JP5870818B2 - 入力装置、制御システム、校正方法及びプログラム - Google Patents

入力装置、制御システム、校正方法及びプログラム Download PDF

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Description

本開示は、2次元的、3次元的に画面に表示される操作対象物の操作入力を行う入力装置、制御システム、校正方法及びプログラムに関する。
従来、画面上に2次元的に表示されるGUI(Graphical User Interface)を操作するための入力装置として、マウスが広く利用されている。近年においては、マウスに代表される平面操作型の入力装置に限られず、3次元空間で操作可能な入力装置が多種提案されている。また、音量調節の様に単純な設定等では、1次元表示され1軸方向に操作可能なスライドバーや、所定の回転角度に合わせて操作可能な回転ダイヤル等を用いることが一般的であった。
このように3次元空間で用いる入力装置では、入力装置に加える操作と、表示装置に表示される操作対象物の動きがなるべく一致している方が、操作を行うユーザに違和感が生じにくい。このため、入力装置自身の方向等を校正する機構を入力装置が備えており、ユーザは、入力装置の使用開始時に校正を行う必要があった。
ここで、入力装置の校正を簡単、かつ自動的に行うため、特許文献1に開示されているような技術が知られていた。特許文献1には、支持手段(クレイドル)に入力装置を置かず、ユーザが入力装置のグリップが握っている場合に操作モードとして操作を受け付け、支持手段に入力装置を置き、グリップが握られていない場合に校正モードとして校正を行うよう、モードを自動的に切替える技術が開示されている。
特許4626671号明細書
ところで、入力装置は、入力装置の動きを検知するための加速度センサ、角速度センサ、磁気センサ等を持ち(以下、これらのセンサを「各種センサ」と総称する場合がある)、各種センサの出力値から入力装置になされた動作を演算していた。ここで、各種センサのメカ(MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)を含む)的構造や電気回路素子等の個体差により、センサの出力値には以下のような特性があった。
(1)入力装置が静止状態(角速度=0)であっても角速度値(電位等)が0とならない。
(2)同じ重力加速度(1G)を検出するはずの加速度センサであっても、軸毎に検出する加速度値(電位等)が異なる場合がある。
(3)入力装置の正面方向を“真北”へ向けているはずなのに、正面方向に直交する軸の磁気値が0とならない。
このように、各種センサの出力値に誤差が生じると、出力値から算出した入力装置の変位量(例えば、移動距離、回転角度、方位角等)が、実際の値と比べ大きくずれる場合があった。
ここで、正確な出力値を求めるためには、各種センサの出力値をキャリブレーション(校正)することが必要となる。しかし、この校正作業は所定の手順で操作することが必要であり、さらにその手順、操作内容が各種センサによって異なるのでユーザにとっては煩雑であった。特に、磁気センサの校正値は機器を使用する場所や周りの環境によって大きく変わることがあり、入力装置を使用する前には毎回磁気値を校正しなければならず、利便性を損ねていた。
また、特許文献1に開示された技術では、入力装置を支持手段に置くと重力方向に対し入力装置が自然に水平となるように入力装置、支持手段の形状を工夫することにより、簡易的に2軸加速度センサの校正を行っている。しかし、全方位を向ける必要がある3軸以上の磁気センサや加速度センサの出力値を厳密に校正することができなかった。また、入力装置をカメラで撮像することにより、入力装置の絶対位置を求めるようなシステムでは、計算処理が複雑化し、かえって誤差が大きくなることがあった。
本開示はこのような状況に鑑みて成されたものであり、ユーザが意識することなくセンサの校正を行うことを目的とする。
本開示は、表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体に収納される磁気センサが地磁気の方向を検知して磁気値を出力し、入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に入力装置本体が回転すると、磁気センサが出力する磁気値を校正するものである。
このようにしたことで、入力装置本体が静止していることを検知すると、磁気センサの校正を行うことが可能となる。
本開示によれば、入力装置本体が静止していることを検知すると、磁気センサが出力する磁気値を校正するため、ユーザが使用するときには、既に磁気センサの校正が完了した状態となる。このため、ユーザは使用を開始するタイミングで別途磁気センサの校正を行わなくてもよく、速やかに入力装置の使用を開始することができる。
本開示の一実施の形態例における入力装置、制御装置及び表示装置を備える制御システムの構成例を示すブロック図である。 本開示の一実施の形態例における入力装置をユーザが握った様子を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における入力装置の一部破断図である。 図3に示す破断図の一部拡大図である。 本開示の一実施の形態例における入力装置の殻状部の外観図である。 本開示の一実施の形態例における制御システムの電気的な構成を示すブロック図である。 本開示の一実施の形態例における制御システムの機能構成図である。 本開示の一実施の形態例における制御システムの動作例を示すフローチャートである。 本開示の一実施の形態例における入力装置が静止状態における角速度値の例を示すグラフである。 本開示の一実施の形態例における入力装置が静止状態における加速度値の例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における加速度センサの各軸が検出する加速度の方向の例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における入力装置が静止状態における磁気値の例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における磁気センサの各軸が検出する磁気の方向の例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における磁気センサを校正する動作の例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における使用していない入力装置を全方位に向ける第1の方法を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における支持装置を用いて入力装置を全方位に向ける例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における支持装置を用いて入力装置を全方位に向ける例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における入力装置と同じ機能を持たせた携帯端末を全方位に向ける例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における入力装置を全方位に向けて癒し効果を得る例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例におけるローカル座標系とグローバル座標系の例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における入力装置の基準方位角を定義する例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における自動的に入力装置の基準方位角を校正する第1の方法の例を示す説明図である。 本開示の一実施の形態例における自動的に入力装置の基準方位角を校正する第2の方法の例を示す説明図である。 本開示の他の実施の形態例における表示装置の内部構成例を示すブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。この入力装置は、コンピュータがプログラムを実行することにより、後述する内部ブロックが連携して行う校正方法を実現する。
1.一実施の形態例(各種センサのオフセット値からセンサ値を構成する例)
2.変形例
<1.一実施の形態例>
[システムの全体構成]
まず、図1を参照しながら本開示の一実施形態に係る制御システムについて説明する。
図1は、本開示の一実施の形態例及び後述する各実施形態に係る入力装置10を含む制御システム100を示す。制御システム100は、入力装置10と制御装置50と表示装置60とを有する。
入力装置10は、例えば、表示部60aの画面に表示される操作対象物60bに対する操作入力が可能な球体のデバイスである。制御装置50は、入力装置10の操作に応じて操作対象物60bの表示を制御する。
制御装置50としては、入力装置10に専用の機器であってもよいし、PC等であってもよい。これにより、制御システム100では、ユーザが、入力装置10を操作することにより、表示部60aに表示される操作対象物60bを遠隔操作することができる。
なお、表示部60aは、例えば、液晶ディスプレイや、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部60aは、2次元画像を表示する形態であってもよいし、3次元画像を表示する形態であってもよい。表示部60aは、入力装置10によって操作される操作対象物60bを2次元的、あるいは3次元的に表示する。
表示部60aに2次元的に表示される操作対象物60bとしては、例えば、ポインタやアイコン、ウィンドウ等のGUI等が挙げられる。3次元的に表示される操作対象物60bとしては、人型、動物型のキャラクタ画像が挙げられる。なお、これらの例は、一例に過ぎず、操作対象物60bは、2次元的、3次元的に表示される画像であれば、どのような画像であってもよい。
また、表示装置60は、テレビジョン放送等を受信可能なテレビジョン装置であってもよい。あるいは、表示装置60が操作対象物60bを3次元的に表示させる形態の場合、表示装置60は、ユーザが裸眼で視認することができる立体画像を表示する立体画像表示装置であってもよい。図1では、制御装置50と表示装置60とが別々の場合が示されているが、制御装置50と表示装置60とは一体的に構成されていてもよい。また、操作対象物60bを表示する表示装置としては、プロジェクタ等を用いてもよい。この場合、プロジェクタによって、スクリーン、壁面に投影された操作対象物60bを操作することも可能である。
[入力装置の構成例]
図2は、入力装置10をユーザが握った様子を示す図である。図2に示すように、入力装置10は、球体の形状を有している。入力装置10の大きさは、野球の硬球の大きさよりも少し大きいか、少し小さい程度の大きさとされ、直径が例えば、50mm〜100mm程度の大きさとされる。これにより、ユーザが入力装置10を握ったときに扱い易い大きさとされる。ただ、入力装置10の直径の大きさについては、上記の範囲に限定されず、もちろん他の値もとりえる。
図3は、入力装置10の一部破断図であり、図4は、図3に示す破断図の一部拡大図である。また、図5は、入力装置10の殻状部22の外観図である。図5Aには、殻状部22を斜め上方向から見た様子が示されており、図5Bには、図5Aに示すA方向から殻状部22を見た様子が示されている。
入力装置10は、入力装置10の中心部に設けられた球体形状の基部21と、基部21の表面を全体的に覆うように設けられた球殻状の殻状部22と、殻状部22の表面を全体的に覆うように設けられた把持部23とを有する入力装置本体20を備える。入力装置本体20は、外形が球状又は球状に準じる形状に形成されており、入力装置本体20には、表示装置60に表示される操作対象物60bを操作するための操作入力がなされる。
また、入力装置10は、入力装置10が所定の力以上の力で握られたことを検出するとともに、クリック感を発生させるタクトスイッチ12(スイッチ部)を備える。また、入力装置10は、ユーザが入力装置10を握った力の大きさを検出する感圧センサ13(圧力センサ:握り力を検出する)を備える。
基部21の内部は、空洞とされている。基部21内部の空洞部には、CPU11等の電子部品が実装された回路基板が設けられる。
殻状部22は、同一形状を有する8つのプレート25によって構成されている(図5を参照)。それぞれのプレート25の形状は、正三角形に近い形状とされている。そして、8つのプレート25のうち、隣接する4つのプレート25の角部の頂点が1点で集中し、この頂点が集中する点が全体では、合計で6つ形成されている。この6つの点に対応する位置に、タクトスイッチ12と、感圧センサ13とがそれぞれ配置される。すなわち、本実施形態に係る入力装置10では、6つのタクトスイッチ12と、6つの感圧センサ13とを含む。タクトスイッチ12と、感圧センサ13とは、基部21の表面と殻状部22(プレート25)の内面との間に設けられる(図3及び図4を参照)。
感圧センサ13は、基部21の表面上に設けられており、タクトスイッチ12は、感圧センサ13上に設けられている。感圧センサ13とタクトスイッチ12との間には、第1の圧力拡散板13aが介在されており、タクトスイッチ12と殻状部22(プレート25)の内面との間には、第2の圧力拡散板13bが介在される。第1の圧力拡散板13a及び第2の圧力拡散板13bにより、ユーザが把持部23を握った力を均一に感圧センサ13に伝達することができる。感圧センサ13は、入力装置本体20が握られた力の大きさをセンシングする。
タクトスイッチ12は、スイッチ本体12aと、スイッチ本体12aに対して移動可能な可動部12bとを有する。また、タクトスイッチ12は、内部に可動部12bの移動に応じてON/OFFが切り替えられる電気的なスイッチ機構(不図示)を有する。また、タクトスイッチ12は、可動部12bの移動に応じてクリック感を発生させる板バネ等の弾性体を用いたクリック感発生機構(不図示)を有する。
ここで、感圧センサ13と、プレート25に加えられる力の大きさ等との関係について説明する。感圧センサ13により検出された圧力値を基に、1つのプレート25に加えられた力の大きさと、力が加えられた位置とを算出する場合、1つのプレート25に対しては、少なくとも3つの感圧センサ13が必要である。
本実施形態では、1つのプレート25に対しては、プレート25に加えられた力を検出する(他のプレート25と共通で用いられる)3つの感圧センサ13が設けられている。従って、感圧センサ13からの圧力値を基に、ベクトル計算等を利用した演算が実行されることで、プレート25に加えられた力の大きさと、力が加えられた位置とを正確に算出することができる。
また、8つのプレート25に対して、それぞれ3つの感圧センサ13を用いる場合、8×3で、本来、24個の感圧センサ13が必要となる。しかし、本実施形態では、感圧センサ13は、隣接する4つのプレート25の角部の頂点が集中する点に配置されており、隣接する4つのプレート25で1つの感圧センサ13が共通で用いられている。これより、感圧センサ13の数は、合計で6つあれば足り、入力装置10のコストの削減が実現される。このように、必要最低限の感圧センサ13で、プレート25に加えられた力の大きさと、力が加えられた位置とを正確に算出することができる。
しかし、感圧センサ13は、必ずしも上述した構成としなくてもよい。例えば、感圧センサ13は、1つのプレート25に対して1個や2個であってもよいし、4個以上設けていてもよい。また、感圧センサ13は、他のプレート25と共通で用いられる形態ではなく、それぞれのプレート25に対して独立して設けられていてもよい。
典型的には、感圧センサ13は、ユーザが入力装置10を握ったときに、プレート25(殻状部22)に加えられた力を検出することができる形態であれば、どのような形態であってもよい。また、プレート25の個数(殻状部22の分割個数)についても8個に限定されない。例えば、プレート25の数は、2個や4個等であってもよい。
基部21及び殻状部22は、例えば、金属や樹脂等の材料により構成される。一方、把持部23は、基部21及び殻状部22よりも軟らかい材料で構成されている。把持部23に用いられる材料としては、例えば、ポリウレタン等の合成樹脂を発砲して形成されたスポンジ等が挙げられる。把持部23に用いられる材料として、スポンジ等の材料が用いられることで、触感を向上させることができ、また、ユーザは、入力装置10を握る力の大きさを微調整することができる。
次に、制御システム100の電気的な構成について、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6は、制御システム100の電気的な構成を示すブロック図である。
図7は、制御システム100の機能構成図である。
まず、図6を参照して入力装置10の電気的な構成について説明する。
入力装置10は、報知機構9、CPU(Central Processing Unit)11、タクトスイッチ12、感圧センサ13、加速度センサ14、角速度センサ15、磁気センサ16を備える。さらに、入力装置10は、送受信回路17、バッテリー18、ROM(Read Only Memory)19a、RAM(Random Access Memory)19bを備える。なお、報知機構9には、LED (Light Emitting Diode)等の発光機構、スピーカ等の放音機構、振動発生機構を用いて、放音、発光、又は振動のうち、少なくとも1つを含む報知を行うようにしてもよい。
報知機構9、CPU11、加速度センサ14、角速度センサ15、磁気センサ16、送受信回路17、ROM19a、RAM19bは、図示しない回路基板上に実装される。電子部品が実装された回路基板と、バッテリー18とは、基部21の内部に形成された空洞部に設けられる。このため、各種センサは、入力装置本体20に収納されている。
加速度センサ14及び角速度センサ15は、入力装置10の3次元空間内での動きを検出するセンサである。加速度センサ14は、互いに直交する3軸方向の加速度を検出し、検出された加速度に応じた加速度値(変位値の一例)をCPU11へ出力する。角速度センサ15は、互いに直交する3軸回りの角速度を検出し、検出された角速度に応じた角速度値(変位値の一例)をCPU11へ出力する。また、磁気センサ16は、入力装置10の3次元空間内における地磁気の方向(例えば、磁北)を検出した磁気値(変位値の一例)をCPU11へ出力する。
タクトスイッチ12、感圧センサ13、タッチセンサ等は感圧部として用いられる。タクトスイッチ12は、スイッチ機構がONの状態となったときに、CPU11へ信号を出力する。感圧センサ13は、入力装置10がユーザに握られた力の大きさに応じた圧力値をCPU11へ出力する圧力センサの一例である。
CPU11は、操作対象物60bを制御するために、加速度センサ14、角速度センサ15、磁気センサ16、感圧センサ13から出力された角速度値、加速度値、磁気値、圧力値に基づいて、各種の演算を実行する。そして、CPU11は、表示装置60に表示される操作対象物60bの操作入力が入力装置10になされると、入力装置10の変位量に応じた変位値を出力する。この変位量には、例えば、加速度値、角速度値、磁気値、圧力値がある。そして、変位量は、1軸、直交する2軸、又は直交する3軸のいずれかの変位量によって求まる値である。
ただし、CPU11は、入力装置本体20が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に入力装置本体20が回転すると、磁気センサ16が出力する磁気値を校正する。また、CPU11は、入力装置本体20が静止していることを検知すると、加速度センサ14及び角速度センサ15の校正も行う。入力装置本体20が静止していることを検知するまでの時間が短すぎるとユーザの操作に支障が出る。このため、例えば、入力装置本体20が静止していることを検知するまでの時間として1時間程度としてもよい。ここで、入力装置本体20(入力装置10)の回転は、入力装置10が自ら行う場合もあるし、後述する支持装置によって行われる場合もある。そして、CPU11は、校正した磁気値に基づいて入力装置本体20から操作対象物60bに対する基準方位角を演算する。
CPU11は、校正した加速度値、角速度値、磁気値、圧力値を送受信回路17から制御装置50に送信する。ただし、CPU11は、これらの値に基づいて、入力装置10の空間内での移動量、回転量、磁北に対する角度等、入力装置10が握られた力の大きさや、力が加えられた位置等を算出する場合もある。なお、CPU11は、タクトスイッチ12のスイッチ機構からの信号が入力されている状態で、各種の演算を実行する。
送受信回路17は、不図示のアンテナ等を有しており、CPU11の制御に基づいて、各種の情報を制御装置50へ送信する。なお、送受信回路17は、制御装置50から送信された情報を受信することも可能である。
バッテリー18としては、例えば、充電可能な二次電池が用いられ、不図示の充電部が入力装置本体20に収納される。
報知機構9は、操作対象物60bが変位したことをユーザに報知する。ここで、報知機構9は、操作対象物60bが移動する1軸の変位量毎に異なる報知を行ってもよい。
次に、図7を参照して入力装置10の機能構成について説明する。入力装置10は、検出部43、第1処理部41、記憶部46、第1送受信部47及び電源部48を有している。検出部43は、第1操作検出部44及び第2操作検出部45を有している。第1処理部41は、第1応答部42、第1演算部40及び第2応答部49を有している。
検出部43は、入力装置本体20がユーザに所定の力以上の力で握られたことを検出する。例えば、検出部43は、入力装置本体20が握られた力の大きさを検出し、握られた力の大きさに応じた握り力検出値を出力する。第1操作検出部44は、入力装置本体20への第1の操作を検出する。第1の操作としては、例えば、入力装置10を握る、入力装置10をテーブルから持ち上げる、入力装置10をたたく等が挙げられ、入力装置10を握る場合のみに限られない。第1操作検出部44は、例えば、入力装置本体20が所定の圧力(例えば第1の閾値)以上で握られたことを検出してもよい。また、第1操作検出部44は、その検出結果に基づき握られた力の大きさに応じた握り力検出値を出力してもよい。
第1の操作を検出後、第2操作検出部45は、入力装置本体20への第2の操作を検出する。第2の操作の検出は、第1の操作の検出後に行われ、同時に行われることはない。
第2の操作としては、例えば、入力装置10をつかんで操作する(入力装置10をつかんで振る)等が挙げられ、入力装置10を握る場合のみに限られない。第1操作検出部44及び第2操作検出部45により検出される検出値は、感圧センサ13、加速度センサ14、角速度センサ15及び磁気センサ16によりセンシングされた値の少なくともいずれかである。第2操作検出部45は、例えば、入力装置本体20が所定の圧力(第2の閾値)以上で握られたことを検出する。第2の閾値は第1の閾値より大きい値に予め定められている。
第1応答部42は、第1の操作の検出に基づき入力装置10の第1の応答を行う。第1の応答としては、クリック音を鳴らす、入力装置10に設けられたばねにより入力装置10を持っているユーザの手に反発力を与える等が一例として挙げられる。ただし、第1の操作の検出に基づき必ずユーザに第1の応答を行う必要はない。例えば、第1応答部42は、検出部43により入力装置10が握られたことが検出されたとき、及び入力装置10が握られたことが検出されなくなったときに第1の応答をユーザに返してもよい。第1応答部42は、少なくとも検出部43により入力装置本体20が握られたことが検出されたときに、第1処理部41の制御によらず、ユーザに対して第1の応答を返してもよい。また、第1の応答は、基本的にCPU11を介さない処理であるため即答性があるが、CPU11を介してもよい。
第1演算部40は、第1の操作に応じた入力装置本体20の動きに対する変位値に基づき、操作対象物60bの操作のための演算(第1の処理)を行ってもよく、第2の操作に応じた入力装置本体20の動きに対する動き検出に基づき操作対象物60bの操作のための演算(第2の処理)を行ってもよい。
なお、第1操作検出部44は、第1演算部40を介さずに第1応答部42に応答処理を促すことができる。このため、第1応答部42から第1演算部40に第1の応答を送らずに、ユーザへクリック音による応答を行うことができる。これにより、第1応答部42によるクリック音による第1の応答を、第1演算部40による演算結果に基づく処理より速く実行させることが可能となる。しかし、これに限られず、第1の応答(例えばクリック音による応答)を第1演算部40に送り、第1演算部40の演算開始のトリガーに利用してもよい。
また、第1の処理と第2の処理とは操作対象物60bに対する異種の操作であり、同種の操作は含まない。異種の操作としては、第1の処理では入力装置10を握る力が所定の第1の閾値による圧力以上になった場合にクリック音を発生させ、第2の処理では更に握りを強くして所定の第2の閾値による圧力以上になった場合に各種センサによる変位値に基づき操作対象物60bの操作のための演算を実行する例が挙げられる。他の異種の操作としては、第1の処理では入力装置10を2秒間握った場合にイネーブル(操作入力OK)とし、カーソル移動操作モードに遷移し、第2の処理では再度、入力装置10を4秒間握った場合に操作対象物60bを選択して操作モードに入る例が挙げられる。同種の操作としては、感圧センサ13による検出値を3段階のレベルで検出することにより、弱く握ったら第1の処理に遷移し、強く握ったら第2の処理に遷移する場合が挙げられる。このような同種の操作は、各実施形態の第1の処理と第2の処理には含まない。
なお、第1応答部42による入力装置のユーザへの第1の応答は操作対象物60bを制御する制御装置50へと送受信されず、第1演算部40による操作対象物60bの操作のための演算結果は制御装置50へと送受信される。よって、第1応答部42による第1の応答処理は、送受信処理を含まないルートであるため、送受信処理を含む第1演算部40による演算結果に基づく処理より速いという効果を有する。
第2応答部49は、第2の操作の検出に基づき入力装置10の第2の応答を行う。第2の応答としては、入力装置10に取り付けられた報知機構9に対して、LEDを点滅表示させたり、音声出力や力覚表示を行ったり、振動したりして、ユーザに対してフィードバックを行うことが例として挙げられる。第2の応答は、基本的にCPU11を介さない処理であるため即答性があるが、CPU11を介して行ってもよい。
また、第1処理部41及び制御装置側の第2処理部61では、必要に応じて両方あるいは片方において、各検出結果を用いて所望の処理を行い、第2処理部61を介して表示制御部66に結果を出力する。
記憶部46は、例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光学ディスクなどを用いるROM19a又はRAM19bとして実現されうる。
第1送受信部47は、所定の情報を入力装置10及び制御装置50間で送信又は受信する。第1送受信部47及び第2送受信部62の間は、有線又は無線にて接続されている。電源部48は、バッテリー18として例えば、充電式電池が用いられ、各部に電力を供給する。
[制御装置の構成]
次に、図6を参照して、制御装置50の電気的な構成を説明する。
制御装置50は、CPU51、送受信回路52、ROM53a、RAM53b、指示機構54を含む。
ROM53aは不揮発性のメモリであり、CPU51の処理に必要な各種のプログラムが記憶される。RAM53bは揮発性のメモリであり、CPU51の作業領域として用いられる。
送受信回路52は、アンテナ等を有しており、入力装置10から送信される各種の情報を受信する。また、送受信回路52は、入力装置10へ信号を送信することも可能である。
指示機構54は、例えば、キーボードであり、ユーザは、この指示機構54を介して初期設定、特種設定などの設定を行う。指示機構54は、ユーザからの各種の指示を受付け、入力された信号をCPU51へ出力する。
CPU51は、後述する第2演算部の処理、表示制御部の処理を行う第2処理部の機能を実行する。CPU51は、送受信回路17によって受信された各種の情報に基づいて、表示装置60に表示される操作対象物を制御する。
次に、図7を参照して、制御装置50の機能構成について説明する。
制御装置50は、第2処理部61、記憶部63、第2送受信部62及び指示部64を有している。第2処理部61は、第2演算部65及び表示制御部66を有している。
第2送受信部62は、所定の情報を第1送受信部47に送信又は受信する。記憶部63は、例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光学ディスクなどを用いるROM53a又はRAM53bとして実現されうる。
例えばユーザがキーボード等の指示機構54を用いて操作入力すると、指示部64は、初期設定、特種設定などの設定を行う。具体的には、指示部64は、ユーザからの各種の指示を受付け、入力された信号を第2処理部61へ出力し、初期設定等を指示する。
第2演算部65は、第1処理部41からの検出結果や演算結果を用いて所望の処理を行い、表示制御部66に結果を出力する。また、第2演算部65は、入力装置10から受信した変位値に基づいて入力装置10の変位量を演算する。なお、入力装置10の変位量は、入力装置10内の第1演算部40が演算して、演算した変位量を制御装置50に送信する構成とすることもできる。
表示制御部66は、得られた情報に基づき操作対象物60bの表示を制御する。なお、表示制御部66の替わりに又は表示制御部66に加えて、操作対象物60bの表示以外の動作(例えば音や振動等)を表現できる表現部を設けてもよい。表現部では、得られた情報を用いて所望の操作入力に対して操作対象物60bの表現を制御する。
[入力装置の動作]
次に、本実施形態に係る制御システム100の動作について説明する。
図8は、本実施形態に係る制御システム100の動作例を示すフローチャートである。図8Aは、入力装置10の処理を示し、図8Bは、制御装置50の処理を示す。
まず、ユーザは、入力装置10を持ち上げて、入力装置10を操作しやすい位置まで移動させる。なお、このとき、表示部60aに表示される操作対象物60bは動かない(ステップS1のNO参照)。次に、ユーザが入力装置10の操作を開始する意思を示して、入力装置本体20の把持部23を所定の力以上の力で握る。すると、入力装置本体20の殻状部22(プレート25)と、タクトスイッチ12の可動部12bが入力装置10の中心に近づく方向に移動される。タクトスイッチ12の可動部12bが入力装置10の中心に向かう方向へ移動すると、クリック感発生機構によりクリック感が発生する。
入力装置10は、このクリック感による応答(第1の応答の一例)により、ユーザの操作対象物60bの操作を開始する意思に対して適切に応答することができる。そして、ユーザは、このクリック感により、操作対象物60bの操作が開始されることを容易に認識することができる。また、クリック感発生機構によるクリック感による応答は、CPUを介さない応答であるので、ユーザに対して素早くクリック感による応答を返すことができる。
タクトスイッチ12の可動部12bが入力装置10の中心に向かう方向へ移動すると、クリック感が発生するとともに、タクトスイッチ12のスイッチ機構がONの状態となり、スイッチ機構からCPU11へ信号が入力される(ステップS1のYES)。
タクトスイッチ12からの信号が入力されると、CPU11は、加速度センサ14、角速度センサ15から加速度値、角速度値を取得し、感圧センサ13から圧力値を取得する(ステップS2)。なお、磁気センサ16から取得する磁気値は、入力装置10を使用していない間に表示装置60に対する入力装置10の方向を校正するために使われるため、本フローチャートでは図示していない。
次に、CPU11は、加速度値、角速度値に基づいて、演算を実行し、入力装置10の(所定時間当りの)移動量、回転量を算出する(ステップS3)。また、CPU11は、圧力値に基づいて、ベクトル計算等を利用した演算を実行することで、入力装置10が握られた力の大きさ(プレート25に加えられた力の大きさ)と、力が加えられた位置とを算出する。
次に、CPU11は、算出された各情報(入力装置10の移動量、回転量、入力装置10が握られた力の大きさ、力が加えられた位置)を、送受信回路17を介して、制御装置50に送信する(ステップS4)。
制御装置50のCPU51は、入力装置10から各情報が受信されたか否かを判定する(ステップ11)。入力装置10からの各情報が受信された場合、制御装置50のCPU51は、受信された各情報に基づいて、操作対象物60bを制御する(ステップS12)。なお、制御装置50のCPU51は、ステップS12において、受信された各情報について、さらに演算を実行し、操作対象物60bの制御の精度を向上させる処理を実行してもよい。
例えば、操作対象物60bが3次元的に表示されるキャラクタ画像である場合、ステップS12において、CPU51は、入力装置10の移動量、回転量の情報に基づいて、そのキャラクタ画像を3次元的に移動させたり、回転させたりする処理を実行する。また、CPU51は、握られた力の大きさの情報や、力の位置の情報に応じて、キャラクタ画像に特定の動き(例えば、ジャンプ、しゃがむ、笑う、怒る等)をさせる処理を実行する。なお、移動量、回転量、握られた力の大きさ、力の位置の情報に基づいて、操作対象物60bがどのように制御されるかについては、特に限定されない。
図8に示す処理により、ユーザは、入力装置10を所定の力以上の力で握った状態で、入力装置10を移動させたり、回転させたり、入力装置10をさらに強く握ったり、入力装置10の特定の位置を強く押したりすることで、操作対象物60bに任意の動きをさせることができる。
一方、ユーザが、操作対象物60bの操作を(一時的に)停止させる場合、ユーザは、入力装置10を握った力を弱める。ユーザが入力装置10を握った力を弱め、握った力が上記所定の力未満の力となると、タクトスイッチ12の可動部12bと、入力装置本体20の殻状部22(プレート25)とが入力装置10の中心から離れる方向に移動される。タクトスイッチ12の可動部12bが入力装置10の中心から離れる方向に移動すると、クリック感発生部によりクリック感が発生される。
入力装置10は、このクリック感による応答により、ユーザの操作対象物60bの操作を停止させる意思に対して適切に応答することができる。そして、ユーザは、このクリック感により、操作対象物60bの操作が停止されることを容易に認識することができる。タクトスイッチ12の可動部12bが入力装置10の中心から離れる方向へ移動すると、クリック感が発生するとともに、タクトスイッチ12のスイッチ機構による信号の出力が停止される。これにより、タクトスイッチ12からCPU11への信号の入力が停止され(ステップS1のNO)、操作対象物60bの動きが停止される。
このため、ユーザは、入力装置10を上記所定の力以上の力で握ったり、入力装置10を握った力を弱めたりすることで、入力装置10の操作(空間操作、握った力の大きさによる操作)を操作対象物60bの操作に反映させるか否かを任意に切り替えることができる。
また、入力装置10は、タクトスイッチ12のクリック感発生部によりユーザの操作対象物60bの操作を開始する意思に対して適切に応答することができる。そして、ユーザは、このクリック感により、操作対象物60bの操作が開始されることを容易に認識することができる。また、クリック感発生機構によるクリック感による応答は、CPU11を介さない応答であるので、ユーザに対して素早くクリック感による応答を返すことができる。
さらに、入力装置10は、クリック感による応答により、ユーザの操作対象物60bの操作を停止させる意思に対して素早く応答することができる。そして、ユーザは、このクリック感により、操作対象物60bの操作が停止されることを容易に認識することができる。
[角速度センサオフセット値と角速度値の校正方法の例]
次に、角速度センサ15、加速度センサ14、磁気センサ16のオフセット値と校正方法の例を順に説明する。
始めに、角速度センサオフセット値と角速度値の校正方法の例を説明する。
図9は、入力装置10が静止状態における角速度値の例を示すグラフである。
角速度センサ15は、入力装置10が回転していない静止状態である場合に角速度基準値Vrefと同じ値を出力するべきだが、角速度値が角速度基準値Vrefからズレてしまうことがある。このような角速度のズレを「角速度センサオフセット」と呼ぶ。なお、このように角速度基準値Vrefから角速度値がズレるのは、アナログ値を出力する場合であり、デジタル値を出力する場合には、角速度値が基準となる“0”からズレることとなる。
角速度センサオフセットは、角速度値に様々な影響を及ぼす。例えば、入力装置10が回転していない静止状態であっても微小な角速度値を検出してしまう。また、入力装置10を全方位に回転させることで、正負のいずれの方向にも同じ回転をしても角速度値の絶対値が変わることもある。
また、角速度センサオフセットには、以下のような特徴がある。すなわち、角速度センサオフセットは、角速度センサ15の個体毎に角速度値が異なっており、複数の軸を持つ角速度センサ15では、軸毎に角速度値が異なる。一方、外部環境によって角速度値が変化することはなく、経時的変化も少ない。このため、角速度値を校正するためには、入力装置10が回転していない静止状態で角速度センサオフセット値を求める必要がある。
角速度センサオフセット値の校正を手動で行う場合には、以下の校正方法が考えられる。
(1)入力装置10が回転していない静止状態において、第1演算部40は、次式(1)に示すように静止状態の角速度センサ15が出力する角速度値(ωStable)と角速度基準値(Vref)の差分(ωofst)を角速度センサオフセット値として記憶する。なお、計算精度を高めるためには、角速度値(ωStable)と角速度基準値(Vref)として、複数のフレーム間で取得した平均値を用いるとよい。
ωofst=ωStable−Vref …式(1)
(2)以降、回転状態の角速度センサ15が出力する角速度値(ωraw)と角速度センサオフセット値(ωofst)との差分で求めた校正値(ωcalib)を角速度値として計算に用いる。
ωcalib=ωraw−ωofst …式(2)
[加速度センサオフセット値と加速度値の校正方法の例]
次に、加速度センサ14のオフセット値と加速度値の校正方法の例を説明する。
図10は、入力装置10が静止状態における加速度値の例を示す説明図である。
加速度センサ14は、1軸以上の加速度を検出する。ここで、入力装置10が加速していない静止状態において、加速度センサ14のある1軸を正確に重力加速度の方向へ向けると、重力方向に直交する他軸の加速度値は“0”となるはずである。しかし、入力装置10が静止していても加速度値が0からズレてしまうことがある。このような加速度のズレを「加速度センサオフセット」と呼ぶ。
加速度センサオフセットは、加速度値に様々な影響を及ぼす。例えば、重力加速度(1G)に対する比率を用いて、現在の入力装置10の水平方向に対する傾き角を求める計算において、算出した角度がズレることが知られている。
傾き角=asin(Accl/1G) …式(3)
なお、加速度センサオフセットには、以下のような特徴がある。すなわち、加速度センサオフセットは、加速度センサ14の個体毎に加速度値が異なっており、複数の軸を持つ加速度センサ14では、軸毎に加速度値が異なる。一方、外部環境によって加速度値が変化することはなく、経時的変化も少ない。このため、加速度値を校正するためには、入力装置10の運動加速度が“0”となるような静止状態とし、かつ、加速度センサ14の各軸における正負の方向が正確に重力方向、すなわち鉛直下向きとなる状況を作る必要がある。
加速度センサオフセット値の校正を手動で行う場合に、以下の方法が考えられる。
図11は、加速度センサ14の各軸が検出する加速度の方向の例を示す説明図である。図中では、矢印方向を正、矢印の反対方向を負として説明を行う。図中では、加速度センサ14の3軸であるX,Y,Z軸による座標系を加速度ローカル座標と呼ぶ。
(1)加速度センサ14のX軸においてX軸の負方向を鉛直下向きに向ける。このとき、入力装置10を動かす際の加速度が加速度値に影響しないようにゆっくりと動かす必要がある。そして、加速度センサ14に重力加速度1Gがかかった際に加速度センサ14が検出した加速度値の最大値Aを求める。
(2)次に、加速度センサ14を上下逆さまにひっくり返し、X軸の正方向を鉛直下向きに向け、重力加速度1Gがかかった際に検出した加速度値の最小値Bを求める。
(3)(A−B)/2をX軸のオフセット値AcclXofstとする。
(4)Y軸、Z軸についても同様に測定を行い、軸毎にAcclYofst、AcclZofstを求める。
(5)以降、加速されている加速度センサ14が出力する加速度値(AcclXraw,AcclYraw,AcclZraw)と加速度センサオフセット値(AcclXofst,AcclYofst,AcclZofst)の差分で求めた校正値(AcclXcalib,AcclYcalib,AcclZcalib)を加速度値として計算に用いる。
AcclXcalib=AcclXraw−AcclXofst
AcclYcalib=AcclYraw−AcclYofst …式(4)
AcclZcalib=AcclZraw−AcclZofst
[磁気センサオフセット値と磁気値の校正方法の例]
次に、磁気センサオフセット値と磁気値の校正方法の例を説明する。
図12は、入力装置10が静止状態における磁気値の例を示す説明図である。
磁気センサ16は、1軸以上で検出した磁気値から磁気の方向を求める。ここで、磁気センサ16のある1軸のセンサ軸を正確に地磁気方向へ向けると、地磁気方向に直交する他軸の磁気値“0”となるはずである。しかし、センサ軸が地磁気方向に向けられていても他軸が検出した磁気値が0からズレてしまうことがある。このような磁気のズレを「磁気センサオフセット」と呼ぶ。
ここで、磁気センサオフセットは、磁気値に様々な影響を及ぼす。例えば、3軸の合成磁気ベクトルを水平面に投影して方位角を求めるような計算において算出方位角がズレることが知られている。
なお、磁気センサオフセットには、以下のような特徴がある。すなわち、磁気センサオフセットは、磁気センサ16の個体毎に磁気値が異なっており、複数の軸を持つ磁気センサ16では、軸毎に磁気値が異なる。また、金属板等によって磁気センサ16が囲われる外部環境によって磁気値が変化したり、経時的に変化したりする場合もある。特に、磁気センサ16を用いる場所、つまり緯度による磁気値の変化が大きい。また、磁気センサ16の特性変化というよりは、磁場が乱れることによる磁気値の変化が大きくなりやすい。このため、磁気センサ16の校正を行うためには、磁気センサ16の各軸における正負の方向が正確に地磁気方向を向いた状況を作り出す必要がある
磁気センサオフセット値の校正を手動で行う場合に、以下の方法が考えられる。
図13は、磁気センサ16の各軸が検出する磁気の方向の例を示す。図中では、矢印方向を正、矢印の反対方向を負として説明を行う。図中では、磁気センサ16の3軸であるX,Y,Z軸による座標系を磁気ローカル座標と呼ぶ。
(1)磁気センサ16のX軸において軸方向(正でも負でも可)を基準方位(例えば、真北)に向け、鉛直方向を中心軸として磁気センサ16を水平方向に回す。
(2)磁気センサ16を回しながら、元の軸位置を中心にして少しずつ回転軸をずらす。
(3)磁気センサ16をある程度回し終わった状態における磁気値のうち、+Xの最大値A、−Xの最小値Bを求める。
(4)(A−B)/2をX軸のオフセット値MagXofstとする。
(5)Y軸、Z軸についても同様に測定を行い、MagYofst、MagZofstを求める。
(6)以降、磁気値(MagXraw,MagYraw,MagZraw)と磁気センサオフセット値(MagXofst,MagYofst,MagZofst)の差分を出力値(MagXcalib, MagYcalib,MagZcalib)として計算に用いる。
MagXcalib=MagXraw−MagXofst
MagYcalib=MagYraw−MagYofst …式(5)
MagZcalib=MagZraw−MagZofst
図14は、磁気センサ16を校正するための動作例を示す。
磁気センサ16を備えた入力装置10’(例えば、スマートフォン)を、使用する際に例えば、“八の字”に回すことで、3軸分の上記(1)と(2)の演算を一度に行うことができる。このような校正は、厳密な校正が求められていない場合に採用することができる。
以上より、角速度センサ15については、角速度センサ15以外のセンサ(加速度センサ14、不図示の位置センサ等)によって入力装置10’が回転していない静止状態を検知できれば、いつでも各種センサを校正することが可能である。
ここで、通常は、入力装置10を常時使用するような状況はない。つまり、大部分の時間は、机上や充電用のクレイドルに入力装置10を置いた静止状態とすることが多い。このため、「ユーザが入力装置10を使用していない時に、入力装置10を全方位に向け、その後、入力装置10を静止状態にする」ことができれば、各種センサを校正することが可能となると考えられる。
また、加速度センサ14については、移動加速度を生じない程度にゆっくりと入力装置10を全方位に向けることができれば、その間の各軸で検出した加速度センサ出力の最大値と最小値を求めて校正することが可能である。なお、入力装置10の各種センサを校正する際には、少なくとも各種センサの3軸毎に合わせて入力装置本体20を回転させることが望ましい。ただし、時間を掛けてもよければ、ランダムな回転方向に入力装置本体20を回転させてもよい。以下の説明では、このように入力装置本体20を回転させる方向を「全方位」と呼ぶ。
入力装置10を全方位に回転させるためには、入力装置10自身又は後述する支持装置がどの方向に入力装置10が回転したかを記憶しておく必要がある。例えば、各種センサの出力値における最大値及び最小値が更新されなくなったタイミングで、入力装置10の回転を止め、各種センサの校正処理を終えてもよい。ここで、後述する支持装置が入力装置10に非接触給電する期間で、全方位に入力装置本体20を回転させることができれば、入力装置10が搭載するバッテリー18の電力消費を抑えることができる。このため、入力装置10には、コード等を付けないことが望ましい。
また、磁気センサ16については、入力装置10を全方位に向けることができれば、その間の各軸の磁気値の最大値と最小値を求めて、磁気センサ16を校正することが可能と言える。
[入力装置を使用していないときに、入力装置を全方位に向ける第1の方法の例]
次に、入力装置10が備える各種センサを校正する方法の例について、図15〜図19を参照して説明する。
図15は、使用していない入力装置10を全方位に向ける第1の方法を示す説明図である。
図15Aは、外形が球体に形成される入力装置本体20に収納され、入力装置本体20を所定の方向に転がす移動部として、偏心錘71を入れた状態を示す。また、外形が球体に準じる形状に形成される入力装置本体20に収納され、入力装置本体20を所定の方向に転がす移動部として、偏心錘72を入れた入力装置70についても図示している。
図15Bは、ユーザが入力装置10を手で持って全方位に入力装置本体20を回転して各種センサを校正する例を示す。
図15Cは、床面に置かれた入力装置10の内部で偏心錘71が自動的に移動することにより、入力装置70が全方位に向く例を示す。
ユーザが入力装置10を使用しないときには、床面に入力装置10が置かれる。このとき、CPU11は、入力装置本体20が静止していることを検知するため、偏心錘71,72が入力装置本体20を少なくとも互いに異なる3軸方向に転がす。このような動作は入力装置70についても同様に行われる。入力装置10,70を全方位に向けることが可能となる。このため、CPU11は、磁気センサ16の校正を行うことができる。
[入力装置を使用していないときに、入力装置を全方位に向ける第2の方法の例]
次に、入力装置10を全方位に向ける支持装置について説明する。以下に説明する支持装置は、入力装置本体20(入力装置10)を支持し、入力装置本体20を所定の方向に回転させる回転部を備え、この回転部によって、入力装置本体20を少なくとも互いに異なる3軸方向に回転させるものである。そして、CPU11は、入力装置本体20(入力装置10)が回転されるタイミングで、磁気センサ16の校正を行う。なお、入力装置本体20(入力装置10)が回転される互いに異なる3軸方向は、ランダムに定められる。
図16は、支持装置75を用いて入力装置10を全方位に向ける例を示す説明図である。
図16Aは、支持装置75の外観例を示す上面図である。
支持装置75は、入力装置本体20を回転させるための回転部として、3個の回転部76a〜76cを備える。回転部76a〜76cは、回転部76a〜76cに載せられた入力装置本体20を回転しやすくするため、摩擦係数が高い素材によって形成されている。この回転部としては、少なくとも1つ以上の車輪として形成すればよい。
図16Bは、ユーザが入力装置10を手で持って全方位に入力装置本体20を回転して各種センサを校正する例を示す。
図16Cは、支持装置75に置かれた入力装置10が全方位に向く例を示す。
ユーザが入力装置10を使用しないときには、支持装置75に入力装置10が置かれる。このとき、支持装置75は、支持する入力装置本体20が静止していることを検知する。このため、回転部76a〜76cは、入力装置本体20を少なくとも互いに異なる3軸方向に回転する。このとき、回転部76a〜76cがそれぞれランダムな回転速度で回転する。これにより、入力装置10を全方位に向けることが可能となる。そして、CPU11は、入力装置本体20が回転していることを検知すると、この検知したタイミングで加速度センサ14及び角速度センサ15の校正を行う。
なお、回転部76a〜76cのいずれかが回転することにより、各種センサで必要とされる軸方向についてだけ校正することも可能である。この場合、校正が完了するまでの時間が短くなるため、ユーザは入力装置10を速やかに使用開始できる。なお、上記の入力装置70のように入力装置本体が球体に準ずる形状であっても、支持装置75は入力装置70を全方位に向けて、各種センサを校正することが可能となる。
[球体以外の形状とした入力装置を全方位に向ける第3の方法の例]
図17は、支持装置75を用いて入力装置80を全方位に向ける例を示す説明図である。
図17Aは、スティック型の入力装置80の使用例を示す。
この入力装置80は外形をスティック形状としてある。このような入力装置80では、支持装置75にそのまま置いても一方向にしか転がらず、全方位に向けることは難しい。
図17Bは、入力装置80を収納する収納装置81の例を示す。
収納装置81は、入力装置80を収納可能な空間が形成されており、外形が球体又は球体に準じる形状に形成される。このため、収納装置81は、入力装置80の周りに被せるアタッチメントとして用いられる。収納装置81の中で入力装置80が動かないようにするには、収納装置81の内部に入力装置80の形状に合わせた保護部材を充填しておけばよい。
図17Cは、支持装置75に置かれた収納装置81が全方位に向く例を示す。
ユーザが入力装置80を使用しないときには、収納装置81に入力装置80を収納した後、支持装置75に収納装置81が置かれる。このとき、回転部76a〜76cは、回転部76a〜76cに収納装置81が載せられたことにより、収納装置81を回転させる。この回転部76a〜76cは、それぞれランダムな回転速度で少なくとも互いに異なる3軸方向に回転する。これにより、入力装置80を全方位に向けて、各種センサを校正することが可能となる。
[球体以外の形状とした入力装置を全方位に向ける第4の方法の例]
図18は、入力装置10と同じ機能を持たせた携帯端末85を全方位に向ける例を示す説明図である。
図18Aは、携帯端末85の使用例を示す。
携帯端末85には、スマートフォン、携帯型の映像音楽再生機等が用いられる。
図18Bは、支持装置86の外観例を示す説明図である。
支持装置86は、携帯端末85を支持するアーム87を備えている。アーム87は、複数の支点によって任意の方向に曲がることが可能である。そして、アーム87に携帯端末85が取付けられると、任意の方向に携帯端末85を動かす機能を有する。
図18Cは、アーム87に取付けられた携帯端末85が全方位に向く例を示す。
ユーザが携帯端末85を使用しないときには、支持装置86のアーム87に携帯端末85が取付けられる。ここで、携帯端末85を回転させる回転部としてアーム87が用いられる。アーム87は、携帯端末85が取付けられたことを検出した場合に携帯端末85をランダムな回転速度で少なくとも互いに異なる3軸方向に回転する。これにより、携帯端末85を全方位に向けて、各種センサを校正することが可能となる。
[各種センサの校正時における意図的な癒し効果の例]
各種センサを校正する際、「入力装置10を全方位に向ける」ように回転させるためには、1軸での等速回転を行う等による機械的制御ではなく、パターン性のない制御(例えば、乱数制御)のように有機的な回転制御を行うことが必要となる。この制御では、入力装置10の回転方向、回転速度がランダムに制御されることとなる。ただし、意図的にユーザを楽しませたり、和ませたりするような回転制御を採用してもよい。これにより、入力装置10を使用していない間に入力装置10が勝手に動作することに対するユーザの不快感を軽減するだけでなく、鑑賞目的(例えば、オブジェ)としての価値を持たせることができる。
図19は、入力装置10を全方位に向けて癒し効果を得る例を示す説明図である。
図19Aは、支持装置75に置かれた入力装置10の例を示す。
入力装置10の外表面には、例えば地球儀のような模様が印刷されている。ここで、支持装置75が入力装置本体20を回転させる際には、まるで地球儀が回転しているかのような印象をユーザに与えることができ、癒し効果を得られる。
図19Bは、複数の入力装置10を並べて点灯した例を示す。
複数の入力装置10(図中では、10a〜10d)は、各々の回転動作に連動して、発光と消灯を繰り返したり、音楽を放音したりする。これにより、ユーザに対する癒し効果を得ることができる。なお、上述した支持装置75,76についても、明滅させたり、放音させたりしてもよい。
このように、各種センサの校正を行う間に入力装置10、支持装置75,76を発光したり、放音したりする。また、入力装置10、支持装置75,76の動作を変える。これによって、ユーザに意図的な癒し効果を与えることができる。また、ユーザへの報知パターンとして、各種センサの校正開始又は終了を知らせたり、報知自体に興趣を増すような仕組みを備えたりすることで、エンターテインメント性を高めるようにしてもよい。
[基準方位角の定義及び方角の校正方法の例]
次に、入力装置10の基準方位角の定義及び方角の校正方法の例について、図20〜図23を参照して説明する。
図20は、ローカル座標系とグローバル座標系の例を示す説明図である。
図20Aは、グローバル座標系の例を示す。
入力装置10は様々な方向に動かされるのに対し、表示装置60は設置された場所から動かされることはない。このため、表示装置60の位置を基準として常に固定されているグローバル座標系の3軸をそれぞれX,Y,Zとして求める。
図20Bは、ローカル座標系の例を示す。
グローバル座標系に対して移動し、回転される入力装置10に内蔵された各種センサ自身を基準とするローカル座標系の3軸をそれぞれx,y,zとして求める。ローカル座標系で求めた各種センサの出力値を、グローバル座標系に座標系変換し、入力装置10の傾き、方位を含む姿勢角を算出することにより、入力装置10の動きを表示装置60に表示される操作対象物60bに反映させる。
[正面方向が定義できない入力装置を用いた基準方位角の校正方法の例]
次に、磁気センサ16の校正を終えた後、基準方位角を求める処理の例について、図21〜図23を参照して説明する。
図21は、入力装置10の基準方位角を定義する例を示す説明図である。
図21Aは、ゲームコントローラ90の例を示す。
ゲームコントローラ90は、両手の持ち手部分により、正面方向を明確に定義することができる電子機器であると言える。
図21Bは、入力装置10の例を示す。
入力装置10の外形は球体に形成されており、正面方向を明確に定義できない電子機器であると言える。このため、入力装置10を用いて、グローバル座標系における操作対象物60bに対して正確な操作を実現するためには、ユーザが明示的に基準方位を示す必要がある。この基準方位には、例えば、入力装置10に対する表示装置60が置かれている方向等が考えられる。
図21Cは、入力装置10の正面方向を基準方位に校正する例を示す。
表示装置60が備えるCPU53は、磁気センサ16が出力する磁気出力値を用いて方位計算を行うと、ユーザが入力装置10を持ち上げた位置における“東西南北”を認識する。しかし、そのままでは、CPU53が入力装置10の基準方位を認識できない。
このため、ユーザが入力装置10の正面方向を基準方位に向けた状態で、所定の操作(タクトスイッチ12を押下する、正面方向に入力装置10を振る等)を行うことで、この操作がなされたタイミングにおける基準方位角を入力装置10に記憶させる校正作業が必要となる。ここで、入力装置10の北方向が判明した場合に、北方向から時計回りに基準方位へ至る角度を「基準方位角」と呼ぶ。
なお、正面方向が定義できるゲームコントローラ90では、「ユーザが無意識にゲームコントローラ90の正面を基準方位に向けて操作を開始する」という前提がある。このような前提によれば、操作を開始する時点の方位は、ほぼ基準方位と等しいため、図21Cに示したような基準方位の校正は必要ない。
[自動的に基準方位角を校正する第1の方法の例]
図22は、自動的に入力装置10の基準方位角を校正する第1の方法の例を示す説明図である。
図22Aは、床面に入力装置10を置いた例を示す。
入力装置10が自ら基準方位角を検知することが可能な場合には、磁気センサ16の校正作業終了後に、基準方位角を記憶し、又は基準方位角の補正を行う。ここで、基準方位角を検知する方法の例としては、入力装置10が備える2つの無線アンテナ17a,17bと、表示装置60が備える無線アンテナ52aを用いて三角測量により検知する方法がある。
図22Bは、入力装置10が基準方位角を校正する例を示す。
図22Cは、入力装置10と表示装置60の各アンテナを上面視した例を示す。
始めに、入力装置10が磁気センサ16の校正を行った後、入力装置本体20内で物理的に別の場所に配置した複数の無線アンテナ(例えば、無線アンテナ17a,17b)が、それぞれ表示装置60の無線アンテナ52aに対して電波を発する。この無線アンテナ17a,17bは、ダイバシティにより位置検出用と通信用を兼ねるようにすれば、入力装置本体20内での占有する空間を減らすことができる。
そして、表示装置60の無線アンテナ52aが受信した無線アンテナ17a,17bからの電波により、入力装置10の基準方位角を求める。このとき、表示装置60のCPU53は、表示装置60に対する入力装置10の基準方位角を算出して記憶し、適宜補正している。
なお、入力装置10が算出した基準方位角の精度が高い場合において、上述した図21に示したように正面方向を定義する用途であれば、磁気センサ16による方位検出そのものが必要なくなる。逆に、「入力装置10が検知した正確な基準方位角を用いて磁気センサ16から算出される方位角を校正する」という用途もあり得る。この用途の例としては以下の3例が挙げられる。
(1)屋外において入力装置10(例えば、スマートフォン)が備えるカメラを用いて、撮像した画像より、特徴的な物体(ランドマークの建物)の位置を認識する。なお、入力装置10には照度センサを設けることにより、特徴的な物体として、表示装置60の画面や太陽の方向を認識することもできる。
(2)撮像した瞬間における時刻、GPSによる位置情報、撮影された画像(例えば、建物の角度等)から本来出力されるべき正確な基準方位角を算出し、又は取得する。
(3)基準方位角に近づけるように磁気センサ16から算出した方位角を補正する。
[自動的に基準方位角を校正する第2の方法の例]
図23は、自動的に入力装置10の基準方位角を校正する第2の方法の例を示す説明図である。
図23Aは、支持装置75に入力装置10を置いた例を示す。
図23Bは、支持装置75が基準方位角を校正する例を示す。
始めに、入力装置10が磁気センサ16の校正を行った後、入力装置本体20内で物理的に別の場所に配置した複数の無線アンテナ(例えば、無線アンテナ17a,17b)を用いて、支持装置75と基準方位とのなす角度を検知する。ここで、支持装置75は固定して用いられることが多いため、支持装置75の正面方向は分かっている。そして、支持装置75の充電接点78と、入力装置10の充電接点18aが接触したときに、上記の検知を行うこととなる。なお、充電接点78,18aは、接触しないと充電が行われないため、入力装置10の表面には、充電接点18aの位置が明示され、支持装置75には、充電接点78の位置が明示されている。
そして、支持装置75は、支持装置75が持っている磁北に対して正面方向がなす角度の情報を入力装置10側に無線通信等を用いて伝達する。そして、表示装置60のCPU53は、表示装置60に対する入力装置10の基準方位角を算出して記憶し、適宜補正する。
そして、磁気センサ16の校正作業を終了した後に、支持装置75が入力装置10の基準方位角を算出し、支持装置75が算出した基準方位角の角度情報を入力装置10へ伝達することを可能とする。また、入力装置10又は支持装置75は、基準方位角を記憶し、必要に応じて基準方位角の補正を行う。
ここで、支持装置75と入力装置10が関係する角度を検知する方法としては、例えば支持装置75の充電接点78と、入力装置10の充電接点18aが接触した時点を基準とすることが考えられる。
また、支持装置75から入力装置10への角度情報を伝達する方法としては、無線通信を行ってもよいし、充電接点18a,67を介した有線通信としてもよい。また、充電接点18a,67の代わりに、マーカーや、へこみ等により位置を確定してもよい。
このように、「支持装置75を特定の向きで基準方位へ向ける」という前提があれば、支持装置75が基準方位角を検知機能は必要ない。通常、支持装置75の場所を頻繁に動かさないためである。
さらに、入力装置10を基準方位に向けた時に、支持装置75と入力装置10の充電接点18a,67が合うように設計すれば、支持装置75から入力装置10へ角度情報を伝達するための通信機能も必要なくなる。
ただし、上述した図21〜図23においては、入力装置10又は支持装置75が2本のアンテナを備え、制御装置50又は表示装置60が1本のアンテナを備えるようにしているが、逆であってもよい。すなわち、入力装置10又は支持装置75が1本のアンテナを備え、制御装置50又は表示装置60が2本のアンテナを備えるようにしても基準方位角を求めることが可能である。
以上説明した一実施の形態に係る入力装置10によれば、入力装置本体20の内部に磁気センサ16を備え、この磁気センサ16が出力する磁気値を用いて磁気センサ16を構成する。ここで、入力装置10は、ユーザが電子機器への操作入力を行っていない間に自動的に磁気センサ16の校正作業を行っている。このため、ユーザが使用するときには、既に磁気センサ16の校正が完了した状態となり、ユーザは磁気センサ16の校正作業を意識することなく常に校正済みの状態で入力装置10の使用を開始できる。
また、磁気センサ16以外の他のセンサについても、ユーザが電子機器への操作入力を行っていない間に自動的に校正作業を行っている。このため、ユーザが入力装置10の使用を開始する際に、時間が掛かっていた校正作業を行わなくて済む。
また、ユーザが入力装置10を使わない時間に支持装置に置かれた入力装置10の各種センサを構成する際に、意図的に視覚的、音響的効果を持たせることで入力装置10又は支持装置に、鑑賞目的(オブジェ)としての価値を持たせることができる。
<2.変形例>
[表示装置の構成例]
なお、上述した実施の形態では、制御装置50が表示装置60に表示される操作対象物60bの動作表示を制御する構成としたが、表示装置110が単独で制御してもよい。ここでは、表示装置110の構成例を説明する。
図24は、表示装置110の内部構成例を示すブロック図である。図24Aは、制御システム100′の構成例を示し、図24Bは、表示装置110の内部構成例を示す。
表示装置110は、表示部60aを備え、一般的なコンピュータ装置としての機能を有するディスプレイ一体型のコンピュータ装置である。表示部60aには、操作対象物60bとして、丸形のアイコンと、四角形のアイコンが表示されている。そして、表示装置110の前には、入力装置10が操作可能な状態で置かれている(図24A)。
表示装置110は、表示部60a、CPU113、ROM114、RAM115、通信部116、記憶部117を備える。
ROM114は不揮発性のメモリであり、CPU113の処理に必要な各種のプログラムが記憶される。RAM115は揮発性のメモリであり、CPU113の作業領域として用いられる。
通信部116は、不図示のアンテナ等を有しており、入力装置10から送信される各種の情報を受信する。また、通信部116は、入力装置10へ信号を送信することも可能である。
CPU113は、表示装置110内の各部の処理を実行しており、上述した制御装置50が備えるCPU51と同様の制御を行うことができる。このため、CPU113は、送受信回路17から受信した各種の情報に基づいて、表示部60aに表示される操作対象物を制御している。
また、表示装置110は、不図示の操作部を備える。この操作部には、例えば、キーボードであり、ユーザは、この操作部を用いて初期設定、特殊設定等の設定を行う。操作部は、ユーザからの各種の指示を受付け、入力された信号をCPU113へ出力する。
このように、表示装置110は、制御装置50と上述した表示装置60を一体化した構成としてあるため、制御システム100′の構成を簡素化することができる。
[他の変形例]
また、入力装置10と表示装置60との距離は操作感に寄与しないため、任意に設定できる。例えば、ロボットアーム、クレーン等を操作するための遠隔コントローラとして入力装置10を用い、表示装置60には実際に動くロボットアーム、クレーン等を表示することもできる。
また、報知機構9は、操作対象物が表示された画面上での光の色を変えたり、明暗を異ならせたり、画面に付随したスピーカからの音によるフィードバックも併用してもよい。また、角速度又は加速度のそれぞれ3軸に合わせて異なる報知を行ってフィードバックすることも可能である。例えば、各軸によって光の色、光の明暗、音の高さ、音の大きさを異ならせるようにしてもよい。また、x軸は光、y軸は音、z軸は振動のように軸毎に報知する種類を変えてもよい。
また、操作対象物60bは、画面に表示される仮想的な物体であり、どのような物体であっても操作対象物60bとして表示し、操作することができる。このため、コンピュータ装置の操作に不慣れなユーザであっても直感的に操作することが可能となる。
また、入力装置10の形状を球体としたが、球体以外の形状として形成してもよい。方向性のない形状として、例えば、正多面体、準正多面体の形状とすることもできる。
また、入力装置10は、9軸のセンサデータを用いることができるが、常に全ての軸のセンサデータを用いる必要はない。一部のセンサデータだけを取り出して、操作対象物60bの操作に用いてもよい。
また、支持装置75が入力装置本体20の回転を開始する合図として、支持装置75に置かれた入力装置本体20が静止していることとしたが、入力装置10から支持装置75に対して回転開始の指示信号を送信するようにしてもよい。また、支持装置75によって入力装置本体20の回転が開始されたことを、支持装置75から入力装置10に送信する開始信号を送信することで知らせてもよい。
また、上述した実施の形態例における一連の処理は、ハードウェアにより実行することができるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、又は各種の機能を実行するためのプログラムをインストールしたコンピュータにより、実行可能である。例えば汎用のパーソナルコンピュータ等に所望のソフトウェアを構成するプログラムをインストールして実行させればよい。
また、上述した実施の形態例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給してもよい。また、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPU等の制御装置)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、機能が実現されることはいうまでもない。
この場合のプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態例の機能が実現される。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって上述した実施の形態例の機能が実現される場合も含まれる。
また、本開示は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体と、
前記入力装置本体に収納され、地磁気の方向を検知して磁気値を出力する磁気センサと、
前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する演算部と、を備える
入力装置。
(2)
前記演算部は、校正した前記磁気値に基づいて前記入力装置本体から前記操作対象物に対する基準方位角を演算する
前記(1)記載の入力装置。
(3)
さらに、前記入力装置本体に収納され、加速度を検出して加速度値を出力する加速度センサ、及び角速度を検出して角速度値を出力する角速度センサを備え、
前記演算部は、前記入力装置本体が静止していることを検知すると、前記加速度センサ及び前記角速度センサの校正を行う
前記(1)又は(2)記載の入力装置。
(4)
さらに、前記入力装置本体に収納され、外形が球体又は球体に準じる形状に形成される前記入力装置本体を所定の方向に転がす移動部を備え、
前記演算部は、前記入力装置本体が静止していることを検知すると、前記移動部が前記入力装置本体を少なくとも互いに異なる3軸方向に転がすことによって前記磁気センサの校正を行う
前記(1)〜(3)のいずれかに記載の入力装置。
(5)
前記演算部は、前記入力装置本体を支持する支持装置が前記入力装置本体を少なくとも互いに異なる3軸方向に回転させるタイミングで、前記磁気センサの校正を行う
前記(1)〜(3)のいずれかに記載の入力装置。
(6)
表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体と、
前記入力装置本体に収納され、地磁気の方向を検知して磁気値を出力する磁気センサと、
前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する演算部と、を有する入力装置と、
前記入力装置本体を支持する支持装置と、を備え、
前記支持装置は、前記入力装置本体を所定の方向に回転させる回転部を有し、
支持する前記入力装置本体が静止していることを検知した後、前記回転部は前記入力装置を少なくとも互いに異なる3軸方向に回転する
制御システム。
(7)
さらに、前記入力装置本体に収納され、加速度を検出して加速度値を出力する加速度センサ、及び角速度を検出して角速度値を出力する角速度センサを備え、
前記演算部は、前記入力装置本体が回転していることを検知すると、前記加速度センサ及び前記角速度センサの校正を行う
前記(6)記載の制御システム。
(8)
前記回転部は、前記入力装置本体を回転させる1つ以上の車輪であり、
前記入力装置本体の外形が球体又は球体に準じる形状に形成され、
前記回転部は、前記回転部に載せられた前記入力装置本体を回転させる
前記(6)又は(7)記載の制御システム。
(9)
さらに、前記入力装置を収納し、外形が球体又は球体に準じる形状に形成される収納装置を備え、
前記回転部は、前記入力装置を収納した前記収納装置が前記回転部に載せられたことにより、前記入力装置本体を回転させる
前記(6)又は(7)記載の制御システム。
(10)
前記回転部は、前記入力装置が取付けられたことを検出した場合に前記入力装置本体を回転させるアームである
前記(6)又は(7)記載の制御システム。
(11)
前記入力装置本体が回転される前記互いに異なる3軸方向は、ランダムに定められる
前記(7)〜(10)のいずれかに記載の制御システム。
(12)
前記入力装置及び/又は支持装置は、前記演算部が前記磁気センサの校正を行う間に、前記入力装置及び/又は支持装置の動作を変え、発光し、又は放音する
前記(7)〜(11)のいずれかに記載の制御システム。
(13)
表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体に収納される磁気センサが地磁気の方向を検知して磁気値を出力する工程と、
前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する工程と、を含む
校正方法。
(14)
表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体に収納される磁気センサが地磁気の方向を検知して磁気値を出力する手順、
前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する手順、とを
コンピュータに実行させるプログラム。
9…報知機構、10…入力装置、11…CPU、13…感圧センサ、14…加速度センサ、15…角速度センサ、16…磁気センサ、17…送受信回路、18…バッテリー、20…入力装置本体、50…制御装置、60…表示装置、100…制御システム

Claims (14)

  1. 表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体と、
    前記入力装置本体に収納され、地磁気の方向を検知して磁気値を出力する磁気センサと、
    前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する演算部と、を備える
    入力装置。
  2. 前記演算部は、校正した前記磁気値に基づいて前記入力装置本体から前記操作対象物に対する基準方位角を演算する
    請求項1記載の入力装置。
  3. さらに、前記入力装置本体に収納され、加速度を検出して加速度値を出力する加速度センサ、及び角速度を検出して角速度値を出力する角速度センサを備え、
    前記演算部は、前記入力装置本体が静止していることを検知すると、前記加速度センサ及び前記角速度センサの校正を行う
    請求項1又は2記載の入力装置。
  4. さらに、前記入力装置本体に収納され、外形が球体又は球体に準じる形状に形成される前記入力装置本体を所定の方向に転がす移動部を備え、
    前記演算部は、前記入力装置本体が静止していることを検知すると、前記移動部が前記入力装置本体を少なくとも互いに異なる3軸方向に転がすことによって前記磁気センサの校正を行う
    請求項1〜のいずれかに記載の入力装置。
  5. 前記演算部は、前記入力装置本体を支持する支持装置が前記入力装置本体を少なくとも互いに異なる3軸方向に回転させるタイミングで、前記磁気センサの校正を行う
    請求項1〜のいずれかに記載の入力装置。
  6. 表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体と、
    前記入力装置本体に収納され、地磁気の方向を検知して磁気値を出力する磁気センサと、
    前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する演算部と、を有する入力装置と、
    前記入力装置本体を支持する支持装置と、を備え、
    前記支持装置は、前記入力装置本体を所定の方向に回転させる回転部を有し、
    支持する前記入力装置本体が静止していることを検知した後、前記回転部は前記入力装置を少なくとも互いに異なる3軸方向に回転する
    制御システム。
  7. さらに、前記入力装置本体に収納され、加速度を検出して加速度値を出力する加速度センサ、及び角速度を検出して角速度値を出力する角速度センサを備え、
    前記演算部は、前記入力装置本体が回転していることを検知すると、前記加速度センサ及び前記角速度センサの校正を行う
    請求項6記載の制御システム。
  8. 前記回転部は、前記入力装置本体を回転させる1つ以上の車輪であり、
    前記入力装置本体の外形が球体又は球体に準じる形状に形成され、
    前記回転部は、前記回転部に載せられた前記入力装置本体を回転させる
    請求項6又は7記載の制御システム。
  9. さらに、前記入力装置を収納し、外形が球体又は球体に準じる形状に形成される収納装置を備え、
    前記回転部は、前記入力装置を収納した前記収納装置が前記回転部に載せられたことにより、前記入力装置本体を回転させる
    請求項6又は7記載の制御システム。
  10. 前記回転部は、前記入力装置が取付けられたことを検出した場合に前記入力装置本体を回転させるアームである
    請求項6又は7記載の制御システム。
  11. 前記入力装置本体が回転される前記互いに異なる3軸方向は、ランダムに定められる
    請求項7〜10のいずれかに記載の制御システム。
  12. 前記入力装置及び/又は支持装置は、前記演算部が前記磁気センサの校正を行う間に、前記入力装置及び/又は支持装置の動作を変え、発光し、又は放音する
    請求項7〜11のいずれかに記載の制御システム。
  13. 表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体に収納される磁気センサが地磁気の方向を検知して磁気値を出力する工程と、
    前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する工程と、を含む
    校正方法。
  14. 表示装置に表示される操作対象物に対する操作入力が可能な入力装置本体に収納される磁気センサが地磁気の方向を検知して磁気値を出力する手順、
    前記入力装置本体が静止していることを検知した後、少なくとも互いに異なる3軸方向に前記入力装置本体が回転すると、前記磁気センサが出力する磁気値を校正する手順、とを
    コンピュータに実行させるプログラム。
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