JP5867068B2 - 接合方法 - Google Patents
接合方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5867068B2 JP5867068B2 JP2011284387A JP2011284387A JP5867068B2 JP 5867068 B2 JP5867068 B2 JP 5867068B2 JP 2011284387 A JP2011284387 A JP 2011284387A JP 2011284387 A JP2011284387 A JP 2011284387A JP 5867068 B2 JP5867068 B2 JP 5867068B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- base material
- plasma
- bonding
- ink
- chamber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Description
このような紫外線硬化型接着剤は、光透過性に優れることから、光学部品に好適に適用することができるものの、硬化時の紫外線照射により、接着剤の変質により黄変してしまうという問題がある。また、接合すべき部材として、ポリメタクリル酸メチル樹脂やポリスチレン樹脂を用いた場合、上述した紫外線照射により、基材自体も変質・劣化に起因して黄変してしまうという問題がある。
しかしながら、かかる方法では、基材同士圧着時に、基材がTg以上に加熱されていることに起因して、基材が変形し、その結果、得られる接合体(例えば、光学部品)の性能特性が著しく低下することがあった。
本発明の接合方法は、第1の基材および第2の基材は主として樹脂材料で構成され、前記第1の基材および前記第2の基材の少なくとも一方の基材に、酸素ガスの含有量が90vol%以上のO 2 プラズマを接触させる第1の工程と、
少なくとも前記一方の基材の前記O 2 プラズマを接触させた表面に、沸点以上に加熱した水蒸気を、前記表面に接触させることにより、前記表面に水が存在する状態で、選択的に70℃以上に前記表面を加熱する第2の工程と、
前記一方の基材の前記O 2 プラズマを接触させた表面が、前記他方の基材に接触するように、前記第1の基材と前記第2の基材とを重ね合わせた状態で、前記第1の基材と前記第2の基材とを互いに押圧することで、前記第1の基材と前記第2の基材とが接合された接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする。
これにより、2つの基材同士を、基材に変質・劣化を生じさせることなく、高い寸法精度で強固に接合することができる。
また、前記第1の工程における、前記プラズマは、O 2 プラズマであることにより、O 2 プラズマにより基材の表面付近の分子結合の一部が選択的に切断されることに起因して、未結合手が生じるが、この際、雰囲気中に酸素分子が存在するため、この未結合手を水酸基によって終端化されたものとすることができる。
さらに、前記第2の工程において、沸点以上に加熱した水蒸気を、前記表面に接触させることにより前記表面を加熱することで、比較的容易な手法で、前記O 2 プラズマを接触させた表面を優れた精度で選択的に加熱することができる。
これにより、加熱された基材の接合面において、基材に変形が生じるのを的確に抑制または防止することができるため、高い寸法精度で接合体を製造することができる。
これにより、得られる接合体を、特に優れた強度で接合されたものとすることができる。
これにより、第1の基材と第2の基材とをより強固に接合することができる。
<接合方法>
本発明の接合方法は、[1]第1の基材および第2の基材は主として樹脂材料で構成され、この第1の基材21および第2の基材22の少なくとも一方の基材に、プラズマを接触させる第1の工程と、[2]少なくとも一方の基材のプラズマを接触させた表面に水が存在する状態で、選択的に70℃以上に加熱する第2の工程と、[3]一方の基材のプラズマを接触させた表面が、他方の基材に接触するように、第1の基材21と第2の基材22とを重ね合わせた状態で、第1の基材21と第2の基材22とを互いに押圧することで、第1の基材21と第2の基材22とが接合された接合体1を得る第3の工程とを有する。
以下、この本発明の接合方法の第1実施形態を、工程ごとに詳述する。
図1は、本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1]まず、主として樹脂材料で構成される第1の基材21および第2の基材22を用意し、第1の基材21にプラズマを接触させる。
本発明では、これら第1の基材21および第2の基材22が共に、主として樹脂材料で構成され、本発明の接合方法は、このような基材21、22同士の接合に適用される。
具体的には、第1の基材21および第2の基材22の構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリブテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン(COP)、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PC)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。
さらに、接合体1を、後述するような光学素子(波長板)に適用する場合、第1の基材21および第2の基材22の構成材料は、ともに、上述したもののうち透明性を有するものが用いられる。
なお、本実施形態では、図1に示すように、第1の基材21および第2の基材22の双方が板状をなしている。
本実施形態では、図1(a)に示すように、第1の基材21の上面である接合面23にプラズマを接触させる。
第1の基材21(接合面23)にプラズマを接触させると、この接合面23では、特にその表面付近(接合面23の最表面)の分子結合の一部が選択的に切断されることに起因して、接合面23が活性化されて表面付近に第2の基材22に対する接着性が発現する。
このような状態の第1の基材21は、第2の基材22と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
A:接合面23の表面の活性化に長時間(例えば、1分〜数十分)を要する。また、紫外線照射を短時間にした場合、第1の基材21と第2の基材22とを接合する工程において、その接合に長時間(数十分以上)を要する。すなわち、接合体1を得るのに長時間を要する。
これに対して、本発明では、接合面23の表面の活性化にプラズマが用いられる。プラズマを用いることにより、接合面23の表面付近において、選択的に、第1の基材21を構成する構成材料の分子結合の一部が切断される。
以上のように、プラズマにより第1の基材21を活性化させる場合には、紫外線により第1の基材21を活性化させる場合に比べて、種々のメリットがある。
以上のような第1の基材21に対するプラズマの接触は、例えば、図2に示すプラズマ処理装置を用いて行うことができる。
図2に示すプラズマ処理装置100は、チャンバー101と、第1の基材21を支持する第1の電極130と、第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180と、チャンバー101内にガスを供給するガス供給部190と、チャンバー101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備えている。これらの各部のうち、第1の電極130および第2の電極140がチャンバー101内に設けられている。以下、各部について詳細に説明する。
図2に示すチャンバー101は、軸線が水平方向に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャンバー本体と、チャンバー本体の左側開口部を封止する円形の側壁と、右側開口部を封止する円形の側壁とで構成されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図2に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
この静電チャック139により、図2に示すように、第1の基材21を鉛直方向に沿って支持することができる。また、第1の基材21に多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態で第1の基材21をプラズマ処理に供することができる。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
ガス供給部190は、チャンバー101内に処理ガスを供給するためのものである。
処理ガスの種類としては、特に限定されないが、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガスのような希ガス、酸素ガス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、処理ガスには、特に、酸素ガスを主成分とするガスを用いるのが好ましい。
また、このガス(処理ガス)中の酸素ガスの含有量は、85vol%以上が好ましく、90vol%以上(100%も含む)がより好ましい。これにより、前述した効果をさらに顕著に発揮させることができる。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される処理ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、処理ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することとなる。
かかるプラズマ処理装置100を用いることにより、容易かつ確実に、第1の基材21にプラズマを接触させ、第1の基材21を活性化させることができる。
また、高周波電源182の周波数(印加する電圧の周波数)は、特に限定されないが、10〜50MHz程度であるのが好ましく、10〜40MHz程度であるのがより好ましい。
これにより、次工程[3]において、第1の基材21と第2の基材22とを加圧した際に、これら同士を確実に接合して、優れた接合強度で接合された接合体1を得ることができる。
さらに、水が存在する状態で、この加熱を行うことから、接合面23の表面に残存している未結合手を、水酸基によって終端化させることができるため、かかる観点からも、接合面23に第2の基材22に対する接着性をより顕著に発揮させることができる。
なお、第1の基材21を加熱する温度は、70℃以上であればよいが、第1の基材21のガラス転移点(Tg)以下であるのが好ましく、具体的には、第1の基材21の構成材料によっても若干異なるが、好ましくは70℃以上、120℃以下、より好ましくは90℃以上、100℃以下に設定される。これにより、加熱された接合面23において、第1の基材21に変形が生じるのを的確に抑制または防止することができるため、高い寸法精度で接合体1を製造することができる。
[3−1]次いで、図1(c)に示すように、第1の基材21のプラズマを接触させた接合面23の表面が、第2の基材22の接合面24に接触するように、第1の基材21と第2の基材22とを重ね合わせる。
このように第1の基材21と第2の基材22とを押圧(加圧)することで、接合面23と接合面24とが密着し、前記工程[2]において、接合面23の表面が選択的に加熱されていることから、接合面23の表面付近に発現した接合面24に対する接着性に基づいて、第1の基材21と第2の基材22とが、接合面23、24において接合された接合体1を得ることができる。
例えば、第2の基材22の接合面24に水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、第1の基材21の接合面23と、第2の基材22の接合面24とが接触するように、これらを重ね合わせたとき、第1の基材21の接合面23に存在する水酸基と、第2の基材22の接合面24に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。そして、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、第1の基材21が70℃以上に加熱されていることに起因して、脱水縮合反応が生じ、表面から水分子が切断される。その結果、第1の基材21と第2の基材22との接触界面では、水酸基同士が脱水縮合して形成された結合手により基材21、22同士が結合する。これにより、第1の基材21と第2の基材22とが強固に接合されると推察される。
なお、加圧する際の雰囲気の圧力は、大気圧であってもよいが、減圧であるのが好ましい。具体的には、減圧の程度は、133.3×10−5Pa以上、1333Pa以下(1×10−5Torr以上、10Torr以下)であるのが好ましく、133.3×10−4Pa以上、133.3Pa以下(1×10−4Torr以上、1Torr以下)であるのがより好ましい。
以上のようにして、図1(d)に示すような接合体1が得られる。
さらに、第1の基材21の加熱が接合面23の表面に対して選択的に行われるため、第1の基材21が変形したとしても、その加熱された表面に限定することができることから、かかる観点からも、優れた寸法精度の接合体1を得ることができる。
また、接合体1の形成の過程において、紫外線照射を経ることなく接合体1を得ることができるため、紫外線照射に伴う基材21、22の変質・劣化に起因する黄変を確実に防止することができる。
次に、本発明の接合方法の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態の接合方法について、前記第1実施形態の接合方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
このように、第1の基材21および第2の基材22の双方に、前記工程[1]および前記工程[2]における処理を行うようにすることで、接合面23、24に水酸基を導入することができる。そのため、接合面23には第2の基材22に対する接着性を、接合面24には第1の基材21に対する接着性をそれぞれ発現させることができる。その結果、前記工程[3]を経ることにより得られる接合体1が、特に優れた強度で接合されたものとなる。
なお、前記工程[2]において、接合面23および接合面24の双方の表面を、水存在下で、選択的に70℃以上に加熱する際に、かかる加熱方法として、加熱した水蒸気を接合面23、24の表面に接触させる方法を選択した場合、図3(b)に示すようにするのが好ましい。
すなわち、第1の基材21と第2の基材22とを、接合面23、24同士が互いに対向するように配置し、これら基材21、22同士の間に形成された空間内に、加熱した水蒸気を供給する(流入させる)ようにするのが好ましい。これにより、接合面23、24の双方をムラなく、早期に70℃以上に加熱することができる。
次に、接合体を光学素子の一種である波長板に適用した場合の実施形態について説明する。
図4は、接合体を適用して得られた波長板(光学素子)を示す斜視図である。
図4に示す波長板9は、透過する光に1/2波長分の位相差を与える「1/2波長板」であって、2枚の複屈折性を有する結晶板91、92を、それぞれの光学軸が直交するように接着してなるものである。
このような波長板9を光が透過するとき、光学軸に平行な偏光成分と垂直な偏光成分とに光が分離される。そして、分離された光は、各結晶板91、92の複屈折性に伴う屈折率差に基づいて一方に遅延が生じ、前述した位相差が生じることとなる。
それに加え、結晶板91と結晶板92との間隙も透過光の位相に影響を及ぼすため、結晶板91と結晶板92との間隙は、離間距離が厳密に制御されており、かつ離間距離が変化しないように強固に接着されている必要がある。
そこで、波長板9に光学素子を適用することとした。これにより、結晶板(第1の基材)91と結晶板(第2の基材)92とを接合するための接合膜等を介することなく、結晶板91と結晶板92とが、直接、接合された波長板9を得ることができる。このため、結晶板91と結晶板92との間の平行度が高く、波面収差等の各種収差の少ない波長板9とすることができる。
また、接合体を適用する光学素子としては、上記で説明した波長板の他に、偏光フィルタのような光学フィルタ、光ピックアップのような複合レンズ、プリズム、回折格子等が挙げられる。
次に、接合体をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。
図5は、接合体を適用して得られたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図、図6は、図5に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図7は、図5に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、図5は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図7に示すインクジェットプリンタ9は、装置本体920を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口922と、上部面に操作パネル97とが設けられている。
また、装置本体920の内部には、主に、往復動するヘッドユニット93を備える印刷装置(印刷手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に送り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94および給紙装置95を制御する制御部(制御手段)96とを有している。
ヘッドユニット93は、その下部に、多数のノズル孔111を備えるインクジェット式記録ヘッド10(以下、単に「ヘッド10」と言う。)と、ヘッド10にインクを供給するインクカートリッジ931と、ヘッド10およびインクカートリッジ931を搭載したキャリッジ932とを有している。
往復動機構942は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸944と、キャリッジガイド軸944と平行に延在するタイミングベルト943とを有している。
キャリッジモータ941の作動により、プーリを介してタイミングベルト943を正逆走行させると、キャリッジガイド軸944に案内されて、ヘッドユニット93が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド10から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ952bは給紙モータ951に連結されている。これにより、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部96は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
制御部96は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により圧電素子14、印刷装置94および給紙装置95は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
ヘッド10は、ノズル板11と、インク室基板12と、振動板13と、振動板13に接合された圧電素子(振動源)14とを備えるヘッド本体17と、このヘッド本体17を収納する基体16とを有している。なお、このヘッド10は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
このノズル板11には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔111が形成されている。これらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
ノズル板11には、インク室基板12が固着(固定)されている。
このインク室基板12は、ノズル板11、側壁(隔壁)122および後述する振動板13により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)121と、インクカートリッジ931から供給されるインクを貯留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各インク室121に、それぞれインクを供給する供給口124とが区画形成されている。
インク室基板12を得るための母材としては、例えば、各種樹脂基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド10の製造コストを低減することができる。
また、振動板13の所定位置には、振動板13の厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されている。この連通孔131を介して、前述したインクカートリッジ931からリザーバ室123に、インクが供給可能となっている。
各圧電素子14は、それぞれ、振動源として機能し、振動板13は、圧電素子14の振動により振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
以上のような、ノズル板11とインク室基板12との接合、およびノズル板11と基体16との接合のうち、少なくとも1箇所を接合する際に、本発明の接合方法が用いられる。
ここで、ノズル板11とインク室基板12との接合に、本発明の接合方法を適用すれば、各インク室121に貯留されたインクに対する耐久性および液密性が高くなる。その結果、ヘッド10は、信頼性の高いものとなる。
このようなヘッド10は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体層143に変形が生じない。このため、振動板13にも変形が生じず、インク室121には容積変化が生じない。したがって、ノズル孔111からインク滴は吐出されない。
なお、ヘッド10は、圧電素子14の代わりに電気熱変換素子を有していてもよい。つまり、ヘッド10は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してインクを吐出するバブルジェット方式(「バブルジェット」は登録商標))のものであってもよい。
以上、本発明の接合方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、接合体は、光学素子および液滴吐出ヘッド以外のものに適用可能であることは言うまでもない。具体的には、接合体は、例えば、半導体装置、マイクロリアクタ、センサー、MEMS等に適用することができる。
1.接合体の形成
(実施例1)
[1A] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ3mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:100℃)を射出成型することにより得た。
・処理ガスの組成 :酸素
・処理ガスの流量 :20sccm
・高周波電力の出力 :100W
・チャンバー内圧力 :4Pa(低真空)
・電極面積 :50cm×50cm
・処理時間 :3分
・基板温度 :25℃
[4A] 次に、前記工程[3A]の位置関係を維持したまま、2つのMS樹脂基板を重ね合わせた。そして、加圧装置が備えるステージを60℃の温度条件で加熱しつつ、2つのMS樹脂基板を2MPa×5分間の加圧条件で加圧した。
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された実施例1の接合体を得た。
(実施例2〜4)
前記工程[3A]における加熱水蒸気の加熱温度、ならびに、前記工程[4A]におけるステージの温度条件およびMS樹脂基板の加圧条件を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2〜4の接合体を得た。
[1B] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:100℃)を射出成型することにより得た。
[2B] 次に、2つのMS樹脂基板を、互いに対向するように配置した後に重ね合わせた。そして、加圧装置が備えるステージを100℃の温度条件で加熱しつつ、2つのMS樹脂基板を2.5MPa×5分間の加圧条件で加圧した。
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された比較例1の接合体を得た。
前記工程[1B]において、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのシクロオレフィンポリマー基板を、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製、「1060R」、Tg:100℃)を射出成型することにより得たこと以外は、前記比較例1と同様にして、比較例2の接合体を得た。
[1C] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:110℃)を射出成型することにより得た。
[2C] 次に、2つのMS樹脂基板を、図2に示すプラズマ処理装置のチャンバー内に収納し、それぞれの表面に対して、酸素プラズマによるプラズマ処理を行った。なお、プラズマ処理の条件は以下に示す通りである。
・処理ガスの流量 :20sccm
・高周波電力の出力 :100W
・チャンバー内圧力 :4Pa(低真空)
・電極面積 :50cm×50cm
・処理時間 :3分
・基板温度 :25℃
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された比較例3の接合体を得た。
前記工程[1C]において、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのシクロオレフィンポリマー基板を、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製、「1060R」、Tg:110℃)を射出成型することにより得たこと以外は、前記比較例3と同様にして、比較例4の接合体を得た。
[1D] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ2mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:110℃)を射出成型することにより得た。
[2D] 次に、2つのMS樹脂基板の表面に対して、それぞれ、以下に示す条件で紫外線を照射した。
・雰囲気ガスの組成 :窒素ガス
・雰囲気ガスの温度 :20℃
・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照射時間 :5分
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された比較例5の接合体を得た。
(比較例6、7)
前記工程[3A]における加熱水蒸気の加熱温度を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例6、7の接合体を得た。
2.1 接合体の接合強度の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれ接合強度を測定した。
接合強度の測定は、各基材を引き剥がしたとき、剥がれる直前の強度を測定することにより行った。そして、接合強度を以下の基準にしたがって評価した。
<接合強度の評価基準>
○:0.5MPa以上
×:0.5MPa未満
各実施例および各比較例で得られた接合体について、目視にて、接合体(基材)の変形の有無および接合体の変色の有無について確認し、それぞれ、以下の基準にしたがって評価した。
<寸法精度および変色の評価基準>
◎:塑性変形は認められず、さらに、黄変も認められない
○:接合面に若干の塑性変形が認められるものの、黄変は認められない
△:接合面に明らかな塑性変形が認められるものの、若干の黄変しか認められない
×:接合体の全体に亘って明らかな塑性変形が認められ、さらに、黄変も認められる
これらの結果を、表1に示す。
これに対して、比較例で得られた接合体では、基材同士が優れた接合強度で接合されていないか、たとえ優れた接合強度で接合されていたとしても、塑性変形および/または黄変が認められる結果となった。
Claims (4)
- 第1の基材および第2の基材は主として樹脂材料で構成され、前記第1の基材および前記第2の基材の少なくとも一方の基材に、酸素ガスの含有量が90vol%以上のO 2 プラズマを接触させる第1の工程と、
少なくとも前記一方の基材の前記O 2 プラズマを接触させた表面に、沸点以上に加熱した水蒸気を、前記表面に接触させることにより、前記表面に水が存在する状態で、選択的に70℃以上に前記表面を加熱する第2の工程と、
前記一方の基材の前記O 2 プラズマを接触させた表面が、前記他方の基材に接触するように、前記第1の基材と前記第2の基材とを重ね合わせた状態で、前記第1の基材と前記第2の基材とを互いに押圧することで、前記第1の基材と前記第2の基材とが接合された接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする接合方法。 - 前記第2の工程において、前記表面を、ガラス転移点以下に加熱する請求項1に記載の接合方法。
- 前記第1の工程において、前記第1の基材および前記第2の基材に、前記O 2 プラズマを接触させる請求項1または2に記載の接合方法。
- 前記第3の工程において、前記第1の基材と前記第2の基材とを互いに押圧する圧力は、0.3MPa以上、2MPa以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の接合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011284387A JP5867068B2 (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | 接合方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011284387A JP5867068B2 (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | 接合方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013132822A JP2013132822A (ja) | 2013-07-08 |
JP5867068B2 true JP5867068B2 (ja) | 2016-02-24 |
Family
ID=48909864
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011284387A Active JP5867068B2 (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | 接合方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5867068B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102391938B1 (ko) * | 2017-02-28 | 2022-04-28 | 사무코 가부시키가이샤 | 시클로올레핀 폴리머의 접합 방법 |
EP3993991A4 (en) | 2019-07-01 | 2023-07-26 | Saint-Gobain Performance Plastics Corporation | PROFILE CONNECTION |
US20210178506A1 (en) * | 2019-12-12 | 2021-06-17 | Saint-Gobain Performance Plastics Corporation | Apparatus for sterilized welding |
CN115103759B (zh) | 2020-03-03 | 2024-02-13 | 东丽株式会社 | 树脂接合体的制造装置及树脂接合体的制造方法 |
US11878476B2 (en) | 2020-06-19 | 2024-01-23 | Saint-Gobain Performance Plastics Corporation | Composite article and method of forming a composite article |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5019210A (en) * | 1989-04-03 | 1991-05-28 | International Business Machines Corporation | Method for enhancing the adhesion of polymer surfaces by water vapor plasma treatment |
JP4531996B2 (ja) * | 2001-02-09 | 2010-08-25 | 株式会社エー・エム・ティー・研究所 | ポリイミドフィルム積層体 |
WO2011010738A1 (ja) * | 2009-07-24 | 2011-01-27 | Taga Yasunori | 接合構造体の製造方法および接合構造体 |
-
2011
- 2011-12-26 JP JP2011284387A patent/JP5867068B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013132822A (ja) | 2013-07-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4337935B2 (ja) | 接合体および接合方法 | |
JP5867068B2 (ja) | 接合方法 | |
JP4697243B2 (ja) | 接合体および接合方法 | |
JP4687747B2 (ja) | 接合方法 | |
JP4865688B2 (ja) | 液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 | |
JP4674619B2 (ja) | ノズルプレート、ノズルプレートの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 | |
JP2009131732A (ja) | 接合体の剥離方法 | |
JP2009028922A (ja) | 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 | |
JP2010275423A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP2010095595A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP2010023344A (ja) | ノズルプレート、ノズルプレートの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出装置 | |
JP2009132749A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP2010106079A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP2010189518A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP4670905B2 (ja) | 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 | |
JP2010275422A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP2010095594A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP6984200B2 (ja) | インクジェットヘッドの製造方法 | |
JP2009292917A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP5499514B2 (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP5434772B2 (ja) | 接合方法 | |
JP4947133B2 (ja) | 液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2010106080A (ja) | 接合方法および接合体 | |
JP2009028920A (ja) | 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 | |
JP2009248368A (ja) | 接合体および接合体の剥離方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20141128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150717 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150728 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150924 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151208 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151221 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Ref document number: 5867068 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |