JP5868267B2 - 歩行型管理機 - Google Patents

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本発明は、作業者が歩きながらハンドル操作を行って耕耘作業を行う歩行型管理機に関し、さらに詳しくは、機体に搭載したエンジンによって駆動される走行輪およびロータリを備えた歩行型管理機の改良に関する。
この種の歩行型管理機は、一般に、機体上部の前側にエンジンが搭載され、機体中央部にトランスミッションが搭載され、機体下部の前側に走行輪が配置され、その後側に耕耘爪を備えたロータリが配置され、機体中央部の上側の部位には、後方に向けて斜め上方に延びたハンドルが備わった構成となっている。この構成の歩行型管理機は特許文献1に開示されている。
ここで、エンジンの出力回転はトランスミッションを介して走行輪およびロータリにそれぞれ伝達される。エンジンおよびトランスミッションは、それらの回転軸が機体幅方向に水平に延びる状態に配置されている。このように平行に配置されているエンジンの回転出力軸からトランスミッションの回転入力軸への回転力の伝達機構は、機体側方の部位において、これらの回転軸の間を連結しているベルト式伝動機構が一般的に採用されている。また、ベルト式の伝達機構には、ベルトのテンションを変えることで動力伝達の入り切りを行う主クラッチ機能が付設されている。トランスミッションから走行輪およびロータリのそれぞれへの回転力の伝達は、スプロケット・チェーン式の伝動機構を介して行われる。
特開2000−78901号公報
従来の歩行型管理機では、上記のように、機体側方の部位に配置したベルト式伝動機構を介してエンジンからトランスミッションに回転力が伝達される。機体側方の部位に、このような伝動機構を配置する必要があるので、その分、機体幅方向の寸法が大きくなっており、歩行型管理機の小型化、軽量化の観点からは望ましくない。また、機体の一方の側に伝動機構が配置されているので、機体の左右の重量バランスが悪くなりやすい。
また、エンジンの出力回転を平歯車からなる減速歯車列を介して減速しており、大きな減速比を得るためには多くの枚数の平歯車を配置する必要があり、歩行型管理機の小型・軽量化、低コスト化の観点からは望ましくない。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、伝動機構を改良することによって、従来に比べて小型・軽量化および低コスト化を図った歩行型管理機を提案することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の歩行型管理機においては、エンジンからトランスミッションへの回転力の伝動機構として、ハイポイドピニオン、および、これが噛み合っているハイポイドギヤからなるハイポイドギヤセットを採用している。
すなわち、エンジンを、そのエンジン回転出力軸が機体後方に水平に延びるように、縦置き状態に配置し、エンジン回転出力軸の軸先端部にハイポイドピニオンを固定している。また、トランスミッションにおける機体幅方向に延びる回転入力軸にハイポイドギヤを同軸に配置し、これらハイポイドピニオンおよびハイポイドギヤからなるハイポイドギヤセットを介してエンジンの回転出力をトランスミッションに伝達している。
ハイポイドギヤセットを用いることにより、機体側方の部位に配置されるベルト式伝動機構などの伝達機構を省略することができる。また、ハイポイドギヤセットは高い減速比を得ることができるので、平歯車からなる減速歯車列を用いて高減速比を得る場合に比べて部品点数を削減できる。よって、歩行型管理機の小型・軽量化および低コスト化を実現でき、機体の一方の側部にベルト式の伝動機構を設ける必要がないので機体の左右の重量バランスも確保し易くなる。
ここで、エンジンの回転出力軸から、これに直交するトランスミッションの回転入力軸に回転力を伝達するために、ハイポイドギヤセットの代わりにウォームギヤを用いることが考えられる。しかし、ウォームギヤを用いる場合には噛み合い部分の発熱等を考慮して、クラッチ等を取り付けて、必要時以外はエンジン回転出力軸から切り離しておく必要があり、伝動機構が大型化してしまう。これに対してハイポイドギヤセットは噛み合い効率が良く、常時、接続状態のままとしておくことが可能であり、ウォームギヤを用いる場合に必要とされるクラッチ等の機構が不要であるので、歩行型管理機の小型・軽量化および低コスト化に極めて有利である。
本発明を適用した歩行型管理機を示す側面図であり、トランスミッションの部分は断面で示してある。 トランスミッションを示す縦断面図、正面図および背面図である。 トランスミッションの切断ラインを示す説明図および当該切断ラインで切断した場合のトランスミッションの断面展開図である。 トランスミッションの切断ラインを示す説明図および当該切断ラインで切断した場合のトランスミッションの断面展開図である。
以下に、図面を参照して本発明を適用した歩行型管理機の実施の形態を説明する。
図1を参照して説明すると、歩行型管理機1は、管理機前側の部位において管理機幅方向の中央に配置した走行輪2と、この走行輪2の後側に配置したロータリ3とを備えている。ロータリ3は、等角度間隔で放射状に配置した複数枚の耕耘爪4を備えている。走行輪2の上側には、パイプ枠からなるエンジン取付台5に搭載されたエンジン6が配置されており、エンジン6の後側にはトランスミッション7が配置されている。エンジン6とトランスミッション7の間は、ハイポイドギヤセットからなる伝動機構8を介して連結されている。
トランスミッション7の上側には、ここから管理機後方に向けて斜め上方に延びている左右一対のパイプ製のハンドル9が配置されている。ロータリ3の上側および両側を覆っているロータリカバー10の後端部には耕耘深さを調整するための抵抗部材取り付け部11が設けられている。
エンジン6は縦置き状態で配置されており、そのエンジン回転出力軸12は管理機後方に向かって水平に突出している。エンジン回転出力軸12はエンジンケース13の後端から後方に延びている円筒状の回転軸ケース14によって覆われている。エンジン回転出力軸12の軸先端部には、伝動機構8の構成部品であるハイポイドピニオン15が同軸に連結固定されており、当該ハイポイドピニオン15のピニオン軸15aの部分は軸受16を介して回転軸ケース14によって支持されている。
トランスミッション7は、そのミッションケース17の内部に配置された回転入力軸18、走行輪側回転出力軸19およびロータリ側回転出力軸20を備え、これらの軸は管理機幅方向に水平に延びている。回転入力軸18には、伝動機構8の構成部品であるハイポイドギヤ21が同軸に取り付けられており、ここに、エンジン回転出力軸12に固定したハイポイドピニオン15が噛み合っている。ハイポイドピニオン15の中心軸線はハイポイドギヤ21の中心軸線よりも上方にオフセットした位置にある。
エンジン6から伝動機構8を介してトランスミッション7の回転入力軸18に伝達された回転は、後述のように、走行輪側回転出力軸19およびロータリ側回転出力軸20に伝達される。走行輪側回転出力軸19の回転は、スプロケット・チェーン式の伝動機構22を介して、走行輪2の回転軸23に伝達される。同様に、ロータリ側回転出力軸20の回転は、スプロケット・チェーン式の伝動機構24を介して、ロータリ3の回転軸25に伝達される。
図2(a)はトランスミッション7を示す縦断面図であり、図2(b)はその正面図であり、図2(c)はその背面図である。これらの図に示すように、ミッションケース17の内部には、先に述べたように、回転入力軸18、走行輪側回転出力軸19およびロータリ側回転出力軸20が配置されている。また、主変速シフター31、クラッチシフター32およびロータリシフター33のそれぞれが配置されている。クラッチシフター32をシフトさせることで、エンジン6から伝動機構8を介して回転入力軸18に至る回転入力の伝達経路の接続、切断の切り替えを行うことができ、主変速シフター31をシフトさせることで走行輪2の回転を低速、高速の2段に切り替え可能であり、ロータリシフター33をシフトさせることでロータリ3への回転出力の伝達経路の接続、切断の切り替えが可能である。
図3(a)はトランスミッション7の切断ラインを示す説明図であり、図3(b)は図3(a)の切断ラインに沿って切断した場合のトランスミッション7の断面展開図である。同様に、図4(a)はトランスミッション7の別の切断ラインを示す説明図であり、図4(b)は図4(a)の切断ラインに沿って切断した場合のトランスミッション7の断面展開図である。
図2〜図4を参照してトランスミッション7の内部構成を説明する。まず、回転入力軸18には、その一方の軸端部の側に伝動機構8のハイポイドギヤ21が固定されており、ハイポイドギヤ21にはエンジン回転出力軸先端に取り付けたハイポイドピニオン15が噛み合っている。回転入力軸18におけるハイポイドギヤ21とは反対側の軸端部の側には爪クラッチ34が配置されており、ハイポイドギヤ21と爪クラッチ34の間には、伝達ギヤ35、高速段ギヤ36および低速段ギヤ37を備えた複合ギヤアセンブリが配置されている。クラッチシフター32によって爪クラッチ34を軸線方向にスライドさせることで、回転伝達経路が接続されて回転入力軸18と一体となって複合ギヤアセンブリが回転する。
回転入力軸18に隣接配置されている走行輪側回転出力軸19には、伝達ギヤ35に噛み合っている伝達ギヤ38および当該伝達ギヤ38と一体回転する駆動側スプロケット39が回転自在の状態で取り付けられている。また、走行輪側回転出力軸19には、主変速シフター31によってスライド可能な状態で、高速段ギヤ41および低速段ギヤ42が支持されている。主変速シフター31によって高速段ギヤ41を回転入力軸18の側の高速段ギヤ36に噛み合わせると、走行輪側回転出力軸19が高速回転する。走行輪側回転出力軸19の回転は、ミッションケース17から側方に突出している軸端部19aから伝動機構22(図1参照)を介して走行輪2の側に伝達される。同様に、主変速シフター31をシフトさせて低速段ギヤ42を回転入力軸18の側の低速段ギヤ37に噛み合わせると、走行輪側回転出力軸19が低速回転し、これが、伝動機構22を介して走行輪2の側に伝達される。
一方、ロータリ側回転出力軸20には、クラッチシフター32によってスライド可能な爪クラッチ43が支持されていると共に、従動側スプロケット44が回転自在の状態で支持されている。従動側スプロケット44と走行輪側回転出力軸19の駆動側スプロケット39との間にはチェーン45が架け渡されており、駆動側スプロケット39の回転が伝達される。クラッチシフター32をシフトさせると、従動側スプロケット44がロータリ側回転出力軸20に連結される。ロータリ側回転出力軸20の回転は、ミッションケース17から側方に突出している軸端部20aから伝動機構24(図1参照)を介してロータリ3の側に伝達される。
このように構成した歩行型管理機1では、エンジン6の出力回転がハイポイドギヤセットからなる伝動機構8を介して、エンジン回転出力軸12に直交する方向に延びているトランスミッション7の回転入力軸18に伝達されるように構成されている。したがって、管理機側方の部位にエンジン回転出力を取り出して、ベルト式伝動機構等の伝動機構を介してトランスミッション側に回転力を伝達する場合に比べて、少ない部品点数で動力伝達機構を構成できるので、歩行型管理機1の小型・軽量化および低コスト化に有利である。
また、ハイポイドピニオン15およびハイポイドギヤ21からなるハイポイドギヤセットは大きな減速比を得ることができ、平歯車から減速歯車列を構成する場合に比べて所望の減速比を得るために必要な歯車の数が少なくて済む。この点からも、歩行型管理機1の小型・軽量化および低コスト化に有利である。
さらに、ウォームギヤに比べて噛み合い効率が良いので、エンジン回転出力軸12とハイポイドギヤセットからなる伝動機構8の間を常時接続状態にしておくことができる。ウォームギヤを用いる場合には、発熱等を抑制するために、エンジン回転出力軸とウォームギヤの間にクラッチ機構を介在させて必要時のみ接続するように構成される。したがって、ハイポイドギヤセットを用いることはウォームギヤを用いる場合に比べて、歩行型管理機の小型・軽量化、低コスト化に有利である。
1 歩行管理機
2 走行輪
3 ロータリ
4 耕耘爪
5 エンジン取付台
6 エンジン
7 トランスミッション
8 伝動機構
9 ハンドル
10 ロータリカバー
11 抵抗部材取り付け部
12 エンジン回転出力軸
13 エンジンケース
14 回転出力軸ケース
15 ハイポイドピニオン
15a ピニオン軸
16 軸受
17 ミッションケース
18 回転入力軸
19 走行輪側回転出力軸
19a 軸端部
20 ロータリ側回転出力軸
21 ハイポイドギヤ
22 伝動機構
23 回転軸
24 伝動機構
25 回転軸
31 主変速シフター
32 クラッチシフター
33 ロータリシフター
34 爪クラッチ
35 伝達ギヤ
36 高速段ギヤ
37 低速段ギヤ
38 伝達歯車
39 駆動側スプロケット
41 高速段ギヤ
42 低速段ギヤ
43 爪クラッチ
44 従動側スプロケット
45 チェーン

Claims (1)

  1. 走行輪(2)と、
    前記走行輪(2)の後側に配置したロータリ(3)と、
    前記走行輪(2)および前記ロータリ(3)を回転駆動するために前記走行輪(2)の上側に配置したエンジン(6)と、
    前記エンジン(6)の回転出力を前記走行輪(2)および前記ロータリ(3)に伝達するために前記エンジン(6)の後側に配置したトランスミッション(7)と、
    前記エンジン(6)の出力回転を前記トランスミッション(7)に伝達する伝動機構(8)と、
    前記トランスミッション(7)の上側の部位から後方に延びている操舵用のハンドル(9)とを有し、
    前記伝動機構(8)は、ハイポイドピニオン(15)およびハイポイドギヤ(21)からなるハイポイドギヤセットであり、
    前記エンジン(6)の回転出力軸(12)は後方に向けて水平に延びており、
    前記回転出力軸(12)の軸先端部には前記伝動機構(8)の前記ハイポイドピニオン(15)が同軸に固定されており、
    前記トランスミッション(7)における前記エンジン(6)の出力回転が入力される回転入力軸(18)は幅方向に向けて水平に延びており、
    前記回転入力軸(18)には、前記伝動機構(8)の前記ハイポイドギヤ(21)が同軸に配置されていることを特徴とする歩行型管理機(1)。
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