JP5867068B2 - 接合方法 - Google Patents

接合方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5867068B2
JP5867068B2 JP2011284387A JP2011284387A JP5867068B2 JP 5867068 B2 JP5867068 B2 JP 5867068B2 JP 2011284387 A JP2011284387 A JP 2011284387A JP 2011284387 A JP2011284387 A JP 2011284387A JP 5867068 B2 JP5867068 B2 JP 5867068B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base material
plasma
bonding
ink
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011284387A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013132822A (ja
Inventor
佳史 伊藤
佳史 伊藤
智弘 林
智弘 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2011284387A priority Critical patent/JP5867068B2/ja
Publication of JP2013132822A publication Critical patent/JP2013132822A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5867068B2 publication Critical patent/JP5867068B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、接合方法に関するものである。
樹脂材料で構成される2つの部材(基材)同士が接合された接合体を光学部品に適用する場合、これら同士の接合(接着)には、シアノアクリレート系材料を含有する紫外線硬化型接着剤等の接着剤が多く用いられている。
このような紫外線硬化型接着剤は、光透過性に優れることから、光学部品に好適に適用することができるものの、硬化時の紫外線照射により、接着剤の変質により黄変してしまうという問題がある。また、接合すべき部材として、ポリメタクリル酸メチル樹脂やポリスチレン樹脂を用いた場合、上述した紫外線照射により、基材自体も変質・劣化に起因して黄変してしまうという問題がある。
一方、接着剤を用いない接合方法として、基材を樹脂材料のガラス転移点(Tg)以上に加熱し、この状態で、2つの基材同士を圧着する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、かかる方法では、基材同士圧着時に、基材がTg以上に加熱されていることに起因して、基材が変形し、その結果、得られる接合体(例えば、光学部品)の性能特性が著しく低下することがあった。
特開2006−269079号公報
本発明の目的は、2つの基材同士を、基材に変質・劣化を生じさせることなく、高い寸法精度で強固に接合し得る接合方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の接合方法は、第1の基材および第2の基材は主として樹脂材料で構成され、前記第1の基材および前記第2の基材の少なくとも一方の基材に、酸素ガスの含有量が90vol%以上のO プラズマを接触させる第1の工程と、
少なくとも前記一方の基材の前記 プラズマを接触させた表面に、沸点以上に加熱した水蒸気を、前記表面に接触させることにより、前記表面に水が存在する状態で、選択的に70℃以上に前記表面を加熱する第2の工程と、
前記一方の基材の前記 プラズマを接触させた表面が、前記他方の基材に接触するように、前記第1の基材と前記第2の基材とを重ね合わせた状態で、前記第1の基材と前記第2の基材とを互いに押圧することで、前記第1の基材と前記第2の基材とが接合された接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする。
これにより、2つの基材同士を、基材に変質・劣化を生じさせることなく、高い寸法精度で強固に接合することができる。
また、前記第1の工程における、前記プラズマは、O プラズマであることにより、O プラズマにより基材の表面付近の分子結合の一部が選択的に切断されることに起因して、未結合手が生じるが、この際、雰囲気中に酸素分子が存在するため、この未結合手を水酸基によって終端化されたものとすることができる。
さらに、前記第2の工程において、沸点以上に加熱した水蒸気を、前記表面に接触させることにより前記表面を加熱することで、比較的容易な手法で、前記O プラズマを接触させた表面を優れた精度で選択的に加熱することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の工程において、前記表面を、ガラス転移点以下に加熱することが好ましい。
これにより、加熱された基材の接合面において、基材に変形が生じるのを的確に抑制または防止することができるため、高い寸法精度で接合体を製造することができる。
本発明の接合方法では、前記第1の工程において、前記第1の基材および前記第2の基材に、前記O プラズマを接触させることが好ましい。
これにより、得られる接合体を、特に優れた強度で接合されたものとすることができる。
本発明の接合方法では、前記第3の工程において、前記第1の基材と前記第2の基材とを互いに押圧する圧力は、0.3MPa以上、2MPa以下であることが好ましい。
これにより、第1の基材と第2の基材とをより強固に接合することができる。
本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 基材にプラズマを接触させるのに用いられるプラズマ処理装置を模式的に示す縦断面図である。 本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 接合体を適用して得られた波長板(光学素子)を示す斜視図である。 接合体を適用して得られたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図である。 図5に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図である。 図5に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。
以下、本発明の接合方法を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<接合方法>
本発明の接合方法は、[1]第1の基材および第2の基材は主として樹脂材料で構成され、この第1の基材21および第2の基材22の少なくとも一方の基材に、プラズマを接触させる第1の工程と、[2]少なくとも一方の基材のプラズマを接触させた表面に水が存在する状態で、選択的に70℃以上に加熱する第2の工程と、[3]一方の基材のプラズマを接触させた表面が、他方の基材に接触するように、第1の基材21と第2の基材22とを重ね合わせた状態で、第1の基材21と第2の基材22とを互いに押圧することで、第1の基材21と第2の基材22とが接合された接合体1を得る第3の工程とを有する。
<<第1実施形態>>
以下、この本発明の接合方法の第1実施形態を、工程ごとに詳述する。
図1は、本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1]まず、主として樹脂材料で構成される第1の基材21および第2の基材22を用意し、第1の基材21にプラズマを接触させる。
[1−1]まず、第1の基材21および第2の基材22を用意する。
本発明では、これら第1の基材21および第2の基材22が共に、主として樹脂材料で構成され、本発明の接合方法は、このような基材21、22同士の接合に適用される。
具体的には、第1の基材21および第2の基材22の構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリブテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン(COP)、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PC)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。
なお、第1の基材21と第2の基材22との構成材料は、それぞれ、同一(同種)のものであってもよく、異種のものであってもよい。
さらに、接合体1を、後述するような光学素子(波長板)に適用する場合、第1の基材21および第2の基材22の構成材料は、ともに、上述したもののうち透明性を有するものが用いられる。
また、第1の基材21および第2の基材22の形状は、例えば、板状(層状)、塊状(ブロック状)、棒状等とされる。
なお、本実施形態では、図1に示すように、第1の基材21および第2の基材22の双方が板状をなしている。
この場合、第1の基材21および第2の基材22の平均厚さは、それぞれ、0.1mm以上、50mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上、5mm以下であるのがより好ましい。本発明の接合方法は、第1の基材21および第2の基材22が板状をなす場合、かかる膜厚を有する第1の基材21と第2の基材22との接合に、好適に適用することができる。
[1−2]次に、第1の基材21にプラズマを接触させる。
本実施形態では、図1(a)に示すように、第1の基材21の上面である接合面23にプラズマを接触させる。
第1の基材21(接合面23)にプラズマを接触させると、この接合面23では、特にその表面付近(接合面23の最表面)の分子結合の一部が選択的に切断されることに起因して、接合面23が活性化されて表面付近に第2の基材22に対する接着性が発現する。
このような状態の第1の基材21は、第2の基材22と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
なお、本明細書中において、接合面23の表面が「活性化された」状態とは、上述のように接合面23の表面の分子結合の一部が切断されて、第1の基材21を構成する原子が終端化されないで、未結合手(または、「ダングリングボンド」)が生じた状態の他、この未結合手を持っていた原子が、水酸基(OH基)によって終端化された状態、さらに、これらの状態が混在した状態を含めて、接合面23の表面が「活性化された」状態と言うこととする。
ここで、従来、第1の基材21および第2の基材22同士を接合するために第1の基材21の接合面23の表面を活性化するための方法として、接合面23の表面に紫外線を照射する方法が考えられる。しかしながら、かかる方法を用いた場合には、次のような問題がある。
A:接合面23の表面の活性化に長時間(例えば、1分〜数十分)を要する。また、紫外線照射を短時間にした場合、第1の基材21と第2の基材22とを接合する工程において、その接合に長時間(数十分以上)を要する。すなわち、接合体1を得るのに長時間を要する。
B:また、紫外線を用いた場合、この紫外線は、第1の基材21を厚さ方向に透過し易いため、接合面23の表面ばかりでなく、その内部においても、第1の基材21を構成する構成材料の分子結合の一部が切断されることから、第1の基材21において変質・劣化が生じ易く、第1の基材21の黄変の原因となる。
これに対して、本発明では、接合面23の表面の活性化にプラズマが用いられる。プラズマを用いることにより、接合面23の表面付近において、選択的に、第1の基材21を構成する構成材料の分子結合の一部が切断される。
なお、このプラズマによる分子結合の切断は、プラズマの荷電に基づく化学的な作用のみならず、プラズマのペニング効果に基づく物理的な作用によって引き起こされるため、極めて短時間で生じる。したがって、接合面23の表面を、極めて短時間(例えば、数秒程度)で活性化させることが可能であり、結果として、接合体1を短時間で製造することができる。
また、プラズマは、接合面23の表面に選択的に作用し、その内部にまで影響を及ぼし難い。このため、分子結合の切断は、接合面23の表面付近で選択的に生じる。すなわち、第1の基材21は、その表面付近で選択的に活性化される。しかがって、紫外線を用いて第1の基材21を活性化させる場合の不都合が生じ難い。すなわち、第1の基材21に黄変が生じるのを的確に抑制または防止することができる。
以上のように、プラズマにより第1の基材21を活性化させる場合には、紫外線により第1の基材21を活性化させる場合に比べて、種々のメリットがある。
以上のような第1の基材21に対するプラズマの接触は、例えば、図2に示すプラズマ処理装置を用いて行うことができる。
図2は、第1の基材(基材)にプラズマを接触させるのに用いられるプラズマ処理装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図2に示すプラズマ処理装置100は、チャンバー101と、第1の基材21を支持する第1の電極130と、第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180と、チャンバー101内にガスを供給するガス供給部190と、チャンバー101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備えている。これらの各部のうち、第1の電極130および第2の電極140がチャンバー101内に設けられている。以下、各部について詳細に説明する。
チャンバー101は、内部の気密を保持し得る容器であり、内部を減圧(真空)状態にして使用されるため、内部と外部との圧力差に耐え得る耐圧性能を有するものとされる。
図2に示すチャンバー101は、軸線が水平方向に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャンバー本体と、チャンバー本体の左側開口部を封止する円形の側壁と、右側開口部を封止する円形の側壁とで構成されている。
チャンバー101の上方には供給口103が、下方には排気口104が、それぞれ設けられている。そして、供給口103にはガス供給部190が接続され、排気口104には排気ポンプ170が接続されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
第1の電極130は、板状をなしており、第1の基材21を支持している。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図2に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
第1の電極130の第1の基材21を支持する面には、静電チャック(吸着機構)139が設けられている。
この静電チャック139により、図2に示すように、第1の基材21を鉛直方向に沿って支持することができる。また、第1の基材21に多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態で第1の基材21をプラズマ処理に供することができる。
第2の電極140は、第1の基材21を介して、第1の電極130と対向して設けられている。なお、第2の電極140は、チャンバー101の側壁の内壁面から離間した(絶縁された)状態で設けられている。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
このような電源回路180によれば、第1の電極130は接地されているので、第1の電極130と第2の電極140との間に高周波電圧が印加される。これにより、第1の電極130と第2の電極140との間隙には、高い周波数で向きが反転する電界が誘起される。
ガス供給部190は、チャンバー101内に処理ガスを供給するためのものである。
図2に示すガス供給部190は、処理ガスを貯留するガスボンベ193と、このガスボンベ193を供給口103に接続する配管194とを有しており、ガスボンベ193から噴出された処理ガスを、配管194を介して供給口103からチャンバー101内に供給するように構成されている。
処理ガスの種類としては、特に限定されないが、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガスのような希ガス、酸素ガス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、処理ガスには、特に、酸素ガスを主成分とするガスを用いるのが好ましい。
すなわち、第1の基材21の表面処理に用いるプラズマは、酸素ガスを主成分とするガスをプラズマ化したOプラズマであるのが好ましい。これにより、Oプラズマにより第1の基材21の表面付近の分子結合の一部が選択的に切断されることに起因して、未結合手が生じるが、この際、雰囲気中に酸素分子が存在するため、この未結合手を水酸基によって終端化されたものとすることができる。さらに、酸素ガスのプラズマは、前述したペニング効果が高いことから、第1の基材21の活性化を短時間でかつ確実に行うことができる観点からも好ましい。
この場合、酸素ガスを主成分とする処理ガスのチャンバー101内への供給速度は、特に限定されないが、1000〜20000sccm程度であるのが好ましく、5000〜15000sccm程度であるのがより好ましい。これにより、第1の基材21の活性化の程度を制御し易くなる。
また、このガス(処理ガス)中の酸素ガスの含有量は、85vol%以上が好ましく、90vol%以上(100%も含む)がより好ましい。これにより、前述した効果をさらに顕著に発揮させることができる。
また、チャンバー101内の供給口103の近傍には、拡散板195が設けられている。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される処理ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、処理ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することとなる。
排気ポンプ170は、チャンバー101内を排気するものであり、例えば、油回転ポンプ、ターボ分子ポンプ等で構成される。このようにチャンバー101内を排気して減圧することにより、処理ガスを容易にプラズマ化することができる。また、大気雰囲気との接触による第1の基材21の汚染等を防止するとともに、プラズマ処理による反応生成物をチャンバー101内から効果的に除去することができる。
また、排気口104には、チャンバー101内の圧力を調整する圧力制御機構171が設けられている。これにより、チャンバー101内の圧力が、ガス供給部190の動作状況に応じて、適宜設定される。
かかるプラズマ処理装置100を用いることにより、容易かつ確実に、第1の基材21にプラズマを接触させ、第1の基材21を活性化させることができる。
なお、第1の電極130と、第2の電極140との間に印加する電圧は、1.0〜3.0kVp−p程度であるのが好ましく、1.0〜1.5kVp−p程度であるのがより好ましい。これにより、第1の電極130と、第2の電極140と間に電界をより確実に発生させることができ、これら同士の間に供給された処理ガスを確実にプラズマ化させることができる。
また、高周波電源182の周波数(印加する電圧の周波数)は、特に限定されないが、10〜50MHz程度であるのが好ましく、10〜40MHz程度であるのがより好ましい。
[2]次に、第1の基材21のプラズマを接触させた接合面23の表面を、水存在下で、選択的に70℃以上に加熱する。
これにより、次工程[3]において、第1の基材21と第2の基材22とを加圧した際に、これら同士を確実に接合して、優れた接合強度で接合された接合体1を得ることができる。
すなわち、接合面23の表面を70℃以上に加熱することで、前記工程[1]において、接合面23にプラズマを接触させることにより発現させた第2の基材22に対する接着性をより顕著に発揮させることができる。
さらに、水が存在する状態で、この加熱を行うことから、接合面23の表面に残存している未結合手を、水酸基によって終端化させることができるため、かかる観点からも、接合面23に第2の基材22に対する接着性をより顕著に発揮させることができる。
また、この加熱が接合面23の表面に限定されることから、加熱に伴う第1の基材21の変質・劣化さらには変形を的確に抑制または防止することができる。
なお、第1の基材21を加熱する温度は、70℃以上であればよいが、第1の基材21のガラス転移点(Tg)以下であるのが好ましく、具体的には、第1の基材21の構成材料によっても若干異なるが、好ましくは70℃以上、120℃以下、より好ましくは90℃以上、100℃以下に設定される。これにより、加熱された接合面23において、第1の基材21に変形が生じるのを的確に抑制または防止することができるため、高い寸法精度で接合体1を製造することができる。
また、水存在下で、接合面23の表面を選択的に加熱する方法としては、特に限定されず、例えば、I.沸点以上に加熱した水蒸気を接合面23の表面に接触させる方法、II.高湿度下でIR加熱する方法、III高湿度下で数百μmギャップを制御しホットプレート加熱する方法等が挙げられるが、中でもIの方法(図1(b)参照。)であるのが好ましい。Iの方法であれば、比較的容易な手法で、接合面23の表面を優れた精度で選択的に加熱することができる。
[3]次に、第1の基材21のプラズマを接触させた接合面23の表面が、第2の基材22に接触するように、第1の基材21と第2の基材22とを重ね合わせ、この状態で、第1の基材21と第2の基材22とが接近するように加圧することで、第1の基材21と第2の基材22とが接合された接合体1を得る。
[3−1]次いで、図1(c)に示すように、第1の基材21のプラズマを接触させた接合面23の表面が、第2の基材22の接合面24に接触するように、第1の基材21と第2の基材22とを重ね合わせる。
[3−2]次いで、図1(d)に示すように、第1の基材21と第2の基材22とを重ね合わせた状態で、第1の基材21と第2の基材22とを互いに押圧する。
このように第1の基材21と第2の基材22とを押圧(加圧)することで、接合面23と接合面24とが密着し、前記工程[2]において、接合面23の表面が選択的に加熱されていることから、接合面23の表面付近に発現した接合面24に対する接着性に基づいて、第1の基材21と第2の基材22とが、接合面23、24において接合された接合体1を得ることができる。
なお、本工程において、第1の基材21と第2の基材22とが接合されるメカニズムは、以下に示す通りであると推測される。
例えば、第2の基材22の接合面24に水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、第1の基材21の接合面23と、第2の基材22の接合面24とが接触するように、これらを重ね合わせたとき、第1の基材21の接合面23に存在する水酸基と、第2の基材22の接合面24に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。そして、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、第1の基材21が70℃以上に加熱されていることに起因して、脱水縮合反応が生じ、表面から水分子が切断される。その結果、第1の基材21と第2の基材22との接触界面では、水酸基同士が脱水縮合して形成された結合手により基材21、22同士が結合する。これにより、第1の基材21と第2の基材22とが強固に接合されると推察される。
なお、第1の基材21と第2の基材22とを加圧する圧力は、第1の基材21および第2の基材22の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に応じて適宜調整されるが、具体的には、0.3MPa以上、2MPa以下であるのが好ましく、0.5MPa以上、1MPa以下であるのがより好ましい。これにより、接合面23と接合面24とがより確実に密着するため、接合面23、24から露出する水酸基同士が接触する接触機会を増加させることができるため、第1の基材21と第2の基材22とをより強固に接合することができる。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒以上、30分以下であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、接合体1を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
なお、加圧する際の雰囲気の圧力は、大気圧であってもよいが、減圧であるのが好ましい。具体的には、減圧の程度は、133.3×10−5Pa以上、1333Pa以下(1×10−5Torr以上、10Torr以下)であるのが好ましく、133.3×10−4Pa以上、133.3Pa以下(1×10−4Torr以上、1Torr以下)であるのがより好ましい。
以上のようにして、図1(d)に示すような接合体1が得られる。
このような接合方法によれば、第1の基材21と第2の基材22とを、これら同士を接合するための接合膜を介することなく接合することができるため、優れた寸法精度で第1の基材21と第2の基材22とが接合された接合体1を得ることができる。
さらに、第1の基材21の加熱が接合面23の表面に対して選択的に行われるため、第1の基材21が変形したとしても、その加熱された表面に限定することができることから、かかる観点からも、優れた寸法精度の接合体1を得ることができる。
また、接合体1の形成の過程において、紫外線照射を経ることなく接合体1を得ることができるため、紫外線照射に伴う基材21、22の変質・劣化に起因する黄変を確実に防止することができる。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の接合方法の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態の接合方法について、前記第1実施形態の接合方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の接合方法では、図3に示すように、前記工程[1]におけるプラズマの接触と、前記工程[2]における水存在下での加熱とを、第1の基材21ばかりでなく、第2の基材22に対しても施すようにしたこと以外は、前記第1実施形態の接合方法と同様である。
このように、第1の基材21および第2の基材22の双方に、前記工程[1]および前記工程[2]における処理を行うようにすることで、接合面23、24に水酸基を導入することができる。そのため、接合面23には第2の基材22に対する接着性を、接合面24には第1の基材21に対する接着性をそれぞれ発現させることができる。その結果、前記工程[3]を経ることにより得られる接合体1が、特に優れた強度で接合されたものとなる。
このような第2実施形態の接合方法によっても、前記第1実施形態の接合方法と同様の効果が得られる。
なお、前記工程[2]において、接合面23および接合面24の双方の表面を、水存在下で、選択的に70℃以上に加熱する際に、かかる加熱方法として、加熱した水蒸気を接合面23、24の表面に接触させる方法を選択した場合、図3(b)に示すようにするのが好ましい。
すなわち、第1の基材21と第2の基材22とを、接合面23、24同士が互いに対向するように配置し、これら基材21、22同士の間に形成された空間内に、加熱した水蒸気を供給する(流入させる)ようにするのが好ましい。これにより、接合面23、24の双方をムラなく、早期に70℃以上に加熱することができる。
<波長板>
次に、接合体を光学素子の一種である波長板に適用した場合の実施形態について説明する。
図4は、接合体を適用して得られた波長板(光学素子)を示す斜視図である。
図4に示す波長板9は、透過する光に1/2波長分の位相差を与える「1/2波長板」であって、2枚の複屈折性を有する結晶板91、92を、それぞれの光学軸が直交するように接着してなるものである。
複屈折性を有する材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料が挙げられる。
このような波長板9を光が透過するとき、光学軸に平行な偏光成分と垂直な偏光成分とに光が分離される。そして、分離された光は、各結晶板91、92の複屈折性に伴う屈折率差に基づいて一方に遅延が生じ、前述した位相差が生じることとなる。
ところで、波長板9によって透過光に与えられる位相差の精度や波長板9の透過率は、各結晶板91、92の板厚の精度に依存しているため、各結晶板91、92の板厚は高精度に制御されている必要がある。
それに加え、結晶板91と結晶板92との間隙も透過光の位相に影響を及ぼすため、結晶板91と結晶板92との間隙は、離間距離が厳密に制御されており、かつ離間距離が変化しないように強固に接着されている必要がある。
さらに、結晶板91と結晶板92とを透過する透過光透過率が減衰することなく、高い状態を維持する必要がある。
そこで、波長板9に光学素子を適用することとした。これにより、結晶板(第1の基材)91と結晶板(第2の基材)92とを接合するための接合膜等を介することなく、結晶板91と結晶板92とが、直接、接合された波長板9を得ることができる。このため、結晶板91と結晶板92との間の平行度が高く、波面収差等の各種収差の少ない波長板9とすることができる。
なお、波長板9は、1/2波長板の他に、1/4波長板、1/8波長板等であってもよい。
また、接合体を適用する光学素子としては、上記で説明した波長板の他に、偏光フィルタのような光学フィルタ、光ピックアップのような複合レンズ、プリズム、回折格子等が挙げられる。
<液滴吐出ヘッド>
次に、接合体をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。
図5は、接合体を適用して得られたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図、図6は、図5に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図7は、図5に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、図5は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図5に示すインクジェット式記録ヘッド10は、図7に示すようなインクジェットプリンタ9に搭載されている。
図7に示すインクジェットプリンタ9は、装置本体920を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口922と、上部面に操作パネル97とが設けられている。
操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体920の内部には、主に、往復動するヘッドユニット93を備える印刷装置(印刷手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に送り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94および給紙装置95を制御する制御部(制御手段)96とを有している。
制御部96の制御により、給紙装置95は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、ヘッドユニット93の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット93が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット93の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
印刷装置94は、ヘッドユニット93と、ヘッドユニット93の駆動源となるキャリッジモータ941と、キャリッジモータ941の回転を受けて、ヘッドユニット93を往復動させる往復動機構942とを備えている。
ヘッドユニット93は、その下部に、多数のノズル孔111を備えるインクジェット式記録ヘッド10(以下、単に「ヘッド10」と言う。)と、ヘッド10にインクを供給するインクカートリッジ931と、ヘッド10およびインクカートリッジ931を搭載したキャリッジ932とを有している。
なお、インクカートリッジ931として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。
往復動機構942は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸944と、キャリッジガイド軸944と平行に延在するタイミングベルト943とを有している。
キャリッジ932は、キャリッジガイド軸944に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト943の一部に固定されている。
キャリッジモータ941の作動により、プーリを介してタイミングベルト943を正逆走行させると、キャリッジガイド軸944に案内されて、ヘッドユニット93が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド10から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置95は、その駆動源となる給紙モータ951と、給紙モータ951の作動により回転する給紙ローラ952とを有している。
給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ952bは給紙モータ951に連結されている。これにより、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部96は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置94や給紙装置95等を制御することにより印刷を行うものである。
制御部96は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ931のインク残量、ヘッドユニット93の位置等を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電気的に接続されている。
制御部96は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により圧電素子14、印刷装置94および給紙装置95は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
以下、ヘッド10について、図5および図6を参照しつつ詳述する。
ヘッド10は、ノズル板11と、インク室基板12と、振動板13と、振動板13に接合された圧電素子(振動源)14とを備えるヘッド本体17と、このヘッド本体17を収納する基体16とを有している。なお、このヘッド10は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
ノズル板11は、本実施形態では、各種樹脂材料等で構成されている。
このノズル板11には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔111が形成されている。これらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
ノズル板11には、インク室基板12が固着(固定)されている。
このインク室基板12は、ノズル板11、側壁(隔壁)122および後述する振動板13により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)121と、インクカートリッジ931から供給されるインクを貯留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各インク室121に、それぞれインクを供給する供給口124とが区画形成されている。
各インク室121は、それぞれ短冊状(直方体状)に形成され、各ノズル孔111に対応して配設されている。各インク室121は、後述する振動板13の振動により容積可変であり、この容積変化により、インクを吐出するよう構成されている。
インク室基板12を得るための母材としては、例えば、各種樹脂基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド10の製造コストを低減することができる。
一方、インク室基板12のノズル板11と反対側には、振動板13が接合され、さらに振動板13のインク室基板12と反対側には、複数の圧電素子14が設けられている。
また、振動板13の所定位置には、振動板13の厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されている。この連通孔131を介して、前述したインクカートリッジ931からリザーバ室123に、インクが供給可能となっている。
各圧電素子14は、それぞれ、下部電極142と上部電極141との間に圧電体層143を介挿してなり、各インク室121のほぼ中央部に対応して配設されている。各圧電素子14は、圧電素子駆動回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。
各圧電素子14は、それぞれ、振動源として機能し、振動板13は、圧電素子14の振動により振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
基体16は、本実施形態では、各種樹脂材料で構成されており、この基体16にノズル板11が固定、支持されている。すなわち、基体16が備える凹部161に、ヘッド本体17を収納した状態で、凹部161の外周部に形成された段差162によりノズル板11の縁部を支持する。
以上のような、ノズル板11とインク室基板12との接合、およびノズル板11と基体16との接合のうち、少なくとも1箇所を接合する際に、本発明の接合方法が用いられる。
換言すれば、ノズル板11とインク室基板12との接合体、およびノズル板11と基体16との接合体のうち、少なくとも1箇所に接合体が適用されている。
ここで、ノズル板11とインク室基板12との接合に、本発明の接合方法を適用すれば、各インク室121に貯留されたインクに対する耐久性および液密性が高くなる。その結果、ヘッド10は、信頼性の高いものとなる。
また、ヘッド10の一部に接合体が適用されていると、寸法精度の高いヘッド10を構築することができる。このため、ヘッド10から吐出されたインク滴の吐出方向や、ヘッド10と記録用紙Pとの離間距離を高度に制御することができ、インクジェットプリンタ9による印字結果の品位を高めることができる。
このようなヘッド10は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体層143に変形が生じない。このため、振動板13にも変形が生じず、インク室121には容積変化が生じない。したがって、ノズル孔111からインク滴は吐出されない。
一方、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に一定電圧が印加された状態では、圧電体層143に変形が生じる。これにより、振動板13が大きくたわみ、インク室121の容積変化が生じる。このとき、インク室121内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル孔111からインク滴が吐出される。
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、下部電極142と上部電極141との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子14は、ほぼ元の形状に戻り、インク室121の容積が増大する。なお、このとき、インクには、インクカートリッジ931からノズル孔111へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル孔111からインク室121へ入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ931(リザーバ室123)からインク室121へ供給される。
このようにして、ヘッド10において、印刷させたい位置の圧電素子14に、圧電素子駆動回路を介して吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
なお、ヘッド10は、圧電素子14の代わりに電気熱変換素子を有していてもよい。つまり、ヘッド10は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してインクを吐出するバブルジェット方式(「バブルジェット」は登録商標))のものであってもよい。
なお、かかる構成のヘッド10において、ノズル板11には、撥液性を付与することを目的に形成された被膜114が設けられている。これにより、ノズル孔111からインク滴が吐出される際に、このノズル孔111の周辺にインク滴が残存するのを確実に防止することができる。その結果、ノズル孔111から吐出されたインク滴を目的とする領域に確実に着弾させることができる。
以上、本発明の接合方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の接合方法では、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
また、接合体は、光学素子および液滴吐出ヘッド以外のものに適用可能であることは言うまでもない。具体的には、接合体は、例えば、半導体装置、マイクロリアクタ、センサー、MEMS等に適用することができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.接合体の形成
(実施例1)
[1A] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ3mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:100℃)を射出成型することにより得た。
[2A] 次に、2つのMS樹脂基板を、図2に示すプラズマ処理装置のチャンバー内に収納し、それぞれの表面に対して、酸素プラズマによるプラズマ処理を行った。なお、プラズマ処理の条件は以下に示す通りである。
・処理ガスの組成 :酸素
・処理ガスの流量 :20sccm
・高周波電力の出力 :100W
・チャンバー内圧力 :4Pa(低真空)
・電極面積 :50cm×50cm
・処理時間 :3分
・基板温度 :25℃
[3A] 次に、2つのMS樹脂基板を、プラズマ処理を行った接合面が互いに対向するように配置し、この状態で、2つのMS樹脂基板同士の間に、100℃に加熱した加熱水蒸気を3分間供給した。
[4A] 次に、前記工程[3A]の位置関係を維持したまま、2つのMS樹脂基板を重ね合わせた。そして、加圧装置が備えるステージを60℃の温度条件で加熱しつつ、2つのMS樹脂基板を2MPa×5分間の加圧条件で加圧した。
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された実施例1の接合体を得た。
(実施例2〜4)
前記工程[3A]における加熱水蒸気の加熱温度、ならびに、前記工程[4A]におけるステージの温度条件およびMS樹脂基板の加圧条件を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2〜4の接合体を得た。
(比較例1)
[1B] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:100℃)を射出成型することにより得た。
[2B] 次に、2つのMS樹脂基板を、互いに対向するように配置した後に重ね合わせた。そして、加圧装置が備えるステージを100℃の温度条件で加熱しつつ、2つのMS樹脂基板を2.5MPa×5分間の加圧条件で加圧した。
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された比較例1の接合体を得た。
(比較例2)
前記工程[1B]において、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのシクロオレフィンポリマー基板を、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製、「1060R」、Tg:100℃)を射出成型することにより得たこと以外は、前記比較例1と同様にして、比較例2の接合体を得た。
(比較例3)
[1C] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:110℃)を射出成型することにより得た。
[2C] 次に、2つのMS樹脂基板を、図2に示すプラズマ処理装置のチャンバー内に収納し、それぞれの表面に対して、酸素プラズマによるプラズマ処理を行った。なお、プラズマ処理の条件は以下に示す通りである。
・処理ガスの組成 :酸素
・処理ガスの流量 :20sccm
・高周波電力の出力 :100W
・チャンバー内圧力 :4Pa(低真空)
・電極面積 :50cm×50cm
・処理時間 :3分
・基板温度 :25℃
[3C] 次に、2つのMS樹脂基板を、プラズマ処理を行った接合面が互いに対向するように配置した後に重ね合わせた。そして、加圧装置が備えるステージを100℃の温度条件で加熱しつつ、2つのMS樹脂基板を0.2MPa×5分間の加圧条件で加圧した。
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された比較例3の接合体を得た。
(比較例4)
前記工程[1C]において、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ5mmのシクロオレフィンポリマー基板を、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製、「1060R」、Tg:110℃)を射出成型することにより得たこと以外は、前記比較例3と同様にして、比較例4の接合体を得た。
(比較例5)
[1D] まず、第1の基材および第2の基材として、縦2cm×横2cm×厚さ2mmのMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)基板を、MS樹脂(Tg:110℃)を射出成型することにより得た。
[2D] 次に、2つのMS樹脂基板の表面に対して、それぞれ、以下に示す条件で紫外線を照射した。
<紫外線照射条件>
・雰囲気ガスの組成 :窒素ガス
・雰囲気ガスの温度 :20℃
・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照射時間 :5分
[3D] 次に、2つのMS樹脂基板を、紫外線照射を行った接合面が互いに対向するように配置した後に重ね合わせた。そして、加圧装置が備えるステージを120℃の温度条件で加熱しつつ、2つのMS樹脂基板を0.2MPa×5分間の加圧条件で加圧した。
以上の工程を経ることにより、2つのMS樹脂基板同士が接合された比較例5の接合体を得た。
(比較例6、7)
前記工程[3A]における加熱水蒸気の加熱温度を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例6、7の接合体を得た。
2.接合体の評価
2.1 接合体の接合強度の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれ接合強度を測定した。
接合強度の測定は、各基材を引き剥がしたとき、剥がれる直前の強度を測定することにより行った。そして、接合強度を以下の基準にしたがって評価した。
<接合強度の評価基準>
○:0.5MPa以上
×:0.5MPa未満
2.2 接合体の寸法精度および変色の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、目視にて、接合体(基材)の変形の有無および接合体の変色の有無について確認し、それぞれ、以下の基準にしたがって評価した。
<寸法精度および変色の評価基準>
◎:塑性変形は認められず、さらに、黄変も認められない
○:接合面に若干の塑性変形が認められるものの、黄変は認められない
△:接合面に明らかな塑性変形が認められるものの、若干の黄変しか認められない
×:接合体の全体に亘って明らかな塑性変形が認められ、さらに、黄変も認められる
これらの結果を、表1に示す。
Figure 0005867068
表1から明らかなように、各実施例で得られた接合体では、基材同士が優れた接合強度で接合されており、さらに、塑性変形および黄変も認められなかった。
これに対して、比較例で得られた接合体では、基材同士が優れた接合強度で接合されていないか、たとえ優れた接合強度で接合されていたとしても、塑性変形および/または黄変が認められる結果となった。
1……接合体 21……第1の基材 22……第2の基材 23、24……接合面 9……波長板 91、92……結晶板 10……インクジェット式記録ヘッド(ヘッド) 11……ノズル板 111……ノズル孔 114……被膜 12……インク室基板 121……インク室 122……側壁 123……リザーバ室 124……供給口 13……振動板 131……連通孔 14……圧電素子 141……上部電極 142……下部電極 143……圧電体層 16……基体 161……凹部 162……段差 17……ヘッド本体 9……インクジェットプリンタ 920……装置本体 921……トレイ 922……排紙口 93……ヘッドユニット 931……インクカートリッジ 932……キャリッジ 94……印刷装置 941……キャリッジモータ 942……往復動機構 943……タイミングベルト 944……キャリッジガイド軸 95……給紙装置 951……給紙モータ 952……給紙ローラ 952a……従動ローラ 952b……駆動ローラ 96……制御部 97……操作パネル P……記録用紙 100……プラズマ処理装置 101……チャンバー 102……接地線 103……供給口 104……排気口 130……第1の電極 139……静電チャック 140……第2の電極 170……ポンプ 171……圧力制御機構 180……電源回路 182……高周波電源 183……マッチングボックス 184……配線 190……ガス供給部 193……ガスボンベ 194……配管 195……拡散板

Claims (4)

  1. 第1の基材および第2の基材は主として樹脂材料で構成され、前記第1の基材および前記第2の基材の少なくとも一方の基材に、酸素ガスの含有量が90vol%以上のO プラズマを接触させる第1の工程と、
    少なくとも前記一方の基材の前記 プラズマを接触させた表面に、沸点以上に加熱した水蒸気を、前記表面に接触させることにより、前記表面に水が存在する状態で、選択的に70℃以上に前記表面を加熱する第2の工程と、
    前記一方の基材の前記 プラズマを接触させた表面が、前記他方の基材に接触するように、前記第1の基材と前記第2の基材とを重ね合わせた状態で、前記第1の基材と前記第2の基材とを互いに押圧することで、前記第1の基材と前記第2の基材とが接合された接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする接合方法。
  2. 前記第2の工程において、前記表面を、ガラス転移点以下に加熱する請求項1に記載の接合方法。
  3. 前記第1の工程において、前記第1の基材および前記第2の基材に、前記O プラズマを接触させる請求項1または2に記載の接合方法。
  4. 前記第3の工程において、前記第1の基材と前記第2の基材とを互いに押圧する圧力は、0.3MPa以上、2MPa以下である請求項1ないしのいずれかに記載の接合方法。
JP2011284387A 2011-12-26 2011-12-26 接合方法 Active JP5867068B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011284387A JP5867068B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011284387A JP5867068B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 接合方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013132822A JP2013132822A (ja) 2013-07-08
JP5867068B2 true JP5867068B2 (ja) 2016-02-24

Family

ID=48909864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011284387A Active JP5867068B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5867068B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102391938B1 (ko) * 2017-02-28 2022-04-28 사무코 가부시키가이샤 시클로올레핀 폴리머의 접합 방법
EP3993991A4 (en) 2019-07-01 2023-07-26 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation PROFILE CONNECTION
US20210178506A1 (en) * 2019-12-12 2021-06-17 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation Apparatus for sterilized welding
CN115103759B (zh) 2020-03-03 2024-02-13 东丽株式会社 树脂接合体的制造装置及树脂接合体的制造方法
US11878476B2 (en) 2020-06-19 2024-01-23 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation Composite article and method of forming a composite article

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5019210A (en) * 1989-04-03 1991-05-28 International Business Machines Corporation Method for enhancing the adhesion of polymer surfaces by water vapor plasma treatment
JP4531996B2 (ja) * 2001-02-09 2010-08-25 株式会社エー・エム・ティー・研究所 ポリイミドフィルム積層体
WO2011010738A1 (ja) * 2009-07-24 2011-01-27 Taga Yasunori 接合構造体の製造方法および接合構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013132822A (ja) 2013-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4337935B2 (ja) 接合体および接合方法
JP5867068B2 (ja) 接合方法
JP4697243B2 (ja) 接合体および接合方法
JP4687747B2 (ja) 接合方法
JP4865688B2 (ja) 液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置
JP4674619B2 (ja) ノズルプレート、ノズルプレートの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置
JP2009131732A (ja) 接合体の剥離方法
JP2009028922A (ja) 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置
JP2010275423A (ja) 接合方法および接合体
JP2010095595A (ja) 接合方法および接合体
JP2010023344A (ja) ノズルプレート、ノズルプレートの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出装置
JP2009132749A (ja) 接合方法および接合体
JP2010106079A (ja) 接合方法および接合体
JP2010189518A (ja) 接合方法および接合体
JP4670905B2 (ja) 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置
JP2010275422A (ja) 接合方法および接合体
JP2010095594A (ja) 接合方法および接合体
JP6984200B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP2009292917A (ja) 接合方法および接合体
JP5499514B2 (ja) 接合方法および接合体
JP5434772B2 (ja) 接合方法
JP4947133B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2010106080A (ja) 接合方法および接合体
JP2009028920A (ja) 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置
JP2009248368A (ja) 接合体および接合体の剥離方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150728

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151221

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Ref document number: 5867068

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350