JP5863760B2 - 加熱炉の貫通部構造及び加熱炉の貫通部の施工方法並びに加熱炉 - Google Patents

加熱炉の貫通部構造及び加熱炉の貫通部の施工方法並びに加熱炉 Download PDF

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本発明は、加熱炉の貫通部構造及び加熱炉の貫通部の施工方法並びに加熱炉に関し、詳しくは、前記加熱炉が、内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設してある金属筐体を設け、前記金属筐体の内部に加熱空間を形成し、前記金属筐体の天井部に形成した貫通部を通して前記加熱空間から外部空間に挿通させる反応管を複数本設け、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆ってあるものに関し、その貫通部構造や、貫通部の施工方法並びに加熱炉についての発明である。
従来の加熱炉は、図5に示すように、その貫通部5において、複数本の反応管3を同時に挿通させる貫通孔を耐熱層に形成し、その貫通孔と複数の反応管3との隙間は、耐熱性布からなる貫通部シール部材9で上方から覆われていて、貫通部シール部材9の上端部を複数本の反応管3にシールバンドなどで固定しているだけであった(周知技術で適切な公報が見当たらない)。
上述した従来の加熱炉においては、運転時にその加熱空間において加熱される複数の反応管3が、熱膨張によって夫々別々に上方に伸び上がり、それらのバラバラの挙動によりシールバンドで固定されている貫通部シール部材9の上端部と反応管3との間に隙間が生じて、加熱空間内の高温ガスが炉外に漏れることがある。
上記の問題を解消するために、前記反応管3を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、耐熱層に形成すると共に、個別貫通孔の内側と反応管3との間にセラミックロープなどの耐火断熱材を充填することが考えられている。
しかし、加熱炉における加熱空間の熱変化に基づく反応管3の上下伸縮挙動により、前記耐火断熱材が下方に脱落し、貫通部シール部材と反応管との間から高温ガスが漏れることがある。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、貫通部シール部材と反応管との間からの高温ガスの漏れを防止できるようにするところにある。
本発明の第1の加熱炉の貫通部構造の特徴構成は、内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設してある金属筐体の内部に加熱空間を形成するとともに、その加熱空間に設けた反応管の複数本を、前記金属筐体の天井部に形成した貫通部を通して外部空間に挿通させてある加熱炉で、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆ってある加熱炉の貫通部構造であって、前記貫通部において前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成すると共に、前記個別貫通孔の内側と前記反応管との間に耐火断熱材を充填し、前記個別貫通孔の内側に、上側部よりも下側部のほうが小径の形状であり前記耐火断熱材を下から受け止める段部を、前記個別貫通孔に形成したところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成することにより、複数の反応管が夫々別々に上下伸縮挙動しても、夫々が互いに影響しあって貫通部シール部材の上端部と反応管との間に隙間の生じるのが抑えられる。
また、前記個別貫通孔の内側と前記反応管との間に耐火断熱材を充填し、前記個別貫通孔の内側に、上側部よりも下側部のほうが小径の形状であり前記耐火断熱材を下から受け止める段部を、前記個別貫通孔に形成してあるために、加熱炉における加熱空間の熱変化に基づいて、反応管の上下伸縮挙動が生じても、個別貫通孔の内側と反応管との間に充填した耐火断熱材は、個別貫通孔に形成された段部により支持されて、脱落するのが防止される。
従って、貫通部シール部材と反応管との間から高温ガスが漏れるのを防止できる。
本発明の第2の特徴構成は、前記貫通部シール部材を、耐熱性布で形成すると共に、前記耐熱性布を前記反応管の全周に巻きつけ、前記反応管を上下伸縮自在に前記耐熱性布の上端部を前記反応管に固定すると共に、下端部を前記金属筐体に固定したところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、耐熱性布で形成された貫通部シール部材が、反応管の全周に巻き付けられ、その上端部を、反応管に上下伸縮を許容するように固定し、且つ、下端部が金属筐体に固定してあることにより、個別貫通孔と反応管との間を、たとえ高温ガスが通過して上方に漏れようとしても、反応管と金属筐体とに固定された耐熱性布が気密性を維持し、加熱炉内の熱が漏れるのを防止でき、加熱炉内の加熱空間を良好に維持できる。
本発明の第3の特徴構成は、前記個別貫通孔に連通させて上方に延出する金属筒部を、前記金属筐体に一体に付設し、前記金属筒部の上端部にフランジ部を設け、前記フランジ部に前記貫通部シール部材を固定したところにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、金属筐体に一体に付設した金属筒部によって、金属筒部によって形成される反応管との隙間に耐火断熱材の充填量を増やせば、より断熱性を向上させることができる。その上、金属筒部の上端部に設けたフランジ部に、貫通部シール部材を固定しやすくでき、高温ガスの漏れを良好に防止できる。
本発明の第4の特徴構成は、前記耐火断熱材を、前記金属筒部と前記反応管との間にも充填したところにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、金属筒部と前記反応管との間に充填した耐火断熱材により、高温ガスの漏れを良好に防止してより断熱性を上げることができる。
本発明の第5の加熱炉の貫通部の施工方法の特徴構成は、内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設するための金属筐体を設けてあり、前記金属筐体の内部に加熱空間を有し、前記金属筐体の天井の貫通部を通して外部空間に挿通する反応管を複数本前記加熱空間に設けてある加熱炉において、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆う加熱炉の貫通部の施工方法であって、前記貫通部において前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成すると共に、前記個別貫通孔を形成する際に、前記個別貫通孔の内側に、上側部よりも下側部が小径の形状であり耐火断熱材を下から受止める段部も共に形成し、前記個別貫通孔に挿通した前記反応管と前記個別貫通孔の内面との間に前記耐火断熱材を充填して前記段部上に載せ、前記個別貫通孔と前記反応管との間の隙間を、前記耐火断熱材の上方から覆うように前記貫通部シール部材を取り付けるところにある。
本発明の第5の特徴構成によれば、内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設するための金属筐体を設けてあり、前記金属筐体の内部に加熱空間を有し、前記金属筐体の天井の貫通部を通して外部空間に挿通する反応管を複数本前記加熱空間に設けてある加熱炉において、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆う加熱炉の貫通部を施工するのに、上側部よりも下側部が小径の形状であり耐火断熱材を個別貫通孔と反応管との間で受止め保持する段部を、個別貫通孔の形成の際に設けることにより、能率良く高温ガスの漏洩を防止する加熱炉を施工できる。
しかも、個別貫通孔の内側に耐火断熱材を充填した後に、耐火断熱材の上方から覆うように貫通部シール部材を取り付けることにより、加熱炉を気密断熱に維持できるようになる。
本発明の第6の特徴構成は、前記貫通部シール部材を、耐熱性布で形成すると共に、前記耐熱性布を前記反応管の全周に巻きつけ、前記反応管を上下伸縮自在に前記耐熱性布の上端部を前記反応管に固定すると共に、下端部を前記金属筐体に固定するところにある。
本発明の第6の特徴構成によれば、耐熱性布で形成された貫通部シール部材が、反応管の全周に巻き付けられ、その上端部を、反応管に上下伸縮を許容するように固定し、且つ、下端部が金属筐体に固定してあることにより、個別貫通孔と反応管との間を、たとえ高温ガスが通過して上方に漏れようとしても、反応管と金属筐体とに固定された耐熱性布が気密性を維持し、加熱炉内の熱が漏れるのを防止でき、加熱炉内の加熱空間を良好に維持できる。
本発明の第7の加熱炉の特徴構成は、内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設してある金属筐体を設け、前記金属筐体の内部に加熱空間を形成し、前記金属筐体の天井部に形成した貫通部を通して前記加熱空間から外部空間に挿通させる反応管を複数本設け、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆ってある加熱炉であって、前記貫通部において前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成すると共に、前記個別貫通孔の内側と前記反応管との間に耐火断熱材を充填し、前記個別貫通孔の内側に、上側部よりも下側部のほうが小径の形状であり前記耐火断熱材を下から受け止める段部を、前記個別貫通孔に形成したところにある。
本発明の第7の特徴構成によれば、前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成することにより、複数の反応管が夫々別々に上下伸縮挙動しても、夫々が互いに影響しあって貫通部シール部材の上端部と反応管との間に隙間の生じるのが抑えられる。
また、前記個別貫通孔の内側と前記反応管との間に耐火断熱材を充填し、前記耐火断熱材を下から受け止める段部を前記個別貫通孔に形成してあるために、加熱炉における加熱空間の熱変化に基づいて、反応管の上下伸縮挙動が生じても、個別貫通孔の内側と反応管との間に充填した耐火断熱材は、上側部よりも下側部のほうが小径の形状であり個別貫通孔に形成された段部により支持されて、脱落するのが防止される。
従って、貫通部シール部材と反応管との間から高温ガスが漏れるのを防止でき、加熱空間を良好に維持できる加熱炉を提供できる。
加熱炉全体の縦断面図である。 貫通部の縦断面図である。 要部の斜視図で、(a)は伸長状態の反応管を示し、(b)は収縮状態の反応管を示す。 貫通部シール部材の展開図である。 従来例の貫通部を示す斜視図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、内面にキャスタブル耐火材による耐熱層1を敷設してある金属筐体2の内部に、燃焼バーナー19による加熱空間Sを形成するとともに、その加熱空間Sに上下方向に沿って設けた反応管3の複数本を、金属筐体2の天井部4に形成した貫通部5を通して外部空間に挿通させて加熱炉を構成してある。
図2〜図4に示すように、前記反応管3を夫々個別に挿通させる個別貫通孔6を、耐熱層1に形成すると共に、個別貫通孔6の内側と反応管3との間に耐火断熱材7を充填し、耐火断熱材7を下から受け止める段部8を個別貫通孔6に形成し、個別貫通孔6と反応管3との間の隙間を、耐熱性で可撓性のあるシリカ繊維の耐熱性布からなる貫通部シール部材9で上方から覆ってある。
前記貫通部シール部材9で個別貫通孔6と反応管3との間の隙間を覆うのに、貫通部シール部材9を反応管3の全周に巻きつけ、反応管3を上下伸縮自在に貫通部シール部材9の上端部を、ステンレス製のバンド10の巻き付けにより反応管3に固定すると共に、下端部を金属筐体2に固定してある。
前記貫通部シール部材9の下端部を金属筐体2に固定するについては、個別貫通孔6に連通させて上方に延出する金属筒部11を、金属筐体2に溶接により一体に付設し、金属筒部11の上端部にフランジ部12を設け、そのフランジ部12に貫通部シール部材9を一対のC型リング状のステンレス製押さえ板13で挟持してボルト・ナット14で固定してある。
尚、貫通部シール部材9の上下中間部は、図3(a)、(b)、図4で示すように、上下複数個所においてヒモ15により周方向から緊縛してある。
図2に示すように、前記耐火断熱材7は、セラミックファイバー製のブランケットと称するシートを、反応管3に巻き付けて金属筒部11と反応管3との間に充填する第1断熱材16と、貫通部シール部材9と反応管3との間で、第1断熱材16よりも薄くて反応管3に巻き付けるセラミックファイバー製ブランケットからなる第2断熱材17と、第2断熱材17と貫通部シール部材9との間の隙間を塞ぐバルク状のセラミックファイバーからなる第3断熱材18とから構成してある。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 貫通部シール部材9は、シリカ繊維以外に耐熱繊維であれば他の繊維で形成してあっても良い。
〈2〉 前記貫通部シール部材9と同様に、耐火断熱材7もセラミックファイバー以外の例えばガラス繊維からなるものでもよい。
〈3〉 前記個別貫通孔6に連通させて設けた金属筒部11は、必ずしもなくてもよく、貫通部シール部材9の下端部を、直接金属筐体2に固定してあっても良い。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
1 耐熱層
2 金属筐体
3 反応管
4 天井部
5 貫通部
6 個別貫通孔
7 耐火断熱材
8 段部
9 貫通部シール部材
S 加熱空間

Claims (7)

  1. 内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設してある金属筐体の内部に加熱空間を形成するとともに、その加熱空間に設けた反応管の複数本を、前記金属筐体の天井部に形成した貫通部を通して外部空間に挿通させてある加熱炉で、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆ってある加熱炉の貫通部構造であって、
    前記貫通部において前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成すると共に、前記個別貫通孔の内側と前記反応管との間に耐火断熱材を充填し、前記個別貫通孔の内側に、上側部よりも下側部のほうが小径の形状であり前記耐火断熱材を下から受け止める段部を、前記個別貫通孔に形成してある加熱炉の貫通部構造。
  2. 前記貫通部シール部材を、耐熱性布で形成すると共に、前記耐熱性布を前記反応管の全周に巻きつけ、前記反応管を上下伸縮自在に前記耐熱性布の上端部を前記反応管に固定すると共に、下端部を前記金属筐体に固定してある請求項1に記載の加熱炉の貫通部構造。
  3. 前記個別貫通孔に連通させて上方に延出する金属筒部を、前記金属筐体に一体に付設し、前記金属筒部の上端部にフランジ部を設け、前記フランジ部に前記貫通部シール部材を固定してある請求項1または2に記載の加熱炉の貫通部構造。
  4. 前記耐火断熱材を、前記金属筒部と前記反応管との間にも充填してある請求項3に記載の加熱炉の貫通部構造。
  5. 内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設するための金属筐体を設けてあり、前記金属筐体の内部に加熱空間を有し、前記金属筐体の天井の貫通部を通して外部空間に挿通する反応管を複数本前記加熱空間に設けてある加熱炉において、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆う加熱炉の貫通部の施工方法であって、
    前記貫通部において前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成すると共に、前記個別貫通孔を形成する際に、前記個別貫通孔の内側に、上側部よりも下側部が小径の形状であり耐火断熱材を下から受止める段部も共に形成し、前記個別貫通孔に挿通した前記反応管と前記個別貫通孔の内面との間に前記耐火断熱材を充填して前記段部上に載せ、前記個別貫通孔と前記反応管との間の隙間を、前記耐火断熱材の上方から覆うように前記貫通部シール部材を取り付ける加熱炉の貫通部の施工方法。
  6. 前記貫通部シール部材を、耐熱性布で形成すると共に、前記耐熱性布を前記反応管の全周に巻きつけ、前記反応管を上下伸縮自在に前記耐熱性布の上端部を前記反応管に固定すると共に、下端部を前記金属筐体に固定する請求項5に記載の加熱炉の貫通部の施工方法。
  7. 内面にキャスタブル耐火材による耐熱層を敷設してある金属筐体を設け、前記金属筐体の内部に加熱空間を形成し、前記金属筐体の天井部に形成した貫通部を通して前記加熱空間から外部空間に挿通させる反応管を複数本設け、前記貫通部と前記反応管との間の隙間を、耐熱性で可撓性のある貫通部シール部材で上方から覆ってある加熱炉であって、
    前記貫通部において前記反応管を夫々個別に挿通させる個別貫通孔を、前記耐熱層に形成すると共に、前記個別貫通孔の内側と前記反応管との間に耐火断熱材を充填し、前記個別貫通孔の内側に、上側部よりも下側部のほうが小径の形状であり前記耐火断熱材を下から受け止める段部を、前記個別貫通孔に形成してある加熱炉。
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