのクラック周辺は発熱せず、計測された温度分布に顕著な差異を認めることができる。逆に、ハニカム構造体100に微小のクラックが発生していると、そのクラックの発生箇所に放電が生じ、局所的に電力が集中する。このような局所的に電力が集中する部分では、局所的な発熱が見られる。このような温度分布の解析を行うことによって、導電性のハニカム構造体に生じたクラックの検出を高精度に行うことができる。本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体100を自己発熱させ、その発熱状態を計測するため、ハニカム構造体100の表面クラックだけなく、ハニカム構造体100の内部クラックを検知することができる。例えば、ハニカム構造体100に大きな表面クラックが発生している場合には、その表面クラック周辺は発熱せず、温度分布に顕著な差異を認めることができる。更に、ハニカム構造体100の内部クラックが発生している場合においても、その内部クラック周辺は発熱しないため、ハニカム構造体100の端面や側面といった表面の温度分布に対して、内部クラックの影響が現れる。即ち、ハニカム構造体100の内部クラックによって、ハニカム構造体100の内部の発熱が抑制された場合には、ハニカム構造体100の表面の温度分布に差異を認めることができる。このような温度分布を解析することにより、ハニカム構造体100に生じたクラックの検出を良好に行うことができる。
本実施形態のハニカム構造体の検査方法は、ハニカム構造体100を自己発熱させて温度分布を計測するため、従来の検査方法と比較して、検出精度が極めて優れている。従来の検査方法とは、電気炉等によりハニカム構造体を加熱し、その温度分布を計測する検査方法のことである。従来の検査方法においては、輻射熱等によってハニカム構造体を加熱しているため、クラックの発生している箇所を含めたハニカム構造体全体が加熱されることとなる。そして、ハニカム構造体が均等に加熱された状態における温度分布を計測し、得られた温度分布から、ハニカム構造体に生じたクラックの検出を行っている。このため、温度分布を示す熱画像に対して、ノイズ除去等の種々の処理操作を行う必要がある。一方、本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体100を自己発熱させる過程において、クラック周辺における温度が上昇しないため、上述したノイズ除去等の処理操作を行わずとも、検出精度の高い検査を行うことが可能となる。勿論、上記ノイズ除去等の処理操作を行って、更に検出精度の高い検査を行うこともできる。
以下、本実施形態のハニカム構造体の検査方法について、更に詳細に説明する。
本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、図1に示すように、まず、検査対象であるハニカム構造体100に電流を流し、電流を流したハニカム構造体100を発熱させる。ハニカム構造体としては、導電性ハニカム構造体を用いる。図2及び図3に示すように、ハニカム構造体100は、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する隔壁1と最外周に位置する外周壁3とを有する筒状のものである。ハニカム構造体100に電流を流した場合には、この隔壁1及び外周壁3が、通電により発熱する。ハニカム構造体100は、導電性を有するセラミックや金属を含む成形原料から坏土を調製し、この坏土をハニカム形状に成形した後、焼成することにより形成することができる。
検査対象のハニカム構造体100の電気抵抗率については特に制限はないが、1.0×10−6〜1.0×10+5Ωcmであることが好ましく、1.0×10−4〜1.0×10+4Ωcmであることが更に好ましく、1.0×10−2〜1.0×10+3Ωcmであることが特に好ましい。このような電気抵抗率のハニカム構造体100は、過剰に電流が流れず、所定の印加電力で電流を流した場合に良好に発熱する。このため、発熱時における温度分布から、クラックの発生の有無を良好に検知することができる。ハニカム構造体100の隔壁1及び外周壁3を構成する材質としては、例えば、炭化珪素、珪素−炭化珪素複合材、ステンレス鋼、Fe−Crを含む金属複合材、等を挙げることができる。
検査対象のハニカム構造体100の形状については特に制限はない。ハニカム構造体100の形状としては、円筒形状、端面が楕円形の筒形状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角形の角柱状等が好ましい。外周壁3は、ハニカム構造体100を作製する過程において、ハニカム成形体を押出成形する際に、隔壁1とともに形成されることが好ましい。また、外周壁3は、導電性材料をハニカム構造体100の外周に塗工して形成したものであってもよい。
ハニカム構造体100は、ハニカム構造体100の表面の任意2箇所に電圧を印加した際に、ハニカム構造体100の隔壁1及び外周壁3の全域に電流が流れるように構成されたものであることが好ましい。即ち、隔壁1及び外周壁3の全域が、電気的につながっている(即ち、導通である)ことが好ましい。このようなハニカム構造体100であれば、ハニカム構造体100に電流を流した場合に、ハニカム構造体100の全体が発熱し、その温度分布を計測することにより、クラックの発生の有無を良好に検知することができる。ハニカム構造体のクラックの発生箇所については、非導通であってもよい。
ハニカム構造体100に電流を流す方法については特に制限はないが、ハニカム構造体100に電流を流した場合に、隔壁1及び外周壁3の全域に電流が流れ、そのハニカム構造体100全体が発熱するような方法であることが好ましい。図1においては、ハニカム構造体100の側面の2箇所に電極端子82が配置され、この電極端子82と電源81とが配線83,83によって電気的に接続されている。このように、ハニカム構造体100に電流を流す際には、ハニカム構造体100の側面の少なくとも2箇所に電極端子82を配置し、この電極端子82を介してハニカム構造体100に電流を流すことが好ましい。このような状態において、電源81からハニカム構造体100に対して電流Iを流し、電流を流したハニカム構造体100を発熱させることができる。ハニカム構造体100に電流を流す方法については、図1に示す方法に限定されることはない。例えば、ハニカム構造体に対する入力側及び出力側の電気的接点を、それぞれ2点以上設けてもよい。また、図2に示すハニカム構造体100の外周壁3の側面に、外周壁3の側面形状に沿って2枚の電極シート等を貼り付けて、その電極シート等を介して電流を流してもよい。図1においては、ハニカム構造体100が受け台80に載置された状態で、クラックの検査が行われている。
ハニカム構造体に電流を流す際には、ハニカム構造体の側面の少なくとも2点を電気的接点として電流を流すことが好ましい。この際、ハニカム構造体100のセルの延びる方向に垂直な断面において、入力側の電気的接点と、出力側の電気的接点とが、ハニカム構造体100の中心を挟んで、反対側の位置に配置される態様を好適例として挙げることができる。このように構成することによって、ハニカム構造体100の発熱時における、温度分布の偏りを抑制することができる。従って、得られた温度分布の結果に基づいて、ハニカム構造体のクラックの有無を検査する際に、より高精度な検査を行うことができる。図4においては、ハニカム構造体100のセルの延びる方向に垂直な断面において、入力側の電気的接点となる電極端子82と、出力側の電気的接点となる電極端子82とが、ハニカム構造体100の中心Oを挟んで、反対側の位置に配置される場合の例を示す。なお、入力側の電気的接点と中心Oとを結ぶ線分と、出力側の電気的接点と中心Oとを結ぶ線分とによって形成される角度が180°の場合に、それぞれの電気的接点が、ハニカム構造体100の中心Oを挟んで反対側の位置に配置されることとなる。本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、入力側の電気的接点と中心Oとを結ぶ線分と、出力側の電気的接点と中心Oとを結ぶ線分とによって形成される角度が170°〜190°の範囲となるような位置に、それぞれの電気的接点が配置されていることが好ましい。図4は、ハニカム構造体に電流を流す状態を示す模式図であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向に垂直な断面を示す断面図である。
また、検査対象のハニカム構造体としては、例えば、図5A及び図5Bに示すようなハニカム構造体であってもよい。図5Aは、本発明のハニカム構造体の検査方法の一の実施形態の検査対象であるハニカム構造体の他の例を模式的に示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示すハニカム構造体の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。なお、図5Bにおいては、隔壁が省略されている。図5A及び図5Bに示すハニカム構造体200は、隔壁31と外周壁33とを有する筒状のハニカム構造部34と、ハニカム構造部34の側面に配設された一対の電極部51,51とを備えたハニカム構造体200である。隔壁31は、流体の流路となる一方の端面41から他方の端面42まで延びる複数のセル32を区画形成するものである。外周壁33は、隔壁31全体の外周を取り囲むように配設されたものである。この隔壁31と外周壁33とによりハニカム構造部34が形成されている。
ハニカム構造体200は、ハニカム構造部34の側面に一対の電極部51,51が配設されている。この一対の電極部51,51に電流を流すことにより、ハニカム構造部34が発熱するように構成されている。ハニカム構造体200は、触媒担体等して用いることができるとともに、ヒーターとしても機能するように製造されたハニカム構造体200である。このようなハニカム構造体200を検査対象とする場合には、一対の電極部51,51に対して電流を流すことで、ハニカム構造体200を簡便に発熱させることができる。図5A及び図5Bに示すハニカム構造体200においては、一対の電極部51,51のそれぞれが、ハニカム構造部34のセル32の延びる方向に延びる帯状に形成されている。このように構成された一対の電極部51,51に電流を流すことで、ハニカム構造体200の発熱時における、温度分布の偏りを抑制することができる。そのため、本実施形態のハニカム構造体の検査方法において、よりクラックを発見し易くなる。
また、このようなハニカム構造体200においては、セル32の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部51,51が以下のような状態で配設されていることが好ましい。即ち、一対の電極部51,51における一方の電極部51が、一対の電極部51,51における他方の電極部51に対して、ハニカム構造部34の中心Oを挟んで反対側に配設されていることが好ましい。このように構成することによって、発熱時における温度分布の偏りを抑制でき、よりクラックを発見し易くなる。
ここで、「一対の電極部51,51における一方の電極部51が、一対の電極部51,51における他方の電極部51に対して、ハニカム構造部34の中心Oを挟んで反対側に配設される」という構成について、以下、詳細に説明する。図5A及び図5Bに示すように、まず、セル32の延びる方向に直交する断面における、一方の電極部51の中央点とハニカム構造部34の中心Oとを結ぶ線分を、「線分(P)」とする。また、セル32の延びる方向に直交する断面における、他方の電極部51の中央点とハニカム構造部34の中心Oとを結ぶ線分を、「線分(Q)」とする。一方の電極部51及び他方の電極部51の中央点は、ハニカム構造部34の周方向における中央の点のことである。そして、「ハニカム構造部34の中心Oを挟んで反対側」とは、線分(P)と線分(Q)とにより形成される角度βが、170°〜190°の範囲となるような位置関係のことを意味する。従って、上記した構成においては、一対の電極部51,51が、上記角度βの範囲を満たすような位置関係に配設される。
また、ハニカム構造体200においては、一対の電極部51,51が以下のように構成されていることが好ましい。ここで、「セル32の延びる方向におけるハニカム構造部34の一方の端部」から、「セル32の延びる方向において「ハニカム構造部34の上記一方の端部側」を向いている「電極部51の端部(一方の端部)」」までの距離を「距離D」とする。また、セル32の延びる方向におけるハニカム構造部34の長さを「ハニカム構造部の長さL」とする。上記「距離D」は、「ハニカム構造部の長さL」の0〜10%であることが好ましい。このように構成することによって、急激な温度変化があったときに、ハニカム構造部34に大きな応力が生じることを抑制することができる。
また、ハニカム構造体200のセル32の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極部51,51の中心角αの0.5倍(中心角αの0.5倍の角度θ)が、15〜65°であることが好ましく、30〜60°であることが更に好ましい。「電極部51の中心角α」は、図5Bに示されるように、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部51の両端とハニカム構造部34の中心Oとを結ぶ2本の線分により形成される角度である。即ち、中心角αは、セルの延びる方向に直交する断面において、「電極部51」と、「電極部51の一方の端部と中心Oとを結ぶ線分」と、「電極部51の他方の端部と中心Oとを結ぶ線分」と、により形成される形状における、中心Oの部分の内角である。上記各線分によって形成される形状は、例えば、扇形となる。
また、図5A及び図5Bに示すハニカム構造体200においては、セル32の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極部51,51の厚さが、0.01〜5mmであることが好ましく、0.01〜3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、均一に発熱することができる。
ハニカム構造体に電流を流す際の、印加電力及び印加時間については、ハニカム構造体が通電によって発熱し、その温度分布を測定することができるような条件とすることが好ましい。即ち、ハニカム構造体の適切な自己発熱、別言すれば、抵抗発熱を阻害するような、はなはだしく片寄った印加電力及び印加時間でなければ、ハニカム構造体の抵抗発熱により、本実施形態のハニカム構造体の検査方法を実現することができる。印加時間が極端に短い場合には、ハニカム構造体の発熱が十分に行われず、温度分布を計測した際に、クラックの発生箇所を検知し難くなることがある。即ち、印加時間が極端に短いと、クラックが発生していない正常な部位における発熱が十分行われず、この正常な部位と、クラックが発生して発熱が行われていない部位との温度差が極めて小さくなり、温度分布の差異を見極めることが難しくなることがある。逆に、印加時間が極端に長いと、上述した正常な部位における発熱が、クラックが発生して発熱が行われていない部位まで伝達し、ハニカム構造体全体が均一に加熱されてしまうことがある。このように、発熱が行われていない部位への熱伝達が生じると、検出精度が著しく低下してしまうことがある。
また、印加電力及び印加時間の好適な範囲は、検査対象となるハニカム構造体の材質によって適宜選択することができる。別言すれば、ハニカム構造体の電気抵抗率等から、ハニカム構造体の発熱量を考慮し、適切な印加電力及び印加時間を決定することが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力が、0.3〜23.3W/gであることが好ましい。また、ハニカム構造体に電流を流す際の印加時間が1〜300秒であることが好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造体を、素早く且つクラックの検知に十分な温度まで発熱させることができる。例えば、ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力が0.3W/g未満では、ハニカム構造体を素早く発熱させることが困難となることがある。この際、長時間かけてハニカム構造体の温度を上昇させることもできるが、発熱が行われていない部位(即ち、クラックの発生部位)への熱伝達が生じ、検出精度が低下してしまうことがある。また、ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力が23.3W/g以下であれば、これ以上の印加電力とせずとも、良好にクラックの有無を検査することができる。一方、印加時間が1秒未満であると、ハニカム構造体の発熱が十分に行われず、その温度分布からクラックの検知を行うことが極めて困難となることがある。この際、印加電力を大きくして、ハニカム構造体の発熱量を多くすることも考えられるが、過剰に印加電力を大きくした場合には、ハニカム構造体が破損してしまうことがある。また、印加時間が300秒を超えると、発熱が行われていない部位(即ち、クラックの発生部位)への熱伝達が生じ、検出精度が低下してしまうことがある。「ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力(W/g)」は、ハニカム構造体に印加される印加電力(W)を、ハニカム構造体の質量(g)で除算した値である。ここで、「ハニカム構造体の質量」には、そのハニカム構造体に電流を流すための電極部の質量を含まないこととする。例えば、図5Aに示すようなハニカム構造体200の場合には、隔壁31と外周壁33とを有する筒状のハニカム構造部34の質量が、上述した「ハニカム構造体の質量」となる。
本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体に電流を流す際の、ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力が、3〜16W/gであることが更に好ましい。また、印加時間が、10〜100秒であることが更に好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造体を、より素早く且つクラックの検知により十分な温度まで発熱させることができる。
ハニカム構造体に電流を流すための電源については特に制限はない。例えば、直流電源、交流電源、パルス電源等の種々の電源を用いることができる。
ハニカム構造体に電流を流す際には、ハニカム構造体を発熱させる際の印加電力を一定に維持することが好ましい。このように構成することによって、通電時における、ハニカム構造体の発熱量が一定となる。そのため、温度分布の計測結果から、クラックの検知精度が向上する。特に、ハニカム構造体を発熱させた場合には、温度上昇に伴い、ハニカム構造体の電気抵抗率が変化する。ハニカム構造体の温度が上昇すると、ハニカム構造体の電気抵抗率が低下する傾向となる。そのため、電圧により電流の流れを制御していると、ハニカム構造体に過剰に電流が流れてしまうことがある。ハニカム構造体を発熱させる際の印加電力を一定に維持することにより、上述したような電流の過剰の流れを防止することができるとともに、発熱量は印加電力に比例するため、温度分布からのクラックの検知がより容易になる。
以上説明したように、ハニカム構造体を発熱させてた状態で、図1に示すように、発熱させたハニカム構造体100の表面の温度分布を、温度計測手段90,91によって計測する。図1においては、ハニカム構造体の100の端面及び側面を、2つの温度計測手段90,91によってそれぞれ計測した場合の例を示しているが、温度分布を計測する箇所については特に制限はない。本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、発熱させたハニカム構造体100の表面の温度分布として、ハニカム構造体の端面及び側面の温度分布を計測することが好ましい。
また、本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、検査対象のハニカム構造体を抵抗発熱させるため、その温度分布計測時において、ハニカム構造体が熱膨張している。このため、ハニカム構造体にクラックが発生している場合には、熱膨張とともにクラックが広がり、クラックが検知がより容易になる。また、印加電力の制御が可能であることから、ハニカム構造体の発熱状態の調整が容易である。例えば、昇温時間や、低い発熱温度を選択することができ、検査対象に対して負荷の掛かり難い検知が可能である。例えば、従来の検査方法のように、ハニカム構造体を電気炉等で昇温して加熱する場合には、ハニカム構造体に新たなクラックが発生してしまうことがある。
温度計測手段90,91としては、ハニカム構造体の表面の温度分布を計測することが可能なものであれば、特に制限はない。温度計測手段90,91としては、ハニカム構造体100から放射される赤外線を検出する検出装置を好適に用いることができる。赤外線を検出する検出装置としては、赤外線放射カメラや赤外放射温度計等を挙げることができる。このような赤外線放射カメラによって、ハニカム構造体100の表面画像を測定することによって、ハニカム構造体の温度分布を、熱画像として計測することができる。このような熱画像を、熱画像表示装置92に送り、画像表示することで、ハニカム構造体の温度分布を熱画像として確認することができる。このような温度計測手段90,91及び熱画像表示装置92を併せた装置を、サーモグラフィーということがある。
そして、計測した温度分布から、ハニカム構造体100のクラックの有無を検査する。実際には、上記熱画像表示装置92に示された熱画像を目視し、クラックの有無を検査することができる。例えば、ハニカム構造体に大きなクラックが発生している場合には、そのクラックの発生部位に電流が流れないため、抵抗発熱が行われず、温度分布において温度が局所的に低くなる。即ち、熱画像を確認し、その熱画像において一の方向に沿って温度が上昇していない箇所が存在する場合には、その方向に沿ってクラックが発生していると判断することができる。また、ハニカム構造体に微小のクラックが発生している場合には、上記大きなクラックとは、別の発熱パターンを示すことがある。即ち、ハニカム構造体に微小のクラックが発生している場合には、局所的な発熱が見られる。これは、微小のクラックが発生した箇所に放電が発生し、局所的に電力が集中するためである。このような2つの発熱パターンが、検査対象の熱画像において確認された場合には、検査対象のハニカム構造体にクラックが発生していると判断することができる。
また、温度分布を計測する際に、表面温度と測定位置の分布を計測し、熱画像における発熱パターンデータを、距離に関して微分することで、温度分布の差異を増幅した状態で確認することができる。例えば、x軸及びy軸に測定位置データをとり、z軸に表面温度データをとった発熱パターンデータについて、距離に関して微分することにより、温度分布の差異を増幅することができる。ハニカム構造体の端面の表面温度データについて上記微分を行った場合には、隣接するセルとの温度差をより強調することができる。このような距離に関しての微分による補正は、従来の検査方法のようなノイズ除去等の処理操作と比較して極めて簡便なものである。
これまでにも説明したように、本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体100の表面クラックだけでなく、ハニカム構造体100の内部クラックも検知することができる。表面クラックの場合には、熱画像を確認した場合に、その表面温度において、明らかな温度分布の差異を認めることができる。また、内部クラックの場合には、例えば、ハニカム構造体100の内部にて局所的に温度が低くなる又は高くなる箇所が生じ、その影響が、表面の温度分布に発現することとなる。例えば、ハニカム構造体100の端面及び側面の温度分布における各熱画像を解析することで、目視では全く検知することが不可能な内部クラックを極めて良好に検知することができる。
また、ハニカム構造体が触媒担体として用いられる場合には、ハニカム構造体の隔壁の表面に触媒が担持されることがある。本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、触媒が担持された状態のハニカム構造体についても、クラックの検知を高い感度で行うことができる。このように、本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体の隔壁に、触媒が担持されていてもよい。触媒の種類については特に制限はなく、従来公知のハニカム構造体の隔壁に担持される各種触媒を挙げることができる。
また、クラックの有無を検知する方法は、上述した目視に限定されることはない。例えば、クラックの発生していないハニカム構造体に電流を流し、その際の温度分布を計測し、正常なハニカム構造体の熱画像を取得することで、機械的な合否判定を行うことも可能である。上述した機械的な合否判定は、熱画像をデータとして記憶する画像記憶手段と、2つの熱画像を比較して、両者の差異を判定する判定手段と、によって実現することができる。具体的には、正常なハニカム構造体の熱画像を予め取得し、その熱画像を画像記憶手段に記憶させる。検査対象としてのハニカム構造体を、正常なハニカム構造体の熱画像を計測したときと同じ条件にて発熱させて、その温度分布の熱画像を取得する。取得した熱画像についても、画像記憶手段に記憶させる。その後、判定手段が、正常なハニカム構造体の熱画像と、検査対象の熱画像とを比較する。2つの熱画像の温度分布に差異がある場合には、クラック有りとの判定を行い、温度分布に差異がない場合には、クラック無しとの判定を行う。本実施形態のハニカム構造体の検査方法においては、ハニカム構造体の自己発熱における温度分布を計測するため、クラックが発生している熱画像については、その差異が極めて明らかであり、上記のような機械的な合否判定も可能である。また、印加電力及び印加時間を調整することにより、検査対象を均一の発熱量とすることが可能ななめ、複数の熱画像を比較する際に、その温度分布のパターンの差異を検出し易いという利点もある。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
各実施例及び比較例においては、珪素−炭化珪素複合材の材料からなるハニカム構造体のクラックの検査を行った。検査対象のハニカム構造体は、セルの延びる方向の長さが100mmであり、セルの延びる方向に垂直な断面が直径93mmの円柱状のものである。検査対象のハニカム構造体には外壁部と内部にクラックが発生しているものを用いた。検査対象のハニカム構造体としては、クラックの大きさが大きなハニカム構造体と、クラックの大きさが小さなハニカム構造体との2種類のハニカム構造体を用意した。クラックの大きさが大きなものとしては、クラックの幅が0.08mm程度のクラックである。クラックの大きさが小さなものとしては、クラックの幅が0.01mm程度のクラックである。以下、クラックの幅が0.08mm程度のクラックを、クラックサイズが「大」のクラックとする。クラックの幅が0.01mm程度のクラックを、クラックサイズが「小」のクラックとする。
(実施例1)
図1に示すように、検査対象のハニカム構造体100を、受け台80に載置し、ハニカム構造体100の側面の少なくとも2箇所に電極端子82を配置した。電極端子82は、配線83,83によって電源81と電気的に接続されている。この状態で、ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力を0.3W/gとし、印加時間を200秒として、ハニカム構造体100に直流電流を流した。以下、「ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力(W/g)」を、単に「印加電力(W/g)」ということがある。
ハニカム構造体100に電流を流し、ハニカム構造体100が発熱した状態を、温度計測手段90,91によって計測した。温度計測手段90,91としては、松定プレシジョン社製のPR600−25(商品名)を用いた。測定したハニカム構造体の温度分布を、熱画像の発熱パターンデータに変換した。変換した発熱パターンデータは、x軸及びy軸に測定位置データをとり、z軸に表面温度データをとった発熱パターンデータとした。この発熱パターンデータについて、距離に関して微分した。微分後の発熱パターンデータを、熱画像表示装置92に送り、画像表示した。
画像表示された熱画像を目視により確認し、ハニカム構造体にクラックが発生しているか否かの検知を行った。表1に、実施例1の加熱方法、印加電力(W/g)、印加時間(秒)、画像処理の有無、クラックサイズ、及び検知結果を示す。加熱方法とは、ハニカム構造体を加熱する方法のことであり、実施例1においては「通電」と示す。画像処理の有無は、上述した発熱パターンデータの微分処理のことであり、実施例1においては「有り」と示す。クラックサイズは、検査対象のハニカム構造体のクラックの大きさのことであり、実施例1においては「小」と示す。即ち、実施例1の検査方法においては、クラックサイズが「小」のクラックが形成されたハニカム構造体を検査対象として検査を行った。検知結果は、画像表示された熱画像を目視により確認した際に、クラックの発生箇所を特定できた場合を「合格」とし、クラックの発生箇所を特定できなかった場合を「不合格」とした。実施例1においては、クラックの発生箇所を特定することができた。
(実施例2〜5)
印加電力(W/g)、印加時間(秒)、画像処理の有無、及びクラックサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造体のクラックの検査を行った。検査結果を表1に示す。なお、実施例2〜5の検査においては、実施例1に行われた発熱パターンデータの微分処理を行わず、計測された温度分布を熱画像の発熱パターンデータに変換し、そのままの熱画像を熱画像表示装置に表示した。実施例2〜5においては、画像処理の有無の項目について「無し」と示す。また、クラックサイズが「大」のクラックが形成されたハニカム構造体を検査対象として検査を行った実施例2及び5においては、クラックサイズの項目について「大」と示す。
(比較例1及び2)
検査対象のハニカム構造体を電気炉に投入し、300℃で30分加熱した。その後、加熱されたハニカム構造体を、実施例1と同様の温度計測手段によって、温度分布を測定し、測定したハニカム構造体の温度分布を、実施例1と同様の方法で、熱画像表示装置に送り、画像表示した。画像表示された熱画像を目視により確認し、ハニカム構造体にクラックが発生しているか否かの検知を行った。比較例1及び2における、加熱方法、画像処理の有無、及びクラックサイズを表1に示す。比較例1及び2の「加熱方法」の欄については、「電気炉」と示す。
また、図6に、実施例2の検査方法において、印加時間が10秒の状態における温度分布の熱画像を示す。図7に、実施例3の検査方法において、印加時間が20秒の状態における温度分布の熱画像を示す。図8に、比較例1の検査方法における温度分布の熱画像を示す。図9に、比較例2の検査方法における温度分布の熱画像を示す。図6及び図8は、検査対象のハニカム構造体のクラックが大きな場合の熱画像である。図7及び図9は、検査対象のハニカム構造体のクラックが小さな場合の熱画像である。
(結果)
実施例1〜5の検査方法によれば、検査対象のハニカム構造体に、大きなクラックが発生している場合でも、小さなクラックが発生している場合でも、良好な検査を行うことができた。また、電気炉を用いたハニカム構造体を加熱した比較例1及び2では、小さなクラックの検出が不可能であった。即ち、電気炉を用いたハニカム構造体を加熱した検査方法においては、比較例1のように、大きなクラックについては検知可能であるが、比較例2のように、小さなクラックについては検知することができなかった。また、比較例1及び2においては、ハニカム構造体の加熱時間に30分を要し、1つのハニカム構造体の検査を行うのに非常に時間が掛かるものであった。
本発明のハニカム構造体は、導電性のハニカム構造体に生じたクラックの検出を行うことができる。
1,31:隔壁、2,32:セル、3,33:外周壁、11,41:一方の端面、12,42:他方の端面、34:ハニカム構造部、51:電極部、80:受け台、81:電源、82:電極端子、90,91:温度計測手段、92:熱画像表示装置、100,200,300:ハニカム構造体、101:隔壁、102:セル、103:外周壁、111:一方の端面、112:他方の端面、P:一方の電極部の中央点とハニカム構造部の中心とを結ぶ線分、Q:他方の電極部の中央点とハニカム構造部の中心とを結ぶ線分、α:中心角、θ:中心角の0.5倍の角度、β:線分(P)と線分(Q)とにより形成される角度、O:中心。

Claims (14)

  1. 導電性の材料からなり、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する筒状のハニカム構造体に電流を流し、前記電流を流した前記ハニカム構造体を発熱させ、発熱させた前記ハニカム構造体の表面の温度分布を、温度計測手段によって計測し、計測した前記温度分布から、前記ハニカム構造体のクラックの有無を検査するハニカム構造体の検査方法。
  2. 前記ハニカム構造体に前記電流を流す際の、前記ハニカム構造体の質量1g当りの印加電力が、0.3〜23.3W/gである請求項1に記載のハニカム構造体の検査方法。
  3. 前記ハニカム構造体に前記電流を流す際の、印加時間が1〜300秒である請求項1又は2に記載のハニカム構造体の検査方法。
  4. 発熱させた前記ハニカム構造体の表面の前記温度分布として、前記ハニカム構造体の端面及び側面の前記温度分布を計測する請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  5. 前記温度計測手段が、前記ハニカム構造体から放射される赤外線を検出するものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  6. 前記ハニカム構造体を発熱させる際の印加電力を一定に維持する請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  7. 前記ハニカム構造体が、前記隔壁及び前記外周壁を有する筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備えたものであり、
    前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に延びる帯状に形成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  8. 前記ハニカム構造体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の電極部が、前記一対の電極部における他方の電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設されている請求項7に記載のハニカム構造体の検査方法。
  9. 前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の一方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記一方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの0〜10%である請求項7又は8に記載のハニカム構造体の検査方法。
  10. 前記ハニカム構造体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、それぞれの前記電極部の中心角の0.5倍が、15〜65°である請求項7〜9のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  11. 前記ハニカム構造体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、それぞれの前記電極部の厚さが、0.01〜5mmである請求項7〜10のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  12. 前記ハニカム構造体の前記隔壁に触媒が担持されている請求項1〜11のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  13. 検査対象の前記ハニカム構造体の前記温度分布を熱画像として取得し、取得した前記熱画像を確認することにより、検査対象の前記ハニカム構造体のクラックの有無を判定するクラック判定工程を更に備え、
    前記クラック判定工程は、前記熱画像において一の方向に沿って温度が上昇していない箇所が存在する場合に、その方向に沿ってクラックが発生していると判断する第一の判定基準と、前記熱画像において、前記第一の判定基準とは異なる局所的な発熱が確認された場合に、前記ハニカム構造体に微小のクラックが発生していると判断する第二の判定基準と、を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
  14. 検査対象の前記ハニカム構造体の前記温度分布を熱画像として取得する工程と、
    クラックの発生していない正常なハニカム構造体を用意し、前記正常なハニカム構造体に電流を流し、電流を流した前記正常なハニカム構造体の温度分布を計測し、前記正常なハニカム構造体の熱画像を取得する工程と、
    前記正常なハニカム構造体の前記熱画像と、検査対象の前記ハニカム構造体の前記熱画像とを比較し、検査対象の前記ハニカム構造体のクラックの有無を判定するクラック判定工程と、を更に備える請求項1〜12のいずれか一項に記載のハニカム構造体の検査方法。
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