JP5871649B2 - 人工膝関節インプラント - Google Patents

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Description

本発明は、患者の膝関節を人工膝関節に置換する手術において用いられる人工膝関節インプラントに関する。
膝関節を損傷等した患者の当該膝関節を人工膝関節に置換する置換術には、患者の前十字靭帯及び後十字靭帯の双方を切除する置換術と、前十字靭帯は切除するものの、後十字靭帯は温存する置換術と、がある。前十字靭帯及び後十字靭帯の双方を切除する置換術に用いられる人工膝関節には、CS(Cruciate Substituting)タイプとPS(Posterior Stabilized)タイプがあり、また、後十字靭帯を温存する置換術に用いられる人工膝関節には、CR(Cruciate Retaining)タイプがある。これらの人工膝関節は、患者の側副靭帯や、温存された後十字靭帯等の軟部組織と協働して膝の屈曲運動を実現する。
一般に、人工膝関節は、大腿骨の遠位部に固定される大腿骨コンポーネントと、脛骨の近位部に固定される脛骨プレートと、を有している(例えば、特許文献1参照)。大腿骨コンポーネントは、円弧状の大腿骨関節面を含んでいる。大腿骨関節面は、脛骨プレートに形成された脛骨関節面に接触可能である。脛骨関節面は、脛骨側に向けて窪んだ凹状の湾曲面である。大腿骨関節面が脛骨関節面に対して摺動することにより、膝の屈曲運動が行われる。
米国特許第6013103号明細書
このような人工膝関節インプラントが装着された患者において、術後のQOL(Quality of Life、生活の質)の向上のためには、自然な屈曲状態を実現することが重要である。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、患者の側副靭帯や温存された後十字靭帯等の軟部組織と協働して、膝の屈曲運動を実現する人工膝関節インプラントにおいて、より自然な屈曲動作を実現することができるようにすることを、目的とする。
本願発明者は、鋭意研究を行った結果、上記のようなタイプの人工膝関節インプラントに特有の課題が存在することに着目した。具体的には、人工膝関節インプラントは、前述したように、患者の側副靭帯や温存された後十字靭帯等の軟部組織と協働して、脛骨に対する大腿骨の運動、すなわち、膝の屈曲運動を行わせる。そして、屈曲角度が大きくなると、それらの靭帯は、緊張状態となり、テンションが生じる。そして、それらの靭帯が硬い患者の場合、このテンションの値は、一層大きくなる傾向にある。
膝を屈曲した場合に、側副靭帯や温存された後十字靭帯等に生じるテンションが大きいと、それらの靭帯が大腿骨の遠位部を脛骨の近位部に近づけようとする力は、大きくなる。これにより、大腿骨の遠位部と脛骨の近位部との間のギャップ(以下、単にギャップともいう。)が小さくなる。即ち、膝を伸ばした状態におけるギャップの値と、膝を屈曲した状態におけるギャップの値との差が大きくなる。膝の屈曲角度によってギャップが大きく変化すると、患者に与える違和感が大きくなり、膝の自然な屈曲動作を行い難い。
特許文献1等に記載の構成では、脛骨プレートは、凹状に形成されていることにより、後端部の厚みが大きくされている。このため、屈曲角度が大きい場合、大腿骨関節面は、脛骨の近位部から遠く離れた位置で脛骨関節面に接触する。その結果、靭帯が伸ばされる量が大きくなり、靭帯に生じるテンションは、より一層大きくなる。このため、靭帯に作用するテンションに起因して、大腿骨の遠位部と脛骨の近位部との間のギャップの変化が大きくなる。
上記知見に基づいてなされた第1発明に係る人工膝関節インプラントは、患者の膝関節を人工膝関節に置換する手術において用いられる人工膝関節インプラントであって、前記患者の大腿骨の遠位部に固定される大腿骨コンポーネントと、前記患者の脛骨の近位部に固定される脛骨プレートと、を備え、前記大腿骨コンポーネントは、内側顆と、外側顆と、前記内側顆および前記外側顆のそれぞれに設けられ前記大腿骨コンポーネントの外側を向いて湾曲した大腿骨関節面と、を含み、前記脛骨プレートは、前記近位部のうち前記脛骨プレートと上下に向かい合う対向面と平行に配置される下面と、内側窩と、外側窩と、前記内側窩および前記外側窩のそれぞれに設けられ対応する前記大腿骨関節面に接触するための脛骨関節面と、を含み、前記脛骨関節面は、前記脛骨に対する前記大腿骨の屈曲角度の増大に伴って前記大腿骨関節面との接触位置が後方に変位するように構成されており、前記内側窩および前記外側窩の双方において、前記脛骨関節面のうち、後端部を含む後部領域は、後方に向かうに従い前記下面側に向かう形状に形成されていることを特徴とする。
この発明によると、脛骨プレートが患者の大腿骨に固定された状態では、脛骨関節面の後部領域は、後方に向かうに従い大腿骨から離隔するように延びている。このため、大腿骨関節面が脛骨関節面の後部領域に接触している場合、大腿骨コンポーネント及び大腿骨の遠位部は、屈曲角度が大きくなるに従い、脛骨側に変位することとなる。これにより、脛骨プレートの後端部に隣接して配置される患者の靭帯の伸長量が小さくなり、靭帯に生じるテンションを小さくできる。尚、患者の前十字靭帯及び後十字靭帯の双方を切除した場合は、上記テンションが生じる靭帯とは、例えば、患者の側副靭帯である。また、患者の前十字靭帯は切除するものの、後十字靭帯は温存した場合は、上記テンションが生じる靭帯とは、例えば、患者の側副靭帯及び後十字靭帯である。人工膝関節において、上記の動作が行われる結果、膝の屈曲角度が大きい場合でも、靭帯のテンションは、過大にならずに済む。よって、靭帯のテンションの増大に起因する、大腿骨の遠位部と脛骨の近位部との間のギャップの減少を抑制できる。これにより、膝を伸ばしている場合と、膝の屈曲角度が大きい場合との間で、ギャップの変動を小さくできる。その結果、患者は、より自然な膝の自然な屈曲動作を行うことができる。
従って、本発明によると、患者にとって、より自然な膝の屈曲動作を行うことのできる人工膝関節インプラントを提供することができる。
第2発明に係る人工膝関節インプラントは、第1発明の人工膝関節インプラントにおいて、前記脛骨関節面は、前記後部領域の前方に配置された平坦部を有し、前記平坦部は、前記下面と平行に延びていることを特徴とする。
この発明によると、大腿骨関節面と平坦部とが接触している場合には、屈曲角度は比較的小さい状態となる。この場合、患者の靭帯が伸長される量は比較的小さい。したがって、この場合、靭帯に生じるテンションが問題となることは実質的に無いと考えられる。このように、靭帯に生じるテンションが問題とならない場合には、屈曲角度に拘らず、大腿骨の遠位部と脛骨の近位部との間のギャップを略一定にすることができる。したがって、屈曲角度の変化に伴うギャップの変化をより一層抑制することができるので、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
第3発明に係る人工膝関節インプラントは、第1発明又は第2発明の人工膝関節インプラントにおいて、前記後部領域は、前記下面に対する勾配が一定である傾斜部を含むことを特徴とする。
この発明によると、大腿骨関節面コンポーネントが傾斜部に接触している場合、大腿骨コンポーネントのうち脛骨関節面と接触している接触部と、下面との間の距離は、屈曲角度の変化に伴って、線形的に変化する。このため、屈曲角度を増すように大腿骨コンポーネントが脛骨プレートに対して変位している場合において、大腿骨コンポーネントが脛骨側に急激に変位することを抑制できる。その結果、屈曲角度が増大する際において靭帯に生じるテンションに急激な変化が生じることを抑制できる。これにより、靭帯のテンションに起因するギャップの変化を抑制することができ、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
第4発明に係る人工膝関節インプラントは、第1発明乃至第3発明の何れかの人工膝関節インプラントにおいて、前記後部領域は、前記下面から遠ざかる方向に向けて凸となる湾曲状に形成された凸湾曲部を含む。
この発明によると、屈曲角度が単位量変化した場合において、凸湾曲部の前部側では、下面との距離の変化率が小さい一方、凸湾曲部の後部側では、下面との距離の変化率が大きくなる。このため、大腿骨関節面が凸湾曲部に接触している場合には、大腿骨コンポーネントが脛骨側へ変位される量は、屈曲角度の増大に伴って、加速度的に大きくなる。これにより、大腿骨の遠位部を脛骨の近位部に寄せることのできる量を十分に大きくすることができるので、屈曲角度の増大に伴う靭帯の伸長を抑制することができる。したがって、靭帯の伸長量が大きくなる傾向にある、屈曲角度が大きい場合でも、靭帯の伸長量を抑制できる。その結果、靭帯のテンションに起因するギャップの変化を抑制することができ、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
第5発明に係る人工膝関節インプラントは、第1発明乃至第4発明の何れかの人工膝関節インプラントにおいて、前記後部領域は、前記下面に近づく方向に向けて窪む湾曲状に形成された凹湾曲部を含むことを特徴とする。
この発明によると、屈曲角度が単位量変化した場合において、凹湾曲部の前部側では、下面との距離の変化率が大きい一方、凹湾曲部の後部側では、下面との距離の変化率が小さくなる。これにより、大腿骨コンポーネントのうち凹湾曲部と接触している接触部は、凹湾曲部の前部との接触により、下面との距離を十分に小さくされ、その後、更に、後方に進むこととなる。このため、大腿骨コンポーネントは、屈曲角度の増大に伴って凹湾曲部の前部上を変位した時点で、十分に下面側に寄せられることとなる。これにより、大腿骨の遠位部を脛骨の近位部に寄せることのできる量を十分に大きくすることができるので、屈曲角度の増大に伴う靭帯の伸長を抑制することができる。したがって、靭帯の伸長量が大きくなる傾向にある、屈曲角度が大きい場合でも、靭帯の伸長量を抑制できる。その結果、靭帯のテンションに起因するギャップの変化を抑制することができ、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
第6発明に係る人工膝関節インプラントは、第1発明乃至第5発明の何れかの人工膝関節インプラントにおいて、前記脛骨プレートの前記下面は、直接又は脛骨トレイを介して前記対向面に固定されることを特徴とする。
この発明によると、脛骨トレイを用いた場合には、脛骨トレイを脛骨の近位部に固定した状態で、脛骨プレートを脛骨関節面の形状の異なるものに取り換えることができる。これにより、患者にとって最適な脛骨プレートを採用することができる。よって、膝の自然な屈曲動作を実現するために、脛骨トレイの形状を変更する必要が無い。このため、脛骨トレイが固定される脛骨の近位部の形状を、脛骨プレートの形状に合わせて変更する必要が無い。また、脛骨プレートの下面を直接対向面に固定する場合には、部品点数を少なくできる。
第7発明に係る人工膝関節インプラントは、第1発明乃至第6発明の何れかの人工膝関節インプラントにおいて、前記脛骨プレートとして、前記後部領域の形状の異なる複数の脛骨プレートを含み、当該複数の脛骨プレートのいずれかを選択可能であることを特徴とする。
この発明によると、脛骨プレートの後部領域の互いの形状を異ならせることにより、大腿骨の遠位部と脛骨の近位部との間のギャップを異ならせることができる。これにより、屈曲角度の増大に伴う靭帯の伸長量を調整することができ、その結果、患者の靭帯にとって最適となるように後部領域の形状を調整することができる。すなわち、大腿骨と脛骨との間のギャップバランスの更なる均衡化を達成するために、複数の脛骨プレートのなかから、最適な脛骨プレートを選ぶことができる。例えば、靭帯の柔軟性が高い患者に対しては、複数の脛骨プレートの中から、後部領域の厚みが比較的大きい値となるように設定された脛骨プレートを選択することにより、靭帯を適度に伸長させることができる。また、靭帯の柔軟性の低い患者に対しては、複数の脛骨プレートの中から、後部領域の厚みが比較的小さい値となるように設定された脛骨プレートを選択することができる。これにより、靭帯の伸長量を少なくし、靭帯のテンションが大きくなることを抑制できる。このように、患者の靭帯の状態に合わせて脛骨プレートの形状を設定することができる。その結果、脛骨プレートを脛骨関節面の形状の異なるものに取り換えることにより、患者にとって最適な脛骨プレートを採用することができる。これにより、人工膝関節置換術の施術時に、患者にとって最適な脛骨プレートを容易に決定することができる。
第8発明に係る人工膝関節インプラントは、第1発明乃至第7発明の何れかの人工膝関節インプラントにおいて、前記大腿骨コンポーネントは、前記大腿骨の前記遠位部に固定される大腿骨固定部と、当該大腿骨固定部の後方に配置され前記大腿骨関節面の一部を形成する後顆と、を含み、前記大腿骨コンポーネントとして、前記大腿骨固定部の形状が共通で且つ前記後顆の厚みの異なる複数の大腿骨コンポーネントを含み、当該複数の大腿骨コンポーネントのいずれかを選択可能であることを特徴とする。
この発明によると、大腿骨コンポーネントの後顆の厚みを異ならせることにより、大腿骨の遠位部と脛骨の近位部との間のギャップを異ならせることができる。これにより、屈曲角度の増大に伴う靭帯の伸長量を調整することができ、その結果、患者の靭帯にとって最適となるように後顆の厚みを調整することができる。すなわち、大腿骨と脛骨との間のギャップバランスの更なる均衡化を達成するために、複数の大腿骨コンポーネントのなかから、最適な大腿骨コンポーネントを選ぶことができる。例えば、靭帯の柔軟性が高い患者に対しては、複数の大腿骨コンポーネントのうち後顆の厚みの大きい大腿骨コンポーネントを選択することにより、靭帯を適度に伸長させることができる。また、靭帯の柔軟性の低い患者に対しては、複数の大腿骨コンポーネントのうち後顆の厚みの小さい大腿骨コンポーネントを選択することにより、靭帯の伸長量を少なくし、靭帯のテンションが大きくなることを抑制できる。このように、患者の靭帯の状態に合わせて大腿骨コンポーネントの厚みを設定することができる。
本発明によると、人工膝関節置換術において用いられる人工膝関節インプラントにおいて、より自然な屈曲動作を実現することができる。
本発明の一実施の形態に係る人工膝関節インプラントの側面図であり、一部は断面で示している。 大腿骨コンポーネント及び脛骨プレートのそれぞれの斜視図である。 大腿骨コンポーネントが患者の大腿骨の遠位部に取り付けられ、脛骨プレートが患者の脛骨の近位部に取り付けられた状態を、患者の側方から見た状態を示す断面図である。 (a)は、大腿骨コンポーネントの後面図であり、(b)は、大腿骨コンポーネントの平面図であり、(c)は、大腿骨コンポーネントの底面図である。 (a)及び(b)は、2つの大腿骨コンポーネントの側面図である。 (a)及び(b)は、2つの脛骨プレートを左右方向に見た断面図である。 (a)及び(b)は、2つの脛骨プレートを左右方向に見た断面図である。 (a)及び(b)は、2つの脛骨プレートを左右方向に見た断面図である。 (a)及び(b)は、2つの脛骨プレートを左右方向に見た断面図である。 (a)及び(b)は、2つの脛骨プレートを左右方向に見た断面図である。 (a)〜(g)は、生体膝関節の動作について説明するための、主要部の側面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、大腿骨コンポーネントと脛骨プレートとの相対変位について説明するための主要部の断面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、大腿骨コンポーネントと脛骨プレートとの相対変位について説明するための主要部の断面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、大腿骨コンポーネントと脛骨プレートとの相対変位について説明するための主要部の断面図である。 本発明の変形例に係る人工膝関節インプラントの側面図であり、一部は断面で示している。 本発明の変形例に係る大腿骨コンポーネント及び脛骨プレートのそれぞれの斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、膝関節を人工膝関節に置換する手術において用いられる人工膝関節インプラントとして広く適用することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る人工膝関節インプラント1の側面図であり、一部は断面で示している。人工膝関節インプラント1は、患者の膝関節を人工膝関節へ置換する手術において用いられる。人工膝関節インプラント1は、例えば、変形性膝関節症や慢性関節リウマチ等により膝関節が高度に変形した患者に対して、膝を正常な機能に回復させるために用いられる。
人工膝関節インプラント1は、複数の大腿骨コンポーネント100,200と、複数の脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200と、を備えている。人工膝関節インプラント1は、例えば、CR(Cruciate Retaining)型人工膝関節置換術において用いられる。CR型人工膝関節置換術は、患者の前十字靭帯は切除し、後十字靭帯は温存し、当該患者の膝関節を人工膝関節に置換する手術である。
このCR型人工膝関節置換術の施術時には、人工膝関節インプラント1における複数の大腿骨コンポーネント100,200の何れか1つが、術者によって選択される。また、施術時には、複数の脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200の何れか1つが、術者によって選択される。これにより、術者は、患者にとって最適な大腿骨コンポーネント及び脛骨コンポーネントを、施術中に選択することができる。
なお、複数の大腿骨コンポーネント100,200は、後顆112,212の厚みが互いに異なっている点以外は、概ね、互いに同様の構成を有している。また、複数の脛骨プレート300,400,500,600、700,800,900,1000,1100,1200は、脛骨関節面320,420,520,620,720,820,920,1020,1120,1220の形状が互いに異なっている点以外は、概ね互いに同様の構成を有している。したがって、以下では、複数の大腿骨コンポーネント100,200のうち、主に1つの大腿骨コンポーネント100の構成を説明する。また、複数の脛骨プレート300,400,500,600、700,800,900,1000,1100,1200のうち、主に1つの脛骨プレート300の構成を説明する。
図2は、大腿骨コンポーネント100及び脛骨プレート300のそれぞれの斜視図である。図3は、大腿骨コンポーネント100が患者の大腿骨3の遠位部4に取り付けられ、脛骨プレート300が患者の脛骨5の近位部6に取り付けられた状態を、患者の側方から見た状態を示す断面図である。図4(a)は、大腿骨コンポーネント100の後面図であり、図4(b)は、大腿骨コンポーネント100の平面図であり、図4(c)は、大腿骨コンポーネント100の底面図である。
図2及び図3に示すように、大腿骨コンポーネント100は、大腿骨3の遠位部4に固定されている。また、脛骨プレート300は、脛骨5の近位部6に、脛骨トレイ2を介して固定されている。大腿骨コンポーネント100及び脛骨プレート300は、患者の膝の屈伸運動に伴って、相対変位する。この相対変位は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート300との間で、転がり接触及びすべり接触の少なくとも一つが行われることで実現される。この相対変位によって、患者の膝の屈曲角度θが変化する。屈曲角度θは、大腿骨3の遠位部4の軸線L1と、脛骨5の近位部6の軸線L2とのなす角度である。通常、屈曲角度θは、例えば、ゼロ度〜百数十度の範囲に設定されている。
大腿骨コンポーネント100と、脛骨プレート300と、脛骨トレイ2によって、人工膝関節7が形成されている。人工膝関節7は、図1に示す大腿骨コンポーネント100,200の何れかと、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200の何れかと、を含む。
図2及び図3に示すように、以下では、大腿骨3の遠位部4と、脛骨5の近位部6との間の距離を、ギャップD1という。また、患者が膝を延ばしている状態でのギャップを伸展ギャップといい、患者が膝を曲げている状態でのギャップを屈曲ギャップという。また、「内側」、又は「外側」というときは、大腿骨コンポーネント100及び脛骨プレート300が設置されている患者の膝の内側又は外側をいうものとする。即ち、大腿骨コンポーネント100及び脛骨プレート300が患者の左足に配置されている場合には、内側は、患者にとっての右側をいい、外側は、患者にとっての左側をいう。また、「前」又は「後」をいうときは、患者にとっての前又は後をいうものとする。また、「上」又は「下」をいうときは、患者にとっての上又は下をいうものとする。以下では、特に言及無き場合には、屈曲角度θがゼロの状態、すなわち、患者が真っ直ぐに起立した状態を基準に人工膝関節インプラント1を説明する。また、本実施形態では、人工膝関節インプラント1が患者の左足に装着された状態を説明する。
図2、図3、図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示すように、大腿骨コンポーネント100は、例えば、生体親和性を有する金属材料を用いて形成されている。大腿骨コンポーネント100は、側面視においてU字状に形成されている。また、大腿骨コンポーネント100は、平面視において、U字状に形成されている。
大腿骨コンポーネント100は、内側顆101と、外側顆102と、を備えて構成されている。
内側顆101及び外側顆102は、それぞれ、左右に並んで配置されている。内側顆101及び外側顆102は、それぞれ、大腿骨3の遠位部4の前方から、遠位部4の下方に延び、更に、遠位部4の後方に延びる形状に形成されている。内側顆101の前部と外側顆102の前部とは、互いに接続されている。内側顆101の中間部、及び後端部は、それぞれ、外側顆102の中間部及び後端部と左右に離隔して配置されている。
内側顆101及び外側顆102は、大腿骨3の遠位部4側を向く内側面を有している。これらの内側面は、それぞれ、大腿骨3の遠位部4に固定されている。具体的には、内側顆101および外側顆102には、それぞれ、大腿骨固定部10が形成されている。各大腿骨固定部10は、第1固定部11、第2固定部12、第3固定部13、第4固定部14、及び第5固定部15を有している。また、大腿骨3の遠位部4には、骨切り面16が形成されている。この骨切り面16は、例えば、術者がカッタ等の器具を用いて遠位部4の一部を切除することで、形成されており、第1固定部11〜第5固定部15の形状に沿う形状を有している。
第1固定部11は、後側を向いており、後斜め下方に延びている。第1固定部11は、骨切り面16のうち、前方を向く部分に固定されている。第2固定部12は、第1固定部11の下端部から、後斜め下方に延びている。第2固定部12は、後斜め上方を向いている。第2固定部12は、骨切り面16のうち、前斜め下方を向く部分に固定されている。
第3固定部13は、第2固定部12の下端部から、略水平に、且つ後方に延びている。第3固定部13は、上方を向いており、骨切り面16のうち、下方を向く部分に固定されている。第4固定部14は、第3固定部13の後端部から、後斜め上方に延びている。第4固定部14は、前斜め上方を向いており、骨切り面16のうち、後斜め下方を向く部分に固定されている。第5固定部15は、第4固定部14の上端から、上方に向けて延びている。第5固定部15は、前方を向いており、骨切り面16のうち、後方を向く部分に固定されている。各固定部11〜15と、骨切り面16とは、骨セメント、又は生体活性材料を含むコーティング剤等を用いて固定されている。
各第3固定部13には、凸部17が形成されている。各凸部17は、遠位部4の骨切り面に形成された一対の凹部に挿通されており、この凹部に固定されている。凸部17は、例えば円柱状に形成されている。
内側顆101及び外側顆102のそれぞれにおいて、大腿骨3の遠位部4の外側を向く外側面には、大腿骨関節面103が形成されている。各大腿骨関節面103は、患者の膝の屈伸運動に伴って脛骨プレート300と摺動する湾曲面として設けられている。大腿骨関節面103は、大腿骨コンポーネント100の外側を向く凸湾曲形状に形成されている。大腿骨関節面103は、第3固定部13に隣接する部分と、第4固定部14に隣接する部分と、第5固定部15に隣接する部分と、を有している。これにより、大腿骨関節面103は、側方から見て、遠位部4の一部を取り囲んでいる。大腿骨関節面103の前端104は、膝が真っ直ぐの状態のときに、脛骨関節面320と接触している。
尚、内側顆101の大腿骨関節面103の形状と、外側顆102の大腿骨関節面103の形状とは、同様である。したがって、以下では、主に、外側顆102の大腿骨関節面103について説明し、内側顆101の大腿骨関節面103についての説明を省略する。
大腿骨関節面103のうち、左右方向における大腿骨関節面103の中間の位置には、頂部105が設けられている。本実施形態では、大腿骨関節面103のうちの、左右方向における内側端部の近傍の位置に、頂部105が配置されている。この頂部105は、側面視において、大腿骨関節面103の最も外側(大腿骨3の骨切り面16から離隔する方向の先端)に位置している。即ち、側面視における大腿骨関節面103の輪郭部分が、頂部105である。大腿骨関節面103のうち、この頂部105は、脛骨プレート300の後述する中央部321と接触可能である。
大腿骨関節面103は、外側顆102に備えられる遠位顆111、後顆112及び上顆113によって形成されている。
図3及び図4(a)に示すように、遠位顆111は、大腿骨3の遠位部4の骨切り面16の下面と対向するように配置されている。後顆112は、遠位顆111から後斜め上方へ向けて延びる部分として設けられている。後顆112は、第4固定部14と、第5固定部15の一部とを構成しており、大腿骨固定部10の後方に配置される。上顆113は、後顆112の上端から上方へ向けて延びる部分として設けられている。上顆113は、第5固定部15の一部を構成している。
図2及び図3に示すように、上記の構成を有する大腿骨コンポーネント100は、脛骨コンポーネント18によって、摺動可能に支持されている。脛骨コンポーネント18は、脛骨トレイ2と、脛骨プレート300とを備えて構成されている。
脛骨トレイ2は、脛骨プレート300を支持するトレイ本体19と、トレイ本体19の下面から突出するスタッド部20と、を備えて構成されている。スタッド部20は、脛骨5の近位部6に形成された孔部21に嵌合されている。スタッド部20と、孔部21とは、骨セメント、又は生体活性材料を含むコーティング剤等を用いて固定されている。孔部21は、ドリル等を用いて術者によって形成されている。トレイ本体19は平板状に形成されており、近位部6の端面としての対向面6a上に配置されている。対向面6aは、脛骨プレート300の下面303と上下に且つ平行に向かい合う平面である。トレイ本体19は、大腿骨コンポーネント100側を向く上面を有している。この上面に、脛骨プレート300が固定されている。
脛骨プレート300は、合成樹脂等を用いて形成されている。脛骨プレート300は、偏平な板状に形成されている。脛骨プレート300は、左右に細長い円板状に形成されている。脛骨プレート300は、平面視において、U字状に形成されている。脛骨プレート300のうちの下面303が、トレイ本体19の上面に固定されている。
脛骨プレート300は、中間部311と、内側窩312と、外側窩313と、を有している。
中間部311は、左右方向において、内側窩312と、外側窩313との間に位置している。この中間部311は、内側窩312と、外側窩313と、を隔てる部分として設けられており、大腿骨コンポーネント100には接触しないように構成されている。中間部311の後端部には、切欠311aが形成されている。中間部311に対して、左右方向における内側に、内側窩312が配置されている。また、中間部311に対して、左右方向における外側に、外側窩313が配置されている。
内側窩312及び外側窩313は、それぞれ、大腿骨コンポーネント100の内側顆101及び外側顆102と摺動可能に接触する窪みとして設けられている。内側窩312及び外側窩313は、それぞれ、大腿骨コンポーネント100の内側顆101及び外側顆102を受けるための窪みを有している。
内側窩312のうち、大腿骨コンポーネント100の内側顆101と対向する面には、脛骨関節面320が形成されている。同様に、外側窩313のうち、大腿骨コンポーネント100の外側顆102と対向する面には、脛骨関節面320が形成されている。これら2つの脛骨関節面320,320は、それぞれ、脛骨5の近位部6側へ向けて窪んだ形状に形成されている。内側窩312の脛骨関節面320は、内側顆101の大腿骨関節面103と摺動可能に接触している。また、外側窩313の脛骨関節面320は、外側顆102の大腿骨関節面103と摺動可能に接触している。
なお、内側窩312の脛骨関節面320の形状と、外側窩313の脛骨関節面320の形状とは、同様である。したがって、以下では、主に、外側窩313の脛骨関節面320について説明し、内側窩312の脛骨関節面320についての説明を省略する。
本実施形態では、左右方向における脛骨関節面320の中央部321は、前後方向に延びている。脛骨関節面320のうち、この中央部321が、大腿骨関節面103のうちの頂部105と接触する。したがって、脛骨関節面320の中央部321の形状と、大腿骨関節面103の頂部105の形状とによって、脛骨5に対する大腿骨3の運動の軌跡が決まることとなる。これら中央部321と頂部105とは、実質的に点接触となる。したがって、脛骨5に対する大腿骨3の運動の軌跡は、線となる。頂部105及び中央部321のうち互いに接触している部分によって、接触部314が形成されている。大腿骨関節面103の頂部105の詳細について、以下説明する。
図5(a)及び図5(b)は、大腿骨コンポーネント100,200の側面図である。図5(a)に示すように、大腿骨コンポーネント100の大腿骨関節面103の頂部105は、複数の曲率半径を有している。具体的には、大腿骨関節面の頂部105は、第1部分121と、第2部分122と、第3部分123と、第4部分124と、を有している。第1部分121〜第4部分124は、曲率半径が互いに異なる部分として設けられている。
頂部105の第1部分121は、頂部105において、曲率半径の最も大きい部分として設けられている。この第1部分121は、下向きに凸となる形状に形成されている。頂部105の第1部分121は、大腿骨関節面103の前端104を含んでいる。すなわち、第1部分121の前端121aは、大腿骨関節面103の前端104と一致している。第1部分121の前端121aは、凸部17の下方に位置している。この第1部分121は、遠位顆111に設けられており、第3固定部13の下方に位置している。第1部分121の後端は、前後方向において凸部17の後端の後方に位置している。第1部分121の後端に、第2部分122の前端122aが連続している。
頂部105の第2部分122は、頂部105において、曲率半径が2番目に大きい部分として設けられている。頂部105の第2部分122は、遠位顆111の一部と、後顆112の一部とに設けられており、第3固定部13の下方に位置している部分と、第4固定部14の斜め下後方に位置している部分と、第5固定部15の後方に位置している部分と、を有している。第2部分122は、後方に進むに従い上方に延びる形状に形成されている。第2部分122の後端は、頂部105の後端を構成している。第2部分122の後端に、第3部分123の前端123aが連続している。
頂部105の第3部分123は、頂部105において、曲率半径が3番目に大きい部分として設けられている。頂部105の第3部分123は、後顆112の一部と、上顆113の一部とに設けられており、第5固定部15の後方に位置している。第3部分123は、上方に進むに従い前方に延びる形状に形成されている。第3部分123の上端に、第4部分124の下端124aが連続している。
頂部105の第4部分124は、頂部105において、曲率半径が最も小さい部分として設けられている。頂部105の第4部分124は、上顆113の一部に設けられており、第5固定部15の後方に位置している。第4部分124は、後斜め上方を向く形状に形成されている。第4部分124の上端は、第5固定部15に接続されている。
上記の構成により、第1部分121の曲率半径R121、第2部分122の曲率半径R122、第3部分123の曲率半径R123、及び第4部分124の曲率半径R124は、R121>R122>R123>R124に設定されている。
次に、図5(a)、及び図5(b)を参照して、大腿骨コンポーネント200について説明する。前述したように、大腿骨コンポーネント100,200の違いは、主に、側面視における後顆112,212の厚みの違いにある。尚、大腿骨コンポーネント100,200のうち、大腿骨コンポーネント100と同様の構成については、図に、大腿骨コンポーネント100と同一の符号を付して、説明を省略する。また、大腿骨コンポーネント200うち、大腿骨コンポーネント100の要素に対応する要素については、大腿骨コンポーネント100の要素に対応する符号を付して説明する。例えば、大腿骨コンポーネント200の大腿骨関節面については、大腿骨コンポーネント100の大腿骨関節面103に対応する符号として、大腿骨関節面203という符号を付して説明する。
図5(b)に示すように、大腿骨コンポーネント200は、遠位顆211と、後顆212と、上顆213と、を有している。また、大腿骨コンポーネント200の大腿骨関節面203は、頂部205を有している。この頂部205は、複数の曲率半径を有している。具体的には、大腿骨関節面203の頂部205は、第1部分221と、第2部分222と、第3部分223と、を有している。
頂部205の第1部分221は、頂部205において、曲率半径の最も大きい部分として設けられている。この第1部分221は、下向きに凸となる形状に形成されている。第1部分221は、大腿骨関節面203の前端204を含んでいる。すなわち、第1部分221の前端221aは、大腿骨関節面203の前端と一致している。第1部分221の前端221aは、凸部17の下方に位置している。この第1部分221は、遠位顆211に設けられており、第3固定部13の下方に位置している。第1部分221の後端は、凸部17の下方に位置している。第1部分221の後端に、第2部分222の前端222aが連続している。
頂部205の第2部分222は、頂部205において、曲率半径が2番目に大きい部分として設けられている。第2部分222は、遠位顆211の一部と、後顆212と、上顆213の一部とに設けられており、第3固定部13の下方に位置している部分と、第4固定部14の斜め下後方に位置している部分と、第5固定部15の後方に位置している部分と、を有している。第2部分222には、頂部205の後端が含まれている。第2部分122の上端は、上顆213によって形成されている。第2部分222の上端に、第3部分223の下端223aが連続している。
頂部205の第3部分223は、頂部205において、曲率半径が最も小さい部分として設けられている。第3部分223は、上顆213の一部に設けられており、第5固定部15の後方に位置している。第3部分123は、後斜め上方を向く形状に形成されている。第3部分123の上端は、第5固定部15に接続されている。
上記の構成により、第1部分221の曲率半径R221、第2部分222の曲率半径R222、及び第3部分223の曲率半径R223は、R221>R222>R223に設定されている。
図5(a)及び図5(b)に示すように、大腿骨コンポーネント100の大腿骨固定部10の形状と、大腿骨コンポーネント200の大腿骨固定部10の形状とは、一致するように設定されている。また、曲率半径R121=R221に設定されており、第3固定部13の下方において、遠位顆111,211のそれぞれの肉厚は、概ね同じとされている。
一方で、大腿骨コンポーネント100の後顆112の厚みT100と、大腿骨コンポーネント200の後顆212の厚みT200とは、異なっている。本実施形態では、厚み100>厚みT200に設定されている。具体的には、曲率半径R121=曲率半径R221、且つ、曲率半径R122=R222に設定されている一方、凸部17に対する第2部分122の中心C122の位置は、凸部17に対する第2部分222の中心C222の位置と比べて、より後方に配置されている。以上より、大腿骨コンポーネント100,200は、大腿骨3に固定される大腿骨固定部10,10の形状は同一で、且つ、後顆112,212の厚みT100、T200は、互いに異なっている。
図6(a)及び図6(b)は、脛骨プレート300,400を左右方向に見た断面図である。図7(a)及び図7(b)は、脛骨プレート500,600を左右方向に見た断面図である。図8(a)及び図8(b)は、脛骨プレート700,800を左右方向に見た断面図である。図9(a)及び図9(b)は、脛骨プレート900,1000を左右方向に見た断面図である。図10(a)及び図10(b)は、脛骨プレート1100,1200を左右方向に見た断面図である。
図6(a)を参照して、脛骨プレート300の脛骨関節面320の中央部321について説明する。中央部321は、第1凹湾曲部322と、平坦部323と、後部領域324と、を有している。後部領域324は、凸湾曲部325と、傾斜部326と、を有している。第1凹湾曲部322と、平坦部323と、凸湾曲部325と、傾斜部326とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
第1凹湾曲部322は、屈曲角度θがゼロ度またはゼロに近い値(たとえば、数度程度)の場合に、大腿骨関節面103の頂部105と接触する部分として設けられている。第1凹湾曲部322は、側面視において、所定の曲率半径R322を有する円弧状に形成されており、下向きに凸となる形状を有している。前後方向における第1凹湾曲部322の長さは、中央部321全体の長さの略半分に設定されている。第1凹湾曲部322の前端322aは、脛骨プレート300の上端を構成している。また、第1凹湾曲部322の前端322aの位置は、脛骨プレート300の前端面301の位置よりも後側である。第1凹湾曲部322は、後方に進むに従い、脛骨プレート300の下面303に近接するように延びている。第1凹湾曲部322の後端322bは、下面303と略平行に後方を向いている。すなわち、第1凹湾曲部322の後端322bでの接線は、下面303と略平行である。第1凹湾曲部322の後端322bと上下に並ぶように、第1凹湾曲部322の円弧の曲率中心C321が位置している。屈曲角度θがゼロの場合、第1凹湾曲部322のうちの後端322b近傍に、大腿骨関節面103が接触する。すなわち、第1凹湾曲部322のうちの、後端322b側の接触領域322cが、大腿骨コンポーネント100と接触可能な領域として設定されている。本実施形態では、前後方向における接触領域322cの長さは、例えば、前後方向における第1凹湾曲部322の全長の10%以下に設定されている。第1凹湾曲部322の後端322bの後方に、平坦部323が接続されている。
平坦部323は、後部領域324の前方に配置されている。平坦部323は、下面303と平行に延びる平坦な部分として設けられている。すなわち、大腿骨関節面103が平坦部323上を前後方向に移動する間、大腿骨コンポーネント100は、全体として、脛骨プレート300に対して上下に変位しないこととなる。前後方向において、平坦部323の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも長い。平坦部323は、第1凹湾曲部322の後端322bから真っ直ぐに後方に延びている。平坦部323の後端323aには、後部領域324の凸湾曲部325が接続されている。
後部領域324は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域324は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面320の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域324は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域324の長さは、平坦部323の長さよりも大きい。
後部領域324の凸湾曲部325は、大腿骨関節面103と平坦部323とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。凸湾曲部325は、側面視において、所定の曲率半径R325を有する円弧状に形成されており、下面303から遠ざかる方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、凸湾曲部325は、後斜め上方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、前後方向において、凸湾曲部325の長さは、平坦部323の長さの半分程度に設定されている。凸曲部325は、後方に進むに従い、脛骨プレート300の下面303に近接するように延びている。凸湾曲部325の前端325aと上下に並ぶように、凸湾曲部325の円弧の曲率中心C325が位置している。凸湾曲部325の後端325bの後方に、傾斜部326が接続されている。
傾斜部326は、大腿骨関節面103と凸湾曲部325とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に、大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、傾斜部326は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。傾斜部326は、下面303に対して一定の勾配を有する直線状に形成されており、後方に進むに従い脛骨プレート300の下面303に近接するように延びている。前後方向において、傾斜部326の長さは、凸湾曲部325の長さよりも大きい。傾斜部326の後端は、脛骨プレート300の後端面302に接続されている。傾斜部326の後端における脛骨プレート300の厚みT31は、第1凹湾曲部322の後端322bにおける脛骨プレート300の厚みT32より数mm薄く設定されている。したがって、大腿骨コンポーネント100は、第1凹湾曲部322の後端322bに接触している状態から、傾斜部326の後端に接触している状態に移行することで、厚みT32と厚みT31との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)を参照して、次に、脛骨プレート400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200について説明する。脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200の違いは、主に、脛骨関節面の中央部の形状にあり、特に後部領域の有無、及び後部領域の形状にある。
尚、脛骨プレート400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200のうち、脛骨プレート300と同様の構成については、図に、脛骨プレート300と同一の符号を付して、説明を省略する。また、脛骨プレート400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200のうち、脛骨プレート300の要素に対応する要素については、脛骨プレート300の要素に対応する符号を付して説明する。例えば、大腿骨コンポーネント400の脛骨関節面については、脛骨プレート300の大腿骨関節面320に対応する符号として、脛骨関節面420という符号を付して説明する。
脛骨プレート300、及び脛骨プレート400は、後部領域324,424の後端側部分が直線状に形成された部分として設けられている。次に、脛骨プレート400の脛骨関節面420の中央部421について説明する。中央部421は、第1凹湾曲部322と、後部領域424と、を有している。後部領域424は、凸湾曲部425と、傾斜部426と、を有している。第1凹湾曲部322と、凸湾曲部425と、傾斜部426とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート400とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート300の第1凹湾曲部322の形状と、脛骨プレート400の第1凹湾曲部322の形状とは、合致する。脛骨プレート400の第1凹湾曲部322の後端322bに、後部領域424が接続されている。
後部領域424は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域424は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面420の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域424は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域424の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの合計の長さよりも大きい。また、前後方向において、後部領域424の長さは、脛骨プレート300の後部領域324の長さとは異なっており、本実施形態では、後部領域324の長さよりも大きい。
後部領域424の凸湾曲部425は、大腿骨関節面103と第1凹湾曲部322とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。凸湾曲部425は、側面視において、所定の曲率半径R425を有する円弧状に形成されており、下面303から遠ざかる方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、凸湾曲部425は、後斜め上方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、前後方向において、凸湾曲部425の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さと略同じに設定されている。凸湾曲部425は、後方に進むに従い、脛骨プレート400の下面303に近接するように延びている。凸湾曲部425の前端425aと上下に並ぶように、凸湾曲部425の円弧の曲率中心C425が位置している。凸湾曲部425の後端425bの後方に、傾斜部426が接続されている。
傾斜部426は、大腿骨関節面103と凸湾曲部425とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に、大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、傾斜部426は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。傾斜部426は、下面303に対して一定の勾配を有する直線状に形成されており、後方に進むに従い脛骨プレート400の下面303に近接するように延びている。前後方向において、傾斜部426の長さは、凸湾曲部325の長さよりも長い。また、前後方向において、傾斜部426の長さは、脛骨プレート300の傾斜部326の長さよりも長い。一方で、下面303に対する傾斜部426の勾配は、下面303に対する傾斜部326の勾配よりも小さい。したがって、傾斜部426における、単位屈曲角度(1度)当たりの接触部414の上下方向変位量Δ426と、傾斜部326における、単位屈曲角度(1度)当たりの接触部314の上下方向変位量Δ326とは、Δ326>Δ426となる。傾斜部426の後端は、脛骨プレート400の後端面302に接続されている。傾斜部426の後端における脛骨プレート400の厚みT41は、第1凹湾曲部322の後端322bにおける脛骨プレート400の厚みT42より数mm薄く設定されている。なお、厚みT41=T31、且つT42=T32である。したがって、大腿骨コンポーネント100は、第1凹湾曲部322の後端322bに接触している状態から、傾斜部426の後端に接触している状態に移行することで、厚みT42と厚みT41との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
脛骨プレート500、及び脛骨プレート600は、後部領域524,624の後端側部分が上向きに凸となる形状に形成された部分として設けられている。次に、脛骨プレート500の脛骨関節面520の中央部521について説明する。中央部521は、第1凹湾曲部322と、平坦部523と、後部領域524と、を有している。後部領域524は、凸湾曲部525を有している。第1凹湾曲部322と、平坦部523と、凸湾曲部525とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート500とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート300の第1凹湾曲部322の形状と、脛骨プレート500の第1凹湾曲部322の形状とは、合致する。脛骨プレート500の第1凹湾曲部322の後端322bに、平坦部523が接続されている。
平坦部523は、後部領域524の前方に配置されている。平坦部523は、下面303と平行に延びる平坦な部分として設けられている。すなわち、大腿骨関節面103が平坦部523上を前後方向に移動する間、大腿骨コンポーネント100は、全体として、脛骨プレート500に対して上下に変位しないこととなる。前後方向において、平坦部523の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも長い。また、前後方向において、平坦部523の長さは、脛骨プレート300の平坦部323の長さよりも小さく、平坦部323の長さの略半分である。平坦部523は、第1凹湾曲部322の後端322bから真っ直ぐに後方に延びている。平坦部523の後端523aには、後部領域524の凸湾曲部525が接続されている。
後部領域524は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域524は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面500の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域524は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域524の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さ及び平坦部523の長さの合計よりも大きい。
後部領域524の凸湾曲部525は、大腿骨関節面103と平坦部523とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、凸湾曲部525は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。凸湾曲部525は、側面視において、所定の曲率半径R525を有する円弧状に形成されており、下面303から遠ざかる方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、凸湾曲部525は、後斜め上方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、前後方向において、凸湾曲部525の長さは、平坦部523の長さよりも大きい。凸湾曲部525は、後方に進むに従い、脛骨プレート505の下面303に近接するように延びている。凸湾曲部525の前端525aと上下に並ぶように、凸湾曲部525の円弧の曲率中心C525が位置している。凸湾曲部525の後端525bは、脛骨プレート500の後端面302に接続されている。凸湾曲部525の後端における脛骨プレート500の厚みT51は、第1凹湾曲部322の後端322bにおける脛骨プレート500の厚みT52より数mm薄く設定されている。したがって、大腿骨コンポーネント100は、後端322bに接触している状態から、凸湾曲部525の後端に接触している状態に移行することで、厚みT52と厚みT51との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
次に、脛骨プレート600の脛骨関節面620の中央部621について説明する。中央部621は、第1凹湾曲部322と、後部領域624と、を有している。後部領域624は、凸湾曲部625を有している。第1凹湾曲部322と、凸湾曲部625とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート600とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート600の第1凹湾曲部322の形状と、脛骨プレート600の第1凹湾曲部322の形状とは、合致する。脛骨プレート600の第1凹湾曲部322の後端322bに、後部領域624が接続されている。
後部領域624は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域624は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面620の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域624は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域624の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも大きい。また、前後方向において、後部領域624の長さは、後部領域324の長さとは異なっている。
後部領域624の凸湾曲部625は、大腿骨関節面103と第1凹湾曲部322とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、凸湾曲部625は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。凸湾曲部625は、側面視において、所定の曲率半径R625を有する円弧状に形成されており、下面303から遠ざかる方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、凸湾曲部625は、後斜め上方向に向けて凸となる形状を有している。凸湾曲部625は、後方に進むに従い、脛骨プレート600の下面303に近接するように延びている。凸湾曲部625の前端625aと上下に並ぶように、凸湾曲部625の円弧の曲率中心C625が位置している。凸湾曲部625の曲率半径R625は、凸湾曲部525の曲率半径R525よりも大きく設定されている。したがって、凸湾曲部625における、単位屈曲角度(1度)当たりの接触部614の上下方向変位量Δ625と、凸湾曲部525における、単位屈曲角度(1度)当たりの接触部514の上下方向変位量Δ525とは、Δ525>Δ625となる。凸湾曲部625の後端は、脛骨プレート600の後端面302に接続されている。凸湾曲部625の後端における脛骨プレート600の厚みT61は、第1凹湾曲部322の後端322bにおける脛骨プレート600の厚みT62より数mm薄く設定されている。なお、厚みT61=T31、且つT62=T32である。したがって、大腿骨コンポーネント100は、第1凹湾曲部322の後端322bに接触している状態から、凸湾曲部625の後端に接触している状態に移行することで、厚みT62と厚みT61との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
脛骨プレート700、及び脛骨プレート800は、後部領域724,824の後端側部分が下向きに窪んだ形状に形成された部分として設けられている。次に、脛骨プレート700の脛骨関節面720の中央部721について説明する。中央部721は、第1凹湾曲部322と、平坦部723と、後部領域724と、を有している。後部領域724は、凸湾曲部725と、第2凹湾曲部727と、を有している。第1凹湾曲部322と、平坦部723と、凸湾曲部725と、第2凹湾曲部727とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート700とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート300の第1凹湾曲部322の形状と、脛骨プレート700の第1凹湾曲部322の形状とは、合致する。脛骨プレート700の第1凹湾曲部322の後端322bには、平坦部723が接続されている。
平坦部723は、後部領域724の前方に配置されている。平坦部723は、下面303と平行に延びる平坦な部分として設けられている。すなわち、大腿骨関節面103が平坦部723上を前後方向に移動する間、大腿骨コンポーネント100は、全体として、脛骨プレート700に対して上下に変位しないこととなる。前後方向において、平坦部723の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも長い。平坦部723は、第1凹湾曲部322の後端322bから真っ直ぐに後方に延びている。平坦部723の後端723aには、後部領域724の凸湾曲部725が接続されている。
後部領域724は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域724は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面720の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域724は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域724の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも大きい。
後部領域724の凸湾曲部725は、大腿骨関節面103と平坦部723とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。凸湾曲部725は、側面視において、所定の曲率半径R725を有する円弧状に形成されており、下面303から遠ざかる方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、凸湾曲部725は、後斜め上方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、前後方向において、凸湾曲部725の長さは、平坦部723の長さよりも大きい。凸湾曲部725は、後方に進むに従い、脛骨プレート700の下面303に近接するように延びている。凸湾曲部725の前端725aと上下に並ぶように、凸湾曲部725の円弧の曲率中心C725が位置している。凸湾曲部725の後端725bの後方に、第2凹湾曲部727が接続されている。
第2凹湾曲部727は、大腿骨関節面103と凸湾曲部725とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に、大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、第2凹湾曲部727は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。第2凹湾曲部727は、側面視において、所定の曲率半径R727を有する円弧状に形成されており、下面303に向けて近づく方向に窪む形状を有している。本実施形態では、第2凹湾曲部727は、前斜め下方向に向けて窪む形状を有している。本実施形態では、前後方向において、第2凹湾曲部727の長さは、凸湾曲部725の長さの2倍程度に設定されている。第2凹湾曲部727は、後方に進むに従い、脛骨プレート700の下面303に近接するように延びている。第2凹湾曲部727の後端と上下に並ぶように、第2凹湾曲部727の円弧の曲率中心C727が位置している。第2凹湾曲部727の後端は、脛骨プレート500の後端面302に接続されている。第2凹湾曲部727の後端における脛骨プレート500の厚みT71は、平坦部723における脛骨プレート700の厚みT72より数mm薄く設定されている。なお、厚みT71=T31、且つT72=T32である。したがって、大腿骨コンポーネント100は、第1凹湾曲部322の後端322bに接触している状態から、第2凹湾曲部727の後端に接触している状態に移行することで、厚みT72と厚みT71との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
次に、脛骨プレート800の脛骨関節面820の中央部821について説明する。中央部821は、第1凹湾曲部322と、後部領域824と、を有している。後部領域824は、凸湾曲部825と、第2凹湾曲部827と、を有している。第1凹湾曲部322と、凸湾曲部825と、第2凹湾曲部827とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート800とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート300の第1凹湾曲部322の形状と、脛骨プレート800の第1凹湾曲部322の形状とは、合致する。脛骨プレート800の第1凹湾曲部322の後端322bには、後部領域824が接続されている。
後部領域824は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域824は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面820の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域824は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域824の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも大きい。
後部領域824の凸湾曲部825は、大腿骨関節面103と第1凹湾曲部322とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。凸湾曲部825は、側面視において、所定の曲率半径R825を有する円弧状に形成されており、下面303から遠ざかる方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、凸湾曲部825は、後斜め上方向に向けて凸となる形状を有している。本実施形態では、前後方向において、凸湾曲部825の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも長い値に設定されている。凸湾曲部825は、後方に進むに従い、脛骨プレート800の下面303に近接するように延びている。凸湾曲部825の前端825aと上下に並ぶように、凸湾曲部825の円弧の曲率中心C825が位置している。凸湾曲部825の後端825bの後方に、第2凹湾曲部827が接続されている。
第2凹湾曲部827は、大腿骨関節面103と凸湾曲部825とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に、大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、第2凹湾曲部827は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。第2凹湾曲部827は、側面視において、所定の曲率半径R827を有する円弧状に形成されており、下面303に向けて近づく方向に窪む形状を有している。本実施形態では、第2凹湾曲部827は、前斜め下方向に向けて窪む形状を有している。本実施形態では、前後方向において、第2凹湾曲部827の長さは、凸湾曲部825の長さの5倍程度に設定されている。第2凹湾曲部827は、後方に進むに従い、脛骨プレート800の下面303に近接するように延びている。第2凹湾曲部827の後端と上下に並ぶように、第2凹湾曲部827の円弧の曲率中心C827が位置している。第2凹湾曲部827の曲率半径R827は、第2凹湾曲部727の曲率半径R727よりも大きい。したがって、第2凹湾曲部827における、単位屈曲角度(1度)当たりの接触部814の上下方向変位量Δ827と、第2凹湾曲部727における、単位屈曲角度(1度)当たりの接触部714の上下方向変位量Δ727とは、Δ727>Δ827となる。第2凹湾曲部827の後端は、脛骨プレート800の後端面302に接続されている。第2凹湾曲部827の後端における脛骨プレート500の厚みT81は、第1凹湾曲部322の後端322bにおける脛骨プレート800の厚みT82より数mm薄く設定されている。なお、厚みT81=T31、且つT82=T32である。したがって、大腿骨コンポーネント100は、第1凹湾曲部322の後端322bに接触している状態から、第2凹湾曲部827の後端に接触している状態に移行することで、厚みT82と厚みT81との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
脛骨プレート900、及び脛骨プレート1000は、所定方向に沿って後部領域924,1024が延びる部分として設けられている。所定方向とは、屈曲角度θがゼロ度のときに接触部914,1014を形成するための部分の、後端における、接線が延びる方向である。次に、脛骨プレート900の脛骨関節面920の中央部921について説明する。中央部921は、第1凹湾曲部322Aと、後部領域924と、を有している。後部領域924は、傾斜部926を有している。第1凹湾曲部322Aと、傾斜部926とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート900とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート300の第1凹湾曲部322のうち前端322a側の一部と、脛骨プレート900の第1凹湾曲部322Aの形状とは、合致する。第1凹湾曲部322Aの後端322dは、後斜め下方を向いている。第1凹湾曲部322Aのうち、後端322dを含む一部の領域は、接触領域322eを形成している。接触領域322eは、大腿骨プレート100の大腿骨関節面105と接触可能な領域である。前後方向において、接触領域322eの長さは、傾斜部926の長さよりも短い。第1凹湾曲部322Aの後端322dには、後部領域924の傾斜部926が接続されている。
後部領域924は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域924は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面920の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域924は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域924の長さは、第1凹湾曲部322Aの接触領域322eの長さよりも大きい。
後部領域924の傾斜部926は、大腿骨関節面103と第1凹湾曲部322Aとが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に、大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、傾斜部926は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。傾斜部926は、下面303に対して一定の勾配を有する直線状に形成されており、後方に進むに従い脛骨プレート900の下面303に近接するように延びている。側面視において、第1凹湾曲部322Aの後端322dの接線は、傾斜部926と一致している。これにより、大腿骨コンポーネント100の大腿骨関節面103は、第1凹湾曲部322Aに接触している状態から、傾斜部926に接触している状態へ、スムーズに移行することができる。傾斜部926の後端は、脛骨プレート900の後端面302に接続されている。傾斜部926の後端における脛骨プレート900の厚みT91は、第1凹湾曲部322Aの後端322dにおける脛骨プレート900の厚みT92より数mm薄く設定されている。なお、厚みT91=T31、且つT92=T32である。したがって、大腿骨コンポーネント100は、第1凹湾曲部322Aの後端322dに接触している状態から、傾斜部926の後端に接触している状態に移行することで、厚みT92と厚みT91との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
次に、脛骨プレート1000の脛骨関節面1020の中央部1021について説明する。中央部1021は、第1凹湾曲部322Aと、後部領域1024と、を有している。後部領域1024は、第2凹湾曲部1027を有している。第1凹湾曲部322Aと、第2凹湾曲部1027とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート900と脛骨プレート1000とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート900の第1凹湾曲部322Aの形状と、脛骨プレート1000の第1凹湾曲部322Aの形状とは、合致する。脛骨プレート1000の第1凹湾曲部322Aの後端322dには、後部領域1024が接続されている。
後部領域1024は、屈曲角度θが90度のときには、大腿骨関節面103と接触している。後部領域1024は、屈曲角度θの増大に従い、大腿骨コンポーネント100を全体として下方に変位させるために設けられており、脛骨関節面1020の後端部を含んでいる。より具体的には、後部領域1024は、後方に向かうに従い下面303側に向かう形状に形成されている。前後方向において、後部領域1024の長さは、第1凹湾曲部322Aの接触領域322eの長さよりも大きい。
後部領域1024の第2凹湾曲部1027は、大腿骨関節面103と第1凹湾曲部322Aとが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に、大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、第2凹湾曲部1027は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。第2凹湾曲部1027は、側面視において、所定の曲率半径R1027を有する円弧状に形成されており、下面303に向けて近づく方向に窪む形状を有している。本実施形態では、第2凹湾曲部1027は、前斜め下方向に向けて窪む形状を有している。第2凹湾曲部1027は、後方に進むに従い、脛骨プレート1000の下面303に近接するように延びている。第2凹湾曲部1027の後端から後斜め上方に進んだ位置に、第2凹湾曲部1027の円弧の曲率中心C1027が位置している。第2凹湾曲部1027の曲率半径R1027は、第2凹湾曲部827の曲率半径R827よりも大きい。側面視において、第1凹湾曲部322Aの後端322dの接線は、第2凹湾曲部1027の前端1027aの接線と一致している。これにより、大腿骨コンポーネント100の大腿骨関節面103は、第1凹湾曲部322Aに接触している状態から、第2凹湾曲部1027に接触している状態へ、スムーズに移行することができる。第2凹湾曲部1027の後端は、脛骨プレート1000の後端面302に接続されている。第2凹湾曲部1027の後端における脛骨プレート1000の厚みT101は、第1凹湾曲部322Aの後端322dにおける脛骨プレート1000の厚みT102より数mm薄く設定されている。なお、厚みT101=T31、且つT102=T32である。したがって、大腿骨コンポーネント100は、第1凹湾曲部322の後端322dに接触している状態から、第2凹湾曲部1027の後端に接触している状態に移行することで、厚みT102と厚みT101との差ぶんだけ、下方に変位することとなる。
脛骨プレート1100、及び脛骨プレート1200は、後部領域の無い脛骨プレートとして設けられている。すなわち、脛骨プレート1100,1200の後部1128,1228は、それぞれ、後方に向かうに従い下面303側に向かう構成とはなっていない。次に、脛骨プレート1100の脛骨関節面1120の中央部1121について説明する。中央部1121は、第1凹湾曲部322と、平坦部1129と、を有している。第1凹湾曲部322と、平坦部1129とは、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート1100とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート300の第1凹湾曲部322の形状と、脛骨プレート1100の第1凹湾曲部322の形状とは、合致する。脛骨プレート1100の第1凹湾曲部322の後端322bに、平坦部1129が接続されている。
平坦部1129は、脛骨関節面1120の中央部1121の後部1128を含んでいる。平坦部1129は、下面303と平行に延びる平坦な部分として設けられている。すなわち、大腿骨関節面103が平坦部1129上を前後方向に移動する間、大腿骨コンポーネント100は、全体として、脛骨プレート1100に対して上下に変位しないこととなる。前後方向において、平坦部1129の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも長い。平坦部1129は、脛骨プレート1100の後端面302に接続されている。
次に、脛骨プレート1200の脛骨関節面1220の中央部1221について説明する。中央部1221は、第1凹湾曲部322と、平坦部1223と、第3凹湾曲部1229とを有している。第1凹湾曲部322と、平坦部1223と、第3凹湾曲部1229は、前から後に向かう方向に沿って、上記の順に並んで配置されている。
側面視において、脛骨プレート300と脛骨プレート1200とを、互いの前端面301、下面303及び後端面302が一致するように配置したとき、脛骨プレート1200の第1凹湾曲部322の形状と、脛骨プレート1200の第1凹湾曲部322の形状とは、合致する。脛骨プレート1200の第1凹湾曲部322の後端322bに、平坦部1223が接続されている。
平坦部1223は、下面303と平行に延びる平坦な部分として設けられている。すなわち、大腿骨関節面123が平坦部1223上を前後方向に移動する間、大腿骨コンポーネント100は、全体として、脛骨プレート1200に対して上下に変位しないこととなる。前後方向において、平坦部1223の長さは、第1凹湾曲部322の接触領域322cの長さよりも長い。平坦部1223は、第1凹湾曲部322の後端322bから真っ直ぐに後方に延びている。平坦部1223の後端1223aに、第3凹湾曲部1229が接続されている。
第3凹湾曲部1229は、大腿骨関節面103と平坦部1223とが接触している状態から、屈曲角度θが更に大きくなった場合に、大腿骨関節面103と接触する部分として設けられている。すなわち、第3凹湾曲部1229は、屈曲角度θが最大の場合に大腿骨関節面103と接触する部分である。第3凹湾曲部1229は、側面視において、所定の曲率半径R1229を有する円弧状に形成されている。第3凹湾曲部1229は、後方に進むに従い、脛骨プレート1200の下面303から離隔するように延びている。第3凹湾曲部1229の前端1229aと上下に並ぶように、第3凹湾曲部1229の円弧の曲率中心C1229が位置している。第3凹湾曲部1229の後端は、脛骨プレート1000の後端面302に接続されている。第3凹湾曲部1229の後端における脛骨プレート1200の厚みT121は、第1凹湾曲部322の後端322bにおける脛骨プレート1200の厚みT122よりも大きい。なお、厚みT122=T32である。したがって、大腿骨コンポーネント100は、後端322bに接触している状態から、第3凹湾曲部1229に接触している状態に移行することで、上方へ変位することとなる。
[生体膝関節と人工膝関節との関係についての説明]
図11(a)〜図11(g)は、それぞれ、生体膝関節30の動作について説明するための、主要部の側面図である。図11(a)に示すように、生体膝関節30においては、屈曲角度θがゼロの場合、大腿骨31と脛骨32とは、上下に略真っ直ぐに向かい合っている。この場合、大腿骨31の遠位部33のうち、後方に向けて凸となる凸部35は、脛骨32の近位部34と上下に向かい合っている。屈曲角度θがゼロの場合、凸部35のうち、近位部34に最も近接している近接部36は、脛骨32の軸線37の近傍に位置している。
脛骨32に対する大腿骨31の変位により、屈曲角度θが例えば30度になった場合、図11(b)に示すように、凸部35は、近位部34に対して後下方に変位する。屈曲角度θの更なる増大に伴って、凸部35は、近位部34に対して、次第に後下方に変位する。図11(b)、図11(c)、図11(d)、図11(e)、図11(f)、図11(g)は、それぞれ、屈曲角度θが30度、45度、75度、90度、120度、145度の場合の生体膝関節30を示している。
生体膝関節30では、図11(e)に示すように、屈曲角度θが90度又は90度近傍である場合に、後十字靭帯(図示せず)の張度(引張力)が最大となることが知られている。また、屈曲角度θがゼロ度から90度に変化した場合、大腿骨31の遠位部33のロールバック量38、即ち、近位部34に対して、遠位部33が後方へ変位する量は、7.7mm程度であることが知られている。
また、患者の前十字靭帯及び後十字靭帯を切除し、当該患者の膝関節を人工膝関節に置換する人工膝関節置換術では、PS(Posterior Stabilized)型人工膝関節インプラントが用いられる。PS型人工膝関節インプラントは、大腿骨コンポーネントと、脛骨プレートとを有する。大腿骨コンポーネントは、大腿骨の遠位部に固定されており、大腿骨関節面と、カム部とを有する。脛骨プレートは、脛骨の近位部に固定されており、脛骨関節面と、ポスト部とを有する。屈曲角度の変化に伴い、大腿骨関節面は、脛骨関節面に対して転がる。屈曲角度が所定値以上の場合、カム部がポスト部に接触した状態で、大腿骨関節面は、脛骨関節面に対して転がる。
上記した、PS型の人工膝関節を採用した場合と、CR型の人工膝関節を採用した場合とを比較すると、屈曲角度が同じだけ増加した場合の、大腿骨の遠位部と、脛骨の近位部との間のギャップの減少量は、PS型の人工膝関節を採用した場合よりも、CR型の人工膝関節を採用した場合のほうが、大きい。即ち、CR型の人工膝関節を採用した場合、屈曲角度の増加に伴う、ギャップの減少量が大きい。したがって、後十字靭帯は、上記のギャップの値に影響を与えていることとなる。その結果、一般的に、患者にCR型の人工膝関節を設置する場合の大腿骨コンポーネントの後顆の厚みは、当該患者にPS型の人工膝関節を設置する場合の大腿骨コンポーネントの後顆の厚みと比べて、1mm〜2mm小さく設定される。
図6(a)を参照して、以上の知見より、脛骨プレート300においては、屈曲角度θがゼロ度から90度に変化した場合のロールバック量38に相当する7.5mmだけ、接触部314が後方に変位したときに、接触部314が1.5mm程度下方に変位するように、脛骨関節面320の中央部321の形状が設定されていることが好ましい。脛骨プレート400,500,600,700,800,900,1000についても同様である。
[人工膝関節の動作の一例]
図12〜図14は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート400との相対変位、及び大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート1100との相対変位について説明するための主要部の断面図である。図12(a)は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート400について、屈曲角度θがゼロ度の状態を示しており、図12(b)は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート1100について、屈曲角度θがゼロ度の状態を示している。図13(a)は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート400について、屈曲角度θが90度の状態を示しており、図13(b)は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート1100について、屈曲角度θが90度の状態を示している。図14(a)は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート400について、屈曲角度θが120度の状態を示しており、図14(b)は、大腿骨コンポーネント100と脛骨プレート1100について、屈曲角度θが120度の状態を示している。
図12(a)及び図12(b)に示すように、屈曲角度θがゼロの場合、脛骨プレート400の第1凹湾曲部322の接触領域322cと、大腿骨関節面103とが接触している。同様に、屈曲角度θがゼロの場合、脛骨プレート1100の第1凹湾曲部322の接触領域322cと、大腿骨関節面103とが接触している。この場合、脛骨プレート400の下面303と接触部414との距離D41は、脛骨プレート1100の下面303と接触部1114との距離D111と同じである。
屈曲角度θがゼロ度から増大するに従い、大腿骨関節面103は、脛骨関節面420,1120の対応する中央部421,1121上を後方に向けて転がる。図13(a)及び図13(b)に示すように、屈曲角度θが90度の場合、大腿骨関節面103は、後部領域424の傾斜部426に接触する。また、大腿骨関節面103は、脛骨関節面1120の平坦部1129に接触する。この場合、脛骨プレート400の下面303と接触部414との距離D42は、距離D41よりもΔD1ぶん小さくなる。その結果、距離D42は、脛骨プレート1100の下面303と接触部1114との距離D112よりも小さい。
屈曲角度θが更に増大するに従い、大腿骨関節面103は、脛骨関節面420,1120上を後方に向けて転がる。これにより、図14(a)及び図14(b)に示すように、屈曲角度θが120度の場合、大腿骨関節面103は、後部領域424の傾斜部426に接触している。また、大腿骨関節面103は、脛骨関節面1120の平坦部1129に接触している。この場合、脛骨プレート400の下面303と接触部414との距離D43は、距離D41よりもΔD2ぶん小さくなる。その結果、距離D43は、脛骨プレート1100の下面303と接触部1114との距離D113よりも小さい。尚、距離D43<D42となる。
大腿骨コンポーネント100に代えて、大腿骨コンポーネント200を用いた場合も、大腿骨コンポーネント100を用いた場合と同様の動作が行われる。但し、前述したように、大腿骨コンポーネント100の後顆112の厚みと、大腿骨コンポーネント200の後顆212の厚みとが異なっている。このため、屈曲角度θが例えば90度のとき、大腿骨コンポーネント200を用いた場合における、大腿骨3の遠位部4と脛骨5の近位部6との間のギャップ(距離)は、大腿骨コンポーネント100を用いた場合における、大腿骨3の遠位部4と脛骨5の近位部6との間のギャップ(距離)よりも大きい。
図1及び図3を参照して、以上の動作を踏まえ、患者に人工膝インプラント1を設置する手術時には、患者の側副靭帯及び後十字靭帯の状態に合わせて、最適な大腿骨コンポーネント及び脛骨プレートを選択する。具体的には、大腿骨コンポーネント100,200の中から、1つを選択する。また、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200の中から、1つを選択する。
例えば、患者が膝を屈曲させた際における、側副靭帯及び後十字靭帯の緊張度合が比較的強い場合には、後端部の厚みが比較的小さい値に設定された脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000の何れかを選択する。また、この場合、大腿骨コンポーネント100,200の中から、後顆の厚みが相対的に小さい大腿骨コンポーネント200を選択する。
また、例えば、患者が膝を屈曲させた際における、側副靭帯及び後十字靭帯の緊張度合が比較的緩い場合には、後端部の厚みが比較的大きい値に設定された脛骨プレート1100,1200の何れかを選択する。また、この場合、大腿骨コンポーネント100,200の中から、後顆の厚みが相対的に大きい大腿骨コンポーネント100を選択する。
以上説明したように、人工膝関節インプラント1によると、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000が患者の大腿骨3に固定された状態では、脛骨関節面320,420,520,620,720,820,920,1020の後部領域324,424,524,624,724,824,924,1024は、後方に向かうに従い大腿骨3から離隔するように延びている。このため、大腿骨関節面103,203が脛骨関節面320、420,520,620,720,820,920,1020の後部領域324、424,524,624,724,824、924,1024に接触している場合、大腿骨コンポーネント100,200及び大腿骨3の遠位部4は、屈曲角度θが大きくなるに従い、脛骨5側に変位することとなる。これにより、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000に隣接して配置される患者の後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量が小さくなり、後十字靭帯及び側副靭帯に生じるテンションを小さくできる。その結果、屈曲角度θが大きい場合でも、後十字靭帯及び側副靭帯のテンションは、過大にならずに済む。よって、後十字靭帯及び側副靭帯のテンションの増大に起因する、大腿骨3の遠位部4と脛骨5の近位部6との間のギャップD1の減少を抑制できる。これにより、膝を伸ばしている場合と、屈曲角度θが大きい場合との間で、ギャップD1の変動を小さくできる。その結果、患者は、より自然な膝の自然な屈曲動作を行うことができる。
従って、患者にとって、より自然な膝の屈曲動作を行うことのできる人工膝関節インプラント1を提供することができる。
また、人工膝関節インプラント1によると、平坦部323,523,723は、対応する後部領域324,524,724の前方に配置されている。したがって、大腿骨関節面103,203と平坦部323,523,723とが接触している場合には、屈曲角度θが比較的小さい状態となる。この場合、患者の後十字靭帯及び側副靭帯が伸長される量は比較的小さい。したがって、この場合、後十字靭帯及び側副靭帯に生じるテンションが問題となることは実質的に無いと考えられる。このように、後十字靭帯に生じるテンションが問題とならない場合には、屈曲角度θに拘らず、大腿骨3の遠位部4と脛骨5の近位部6との間のギャップD1を略一定にすることができる。したがって、屈曲角度θの変化に伴うギャップD1の変化を、より一層抑制することができるので、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
また、人工膝関節インプラント1によると、大腿骨関節面103,203が傾斜部326,426,926に接触している場合、大腿骨コンポーネント100,200のうち脛骨関節面320,420,920と接触している接触部314,414,914と、下面303との間の距離は、屈曲角度θの変化に伴って、線形的に変化する。このため、屈曲角度θを増すように大腿骨コンポーネント100,200が脛骨プレート300,400,900に対して変位している場合において、大腿骨コンポーネント100,200が脛骨5側に急激に変位することを抑制できる。その結果、屈曲角度θが増大する際において、後十字靭帯及び側副靭帯に生じるテンションに急激な変化が生じることを抑制できる。これにより、後十字靭帯及び側副靭帯のテンションに起因するギャップD1の変化を抑制することができ、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
また、人工膝関節インプラント1によると、屈曲角度θが単位量変化した場合において、凸湾曲部325,425,525,625,725,825の前部側では、下面303との距離の変化率が小さい一方、凸湾曲部325,425,525,625,725,825の後部側では、下面303との距離の変化率が大きくなる。このため、大腿骨関節面103,203が凸湾曲部325,525,625に接触している場合には、大腿骨コンポーネント100,200が脛骨5側へ変位される量は、屈曲角度θの増大に伴って、加速度的に大きくなる。これにより、大腿骨3の遠位部4を脛骨5の近位部6に寄せることのできる量を十分に大きくすることができるので、屈曲角度θの増大に伴う後十字靭帯及び側副靭帯の伸長を抑制することができる。したがって、後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量が大きくなる傾向にある、屈曲角度θが大きい場合でも、後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量を抑制できる。その結果、後十字靭帯及び側副靭帯のテンションに起因するギャップD1の変化を抑制することができ、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
また、人工膝関節インプラント1によると、屈曲角度θが単位量変化した場合において、第2凹湾曲部727,827,1027の前部側では、下面303との距離の変化率が大きい一方、第2凹湾曲部727,827,1027の後部側では、下面303との距離の変化率が小さくなる。これにより、大腿骨コンポーネント100,200のうち第2凹湾曲部727,827,1027と接触している接触部714,814,1014は、第2凹湾曲部727,827,1027の前部との接触により、下面303との距離を十分に小さくされ、その後、更に、後方に進むこととなる。このため、大腿骨コンポーネント100,200は、屈曲角度θの増大に伴って第2凹湾曲部727,827,1027の前部上を変位した時点で、十分に下面303側に寄せられることとなる。これにより、大腿骨3の遠位部4を脛骨5の近位部6に寄せることのできる量を十分に大きくすることができるので、屈曲角度θの増大に伴う後十字靭帯及び側副靭帯の伸長を抑制することができる。したがって、後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量が大きくなる傾向にある、屈曲角度θが大きい場合でも、後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量を抑制できる。その結果、後十字靭帯及び側副靭帯のテンションに起因するギャップD1の変化を抑制することができ、患者に、より自然な膝の屈曲動作を行わせることができる。
また、人工膝関節インプラント1によると、脛骨トレイ2を脛骨5の近位部6に固定した状態で、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200を、互いの脛骨関節面320,420,520,620,720,820,920,1020,1120,1220の形状の異なるものに取り換えることができる。これにより、患者にとって最適な脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200を採用することができる。よって、膝の自然な屈曲動作を実現するために、脛骨トレイ2の形状を変更する必要が無い。このため、脛骨トレイ2が固定される脛骨5の近位部6の形状を、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200の形状に合わせて変更する必要が無い。
また、人工膝関節インプラント1によると、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000の後部領域324,424,524,624,724,824,924,1024、及び脛骨プレート1100,1200の後部1128,1228の互いの形状を異ならせることにより、大腿骨3の遠位部4と脛骨5の近位部6との間のギャップD1を異ならせることができる。これにより、屈曲角度θの増大に伴う後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量を調整することができ、その結果、患者の後十字靭帯及び側副靭帯にとって最適となるように後部領域324,424,524,624,724,824,924,1024及び後部1128,1228の形状を調整することができる。すなわち、大腿骨3と脛骨5の間のギャップバランスの更なる均衡化を達成するために、複数の脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200の中から、最適な脛骨プレートを選ぶことができる。例えば、後十字靭帯及び側副靭帯の柔軟性が高い患者に対しては、複数の脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000、1100,1200の中から、後部の厚みが比較的大きい値となるように設定された脛骨プレート1100,1200を選択することにより、後十字靭帯及び側副靭帯を適度に伸長させることができる。また、後十字靭帯及び側副靭帯の柔軟性の低い患者に対しては、複数の脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000、1100,1200の中から、後部の厚みが比較的小さい値となるように設定された脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000を選択することができる。これにより、後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量を少なくし、後十字靭帯及び側副靭帯のテンションが大きくなることを抑制できる。このように、患者の後十字靭帯及び側副靭帯の状態に合わせて脛骨プレートの形状を設定することができる。その結果、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200の何れかを、脛骨関節面320,420,520,620,720,820,920,1020,1120,1220の形状の異なる別のものに取り換えることにより、患者にとって最適な脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200を採用することができる。これにより、人工膝関節置換術の施術時に、患者にとって最適な脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200を容易に決定することができる。
また、人工膝関節インプラント1によると、大腿骨コンポーネント100,200の後顆112,212の厚みT100,T200を異ならせることにより、大腿骨3の遠位部4と脛骨5の近位部6との間のギャップD1を異ならせることができる。これにより、屈曲角度θの増大に伴う後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量を調整することができ、その結果、患者の後十字靭帯及び側副靭帯にとって最適となるように後顆112,212の厚みを調整することができる。すなわち、大腿骨3と脛骨5との間のギャップバランスの更なる均衡化を達成するために、複数の大腿骨コンポーネント100,200のなかから、最適な大腿骨コンポーネントを選ぶことができる。例えば、後十字靭帯及び側副靭帯の柔軟性が高い患者に対しては、複数の大腿骨コンポーネント100,200のうち後顆の厚みの大きい大腿骨コンポーネント100を選択することにより、後十字靭帯及び側副靭帯を適度に伸長させることができる。また、後十字靭帯及び側副靭帯の柔軟性の低い患者に対しては、複数の大腿骨コンポーネント100,200のうち後顆の厚みの小さい大腿骨コンポーネント200を選択することにより、後十字靭帯及び側副靭帯の伸長量を少なくし、後十字靭帯及び側副靭帯のテンションが大きくなることを抑制できる。このように、患者の後十字靭帯及び側副靭帯の状態に合わせて大腿骨コンポーネントの厚みを設定することができる。
以上より、伸展ギャップと、屈曲ギャップとの間のバランスとしてのギャップバランスを、より均衡がとれた状態にすることができる。これにより、患者の膝は、人工膝関節7によって安定した深屈曲動作を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)前述の実施形態では、CR(Cruciate Retaining)タイプの人工膝関節インプラントの構成を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、PS(Posterior Stabilized)タイプの人工膝関節インプラントに、本発明を適用してもよい。図15は、本発明の変形例に係る人工膝関節インプラント1Bの側面図であり、一部は断面で示している。人工膝関節インプラント1Bは、PSタイプの人工膝関節インプラントである。この人工膝関節インプラントが用いられる人工膝関節置換術では、患者の前十字靭帯及び後十字靭帯の双方が切除される。
尚、人工膝関節インプラント1Bのうち、人工膝関節インプラント1における構成と同一の構成については、図に、人工膝関節インプラント1の対応する構成の符号と同一の符号を付して、説明を省略する。また、人工膝関節インプラント1Bのうち、人工膝関節インプラント1における構成に対応する構成については、人工膝関節インプラント1Bの符号に対応する符号を付して説明し、重複する説明は省略する。例えば、大腿骨コンポーネント100,200に対応する符号として、大腿骨コンポーネント100B,200Bという符号を付して説明する。また、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200に対応する符号として、脛骨プレート300B,400B,500B,600B,700B,800B,900B,1000B,1100B,1200Bという符号を付して説明する。
人工膝関節インプラント1Bは、複数の大腿骨コンポーネント100B,200Bと、複数の脛骨プレート300B,400B,500B,600B,700B,800B,900B,1000B,1100B,1200Bと、を備えている。
図16は、大腿骨コンポーネント100B及び脛骨プレート300Bのそれぞれの斜視図である。図16に示すように、大腿骨コンポーネント100Bには、カム部115が設けられている。カム部115は、後顆112,112間に配置された、小片状部分である。一方、脛骨プレート300Bには、ポスト部315が設けられている。ポスト部315は、脛骨プレート300Bの中間部311から突出する柱状部分である。
屈曲角度θが所定角度以上になった場合、カム部115がポスト部315に接触した状態で、大腿骨関節面103,103は、対応する脛骨関節面320,320に対して転がる。
また、図15に示すように、大腿骨コンポーネント200Bには、大腿骨コンポーネント100Bと同様に、カム部115が設けられている。また、脛骨プレート400B,500B,600B,700B,800B,900B,1000B,1100B,1200Bには、それぞれ、脛骨プレート300Bと同様に、ポスト部315が設けられている。
したがって、脛骨プレート300B,400B,500B,600B,700B,800B,900B,1000B,1100B,1200Bの何れかと、大腿骨コンポーネント100B,200Bの何れかと、を用いて人工膝関節を構成した場合には、屈曲角度θが所定角度以上になることで、カム部115がポスト部315に接触する。
人工膝関節インプラント1Bについて、上記の構成以外は、人工膝関節インプラント1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
(2)前述の実施形態では、複数の脛骨プレートを用いる構成を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000のうちの少なくとも1つがあればよい。同様に、上記(1)の変形例において、脛骨プレート300B,400B,500B,600B,700B,800B,900B,1000Bのうちの、少なくとも1つがあればよい。
(3)前述の実施形態及び前述の変形例(1)では、脛骨プレートの後部領域の形状について具体的に説明したけれども、この通りでなくてもよい。後部領域は、後方に向かうに従い脛骨プレートの下面側に向かう形状であればよい。
(4)前述の実施形態及び前述の変形例(1)では、各脛骨プレートにおいて、内側の脛骨関節面の中央部の形状と、外側の脛骨関節面の中央部の形状とが、概ね左右対称である形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、内側の脛骨関節面の中央部の形状と、外側の脛骨関節面の中央部の形状とを、左右非対称にしてもよい。この場合、各脛骨プレートにおける左右の脛骨関節面の中央部の形状は、生体膝関節の動作を、より忠実に再現可能な形状に設定することが好ましい。生体膝では、屈曲動作に伴い、大腿骨の外側の顆部は、当該大腿骨の内側の顆部と比較して大きく後方に移動する。これにより、大腿骨に対して、脛骨は、内側に向けて旋回(内旋)する。健常な脛骨の近位部の形状は、内側が平坦に近く、外側は、後方に傾斜する形状をしている。このような、生体膝の形状及び運動を模擬すべく、脛骨プレートの内側の脛骨関節面と、外側の脛骨関節面とについて、互いに異なる傾斜形状を有する組み合わせとすることも可能である。
(5)前述の実施形態及び前述の変形例(1)では、脛骨プレートを、脛骨トレイを介して脛骨に固定する形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。脛骨プレートの下面を直接脛骨の対向面に固定してもよい。この場合の脛骨プレートは、前述の実施形態における脛骨プレートと脛骨トレイとを一体にした形状と同様の形状に形成される。これにより、脛骨プレートの下面を直接対向面に固定することとなり、部品点数を少なくできる。
(6)前述の実施形態及び前述の変形例(1)では、大腿骨コンポーネントの数が2つである形態を説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、人工膝関節インプラントに備えられる大腿骨コンポーネントの数は、1つ以上であればよい。
(7)前述の実施形態では、CRタイプの人工膝関節インプラントの形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、本発明を、CS(Cruciate Substituting)タイプの人工膝関節インプラントに適用してもよい。
(8)前述の実施形態及び前述の変形例(1)では、屈曲角度がゼロの場合において、大腿骨コンポーネントは、脛骨プレートの第1凹湾曲部に接触する構成を説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、屈曲角度がゼロの場合において、大腿骨コンポーネントは、脛骨プレートのうちの、第1凹湾曲部の位置よりも後方の位置にある部分と接触してもよい。
(9)前述の実施形態では、脛骨プレート300,400,500,600,700,800,900,1000のそれぞれについて、脛骨関節面の中央部の後端部における厚みが同じである形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、各上記厚みを異ならせてもよい。脛骨プレート300B,400B,500B,600B,700B,800B,900B,1000Bについても、同様である。
本発明は、患者の膝関節を人工膝関節に置換する手術において用いられる人工膝関節インプラントとして、広く適用することができる。
1 人工膝関節インプラント
3 大腿骨
4 遠位部
5 脛骨
6 近位部
6a 対向面
7 人工膝関節
100,200 大腿骨コンポーネント
103,203 大腿骨関節面
300,400,500,600,700,800,900,1000 脛骨プレート
303 下面
320,420,520,620,720,820,920,1020 脛骨関節面
324,424,524,624,724,824,924,1024 後部領域
θ 屈曲角度

Claims (8)

  1. 患者の膝関節を人工膝関節に置換する手術において用いられる人工膝関節インプラントであって、
    前記患者の大腿骨の遠位部に固定される大腿骨コンポーネントと、
    前記患者の脛骨の近位部に固定される脛骨プレートと、を備え、
    前記大腿骨コンポーネントは、内側顆と、外側顆と、前記内側顆および前記外側顆のそれぞれに設けられ前記大腿骨コンポーネントの外側を向いて湾曲した大腿骨関節面と、を含み、
    前記脛骨プレートは、前記近位部のうち前記脛骨プレートと上下に向かい合う対向面と平行に配置される下面と、内側窩と、外側窩と、前記内側窩および前記外側窩のそれぞれに設けられ対応する前記大腿骨関節面に接触するための脛骨関節面と、を含み、
    前記脛骨関節面は、前記脛骨に対する前記大腿骨の屈曲角度の増大に伴って前記大腿骨関節面との接触位置が後方に変位するように構成されており、
    前記内側窩および前記外側窩の双方において、前記脛骨関節面のうち、後端部を含む後部領域は、後方に向かうに従い前記下面側に向かう形状に形成されていることを特徴とする、人工膝関節インプラント。
  2. 請求項1に記載の人工膝関節インプラントであって、
    前記脛骨関節面は、前記後部領域の前方に配置された平坦部を有し、
    前記平坦部は、前記下面と平行に延びていることを特徴とする、人工膝関節インプラント。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の人工膝関節インプラントであって、
    前記後部領域は、前記下面に対する勾配が一定である傾斜部を含むことを特徴とする、人工膝関節インプラント。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の人工膝関節インプラントであって、
    前記後部領域は、前記下面から遠ざかる方向に向けて凸となる湾曲状に形成された凸湾曲部を含むことを特徴とする、人工膝関節インプラント。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の人工膝関節インプラントであって、
    前記後部領域は、前記下面に近づく方向に向けて窪む湾曲状に形成された凹湾曲部を含むことを特徴とする、人工膝関節インプラント。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の人工膝関節インプラントであって、
    前記脛骨プレートの前記下面は、直接又は脛骨トレイを介して前記対向面に固定されることを特徴とする、人工膝関節インプラント。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の人工膝関節インプラントであって、
    前記脛骨プレートとして、前記後部領域の形状の異なる複数の脛骨プレートを含み、当該複数の脛骨プレートのいずれかを選択可能であることを特徴とする、人工膝関節インプラント。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の人工膝関節インプラントであって、
    前記大腿骨コンポーネントは、前記大腿骨の前記遠位部に固定される大腿骨固定部と、当該大腿骨固定部の後方に配置され前記大腿骨関節面の一部を形成する後顆と、を含み、
    前記大腿骨コンポーネントとして、前記大腿骨固定部の形状が共通で且つ前記後顆の厚みの異なる複数の大腿骨コンポーネントを含み、当該複数の大腿骨コンポーネントのいずれかを選択可能であることを特徴とする、人工膝関節インプラント。
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