JP5865186B2 - ギヤ油組成物 - Google Patents
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Description
一方、省燃費、省エネルギーをさらに高める手段の一つとして、機械装置の小型化、軽量化が進められている。例えば、自動車や鉄道車両のギヤーやギヤーを含む動力伝達部の小型化、軽量化が進められている。
その結果、ギヤーやギヤーを含む動力伝達部などにおける潤滑油の油量が減少し、それによって油温が著しく上昇し、潤滑油が熱・酸化劣化しやすくなった。
また、小型化された機械装置で高出力を実現する必要から、摺動速度をより速くするため、撹拌力が増大し潤滑油がせん断されやすくなった。
さらに、小型化された機械装置では、摺動部における単位面積当たりの荷重が大きくなったことにより、摺動部においては、例えば弾性流体潤滑領域などの厳しい潤滑条件下に置かれることが多くなった。
したがって、耐焼付き性が高く、弾性流体潤滑領域における摩擦係数(トラクション係数)が小さいとともに、酸化安定性が良好であり、かつ高粘度指数でありながらせん断安定性に優れる潤滑油が待望されている。
特許文献1においては、高粘度ポリα−オレフィン(高粘度PAO)とエステルとを基油として含み、コハク酸イミドやコハク酸イミドの誘導体を含む酸化安定性に優れたギヤー油組成物が開示されている(請求項1参照)。
しかし、ここに記載されている高粘度PAOは、100℃における動粘度が8〜50mm2/sであって組成物の粘度指数が充分でなく、耐焼付き性や弾性流体潤滑領域における摩擦係数、及び酸化安定性についてもさらなる改良が望まれていた。
また、特許文献2においては、100℃における動粘度が15〜300mm2/sのメタロセン触媒を用いて製造された高粘度PAOを20質量%以上含有する潤滑油組成物(ギヤ油)が記載されている(請求項1参照)。
しかし、このような組成物においても、酸化安定性などについてさらに改良する余地があった。
1.下記の(a)〜(d)を含み、100℃における動粘度が10mm2/s以上50mm2/s以下、かつ粘度指数が165以上であるギヤ油組成物、
(a)鉱油系基油、
(b)下記(b−1)及び(b−2)から選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物、
(b−1)炭素数2〜18の脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル化合物
(b−2)トリメリット酸のトリアルキルエステル化合物
但し、上記(b−1)のジアルキルエステルと(b−2)のトリアルキルエステルを構成するアルキル基は、いずれも炭素数1〜18のアルキル基である。
(c)メタロセン触媒を用いて製造された100℃における動粘度が90〜150mm2/sのポリα−オレフィンもしくはその水素化物
(d)ホウ素化ポリブテニルコハク酸イミド、もしくはホウ素化ポリブテニルコハク酸イミドとポリブテニルコハク酸イミド
2.前記(a)成分の鉱油系基油が、粘度指数120以上のものである上記1に記載のギヤ油組成物、
3.前記(c)成分のメタロセン触媒を用いて製造されたポリα−オレフィンもしくはその水素化物の100℃における動粘度が、110mm2/s以上である上記1又は2に記載のギヤ油組成物、
4.前記(b)成分のエステル化合物の含有量が、組成物全量基準で5質量%以上13質量%以下である上記1〜3のいずれかに記載のギヤ油組成物、
5.前記(d)成分に由来するB原子の含有量(p質量ppm)及びN原子の含有量(q質量ppm)が、それぞれ下記の式(I)及び(II)を満たす上記1〜4のいずれかに記載のギヤ油組成物、
300 ≦ p ≦ 450 ・・・ (I)
400 ≦ q ≦ 650 ・・・ (II)
6.前記(c)成分のメタロセン触媒を用いて製造されたポリα−オレフィンもしくはその水素化物の含有量が、組成物全量基準で20質量%以上40質量%以下である上記1〜5のいずれかに記載のギヤ油組成物、
7.組成物の100℃における動粘度が13.5mm2/s以上18.5mm2/s以下である上記1〜6のいずれかに記載のギヤ油組成物、
8.さらに、硫黄を含む極圧添加剤を含有する上記1〜7のいずれかに記載のギヤ油組成物、及び
9.鉄道車両用ギヤ油組成物である、上記1〜8のいずれかに記載のギヤ油組成物、
を提供するものである。
[(a)鉱油系基油]
本発明で用いる鉱油系基油は、特に制限はないが、通常原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいは鉱油系ワックスを異性化することによって製造される基油等が挙げられる。
また、鉱油系基油は、粘度指数が90以上であることが好ましく、100以上、さらには110以上、特に120以上であることがより好ましい。粘度指数が90以上であれば、組成物の粘度指数を高く保ち、粘度指数が高いという本発明の目的達成を容易にする効果がある。
また、本発明の鉱油系基油は、環分析n−d−M法によって求められる芳香族分(%CA)が3以下のものが好ましく、2以下、さらには1以下、特に0.5以下であるものがより好ましい。また、鉱油系基油の硫黄分は、100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましく、20質量ppm以下であることが特に好ましい。%CAが3以下であり、硫黄分が100質量ppm以下であれば、組成物の酸化安定性を高める効果がある。
本発明では、(b)のエステル化合物として、下記の(b−1)及び(b−2)から選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物を用いる。
(b−1)炭素数2〜18の脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル化合物
(b−2)トリメリット酸のトリアルキルエステル化合物
但し、上記(b−1)のジアルキルエステル、と(b−2)のトリアルキルエステルを構成するアルキル基は、いずれも炭素数1〜18のアルキル基である。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
一方、前記(b−1)のジアルキルエステル化合物を構成するアルキル基は、炭素数1〜18のアルキル基であり、3〜12のものがより好ましく、4〜12のものがさらに好ましく、8〜10のものが特に好ましい。アルキル基の炭素数が18を超えると溶解性が不充分になる恐れがある。これらのアルキル基は、直鎖でも分岐鎖を有しても良いが、分岐鎖を有するアルキル基が溶解性を高める点でより好ましい。
前記トリメリット酸のトリアルキルエステル化合物を構成するアルキル基は、前記(b−1)のジアルキルエステル化合物を構成するアルキル基と同様である。
このようなトリアルキルエステル化合物の代表例としては、例えば、トリメリット酸トリスー2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソオクチルなどが挙げられる。
本発明で(c)成分として用いるポリα−オレフィンもしくはその水素化物(以下、「PAO」と略称することがある。)は、メタロセン触媒を用いて製造された100℃における動粘度が90〜150mm2/sのものである。100℃の動粘度が90mm2/s未満では、充分な粘度指数を有するギヤ油組成物を得られないことがある。したがってPAOの100℃の動粘度は、100mm2/s以上であることがより好ましく、110mm2/s以上であることが特に好ましい。
一方、PAOの100℃の動粘度が150mm2/s以下であれば、溶解性が低下したり、せん断安定性が低下する恐れがない。このような観点から、PAOの100℃の動粘度は140mm2/s以下であることが好ましく、130mm2/s以下であることがより好ましい。
前記原料としての炭素数8〜12のα−オレフィンは、直鎖であっても、分岐を有するものであってもよいが、通常直鎖のα−オレフィンが用いられ、その具体的代表例としては、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンが挙げられる。
これらのα−オレフィンの中でも、原料として1−デセンを用いて重合して得られたPAOが好適に用いられる。
前記メタロセン錯体における周期表第4族元素としては、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムが用いられ、特にジルコニウムが好ましい。また、共役炭素5員環を有する錯体は、置換又は無置換のシクロペンタジエニル配位子を有する錯体が一般に用いられる。
好適なメタロセン錯体の例としては、ビス(n−オクタデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス[(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチリデン−ビスインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド及びビス[3,3(2−メチル−ベンズインデニル)]ジメチルシランジイルジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における(d)成分は、(d−1)ホウ素化ポリブテニルコハク酸イミド(以下、「ホウ素化イミド化合物」と略称することがある)、もしくは(d−1)ホウ素化イミド化合物と(d−2)ポリブテニルコハク酸イミドと(以下、「イミド化合物」と略称することがある)を用いる。
前記(d−2)のイミド化合物としては、例えば、下記の一般式(1)及び(2)
また、上記一般式(1)及び(2)におけるnは、通常1〜5の整数であり、より好ましくは2〜4の整数である。
具体的には、(d−1)成分に由来するB原子の含有量(p質量ppm)及び(d−1)成分、もしくは(d−1)と(d−2)成分に由来するN原子の含有量(q質量ppm)が、それぞれ下記の式(I)及び(II)を満たす範囲で配合することが好ましい。
300 ≦ p ≦ 450 ・・・ (I)
400 ≦ q ≦ 650 ・・・ (II)
(d)成分に由来するB原子の含有量が300質量ppm以上であれば、酸化試験後の塩基価を高く保つことができ、また、450質量ppm以下であれば、曇りや沈殿が発生する恐れがない。
また、(d)成分に由来するN原子の含有量が、400質量ppm以上であれば、塩基価の著しい低下を抑制する効果が認められ、650質量ppm以下であれば、酸価の上昇を抑制することができる傾向がある。したがって、良好な酸化安定性が得られる。
前記(d)成分の含有量は、下記の式(I′)及び(II′)を満たすように配合することがより好ましい。
330 ≦ p ≦ 420 ・・・ (I′)
450 ≦ q ≦ 600 ・・・ (II′)
本発明においては、耐焼付き性を高めるために、さらに極圧添加剤を含むことが好ましい。極圧添加剤の種類については特に制限はなく、種々のものを使用できるが、硫黄を含む極圧添加剤が特に好ましい。
硫黄を含む極圧添加剤としては、いわゆる硫黄系極圧添加剤が好適であり、特に硫黄とリンを含む極圧添加剤、即ちSP系極圧添加剤が好ましい。
前記硫黄系極圧添加剤の具体例としては、例えば、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリサルファイド、チアジアゾール化合物、アルキルチオカルバモイル化合物、チオテルペン化合物、ジアルキルチオジプロピオネート化合物などを挙げることができる。
また、前記SP系極圧添加剤としては、例えば、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、トリフェニルチオフォスフェート、ラウリルトリチオフォスファイトなどのチオリン酸エステルのように、1つの化合物中に硫黄とリンを含むものでもよく、また、硫黄系極圧添加剤とリン系極圧添加剤とを混合して使用してもよい。
SP系極圧添加剤として硫黄系極圧添加剤とリン系極圧添加剤の混合物を用いる場合は、硫黄系極圧添加剤としては前記硫黄系極圧添加剤を用いればよく、リン系極圧添加剤としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルなどのリン酸エステル類、及びこれらリン酸エステル類のアミン塩から少なくとも1種を適宜選択して用いればよい。
また、極圧添加剤としてリンを含む極圧添加剤を用いる場合のリンの含有量は、組成物全量基準で、P量換算で400質量ppm以上700質量ppm以下の範囲で含有することが好ましく400質量ppm以上600質量ppm以下であることがより好ましい。硫黄とともにリンを含有する極圧剤を含有することによって、耐焼付き性がさらに向上する。
本発明のギヤ油組成物は、100℃における動粘度が,10mm2/s以上50mm2/s以下である。ギヤ油組成物の100℃における動粘度がこのような動粘度を有すれば、ギヤ歯面の疲労が進行したり、撹拌損失によるエネルギー損失が問題になる恐れはない。ギヤ油組成物の100℃における動粘度は、10mm2/s以上30mm2/s以下がより好ましく、10mm2/s以上20mm2/s以下がさらに好ましい。
また、本発明のギヤ油組成物を鉄道車両用ギヤ油として利用する場合は、ギヤを含む機械装置の耐久性と信頼性を一層高めるため、ギヤ油組成物の100℃における動粘度は、13.5mm2/s以上18.5mm2/s以下にすることが好ましい。
(1)酸化安定度
JIS K 2514の酸化安定度試験(ISOT法、温度135℃、96時間)による評価を行った場合、
・酸価(電位差法)の増加量=0.90mgKOH/g以下(0.80mgKOH/g以下)
・塩基価(塩酸法)=0.20mgKOH/g以上(0.25mgKOH/g以上)
・n−ペンタン不溶解分(A法)=0.10質量%以下(0.05質量%以下)
(2)せん断安定性
DIN 52350−6に規定するKRLせん断安定性試験で評価した場合、
・100℃における動粘度の低下率=1.5%以下(1.0%以下)
(3)トラクション係数
本明細書の実施例で示すトラクション係数測定方法で測定した場合、
・0.030以下(0.028以下)
(4)耐焼付性
本明細書の実施例で示す方法で測定したIAE歯車型摩擦試験で
・非焼付荷重(焼付OK荷重)が580N以上(590N以上)
(5)油の外観
・良好(曇り・沈殿がない)
〔実施例1、2及び比較例1、2〕
第1表に示す組成のギヤ油組成物(以下、単に「組成物」と称することがある)を調製し、その性状及び性能を測定した。その結果を第1表に示す。
<組成物の性状の測定方法>
(1) 動粘度
JIS K2283に準拠して測定した。
(2) 粘度指数
JIS K2283に準拠して測定した。
(3) B含有量
ICP法により測定した。
(4) N含有量
JIS K 2609に準拠して測定した。
(5) S含有量
ASTM D1552に準拠して測定した。
(6) P含有量
ICP法により測定した。
(7) 酸化安定度
JIS K 2514に規定するISOT法に準じた方法で測定した。測定条件は、温度135℃、試験時間96時間で行った。
試験後に、酸価(電位差法)の上昇、塩基価(塩酸法)及びn‐ペンタン不溶解分(A法)を測定した。
(8) せん断安定性
DIN 52350−6の規定に準拠してせん断安定性を評価した。評価は、100℃における動粘度の低下率で示した。
(9) トラクション係数
下記の試験機及び測定条件で、トラクション係数を測定した。
試験機:
Mini Traction Machine(PCS Instruments社製)
測定条件:
ボール :直径19.05mm、AISI 52100軸受鋼
ディスク :直径50mm、AISI 52100軸受鋼
平均転がり速度:2.0m/s
荷重 :45N
油温 :100℃
すべり率 :20%
IAE歯車型摩擦試験で非焼付荷重(N)(焼付OK荷重(N))を測定した。測定方法は、IP166/7に準拠し、回転数8000rpm、給油温度80℃で行った。
(11) 外観
組成物の外観を目視で観察し、曇りや沈殿の有無を判定した。
第1表で用いた基材は、以下に示すものである。
1)鉱油A:パラフィン系グループIII鉱油(100℃動粘度6mm2/s、粘度指数130、N含有量10質量ppm、S含有量10質量ppm、%CA 0.1以下)
2)PAO‐A:メタロセン触媒を用いて製造(重合)したPAO(100℃動粘度120mm2/s、粘度指数190)
3)PAO‐B:チーグラー触媒を用いて製造したPAO(100℃動粘度130mm2/s、粘度指数167)
4)エステル化合物‐A:アジピン酸ジイソデシル
5)エステル化合物‐B:トリメリット酸トリス‐2‐エチルヘキシル
6)エステル化合物‐C:ブトキシエチルオレエート
7)イミド化合物:重量平均分子量2000のポリブテニル基を有するモノタイプコハク酸イミド(N含有量1.75質量%)
8)ホウ素化イミド化合物−A:重量平均分子量2000のポリブテニル基を有するモノタイプコハク酸イミドホウ素化物(B含有量1.3質量%、N含有量1.45質量%)
9)ホウ素化イミド化合物−B:重量平均分子量950のポリブテニル基を有するモノタイプコハク酸イミドのホウ素化物(B含有量1.9質量%、N含有量2.3質量%)
10)極圧添加剤:SP系極圧添加剤(S含有量36.1質量%、P含有量1.17質量%、N含有量0.69質量%)
11)その他の添加剤:粘度指数向上剤、流動点降下剤及びシリコン系消泡剤を含む
これに対し、比較例1は、本発明で用いるエステル化合物を他のエステル化合物に置き換えたものであるが、そのことによって酸化安定度が著しく悪化し、酸化試験後の酸価の増加量が大きく(1.56mgkOH/g)、有効成分の残存量を示す塩基価が低く(0.19mgkOH/g)、かつ、スラッジ発生量を表わすn−ペンタン不溶解分量が多くなる(0.13質量%)。また、せん断安定性も悪化する傾向にある。
また、比較例2は、本発明の基材である、メタロセン触媒を用いて製造したPAOを、それ以外の非メタロセン触媒を用いて製造したPAOに置換えた組成物であるが、組成物の粘度指数が低くなるとともに、トラクション係数が高くなってしまい、本発明が目的とする組成物を得ることができない。
Claims (8)
- 下記の(a)〜(d)を含み、下記(b)成分のエステル化合物の含有量が、組成物全量基準で5質量%以上13質量%以下であり、100℃における動粘度が10mm2/s以上50mm2/s以下、かつ粘度指数が165以上である鉄道車両用ギヤ油組成物。
(a)鉱油系基油、
(b)下記(b−1)及び(b−2)から選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物、
(b−1)炭素数2〜18の脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル化合物
(b−2)トリメリット酸のトリアルキルエステル化合物
但し、上記(b−1)のジアルキルエステルと(b−2)のトリアルキルエステルを構成するアルキル基は、いずれも炭素数1〜18のアルキル基である。
(c)メタロセン触媒を用いて製造された100℃における動粘度が90〜150mm2/sのポリα−オレフィンもしくはその水素化物
(d)ホウ素化ポリブテニルコハク酸イミド、もしくはホウ素化ポリブテニルコハク酸イミドとポリブテニルコハク酸イミド - 前記(a)成分の鉱油系基油が、粘度指数120以上のものである請求項1に記載の鉄道車両用ギヤ油組成物。
- 前記(c)成分のメタロセン触媒を用いて製造されたポリα−オレフィンもしくはその水素化物の100℃における動粘度が、110mm2/s以上である請求項1又は2に記載の鉄道車両用ギヤ油組成物。
- 前記(b)成分が、前記(b−2)から選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用ギヤ油組成物。
- 前記(d)成分に由来するするB原子の含有量(p質量ppm)及びN原子の含有量(q質量ppm)が、それぞれ下記の式(I)及び(II)を満たす請求項1〜4のいずれかに記載の鉄道車両用ギヤ油組成物。
300 ≦ p ≦ 450 ・・・ (I)
400 ≦ q ≦ 650 ・・・ (II) - 前記(c)成分のメタロセン触媒を用いて製造されたポリα−オレフィンもしくはその水素化物の含有量が、組成物全量基準で20質量%以上40質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の鉄道車両用ギヤ油組成物。
- 組成物の100℃における動粘度が13.5mm2/s以上18.5mm2/s以下である請求項1〜6のいずれかに記載の鉄道車両用ギヤ油組成物。
- さらに、硫黄を含む極圧添加剤を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の鉄道車両用ギヤ油組成物。
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