JP5871279B2 - アミロイドβペプチド蓄積を伴う疾患の診断の為の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770β切断産物の検出方法 - Google Patents

アミロイドβペプチド蓄積を伴う疾患の診断の為の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770β切断産物の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法に関する。より具体的には、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料中のアミロイドβ前駆体タンパク質770β切断産物の検出方法、並びに該方法において用いられる、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の診断薬及び診断用キットに関する。
老人性認知症は、先進国における近年の急速な高齢化社会の到来とともに、医学的、社会的に重大な問題となっており、アルツハイマー病(以下、「AD」と省略する場合がある)を始めとした認知症への対策、特に早期診断法の確立が急務となっている。ADは、病理学上、アミロイドβペプチド(以下、「Aβ」と省略する場合がある)の凝集物を主構成とした脳実質における老人斑、脳血管内でのAβ蓄積によって現れる血管アミロイド、脳における神経原線維変化の細胞内蓄積等が確認される疾患である(非特許文献1及び2)。Aβは、βセクレターゼ(BACE1)(非特許文献3〜6)及びγセクレターゼ(非特許文献7)の逐次的な酵素反応により、アミロイドβ前駆体タンパク質(以下、「APP」と省略する場合がある)から産生される。ほとんどの早発型家族性AD患者がAβの産生機序又は凝集に影響する遺伝子変異を有すること、及びAβ凝集に付随する神経突起がしばしば損傷を受けていること(非特許文献2)から、脳内におけるAβ凝集及び蓄積の過程は、AD発症と強く関連していると考えられる。
APPは、受容体様の機能を有することが示唆されており、様々な細胞外マトリクスタンパク質(例えばヘパリン及びコラーゲン(非特許文献8及び9)など)に結合するものの、APPの生物学的機能の解明は依然として重要な科学的課題となっている(非特許文献10)。哺乳動物においては2種類のAPPパラログが知られており、APP−like proteins 1及び2(それぞれAPLP1及びAPLP2)と命名されている。興味深いことに、これら3つのAPPファミリーメンバー(すなわちAPP、APLP1及びAPLP2)の全てを欠く三重ノックアウトマウスは生後まもなく死亡し(非特許文献11)、このことはAPPファミリータンパク質の重複した機能を示唆している。さらに、APPには、3種類の選択的スプライシングによるアイソフォーム、APP695、APP751及びAPP770が存在する(非特許文献12及び13)。APP695と比較して、APP751はKunitz型プロテアーゼインヒビター(KPI)領域をさらに含み、APP770はKPI領域に加えてOX2領域を含む。APP695がニューロンにおいて最も多量に発現するのに対し、APP751及びAPP770はより普遍的な発現パターンを示す(非特許文献14)。KPI領域を含む分泌型APP(プロテアーゼネキシン2としても知られる)は、特定のセリンプロテアーゼ(特に一部の血栓形成促進酵素(非特許文献15))を阻害する可能性がある。一方OX2領域の機能に関しては、入手可能な情報は非常に限られている。
従来、ADと相関を示すマーカーは多数報告されているが、その多くは病理変化との関係が不明であり、診断的価値は必ずしも確立されていない。病理変化と直接関連するマーカーとしては、脳脊髄液中の42アミノ酸からなるAβの一種(Aβ1−42)の減少、及び(リン酸化)タウ蛋白質の上昇などが挙げられる。しかし、Aβはアルツハイマー病症状が重篤化した後に初めてその値が変動することが知られており、早期の診断マーカーとしては使用できない。一方、リン酸化タウをバイオマーカーとした場合でも、リン酸化タウが上昇している時期には神経細胞死が既に進行しており、この時期に治療を開始しても完全な神経機能の回復は望めない。また、これらのマーカーは主に脳脊髄液(腰椎穿刺液)で測定することから、その試料採取には特殊な手技が必要であり、患者への負担も大きくマス・スクリーニングの方法とはなり得ない。
ADの症状は、脳実質及び脳内血管壁におけるAβの蓄積と密接に関連していることが報告されており(非特許文献16〜18)、特に脳血管系におけるAβの蓄積は、脳血管アミロイドアンギオパチー(以下、「CAA」と省略する場合がある)の病因にも考えられている。CAAはAD患者の80%を超えて認められており、ADでない老人の10〜40%に見られる(非特許文献19)。例えば、電子顕微鏡によるアルツハイマー病患者の病理切片の詳細な解析によると、Aβの凝集物であるアミロイド線維等が脳内毛細血管の随所に見出され、脳血管内のAβ凝集及び蓄積がADと強く関わることが示されている(非特許文献20)。また、CAAは脳血管性痴呆障害、脳卒中や脳内出血の原因ともなり得ることが知られている。さらに、Aβに対するワクチンを用いたAD治療においては、CAAが副作用の原因として影響を与える可能性も示されているため(非特許文献21、22)、脳血管内におけるAβ蓄積の状態を示すCAAの診断の必要性が広く指摘されている。最近、血管内のAβ除去における脳血管平滑筋細胞の重要な役割が脚光を浴びた(非特許文献23)ものの、血管内皮細胞のAPPの詳細な解析については前例がなく、蓄積する血管性Aβがどこで産生されるかについては未解明のままであった。
Physiol Rev 2001 81(2):741-766. Cell 2005 120(4):545-555. Nature 1999 402(6761):533-537. Science 1999 286(5440):735-741. Nature 1999 402(6761):537-540. Nature 1999 398(6727):513-517. Nature 1999 398(6727):518-522. J Biol Chem 1996 271(3):1613-1620. J Neurosci 1992 12(11):4143-4150. Embo J 2005 24(23):3996-4006. Embo J 2004 23(20):4106-4115. Nature 1988 331(6156):525-527. Nature 1988 331(6156):528-530. Proc Natl Acad Sci U S A 1993 90(20):9513-9517. Proc Natl Acad Sci U S A 2005 102(50):18135-18140. Ann Neurol 1991 30(5):637-649. Science 1990 248(4959):1120-1122. Nat Genet 2006 38(1):24-26. Stroke 2004 35(11 Suppl 1):2616-2619. Ann N Y Acad Sci. 1997 Sep 26;826:25-34. J. Neurosci. 2005 25, 6213-6220 J. Neurosci. 2005 25, 629-636 Nat Cell Biol 2009 11(2):143-153.
アルツハイマー病と相関を示すマーカーの探索や早期診断方法の開発は、従来、Aβが神経細胞において産生されることに基づいて進められてきた。しかしながら、実用化に至る程の有望な成果はこれまでにほとんど得られていなかった。
本発明では、アルツハイマー病などのアミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患を早期に診断することを可能とする、バイオマーカーの検出方法を提供することを目的とした。
本発明は、上記課題に鑑み、脳血管アミロイドアンギオパチー等の病因であり、アルツハイマー病の症状とも相関する脳血管内でのAβの蓄積に着目した。本発明者らは、神経細胞由来のAPPと血管内皮細胞由来のAPPとを区別できれば、神経細胞でのAβ産生と血管内皮細胞でのAβ産生を判別することが可能であると考え、鋭意検討の上、解析を行った。その結果、従来Aβ産生の観点からは着目されていなかった血管内皮細胞において、APPのユニークなスプライシングバリアントであるAPP770が特異的に検出できること、並びに血管内皮細胞のAPP770からアミロイドβ40及び42が産生されることを世界に先駆けて発見し、APP770の切断産物が脳血管内でのアミロイド蓄積の指標となることを見出した。
すなわち本発明では、APP770の切断産物を特異的に検出することにより、脳血管内でのAβ蓄積が病因となる脳血管アミロイドアンギオパチー等、若しくは脳血管内でのAβ蓄積が相関するアルツハイマー病といった、Aβ蓄積を伴う疾患の発症の診断、または発症危険性の予測が可能となる。Aβ、並びにAβ産生後のAPPのC末端側断片はAPPの各スプライシングバリアントで共通であるので、APP770のBACE1切断産物のN末端側断片である可溶型APP770β(sAPP770β)が、脳血管アミロイドアンギオパチー及びアルツハイマー病といったAβ蓄積を伴う疾患のバイオマーカーとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
より詳しくは、本発明は以下を提供するものである。
[1]下記の工程:
(1)被験者由来の生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触させる工程;及び
(2)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出する工程;
を含む、血管内皮細胞由来の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法。
[2]工程(1)において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体のいずれか一方を使用し、
工程(2)が、
(2a)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βと、工程(1)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触させる工程;及び
(2b)工程(2a)で形成された複合体を検出する工程;
である、[1]に記載の検出方法。
[3]生体試料が血液、血漿又は血清である[1]又は[2]に記載の方法。
[4]生体試料が脳脊髄液である[1]又は[2]に記載の方法。
[5]生体試料が血管内皮細胞の培養上清である[1]又は[2]に記載の方法。
[6] 工程(1)、(2)に加えて、下記の工程:
(3)アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
(4)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βを検出する工程;
を含み、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βの検出も含めた、[1]から[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]工程(3)において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質695特異的抗体のいずれか一方を使用し、
工程(4)が、
(4a)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βと、工程(3)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
(4b)工程(4a)で形成された複合体を検出する工程;
である、[6]に記載の検出方法。
[8] 工程(1)における生体試料が血液、血漿、血清、血管内皮細胞の培養上清又は脳脊髄液であり、工程(3)における生体試料が脳脊髄液である[6]又は[7]に記載の方法。
[9] アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体がOX2ドメインを認識する抗体である[1]から[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10]被験者がアミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の罹患を疑われる、[1]から[9]のいずれか1つに記載の方法。
[11]疾患が脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞、アルツハイマー病の少なくともいずれか一つである[10]に記載の方法。
[12]被験者が脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞の少なくともいずれか一つと、アルツハイマー病の併発を疑われる[1]から[9]のいずれか1つに記載の方法。
[13]可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体及び/又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体を有効成分とする、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の診断薬。
[14]可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体及びアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体を含む、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の診断用キット。
[15]可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体を更に含む、[14]の診断用キット。
[16]疾患が脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞、アルツハイマー病の少なくともいずれか一つを対象とする[13]に記載の診断薬又は[14]若しくは[15]に記載のキット。
[17]疾患が、脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞の少なくともいずれか一つと、アルツハイマー病の併発を対象とする[16]に記載の診断薬又はキット。
[18]下記の工程:
(1)被験者より採取された生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触させる工程;及び
(2)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出する工程;
を含む、血管内皮細胞由来の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出してアミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患に罹患している可能性を判定する方法。
[19]工程(1)において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体のいずれか一方を使用し、
工程(2)が、
(2a)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βと、工程(1)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触させる工程;及び
(2b)工程(2a)で形成された複合体を検出する工程;
である、[18]に記載の検出方法。
[20]生体試料が血液、血漿又は血清である[18]又は[19]に記載の方法。
[21]生体試料が脳脊髄液である[18]又は[19]に記載の方法。
[22]生体試料が血管内皮細胞の培養上清である[18]又は[19]に記載の方法。
[23]工程(1)、(2)に加えて、下記の工程:
(3)被験者より採取された生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
(4)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βを検出する工程;
を含み、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βの検出も含めた、[18]から[22]のいずれか1項に記載の方法。
[24]工程(3)において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質695特異的抗体のいずれか一方を使用し、
工程(4)が、
(4a)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βと、工程(3)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
(4b)工程(4a)で形成された複合体を検出する工程;
である、[23]に記載の検出方法。
[25]工程(1)における生体試料が血液、血漿血清、血管内皮細胞の培養上清又は脳脊髄液であり、工程(3)における生体試料が脳脊髄液である[23]又は[24]に記載の方法。
[26]アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体がOX2ドメインを認識する抗体である[18]から[25]のいずれか1項に記載の方法。
[27]アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞、アルツハイマー病の少なくとも何れか一つである[18]から[26]のいずれか1項に記載の方法。
[28]可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出から脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞の少なくともいずれか一つの疾患の罹患の可能性を判定する[18]から[26]のいずれか1つに記載の方法。
[29]下記の工程:
(1’)アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料と、アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体を接触させる工程;及び
(2’)工程(1’)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770を検出する(好ましくは定量的に検出する)工程
を含む、血管内皮細胞由来の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法。
本発明の検出方法は、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患のバイオマーカーとして、血管内皮細胞で産生されるsAPP770βを測定対象とするため、血液、血清、血漿又は脳脊髄液を始めとした種々の体液を用いて簡便に感度よく検出することができる。また、神経細胞でのAβ産生と血管内皮細胞でのAβ産生を判別することを可能にしたことにより、脳血管内でのAβ蓄積が病因となる脳血管アミロイドアンギオパチー等の疾患と、脳実質部分でのAβ蓄積が病因となるアルツハイマー病について、それぞれを個別の疾患対象として診断できるし、或いは併発を疑って両方の疾患を診断することもできる。また、sAPP770βは、アミロイドβペプチド産生の為の律速反応であるBACE1の切断によって産生されるので、sAPP770β量はアミロイドβペプチドの産生量を反映していると考えられる。すなわち、本発明の検出方法により得られた結果を利用して、被験者が当該疾患に罹患しているか否か、当該疾患を発症する蓋然性が高いか否かを、発症前又は発症初期といった早期段階でも判定することが可能となる。血液、血清又は血漿を使用する場合には、脳脊髄液に比べ、さらに患者の負担を軽減することができる。
本発明の診断用キット及び診断薬は、上記の本発明の検出方法に適しており、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の、効率的な診断を可能にする。
血管内皮細胞におけるAPPの解析を示す図である。図1A:3種類のAPPスプライスバリアント、APP695、APP751及びAPP770の模式図。一連の抗APP抗体、並びにAPP転写産物の分析に用いたプライマーA、B、C及びDの認識部位を示す。図1B:抗APP C15、抗KPI、抗OX2、抗PECAM及び抗GAPDH抗体を用いた、ヒト脳血管内皮細胞(BMEC)、マウス初代ニューロン及びヒト臍帯血由来血管内皮細胞(HUVEC)の細胞ライセート(20μgのタンパク質)におけるAPPのウェスタンブロット解析。図1C:BMEC、ニューロン、HUVEC及びマウス肝臓類洞内皮細胞(LSEC)における各APP転写産物の検出。全RNAを各細胞から抽出し、逆転写し、次いでPCR解析に供し、増幅産物を検出した。APP695、APP751及びAPP770が組み込まれたプラスミドをスタンダードとして使用した。 内皮APPの一連のレクチン沈殿物を示す図である。BMECのライセート(100μg)を、SSA−、MAA−、E4−PHA−、ConA−、RCA120−又はJacalin−アガロースと4℃にて16時間インキュベートした。レクチンで沈殿させた試料を洗浄し、抗APP C15抗体を用いて、ウェスタンブロットにより分析した。 COS細胞において発現させたAPP695、APP751及びAPP770の分析を示す図である。ヒトAPP695、APP751及びAPP770を、COS細胞において個別に過剰発現させた。得られた細胞ライセート(1μg)を、BMECのライセート(5μg)及びニューロンのライセート(10μg)と共に、抗APP C15抗体を用いて、ウェスタンブロットにより分析した。 脳内皮APPのグリコシダーゼ消化を示す図である。図4A:高分子量型及び低分子量型のAPP770(それぞれAPP−H及びAPP−L)が、N結合型糖鎖を有することを示す。図4B:APP−Hが、シアル酸化されたコア1型O結合型糖鎖を有することを示す。図4C:本試験において使用したAPP770変異体の模式図。図4D:COS細胞において発現させた野生型APP770及びその変異体の、SDS−PAGEにおける移動度の変化を示す。黒色及び灰色矢頭は、それぞれAPP−H及びAPP−Lを示す。 BMECから分泌されるsAPPの解析を示す図である。図5A:BMEC及びマウス初代ニューロンの細胞ライセート(C、6μg)及び培地(M)からヘパリン−アガロースを用いてプルダウンしたインタクトなAPP及び可溶性分泌型sAPPを、抗APP 22C11抗体を用いて、ウェスタンブロットによりそれぞれ分析した。図5B:BMECからヘパリン−アガロースを用いてプルダウンしたsAPPを、PNGase、シアリダーゼ及びO−グリコシダーゼの存在下又は非存在下でインキュベートし、次いで抗APP 22C11抗体を用いてウエスタンブロットにより分析した。図5C:BMECの細胞表面ビオチン化の後、ビオチン化細胞表面タンパク質を、ストレプトアビジン−セファロースを用いて沈殿させ、次いで抗APP C15抗体を用いてウェスタンブロットにより分析した。図5D:BMECを、ベンジルGalNAcの存在下又は非存在下で培養し、次いで細胞ライセート(C)及び培地(M)中のインタクトなAPP及びsAPPを、それぞれ抗APP C15抗体及び抗APP 22C11抗体を用いてウェスタンブロットにより分析した。 APP770のヒト脳血管における発現、α及びβ部位における切断、及びCSFへの分泌を示す図である。図6A:BMECから分泌されるsAPP770を、抗APP 22C11、抗OX2、抗sAPPα及び抗sAPPβ抗体を用いてウェスタンブロットにより分析した。図6B:Opti−MEMで培養したBMECからの培地を、Aβ40及びAβ42レベルについて分析した(n=3)(上パネル)。BMEC及びニューロンから分泌されたAβ42/Aβ40の割合を、平均値±SEMとして示す(n=4)(下パネル)。図6C:パラフィンに包埋したヒト脳切片を、ヘマトキシリン−エオシン染色(上パネルa)及び抗OX2抗体を用いた免疫染色(下パネルb)により分析した。aにおける灰色及び黒色矢頭は、それぞれ内皮細胞及び平滑筋細胞の核を示す。bにおける矢印は、OX2免疫反応性の内皮を示す。スケールバー:20μm。図6D:ヒトCSF試料(各0.5ml)中のsAPPをヘパリン−アガロース(30μl)を用いてプルダウンし、次いで抗APP 22C11、抗OX2及び抗sAPPβ抗体を用いてウェスタンブロットにより分析した。灰色及び黒色矢頭は、それぞれsAPP770β以外のsAPPβ及びsAPP770βを示す。
定義
本発明において、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)とは、βセクレターゼ(BACE1)により切断され、アミロイドβペプチド(本明細書中、Aβペプチド、又は単にAβとも言う)を産生する分子を意味する。APPとしては、検出する対象に応じて、対象と同じ種由来のAPPを用いることが望ましい。一例として、ヒトAPPには3種類のスプライシングバリアント、APP695、APP751及びAPP770が知られている。
APPのアミノ酸配列及びこれをコードする塩基配列は、数種の動物において公表されている。ヒトにおいては、APPの3種類のスプライシングバリアント、APP695、APP751及びAPP770について、アミノ酸配列(それぞれ、GenBank Accession No.NP_958817、NP_958816及びNP_000475)及び塩基配列(それぞれ、GenBank Accession No.NM_201414.1、NM_201413.1及びNM_000484.2)が公表されており、自体公知の方法により単離することができる。ヒト以外の動物由来のAPPのアミノ酸配列及び塩基配列も、各種動物のゲノムデータベースを検索することにより、容易に配列情報を入手することが可能であり、当該情報に基づいて自体公知の方法により単離することができる。以下、ヒトAPPを例にして説明する。
図1Aに、APPのスプライシングバリアントの構造を示す。APP695と比較して、APP751はKunitz型プロテアーゼインヒビター(KPI)領域をさらに含み、APP770はKPI領域に加えてOX2領域を含む。これら3つのスプライシングバリアントは、KPI領域及びOX2領域以外の領域(Aβ領域及び膜貫通領域を含むC末端側部分を含む)においては同一のアミノ酸配列を有する。したがってOX2領域は、APP770を他の2つのバリアントと区別するために利用可能な、特徴的な配列である。
ヒトAPP770のアミノ酸配列及びそれをコードするヌクレオチドの塩基配列をそれぞれ、配列番号2及び1に示す。配列番号2の配列中、KPI領域は288〜344番目のアミノ酸配列に、OX2領域は345〜364番目のアミノ酸配列に、Aβ40(42)領域は672〜711(713)番目のアミノ酸配列に相当する。
本発明において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質β(sAPPβ)とは、βセクレターゼによる切断(β切断と呼ばれる)で産生されたAPPのN末端側の断片を意味し、ここにはC末端側の断片は含まれない。APPのスプライシングバリアントであるAPP695、APP751及びAPP770から産生されるβ切断産物は、それぞれsAPP695β、sAPP751β及びsAPP770βと呼ぶ。ヒトsAPP770βのアミノ酸配列は、配列番号2の配列中、18〜671番目のアミノ酸配列に相当する。
また、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質α(sAPPα)とは、Aβ非産生経路として知られるαセクレターゼによるAPPの切断(α切断と呼ばれる)で産生されたAPPのN末端側の断片を意味し、α部位はその切断部位を意味する。
本発明において内皮細胞とは、生体内に存在するあらゆる血管内皮細胞をいい、特に心臓から毛細血管までのすべての循環器系に存在する血管内皮細胞を意味する。内皮細胞は、具体的には、血管の内壁を覆う一層の扁平な細胞であり、好ましくは、脳血管内皮細胞、臍帯静脈血管内皮細胞、及び類洞内皮細胞などの血管内皮細胞などが挙げられる。
本発明において抗体とは、免疫グロブリンのすべてのクラスおよびサブクラス、抗体の機能的断片の形態も含む意であり、当該抗体には、天然型抗体の他に、遺伝子組換技術を用いて製造され得る抗体、抗体断片、及びこれらの結合性断片も含まれるが、これらに限定されない。また、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体が含まれるが、ポリクローナル抗体とは異なるエピトープに対する異なる抗体を含む抗体調製物であり、モノクローナル抗体とは実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体(抗体断片を含む)を意味する。また結合性断片とは、前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab’)、Fab’、Fab、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilised Fv)、dAb(single domain antibody)等が挙げられる(Exp. Opin. Ther. Patents, Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。
本発明において、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患とは、生体内におけるAβレベルと疾患との因果関係が示唆される疾患又は状態を指す。
生体内におけるAβレベルが高い対象においては、典型的には、Aβの脳実質部分への蓄積(老人斑と呼ばれる)や脳血管内への蓄積(脳血管アミロイドアンギオパチー(CAA)と呼ばれる)がみられる。さらに神経細胞の破壊、脳血管障害などが起こり、これらが進行した状態においては認知症として症状が顕在化する。加齢が進むに従って生体内のAβレベルは上昇すると考えられることから、生体内におけるAβレベルが高い状態は、正常な老化現象によっても起こり得るが、アルツハイマー病においてはより急速な上昇がみられる。したがって、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患には、典型的には、症状が顕在化しているかいないかに関わらず、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、その他の認知症、脳梗塞等が含まれる。脳血管内のAβ蓄積は、アルツハイマー病の初期段階に見出される、との報告もあることから、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの増加は、毒性の高いAβオリゴマーの増加に先立って起きる可能性がある。
1.可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法
本発明の内皮細胞由来の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法は、下記の工程:
(1)アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触させる工程;及び
(2)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出する(好ましくは定量的に検出する)工程;
を含むことを特徴とする(以下、検出方法Iとも言う)。
工程(1)は、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料と、アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体とを接触させる工程である。
工程(1)における被験者は、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患に罹患しているか否かを判別しようとする対象であり、該疾患に罹患していることが疑われる哺乳動物を意味する。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類及びウサギなどの実験動物、イヌ及びネコなどのペット、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマ及びヒツジなどの家畜、サル、オランウータン及びチンパンジーなどの霊長類並びにヒトなどが挙げられ、特にヒトが好ましい。ラットやマウスを用いる場合は、例えば慢性脳虚血モデルなどの疾患モデルを作成し、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの変動を見ることが出来る。このような被験者は、認知障害を示していても示していなくてもよく、またアミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患、例えばアルツハイマー病の治療を受けていてもよい。
生体試料は、上記被験者から既知の方法を用いて採取することができる。生体試料としては、例えば血液、血漿、血清、リンパ液及び脳脊髄液などの種々の体液を用いることができる。
一実施形態において、本発明の生体試料は、血液、血漿又は血清である。これらの試料を用いることは、その採取に特殊な技術が不要であること、被験者への負担も小さいことから、本発明の方法をマス・スクリーニングにおいて適用する上で好ましい。
一実施態様において、本発明の生体試料には脳脊髄液も含まれる。脳脊髄液は、脳組織を満たし、循環しており、脳の状態を反映していると考えられる。従来知られている脳の状態についてのバイオマーカーの測定においても使用されており、本発明においても生体試料として好適に用いられる。
別の実施態様においては、本発明の生体試料は、血管内皮細胞の培養上清である。血管内皮細胞を培養し増殖させることで、本発明の検出方法における感度を増強し得る。血管内皮細胞としては、脳血管内皮細胞、臍帯血由来血管内皮細胞、肝臓類洞内皮細胞などが挙げられる。また、これらの細胞は、胚性幹細胞、組織幹細胞、遺伝子操作等により分化多能性が付与された細胞(例えば、iPS細胞)などの幹細胞より誘導されたものであってもよい。血管内皮細胞は、生体内から外科的に摘出した血管、ES細胞や骨髄細胞から作製した移植用の血管などから採取することができる。あるいは血液(末梢血、臍帯血など)や脂肪中に存在する血管内皮前駆細胞を分化・増殖させて用いることもできる(例えば国際公開公報WO2006/090882、特許第4217262号などを参照)。血管内皮細胞の培養は、公知の方法・試薬を用いて行なうことができる。
被験者由来の生体試料は、アミロイドβ前駆体タンパク質770(APP770)特異的抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質β(sAPPβ)を認識する抗体と接触させ、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βと抗体との複合体を形成させる。
本発明における「アミロイドβ前駆体タンパク質770(APP770)特異的抗体」とは、APP770に結合する能力があり、且つアミロイドβ前駆体タンパク質(APP)のAPP770以外のスプライシングバリアント(APP695、APP751が知られている)に結合しない抗体である。APP770特異的抗体は、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βにも結合する能力を持つ。また、任意の哺乳動物由来のAPP770に特異的であり得るが、好ましくは被験者と同じ種由来のAPP770に特異的である。
このような抗体は、APP770と他のスプライシングバリアントとのアミノ酸配列上、又は糖鎖付加状態等の違いに基づき、自体公知の方法により調製することができる。具体的には例えば、APP770のアミノ酸配列上には存在するがAPP695及びAPP751のアミノ酸配列上には存在しないOX2領域において抗原ペプチド配列を設計し、このペプチドを用いて抗体を作製することで、APP770特異的抗体を得ることができる。またこのような抗体は、商業的に入手可能である(例えば抗OX2抗体(Chemicon)など)。
「可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質β(sAPPβ)を認識する抗体」とは、上記sAPP695β、sAPP751β及びsAPP770βを含むsAPPβの全て又は少なくともsAPP770βと結合する能力がある抗体を意味する。このような抗体は、sAPPβに共通するアミノ酸配列、又は糖鎖付加状態等の情報に基づき、自体公知の方法により調製することができる。具体的には例えば、全てのAPPバリアントに共通であるβセクレターゼによる切断部位(β部位)周辺において抗原ペプチド配列を設計し、このペプチドを用いて抗体を作製することで、sAPPαは認識せずにsAPPβを特異的に認識する抗体を得ることができる。あるいは、KPI領域において抗原ペプチドを設計することによっても、sAPP695βは認識しないがsAPP751β及びsAPP770βを認識可能な抗体を得ることができる。またこのような抗体は、商業的にも入手可能である(例えばマウスモノクローナル抗−APP 22C11抗体(Chemicon)、抗ヒトsAPPβ抗体(IBL Co.)及び抗KPI抗体(Chemicon)など)。このように、本発明においては、「可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体」として、β切断されていないAPPをも認識する抗体(例えば抗−APP 22C11抗体(Chemicon))も使用され得るが、特異性の観点から、好ましくは可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βのβ部位を認識する抗体(例えば抗ヒトsAPPβ抗体(IBL Co.))が使用される。
さらには、本発明によれば神経細胞でのAβ産生と対比して血管内皮細胞でのAβ産生につき判別することを目的に、sAPP695βを特異的に認識する抗体を用いることができ、工程(1)、(2)に加えて、下記の工程:
(3)アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
(4)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βを検出する工程;
を含み、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βも検出することができる。
「sAPP695β特異的抗体」とは、上記sAPP695βと結合する能力があり、且つsAPP770β及びsAPP751βに結合しない抗体を意味する。このような抗体は、sAPP695βのアミノ酸配列、又は糖鎖付加状態等の情報に基づき、自体公知の方法により調製することができる。具体的には例えば、sAPP695βを特異的に認識する抗体は、配列番号2の配列中、KPI領域とOX2領域が存在する288〜364番目のアミノ酸配列が除かれて287番目と365番目が連結した部分を含む40アミノ酸の配列、好ましくは30アミノ酸の配列、より好ましくは10から20アミノ酸の配列を認識する抗体であれば良い。これらの配列の抗原ペプチドを設計して当該ペプチドを用いて抗体を作製することで、sAPP770β及びsAPP751βは認識せずにsAPP695βを特異的に認識する抗体を得ることができる。このような抗体は、APP695を特異的に結合し、APP770及びAPP751には結合しない能力も併せ持つ。
また、工程(3)においては、適宜sAPP751βを特異的に認識する抗体を用いることができる。「sAPP751β特異的抗体」とは、上記sAPP751βと結合する能力があり、且つsAPP770β及びsAPP695βに結合しない抗体を意味する。このような抗体は、sAPP751βのアミノ酸配列、又は糖鎖付加状態等の情報に基づき、自体公知の方法により調製することができる。具体的には例えば、sAPP751βを特異的に認識する抗体は、配列番号2の配列中、OX2領域の345〜364番目のアミノ酸配列が除かれて且つKPI領域が存在する部分、すなわち344番目と365番目のアミノ酸が連結された部分を含む40アミノ酸の配列、好ましくは30アミノ酸の配列、より好ましくは10から20アミノ酸の配列を認識する抗体であれば良い。これらの配列の抗原ペプチドを設計して当該ペプチドを用いて抗体を作製することで、sAPP770β及びsAPP695βは認識せずにsAPP751βを特異的に認識する抗体を得ることができる。このような抗体は、APP751を特異的に結合し、APP770及びAPP695には結合しない能力も併せ持つ。
APP770特異的抗体、sAPP695β特異的抗体、sAPP751β特異的抗体及びsAPPβを認識する抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれでもよい。また当該抗体には、天然型抗体の他に、遺伝子組換技術を用いて製造され得る抗体、抗体断片、及びこれらの結合性断片も含まれるが、これらに限定されない。結合性断片とは、前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab’)、Fab’、Fab、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilised Fv)、dAb(single domain antibody)等が挙げられる(Exp. Opin. Ther. Patents, Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。
前記抗体は、直接的又は間接的に標識物質により標識されていてもよい。標識物質としては、蛍光物質(例、FITC、ローダミン)、放射性物質(例、32P、35S、14C、H)、酵素(例、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ)、着色粒子(例、金属コロイド粒子、着色ラテックス)、ビオチンなどが挙げられる。
また、前記抗体は、他に何も結合していない可溶性の状態で用いることも可能であるが、固相に結合していてもよい。「固相」としては、プレート(例、マイクロウェルプレート)、チューブ、ビーズ(例、プラスチックビーズ、磁気ビーズ)、クロマトグラフィー用担体(例、ニトロセルロースメンブレンなどの吸水性基材、Sepharose)、メンブレン(例、ニトロセルロースメンブレン、PVDF膜)、ゲル(例、ポリアクリルアミドゲル)、金属膜(例、金膜)などが挙げられる。なかでも、プレート、ビーズ、クロマトグラフィー用担体及びメンブレンが好ましく用いられ、取り扱いの簡便性からプレートが最も好ましく用いられる。上記結合としては、共有結合、イオン結合、物理的吸着などが挙げられ、特に限定されないが、共有結合及び/又は物理的吸着が十分な結合強度を得られるため好ましい。また固相への結合は、固相に直接結合してもよいし、自体公知の物質を利用して間接的に固相に結合していてもよい。
また、非特異的吸着や非特異的反応を抑制するために牛血清アルブミン(BSA)や牛ミルク蛋白などのリン酸緩衝溶液を固相と接触させ、抗体によってコートされなかった固相表面部分を前記BSAや牛ミルク蛋白等などでブロッキングすることが一般に行われる。
APP770特異的抗体、sAPP695β特異的抗体、sAPP751β特異的抗体又はsAPPβを認識する抗体と、Aβの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料との接触は、これらの抗体と生体試料中のsAPP770β等が相互作用できる方法であれば、態様、順序、具体的方法などは特に限定されない。接触は、例えばAPP770特異的抗体又はsAPPβを認識する抗体が固相化されたプレートに生体試料を添加することでなされ得る。また例えば、生体試料をSDS−PAGEなどの手段によって分離し、メンブレンに移して固定した後、抗体と接触させることによってもなされ得る。
なお、かかる接触を保つ時間は、前記抗体と、Aβの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料中に含まれるsAPP770β等とが結合して複合体を形成するのに十分な時間であれば特に限定されないが、通常、数秒〜十数時間である。また、接触を行なう温度条件としては、通常4℃〜50℃であり、4℃〜37℃が好ましく、15℃〜30℃程度の室温が最も好ましい。さらに、反応を行なうpH条件は、5.0〜9.0が好ましく、特に6.0〜8.0の中性域が好ましい。
工程(2)は、上記工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出する工程である。
上記検出には、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出可能な任意の方法を用いることができ、例えばsAPP770βをその分子量に基づき検出する方法や、抗体を利用して検出する方法を用いる。
さらには、本発明によれば神経細胞でのAβ産生と対比して血管内皮細胞でのAβ産生につき判別することを目的に、sAPP695βを検出する工程も含めることができる。この場合、sAPP770βの検出は血管内皮細胞でのAβ産生の指標とし、sAPP695βの検出は神経細胞でのAβ産生の指標として扱うことができる。当該検出には、sAPP695βを検出可能な任意の方法を用いることができ、例えばsAPP695βをその分子量に基づき検出する方法や、抗体を利用して検出する方法を用いる。
また、工程(4)においては、更なる対照として適宜sAPP751βを検出する工程も含めることができる。当該検出には、sAPP751βを検出可能な任意の方法を用いることができ、例えばsAPP751βをその分子量に基づき検出する方法や、抗体を利用して検出する方法を用いる。
sAPP770β、sAPP695β又はsAPP751βをその分子量に基づき検出する方法としては、ゲル電気泳動(例、SDS−PAGEなど)、各種の分離精製法(例、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなど)、及び質量分析計(例、二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型質量分析計(TOF MS)、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計など)による測定、並びにそれらを組み合わせる方法などに供し、所定のマーカーペプチドの分子量と比較し、目的とする分子量のバンド、スポット、又はピークを検出することにより行うことができるが、これらに限定されない。
sAPP770β(又はsAPP695β若しくはsAPP751β)の検出の前に、工程(1)(又は(3))の反応液から上記複合体を単離してもよい。このような単離は、例えばヘパリンとの親和性を利用した単離法、または免疫沈降法などにより行なうことができ、工程(1)(又は(3))で用いる抗体に付加した適当な標識(例えばビオチンなど)を利用してもよい。
上記検出は、複合体が形成された状態で行なってもよい。あるいは、形成された複合体を試料から単離し、該複合体を解離させることによりsAPP770β、sAPP695β又はsAPP751βを遊離させた状態で行なってもよい。
質量分析計を用いる測定は、例えば次のように行なう。まず、工程(1)又は(3)で形成された複合体を、工程(1)又は(3)で用いた抗体に付した標識を利用する方法(例えば免疫沈降法など)により単離する。単離した複合体は、トリプシンなどのプロテアーゼで消化することにより断片化してもよい。配列特異性の高いプロテアーゼで消化することで、生ずるペプチドのパターンに基づきタンパク質の同定を行なうことが可能となる。次いで試料をイオン化及び質量分析に供する。イオン化には、適切なイオン化法(例、電子衝撃イオン化法、フィールドディソープション法、二次イオン化法、高速原子衝突法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法など)を採用することができるが、高分子化合物のイオン化に優れた特性を示すことからMALDI法及びESI法が好ましい。イオン化法と質量分析法の組み合わせとしては、例えばMALDI−TOF MS、ESI−MSなどが挙げられる。また、タンデム質量分析(MS/MS)を組み合わせてもよい。得られた質量スペクトルを、sAPP770β、sAPP695β又はsAPP751βの質量スペクトルと比較することにより、sAPP770β、sAPP695β又はsAPP751βを検出する。
工程(2)でsAPP770βが検出された場合、被験者はAβの蓄積を伴う疾患に罹患しているか又は該疾患を発症する蓋然性が高いと判定することができる。sAPP770βが検出されないか検出限界以下の場合、被験者はAβの蓄積を伴う疾患に罹患していないか又は該疾患を発症する蓋然性が低いと判定することができる。該疾患は好適には脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、又は脳梗塞であるが、アルツハイマー病でも良く、これら疾患に限定されるものでもない。
また、神経細胞でのAβ産生と対比することを目的としてsAPP695β、更にはsAPP751βを検出した場合には、神経細胞でのAβの蓄積を伴う疾患、好適にはアルツハイマー病に罹患しているか又は該疾患を発症する蓋然性が高いと判定することができる。sAPP770βの検出での対象疾患がアルツハイマー病であった場合、前記判定はアルツハイマー病の発症状態をより詳細に判定することができる。
sAPP770βを抗体を利用して検出する方法を採用する場合、本発明の工程(2)は、好ましくは、
(2a)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βと、工程(1)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触する工程;及び
(2b)工程(2a)で形成された複合体を検出する工程;
である。
また、sAPP695βを抗体を利用して検出する方法を採用する場合、前記工程(4)は、好ましくは、
(4a)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βと、工程(3)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
(4b)工程(4a)で形成された複合体を検出する工程;
である。
工程(1)で形成された複合体は、複合体のまま、又は複合体を解離させsAPP770βが遊離した状態で、抗体と接触させることができる。
抗体の標識、sAPP770βとの接触方法及び接触条件についての説明は、上記工程(1)における抗体の標識、生体試料との接触方法及び接触条件ついての対応する記載を適用することができる。
工程(2b)は、工程(1)で形成された複合体と工程(2a)で使用した抗体とからなる複合体、又はsAPP770βと工程(2a)で使用した抗体とからなる複合体を検出する工程である。
検出は、複合体に含まれるsAPP770β又は工程(2a)で使用した抗体を検出することによりなされる。このような検出は、複合体のまま、又は複合体を解離させ可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βが遊離した状態で、行なうことができる。
上記検出は、酵素免疫測定法(EIA法)、蛍光免疫測定法(FIA)、イムノクロマトグラフィー法、ウェスタンブロット法、ラジオイムノアッセイなどにより行うことができ、これらの分析方法は当業者に周知である。
工程(2b)の検出方法として、EIA法を選択した場合、本発明の検出方法を、APP770特異的抗体と可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770β(sAPP770β)を認識する抗体とを用いたサンドイッチELISA法により実施することが好ましい。このようなサンドイッチELISA法は抗原に対する特異性が高いため、本発明の実施に適している。
サンドイッチELISA法は、例えば次のように行なう。まず、工程(1)の抗体をELISA用プレートのウェル表面に固相化する。次いでウェル表面への非特異的な吸着を防ぐためにブロッキングを行なった後、試料を添加し、試料中のsAPP770βを該抗体と接触させて複合体を形成させる。該抗体と結合しなかったタンパク質を洗浄により除去した後、標識した工程(2a)の抗体をウェルに加え、sAPP770βに接触させて複合体を形成させ、該標識により検出・定量を行なう。
サンドイッチELISA法には酵素標識抗体を使用することができる。標識に利用される酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼなどが例示される。酵素の検出に用いられる基質剤としては、選択した標識酵素に応じて適当なものが選ばれる。例えば、酵素としてペルオキシダーゼを選択した場合には、o−フェニレンジアミン(OPD)、テトラメチルベンジジン(TMB)などが使用され、アルカリホスファターゼを選択した場合においては、p−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)などが使用される。また、反応停止液、基質溶解液についても、選択した酵素に応じて、従来公知のものを特に制限なく適宜使用することができる。
サンドイッチELISA法の一種としてアビジン−ビオチン反応を利用した方法が適用可能である。この方法では、例えば試料中のsAPP770βを、固相化した工程(1)で用いる抗体でもって捕捉し、捕捉されたsAPP770βとビオチンで標識した工程(2a)で用いる抗体との間で抗原抗体反応を行なわせる。次に酵素標識ストレプトアビジンを加えて、アビジン−ビオチン反応を行わせる。次いでこの酵素を検出することで、sAPP770βを検出する。
上記のビオチンで標識した工程(2a)で用いる抗体は、ビオチンと、工程(2a)で用いる抗体とを自体公知の方法により結合させることにより製造することができる。このような標識は、例えば、市販のビオチン標識化キットを使用して行なうことができる。酵素標識ストレプトアビジンは、市販のものを使用することもできる。
上記の方法の他に、二次抗体を利用した方法も適用可能である。この方法では、工程(1)で用いる抗体と工程(2a)で用いる抗体についてそれぞれ異なる動物種由来の抗体を用い、工程(2a)で用いる抗体のIgドメインを認識する二次抗体と、工程(2a)で用いる抗体との間で複合体を形成させる。二次抗体は酵素標識したものを用い、この酵素を検出することで、複合体中のsAPP770βの存在が判別される。酵素標識二次抗体は、市販のものを使用することができる。このような二次抗体を用いる方法は、本発明の検出方法の感度を増強し得る。
工程(2b)の検出方法として、FIA法を選択した場合、上記EIA法において標識として用いた酵素を蛍光物質と置換することで、上記のサンドイッチELISA法と同様の方法により、sAPP770βの検出を行なうことができる。
蛍光物質としては、APC、PE、Cy2、Cy3、Cy5、ECD、FITC、PerCP、Alexa(登録商標)Fluor、フルオレセイン、ローダミンなどの化学物質を好ましく利用することができる。これらの化学物質による標識は、自体公知の方法で行なうことができる。
蛍光は、市販の測定機器、蛍光顕微鏡などを用いて検出することができる。
工程(2b)の検出方法として、イムノクロマトグラフィー法を選択した場合、例えば、ニトロセルロースメンブレンなどの吸水性基材にライン状に固相化された工程(2a)の抗体、メンブレン上に展開させた生体試料、及び標識した工程(1)の抗体の三者間で複合体を形成させる。標識した工程(1)の抗体は、生体試料とあらかじめ混合してもよく、あるいは生体試料が工程(2a)で用いる抗体に接触する前に、生体試料と接触するよう、吸水性基材上に供給しておいてもよい。複合体の形成は、標識に応じた手法により検出することができる。例えば、標識として金コロイド粒子を用いる場合、標識した抗体が集積した領域は赤色を呈するため、これにより検出する。
工程(2b)の検出方法として、ウェスタンブロット法を選択することもできる。ウェスタンブロット法(イムノブロット法とも呼ばれる)は、試料中の特定のタンパク質を検出する方法である。変性条件下においてタンパク質をポリペプチドの長さによって、又は非変性条件下においてタンパク質の三次元構造によって分離するために、ゲル電気泳動を行なう。次いでタンパク質をメンブレン(典型的にはニトロセルロース又はPVDF)に移し、固定した後、標的タンパク質を、特異的抗体を使用して検出する。
さらには、神経細胞でのAβ産生と対比して血管内皮細胞でのAβ産生につき判別する目的も含めた場合、工程(4a)及び(4b)ではsAPP695βの検出を工程(2a)及び(2b)におけるsAPP770βの検出と同様に行なうことができる。更なる対照としてsAPP751βの検出を加える場合も工程(2a)及び(2b)におけるsAPP770βの検出と同様に行なうことができる。
本発明における検出工程は、sAPP770βを定量的に検出する工程であることが好ましい。定量は、用いた標識に基づき検出した生体試料についてのシグナルを、sAPP770βの標準試料を使用して作成した検量線を利用して数値化することなど、自体公知の方法により行なうことができる。sAPP770βの標準試料は、生体試料から調製したsAPP770βでもよく、またsAPP770βをコードする遺伝子情報に基づき自体公知の遺伝子工学的技術により調製することもできる。
神経細胞でのAβ産生と対比して血管内皮細胞でのAβ産生につき判別する目的の為に、検出対象としてsAPP695βの検出を加えた場合は、上述の工程(2a)及び(2b)でのsAPP770βの扱いと同様にsAPP695βを扱うことができる。更にはsAPP751βを検出する場合も同様である。
本発明の方法より得られた結果を利用して、Aβの蓄積を伴う疾患に罹患しているか、及び該疾患を発症する可能性があるかについて診断することができる。このような診断は、被験者由来の生体試料中のsAPP770βのレベルを、健康な又は若年対象からの対照試料中のsAPP770βの濃度範囲(統計学的研究により調べることができる)と比較することにより行なうことができる。また同一の被験者について、以前に測定したレベルと比較することによっても診断を行なうことができる。
基準となるsAPP770βレベルは、目的に応じて設定される適切な基準である。sAPP770βは、健常人であっても老化に伴って量的な増加が認められ得る。そこで、疾患対照群と年齢層の一致した健常人の「平均値+2標準偏差」をcut off値と設定し、cut off値を上回る場合、「アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患」である可能性が高い、と診断される。
また本発明の方法を用いて、Aβの蓄積を伴う疾患を治療中の患者について、治療の効果を評価することもできる。このような患者から、治療前、治療中及び/又は治療後に生体試料を採取し、sAPP770βの濃度の変化を調べることで治療の効果を知ることができる。例えば、後の生体試料中のsAPP770βの濃度が先の生体試料中のものよりも低ければ、その治療を有効であると評価することができる。また、認知症治療薬の中には、CAAを引き起こす可能性のある例も知られており、本発明の方法を用いて、治療薬投与患者においてCAAの危険予知診断を行うことも可能である。
さらには、本発明によれば神経細胞でのAβ産生と対比して血管内皮細胞でのAβ産生につき判別することができ、この場合、血管内皮細胞でのAβ産生は生体試料中のsAPP770βレベルを指標とし、神経細胞でのAβ産生は生体試料中のsAPP695βレベルを指標として判別することができる。
血管内皮細胞でのAβ産生の指標となるsAPP770βレベルは、Aβ蓄積を伴う疾患、好適には脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞若しくはアルツハイマー病、より好ましくは脳血管内でのAβ蓄積を病因とする脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞に罹患しているか又は該疾患を発症する蓋然性が高いとする判定に利用される。神経細胞でのAβ産生の指標となるsAPP695βレベルは、脳実質部分でのAβ蓄積を伴う疾患、好適にはアルツハイマー病に罹患しているか又は該疾患を発症する蓋然性が高いとする判定に利用される。
これらの判定を併せた診断では、脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症若しくは脳梗塞とアルツハイマー病を対象疾患、又はこれら疾患の併発を対象として、これら疾患を単独に対象として判定若しくはこれら疾患の併発状態を対象として判定することができ、又はその可能性を判定することができる。また、前記sAPP770βレベルによる判定の対象疾患とsAPP695βレベルによる判定の対象疾患がともにアルツハイマー病であった場合には、当該診断はアルツハイマー病の発症状態をより詳細に判定することができる。
更に本発明は、公知のアルツハイマー病の診断と併用することができ、本発明以外のアルツハイマー病診断としては、NINCDS-ADRDA、DSM-IVを診断基準として用いた臨床診断、体液中のアミロイドβペプチド42の低下を指標とした診断方法、体液中のタウ若しくはリン酸化タウの増加を指標とした診断方法、体液中のBACE1活性による糖鎖代謝物の増減を指標とした診断方法、アミロイドイメージングによるAβ凝集を指標とした画像診断、脳の部分的な委縮を指標とした画像診断などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、上記アルツハイマー病診断と併せた場合、本発明はアミロイドβペプチドに対する抗体を用いたアルツハイマー病の免疫治療において報告された、ある種の抗体で脳血管アミロイドアンギオパチーに伴って微小出血を増大させる副作用につき、その危険性を予測することも可能とする(Hartman, R.E., et al., J. Neurosci., 25, 6213-6220 (2005)、Racke, M.M., et al., J. Neurosci., 25, 629-636 (2005).)。
血管内皮細胞でのAβ蓄積が脳実質部分側に移行してアルツハイマー病の症状に影響している可能性より、本発明によるsAPP770βの検出はアルツハイマー病の病態に関する診断マーカーとして用いることができる。このことは、塞栓が脳微小血管の再開通において血管外に漏出される知見に基づく(Nature. 2010 May 27;465(7297):478-82.)。即ちこの知見から、Aβ蓄積は塞栓としても存在するので、脳微小血管の再開通においてAβが血管外に漏出され、当該Aβが結果として脳実質部分でのAβ蓄積となってアルツハイマー病の病態に影響する可能性を示す。
従って、本発明でのsAPP770βの検出は、脳微小血管から移行したAβの蓄積する可能性、或いは脳血管アミロイドアンギオパチーとの相関よりアルツハイマー病の診断を可能にするものである。sAPP695βの検出によるアルツハイマー病の診断は神経細胞から産生された脳実質部分でのAβ蓄積に着目しているので、sAPP770βの検出によるアルツハイマー病の診断は、sAPP695βの検出による診断とは異なる原理によってアルツハイマー病の診断を可能とする。これは、sAPP770βの検出とsAPP695βの検出を併せたアルツハイマー病の診断は、それぞれを単独で行うよりも詳細にアルツハイマー病の病状を診断できることも意味する。
一態様において、本発明の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法は、工程(1)及び(2)に代えて、下記の工程:
(1’)アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料と、アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体を接触させる工程;及び
(2’)工程(1’)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770を検出する(好ましくは定量的に検出する)工程
を含む、検出方法であり得る(以下、検出方法IIとも言う)。
工程(1’)は、検出方法Iの工程(1)と同様である。
工程(2’)において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770とは、少なくともsAPP770βを含む、アミロイドβ前駆体タンパク質770切断産物(APP770のN末端側断片)を意味する。即ち、工程(2’)においては、sAPP770βと共に、他のアミロイドβ前駆体タンパク質770切断産物(APP770のN末端側断片)(例、sAPP770α)も検出される。被験者においてβ切断活性が健常者よりも高い場合、工程(2’)において可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770を検出(好ましくは定量的に検出)することによって、実質的に被験者の疾患の診断、又はその危険性を予測することが可能である。
その他の点については、検出方法Iについての記載を検出方法IIに適用することができる。
2.アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の診断薬
本発明は、アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体及び/又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体を有効成分とする、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の診断薬を提供する。本発明の診断薬の有効成分である抗体は、「1.可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法」に記載の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体及び/又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体である。
本発明の診断薬は、上記抗体のみからなるものであってもよいし、医薬的に許容される担体を含んでいてもよい。医薬的に許容される担体としては、本発明の診断薬を液剤として調製する場合、製剤素材として慣用されている各種担体、例えば希釈剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤などを含んでいてもよい。さらに抗体の凝集を防ぐために、Tween20(登録商標)などの界面活性剤を添加するのが好ましい。これらの配合比は、当業者が適宜決定することができる。
本発明の診断薬を用いて、Aβの蓄積を伴う疾患が疑われる被験者由来の生体試料について、前記の本発明の検出方法により内皮細胞由来のsAPP770βを検出することで、Aβの蓄積を伴う疾患に罹患しているか否かを診断することができる。本発明の診断薬の使用により、Aβの蓄積を伴う疾患の診断が簡便且つ高精度となる。一態様において、本発明のAβの蓄積を伴う疾患の診断薬は、脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞又はアルツハイマー病の診断薬である。
3.アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の診断用キット
本発明は、アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体及び可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体を有効成分とする、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患の診断用キットを提供する。本発明の診断用キットの有効成分である抗体は、「1.可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法」に記載の抗体である。
本発明の診断用キットには、上記抗体の他にsAPP695β特異的抗体、sAPP751β特異的抗体などの抗体、又は試薬などが含まれていてもよく、これらの抗体又は試薬などは、あらかじめ上記抗体と一緒になっていてもよいし、別々の容器に格納されていてもよい。抗体又は試薬などとしては、「1.可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法」に記載したような二次抗体、基質剤、標識物質(例、蛍光色素、酵素)、固相、反応容器の他に、処理液や抗体を希釈するための緩衝液、陽性対照(例、組換えsAPP770β)、陰性対照、プロトコールを記載した指示書などが挙げられる。これらの要素は、必要に応じてあらかじめ混合しておくこともできる。
本発明の診断用キットにおいては、抗体はあらかじめ固相化されていてもよく、該抗体はあらかじめ標識されていてもよい。本発明の診断用キットにおいて用いることができる固相としては特に限定されず、例えば、ポリスチレンなどのポリマー、ガラスビーズ、磁性粒子、マイクロプレート、イムノクロマトグラフィー用濾紙、ガラスフィルターなどの不溶性担体を挙げることができる。好ましくはサンドイッチELISA法に用いるマイクロプレートである。
本発明の診断用キットの形態も特に限定されないが、簡便に診断を行なうことを目的として、本発明の診断用キットの構成成分が一体となった一体型の診断用キットとすることができる。一体型の診断用キットの形態としては、例えば、イムノクロマトグラフィー法を用いるカセット型が挙げられる。
本発明の診断用キットの使用により、Aβの蓄積を伴う疾患の診断が簡便且つ高精度となる。一態様において、本発明のAβの蓄積を伴う疾患の診断用キットは、脳血管アミロイドアンギオパチー、脳血管性痴呆症、脳梗塞、又はアルツハイマー病の診断用キットとして用いられる。
以下に実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明において使用する試薬や装置、材料は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。
(材料)
本研究において使用した材料の供給源は次の通りである:組織培養培地及び試薬(DMEMを含む)はInvitrogenから;組換えペプチドN−グリコシダーゼF(PNGase)はNew England BioLabsから;O−グリコシダーゼはRocheから;Arthrobacter ureafaciensシアリダーゼはナカライテスクから;プロテインA−セファロースFast FlowはGE Healthcareから;タンパク質分子量スタンダードはBio-Radから;一連のレクチン結合アガロースは生化学工業株式会社から;Aβ40はPeptide Instituteから;BCAプロテインアッセイ試薬及びsulfo-NHS-LC-biotinはThermo Fisher Scientific Inc.から;他の全ての化学製品はSigma又はWako Chemicalsから。オリゴDNAプライマーは、Invitrogenより入手した。使用したプライマーを表1に示す。内因性膜結合(インタクトな)APPに対する抗APPウサギポリクローナル抗体(C15抗体)は、丸山敬先生(埼玉医科大学、埼玉、日本)から提供していただいた。使用した商業的に入手可能な抗体は次の通りである:マウスモノクローナル抗−APP 22C11抗体(Chemicon);抗ヒトsAPPα抗体(6E10;Signet Laboratories);抗GAPDH抗体(Chemicon);抗KPI抗体(Chemicon);抗OX2抗体(Chemicon);抗ヒトsAPPβ抗体(IBL Co.);ヤギポリクローナル抗PECAM抗体(Santa Cruz Biotechnology)。臨床研究は、理化学研究所及び福島県立医科大学の倫理委員会の承認を受けた。全ての動物実験は、理化学研究所の動物実験のためのガイドラインに従って実施した。
(発現プラスミド及び細胞培養)
ヒトAPP770 FLAG−pEFは、PCR(プライマー1及び2を使用)により増幅したヒトAPP770配列を(ベクターの)SalI及びHindIII部位に挿入することにより構築し、FLAG領域断片は、プライマー3及び4をHindIII及びXbaI部位にアニールさせることにより作製した。ViraPowerアデノウイルス発現系(Invitrogen)を製造者のプロトコールに従って使用し、ヒトAPP−FLAGを保持する組換えアデノウイルスを作製した。一連のAPP770−pcDNA3.1変異体は、QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)を使用して作製した。APPOX2All変異体(OX2領域において全ての可能性のあるO型糖鎖付加部位を欠失させた)を作製するために、まずAPPS346,348Aを構築し、その後、APPS346,348Aを鋳型として使用し、プライマーとしてAPPSOX2Aforward及びreverseを使用して、APPOX2All変異体を作製した。APPAll変異体(APP770領域全体において全ての報告されているO型糖鎖付加部位(J Proteome Res 2009 8(2):631-642)を欠失させた)を作製するために、本発明者らは鋳型としてAPPOX2All変異体を使用し、プライマーとしてAPPT291,292Aforward及びreverse並びにAPPT651Aforward及びreverseを使用して、Thr291、Thr292及びThr651をAlaに置換した。ヒト脳血管内皮細胞(BMEC、Applied Cell Biology Research Institute)は、10% FBSを含む又は含まないCS−C完全培地で培養し、継代4代以内に使用した。HUVEC(TaKaRa)は、2% FBS及びEGMTM-2 SingleQuotsを含むEMB−2(TaKaRa)で培養し、継代4代以内に使用した。初代肝臓類洞内皮細胞(LSEC)は、CD146 MicroBeads(Miltenyi Biotec)を製造者のプロトコールに従って使用してマウス肝臓から調製した。COS−7細胞は、10%FBSを含むDMEMで培養した。
(患者及び試料)
非ケトン性高浸透圧性昏睡により死亡した患者(60歳)を本試験に採用した。CSF試料は、ADを有する患者から採取した。本試験は、福島県立医科大学の倫理委員会による承認を受けた(No.613)。
(APP転写産物のPCR解析)
Sepasol試薬(ナカライテスク株式会社)を使用して、細胞から全RNAを単離し、5μgの単離したRNAを、Super Script III RT Kit(Invitrogen)を製造者のプロトコールに従って使用してランダムヘキサマーを用いて逆転写した。得られたcDNA試料を、APP695、APP751及びAPP770についてはプライマーA及びD、APP751及びAPP770についてはプライマーB及びD、並びにAPP770についてはプライマーC及びDを用いてPCR解析に供した。PCRは、28サイクル実施した(95℃で40秒、56℃で40秒、72℃で90秒)。
(免疫組織化学)
脳組織を、リン酸緩衝15%ホルマリン溶液で固定し、パラフィルムに包埋した。1組の連続切片(厚さ5μm)について、一方をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。他方を37℃で一晩、抗OX2抗体(1:100)でインキュベートした後、ビオチン化抗ウサギIgG(1:200)でインキュベートした。結合した抗原を、アビジン・ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体法(ABCキット;Vector Laboratories)を用いて可視化した。
(ウェスタンブロッティング)
細胞ライセートを、プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)を含むT−PER緩衝液中で可溶化し、SDS−PAGE(5〜20%勾配ゲル)に供した後、ニトロセルロース膜に移した。次いで膜を、抗APP 22C11(1:1,000希釈)、抗APP C15(1:1,000希釈)、抗sAPPβ(1:500希釈)、抗sAPPα(1:1,000希釈)、抗KPI(1:250希釈)及び抗OX2抗体(1:250希釈)とインキュベートした。適切な、西洋ワサビペルオキシダーゼ−ロバ抗ヤギIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories)、抗マウス及び抗ウサギIgG(GE Healthcare)抗体を、二次抗体(1:1,000希釈)として使用した。化学発光基質(Thermo Fisher Scientific Inc.)を、結合した抗体の検出に使用した。ローディングコントロールとして、同じ膜を使用して、抗GAPDH抗体(1:250希釈;Chemicon)とインキュベートすることにより、GAPDHを検出した。検出されたシグナルを、Luminoimage Analyzer LAS-1000 PLUS(富士フイルム)を使用して定量した。BMECからの培地は、SSA−又はConA−アガロースと16時間インキュベートした。ヒトCSF(0.2〜0.5ml)又は培養した細胞からの培地は、ヘパリン−セファロース(Thermo Fisher Scientific Inc.)とインキュベートした。沈殿は、SDS−PAGEの前に、PBSで3回洗浄した。
(Aβの定量)
BMECを、APP770−FLAG過剰発現用アデノウイルス調製物で感染させ、Opti-MEMで8時間培養した。培地中のAβ40及びAβ42のレベルは、BMECについてはHuman Amyloid β(1-40) or (1-42) Assay Kit (IBL Co.)を、マウスニューロンについてはHuman/Rat βAmyloid (40) or (42) ELISA Kit(Wako Chemicals)を使用して決定した。
(グリコシダーゼによる消化)
細胞ライセート又は培地からヘパリンにより沈殿させた試料を、Arthrobacter ureafaciensシアリダーゼ(4μU)及び/又はO−グリカナーゼ(2mU)の存在下又は非存在下で18時間インキュベートした。
(細胞表面のビオチン化)
10cm培養皿で増殖させたBMECを、Sulfo-NHS-LC-Biotinで4℃にて30分間標識した。0.1Mグリシンを含むPBS(pH8.0)で3回、PBSで1回、細胞を洗浄した後、細胞ライセートを調製した。更なる分析のために、ビオチン化した細胞表面タンパク質を、ストレプトアビジン−セファロース(GE Healthcare)でプルダウンした。
(ベンジルGalNAc処理)
10cm組織培養皿で増殖させたサブコンフルエントなBMECを、ベンジルGalNAc(2mM)の存在下で18時間インキュベートし、その後、更なる分析のために、細胞ライセート及び培地試料を調製した。
実施例1
本実施例に、APPの選択的スプライシングによる3種類のアイソフォームの細胞型特異的な発現を説明する。
ヒト脳は、3種類の選択的スプライスによるAPP mRNAアイソフォーム、APP695、APP751及びAPP770を発現する(Nature 1988 331(6156):525-527; Nature 1988 331(6156):528-530)(図1A)が、ニューロンはAPP695に限って発現する(Proc Natl Acad Sci U S A 1993 90(20):9513-9517; Proc Natl Acad Sci U S A 1990 87(4):1561-1565; Proc Natl Acad Sci U S A 1989 86(16):6338-6342)。これらの情報から、脳において細胞型特異的なAPPのスプライシング現象が起こることが示唆される。本実施例において、本発明者らは脳内皮細胞に着目し、確立した初代ヒト脳微小血管内皮細胞(BMEC)を使用し、脳内皮APPを解析した。抗APP C末端抗体(C15)を使用したウェスタンブロット解析により、BMECが、初代ニューロンと比較して同等のレベルの、又はむしろ高いレベルのAPPを発現することを示した(図1B)。内皮APPは、SDS−PAGE後のゲル移動度の異なる、2つの別々のバンドを示した。抗KPI抗体及び抗OX2抗体も、2つの内皮型APPを検出したことから、内皮細胞がAPP770を発現すると結論付けた。抗KPI抗体も抗OX2抗体も、ニューロンのAPPを検出しなかったことから、ニューロンはAPP695のみを発現するという以前の報告(Proc Natl Acad Sci U S A 1993 90(20):9513-9517; Proc Natl Acad Sci U S A 1990 87(4):1561-1565)が確認された。抗KPI抗体又は抗OX2抗体でBMECライセートを分析した場合には、2つのAPPのバンドの間にさらに1つのバンドが見出された。このバンドは、APPのC末端配列を欠く、APP又はsAPPのプロセスされた形態である可能性が高い。ヒト臍帯血由来血管内皮細胞(HUVEC)も、発現レベルはBMECにおけるものよりも顕著に低かったものの、2種類の型のAPPを発現し、APP770が内皮細胞において広く発現していることが示された。
APP転写産物を分析するために、本発明者らは、内皮細胞及び初代ニューロンからRNAを単離した。次いで、逆転写したcDNA試料を、一連のオリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCRにより分析し、APP695、APP751及びAPP770を検出した。図1Cに示すように、ニューロンがAPP695を発現したのに対し、内皮細胞はAPP770を発現し、APP695を発現しなかった。これらの結果から、細胞型特異的APP発現が確認された。
実施例2
本実施例に、APP770の糖鎖付加状態について説明する。
APPは、2つのN結合型、及び複数のO結合型糖鎖を有する可能性がある(Biochim Biophys Acta 1999 1472(1-2):344-358; J Proteome Res 2009 8(2):631-642; J Biol Chem 1998 273(11):6277-6284)ことから、本発明者らは、高分子量APP770(APP−H)は高度に糖鎖付加されていると予想した。一連のレクチンプルダウンアッセイの結果(図2)に基づき、APP−H及び低分子量APP770(APP−L)を、それぞれSambucus sieboldiana凝集素(SSA)−及びコンカナバリンA(ConA)−アガロースにより分離し、ペプチドN−グリコシダーゼ(PNGase)で消化し、N結合型糖鎖を除去した。図4Aに示すように、PNGase処理後、2つの形態のAPPはいずれも、処理前よりもSDS−PAGEゲル内でわずかに早く移動した。したがって、両形態がN結合型糖鎖を有すること、及び両形態の分子量の違いはN結合型糖鎖のみでは説明できないことが示された。
APP−Hは、Siaα2,6Gal/GalNAcを認識するSSAレクチンに対して親和性を有することから、本発明者らは、APP−Hがシアル酸残基を有するO結合型糖鎖を含むと予想した。シアリダーゼ処理の後、APP−Hの移動度は顕著に変化し、APP−Lのものに近くなった(図4B)。シアリダーゼとO−グリコシダーゼでの処理の後、APP−Hの移動度はAPP−Lのものと完全に一致した。O−グリコシダーゼは置換されていないコア1型O結合型糖鎖のみを切断することから、本発明者らは、APP−Hがシアル酸化されたコア1型O結合型糖鎖を有すると結論付けた。COS細胞においてAPP695、APP751又はAPP770を過剰発現させた場合、APPの2つの形態の間の移動度の差は、APP770の場合には常に明確に見られた(図3)。これらのデータは、OX2領域におけるO結合型糖鎖の存在を示唆する。
そこで本発明者らは、OX2領域内の各Ser/Thr残基を個別にAlaに置換した、一連のAPP770変異体を作製した(図4C)。次いで、野生型APP770及びその変異体を、COS細胞において過剰発現させた。O結合型糖鎖付加機構はCOS細胞においては十分には発達していないが、本発明者らは、低レベルのAPP−Hを検出した(図4D)。Ser346、Ser348及びThr352における変異は、SDS−PAGEゲルにおけるAPP変異体の移動度には影響しなかったが、APPT353A変異体(Thr353をAlaに置換した)は、野生型APPよりも速く移動した(図4D)。これらの結果は、O結合型糖鎖がThr353に付加されていることを示唆する。
APPT353A及びAPPOX2all(OX2領域内の全てのSer/Thr残基をAlaへと変異させた)の両方がなおも2つの別々のバンドを示したという知見は、APP770のOX2領域以外の領域にO結合型糖鎖付加部位がさらに存在することを示唆する。Perdivaraら(J Proteome Res 2009 8(2):631-642)は最近、APP695が、Thr291、Thr292及びThr576においてO結合型糖鎖で修飾されることを示した。そこで本発明者らは次に、APP770変異体APPall(APPOX2allからさらに、Thr291、Thr292、Thr651(APP695についてはThr576)及びThr652をAlaに置換した)を作製した。APPallはほぼ単一のバンドを示し(図4D)、このことは本発明者らが、APPall変異体においてAPP770の全てのO結合型糖鎖付加部位を変異させたことを示す。
実施例3
本実施例に、脳血管内皮細胞BMECから分泌されるsAPPの糖鎖付加状態について説明する。
本発明者らは、内皮細胞におけるAPP代謝産物を分析するために、抗APP 22C11抗体(APPのN末端領域を認識する)を用いて、BMECライセート及び培地試料のウェスタンブロット解析を行なった。図5Aに示すように、培地において、細胞ライセートにおいて見られた2つのAPP(APP−H及びAPP−L)のバンドの間の移動度を有する単一のsAPPのバンドを検出した。このことはsAPPがAPP−Hのみに由来することを示唆する。実際、sAPPは、シアリダーゼ及びO−グリコシダーゼ処理の両方に感受性であり(図5B)、このことはsAPPが、シアル酸化されたコア1型O結合型糖鎖鎖を含むことを示す。
本発明者らが、O結合型糖鎖を有さないsAPPを検出できなかったことは、注目すべき点である。α部位におけるAPPの切断は細胞表面において起こるように見える一方、β部位における切断はエンドサイトーシス経路の間に起こる(J Cell Biol 2003 160(1):113-123)という一般的側面を考慮すると、O結合型糖鎖付加のないAPPは細胞表面に移動できず、α−セクレターゼとβ−セクレターゼのいずれにも接触できないという可能性も考えられた。しかしながら、細胞表面ビオチン化実験により、APP−H及びAPP−Lの両方が細胞表面に到達することが示された(図5C)。さらに、ベンジルGalNAc(O結合型糖鎖鎖伸長の阻害剤)は、培地へのsAPPの分泌を阻害しなかった(図5D)。これらのことは、APP770が分泌経路に入るためには、APP770に1つのGalNAcが付加されれば十分であることを示唆する。
実施例4
本実施例において、APP770がヒト脳血管において発現し、α及びβ部位において切断され、CSFへと分泌されることを説明する。
APP770のプロセシングについて、内皮のαセクレターゼ及びβセクレターゼの発現レベル及び活性に関しては限られた情報しか存在しないことから、本発明者らはBMECから分泌される可溶性sAPP770を解析した。sAPPα及びsAPPβに対する特異的抗体を使用したところ、sAPPα及びsAPPβの両方が検出された(図6A)。
内皮細胞にはアミロイド産生性のβセクレターゼ経路が存在することから、これらの細胞がγセクレターゼ活性も有し、Aβペプチドを産生すると考えることができる。APP770を過剰発現するBMECの培地において、Aβ40及びAβ42の両方が検出され、内皮のAβ42/Aβ40の比は、ニューロンにおけるものと同様であった(図6B)。
APP770が脳血管において実際に発現しているか否かを明らかにするために、本発明らはまず大脳皮質切片を抗OX2抗体を用いて分析し、APP770の局在を決定した。静脈及び細静脈の内皮細胞の内腔領域は抗OX2抗体で染色されたが、平滑筋細胞は染色されなかった(図6C)。くも膜の血管においては免疫組織化学的シグナルは観察されなかった。
次に、CSFがsAPP770β(APP770のN末端側のβセクレターゼ切断産物)を含むか否か調べた。ヘパリン−アガロースを用いてsAPPをCSFからプルダウンし、次いで抗APP22C11抗体、抗OX2抗体及び抗sAPPβ抗体を用いて免疫染色を行なった。抗APP22C11抗体により2つのバンドが検出され、それらのうち上のバンドのみが抗OX2抗体により検出された(図6D)。このことは、上のバンドがAPP770由来であることを示す。上下のバンドが両方とも抗sAPPβ抗体により検出されたことは、両形態ともにβセクレターゼ切断産物を含むことを示す。これらの結果は、対象から採取したCSFが、生体内の内皮細胞によるsAPP770βの産生の有無を調べるための試料として採用され得ることを示す。
本発明により、内皮細胞由来の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出することができる。得られるデータは、アルツハイマー病などのアミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患について診断するために利用することができる。また本発明の診断薬及び診断用キットを用いることにより、アミロイドβペプチドの蓄積を伴う疾患に罹患しているか否かを簡便且つ高精度に診断することができる。
本出願は日本で出願された特願2010−171122(出願日:2010年7月29日)を基礎としており,その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (12)

  1. 下記の工程:
    (1)脳血管アミロイドアンギオパチーの罹患を疑われる被験者由来の生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触させる工程;及び
    (2)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βを検出する工程、ここで可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βレベルが基準値と比較して高い場合に、被験者は脳血管アミロイドアンギオパチーに罹患しているか又は脳血管アミロイドアンギオパチーを発症する蓋然性が高い
    を含む、血管内皮細胞由来の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βの検出方法。
  2. 工程(1)において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体のいずれか一方を使用し、
    工程(2)が、
    (2a)工程(1)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βと、工程(1)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体とを接触させる工程;及び
    (2b)工程(2a)で形成された複合体を検出する工程、ここで検出された可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質770βレベルが基準値と比較して高い場合に、被験者が脳血管アミロイドアンギオパチーに罹患しているか又は脳血管アミロイドアンギオパチーを発症する蓋然性が高い
    である、請求項1に記載の検出方法。
  3. 生体試料が血液、血漿又は血清である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 生体試料が脳脊髄液である請求項1又は2に記載の方法。
  5. 生体試料が血管内皮細胞の培養上清である請求項1又は2に記載の方法。
  6. 工程(1)、(2)に加えて、下記の工程:
    (3)前記生体試料と、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
    (4)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βを検出する工程;
    を含み、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βの検出も含めた、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(3)において、可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又はアミロイドβ前駆体タンパク質695特異的抗体のいずれか一方を使用し、
    工程(4)が、
    (4a)工程(3)で形成された複合体中の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695βと、工程(3)で使用しなかった他方の可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体又は可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体とを接触させる工程;及び
    (4b)工程(4a)で形成された複合体を検出する工程;
    である、請求項6に記載の検出方法。
  8. 工程(1)における生体試料が血液、血漿、血清、血管内皮細胞の培養上清又は脳脊髄液であり、工程(3)における生体試料が脳脊髄液である請求項6又は7に記載の方法。
  9. アミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体がOX2ドメインを認識する抗体である請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体及び/又はアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体を有効成分とする、脳血管アミロイドアンギオパチーの診断薬。
  11. 可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質βを認識する抗体及びアミロイドβ前駆体タンパク質770特異的抗体を含む、脳血管アミロイドアンギオパチーの診断用キット。
  12. 可溶型アミロイドβ前駆体タンパク質695β特異的抗体を更に含む、請求項11の診断用キット。
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