以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(セグメント単位で信号の電力を調整する例)
1−1.各セグメントの信号の電力をPSI/SIによって通知する例
1−2.各セグメントの信号の電力をTMCC情報によって通知する例
2.第2の実施の形態(波形整形によって信号の電力を調整する例)
2−1.波形整形の情報をPSI/SIによって通知する例
2−2.波形整形の情報をTMCC情報によって通知する例
<1.第1の実施の形態(セグメント単位で信号の電力を調整する例)>
[送信信号について]
図2は、本技術の一実施形態に係る放送システムの構成例を示す図である。図2の放送システムは送信装置1と受信装置2から構成される。
送信装置1は、束セグ型またはバラセグ型のエリア型放送を連結送信により行う装置である。送信装置1に対しては、各セグメントを使って送信するデータが入力される。
送信装置1は、入力されたデータに基づいてARIB STD-B31に準拠した13セグメント形式のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)セグメントの信号を生成し、連結送信によって送信する。上述したように、連結送信は複数の単位送信波をガードバンドなしに連結して同一送信点より送信する方式である。
受信装置2は、ワンセグ放送の受信が可能な携帯電話機などの端末である。受信装置2は、送信装置1から送信されたOFDM信号を受信し、復調処理、復号処理などの各種の処理を施すことによって所定の1セグメントによって伝送されたデータを取得する。受信装置2は、取得したデータをデコードし、ビデオデータやオーディオデータなどを出力する。
図3Aは、送信装置1が送信するOFDM信号の例を示す図である。
図3Aの横軸は周波数を表す。セグメントNo.0がチャンネル内で周波数が最も低いセグメントであり、セグメントNo.12が同じチャンネル内で周波数が最も高いセグメントである。縦方向は信号の送信電力を表す。
図3Aに示すように、送信装置1においては、信号の電力がセグメント単位で調整される。図3Aの例においては、セグメントNo.6を中心とするセグメントNo.3〜No.9の信号の電力は電力P0である。また、セグメントNo.3の下隣のセグメントであるセグメントNo.2とセグメントNo.9の上隣のセグメントであるセグメントNo.10の信号の電力は、電力P0より小さい電力P1である。セグメントNo.2の下隣のセグメントであるセグメントNo.1とセグメントNo.10の上隣のセグメントであるセグメントNo.11の信号の電力は、電力P1より小さい電力P2である。下端のセグメントであるセグメントNo.0と上端のセグメントであるセグメントNo.12の信号の電力は、電力P2より小さい電力P3である。
このように、送信装置1においては、チャンネルの中央に近いセグメントの信号の電力に較べて、チャンネルの端に近いセグメントの信号の電力を小さくするように各セグメントの信号の電力が調整される。
これにより、図3Bに示すように全てのセグメントの信号を同じ電力で送信した場合と較べて、隣接するチャンネルの信号に与える干渉を抑えることが可能になる。図3Aの例の場合、主に、セグメントNo.0の信号が下隣接チャンネルの上端のセグメントの信号に与える干渉を抑えることが可能になる。また、セグメントNo.12の信号が上隣接チャンネルの下端のセグメントの信号に与える干渉を抑えることが可能になる。
セグメントNo.12の上隣接セグメントの下端のキャリアの信号は、受信装置2においてセグメントNo.12の信号の等化時にCP(Continual Pilot)として用いられる。図4に示すように、ARIB STD-B29 3.13.2においては、受信対象とするセグメントの上隣接セグメントの下端のキャリアを、受信対象のセグメントのCPキャリアとして準用することが規定されている。連結送信時、連結した周波数帯域全体の上端にはCPキャリアが1本追加される。
このように、受信装置2においては、受信対象のセグメントの上隣接セグメントの下端のキャリアの信号が等化に用いられる。送信側においてセグメント単位で電力の調整が行われているから、受信した信号を用いてそのまま等化を行った場合、受信装置2は等化を正しく行うことができないことがある。送信装置1から受信装置2に対しては、電力の補正に用いるために各セグメントの信号の電力に関する情報である電力情報が通知される。
電力情報の通知方法には、PSI/SI(Program Specific Information/Service Information)を用いる方法と、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)情報を用いる方法がある。はじめに、PSI/SIを用いる方法について説明する。
<1−1.各セグメントの信号の電力をPSI/SIによって通知する例>
[送信装置1の構成]
図5は、送信装置1の構成例を示すブロック図である。送信装置1は、TS生成部11−0乃至11−12、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12、電力調整部13、IFFT入力割付部14、IFFT演算部15、GI付加部16、送信部17、電力制御部18、およびPSI/SI生成部19から構成される。
TS生成部11−0乃至11−12は、それぞれ、外部から入力されたAVデータと、PSI/SI生成部19から供給されたPSI/SIを多重化することによってTS(Transport Stream)を生成する。PSI/SI生成部19から供給されるPSI/SIには、PAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、NIT(Network Information Table)などが含まれる。
PATは、TS内に含まれるプログラムの一覧をPMTのPIDによって示す情報である。PMTは、各プログラムの画像や音声などを格納するパケットのPIDを示す情報である。NITは、チャンネル番号、変調方式、ガードインターバルなどの、ネットワークに関する情報である。電力情報は、PSI/SIのうちの例えばNITに含まれる。
TS生成部11−0乃至11−12は、生成したTS0乃至TS12をそれぞれOFDMフレーム生成部12−0乃至12−12に出力する。例えばTS0に多重化されているPSI/SIのNITにはセグメントNo.0の信号の電力情報が含まれている。
OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれ、TS0乃至TS12のデータをセグメントNo.0乃至No.12によって伝送するためのOFDMフレームを生成し、電力調整部13−1乃至13−12に出力する。
電力調整部13の電力調整部13−0乃至13−12は、それぞれ、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12から供給されたOFDMフレームの信号の電力を電力制御部18による制御に従って調整する。
送信装置1が送信するOFDM信号が図3Aに示す信号である場合、例えば電力調整部13−0は、OFDMフレーム生成部12−0から供給されたセグメントNo.0のOFDMフレームの信号の電力を電力P3になるように調整する。また、電力調整部13−1は、OFDMフレーム生成部12−1から供給されたセグメントNo.1のOFDMフレームの信号の電力を電力P2になるように調整する。電力調整部13−0乃至13−12は、それぞれ、電力調整後の各セグメントのOFDMフレームの信号をIFFT入力割付部14に出力する。
IFFT入力割付部14は、電力調整部13−0乃至13−12から供給された各セグメントのOFDMフレームの信号をキャリアに割り付け、IFFT演算部15に出力する。
IFFT演算部15は、IFFT入力割付部14から供給された信号に対して一括してIFFT演算を施し、時間域のOFDM信号を生成する。IFFT演算部15は、生成したOFDM信号をGI付加部16に出力する。
GI付加部16は、IFFT演算部15から供給されたOFDM信号の各有効シンボルの先頭に、各有効シンボルの後半の一部をコピーすることによってGI(Guard Interval)を付加し、OFDMシンボルからなるOFDM信号を生成する。GI付加部16は、生成したOFDM信号を送信部17に出力する。
送信部17は、GI付加部16から供給されたOFDM信号のアップコンバートなどを行い、アンテナから送信する。
電力制御部18は、各セグメントの信号の電力を示す情報を電力調整部13とPSI/SI生成部19に出力する。
PSI/SI生成部19は、各セグメントのTS用のPSI/SIを生成し、TS生成部11−0乃至11−12に出力する。例えばTS0に多重化されるPSI/SIはTS生成部11−0に供給され、TS1に多重化されるPSI/SIはTS生成部11−1に供給される。
[NITのエリア型分配システム記述子を用いた例]
電力情報を通知するために例えばエリア型分配システム記述子(area delivery system descriptor)が用いられる。なお、エリア型分配システム記述子の名称は、エリア型放送システムにおいて電力情報を通知するための情報の名称として仮に用いる名称である。記述子の名称は適宜変更可能である。
エリア型分配システム記述子は、地上分配システム記述子(Terrestrial delivery system descriptor)と同様にNITに含まれる。地上分配システム記述子は地上伝送路の物理的条件を示す情報であり、ARIB STD-B10 4.9版の6.2.31に規定される。
図6は、エリア型分配システム記述子のデータ構造の例を示す図である。
area_codeは12ビットのフィールドであり、サービスエリアのコードを示す。
guard_interval(ガードインターバル)は2ビットのフィールドであり、ガードインターバル長を示す。図7はguard_intervalの値の意味を示す図である。例えばguard_intervalが00であることは、ガードインターバル長が1/32であることを示す。
transmission_modeは(モード情報)は2ビットのフィールドであり、伝送モードを示す。図8はtransmission_modeの値の意味を示す図である。transmission_modeが00であることは伝送モードがMode 1であることを示し、01であることは伝送モードがMode 2であることを示す。また、transmission_modeが10であることは伝送モードがMode 3であることを示す。ARIB STD-B10においては、OFDMキャリア間隔の異なる3つの伝送モードが規定されている。
transmission_power(当該セグメント送信電力)は4ビットのフィールドであり、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力を示す。例えばセグメントNo.0によって伝送されるTS0のNITに含まれるエリア型分配システム記述子のtransmission_powerは、当該セグメントであるセグメントNo.0の信号の、基準電力に対する電力を示す。
図9は、transmission_powerの値の意味を示す図である。
transmission_powerが1111であることは、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力が0dBであることを示し、1110であることは、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力が-3dBであることを示す。transmission_powerが1101であることは、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力が-6dBであることを示し、1100であることは、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力が-9dBであることを示す。transmission_powerの他の値にも、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力を示すdB値がそれぞれ割り当てられる。
図6のadjacent_transmission_power(上隣接セグメント送信電力)は4ビットのフィールドであり、基準電力に対する上隣接セグメントの信号の電力を示す。例えばセグメントNo.0によって伝送されるTS0のNITに含まれるエリア型分配システム記述子のadjacent_transmission_powerは、セグメントNo.1の信号の、基準電力に対する送信電力を示す。
adjacent_transmission_powerの各値には、図9に示すtransmission_powerの各値の意味と同じ意味が割り当てられる。すなわち、adjacent_transmission_powerが1111であることは、基準電力に対する上隣接セグメントの信号の電力が0dBであることを示す。adjacent_transmission_powerが1110であることは、基準電力に対する上隣接セグメントの信号の電力が-3dBであることを示す。adjacent_transmission_powerの他の値にも、基準電力に対する上隣接セグメントの信号の電力を示すdB値がそれぞれ割り当てられる。
図6のfrequency(周波数)は16ビットのフィールドであり、当該セグメントの中心周波数を示す。周波数単位は、地上デジタル放送方式のチューニングステップと同じ1/7MHzである。MFNの場合は使用周波数が複数列記される。
受信装置2は、電力情報としてNITに含まれるエリア型分配システム記述子のtransmission_powerに基づいて当該セグメントの信号の電力を特定することができる。また、受信装置2は、adjacent_transmission_powerに基づいて上隣接セグメントの信号の電力を特定することができる。
図10は、エリア型分配システム記述子のデータ構造の他の例を示す図である。
図10に示すデータ構造は、adjacent_transmission_powerに代えてadjacent_transmission_power_deltaが含まれている点で図6のデータ構造と異なる。重複する説明については省略する。
adjacent_transmission_power_delta(上隣接セグメント送信電力との差)は4ビットのフィールドである。adjacent_transmission_power_deltaは、上隣接セグメントに対する当該セグメントの信号の電力、すなわち、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力との差を示す。例えばセグメントNo.0によって伝送されるTS0のNITに含まれるエリア型分配システム記述子のadjacent_transmission_power_deltaは、セグメントNo.1の信号の電力に対するセグメントNo.0の信号の電力を示す。
図11は、adjacent_transmission_power_deltaの値の意味を示す図である。
adjacent_transmission_power_deltaが1111であることは、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力が0dBであることを示す。adjacent_transmission_power_deltaが0001であることは、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力が3dBであることを示す。adjacent_transmission_power_deltaが0010であることは、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力が6dBであることを示す。adjacent_transmission_power_deltaの他の値にも、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力を示すdB値がそれぞれ割り当てられる。
受信装置2は、電力情報としてNITに含まれるエリア型分配システム記述子のtransmission_powerに基づいて当該セグメントの信号の電力を特定することができる。また、受信装置2は、当該セグメントの信号の電力と、adjacent_transmission_power_deltaが示す電力とに基づいて、上隣接セグメントの信号の電力を特定することができる。
[NITの連結送信記述子を用いた例]
電力情報を通知するために連結送信記述子(connected_transmission_descriptor)のadditional_connected_transmission_infoが用いられるようにしてもよい。
連結送信記述子は、連結送信時における地上伝送路の物理的条件を示す情報であり、ARIB STD-B10 4.9版の6.2.41に規定される。
図12は、連結送信記述子のデータ構造の例を示す図である。
connected_transmission_group_id(連結送信グループ識別)は16ビットのフィールドであり、連結送信グループを識別するラベルとなる情報である。
segment_type(セグメント形式種別)は2ビットのフィールドであり、セグメント形式の種別を示す。
modulation_type_A(変調方式種別A)は2ビットのフィールドであり、A階層の変調方式の種別を示す。変調方式には差動変調と同期変調がある。
modulation_type_B(変調方式種別B)は2ビットのフィールドであり、B階層の変調方式の種別を示す。
modulation_type_C(変調方式種別C)は2ビットのフィールドであり、C階層の変調方式の種別を示す。
additional_connected_transmission_infoは8ビットのフィールドであり、信号の電力を通知するための電力情報として用いられる。
図13Aは、additional_connected_transmission_infoの値の意味の第1の例を示す図である。この例においては、additional_connected_transmission_infoの上位4ビットは基準電力に対する当該セグメントの信号の電力を示し、下位4ビットは基準電力に対する上隣接セグメントの信号の電力を示す。
上位4ビットの各値には、図9に示すtransmission_powerの各値の意味と同じ意味が割り当てられる。additional_connected_transmission_infoの上位4ビットが1111であることは、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力が0dBであることを示す。また、上位4ビットが1110であることは、基準電力に対する当該セグメントの信号の電力が-3dBであることを示す。
下位4ビットの各値にも、図9に示すtransmission_powerの各値の意味と同じ意味が割り当てられる。additional_connected_transmission_infoの下位4ビットが1111であることは、基準電力に対する上隣接セグメントの信号の電力が0dBであることを示す。また、下位4ビットが1110であることは、基準電力に対する上隣接セグメントの信号の電力が-3dBであることを示す。
図13Bは、additional_connected_transmission_infoの値の意味の第2の例を示す図である。この例においては、additional_connected_transmission_infoの上位4ビットは基準電力に対する当該セグメントの信号の電力を示し、下位4ビットは上隣接セグメントに対する当該セグメントの信号の電力を示す。
上位4ビットの各値には、図9に示すtransmission_powerの各値の意味と同じ意味が割り当てられる。
また、下位4ビットの各値には、図11に示すadjacent_transmission_power_deltaの各値の意味と同じ意味が割り当てられる。すなわち、additional_connected_transmission_infoの下位4ビットが1111であることは、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力が0dBであることを示す。また、下位4ビットが0001であることは、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力が3dBであることを示す。
図13Cは、additional_connected_transmission_infoの値の意味の第3の例を示す図である。この例においては、additional_connected_transmission_infoの上位4ビットは1111の固定値であり、下位4ビットは上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力を示す。
この場合、下位4ビットの各値には、図11に示すadjacent_transmission_power_deltaの各値の意味と同じ意味が割り当てられる。
このように、図5のPSI/SI生成部19は、電力情報が記述されたエリア型分配システム記述子または連結送信記述子を含むNIT等のPSI/SIを生成し、各セグメントのTSに多重化することによって各セグメントの信号の電力を受信側に通知する。
図14は、図5のOFDMフレーム生成部12−0の構成例を示すブロック図である。OFDMフレーム生成部12−1乃至12−12も同様の構成を有する。
OFDMフレーム生成部12−0は、外符号付加部31、階層分割部32、変調・符号化部33、階層合成部34、インタリーブ処理部35、フレーム構成部36、パイロット信号生成部37、およびTMCC情報生成部38から構成される。TS生成部11−0により生成されTS0は外符号付加部31に入力される。
外符号付加部31は、TS0の188バイト単位のデータに対してRS符号などの外符号を付加し、階層分割部32に出力する。
階層分割部32は、外符号付加部31から供給されたデータの階層分割を行い、各階層のデータを変調・符号化部33に出力する。
変調・符号化部33は、各階層のデータ毎に、誤り訂正符号化、インタリーブ等のベースバンド処理を施し、キャリア変調を行った後、階層合成部34に出力する。
階層合成部34は、変調・符号化部33から供給された各階層のデータの階層合成を行い、階層合成後のデータをインタリーブ処理部35に出力する。
インタリーブ処理部35は、階層合成部34から供給されたデータに対して、移動受信性能及び耐マルチパス性能を確保するための時間インタリーブと周波数インタリーブを施し、フレーム構成部36に出力する。
フレーム構成部36は、インタリーブ処理部35から供給されたデータ、パイロット信号生成部37から供給されたパイロット信号、およびTMCC情報生成部38から供給されたTMCC情報に基づいてOFDMフレームを生成する。OFDMフレームには付加情報であるAC(Auxiliary Channel)も含まれる。フレーム構成部36から出力されたOFDMフレームの信号は電力調整部13に入力される。
パイロット信号生成部37は、受信装置2において同期の確保に用いられるSP(Scattered Pilot)、CPよりなるパイロット信号を生成し、フレーム構成部36に出力する。
TMCC情報生成部38は、受信装置2の復調と復号動作を補助する制御情報であるTMCC情報を生成し、フレーム構成部36に出力する。
図15は、送信装置1により生成されるOFDMセグメントの構成を示す図である。
図15に示す構成は、伝送モードがMode 1(108キャリア)である場合の差動変調部の構成である。送信装置1が生成する各OFDMセグメントは、TSのデータのOFDMシンボル、CPやTMCC情報等のOFDMシンボルが各キャリアに配置されることによって構成される。
[受信装置2の構成]
図16は、受信装置2の構成例を示すブロック図である。
受信装置2は、チューナ51、復調部52、復号部53、TMCC情報解析部54、デマルチプレクサ55、AVデコーダ56、およびPSI/SI解析部57から構成される。図示せぬアンテナにおいて受信されたRF信号はチューナ51に入力される。
チューナ51は、入力されたRF信号をIF信号に変換し、復調部52に出力する。
復調部52は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換、直交復調を施し、得られた時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。また、復調部52は、FFT演算を施すことによって得られた周波数域のOFDM信号からパイロット信号を抽出し、伝送路特性を推定した後、等化を行い、等化後のOFDM信号を復号部53に出力する。
復号部53は、復調部52から供給された等化後のOFDM信号に対して誤り訂正、デインタリーブ等の復号処理を施し、当該セグメントによって伝送されたTSをデマルチプレクサ55に出力する。また、復号部53は、復号処理によって得られたTMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
TMCC情報解析部54は、復号部53から供給されたTMCC情報を解析し、復調部52の復調処理を制御する。
デマルチプレクサ55は、TSに多重化されているAVデータをAVデコーダ56に出力し、PSI/SIをPSI/SI解析部57に出力する。
AVデコーダ56は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたAVデータのデコードを行い、ビデオデータとオーディオデータを出力する。
PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析し、NITに含まれる電力情報を取得する。PSI/SI解析部57は、取得した電力情報に基づいて復調部52の復調処理を制御する。
例えばPSI/SI解析部57は、当該セグメントのパイロット信号に加えて上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を用いて等化を行う場合、復調部52を制御し、上隣接セグメントの信号の電力の補正を行わせる。また、PSI/SI解析部57は、当該セグメントのパイロット信号と電力補正後の上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を用いて等化を行わせる。図4を参照して説明したように、各セグメントの信号の等化には、適宜、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号が用いられる。復調部52が行う復調処理の詳細についてはフローチャートを参照して後述する。
図17は、復調部52の構成例を示すブロック図である。
復調部52は、A/D変換部71、直交復調部72、FFT演算部73、パイロット信号抽出部74、伝送路特性推定部75、電力補正部76、および等化部77から構成される。チューナ51から出力されたIF信号はA/D変換部71に入力される。
A/D変換部71は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換を施し、デジタルのIF信号を直交復調部72に出力する。
直交復調部72は、直交復調を行うことによって、A/D変換部71から供給されたIF信号から時間域のOFDM信号を取得し、FFT演算部73に出力する。
FFT演算部73は、図示せぬ制御部により設定されるFFT区間に従って、1つのOFDMシンボルの信号からGIの範囲の信号を除くことによって有効シンボルの範囲の信号を抜き出す。また、FFT演算部73は、抜き出した有効シンボルの範囲の信号にFFT演算を施すことによって各サブキャリアに直交変調されているデータを抽出し、抽出したデータを表す周波数域のOFDM信号を出力する。FFT演算部73から出力された周波数域のOFDM信号は、パイロット信号抽出部74と等化部77に供給される。
パイロット信号抽出部74は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号からSP、CPのパイロット信号を抽出し、伝送路特性推定部75と電力補正部76に出力する。
伝送路特性推定部75は、パイロット信号抽出部74から供給されたパイロット信号に基づいて、パイロット信号の配置位置におけるキャリアの伝送路特性を推定し、補間することによって各OFDMシンボルの位置における各キャリアの伝送路特性を推定する。伝送路特性推定部75は、当該セグメントのパイロット信号に加えて上隣接セグメントの下端のキャリアを用いて等化を行う場合、電力補正部76により電力が補正された信号を伝送路特性の推定に用いる。
電力補正部76は、パイロット信号抽出部74から供給されたパイロット信号の電力をPSI/SI解析部57から供給された電力情報に基づいて補正する。電力補正部76による電力の補正は、例えば、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が異なる場合であって、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を等化に用いるときに行われる。電力補正部76は、例えば当該セグメントの信号の電力と等しくなるように上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力を補正し、電力補正後の上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を伝送路特性推定部75に出力する。
等化部77は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号に含まれる伝送路歪みの成分を伝送路特性推定部75により推定された伝送路特性に基づいて除去し、等化後のOFDM信号を出力する。
[送信装置1と受信装置2の動作]
ここで、以上のような構成を有する送信装置1と受信装置2の動作について説明する。
・送信装置1の送信処理A
はじめに、図18のフローチャートを参照して送信装置1の送信処理Aについて説明する。各ステップの処理は、適宜、他のステップの処理と並行して、または前後して行われる。他のフローチャートの処理も同様である。図18の処理は、例えば外部からAVデータが入力されたときに開始される。
ステップS1において、PSI/SI生成部19は、セグメントNo.0乃至No.12の各セグメントによって伝送するTSに多重化される、各セグメントの電力情報を含むPSI/SIを生成する。PSI/SI生成部19が生成するPSI/SIのNITには、電力情報を含むエリア型分配システム記述子や連結送信記述子が含まれる。
ステップS2において、TS生成部11−0乃至11−12は、それぞれ、外部から入力されたAVデータと、PSI/SI生成部19により生成されたPSI/SIとを多重化することによってTSを生成する。
ステップS3において、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれOFDMフレームの信号を生成する。
ステップS4において、電力調整部13−0乃至13−12は、それぞれ、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12により生成された信号の電力を、チャンネルの端に近いセグメントの信号の電力が中央に近いセグメントの信号の電力より小さくなるように調整する。
ステップS5において、IFFT入力割付部14は、電力調整部13−0乃至13−12により電力が調整された各セグメントの信号をキャリアに割り付ける。
ステップS6において、IFFT演算部15は、13セグメントのOFDMフレームの信号に対して一括してIFFT演算を施し、時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS7において、GI付加部16は、時間域のOFDM信号を構成する各有効シンボルにGIを付加し、OFDMシンボルからなるOFDM信号を生成する。
ステップS8において、送信部17は、OFDMシンボルからなるOFDM信号を図示せぬアンテナから送信する。
以上の処理により、図3Aに示すようにして電力が調整された13セグメントのOFDM信号が連結送信によって送信されるとともに、PSI/SIによって、各セグメントの信号の電力が受信装置2に通知される。チャンネルの両端に近いセグメントの信号の電力が小さくなるように調整することによって、隣接チャンネルへの干渉を抑えることが可能になる。
・受信装置2の受信処理A1
次に、図19のフローチャートを参照して受信装置2の受信処理A1について説明する。図19の処理は、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を常に使わないで等化を行う処理である。復調部52による等化には、当該セグメントのパイロット信号のみが用いられることになる。
ステップS21において、チューナ51は、OFDM信号(RF信号)を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS22において、復調部52は復調処理#1を行う。復調処理#1については図20のフローチャートを参照して後述する。復調処理#1により得られた等化後のOFDM信号は復号部53に供給される。
ステップS23において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して誤り訂正、デインタリーブ等の復号処理を施し、当該セグメントを用いて伝送されたTSをデマルチプレクサ55に出力する。また、復号部53は、復号処理によって得られたTMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS24において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、適宜、TMCC情報に含まれる情報を復調部52に供給する。
ステップS25において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS26において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析し、NITに含まれるエリア型分配システム記述子または連結送信記述子から電力情報を取得する。図19の処理においてはOFDM信号の等化に上隣接セグメントの下端のキャリアの信号が使われない。PSI/SIから取得された電力情報は例えば破棄される。
ステップS27において、復調部52は復調処理#1を行う。ステップS27において行われる処理はステップS22において行われる処理と同じ処理である。ステップS27において復調処理#1が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。デマルチプレクサ55によりTSから分離されたAVデータに対してはAVデコーダ56によりデコードが行われ、ビデオデータとオーディオデータが外部に出力される。
・復調処理#1
図20のフローチャートを参照して、図19のステップS22,S27において行われる復調処理#1について説明する。
ステップS41において、A/D変換部71は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換を施す。
ステップS42において、直交復調部72は直交復調を行うことによって時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS43において、FFT演算部73は時間域のOFDM信号に対してFFT演算を行い、周波数域のOFDM信号を生成する。
ステップS44において、パイロット信号抽出部74は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号から、当該セグメントのパイロット信号のみを抽出する。
ステップS45において、伝送路特性推定部75は、パイロット信号抽出部74により抽出された当該セグメントのパイロット信号に基づいて伝送路特性を推定する。
ステップS46において、等化部77は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号に含まれる伝送路歪みの成分を伝送路特性推定部75により推定された伝送路特性に基づいて除去し、等化後の周波数域のOFDM信号を出力する。等化後の周波数域のOFDM信号が出力された後、図19のステップS22,S27に戻り、それ以降の処理が行われる。
以上のように、当該セグメントのパイロット信号のみを用いて伝送路特性を推定し、OFDM信号の等化を行うようにすることも可能である。
・受信装置2の受信処理A2
次に、図21のフローチャートを参照して受信装置2の受信処理A2について説明する。図21の処理は、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が同じである場合には上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を使い、異なる場合には上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を使わないで等化を行う処理である。
図21のステップS61乃至S66の処理は、図19のステップS21乃至S26の処理と同じ処理である。すなわち、ステップS61において、チューナ51はOFDM信号を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS62において、復調部52は図20の復調処理#1を行う。
ステップS63において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して復号処理を施し、TSをデマルチプレクサ55に出力するとともに、TMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS64において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、適宜、TMCC情報に含まれる情報を復調部52に供給する。
ステップS65において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS66において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析し、NITに含まれるエリア型分配システム記述子または連結送信記述子から電力情報を取得する。
ステップS67において、PSI/SI解析部57は、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいか否かを判定する。
例えば電力の通知に図6のエリア型分配システム記述子が用いられる場合、PSI/SI解析部57は、transmission_powerとadjacent_transmission_powerを用いて判定を行う。上述したように、transmission_powerは当該セグメントの信号の送信電力を示し、adjacent_transmission_powerは上隣接セグメントの信号の送信電力を示す。PSI/SI解析部57は、transmission_powerの値とadjacent_transmission_powerの値が等しい場合、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいと判定する。
また、電力の通知に図10のエリア型分配システム記述子が用いられる場合、PSI/SI解析部57は、adjacent_transmission_power_deltaを用いて判定を行う。adjacent_transmission_power_deltaは当該セグメントの信号の送信電力と上隣接セグメント送信電力との差を示している。例えばadjacent_transmission_power_deltaの値が1111(図11)である場合、PSI/SI解析部57は当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいと判定する。
また、電力の通知に図12の連結送信記述子が用いられている場合、PSI/SI解析部57は、additional_connected_transmission_infoを用いて判定を行う。additional_connected_transmission_infoの上位4ビットと下位4ビットはそれぞれ図13A乃至Cを参照して説明した意味を有する。
図13Aの例の場合、PSI/SI解析部57は、additional_connected_transmission_infoの上位4ビットと下位4ビットが同じ値であるとき、上隣接セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいと判定する。また、図13Bまたは図13Cの例の場合、PSI/SI解析部57は、additional_connected_transmission_infoの下位4ビットが1111であるとき、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいと判定する。
当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が異なるとステップS67において判定された場合、ステップS68において、復調部52は復調処理#1を行う。すなわち、この場合、当該セグメントのパイロット信号のみが等化に用いられることになる。
一方、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいとステップS67において判定された場合、ステップS69において、復調部52は復調処理#2を行う。復調処理#2については図22のフローチャートを参照して後述する。
ステップS68において復調処理#1が行われた後、またはステップS69において復調処理#2が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。
・復調処理#2
図22のフローチャートを参照して、図21のステップS69において行われる復調処理#2について説明する。
ステップS81において、A/D変換部71は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換を施す。
ステップS82において、直交復調部72は直交復調を行うことによって時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS83において、FFT演算部73は時間域のOFDM信号に対してFFT演算を行い、周波数域のOFDM信号を生成する。
ステップS84において、パイロット信号抽出部74は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号から、当該セグメントのパイロット信号と、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を抽出する。
ステップS85において、伝送路特性推定部75は、パイロット信号抽出部74により抽出された当該セグメントのパイロット信号と上隣接セグメントの下端のキャリアの信号に基づいて伝送路特性を推定する。
ステップS86において、等化部77は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号に含まれる伝送路歪みの成分を伝送路特性推定部75により推定された伝送路特性に基づいて除去し、等化後の周波数域のOFDM信号を出力する。等化後の周波数域のOFDM信号が出力された後、図21のステップS69に戻り、それ以降の処理が行われる。
各セグメントの信号が図3Aに示すようにして送信されている場合について説明する。この場合、例えばセグメントNo.6の受信時には、当該セグメントであるNo.6のパイロット信号に加えて、上隣接セグメントであるセグメントNo.7の下端のキャリアの信号を用いて等化が行われることになる。セグメントNo.6とセグメントNo.7の電力はともに同じ電力P0である。
一方、セグメントNo.9の受信時には、上隣接セグメントであるセグメントNo.10の下端のキャリアの信号を用いずに、当該セグメントであるセグメントNo.9のパイロット信号のみを用いて等化が行われることになる。
このように、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しい場合にのみ、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号をも用いて等化を行うことにより、電力の異なる信号を用いて等化を行ってしまうことを防ぐことが可能になる。仮に、電力が異なる上隣接セグメントの下端のキャリアの信号をそのまま用いて等化を行うとした場合、伝送路特性の推定結果に誤りが生じ、等化を正しく行うことができなくなってしまうが、そのようなことを防ぐことが可能になる。
・受信装置2の受信処理A3
次に、図23のフローチャートを参照して受信装置2の受信処理A3について説明する。図23の処理は、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力に差がある場合、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力を補正して等化に用いる処理である。
図23のステップS101乃至S106の処理は、図19のステップS21乃至S26の処理と同じ処理である。すなわち、ステップS101において、チューナ51はOFDM信号を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS102において、復調部52は復調処理#1を行う。
ステップS103において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して復号処理を施し、TSをデマルチプレクサ55に出力するとともに、TMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS104において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、適宜、TMCC情報に含まれる情報を復調部52に供給する。
ステップS105において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS106において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析し、NITに含まれるエリア型分配システム記述子または連結送信記述子から電力情報を取得する。
ステップS107において、復調部52は復調処理#3を行う。復調処理#3については図24のフローチャートを参照して後述する。ステップS107において復調処理#3が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。
・復調処理#3
図24のフローチャートを参照して、図23のステップS107において行われる復調処理#3について説明する。
ステップS121において、A/D変換部71は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換を施す。
ステップS122において、直交復調部72は直交復調を行うことによって時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS123において、FFT演算部73は時間域のOFDM信号に対してFFT演算を行い、周波数域のOFDM信号を生成する。
ステップS124において、パイロット信号抽出部74は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号から、当該セグメントのパイロット信号と、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を抽出する。
ステップS125において、電力補正部76は、パイロット信号抽出部74により抽出された上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力を、当該セグメントのパイロット信号の電力と同じ電力になるように補正する。
例えば電力の通知に図6のエリア型分配システム記述子が用いられている場合、transmission_powerが1111、adjacent_transmission_powerが1110であるときには、電力補正部76は上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力を3dBだけ大きくする。
また、電力の通知に図10のエリア型分配システム記述子が用いられている場合、adjacent_transmission_power_deltaが0001であるときには、電力補正部76は、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力を3dBだけ大きくする。
電力の通知に図12の連結送信記述子が用いられている場合も同様に、additional_connected_transmission_infoに基づいて上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力が補正される。
ステップS126において、伝送路特性推定部75は、パイロット信号抽出部74により抽出された当該セグメントのパイロット信号と、電力補正部76により電力が補正された上隣接セグメントの下端のキャリアの信号に基づいて伝送路特性を推定する。
ステップS127において、等化部77は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号に含まれる伝送路歪みの成分を伝送路特性推定部75により推定された伝送路特性に基づいて除去し、等化後の周波数域のOFDM信号を出力する。等化後の周波数域のOFDM信号が出力された後、図23のステップS107に戻り、それ以降の処理が行われる。
このように、当該セグメントの信号の電力に等しくなるように上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力を補正することにより、電力の異なる信号を用いて等化を行ってしまうことを防ぐことが可能になる。
なお、上隣接セグメントの信号の電力に等しくなるように当該セグメントの信号の電力を補正し、電力補正後の当該セグメントのパイロット信号と、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号とを等化に用いることも可能である。また、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力の双方を等しくなるように補正し、電力補正後の当該セグメントのパイロット信号と上隣接セグメントの下端のキャリアの信号とを等化に用いることも可能である。
<1−2.各セグメントの信号の電力をTMCC情報によって通知する例>
次に、各セグメントの信号の電力をTMCC情報によって通知する場合について説明する。
各セグメントの信号の電力をPSI/SIによって通知する場合、受信側では、復号処理を行い、さらにTSの解析を行わなければ電力情報を取得することができない。各セグメントの信号の電力の通知にTMCC情報が用いられることにより、受信装置2は、復号処理の前の復調処理の段階で電力情報を取得することができ、即応性を確保することが可能になる。
[送信装置1の構成]
図25は、各セグメントの信号の電力をTMCC情報によって通知する場合の送信装置1の構成例を示すブロック図である。図25に示す構成のうち、図5の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。
図25の送信装置1の構成は、電力制御部18から出力された各セグメントの信号の電力を示す情報が、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12と電力調整部13に供給される点で図5の構成と異なる。重複する説明については適宜省略する。
OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれ、電力制御部18から供給された情報に基づいて電力情報を含むTMCC情報を生成する。また、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれ、TS0乃至TS12のデータをセグメントNo.0乃至No.12によって伝送するためのOFDMフレームを生成する。各セグメントのOFDMフレームには、電力情報を含むTMCC情報が含まれる。
OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、図14の構成と同じ構成を有する。電力情報を含むTMCC情報はTMCC情報生成部38により生成され、フレーム構成部36によりOFDMフレームに含められる。
なお、受信装置2は、図16、図17に示す構成と同じ構成を有する。
[TMCC情報について]
図26は、TMCC情報のビット割り当てを示す図である。TMCC情報については例えばARIB STD-B31 2.0版の3.15.6に規定されている。
102ビットのTMCC情報のうち、B20-B109の90ビットが使用済みであり、B110-B121の12ビットがリザーブになっている。電力情報は例えばリザーブの12ビットのうちの所定のビットに割り当てられる。
図27は、TMCC情報のB110の1ビットの意味の例を示す図である。この例においては、TMCC情報のB110の1ビットが電力情報として用いられている。
B110が0であることは、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力に所定の差があることを示す。この場合、例えば、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力の差の情報が受信装置2に予め与えられる。
また、B110が1であることは、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力に差がないことを示す。
図28は、TMCC情報のB110の1ビットの意味の他の例を示す図である。
B110が0であることは、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力に所定の差があることを示す。
また、B110が0である場合、当該セグメントのサブチャンネル番号(sub-ch)が21より小さいときには、当該セグメントの信号の電力が上隣接セグメントの信号の電力より所定の電力だけ小さいことを示す。一方、当該セグメントのサブチャンネル番号が23より大きいときには、当該セグメントの信号の電力が上隣接セグメントの信号の電力より所定の電力だけ大きいことを示す。
サブチャンネルは、1チャンネルの帯域幅を6MHzとした場合、帯域幅を1/7MHzとする仮想チャンネルである。1セグメントは3つのサブチャンネルから構成される。1つのチャンネルの下端のサブチャンネルのサブチャンネル番号は0、上端のサブチャンネルのサブチャンネル番号は41となる。中心の1セグメント(図3のセグメントNo.6)はサブチャンネル番号が21,22,23の3つのサブチャンネルから構成される。サブチャンネルについては例えばARIB STD-B46 1.1版 3.13.1.2に規定されている。
すなわち、B110が0であることは、チャンネルの中心に対して当該セグメントが左側(低周波数側)にあれば、当該セグメントの信号の電力が上隣接セグメントの信号の電力に対して小さいことを示す。また、チャンネルの中心に対して当該セグメントが右側(高周波数側)にあれば、当該セグメントの信号の電力が上隣接セグメントの信号の電力に対して大きいことを示す。
一方、B110が1であることは、図27の場合と同様に当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力に差がないことを示す。
図29は、TMCC情報のB110〜B113の4ビットの意味の例を示す図である。この例においては、TMCC情報のB110〜B113の4ビットが電力情報として用いられている。
B110〜B113の4ビットの意味は、図11に示すadjacent_transmission_power_deltaの各値に割り当てられた意味と同じである。すなわち、B110〜B113の4ビットが1111であることは、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力が0dBであることを示す。また、B110〜B113の4ビットが0001であることは、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力が3dBであることを示す。B110〜B113の他の値にも、上隣接セグメントの信号の電力に対する当該セグメントの信号の電力を示すdB値がそれぞれ割り当てられる。
[送信装置1と受信装置2の動作]
ここで、各セグメントの信号の電力の情報がTMCC情報に含まれる場合の送信装置1と受信装置2の動作について説明する。
・送信装置1の送信処理B
はじめに、図30のフローチャートを参照して図25の送信装置1の送信処理Bについて説明する。
ステップS201において、PSI/SI生成部19は、セグメントNo.0乃至No.12の各セグメントによって伝送するTSに多重化されるPSI/SIを生成する。
ステップS202において、TS生成部11−0乃至11−12は、それぞれ、外部から入力されたAVデータと、PSI/SI生成部19により生成されたPSI/SIとを多重化することによってTSを生成する。
ステップS203において、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12はそれぞれOFDMフレーム生成処理を行う。OFDMフレーム生成処理については図31のフローチャートを参照して後述する。OFDMフレーム生成処理により生成された各セグメントのOFDMフレームの信号は電力調整部13に供給される。
ステップS204において、電力調整部13−0乃至13−12は、それぞれ、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12により生成された信号の電力を、チャンネルの端に近いセグメントの信号の電力が中央に近いセグメントの信号の電力より小さくなるように調整する。
ステップS205において、IFFT入力割付部14は、電力調整部13−0乃至13−12により電力が調整された各セグメントのOFDMフレームの信号をキャリアに割り付ける。
ステップS206において、IFFT演算部15は、13セグメントのOFDMフレームの信号に対して一括してIFFT演算を施し、時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS207において、GI付加部16は、時間域のOFDM信号を構成する各有効シンボルの先頭にGIを付加し、OFDMシンボルからなるOFDM信号を生成する。
ステップS208において、送信部17は、OFDMシンボルからなるOFDM信号を図示せぬアンテナから送信する。
以上の処理により、図3Aに示すようにして電力が調整された13セグメントのOFDM信号が連結送信によって送信される。チャンネルの両端に近いセグメントの信号の電力が小さくなるように調整することによって、隣接チャンネルへの干渉を抑えることが可能になる。
・OFDMフレーム生成処理
次に、図31のフローチャートを参照して、図30のステップS203において行われるOFDMフレーム生成処理について説明する。OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12のそれぞれにおいて同様の処理が行われる。
ステップS221において、外符号付加部31は、TSの188バイト単位のデータに対して外符号を付加する。
ステップS222において、階層分割部32は、外符号が付加されたデータの階層分割を行う。
ステップS223において、変調・符号化部33は、各階層のデータ毎に、誤り訂正符号化、インタリーブ等のベースバンド処理を施すとともに、キャリア変調を行う。
ステップS224において、階層合成部34は、変調処理と符号化処理が施された各階層のデータの階層合成を行う。
ステップS225において、インタリーブ処理部35は、階層合成後のデータに対して時間インタリーブと周波数インタリーブを施す。
ステップS226において、TMCC情報生成部38は、電力情報である図27乃至図29のビットが所定のビットに割り当てられたTMCC情報を生成する。
ステップS227において、パイロット信号生成部37はパイロット信号を生成する。
ステップS228において、フレーム構成部36は、インタリーブ処理部35から供給されたデータ、パイロット信号生成部37から供給されたパイロット信号、およびTMCC情報生成部38から供給されたTMCC情報に基づいてOFDMフレームを生成する。その後、図30のステップS203に戻り、それ以降の処理が行われる。
・受信装置2の受信処理B1
次に、図32のフローチャートを参照して受信装置2の受信処理B1について説明する。図32の処理は、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を常に使わないで等化を行う処理である。
ステップS241において、チューナ51は、OFDM信号(RF信号)を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS242において、復調部52は図20の復調処理#1を行う。復調処理#1においては当該セグメントのパイロット信号のみを用いて等化が行われる。復調処理#1により得られた等化後のOFDM信号は復号部53に供給される。
ステップS243において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して誤り訂正、デインタリーブ等の復号処理を施し、当該セグメントを用いて伝送されたTSをデマルチプレクサ55に出力する。また、復号部53は、復号処理によって得られたTMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS244において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、電力情報を取得する。図32の処理においてはOFDM信号の等化に上隣接セグメントの下端のキャリアの信号が使われない。TMCC情報から取得された電力情報は例えば破棄される。
ステップS245において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS246において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析する。
ステップS247において、復調部52は復調処理#1を行う。ステップS247において復調処理#1が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。デマルチプレクサ55によりTSから分離されたAVデータに対してはAVデコーダ56によりデコードが行われ、ビデオデータとオーディオデータが外部に出力される。
以上のように、当該セグメントのパイロット信号のみを用いて伝送路特性を推定し、OFDM信号の等化を行うようにすることも可能である。
・受信装置2の受信処理B2
次に、図33のフローチャートを参照して受信装置2の受信処理B2について説明する。図33の処理は、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が同じである場合には上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を使い、異なる場合には上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を使わないで等化を行う処理である。
図33のステップS261乃至S266の処理は、図32のステップS241乃至S246の処理と同じ処理である。すなわち、ステップS261において、チューナ51はOFDM信号を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS262において、復調部52は図20の復調処理#1を行う。
ステップS263において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して復号処理を施し、TSをデマルチプレクサ55に出力するとともに、TMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS264において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、電力情報を取得する。
ステップS265において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS266において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析する。
ステップS267において、TMCC情報解析部54は、TMCC情報から取得した電力情報に基づいて、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいか否かを判定する。
例えば電力の通知に図27または図28のB110の1ビットが用いられている場合、TMCC情報解析部54は、B110が1であるときには電力が等しいと判定し、0であるときには電力が異なると判定する。
また、電力の通知に図29のB110〜B113の4ビットが用いられている場合、TMCC情報解析部54は、B110〜B113が1111であるときには当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいと判定する。TMCC情報解析部54は、B110〜B113が1111以外の値であるとき、双方の電力が異なると判定する。
当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が異なるとステップS267において判定された場合、ステップS268において、復調部52は復調処理#1を行う。この場合、当該セグメントのパイロット信号のみが等化に用いられることになる。
一方、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しいとステップS267において判定された場合、ステップS269において、復調部52は図22の復調処理#2を行う。復調処理#2においては、当該セグメントのパイロット信号と、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を用いて等化が行われる。
ステップS268において復調処理#1が行われた後、またはステップS269において復調処理#2が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。
このように、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力が等しい場合にのみ、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号をも用いて等化を行うことにより、電力の異なる信号を用いて等化を行ってしまうことを防ぐことが可能になる。
・受信装置2の受信処理B3
次に、図34のフローチャートを参照して受信装置2の受信処理B3について説明する。図34の処理は、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力に差がある場合、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力を補正して等化に用いる処理である。
図34のステップS281乃至S286の処理は、図32のステップS241乃至S246の処理と同じ処理である。すなわち、ステップS281において、チューナ51はOFDM信号を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS282において、復調部52は復調処理#1を行う。
ステップS283において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して復号処理を施し、TSをデマルチプレクサ55に出力するとともに、TMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS284において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、電力情報を取得する。
ステップS285において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS286において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析する。
ステップS287において、復調部52は図24の復調処理#3を行う。復調処理#3においては、TMCC情報から取得された電力情報に基づいて、当該セグメントの信号の電力と等しくなるように上隣接セグメントの下端のキャリアの信号の電力が電力補正部76により補正される。また、当該セグメントのパイロット信号と、上隣接セグメントの下端のキャリアの電力補正後の信号を用いて伝送路特性推定部75により伝送路特性が推定され、等化部77により等化が行われる。ステップS287において復調処理#3が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。
このように、当該セグメントの信号の電力に等しくなるように上隣接セグメントの信号の電力を補正することにより、電力の異なる信号を用いて等化を行ってしまうことを防ぐことが可能になる。
<2.第2の実施の形態(波形整形によって信号の電力を調整する例)>
[送信信号について]
波形整形フィルタを用いた波形整形によって各セグメントの信号の電力を調整することも可能である。
図35は、送信装置1が送信するOFDM信号の例を示す図である。
図35に示す各セグメントの信号のうち、斜線で示す部分は波形整形フィルタにより減衰される部分である。波形整形フィルタは、チャンネルの中心周波数を基準として、低い周波数(周波数軸上で基準との差が小さい周波数)の信号を通過させ、高い周波数(周波数軸上で基準との差が大きい周波数)の信号を減衰させるLPF(Low Pass Filter)である。
このように、送信装置1においては、チャンネルの中央に近いセグメントの信号の電力に較べて、チャンネルの端に近いセグメントの信号の電力を徐々に小さくするように、OFDM信号の電力が波形整形フィルタを用いて調整される。これにより、隣接するチャンネルの信号に与える干渉を抑えることが可能になる。
送信装置1から受信装置2に対しては、波形整形に関する情報である波形整形情報が通知される。波形整形情報には、例えば、波形整形フィルタの種別を示す情報、波形整形フィルタを用いた波形整形が送信側で行われたか否かを示す情報が含まれる。
波形整形情報の通知方法には、上述した電力情報を通知する場合と同様に、PSI/SIを用いる方法と、TMCC情報を用いる方法がある。はじめに、PSI/SIを用いる方法について説明する。
<2−1.波形整形の情報をPSI/SIによって通知する例>
[送信装置1の構成]
図36は、波形整形の情報をPSI/SIによって通知する場合の送信装置1の構成例を示すブロック図である。
図36に示す構成のうち、図5の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。図36の送信装置1の構成は、主に、電力調整部13に代えて、GI付加部16と送信部17の間に波形整形部101が設けられている点で図5の構成と異なる。重複する説明については適宜省略する。
TS生成部11−0乃至11−12は、それぞれ、外部から入力されたAVデータと、PSI/SI生成部19から供給されたPSI/SIを多重化することによってTSを生成する。PSI/SI生成部19から供給されるPSI/SIの例えばNITには波形整形情報が含まれる。
OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれ、TS0乃至TS12のデータをセグメントNo.0乃至No.12によって伝送するためのOFDMフレームを生成し、IFFT入力割付部14に出力する。
IFFT入力割付部14は、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12から供給された各セグメントのOFDMフレームの信号をキャリアに割り付け、IFFT演算部15に出力する。
IFFT演算部15は、IFFT入力割付部14から供給された信号に対して一括してIFFT演算を施し、時間域のOFDM信号を生成する。IFFT演算部15は、生成したOFDM信号をGI付加部16に出力する。
GI付加部16は、IFFT演算部15から供給されたOFDM信号の各有効シンボルの先頭に、各有効シンボルの後半の一部をコピーすることによってGIを付加し、OFDMシンボルからなるOFDM信号を生成する。GI付加部16は、生成したOFDM信号を波形整形部101に出力する。
波形整形部101は、GI付加部16から供給されたOFDM信号に対して、波形整形フィルタを用いた波形整形を施す。波形整形フィルタの種別が電力制御部18により指定される。波形整形部101は、波形整形によって得られた図35に示すような波形を有するOFDM信号を送信部17に出力する。
送信部17は、波形整形部101から供給されたOFDM信号のアップコンバートなどを行い、アンテナから送信する。
電力制御部18は、波形整形フィルタの種別の情報をPSI/SI生成部19と波形整形部101に出力する。
PSI/SI生成部19は、各セグメントのTS用のPSI/SIを生成し、TS生成部11−0乃至11−12に出力する。例えばTS0に多重化されるPSI/SIはTS生成部11−0に供給され、TS1に多重化されるPSI/SIはTS生成部11−1に供給される。TS0乃至TS12用の各PSI/SIには、波形整形情報として同じ情報が含まれる。
[NITのエリア型分配システム記述子を用いた例]
エリア型分配システム記述子を用いて波形整形情報を通知する場合について説明する。
図37は、エリア型分配システム記述子のデータ構造の例を示す図である。図37に示す情報のうち、transmission_filter以外の情報は図6を参照して説明したものと同じである。
transmission_filterは8ビットのフィールドであり、波形整形フィルタの種別を示す。
図38は、transmission_filterの値の意味を示す図である。
transmission_filterが00000000であることは、波形整形フィルタの種別(特性)が、遅延量d=1.0として、下式(1)により表されることを示す。下式(1)において、pi=3.141592...,i = キャリアindex, N = IFFTサンプル数である。
2 × (1+cos(2 × pi × d × i / N)) ・・・ (1)
また、transmission_filterが00000001であることは、波形整形フィルタの種別が、遅延量d=1.1として、式(1)により表されることを示す。transmission_filterが00010000であることは、波形整形フィルタの種別が、所定のパラメータnを所定の式nに代入することによって表されることを示す。transmission_filterの他の値にも、波形整形フィルタの種別を示す所定の式とその式に代入するパラメータがそれぞれ割り当てられる。
[NITの連結送信記述子を用いた例]
波形整形情報を通知するために連結送信記述子のadditional_connected_transmission_infoが用いられるようにしてもよい。
図39は、連結送信記述子のデータ構造の例を示す図である。
8ビットのフィールドであるadditional_connected_transmission_infoが、波形整形情報として用いられる。additional_connected_transmission_infoの各値には、図38に示すtransmission_filterの各値の意味と同じ意味が割り当てられる。
このように、図36のPSI/SI生成部19は、波形整形情報が記述されたエリア型分配システム記述子または連結送信記述子を含むNIT等のPSI/SIを生成し、各セグメントのTSに多重化することによって波形整形に関する情報を受信側に通知する。
図40は、図36の波形整形部101の構成例を示すブロック図である。
波形整形部101は遅延部111と加算部112から構成される。GI付加部16から出力されたOFDM信号は遅延部111と加算部112に入力される。
遅延部111は、電力制御部18により指定された遅延量dに従って、入力されたOFDM信号を遅延させ、加算部112に出力する。遅延量dはIFFTのサンプル数により表される。
加算部112は、入力されたOFDM信号と遅延部111により遅延量dだけ遅延されたOFDM信号を加算することによって上式(1)の演算を行い、演算結果として求められたOFDM信号を出力する。
図41は、波形整形フィルタの特性の例を示す図である。
図41は、上式(1)の遅延量dを、d=1.0からd=1.5まで、0.1ステップで変えた場合のそれぞれの波形整形フィルタの特性を示している。遅延量dが大きいほど、OFDM信号の電力の減衰量は大きくなる。このような波形整形フィルタの特性を特定することが可能な式とパラメータの情報が波形整形情報としてPSI/SIに含められ、受信装置2に送信される。
[受信装置2の構成]
図42は、受信装置2の構成例を示すブロック図である。
図42に示す構成のうち、図16の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。図42の受信装置2の構成は、主に、制御部121が設けられている点で図16の構成と異なる。重複する説明については適宜省略する。
復調部52は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換、直交復調を施し、得られた時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。復調部52は、例えば直交復調を行った後、送信側での波形整形に用いられた波形整形フィルタの特性の逆特性を当該セグメントのOFDM信号に対して重畳し、減衰された信号の電力を補正する。電力の補正の対象となるOFDM信号には、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号も含まれる。
また、復調部52は、FFT演算を施すことによって得られた周波数域のOFDM信号からパイロット信号を抽出し、伝送路特性を推定した後、等化を行い、等化後のOFDM信号を復号部53に出力する。
TMCC情報解析部54は、復号部53から供給されたTMCC情報を解析し、制御部121に出力する。
PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析し、NITに含まれる波形整形情報を制御部121に出力する。
制御部121は、PSI/SI解析部57から供給された波形整形情報に基づいて送信側での波形整形に用いられた波形整形フィルタの特性を特定する。また、制御部121は、受信中の当該セグメントのサブチャンネル情報をチューナ51から取得し、当該セグメントの信号に対する波形整形フィルタの特性の逆特性を特定する。
各セグメントの信号に対する波形整形フィルタの特性は、波形整形フィルタの全体の特性と、セグメントの周波数帯域に応じて異なる。従って、当該セグメントの信号に対する波形整形フィルタの特性の逆特性は、波形整形情報より特定される波形整形フィルタ全体の特性と、サブチャンネル番号より特定される当該セグメントの周波数帯域によって特定される。
制御部121は、特定した当該セグメントの信号に対する波形整形フィルタの特性の逆特性を示す情報を復調部52に出力し、OFDM信号の電力の補正を行わせる。
図43は、図42の復調部52の構成例を示すブロック図である。
図43に示す構成のうち、図17の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。図43の復調部52の構成は、主に、電力補正部76に代えて、直交復調部72とFFT演算部73の間に電力補正部131が設けられている点で図17の構成と異なる。なお、電力補正部131は、FFT演算部73の後に設けても良い。電力補正処理は周波数領域で演算されるため、FFT演算部73の後段で電力補正処理を行う場合には、周波数ごとに補正を行う処理を行うことも容易であって、計算量が少なくなり、かつ、小規模の回路構成で実現することが可能となる。
A/D変換部71は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換を施し、デジタルのIF信号を直交復調部72に出力する。
直交復調部72は、直交復調を行うことによって、A/D変換部71から供給されたIF信号から時間域のOFDM信号を取得し、電力補正部131に出力する。
電力補正部131は、直交復調部72から供給された当該セグメントのOFDM信号に対して、波形整形フィルタの特性の逆特性を重畳し、当該セグメントのOFDM信号の電力を補正する。電力補正部131は電力補正後のOFDM信号をFFT演算部73に出力する。
FFT演算部73は、図示せぬ制御部により設定されるFFT区間に従って、1つのOFDMシンボルの信号からGIの範囲の信号を除くことによって有効シンボルの範囲の信号を抜き出す。また、FFT演算部73は、抜き出した有効シンボルの範囲の信号にFFT演算を施すことによって各サブキャリアに直交変調されているデータを抽出し、抽出したデータを表す周波数域のOFDM信号を出力する。FFT演算部73から出力された周波数域のOFDM信号は、パイロット信号抽出部74と等化部77に供給される。
パイロット信号抽出部74は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号からパイロット信号を抽出し、伝送路特性推定部75に出力する。
伝送路特性推定部75は、パイロット信号抽出部74から供給されたパイロット信号に基づいて、パイロット信号の配置位置におけるキャリアの伝送路特性を推定し、補間することによって各OFDMシンボルの位置における各キャリアの伝送路特性を推定する。
等化部77は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号に含まれる伝送路歪みの成分を伝送路特性推定部75により推定された伝送路特性に基づいて除去し、等化後のOFDM信号を出力する。
[送信装置1と受信装置2の動作]
ここで、以上のような構成を有する送信装置1と受信装置2の動作について説明する。
・送信装置1の送信処理C
はじめに、図44のフローチャートを参照して送信装置1の送信処理Cについて説明する。図44の処理は、例えば外部からAVデータが入力されたときに開始される。
ステップS301において、PSI/SI生成部19は、セグメントNo.0乃至No.12の各セグメントによって伝送するTSに多重化される、波形整形情報を含むPSI/SIを生成する。PSI/SI生成部19が生成するPSI/SIのNITには、波形整形情報を含むエリア型分配システム記述子や連結送信記述子が含まれる。
ステップS302において、TS生成部11−0乃至11−12は、それぞれ、外部から入力されたAVデータと、PSI/SI生成部19により生成されたPSI/SIとを多重化することによってTSを生成する。
ステップS303において、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれOFDMフレームの信号を生成する。
ステップS304において、IFFT入力割付部14は、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12により生成された各セグメントのOFDMフレームの信号をキャリアに割り付ける。
ステップS305において、IFFT演算部15は、13セグメントのOFDMフレームの信号に対して一括してIFFT演算を施し、時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS306において、GI付加部16は、時間域のOFDM信号を構成する各有効シンボルにGIを付加し、OFDMシンボルからなるOFDM信号を生成する。
ステップS307において、波形整形部101は、GI付加部16から供給されたOFDM信号に対して波形整形フィルタを用いた波形整形を施す。
ステップS308において、送信部17は、波形整形が施されたOFDM信号を図示せぬアンテナから送信する。
以上の処理により、図35に示すようにして電力が調整された13セグメントのOFDM信号が連結送信によって送信されるとともに、PSI/SIによって、波形整形フィルタの種別が受信装置2に通知される。チャンネルの両端に近いセグメントの信号の電力が小さくなるように調整することによって、隣接チャンネルへの干渉を抑えることが可能になる。
・受信装置2の受信処理C1
次に、図45のフローチャートを参照して図42の受信装置2の受信処理C1について説明する。図45の処理は、当該セグメントのOFDM信号の電力を補正しないで復調等の処理を行うものである。
ステップS321において、チューナ51は、OFDM信号(RF信号)を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS322において、復調部52は復調処理#11を行う。復調処理#11については図46のフローチャートを参照して後述する。復調処理#11により得られた等化後のOFDM信号は復号部53に供給される。
ステップS323において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して誤り訂正、デインタリーブ等の復号処理を施し、当該セグメントを用いて伝送されたTSをデマルチプレクサ55に出力する。また、復号部53は、復号処理によって得られたTMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS324において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、適宜、TMCC情報に含まれる情報を制御部121に供給する。
ステップS325において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS326において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析し、NITに含まれるエリア型分配システム記述子または連結送信記述子から波形整形情報を取得する。図45の処理においては当該セグメントのOFDM信号の電力の補正が行われない。PSI/SIから取得された波形整形情報は例えば破棄される。
ステップS327において、復調部52は復調処理#11を行う。ステップS327において行われる処理はステップS322において行われる処理と同じ処理である。ステップS327において復調処理#11が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。デマルチプレクサ55によりTSから分離されたAVデータに対してはAVデコーダ56によりデコードが行われ、ビデオデータとオーディオデータが外部に出力される。
・復調処理#11
図46のフローチャートを参照して、図45のステップS322,S327において行われる復調処理#11について説明する。
ステップS341において、図43のA/D変換部71は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換を施す。
ステップS342において、直交復調部72は直交復調を行うことによって時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS343において、電力補正部131は、電力を補正せずに、直交復調部72から供給された当該セグメントの時間域のOFDM信号をそのままFFT演算部73に出力する。
ステップS344において、FFT演算部73は時間域のOFDM信号に対してFFT演算を行い、周波数域のOFDM信号を生成する。
ステップS345において、パイロット信号抽出部74は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号から、当該セグメントのパイロット信号を抽出する。上隣接セグメントの下端のキャリアの信号が抽出され、CPとして用いられるようにしてもよい。
ステップS346において、伝送路特性推定部75は、パイロット信号抽出部74により抽出されたパイロット信号に基づいて伝送路特性を推定する。
ステップS347において、等化部77は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号に含まれる伝送路歪みの成分を伝送路特性推定部75により推定された伝送路特性に基づいて除去し、等化後の周波数域のOFDM信号を出力する。等化後の周波数域のOFDM信号が出力された後、図45のステップS322,S327に戻り、それ以降の処理が行われる。
送信装置1が送信する信号はOFDM信号である。OFDM変調方式は、マルチパスへの耐性が強いという性質を有する。波形整形フィルタを規定する上式(1)は、dサンプル期間のマルチパスを意図的に発生させているのと等化であるため、受信側では、送信側での波形整形に対して特段の処理を行わないでも、OFDM信号を受信することが可能となる。
・受信装置2の受信処理C2
次に、図47のフローチャートを参照して受信装置2の受信処理C2について説明する。図47の処理は、波形整形フィルタの特性の逆特性を重畳することによって当該セグメントのOFDM信号の電力を補正し、等化等の処理を行うものである。
ステップS361において、チューナ51はOFDM信号(RF信号)を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS362において、制御部121は、受信中の当該セグメントのサブチャンネル情報を取得する。サブチャンネル情報は、チューナ51の選局周波数により一意に特定される。
ステップS363において、復調部52は図46の復調処理#11を行う。
ステップS364において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して復号処理を施し、TSをデマルチプレクサ55に出力するとともに、TMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS365において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、適宜、TMCC情報に含まれる情報を制御部121に出力する。
ステップS366において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS367において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析し、NITに含まれるエリア型分配システム記述子または連結送信記述子から波形整形情報を取得する。PSI/SI解析部57により取得された波形整形情報は制御部121に供給される。
ステップS368において、制御部121は、PSI/SI解析部57から供給された波形整形情報に基づいて、送信側で用いられた波形整形フィルタの特性を特定する。また、制御部121は、波形整形フィルタの特性と、ステップS362において取得したサブチャンネル情報に基づいて、当該セグメントの信号に対する波形整形フィルタの特性の逆特性を特定し、逆特性を示す情報を復調部52の電力補正部131に出力する。
ステップS369において、復調部52は復調処理#12を行う。復調処理#12については図48のフローチャートを参照して後述する。ステップS369において復調処理#12が行われた後、復号処理等の以上の処理が繰り返し行われる。
・復調処理#12
図48のフローチャートを参照して、図47のステップS369において行われる復調処理#12について説明する。
ステップS381において、A/D変換部71は、チューナ51から供給されたIF信号に対してA/D変換を施す。
ステップS382において、直交復調部72は直交復調を行うことによって時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS383において、電力補正部131は、直交復調部72から供給された当該セグメントのOFDM信号に対して、波形整形フィルタの特性の逆特性を重畳する。波形整形フィルタの特性の逆特性を重畳することにより、当該セグメントのOFDM信号の電力は、送信装置1により波形整形が行われる前の電力に戻される。電力補正部131は、電力補正後のOFDM信号をFFT演算部73に出力する。
ステップS384において、FFT演算部73は、電力補正後の時間域のOFDM信号に対してFFT演算を行い、周波数域のOFDM信号を生成する。なお、電力補正部131をFFT演算部73の後に配置した場合には、ステップS383の処理とステップS384の処理の順序は逆になる。
ステップS385において、パイロット信号抽出部74は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号から、当該セグメントのパイロット信号と、上隣接セグメントの下端のキャリアの信号を抽出する。
ステップS386において、伝送路特性推定部75は、パイロット信号抽出部74により抽出された当該セグメントのパイロット信号と上隣接セグメントの下端のキャリアの信号に基づいて伝送路特性を推定する。
ステップS387において、等化部77は、FFT演算部73から供給された周波数域のOFDM信号に含まれる伝送路歪みの成分を伝送路特性推定部75により推定された伝送路特性に基づいて除去し、等化後の周波数域のOFDM信号を出力する。等化後の周波数域のOFDM信号が出力された後、図47のステップS369に戻り、それ以降の処理が行われる。
このように、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力を補正して等化等の処理を行うことにより、当該セグメントのOFDM信号の復調処理等を正しく行うことが可能になる。なお、電力補正部131をFFT演算部73の後に配置する場合においては、等化部77とパイロット信号抽出部74の分岐の後に配置しても良いし、分岐の前に配置しても構わない。また、分岐の後に配置した場合には、双方の経路に電力補正部131を配置しても良いし、パイロット信号抽出部74の前にのみ配置し、等化部77において、電力補正されたパイロット信号と電力補正前の復号信号と波形整形フィルタの特性の逆特性とを用いて等価しても良い。
<2−2.波形整形の情報をTMCC情報によって通知する例>
次に、波形整形情報をTMCC情報によって通知する場合について説明する。
波形整形情報の通知にTMCC情報が用いられることにより、受信装置2は、復号処理の前の復調処理の段階で波形整形情報を取得することができ、即応性を確保することが可能になる。
[送信装置1の構成]
図49は、波形整形情報をTMCC情報によって通知する場合の送信装置1の構成例を示すブロック図である。図49に示す構成のうち、図36の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。
図49の送信装置1の構成は、電力制御部18から出力された波形整形フィルタの種別の情報が、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12と波形整形部101に供給される点で図36の構成と異なる。重複する説明については適宜省略する。
OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれ、電力制御部18から供給された情報に基づいて波形整形情報を含むTMCC情報を生成する。また、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、それぞれ、TS生成部11−1乃至11−12から供給されたTS0乃至TS12のデータをセグメントNo.0乃至No.12によって伝送するためのOFDMフレームを生成する。各セグメントのOFDMフレームには、波形整形情報を含むTMCC情報が含まれる。
OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12は、図14の構成と同じ構成を有する。波形整形情報を含むTMCC情報はTMCC情報生成部38により生成され、フレーム構成部36によりOFDMフレームに含められる。
なお、受信装置2は、図42、図43に示す構成と同じ構成を有する。
[TMCC情報について]
波形整形情報は、例えば図26を参照して説明したTMCC情報に含まれるリザーブの12ビットのうちの所定のビットに割り当てられる。
図50は、TMCC情報のB110の1ビットの意味の例を示す図である。この例においては、TMCC情報のB110の1ビットが波形整形情報として用いられている。
B110が0であることは、波形整形フィルタを用いた波形整形が送信装置1において行われていることを示す。波形整形フィルタの特性の情報は、例えば既知の情報として受信装置2の制御部121に与えられている。
また、B110が1であることは、波形整形フィルタを用いた波形整形が送信装置1において行われていないことを示す。
図51は、TMCC情報のB110とB111の2ビットの意味の例を示す図である。
B110とB111が00であることは、波形整形フィルタ1を用いた波形整形が送信装置1において行われていることを示し、01であることは、波形整形フィルタ2を用いた波形整形が送信装置1において行われていることを示す。また、B110とB111が10であることは、波形整形フィルタ3を用いた波形整形が送信装置1において行われていることを示す。波形整形フィルタ1乃至3の特性の情報は、例えば既知の情報として受信装置2の制御部121に与えられている。
B110とB111が11であることは、波形整形フィルタを用いた波形整形が送信装置1において行われていないことを示す。
[送信装置1と受信装置2の動作]
ここで、波形整形情報がTMCC情報に含まれる場合の送信装置1と受信装置2の動作について説明する。
・送信装置1の送信処理D
はじめに、図52のフローチャートを参照して図49の送信装置1の送信処理Dについて説明する。
ステップS401において、PSI/SI生成部19は、セグメントNo.0乃至No.12の各セグメントによって伝送するTSに多重化されるPSI/SIを生成する。
ステップS402において、TS生成部11−0乃至11−12は、それぞれ、外部から入力されたAVデータと、PSI/SI生成部19により生成されたPSI/SIとを多重化することによってTSを生成する。
ステップS403において、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12はそれぞれOFDMフレーム生成処理を行う。OFDMフレーム生成処理については図53のフローチャートを参照して後述する。OFDMフレーム生成処理により生成された各セグメントのOFDMフレームの信号はIFFT入力割付部14に供給される。
ステップS404において、IFFT入力割付部14は、OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12により生成された各セグメントのOFDMフレームの信号をキャリアに割り付ける。
ステップS405において、IFFT演算部15は、13セグメントのOFDMフレームの信号に対して一括してIFFT演算を施し、時間域のOFDM信号を生成する。
ステップS406において、GI付加部16は、時間域のOFDM信号を構成する各有効シンボルの先頭にGIを付加し、OFDMシンボルからなるOFDM信号を生成する。
ステップS407において、波形整形部101は、GI付加部16から供給されたOFDM信号に対して波形整形フィルタを用いた波形整形を施す。波形整形フィルタの特性は受信装置2にとって既知である。
ステップS408において、送信部17は、波形整形後のOFDM信号を図示せぬアンテナから送信する。
以上の処理により、図35に示すようにして電力が調整された13セグメントのOFDM信号が連結送信によって送信される。チャンネルの両端に近いセグメントの信号の電力が小さくなるように調整することによって、隣接チャンネルへの干渉を抑えることが可能になる。
・OFDMフレーム生成処理
次に、図53のフローチャートを参照して、図52のステップS403において行われるOFDMフレーム生成処理について説明する。OFDMフレーム生成部12−0乃至12−12のそれぞれにおいて同様の処理が行われる。
ステップS421において、外符号付加部31は、TSの188バイト単位のデータに対して外符号を付加する。
ステップS422において、階層分割部32は、外符号が付加されたデータの階層分割を行う。
ステップS423において、変調・符号化部33は、各階層のデータ毎に、誤り訂正符号化、インタリーブ等のベースバンド処理を施すとともに、キャリア変調を行う。
ステップS424において、階層合成部34は、変調処理と符号化処理が施された各階層のデータの階層合成を行う。
ステップS425において、インタリーブ処理部35は、階層合成後のデータに対して時間インタリーブと周波数インタリーブを施す。
ステップS426において、TMCC情報生成部38は、波形整形情報である図50または図51のビットが所定のビットに割り当てられたTMCC情報を生成する。
ステップS427において、パイロット信号生成部37はパイロット信号を生成する。
ステップS428において、フレーム構成部36は、インタリーブ処理部35から供給されたデータ、パイロット信号生成部37から供給されたパイロット信号、およびTMCC情報生成部38から供給されたTMCC情報に基づいてOFDMフレームを生成する。その後、図52のステップS403に戻り、それ以降の処理が行われる。
・受信装置2の受信処理D1
次に、図54のフローチャートを参照して図42の受信装置2の受信処理D1について説明する。図54の処理は、波形整形フィルタの特性の逆特性を重畳することによって当該セグメントのOFDM信号の電力を補正し、等化等の処理を行うものである。
ステップS441において、チューナ51はOFDM信号(RF信号)を受信し、IF信号に変換して復調部52に出力する。
ステップS442において、制御部121は、受信中の当該セグメントのサブチャンネル情報を取得する。サブチャンネル情報は、チューナ51の選局周波数により一意に特定される。
ステップS443において、復調部52は図46の復調処理#11を行う。
ステップS444において、復号部53は、等化後のOFDM信号に対して復号処理を施し、TSをデマルチプレクサ55に出力するとともに、TMCC情報をTMCC情報解析部54に出力する。
ステップS445において、TMCC情報解析部54はTMCC情報を解析し、波形整形情報を取得する。TMCC情報解析部54により取得された波形整形情報は制御部121に供給される。
ステップS446において、デマルチプレクサ55はAVデータとPSI/SIをTSから分離する。
ステップS447において、PSI/SI解析部57は、デマルチプレクサ55によりTSから分離されたPSI/SIを解析する。
ステップS448において、制御部121は、TMCC情報解析部54から供給された波形整形情報に基づいて、送信側で用いられた波形整形フィルタの特性を特定する。また、制御部121は、波形整形フィルタの特性と、ステップS442において取得したサブチャンネル情報に基づいて、当該セグメントの信号に対する波形整形フィルタの特性の逆特性を特定し、逆特性を示す情報を復調部52の電力補正部131に出力する。
例えば図50のB110が波形整形情報として用いられている場合、B110が0であるときには、制御部121は、既知の特性を示す情報を電力補正部131に出力する。また、図51のB110とB111が波形整形情報として用いられている場合、B110とB111が例えば00であるときには、制御部121は、波形整形フィルタ1の特性の逆特性を示す情報を電力補正部131に出力する。
ステップS449において、復調部52は図48の復調処理#12を行う。ステップS449の復調処理#12においては、TMCC情報に含まれる波形整形情報に基づいて特定された波形整形フィルタの特性の逆特性が用いられ、電力の補正が行われる。
このように、当該セグメントの信号の電力と上隣接セグメントの信号の電力を補正して等化等の処理を行うことにより、当該セグメントのOFDM信号の復調処理等を正しく行うことが可能になる。
[変形例]
以上のように、電力の調整が波形整形によって行われる場合、電力の調整が各セグメントで行われる場合、もしくは、その両方の場合に、波形整形フィルタの特性に基づいて信頼性情報(CSI)の補正が行われるようにしてもよい。信頼性情報は、復調処理によって得られたデータの信頼性を示す情報である。
電力の調整が波形整形によって行われる場合、例えば、制御部121は、特定した当該セグメントの信号に対する波形整形フィルタの特性に応じて、減衰量の大きいキャリアに対する信頼性をより小さくし、減衰量の小さいキャリアに対する信頼性をより大きくするように信頼性情報を補正する。制御部121は、補正した信頼性情報を復号部53に出力し、信頼性情報を用いて誤り訂正処理を行わせる。これにより、復号部53による誤り訂正の能力を改善させることができる。
一方、電力の調整が各セグメントで行われる場合、制御部121は、特定した当該セグメントの電力に応じて、減衰量の大きいセグメントのキャリアに対する信頼性をより小さくし、減衰量の小さいセグメントのキャリアに対する信頼性をより大きくするように信頼性情報を補正する。
<コンピュータの構成例>
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
図55は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303は、バス304により相互に接続されている。
バス304には、さらに、入出力インタフェース305が接続されている。入出力インタフェース305には、キーボード、マウスなどよりなる入力部306、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部307が接続される。また、入出力インタフェース305には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部308、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部309、リムーバブルメディア311を駆動するドライブ310が接続される。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU301が、例えば、記憶部308に記憶されているプログラムを入出力インタフェース305及びバス304を介してRAM303にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
CPU301が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア311に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部308にインストールされる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。