JP5870963B2 - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents
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Description
アルミニウム(AL)などのハーフ蒸着を、静電気シールド性包装材に利用する技術は、非常に古くから実施されている技術である。また、一般に電子部品等の包装のための積層フィルムとして、ポリオレフィン系基材フィルムの片面又は両面に静電気障害を防止するためにカーボン、金属等を含有させて導電性を付与したものが使用されている。しかし、このような従来の積層フィルムではバリア性が乏しく、電子部品が湿気や酸素によって酸化損傷するという問題があった。
また、フィルムの柔軟性が十分でないと、フィルムの伸びや折り曲げによりフィルムにクラックが入り、フィルムのバリア性が低下する問題があった。したがって、フィルムに耐衝撃性および柔軟性を持たせることも重要とされていた。
さらに、内容物を識別できる透明性をもつ透明バリアフィルム(IBフィルム)に、静電気シールド性を付与した積層体に関しては、プラスチック基材フィルムに無機酸化物を蒸着し、更にバリアコート層およびハーフ蒸着層を設け、さらにバリアコートを積層することを特徴とする積層体が提案されている(特許文献1)。
しかし、バリアコート層の上にハーフ蒸着層を積層しても、ガスバリア性は向上しないため、この積層体においては、ガスバリア性が十分でないという問題があった。
また、本発明者は、フィルムの伸びや折り曲げによるフィルムのクラックの防止のために、既存の透明バリアフィルム(IBフィルム)において、基材に蒸着する透明ガスバリア層として、化学気相成長法(CVD法)を用いて蒸着した有機酸化ケイ素膜を設け、本発明ガスバリア性積層フィルムにフィルムの伸び等によるクラックを防止するための柔軟性を持たせることに成功した。
2倍向上させることができる。
このような強密着処理層の形成により、ガスバリア性が向上するのはガスバリア性塗布膜、強密着処理層および半透明金属薄膜層の密着性が向上するためと考えられる。
1.本発明のガスバリア性積層フィルムの構造
本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、ポリアミド以外のプラスチック材料からなる基材フィルムの少なくとも一方の面に、透明ガスバリア層を設け、その上に更にガスバリア性塗布膜を積層した積層フィルムにおいて、前記ガスバリア性塗布膜表面に易接着処理をすることにより強密着処理層を形成し、さらにその上に半透明金属薄膜層を積層した5層構成を基本構造とするものである(図1)。
また、透明ガスバリア層とガスバリア性塗布膜を、この順に2回以上繰り返し積層することもできる。
積層包装体を包装袋の形態で製造する場合は、ガスバリア性積層フィルムを中間層として、これに接着剤層を介してさらに別基材フィルムを積層し、最外層に帯電防止コート層および帯電防止フィルムを積層することが好ましい。
本発明の基材フィルムとして、化学的または物理的強度に優れ、無機酸化物または無機窒化物の蒸着薄膜層を形成する条件等に耐え、蒸着薄膜層の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるポリアミド以外のプラスチック材料からなるフィルムないしシートを使用することができる。また、半透明金属薄膜層の透明性を生かすために透明な基材フィルムであることが好ましい。
本発明において、基材フィルムの膜厚は、6〜188μmであり、より好ましくは、9〜25μmである。
ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
本発明において、基材フィルムに積層する透明ガスバリア層は、ケイ素酸化物と、グラファイト状、ダイヤモンド状およびフラーレン状のいずれかである炭素単体および/または酸化ケイ素分子鎖に結合した炭素化合物とを含有する連続層であり、かつ、透明ガスバリア層の表面から深さ方向に向かって炭素含有量が減少している。
透明ガスバリア層は、ケイ素酸化物を主体とする連続層である。透明ガスバリア層を構成するケイ素酸化物は、SiOx(x=1〜2)の薄膜、好ましくは連続層であり、厚み
は10〜3000Å、好ましくは60〜400Å程度である。特に、透明性の点から、ケイ素酸化物の連続層は、SiOx(x=1.7〜2)である薄膜が好ましい。
つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノールなどの水酸基誘導体などを挙げることができる。上記以外でも、蒸着過程の条件を変化させることにより透明ガスバリア層に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。これらの化合物の透明ガスバリア層中の含有率は、0.1〜50%、好ましくは5〜20%程度である。この含有率が0.1%未満であると、透明ガスバリア層の耐衝撃性、延展性が不十分となり、曲げなどによってクラックの発生がみられ、高いバリア性を安定して維持することができなくなる。また、含有率が40%を超えると、バリア性が低下し好ましくない。さらに、本発明では、透明ガスバリア層中の上記の化合物の含有量を透明ガスバリア層の表面から深さ方向へ向かって減少させることが好ましい。これにより、透明ガスバリア層の最表面においてケイ素酸化物の連続層は上記化合物によって耐衝撃性を高められ、一方、基材フィルムとの界面では上記化合物の含有量が少ないため、基材とケイ素酸化物連続層との密着は強固なものとなる。
透明ガスバリア層の蒸着は、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)により行うことができ、膜質の異なる蒸着薄膜層を多層で積層することができる。本発明で利用する化学気相成長法には、例えば、プラズマCVD法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等が含まれる。
Vapor Deposition)装置の一例を示す図である。図2において、プラズマCVD装置11は、チャンバー12、このチャンバー12内に配設された供給ローラ13、巻取ローラ14、冷却・電極ドラム15、補助ローラ16を備え、冷却・電極ドラム15は電源17に接続されているとともに、チャンバー12内は真空ポンプ18により所望の真空度に設定できるようになっている。さらに、チャンバー12内の冷却・電極ドラム15の近傍には、原料供給ノズル19の開口部が位置しており、この原料供給ノズル19の他端は、チャンバー12外部に配設されている原料揮発供給装置21およびガス供給装置22に接続されている。また、冷却・電極ドラム15の近傍にはマグネット23を設置し、プラズマの発生を促進している。
上述のようなプラズマCVD装置11の供給ローラ13に、基材フィルム1の原反を装着し、補助ローラ16、冷却・電極ドラム15、補助ローラ16を経由して巻取ローラ14に至る図示のような原反搬送パスを形成する。
このように透明ガスバリア層が形成された基材フィルム1は巻取ローラ14に巻き上げられる。
本発明のガスバリア性塗布膜は、アルコキシドと水溶性高分子とをゾル−ゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布してなるものである。これにより、フィルムのガスバリア性をさらに向上させることができる。
(1)アルコキシド
該ガスバリア性組成物において用いることができるアルコキシドとしては、一般式R1 nM(OR2)m(式中、R1およびR2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドを好ましく用いることができる。
また、本発明において、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表され
る有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表され
る有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100重量部に対して5〜500重量部の範囲であることが好ましい。上記において、500重量部を越えると、バリア性被膜の脆性が大きくなり、その耐侯性等も低下することから好ましくない。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂として、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製PVA110(ケン化度=98〜99%、重合度=1100)、PVA117(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)、PVA124(ケン化度=98〜99%、重合度=2400)、PVA135H(ケン化度=99.7%以上、重合度=3500)、同社製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)及びゴーセノールNH−18(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)等を使用することができる。
本発明において、本発明に係るバリアコートを形成するガスバリア性組成物を調製するには、シランカップリング剤等も添加することができる。
本発明において、シランカップリング剤は、無機物と反応する加水分解基、及び有機物と反応する有機官能基の両方を一分子中にもつ有機ケイ素化合物からなる。無機物と反応する加水分解基としては、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、アセトキシ基及びクロロ基などが挙げられる。また、有機物と反応する有機官能基としては、水酸基含有アクリル樹脂中の水酸基又はイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基が好ましく、例えばイソシアネート基、アミノ基、エポキシ基及びメルカプト基が挙げられる。また、ビニル基及びメタクリルオキシ基などであってもよい。
アルコキシドと水溶性高分子とを、ゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤、および必要に応じて、シランカップリング剤等を混合してガスバリア性組成物を調製する。
ガスバリア性組成物の調製には、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.
1〜100モルの割合の水を用いることが好ましい。
ガスバリア性組成物の調製において用いられる、ゾル−ゲル法触媒としては、実質的に水に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第三級アミン、例えばN,N−ジメチルベンジル
アミンを用いることができ、また、酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。更に、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等を用いることができる。
上記のガスバリア性組成物を、無機酸化物蒸着層の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なガスバリア性塗布膜が形成される。
更に、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が無機酸化物蒸着層の表面の水酸基と結合する為、該無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜との密着性、接着性等が良好なものとなる。
本発明の強密着処理層は、上述のガスバリア性塗布膜の表面を易接着処理することにより、ガスバリア性塗布膜の表面に形成される。
強密着処理層を形成することにより、ガスバリア性塗布膜と半透明金属薄膜層とを直接積層する場合には得られなかったガスバリア性の向上を生じさせることができる。
易接着処理は、酸素、窒素若しくはアルゴンの単独、又はこれらの混合ガスによるプラズマ処理により行われる。
易接着処理は、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー0.5〜20kw、酸素ガス若しくはアルゴンガス単独を又はそれらの混合ガスを使用し、混合ガス圧2〜100×10-3mbar、処理速度100〜600m/minで、酸素ガス若しくはアルゴンガス単独プラズマ処理、又は酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理により行い、強密着処理層を形成した。
半透明金属薄膜層の蒸着は、化学気相成長法又は物理気相成長法により、又はこれらを併用して行うことができる。化学気相成長法については、透明ガスバリア層の蒸着方法について記載されたとおりである。
本発明で利用する物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等が含まれる。本発明で利用することができる物理気相成長法の一つである、真空蒸着法について説明する。図3は、本発明における半透明金属薄膜層の蒸着方法の一例を示す巻き取り式真空蒸着装置の概略的構成図である。
具体的には、光線透過率は20%〜60%とすることが好ましく、このためには、半透明蒸着膜の膜厚を20Å〜150Åの範囲で、さらに真空度1〜100×10-4mBarの真空条件で蒸着することが好ましい。
半透明金属薄膜層の製造法としては、例えば、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法が好ましい。
(1)接着剤層
接着剤層を構成する接着剤としては、汎用のドライラミネート接着剤等が利用できる。例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他の接着剤を使用することができる。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法等によって施すことができ、そのコーティング量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
基材は、高分子フィルムからなるものである。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリニトリロアクリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルム等の生分解性プラスチックフィルム等が挙げられる。これらは、延伸されていても、未延伸であってもよいが、機械的強度に優れるものや寸法安定性を有するものが好ましく用いられる。これらの中では、耐熱性などの面から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートがより好ましい。また、この基材の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等からなる薄膜層が設けられていてもよく、さらには、この上に形成される薄膜層との密着性をよくするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、薬品処理、溶剤処理等を適宜施しておいても構わない。
静電気帯電防止層を構成する静防コート剤の成分は、表面固有抵抗を低減するものであれば特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジエタノールアマイド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
帯電防止フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、フィルムの形成に使用される従来公知のものがいずれも使用できるが、好ましいものとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等との共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記の熱可塑性樹脂中に包含させる帯電防止剤としては、従来公知のいずれの帯電防止剤も使用できるが、好ましいものとしては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等の1種又は混合物の如き界面活性剤タイプの帯電防止剤が挙げられる。
また、最内装となるシーラント層としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が袋状の包装体などを形成する際に接着層として設けられるものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。
その厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μの範囲であり、さらに、電気特性(帯電防止)などを付与してもよい。
I.積層フィルムの作成
[実施例1]
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステル(PE)フィルムを使用した。これをプラズマ化学気相成長装置の供給ローラに装着し、以下に示す条件で、上記の2軸延伸ポリエステルフィルムのコロナ放電処理面に、厚さ200Åの酸化ケイ素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比(単位:slm):へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5
到達圧力:5.0×10-5mbar
製膜圧力:7.0×10-2mbar
ライン速度:150m/min
パワー:35kW
剤からなる加水分解液に、予め調製した組成b.のポリビニルアルコール水溶液を加えて攪拌し、無色透明のガスバリア性塗布液を得た。
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度:1×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:20kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:強密着処理面
実施例1の(3)記載の強密着処理条件を、パワー9kw、窒素ガス:アルゴンガス=60:3.0(単位:slm)からなる混合ガスの使用、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度240m/minでの窒素/アルゴン混合ガスプラズマ処理に変えて、強密着処理層を形成し、それ以外は実施例1と同様の試験を行い、本発明のガスバリア性積層フィルムを製造した。
実施例1の(3)記載の強密着処理条件を、パワー9kw、アルゴンガス=70(単位:slm)からなる混合ガスの使用、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度240m/minでのアルゴンガスプラズマ処理に変えて、強密着処理層を形成し、それ以外は実施例1と同様の試験を行い、本発明のガスバリア性積層フィルムを製造した。
実施例1の(3)記載の強密着処理条件を、パワー4kw、アルゴンガス=70(単位:slm)からなる混合ガスの使用、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度240m/minでのアルゴンガスプラズマ処理に変えて、強密着処理層を形成し、それ以外は実施例1と同様の試験を行い、本発明のガスバリア性積層フィルムを製造した。
実施例1の(3)記載の強密着処理および、(4)記載の半透過金属蒸着を施さない以外は、実施例1と同様の試験を行い、ガスバリア性積層フィルムを製造した。
実施例1の(3)記載の強密着処理を施さない以外は、実施例1と同様の試験を行い、ガスバリア性積層フィルムを製造した。
実施例1の(1)記載の透明蒸着膜、(2)記載のガスバリア性塗布膜を施さない以外は、実施例1と同様の試験を行い、ガスバリア性積層フィルムを製造した。
実施例1の(5)記載の透明蒸着膜の製造方法を、基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。まず、これを巻き取り式の真空蒸着装置の巻き出しロールに装着した。次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ放電処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、以下の蒸着条件で、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
酸素ガス導入後の蒸着チャンバー内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:25kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:コロナ放電処理面
比較例4記載の透明バリア膜を形成した後、実施例1記載の(2)記載のガスバリア性塗布膜を形成し、積層フィルムを製造した。
上記実施例1から4、および比較例1から5において作成された積層フィルムを用いて、以下のように包装材料を作成した。
(1)包装材料の構成:
帯電防止コート(静防)PETフィルム12/接着剤/実施例または比較例で作成した積層フィルム/接着剤/ナイロン(Ny)25/押出PE20/帯電防止フィルムPE40
(a)静防PETとして東洋紡T−6140、12μmを使用し該フィルムのコロナ処理面に、一般的に使用される接着剤を、グラビアロール法で厚さ4.0g/平米(乾燥)の厚さで塗布し、実施例または比較例フィルムのAl蒸着面側を対向させてドライラミネーションを行った。
(b)(a)の積層体の実施例または比較例フィルムの基材面に、(a)と同様に一般的に使用される接着剤を、グラビアロール法で厚さ4.0g/平米(乾燥)の厚さで塗布し、ユニチカ社製ONBC25μmをドライラミネーションした。
(c)さらに、(b)の積層体のナイロンフィルムのコロナ処理面に、一般的なアンカーコート剤をグラビアロール法で厚さ0.5g/平米(乾燥)の厚さで塗布し、該アンカーコート面と、アイセロ化学社製帯電防止ポリエチレンフィルムL−140 40μmとを対向させ、その間に溶融押し出し法でポリエチレンを膜厚20μm厚で押出ラミネートを行い、実施例または比較例記載のフィルムを用いた包装体とした。
(a)水蒸気透過度測定:水蒸気透過度を、40℃、90%RHの雰囲気下で、水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製、PARMATRAN−W3/31)を使用して測定した。
(b)防湿性の向上の度合い:防湿性の向上の度合いは、「比較例1で作成される積層フィルムにおける半透過性金属膜の処理前の防湿性」を、「各実施例で作成される積層フィルムにおける半透過性金属膜の処理後の防湿性」で割ることにより求めた。
(c)静電気シールド性:EIA 541 Appendix Eに基いて外部電圧1000V印加時に測定した。
(d)ラミネート強度:ラミネート強度は、15mm幅の短冊状にカットしたサンプルを引っ張り試験機(株式会社オリエンテック製の引っ張り試験機)に固定し、T字剥離による方法で測定した。
(e)延展性:(株)オリエンテック社製の引張試験機テンシロンを用いてバリア性フィルムを3%引張り、その状態で30秒間保持する。その後、元に戻して表面状態の観察(クラック)を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡にて行った。同時に、水蒸気透過度の測定も行った。
1:基材フィルム
2:透明ガスバリア層
3:ガスバリア性塗布膜
4:強密着処理層
5:半透明金属薄膜層
11:プラズマCVD装置
12:チャンバー
13:供給ローラ
14:巻取ローラ
15:冷却・電極ドラム
16:補助ローラ
17:電源
18:真空ポンプ
19:原料供給ノズル
21:原料揮発供給装置
22:ガス供給装置
23:マグネット
41:巻き取り式真空蒸着装置
42:真空チャンバー
43:巻き出しロール
44、45、51、52:ガイドロール
46:コーティングドラム
47:るつぼ
48:蒸着源
49:酸素ガス吹出口
50:マスク
53:巻き取りロール
Claims (12)
- ポリエステル系樹脂、または、ポリオレフィン系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも一方の面に、透明ガスバリア層と、その上のガスバリア性塗布膜と、
該ガスバリア性塗布膜表面に形成された、酸素、窒素若しくはアルゴンの単独ガス、またはこれらの混合ガスによるプラズマ処理をされた強密着処理層であって、グロー放電プラズマ発生装置を使用してパワー4〜20kw、ガス圧2〜100×10 -3 mbar、処理速度100〜600m/minで易接着処理された層と、
さらにその上に半透明金属薄膜層とを配置してなるガスバリア性積層フィルムであって、
前記透明ガスバリア層は、少なくとも有機ケイ素化合物の蒸気と酸素とを含有するガスを用い、プラズマ化学気相成長法により設けられた、ケイ素酸化物と、グラファイト状、ダイヤモンド状およびフラーレン状のいずれかである炭素単体および/または酸化ケイ素分子鎖に結合した炭素化合物とを含有する連続層であって、かつ、該透明ガスバリア層の表面から深さ方向に向かって炭素含有量が減少している層であり、
前記ガスバリア性塗布膜は、一般式R 1 n M(OR 2 ) m (式中、R 1 およびR 2 は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られたガスバリア性組成物からなる塗布膜であるガスバリア性積層フィルム。 - 前記半透明金属薄膜層が、物理蒸着層であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記半透明金属薄膜層が、アルミニウム、ニッケル若しくはチタニウムの単独の蒸着膜、またはこれらの混合物の蒸着膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記一般式R1 nM(OR2)m中のMが、ケイ素、ジルコニウム、チタン、または、アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層
フィルム。 - 前記アルコキシドが、アルコキシシラン、アルコキシドの部分加水分解物、またはアルコキシドの加水分解縮合物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記ガスバリア性組成物が、一般式R1 nM(OR2)m(式中、R1およびR2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られたガスバリア性組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記ガスバリア性塗布膜が、ガスバリア性組成物を加熱処理した硬化膜からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- ゾル−ゲル法触媒が、水に実質的に不溶であり、かつ、有機溶媒に可溶な第三級アミンからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記第三級アミンが、N,N−ジメチルベンジルアミンからなることを特徴とする請求項8に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記ガスバリア性組成物中の水が、アルコキシド1モルに対して0.1〜100モルの割合で用いられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記ガスバリア性組成物が、シランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムを中間層とし、これに接着剤層を介してさらに別の基材フィルムが積層され、少なくとも最表面および最内面は帯電防止コート層乃至は帯電防止フィルムを用いた帯電防止層であることを特徴とする積層包装体。
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