JP5867402B2 - smallRNAの取得方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイスループットに適したsmall RNAの取得方法に関する。
細胞等の生体サンプルからmicroRNA(miRNA)やpiwi-interacting RNA(piRNA)等のsmall RNAを取得する方法として、例えば抗Ago2抗体等の抗Argonauteファミリー抗体を担持させた担体を用いた免疫沈降反応によりArgonauteファミリータンパク質-small RNA複合体を取得し、この複合体からsmall RNAを分離することによりsmall RNAを得る方法が知られている(特許文献1)。該方法においては、担体に結合したArgonauteファミリータンパク質-small RNA複合体からsmall RNAを分離する方法として、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液や酸性グアニジン/フェノール/クロロホルム混合溶液を用いてsmall RNAを抽出する方法が用いられている。
特開2009-148243公報
上述の抽出法を用いた分離法では、遠心分離により水相と有機相を分離する操作が必要となり、更に、エタノールやイソプロパノール等のアルコールを用いて分離した水相からsmall RNAを沈殿濃縮させる必要があった。また通常免疫沈降法で担体に結合した抗体-抗原複合体から抗原を溶出する際に用いる強酸性緩衝液や界面活性剤等のタンパク質変性剤は酵素反応を阻害するため溶出後の溶液を直接逆転写反応やPCR等の反応系に用いることができなかった。よって、このような方法は、ハイスループットのような各種工程を連続して行う方法に用いることができないという問題があった。そのため、ハイスループットに適用することができ、簡便に効率よくsmall RNAを取得できる方法の開発が望まれていた。
本願発明者らは、上記状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、免疫沈降法において、Argonauteファミリータンパク質-small RNA複合体を担持した担体を特定の溶液中で加熱することで複合体からsmall RNAを溶出することができ、溶出液を直接その後の反応系に用いることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、ハイスループットに適用することができ、簡便に効率よくsmall RNAを取得し得る方法の提供を課題とする。
本発明は、「small RNA結合タンパク質に対して親和性を有する物質をその表面に固定化した担体と、small RNA結合タンパク質とsmall RNAの複合体(タンパク質RNA複合体)とを接触させて、当該担体にタンパク質RNA複合体を結合させ、該タンパク質RNA複合体が結合した担体を、水又はpHが3.0〜8.0の緩衝液中で70〜100℃で加熱してsmall RNAを遊離させて取得することを特徴とする、small RNAの取得方法」に関する。
本発明の方法は、従来法と比較して、抽出沈殿操作の必要性や界面活性剤等のタンパク質変性剤を使用する必要性がないため、溶出液を直接逆転写反応やPCR等の反応に使用でき、ハイスループット法によるスクリーニングの一工程として取り込むことが可能であり、簡便にsmall RNAを取得することができるものである。特に、担体として磁性体を用いた場合には、担体の粒径が小さいものであっても、免疫沈降法反応後の遠心分離の必要がなく、より簡便にsmall RNAを取得することができる。
更に、本発明の方法は、small RNAの取得効率に関しても、従来法と同等又はそれ以上の高い効率でsmall RNAを取得できる。従って、本発明の方法によれば、サンプル数が多い場合であっても短時間でsmall RNAの取得を可能とするため、多数のサンプルを扱う研究や診断等に適した方法である。
図1は、実施例1、比較例1及び比較例2で得られた、ヒト血漿を抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降した後に各種抽出方法を用いて回収したmiRNA(miR-92a)量を表した図である。左から順に、SDS溶出・フェノール/クロロホルム抽出法により回収した結果、酸性溶出法により回収した結果、本発明の加熱溶出法により回収した結果をそれぞれ表す。 図2は、実施例2で得られた、ヒト血漿を抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降した後、ヌクレアーゼフリー水を添加し、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃で加熱溶出して得たmiRNA(miR-92a)量を表した図である。 図3は、実施例3で得られた、ヒト血漿を抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降した後、ヌクレアーゼフリー水を添加し、70℃、80℃、90℃、100℃それぞれについて10秒間、30秒間、60秒間、90秒間、120秒間、180秒間加熱溶出して得たmiRNA(miR-92a)量を表した図である。 図4は、実施例4で得られた、ヒト血漿を抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降した後、各種緩衝液を添加し、90℃で90秒間加熱溶出したmiRNA(miR-92a)量を表した図である。左から順に、各種緩衝液として、ヌクレアーゼフリー水、10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)、10mMクエン酸緩衝液(pH4.0)、10mMクエン酸緩衝液(pH4.5)、10mMクエン酸緩衝液(pH5.0)、10mMクエン酸緩衝液(pH5.5)、10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)、10mM MES緩衝液(pH6.5)、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)、10mMリン酸緩衝液(pH8.0)、10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を用いた場合の結果を表す。 図5は、実施例5で得られた、ヒト血漿を抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降した後、各種核酸添加又は無添加のヌクレアーゼフリー水を加え、90℃で90秒間加熱溶出して得たmiRNA(miR-92a)量を表した図である。左から順に、無添加のヌクレアーゼフリー水を用いた場合の結果、各種核酸添加ヌクレアーゼフリー水として、大腸菌リボゾーマルRNAを終濃度0.1 ng/μL、1 ng/μL、10ng/μLとなるように添加したヌクレアーゼフリー水、サケ精子DNAを終濃度0.1 ng/μL、1 ng/μL、10ng/μLとなるように添加したヌクレアーゼフリー水を用いた場合の結果を示す。 図6は、実施例6、比較例3及び比較例4で得られた、各種方法によりヒト血漿から回収したmiR-16量とmiR-92a量を表した図である。左から順に、抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降後ヌクレアーゼフリー水で加熱溶出した場合のmiRNA量を、抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降後大腸菌リボゾーマルRNA添加ヌクレアーゼフリー水(終濃度1ng/μL)で加熱溶出した場合のmiRNA量を、抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降後サケ精子DNA添加ヌクレアーゼフリー水(終濃度1ng/μL)で加熱溶出した場合のmiRNA量を、抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降後10mMクエン酸緩衝液(pH5.5)で加熱溶出した場合のmiRNA量を、抗ヒトAgo2抗体固定化ビーズで免疫沈降後SDS溶出・フェノール/クロロホルムで抽出した場合のmiRNA量を、ヒト血漿をAGPC抽出した場合のmiRNA量をそれぞれ表す。
本発明に係るsmall RNAは、通常5〜200nt、好ましくは10〜50nt、より好ましくは10〜30ntのRNAであって、且つそれに結合するタンパク質が存在するものであればよく、具体的には、5S ribosomal RNA(5SrRNA)、transfer RNA(tRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、transcription initiation RNA(tiRNA)、splice site RNA(spliRNA)、small interfering RNA(siRNA)、piwi-interacting RNA(piRNA)、micro RNA(miRNA)等が挙げられるが、中でもArgonauteファミリータンパク質と結合することが知られているpiRNA、siRNA、miRNA等が好ましく、miRNA等が特に好ましい。
本発明に係るsmall RNA結合タンパク質は、標的とするsmall RNAの種類により異なるが、上記本発明に係るsmall RNAに結合し得るタンパク質であればよく、例えばリボゾームタンパク質、核内低分子リボ核タンパク質(snRNPタンパク質)、核小体低分子リボ核酸蛋白質(snoRNPタンパク質)、Argonatuteファミリータンパク質等が挙げられ、中でもArgonauteファミリータンパク質が好ましい。該Argonauteファミリータンパク質としては、具体的には、Ago1、Ago 2、Ago 3、Ago 4等のArgonauteサブファミリーとPiwil 1、Piwil 2、Piwil 3、Piwil 4等のPiwiサブファミリーが挙げられ、中でもArgonauteサブファミリー等が好ましく、Ago 2が特に好ましい。
本発明に係るsmall RNA結合タンパク質とsmall RNAの複合体(以下、本発明に係るタンパク質RNA複合体と略記する場合がある)は、本発明に係るsmall RNA結合タンパク質と本発明に係るsmall RNAとが結合した複合体である。本発明に係るタンパク質RNA複合体は、該複合体に結合するタンパク質(例えばTNRC6A、Gemin3、Gemin4、FMRP等)を更に含むものも含まれる。該複合体の具体例としては、例えばRISC(RNA-induced silencing complex)等が挙げられる。
本発明に係るsmall RNA結合タンパク質に対して親和性を有する物質(以下、本発明に係るタンパク質親和性物質と略記する場合がある)は、small RNA結合タンパク質に対して親和性を有する物質に結合可能な性質を有するものであればよく、上記small RNA結合タンパク質の種類により異なるが、small RNA 結合タンパク質に対して親和性(結合能)を有する抗体やアプタマー等が挙げられ、中でも抗体が好ましい。具体的には、例えばsmall RNA 結合タンパク質としてAgo2を用いる場合には、抗Ago2抗体が、Ago3を用いる場合には、抗Ago3抗体が用いられる。
本発明に係るタンパク質親和性物質として用いられる抗体の由来については特に限定されず、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でも何れにても良いが、モノクローナル抗体の方が好ましい。また、これら抗体は、市販品を用いても良いし、必要であればペプシン、パパイン等の酵素を用いて消化してF(ab')2、Fab'、あるいはFabとして使用してもよい。
上記ポリクローナル抗体を得る方法としては、測定対象物を免疫実験学入門(第2刷、松橋直ら、(株)学会出版センター、1981)等に記載の方法に従って、例えば馬、牛、羊、兎、山羊、モルモット、ラット、マウス等の動物に免役する常法により作製すればよい。また、モノクローナル抗体を得る方法としては、測定対象物を免疫原として免疫した、例えばラット、マウス等の動物の、例えば脾細胞、リンパ球等の免疫感作された細胞と、例えば骨髄腫細胞等の永久的に増殖する性質を有する細胞とを、ケラーとミルシュタインらにより開発された自体公知の細胞融合技術(Nature, 256, 495, 1975)により融合させてハイブリドーマを作製し、測定対象物に特異的なモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを選択し、該ハイブリドーマを培地中で培養するか、動物の腹腔内に投与して腹水中に抗体を産生させて、該培養物または腹水より目的のモノクローナル抗体を採取する方法、例えば遺伝子組換え技術等を応用した自体公知の方法(Eur.J.Immunol., 6, 511, 1976)により上記した如き性質を有する抗体を産生する細胞を作製し、この細胞を培養することにより目的のモノクローナル抗体を採取する方法等が挙げられる。
また、上記アプタマーの作製方法としては、米国特許第5,270,163号に記載の方法等が好ましい。
本発明に係る、small RNA結合タンパク質に対して親和性を有する物質をその表面に固定化した担体における担体(以下、本発明に係る担体と略記する場合がある)としては、通常の免疫学的測定法で用いられる担体であれば何れも使用可能であるが、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリクロロカーボネート、シリコーン樹脂、シリコーンラバー、アガロース、デキストラン、エチレン−無水マレイン酸共重合物等の有機物、多孔性ガラス、スリガラス、アルミナ、シリカゲル、金属酸化物等の無機物質、鉄、コバルト、ニッケル、マグネタイト、クロマイト等の磁性体等を材料として調製されたものが挙げられる。また、これら担体は、チューブ、ビーズ、ディスク状片、粒子等多種多様の形態で使用し得る。中でも、粒子で用いるのが好ましく、粒子の大きさは特に限定されないが、目的・用途に合わせて、数nmから100μmの粒径を用いるのが好ましい。
本発明に係る担体としては、上記の如き担体の表面に高分子化合物を含む層を形成した担体も含まれ、このような担体は、夾雑タンパク質が担体表面に非特異的に吸着することが少なく、それを防ぐために用いられるブロッキング剤等の添加の必要がないため、好ましいものとして挙げられる。担体の表面に形成される、高分子化合物や該高分子化合物を含む層の形成方法としては、特開2009-148243号に記載の高分子を用いて、同公報に記載方法に準じて行えばよく、例えば、上記本発明に係る担体表面に、ビニル基、アリル基、メタクリル基、エポキシ基、スチレン基等の重合性官能基、又は、メルカプト基、アミノ基等の連鎖移動基を導入し、得られた担体と、少なくとも本発明に係るタンパク質親和性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー、要すれば更にアルキレンオキシ基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーを混合し、次いで重合反応を進行させることによりなされる。具体的には例えば以下のようにして得られる。
即ち、例えば0.01〜1.0mol/Lのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤の酢酸水溶液(例えばpH2〜4)中に、シリカビーズ1〜10gを添加し、50〜100℃で10〜180分反応させ、重合性官能基又は連鎖移動基を有するシリカビーズを作製する。一方、p-二トロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレートを例えば1:99〜70:30となるように混合し、脱水エタノール等の溶媒に溶解する。次いで、該溶液に対して1〜10倍molのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の重合開始剤を添加し撹拌させた後、上記重合性官能基又は連鎖移動基を有するシリカビーズ1gに対して上記重合体が0.1〜10mmol存在するように、シリカビーズを添加し、50〜80℃、10〜30時間、要すればアルゴン雰囲気下で反応させ、次いで、乾燥することにより、表面に高分子化合物を含む層を形成した担体が得られる。
本発明に係る担体に固定化される、本発明に係るタンパク質親和性物質の量は、用いられるタンパク質親和性物質の種類により異なるが、担体1gに対して通常0.1〜10mg、好ましくは1〜10mgである。
本発明に係る、small RNA結合タンパク質に対して親和性を有する物質をその表面に固定化した担体(以下、本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体と略記する)は、上記本発明に係る担体の表面上に、上記本発明に係るタンパク質親和性物質を固定化したものである。
本発明に係る担体の表面上に本発明に係るタンパク質親和性物質を固定化する方法としては、自体公知の固定化方法、例えば共有結合等の化学結合により固定化する方法、物理的に吸着させて固定化する方法(特公平5-41946号公報等)、あるいはプロテインAやプロテインGなど抗体にアフィニティーを有する物質を介してアフィニティー結合により固定化する方法等の自体公知の固定化方法が挙げられるが、化学結合により固定化する方法、アフィニティー結合により固定化する方法等が好ましい。また成分中に抗体を多く含む血漿や血清を試料(本発明に係るタンパク質RNA複合体を含む溶液)として用いる場合には、化学結合により固定化する方法が好ましく、特に粒子表面に導入された官能基を利用してタンパク質親和性物質を固定化する方法が特に好ましい。この場合、タンパク質親和性物質中の官能基に合わせて粒子表面に導入する官能基は適宜選択されればよい。粒子表面に導入された官能基とタンパク質親和性物質中の官能基の具体的な結合方法としては、例えば以下のように行えばよい。
即ち、カルボキシル基とカルボキシル基を結合させる場合には、縮合剤としてポリヒドロキシ化合物又はアルキレンオキサイドを用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
(式中、-O-Q-O-はポリヒドロキシル化合物又はアルキレンオキサイド由来の基を表す。)
カルボキシル基とカルボキシル基を結合させる場合には、縮合剤としてポリアミン化合物を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
(式中、-HN-Q-NH- はポリアミン由来の基を表す。)
ヒドロキシル基とヒドロキシル基を結合させる場合には、縮合剤としてポリカルボン酸を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
(式中、-OOC-Q-COO-はポリカルボン酸由来の基を表す。)
ヒドロキシル基とヒドロキシル基を結合させる場合には、縮合剤としてアルキレンオキサイドを用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
(式中、-O-Q-O-はアルキレンオキサイド由来の基を表す。)
イソシアネート基とイソシアネート基を結合させる場合には、水を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
イソシアネート基とイソシアネート基を結合させる場合には、縮合剤としてポリヒドロキシ化合物を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
(式中、-O-Q-O-はジヒドロキシ化合物由来の基を表す。)
イソシアネート基とイソシアネート基を結合させる場合には、縮合剤としてポリカルボン酸を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
(式中、-O-CO-Q-OC-O-はジカルボン酸由来の基を表す。)
イソシアネート基とイソシアネート基を結合させる場合、ポリアミン架橋剤を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
(式中、-HN-Q-NH- はポリアミン由来の基を表す。)
アミノ基とカルボキシル基とを結合させる場合には、脱水剤を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
ヒドロキシル基とカルボキシル基とを結合させる場合には、脱水剤を用いて結合させればよい。
Figure 0005867402
本発明に係る担体の表面上に本発明に係るタンパク質親和性物質を固定化する方法は、具体的には、例えば本発明に係るタンパク質親和性物質を通常2μg/mL〜200μg/mL、好ましくは20μg/mL〜200μg/mL含む溶液(本発明に係るタンパク質親和性物質含有溶液)0.5mLと本発明に係る担体10mgとを、要すれば適当な縮合剤等の共存下で、接触させ、通常20〜50℃、好ましくは30〜40℃で通常1〜20時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜5時間反応させることによりなされればよい。ここで、要すれば使用される縮合剤等は、この分野の常法で用いられるものを適宜使用すればよく、上記官能基の組合せの項で記載した縮合剤等が好ましいものとして挙げられる。また、タンパク質親和性物質を固定化した後、エタノールアミン等のブロッキング剤等で処理し、タンパク質親和性物質が固定されなかった本発明に係る担体表面上の官能基を不活性化する処理を行うことが望ましい。
本発明に係るタンパク質親和性物質含有溶液を調製するための溶媒としては、用いられるタンパク質親和性物質が不溶性担体上に吸着あるいは結合するのを妨げないものであればよく、例えば精製水、例えばpH 5.0〜10.0、好ましくはpH 8.5〜10に緩衝作用を有する緩衝液(例えばリン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液等)が好ましい。また、これらの緩衝液中の緩衝剤濃度としては、通常0.1〜5 M、好ましくは0.6〜2.5 Mの範囲から適宜選択される。また、この溶液中には、該抗体が不溶性担体上に吸着あるいは結合するのを妨げない量であれば、例えば糖類、NaCl等の塩類、界面活性剤、防腐剤、蛋白質等が含まれていても良い。また、上述のごとくして得られた本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体を、通常この分野で行われるブロッキング処理に付してもよい。
本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体は、例えば本発明に係るタンパク質親和性物質としてAgo2を用いる場合、具体的には以下の如く製造される。
即ち、上記の如き本発明に係る担体1gに対して抗Ago2抗体等の本発明に係るタンパク質親和性物質0.1〜10mg存在するようにして炭酸水素ナトリウム緩衝液中に添加し、30〜40℃で、2〜10時間反応させることにより、本発明に係るタンパク質親和性物質が粒子の表面上に固定化され、本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体が得られる。
本発明のsmall RNAの取得方法は、
[工程(1)]本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体と、本発明に係るタンパク質RNA複合体とを接触させて、当該担体にタンパク質RNA複合体を結合させ、
[工程(2)]要すれば、当該タンパク質RNA複合体が結合した担体を洗浄し、
[工程(3)]当該タンパク質RNA複合体が結合した担体を、水又はpHが3.0〜8.0の緩衝液中で70〜100℃で加熱し、small RNAを遊離させることによりなされる。
具体的な方法について以下に説明する。
本発明のsmall RNAの取得方法[工程(1)]
まず、タンパク質RNA複合体を含む溶液と本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体とを混合し、2〜37℃、好ましくは2〜10℃で1〜30時間、好ましくは2〜10時間、より好ましくは2〜5時間反応させ、本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体に、本発明に係るタンパク質RNA複合体を結合させる。
この際に用いられる、タンパク質RNA複合体を含む溶液としては、タンパク質RNA複合体を含む細胞ライセート(細胞抽出液)、細胞培養上清の他、血漿、血清、尿、唾液、母乳等の体液、或いは、これらを溶媒に溶解又は懸濁した溶液が挙げられる。尚、該細胞ライセートとしては、通常溶液1mL中に5×106〜1×107細胞を含有させた後に溶解させたものが用いられる。
細胞ライセートを用いる際のタンパク質RNA複合体を含む溶液の溶媒(反応溶媒)としては、NaClを含む緩衝液等が挙げられるが、small RNAをより効率よく取得するために、通常この分野で用いられる細胞溶解剤としての界面活性剤を更に添加した、NaClを含む緩衝液が好ましい。該緩衝液としては、例えばpH 5.0〜10.0、好ましくはpH 6.5〜8.5の中性付近に緩衝作用を有する、例えばリン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液等が好ましい。また、緩衝液中の緩衝剤濃度としては、通常10〜500 mM、好ましくは10〜300 mMの範囲から適宜選択される。NaClの濃度は、緩衝液中の濃度として通常100〜200mMである。更に添加される界面活性剤としては、例えばポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)、TritonX-100等が挙げられるが、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテルが好ましい。その濃度は、本発明に係るタンパク質親和性物質に影響を与えない濃度であって細胞溶解効果のある濃度であればよく、緩衝液全量に対して通常0.01〜0.5%であり、0.05〜0.1%が好ましい。
また細胞培養上清や体液を用いる場合には、細胞分泌顆粒(エキソソーム)の溶解剤として界面活性剤を添加してもよい。該界面活性剤としては、例えばポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)、TritonX-100等が挙げられるが、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテルが好ましい。その添加濃度は、本発明に係るタンパク質親和性物質に影響を与えない濃度であって細胞溶解効果のある濃度であればよく、サンプル全量に対して通常0.01〜0.5%であり、0.05〜0.1%が好ましい。
上記工程(1)における本発明に係るタンパク質親和性物質固定化担体の使用量としては、上記タンパク質RNA複合体を含む溶液1mLに対して、通常1〜10mg、好ましくは1〜5mgであり、担体上に固定化される本発明に係るタンパク質親和性物質量として、通常0.1〜100μg、好ましくは1〜50μgである。
本発明のsmall RNAの取得方法[工程(2)]
上記工程(1)の反応の後、要すれば、本発明に係るタンパク質RNA複合体が結合した担体を、反応溶液から単離し、更に、担体表面に付着した、遊離のタンパク質RNA複合体や細胞由来成分を取り除くため、得られた担体を洗浄液で洗浄するのが好ましい。
上記本発明に係るタンパク質RNA複合体が結合した担体の単離方法としては、工程(1)の反応液を要すれば遠心分離に付した後、該反応液の上清を取り除くことによりなされる。該遠心分離は、通常この分野で行われている態様であれば特に制限されず、例えば1000〜10000×gで10〜100秒遠心分離すればよい。また、担体が磁性体を材料として調製されたものであれば、遠心分離の必要はなく、磁性スタンドを用いて担体と上清を分離し、その上清を取り除くことにより担体を単離できる。
上記洗浄で用いられる洗浄液としては、NaClを含む緩衝液等が挙げられるが、通常この分野で用いられる細胞溶解剤としての界面活性剤を更に添加した、NaClを含む緩衝液が好ましい。該緩衝液としては、例えばpH 5.0〜10.0、好ましくはpH 6.5〜8.5の中性付近に緩衝作用を有する、例えばリン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液等が好ましい。また、緩衝液中の緩衝剤濃度としては、通常10〜500 mM、好ましくは10〜300 mMの範囲から適宜選択される。NaClの濃度は、緩衝液中の濃度として通常100〜200mMである。界面活性剤としては、例えばポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)、TritonX-100等が挙げられるが、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテルがより好ましい。その濃度は、本発明に係るタンパク質親和性物質に影響を与えない濃度であって細胞溶解効果のある濃度であればよく、緩衝液全量に対して通常0.01〜0.5%であり、0.05〜0.1%である。また、洗浄液の使用量は、通常上記工程(1)の反応液量の1〜10倍量である。
上記のような洗浄操作を行うことにより、本発明に係る性活性物質固定化担体等に付着した生体成分等の夾雑物を取り除くことができ、特に、生体成分中に含まれるMgやCa等の二価の陽イオンを取り除くことができる。その結果、70〜100℃の高温下で二価の陽イオンによるsmall RNAの加水分解を受けることがなくなり、より高い効率でsmall RNAを取得することが可能となる。また、上記洗浄操作は、繰り返し行うことによりその効果が高まるため、繰り返し行うのが好ましい。
本発明のsmall RNAの取得方法[工程(3)]
工程(1)の後または工程(2)の後、本発明に係るタンパク質RNA複合体が結合した担体を、担体1mgに対して10〜100μL、好ましくは10〜50μLの水又はpHが3.0〜8.0の緩衝液中で、通常70〜100℃で30〜600秒加熱する。その後、要すれば当該溶液を遠心分離に付した後、該溶液の上清を分取することにより、目的のsmall RNAを含有する溶液を得る事ができる。このような溶液は、逆転写反応やPCR反応の試料として直接用いることができる。
上記工程(3)で用いられる水は、通常この分野で用いられるものであれば特に限定されないが、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ等のヌクレアーゼが除去してあるものが好ましい。
上記工程(3)で用いられる緩衝液は、アルカリ性が強いとRNAが加水分解されるため、そのpHが通常3.0〜8.0の範囲のものであり、RNAの回収率が高くその後の反応を阻害しないpH4.5〜7.0のものが好ましい。上記pH範囲であれば緩衝液の種類は限定されないが、具体的には例えばクエン酸緩衝液、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)などのGood's緩衝液、リン酸緩衝液、Tris緩衝液等が挙げられ、中でもクエン酸緩衝液、Good's緩衝液、リン酸緩衝液等が好ましく、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等がより好ましい。なお、これら緩衝液は、2種以上を混合して用いてもよい。該緩衝液中の緩衝剤の濃度は、通常5〜100mMであり、10〜50mMが好ましい。これら緩衝液を用いると、水を用いた場合よりも高い効率でsmall RNAを取得することが可能となる。
上記工程(3)で用いられる水又は緩衝液には、対象のRNAの塩基配列を含まないRNA、又はDNAを含有させてもよく、水又は緩衝液に溶解するRNAとしては、例えば、rRNA(リボゾーマルRNA)、tRNA(トランスファーRNA)、合成ヘアピンRNA等が挙げられ、中でも、rRNA、合成ヘアピンRNA等が好ましい。また、DNAとしては、例えばサケ精子由来のもの、ラムダファージ由来のもの等が挙げられ、中でもサケ精子由来のものが好ましい。水又は緩衝液が含有する、RNA及びDNAの使用量は、使用されるRNA又はDNAにより異なるが、溶液中の濃度が通常0.1〜10ng/μL、好ましくは0.1〜1ng/μLとなる量である。また、このようにRNAやDNAを溶解する場合、用いられる溶液は、緩衝液よりも水が好ましい。
上記工程(3)で用いられる水又は緩衝液の加熱温度は、通常70〜100℃であり、80〜100℃が好ましく、80〜90℃がより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて30〜600秒の間で設定されればよく、具体的には、例えば70℃では120〜600秒、80℃では90秒〜600秒、90℃以上では30〜600秒である。
上記工程(3)における遠心分離は、通常この分野で行われている態様であれば特に制限されず、例えば1000〜10000×gで10〜100秒遠心分離すればよい。
本発明のsmall RNAの取得方法は、例えば本発明に係るタンパク質親和性物質としてAgo2を用いる場合、より具体的には、以下の如くなされる。即ち、例えばAgo2とsmall RNAの複合体を含む血漿1mLに本発明の担体1〜20mg、好ましくは5〜10mgを添加し、2〜10℃で2〜24時間反応させる。更に、得られた反応溶液を3000〜5000×gで10〜50秒遠心分離して上清を取り除いた後、0.05〜0.1w/v% ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル及び100〜300mM NaCl含有10〜100mMトリス緩衝液(pH 7.0〜8.0)を反応溶液1mLに対して1〜5mL用いて、複合体が結合した担体を複数回洗浄する。次いで、例えばpH4.5〜6.0のクエン酸緩衝液を用いて80〜100℃で90〜180秒間加熱することにより、目的のsmall RNAを遊離させる。その後、得られた溶液を3000〜5000×gで10〜50秒遠心分離して上清を分取することにより、目的のsmall RNAを取得することができる。
本発明のsmall RNAの取得方法では、抽出沈殿操作の必要がないため、ハイスループット法における一工程として利用する(組み込む)ことで溶液処理が可能であり、簡便にsmall RNAを取得することができる。更に、small RNAを、従来法と同等又はそれ以上の高い効率で取得できるという効果をも奏する。
以下に実施例、参考例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等により何等限定されるものではない。
実施例1 加熱免疫沈降溶出法によるヒト血漿からのmiRNAの取得(取得対象:miR-92a)
(1)抗ヒトAgo2抗体固定化担体の作製
抗ヒトAgo2抗体固定化担体はAntibody Immobilization Kit IP(和光純薬工業(株)製)と1mg/mL抗ヒトAgo2抗体(和光純薬工業(株)製)を用いて下記のように作製した。
即ち、Antibody Immobilization Beads 200mgにAntibody Immobilization Buffer 9.0mLと1mg/mL抗ヒトAgo2抗体1.0mLを添加混合し、37℃で4時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、5分間)後、上清をピペットで除き、Washing Buffer(Neutral) 10mLで洗浄を3回行った。その後、Blocking Buffer 10mLを入れ、室温で1時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、5分間)後、上清をピペットで除き、Washing Buffer(Neutral) 10mLで洗浄を5回行い、Storage Buffer10mLで洗浄を1回行った後、Storage Buffer5.0mLでビーズを懸濁し、抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液(以下、このようにして得た溶液を、抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液と記載する)を得た。
(2)ヒト血漿サンプルの前処理
ヒトプール血漿(コージンバイオ(株)製)1mLを遠心分離(20000×g、15分間)した後、上清を新しいチューブに移し、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)を終濃度0.1 w/v %となるように添加したものを、ヒト血漿サンプルとして用いた(以下、このように前処理したヒト血漿サンプルを前処理済みヒト血漿サンプルと記載する)。
(3)免疫沈降加熱溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
上記(1)で得た抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量含量)を遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、0.05w/v%ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)及び200mM塩化ナトリウム含有20mMトリス塩酸水溶液(pH7.4、以下、免疫沈降洗浄液と略記する)1mLで1回洗浄を行った後、前記処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄した。その後ペレットにヌクレアーゼフリー水(ニッポンジーン(株)製)50μLを添加し、サーモミキサー(エッペンドルフ社製)を用いて1400rpmで攪拌しながら95℃で5分間インキュベーションした。遠心分離(3000×g、30秒間)の後、上清を分取し、得られたものを測定用試料とした。
(4)miRNAの逆転写反応および定量PCR
miRNAの逆転写反応はTaqMan MicroRNA Reverse Transcription Kit(アプライドバイオシステムズ社製)およびTaqMan MicroRNA Assay Kit(hsa-miR-92a用)(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて下記のように行った。
即ち、上記方法で得られた測定用試料5μLに、100mM dNTP mix 0.15μL、10×RT Buffer 1.5μL、20U/μL RNase Inhibitor 0.19μL、50U/μL Multiscribe RT enzyme 1μL 、5×RT primer( hsa-miR-92a用)3μL、精製水4.16μLを添加しtotal 15μLの反応液を調製した。各反応液を 16℃で30分間、42℃で30分間インキュベーションした後、85℃で5分間インキュベーションし、逆転写反応産物を得た。
得られた逆転写反応産物1μLに、TaqMan 2×PCR Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製)7.5μL、20×TaqMan Assay Mix( hsa-miR-92a用)0.75μL、精製水5.75μLを添加し、total 15μLの反応液を調製し、ABI7500 Fast Real-Time PCR System(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて定量PCR検出を行い、各Ct値を求めた。
一方、1本鎖合成miR-92a(5'- UAUUGCACUUGUCCCGGCCUGU -3')を標準RNAとし、精製水で101〜105copies/μLに10倍希釈した希釈溶液を調製し、各希釈溶液1μLを上記と同様の方法で逆転写反応させ定量PCR検出を行った。得られた各希釈標準RNA溶液のCt値とその分子数から、miR-92aの検量線を作成した。該検量線を用いて、上記で得られた各Ct値よりmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図1に示す。
比較例1 免疫沈降SDS・フェノール/クロロホルム溶出法によるヒト血漿からのmiRNAの取得(取得対象:miR-92a)
(1) 免疫沈降SDS・フェノール/クロロホルム溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで1回洗浄を行った後、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄し、沈殿物(ペレット)を得た。その後、該ペレットに0.5w/v% SDS溶液50μLを添加し、担体に結合したタンパク質を溶出した。更に、溶出液に滅菌水350μL、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)400μLを添加し、ボルテックスミキサーで混合した後、遠心分離(20000×g、10分間)した。上層を分取し、これにクロロホルム400μLを添加し、ボルテックスミキサーで混合後、遠心分離(20000×g、10分間)した。その上層を分取し、エタ沈メイト(ニッポンジーン(株)製) 3μL、3M酢酸ナトリウム 40μL、エタノール 1mLを加え、ボルテックスミキサーで懸濁後、遠心分離(20000×g、15分間)した。得られた沈殿物を70 v/v %エタノール1mLで洗浄後、室温で20分間風乾し、その乾燥物をヌクレアーゼフリー水50μLに溶解したものを、測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた測定用試料を用いて、実施例1(4)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、得られたCt値からmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図1に実施例1の結果と併せて示す。
比較例2 免疫沈降酸性溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得(取得対象:miR-92a)
(1)免疫沈降酸性溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで1回洗浄を行った後、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄し、沈殿物(ペレット)を得た。その後、該ペレットに0.1Mグリシン-塩酸緩衝液(pH2.5)46.5μLを添加し、ボルテックスミキサーで混合後、遠心分離(3000×g、30秒間)を行い、上清を分取し、1M CAPS(pH11.0) 3.5μLを添加して中和した溶液を測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた測定用試料を用いて、実施例1(4)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、得られたCt値からmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図1に実施例1の結果と併せて示す。
図1の結果より、抗Ago2抗体を用いて血漿中のAgo2-miRNA複合体を免疫沈降させた後、免疫沈降法のsmall RNA溶出方法として従来から用いられている、SDS溶出の後にフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿を行う方法を行った結果、血漿中のAgo2に結合したmiRNAを回収できることが示された。しかし、miRNA溶出に酸性の0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.5)を用いた場合、SDSによる溶出後フェノール/クロロホルムによる核酸抽出、エタノール沈殿を行った場合に比べて、miRNAの回収量は低かった。
一方、本発明の加熱処理によるmiRNA溶出を行った結果、溶出液を直接逆転写反応に用いても、SDS溶出の後にフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿を行う方法と同程度のmiRNAを検出することができることが判った。即ち、該加熱処理によるmiRNA等のsmall RNA溶出は、フェノール/クロロホルムによる核酸抽出やエタノール沈殿などの操作を必要とせず、ハイスループット化に対応した簡便な方法であることが示された。
実施例2 加熱温度の違いによる溶出効率への影響(取得対象:miR-92a)
(1)免疫沈降加熱溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで1回洗浄を行った後、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵(約5℃)で3時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄し、沈殿物(ペレット)を得た。その後、該ペレットにヌクレアーゼフリー水(ニッポンジーン(株)製)50μLを添加し、サーモミキサー(エッペンドルフ社製)を用いて1400rpmで攪拌した。上記操作と同様にして得た溶液を6種類準備し、それぞれ、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃で5分間インキュベーションした。遠心分離(3000×g、30秒間)の後、上清を分取し、それらを測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた各測定用試料を用いて、実施例1(4)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、得られたCt値からmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図2に示す。
図2の結果より、免疫沈降法により得られた担体からのmiRNAの溶出効率は、温度が高いほど高い溶出率を示しており、70℃以上でmiRNAが効率よく溶出され、80℃以上で更に効率よく溶出されることが判った。
実施例3 加熱温度および加熱時間の違いによる溶出効率への影響(取得対象:miR-92a)
(1)免疫沈降加熱溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)した後、上清を除き、免疫沈降洗浄液 1mLで1回洗浄を行った。次いで、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。更に、遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄し、沈殿物(ペレット)を得た。該ペレットにヌクレアーゼフリー水(ニッポンジーン(株)製)50μLを添加した。上記操作と同様にして得た溶液を24種類準備し、サーモミキサー(エッペンドルフ社製)を用いて1400rpmで攪拌しながら、それぞれ70℃、80℃、90℃、100℃で10、30、60、90、120、180秒間インキュベーションした。最後に、遠心分離(3000×g、30秒間)の後、上清を分取し、それらを免疫沈降溶出液とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた測定用試料を用いて、実施例1(4)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、得られたCt値からmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図3に示す。
図3の結果から、加熱温度70℃では120秒以上、加熱温度80℃では90秒以上、90℃以上では30秒以上の加熱処理により、抗ヒトAgo2抗体固定化担体に結合したAgo2-miRNA複合体からmiRNAを効率よく取得できることが示された。
実施例4 加熱用溶液のバッファー種およびpHの違いによる溶出効率への影響(取得対象:miR-92a)
(1)免疫沈降加熱溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)し、その後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで1回洗浄を行った。次いで、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。更に、遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄した後、沈殿物(ペレット)を得た。上記操作と同様にして得た溶液を11種類を準備し、ペレットそれぞれに、ヌクレアーゼフリー水(ニッポンジーン(株)製)、10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)、10mMクエン酸緩衝液(pH4.0)、10mMクエン酸緩衝液(pH4.5)、10mMクエン酸緩衝液(pH5.0)、10mMクエン酸緩衝液(pH5.5)、10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)、10mM MES緩衝液(pH6.5)、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)、10mMリン酸緩衝液(pH8.0)又は10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)各50μLを添加し、サーモミキサー(エッペンドルフ社製)を用いて1400rpmで攪拌しながら90℃で90秒間インキュベーションした。最後に、遠心分離(3000×g、30秒間)の後、上清を分取し、それらを測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた各測定用試料を用いて、実施例1(4)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、得られたCt値からmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図4に示す。
図4の結果から、加熱溶出法に用いる溶液としては、水以外にクエン酸緩衝液、MESなどのGood's緩衝液、リン酸緩衝液など多種の緩衝液を使用できることが判った。また、pH3.0〜8.0の緩衝液を用いると水を用いた場合と同等又はそれ以上に効率よくRNAを溶出でき、pH4.5〜7.0の緩衝液を用いると水を用いた場合よりも効率よくRNAを溶出できることが判った。
実施例5 加熱用溶液に添加する添加剤による溶出効率への影響(取得対象:miR-92a)
(1)免疫沈降加熱溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで1回洗浄を行った。次いで、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。更に、遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄し、沈殿物(ペレット)を得た。上記操作と同様にして得た溶液を7種類を準備し、ペレットそれぞれに、ヌクレアーゼフリー水(ニッポンジーン(株)製)、大腸菌リボゾーマルRNA(rRNA、和光純薬工業(株)製)を終濃度0.1、1、10ng/μLとなるように添加したヌクレアーゼフリー水、サケ精子DNA(ssDNA、和光純薬工業(株)製)を終濃度0.1、1、10ng/μLとなるように添加したヌクレアーゼフリー水各50μLを添加し、サーモミキサー(エッペンドルフ社製)を用いて1400rpmで攪拌しながら90℃で90秒間インキュベーションした。遠心分離(3000×g、30秒間)の後、上清を分取し、測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた各測定用試料を用いて、実施例1(4)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、得られたCt値からmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図5に示す。
図5の結果から、加熱溶出法に用いる溶液に、大腸菌リボゾーマルRNAを終濃度0.1〜10ng/μLの範囲で添加することことにより、又は、サケ精子DNAを終濃度0.1〜1ng/μLの範囲で添加することにより、miRNAの回収量が増加することが示された。即ち、加熱溶液に核酸を適量添加することにより、RNAの溶出量が増加することが判った。これは、miRNAを熱から保護する効果や、miRNAの容器への吸着防止効果によるものと考えられた。
実施例6 各種加熱用溶液を用いた免疫沈降加熱溶出法(取得対象:miR-16,miR-92a)
(1)免疫沈降加熱溶出法によるヒト血漿からのmiRNA取得
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで1回洗浄を行った後、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄し、沈殿物(ペレット)を得た。上記操作と同様にして得た溶液4種類を準備し、各ペレットにヌクレアーゼフリー水(ニッポンジーン(株)製)、大腸菌リボゾーマルRNA(rRNA、和光純薬工業(株)製)を終濃度1ng/μLとなるように添加したヌクレアーゼフリー水、サケ精子DNA(ssDNA、和光純薬工業(株)製)を終濃度1ng/μLとなるように添加したヌクレアーゼフリー水、10mMクエン酸緩衝液(pH5.5)50μLを添加し、サーモミキサー(エッペンドルフ社製)を用いて1400rpmで攪拌しながら90℃で90秒間インキュベーションした。遠心分離(3000×g、30秒間)の後、上清を分取し、測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
miR-92a量の測定に関しては、得られた各測定用試料を用いて、実施例1(4)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、得られたCt値からmiR-92aの分子数を算出した。
miR-16量の測定に関しては、先ず、TaqMan MiRNA Reverse Transcription Kit(アプライドバイオシステムズ社製)およびTaqMan MiRNA Assay Kit(hsa-miR-16用、hsa-miR-92a用)(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて下記のように逆転写反応を行った。
即ち、得られた各測定用試料5μLに、100mM dNTP mix 0.15μL、10×RT Buffer 1.5μL、20U/μL RNase Inhibitor 0.19μL、50U/μL Multiscribe RT enzyme 1μL 、5×RT primer(hsa-miR-16用)3μL、精製水4.16μLをそれぞれ添加しtotal 15μLの反応液を調製した。各反応液を16℃で30分間、42℃で30分間インキュベーションした後、85℃で5分間インキュベーションし、逆転写反応産物を得た。
次いで、各逆転写反応産物1μLに、TaqMan 2×PCR Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製)7.5μL、20×TaqMan Assay Mix(hsa-miR-16用)0.75μL、精製水5.75μLを添加し、total 15μLの反応液を調製し、ABI7500 Fast Real-Time PCR System(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて定量PCR検出を行い、各Ct値を求めた。
一方、1本鎖合成miR-16(5'- UAGCAGCACGUAAAUAUUGGCG -3')を標準RNAとして、精製水で101〜105copies/μLに10倍希釈した希釈溶液を調製し、その各希釈溶液1μLを上記と同様の方法で逆転写反応させて定量PCR検出を行った。得られた各希釈標準RNA溶液のCt値とその分子数から、miR-16の検量線を作成した。該検量線を用いて、上記で得られた各Ct値よりmiR-16の分子数を算出した。その結果を、miR-92aの結果と併せて図6に示す。
比較例3 免疫沈降SDS・フェノール/クロロホルム溶出法によるヒト血漿からのmiRNAの取得(取得対象:miR-16,miR-92a)
(1)免疫沈降従来法SDS・フェノール/クロロホルム溶出によるmiRNAの精製
抗ヒトAgo2抗体固定化担体溶液50μL(ビーズ2mg相当量)を遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで1回洗浄を行った後、前処理済みヒト血漿サンプル200μLを添加し、冷蔵で3時間転倒混和した。遠心分離(3000×g、30秒間)後上清を除き、免疫沈降洗浄液1mLで3回洗浄し、沈殿物(ペレット)を得た。その後、該ペレットに2w/v% SDS溶液50μLを添加し、担体に結合したタンパク質を溶出した。溶出液に滅菌水350μL、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)400μLを添加し、ボルテックスミキサーで混合後、遠心分離(20000×g、10分間)した。上層を分取し、クロロホルム400μLを添加し、ボルテックスミキサーで混合後、遠心分離(20000×g、10分間)した。上層を分取し、エタ沈メイト(ニッポンジーン(株)製) 3μL、3M酢酸ナトリウム 40μL、エタノール 1mLを加え、ボルテックスミキサーで懸濁後、遠心分離(20000×g、15分間)した。沈殿を70 v/v %エタノール1mLで洗浄後、室温で20分間風乾し、ヌクレアーゼフリー水50μLに溶解し、該溶液を測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた測定用試料を用いて、実施例6(2)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、miR-16及びmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図6に実施例6の結果と併せて示す。
比較例4 AGPC法(従来からのRNA精製法)によるヒト血漿からのmiRNAの取得(取得対象:miR-16,miR-92a)
(1)AGPC法によるmiRNA精製
前処理済みヒト血漿サンプル200μLにISOGEN-LS(ニッポンジーン(株)製)600μLとグリコーゲン(和光純薬工業(株)製)2μLを添加し、ボルテックスミキサーにより2分間混合した後、クロロホルム160μLを添加し、ボルテックスミキサーで10分間混合した。更に、遠心分離(20000×g、10分間)後、上層を分取し、イソプロパノール0.6mLを添加混合し遠心分離(20000×g、10分間)した。次いで、沈殿物を取り出し、70 v/v %エタノール1mLで洗浄後、室温で20分間風乾した。得られた乾燥物を、滅菌水50μLに溶解し、得られた溶液を測定用試料とした。
(2)miRNAの逆転写反応および定量PCR
得られた各測定用試料を用いて、実施例6(2)記載の方法と同様に、逆転写反応および定量PCR検出を行い、miR-16及びmiR-92aの分子数を算出した。その結果を、図6に実施例6及び比較例3の結果と併せて示す。
図6の結果から、本発明の免疫沈降加熱溶出法においては、ヌクレアーゼフリー水、大腸菌リボゾーマルRNA添加ヌクレアーゼフリー水(終濃度1ng/μL)、サケ精子DNA添加ヌクレアーゼフリー水(終濃度1ng/μL)、10mMクエン酸緩衝液(pH5.5)の何れの溶液を加熱処理用に用いても、SDS溶出の後にフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿を行う従来の免疫沈降法や、RNAの一般的な精製法であるAGPC法よりも効率よく血漿中のmiR-16を取得できることが示された。
また、miR-92aに関しても、本発明の免疫沈降加熱溶出法によれば、何れの溶液を用いても、SDS溶出の後フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿を行う従来の免疫沈降法と同等若しくはそれ以上の回収量を示し、大腸菌リボゾーマルRNA添加ヌクレアーゼフリー水(終濃度1ng/μL)、サケ精子DNA添加ヌクレアーゼフリー水(終濃度1ng/μL)、10mMクエン酸緩衝液(pH5.5)を用いた免疫沈降加熱溶出法はAGPC法とほぼ同等の回収量を示した。
従って、この結果から、本発明の免疫沈降加熱溶出法は、簡便な操作で実施できるにもかかわらず、従来法と比較して同等若しくはそれ以上の効率で血漿中のmiRNA等のsmall RNAを回収できる優れた方法であることが判った。

Claims (9)

  1. Argonauteサブファミリータンパク質に対して親和性を有する物質をその表面に固定化した担体と、Argonauteサブファミリータンパク質とsmall RNAの複合体(タンパク質RNA複合体)とを接触させて、当該担体にタンパク質RNA複合体を結合させ、
    該タンパク質RNA複合体が結合した担体を、水又はpHが3.0〜8.0の緩衝液中で70〜100℃に加熱してsmall RNAを遊離させて取得することを特徴とする、small RNAの取得方法。
  2. 前記Argonauteサブファミリータンパク質がAgo1, Ago2, Ago3又はAgo4である、請求項1記載の取得方法。
  3. 前記Argonauteサブファミリータンパク質がAgo2である、請求項1記載の取得方法。
  4. 前記担体に前記タンパク質RNA複合体を結合させた後、加熱する前に、得られたタンパク質RNA複合体が結合した担体を洗浄する、請求項1〜3の何れかに記載の取得方法。
  5. 担体を緩衝液中で加熱する、請求項1〜4の何れかに記載の取得方法。
  6. 緩衝液のpHが4.5〜7.0である、請求項1〜5の何れかに記載の取得方法。
  7. 緩衝液が、クエン酸緩衝液、Good’s緩衝液又はリン酸緩衝液である、請求項1〜6の何れかに記載の取得方法。
  8. 加熱が、30〜600秒間の加熱である、請求項1〜7の何れかに記載の取得方法。
  9. 水又は緩衝液が、対象のsmall RNAの塩基配列を含まないRNA、又は、DNAを含有するものである、請求項1〜8の何れかに記載の取得方法。
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