JP5864705B2 - ミスト発生装置、ミスト発生機構及びミスト発生方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、図15に示すように、吸水タンク80より供給された水をポンプ82で加圧し、この加圧された水を霧化室86に形成されたノズル84に送り、ノズル口85から噴出された噴流を衝突体88に衝突させて霧化し、ファン90により送られる空気を霧化室86に入れて噴霧口92へと搬出する噴霧装置の記載がある。
上記筒部材としては、可撓性のあるホース4、或いは合成樹脂等からなる硬質のパイプ5などが用いられる。
図1は、実施の形態に係るミスト発生装置の分解図を示したものである。このミスト発生装置2は、図2にも示すように、水道水等が流通するホース4に取り付けて使用される。
ミスト発生装置2は、ホース4から供給された水を回転させ噴出させる本体部材6と、この噴出した水を粉砕する粉砕板8とを有する。この本体部材6は、下記筒状壁板24を除き全体が合成樹脂材により形成され、また粉砕板8も合成樹脂材により形成されている。
導入水路18は、導入口14から上方に向けさらにホース水流の下流向きに屈曲して形成され、導入水路18の先端には、回転室12の注入孔26と対向する箇所に注入口部22が設けられている。この注入口部22は、導入水路18を拡径した形状であり、注入孔26へ広く水を供給できるようにしている。
回転室12には、筒状壁板24の上部に蓋部材29が配置固定され回転室12の上部を閉塞している。
またここでは、注入孔26(及び噴出孔28)には、水が通過する孔近傍の表面に光触媒を塗布している。この光触媒塗布により、孔の表面が親水状態となり表面張力が低下し、注入孔26における水の流通抵抗が軽減される。
また、噴出孔28は、水の噴出角度(δ)が回転室12の接線方向(回転方向)から法線方向に偏った向きに形成され、この方向に回転室12内の水を噴出させる。
上記筒状壁板24における噴出孔28の上記噴出角度(δ)は、接線方向から50度以上の範囲、好ましくは60度〜70度の範囲、法線方向に偏らせるのが適当である。
ここでは、噴出角度(δ)は、装置全体の形状特に噴出水流を当てる粉砕板8の位置に鑑み、接線方向から63度としている。
噴出孔28の径が、上記範囲より小さいと水の粘性摩擦及び機械工作精度による影響で噴出水流34の方向が一様な直線状とならず水流同士の干渉等を起こし好ましくない。また、噴出孔の径が上記範囲より大きいと、噴出水流による水滴の直径が大きくなり、粉砕後のミストの粒径も大きくなり好ましくない。
噴出孔28の数の上限は、物理的に配置できかつ近接する他の噴出孔28との間に乱流による干渉を生じない範囲が適当である。このため、噴出孔28の数は、2個〜16個の範囲が良い。噴出孔28の数がこれより多いと、噴出水流同士が干渉して好ましくない。
噴出量などに鑑みれば、噴出孔28の数は4個〜8個の範囲がより好適である。各噴出孔28は、上下、左右にそれぞれ均等に配置する。
またここでは、噴出孔28には、水が通過する孔近傍の表面に光触媒を塗布している。この光触媒塗布により、表面が親水状態となり表面張力が低下し、噴出孔28における水噴出の流通抵抗が軽減される。
また、回転室12の壁面部付近は、摩擦により角速度が多少減衰するが、この減衰を最小にするため(水流抵抗を下げられる)、撥水作用のある塗料(油性塗料)を壁面部、具体的には筒状壁板24の内周面に塗布することが有効である。
上記本体部材6の成形(回転室12、導入水路18等)は、硬質塩化ビニルのインサートモールドによる一体成形により行った。
この粉砕板8は、本体部材6から所定の距離をおいて配置し、噴出孔28からの噴出水流が当たる状態に位置に配置する。粉砕板8の表面は、他に噴出水流の当たる位置により面の方向を変えるように凹凸状に形成し、ミストを各方向に拡散させるようにしてもよい。
噴出水流が粉砕板8に当たる角度は、粉砕板8の面に対して50度〜90度の範囲が良好である。また粉砕板8は、噴出水流を衝突させる面に撥水加工を施しており、これによりミストの発生効率を高めている。
ここでは上記保持具40は、図7に示すように軸心を通過する面で2分割し、断面半円状の一組の保持具片43,43からなる形態としている。
なお、上記保持具片43,43の分割した一方側にはヒンジ部を設けて両保持具片43,43同士を開閉可能に形成し、他方側には係止機構等を設け、両保持具片を閉じた状態で係止させ、閉塞固定するようにしてもよい。
なお、上記ホース4としてここでは可撓性のある材料を使用しているが、これに替えて硬質の材料を使用することもできる。ホース4として可撓性のある材料を使用した場合には、取り扱いが容易となる。
ミスト発生装置3は、各パイプ5の端部にそれぞれニップル部48が設けられ、ニップル部48にはゴム等のシール材49が装着されている。各ニップル部48には、ホース4等を連結して使用する。
また、水排出調節栓54は、水供給調節栓52と接続されるホース4を水供給調節栓52の近くでT型分岐具56を介して分岐(下方向へ)し、この分岐先に接続されている。この水排出調節栓54を開栓することにより、重力の作用によりホース4等から水及び異物などが吸引され排出される。従って、水排出調節栓54は、ホース4の高さ位置が一番低い位置に設ける。
また、設置上の制約により水排出調節栓54を一番低い位置に設置できない場合は、吸引ポンプ等を用い(水排出調節栓54に接続)異物等の吸引を行う。
このミスト発生機構によれば、小規模から大規模まで多岐にわたって利用することができて利用価値が高く、広範囲にミストを噴霧することができる。
また、外部起因の異物及びミスト発生装置2内等で発生したゴミ等の除去には水排出調節栓54等の操作により異物を除去する。このときは、水供給調節栓52を閉めた状態で水排出調節栓54を開ける。すると、ホース4内に負圧が生じ内部に滞留している水が逆流し、その際、水とともにミスト発生装置2の注入孔26及び噴出孔28に詰まった異物も取り除かれ、水排出調節栓54を通じて吸引し外部に排出される。これにより、ミスト発生装置における異物等の目詰まりが簡易かつ効果的に防止できる。
ミスト発生装置2を取り付けたホース4の給水孔16から供給される水は、大気圧以上の水圧が加わっており、ミスト発生装置2の本体部材6の導入水路18を通過し、回転室12の壁面部に設けた注入孔26から回転室12内に注入される。
この回転室12では、注入孔26により中心方向から接線方向へ偏った方向(水の回転方向)に水を注入し、この水圧の勢いにより注入された水とともに回転室12内の水を回転させる。
なお、ホース4の水流の向きは、ミスト発生装置2におけるミストの発生に直接的な影響はない。
また、上記角速度に関し、回転室が水で満たされ角速度が一定の安定状態では、角運動量は角速度に比例するため、上記噴出量はこの角速度による慣性が作用しているとも考えられる。さらに、回転流により放射方向に働く遠心力による圧力も加わる。
上記噴出孔28から噴出された高速の噴出水流34は、その前方の粉砕板8に当てられ粉砕されてミスト38(霧)を発生させる。
噴出孔28から粉砕板8までの距離は、噴出水流の水滴への分離及び水流の勢い等を考慮すれば、25mm〜80mmが好適である。
この実施の形態に係るミスト発生装置2は、装置のコンパクト化等に鑑み、噴出孔28から粉砕板8までの距離を30mmとしている。
また、水圧は230(kPa)であり、回転室12内の水の回転速度は角速度で約2700(deg/sec)である。測定件数は、回転有りの場合115点、回転無しの場合89点である。
上記ヒストグラムから、水を回転させた場合の初速度(Ve)の平均値は6.2m/secであり、水を回転させない場合の初速度(Ve)の平均値は3.9m/secである。これから、水を回転させた場合は、水を回転させない場合に比べて初速度(Ve)が平均値で約1.6倍(=6.2/3.9)速くなっている。
これは、水を回転させない場合には、回転室内の水流に乱流が発生しやすいため、その影響により水の速度成分にばらつき(直進方向と垂直な成分の発生)が生じ、この結果、初速度の分布が広がる一方、水を回転させた場合には、回転水流により乱流が発生し難くなり、このため噴出水流の直進性が高まり水の速度成分のばらつきも少なくなり、初速の分布の範囲が狭くなるものと考えられる。
また、回転室内で水を回転させた場合、回転水流は一定の慣性を持つため、その角速度は注入孔の近傍における水圧の変動の影響を受けにくく、噴出水流が安定しドライミストの粒径及び発生量の安定化も図れる。
また上記試験に関し、噴出水流の写真撮影を行ったところ、水を回転させた場合は噴出水流が直線状に噴出されているのに対して、水を回転させない場合は噴出水流が多少広がりをもって噴出されることが確認された。
これらより、回転室において水を回転させた場合には、回転させない場合と比べて、水の回転による噴出水流の初速度を加速し高める効果は得られていると考えられ、また初速度の絶対値のみではなく、その分布におけるピークの出現、さらには放出角度を狭める効果も同時に得られている。
この回転室12は、回転室12の内部の偏心位置に円柱状の偏心部材13を配置した形態である。この偏心部材13の中心は、回転室12の中心方向と平行に配置する。これにより、回転室12の回転水流32の流水路は断面積が変化する。ここでは、回転室12の注入孔26付近の流水路の断面積を広くし、噴出孔28付近の流水路の断面積を狭くしている。
また上記実施の形態によれば、井戸水或いは雨水等を使用する場合であっても、高圧の加圧ポンプを用いて加圧する必要がないため、通常の低圧ポンプを利用することができ、加えて低消費電力駆動できることから小規模な太陽電池等、自然エネルギーを容易に利用でき、また、金属パイプや柔軟性の乏しい耐圧用ホースを使わず、柔軟性のある一般的な散水ホースを利用して装置への給水が行えるため、装置の設置や撤去を短時間かつ安価に行える。
この回転室62は、室内をドーナツ状(同心円)に形成し、環状に水を回転させる形態である。粉砕板64は、回転室62から所定の距離をおいて配置する。
回転室62の外周側は径の大きな筒状外壁板66を形成し、回転室62の内周側は径の小さい筒状内壁板67を形成して、これら両筒状壁板間にドーナツ状の流路を形成する。そして、筒状内壁板67で囲まれた円筒状の中空空間部を水の給水流路68として使用し、この給水流路68を直進(中心線に沿う)する状態で水を流通させる。給水流路68には、ホース4を流通する水を導入する。
また、粉砕板64は円板状であるが、材質及び配置位置などは上記粉砕板8と同様である。
このドーナツ状の回転室62では、注入孔70から回転室62に水を注入し、回転室62内の水とともに回転室62内を回転する回転水流74を発生させる。一方、回転室62内を回転する水は噴出孔72から噴出し、この噴出孔72から噴出された噴出水流75は粉砕板64に当てられ粉砕されミスト38を発生する。
回転室62として、筒状内壁板67及び筒状外壁板66の両側に中空円板状の仕切り板79を取り付け、ドーナツ状に閉塞された回転室62を形成する。そして、この状態の回転室62を、仕切り板79等がホース4の壁部に密着する状態でホース4の内部に装着し固着する。ホース4の壁部には、噴出孔72の近傍に噴出口部として外部に通じる孔を設け、噴出水流を通過させる。
ホース4の外側には、粉砕板64を配置する。ホース4を流通する水は、筒状内壁板67の給水流路68を通過し、筒状内壁板67の注入孔70から回転室62内に水を注入する。そして、回転室62では、ドーナツ状に回転する回転水流を発生させ、噴出孔72から水を噴出させ粉砕板64に衝突させて粉砕する。なお、可撓性のホース4に替えて、硬質のパイプを用いることもできる。
6 本体部材
8,64 粉砕板
12 回転室
13 偏心部材
16 給水孔
18 導入水路
24 筒状壁板
26,70 注入孔
28,72 噴出孔
40 保持具
52 水供給調節栓
54 水排出調節栓
66 筒状外壁板
67 筒状内壁板
79 仕切り板
Claims (7)
- 水が流通する筒部材に取り付けて使用されるミスト発生装置であって、
上記筒部材の水を導入する筒状内壁板と、この筒状内壁板の外側に設けられる筒状外壁板と、これら両筒状壁板間に形成されるドーナツ状の回転室と、
上記筒状内壁板に設けられ、上記回転室に対してその法線方向から偏った方向に上記筒部材からの水を注入し、上記回転室内に回転水流を発生させる複数個の注入孔と、
上記筒状外壁板に設けられ、上記回転室内を回転する水を噴出する複数個の噴出孔と、
上記噴出孔から噴出する水を衝突させ、この水を粉砕してミストを発生させる粉砕板と、を有し、
上記噴出孔の径を0.2mm〜0.4mmの範囲とし、
上記筒状外壁板として用いた板厚0.05mm以上0.1mm以下のステンレス板に、上記噴出孔が切り込み加工された状態に形成されており、
上記噴出孔から上記粉砕板までの距離を25mm〜80mmとし、
上記噴出水流が上記粉砕板に当たる角度を、上記粉砕板の面に対して50度〜90度の範囲としたことを特徴とするミスト発生装置。 - 上記噴出孔の噴出角度を、回転室の接線方向から50度以上の範囲、好ましくは60度〜70度の範囲の角度、法線方向に偏らせたことを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
- 上記筒部材として可撓性のあるホースを用いたことを特徴とする請求項1又は2に記載のミスト発生装置。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のミスト発生装置、及び上記ミスト発生装置同士を、ホースに連結し、水を上記ホースに流通させて上記ミスト発生装置を使用することを特徴とするミスト発生機構。
- 上記ホースを水排出調節栓に接続し、この水排出調節栓を通じて上記ミスト発生装置内及び上記ホース内の水及び異物を吸引することを特徴とする請求項4に記載のミスト発生機構。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のミスト発生装置をホースに連結し、水を上記ホースに流通させて上記ミスト発生装置に導入し、この水を上記注入孔から上記回転室に注入して回転水流を発生させ、この回転する水を上記噴出孔から噴出して上記粉砕板に衝突させミストを発生させることを特徴とするミスト発生方法。
- 水が流通する筒部材に、
上記筒部材の水を導入する筒状内壁板と、この筒状内壁板の外側に設けられる筒状外壁板と、これら両筒状壁板間に形成されるドーナツ状の回転室と、
上記筒状内壁板に設けられ、上記回転室に対してその法線方向から偏った方向に上記筒部材からの水を注入し、上記回転室内に回転水流を発生させる複数個の注入孔と、
上記筒状外壁板に設けられ、上記回転室内を回転する水を噴出する複数個の噴出孔と、からなる装置を取り付け、さらに、
上記噴出孔の径を0.2mm〜0.4mmの範囲とし、
上記筒状外壁板として板厚0.05mm以上0.1mm以下のステンレス板を用い、このステンレス板に切り込み加工を行なって上記噴出孔を形成し、
上記筒部材を流通する水を上記回転室に注入して回転水流を発生させ、この回転する水を上記噴出孔から噴出し、
上記噴出孔から噴出する水を、25mm〜80mmの距離をおいて配置され、噴出水流を粉砕する板面に対して50度〜90度の角度で衝突させミストを発生させることを特徴とするミスト発生方法。
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