JP5863492B2 - アルミ複合板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接合性に優れたアルミ複合板の製造方法に関するものである。
一般に、アルミ複合板(アルミクラッド材)は、複数のアルミ板材を互いに重ね合わせた状態で圧延接合することにより製造される。このアルミ板材の圧延の際に、圧下が強すぎたり弱すぎたりするとアルミ板材同士の接合が不十分になる。それゆえ、アルミ複合板を製造するに際しては、まず圧下条件を最適化しつつ接合不良の発生を防止することを最優先に圧延が行われる。
ただ、このような圧延では、接合不良が発生しにくい代わりに、圧下量を大きくすることもできない。つまり、従来の製造方法では、1回の圧延だけでアルミ板材同士を十分な接合強度で接合することはできないので、圧延を複数パスに分けて繰り返し行ってアルミ板材同士の接合強度を徐々に高め、最終的にアルミ板材同士を完全に接合するようにしている。当然、圧延を複数パスに亘って繰り返す分だけ製造時間が長くなり、圧延効率(生産性)は悪くなる。そこで、従来の製造方法では、接合性と圧延効率(生産性)とを両立させようとする試みが度々為されている。
例えば、特許文献1には、アルミ板材の間にアルミやニッケルを材料間に挟み込んで製造されるアルミクラッド鋼板の製造方法において、複数の圧延パスのいずれかに10%以上と圧下率が大きなパスを設けることで圧延効率を向上できることが開示されている。
特開平4−270080号公報
ところで、特許文献1のアルミクラッド鋼板の製造方法でも、アルミ複合板を製造する際は圧延を複数パスに分けて繰り返すため、複数パスのうち初期のパスではアルミ板材同士はまだ十分に接合しておらず、アルミ板材同士の接合強度も弱いままである。
このように十分な接合強度が得られていないアルミ板材同士に対して、次のパスで圧下率が10%以上となるような強い加工を加えると、アルミ板材がそり返るなどして初期のパスでせっかく接合されたアルミ板材同士が剥離してしまう場合がある。
つまり、特許文献1の製造方法では、圧下率を10%以上と大きくできるのはアルミ板材間の接合強度が十分に大きくなってから、言い換えれば複数パスのうち後期のパスであり、初期のパスでは複数パスに分けて徐々に接合強度を高める必要があり、圧延効率(生産性)の向上については大きな効果が得られない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、複数行われるパスのうち初期のパスからアルミ板材同士の接合強度を高めることができ、1パスあたりの圧下量を大きくとって圧延効率(生産性)を向上することが可能なアルミ複合板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のアルミ複合板の製造方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のアルミ複合板の製造方法は、複数のアルミ板材を重ね合わせ、重ね合わせた複数のアルミ板材を所定の温度に加熱して圧延し、前記複数のアルミ板材が互いに接合された複合板を製造するアルミ複合板の製造方法であって、互いに重ね合わせるアルミ板材の間に、複数の金属粒子を予め配設しておき、圧延を行うことを特徴とするものである。
これら複数の金属粒子は、互いに重ね合わせられたアルミ板材の双方に食い込んで両者が離れないようにつなぎ止めるアンカー効果を有している。それゆえ、アルミ板材の間に複数の金属粒子を予め配設しておけば、1回の圧延パスでもアルミ板材同士が接合性良く
接合し、複数行われるパスのうち初期のパスからアルミ板材同士の接合強度を飛躍的に高めることができる。その結果、1パスあたりの圧下量を大きくとることが可能となり、圧延効率(生産性)を向上させることも可能となる。
特に、材料が軟らかい場合は変形が大きいため、接合に使われるエネルギーが小さくなることから、アンカー効果によって変形が抑制されることによる効果が大きい。
なお、前記複数の金属粒子は、前記アルミ板材の重ね合わせ面に対して位置固定状態となって、前記アルミ板材の間に配設されているのが好ましい。
というのも、アルミ板材の表面に金属粒子を載せただけで圧延接合しようとすると、実際の生産ラインで金属粒子が脱落したり飛び散ったりする虞があり、実生産に十分に対応できないからである。
このように複数の金属粒子をアルミ板材の重ね合わせ面に対して位置固定状態とする具体的な手段(固定手段)としては、例えば前記金属粒子を捕捉すると共に当該金属粒子の平均粒径よりも薄く形成されたシート部材を、アルミ板材の間に配設することができる。このようなシート部材としては、アルミまたはアルミ合金の箔を用いればよい。
また、例えば前記金属粒子をアルミ板材の表面に押し付けて当該表面に埋め込むことにより、当該金属粒子をアルミ板材の間に配設することもできるし、前記金属粒子を液状の金属粒子固定剤と共にアルミ板材の間に配設することもできる。
なお、前記金属粒子としては、鉄、アルミ、アルミ合金またはアルミナの粉末を用いると良い。金属粒子に鉄(鉄粉)などの粒子を用いる場合には、金属粒子がアルミ板材に食い込んでアルミ板材同士を物理的につなぎ止めるアンカー効果のみならず、金属粒子がアルミ板材の組成と化学的に反応して金属間化合物を形成することによりアルミ板材同士を化学的につなぎ止めるアンカー効果をも期待できる。また、金属粒子にアルミ、アルミ合金またはアルミナの粉末を用いた場合には、アルミ板部材と金属粒子との材料組成が非常に近くなるため、アルミ複合板の材料特性が損なわれる心配がなくなる。
また、本発明に係るアルミ複合板の製造方法の最も好ましい形態は、複数のアルミ板材を重ね合わせ、重ね合わせた複数のアルミ板材を所定の温度に保持しつつ圧延し、前記複数のアルミ板材が互いに接合された複合板を製造するアルミ複合板の製造方法であって、互いに重ね合わせるアルミ板材の間に、複数の金属粒子を予め配設しておき、圧延を行うものであって、前記複数の金属粒子は、前記アルミ板材の重ね合わせ面に対して位置固定状態となって、前記アルミ板材の間に配設されていて、前記金属粒子を捕捉すると共に当該金属粒子の平均粒径よりも薄く形成されたシート部材を、アルミ板材の間に配設することを特徴とする。
本発明のアルミ複合板の製造方法により、複数行われるパスのうち初期のパスからアルミ板材同士の接合強度を高めることができ、1パスあたりの圧下量を大きくとって圧延効率(生産性)を向上することが可能となる。
本発明のアルミ複合板の製造工程を示す図である。 金属粒子をアルミ箔で捕捉しつつアルミ複合板を製造する場合の製造工程を示す図である。 金属粒子をアルミ板材の表面に押し付けて位置固定しつつアルミ複合板を製造する製造工程を示す図である。 金属粒子固定剤を用いて金属粒子をアルミ板材の表面に位置固定しつつアルミ複合板を製造する製造工程を示す図である。
本発明のアルミ複合板1の製造方法は、図1(a)に示すように複数のアルミ板材2の間に金属粒子3を予め配設し、図1(b)に示すように複数のアルミ板材2同士を互いに重ね合わせ、図1(c)に示すように重ね合わせた状態のまま複数のアルミ板材2を所定の温度に保持しつつ圧延接合してアルミ複合板1を製造するものである。そして、本発明の製造方法は、まず最初にアルミ板材2の間に複数の金属粒子3を予め配設する工程(以下、金属粒子配設工程4という)を設けていることを特徴としていて、この金属粒子配設工程4でアルミ板材2に対するアンカー効果がある金属粒子3をアルミ板材2の間に予め配設しておいてから、次の工程でアルミ板材2同士を確実に圧延接合にしている(以下、このアルミ板材2同士を圧延接合する工程を圧延接合工程5という)のである。
なお、以降の説明では、金属粒子配設工程4よりも先に、まず圧延接合工程5を説明する。
図1(b)及び図1(c)に示すように、圧延接合工程5は、複数枚のアルミ板材2を互いに重ね合わせ、重ね合わせた状態のまま複数枚のアルミ板材2を所定の温度に保持し
、所定の温度に保持された複数枚のアルミ板材2を重ね合わせられたまま所定の圧延荷重を加えて圧延するものである。このとき、圧延荷重や圧延温度が後述するような所定の範囲になっていれば、互いのアルミ板材2の接合面6同士が接合され、1枚のアルミ複合板1(アルミクラッド材)として成形される。
上述した圧延接合のための工程に用いられるアルミ板材2は、アルミまたはアルミ合金の板材である。このアルミ板材2としては、純アルミやアルミ合金が考えられる。具体的には、このアルミ板材2は、後述する金属粒子3よりも軟質または同等の硬度を備えたアルミまたはアルミ合金であれば好ましい。
アルミ複合板1を構成する複数枚のアルミ板材2は、少なくともいずれか一方の表面が接合面6とされていて、互いに接合面6同士を対面させるようにして重ね合わされる。このようにして重ね合わされたアルミ板材2の接合面6同士を圧延接合するためには、アルミ板材2同士を所定の保持温度に保持すると共に所定の圧延荷重で押圧する必要がある。
アルミ板材2の保持温度は、接合に用いるアルミやアルミ合金の種類に応じて変動するが、200℃〜620℃とされる。アルミ板材2の保持温度を620℃以下にすることで、アルミ板材2の溶解を防止乃至抑制しつつ接合を行うことが可能となる。また、アルミ板材2の保持温度を200℃以上にすることで、アルミ板材2の接合面6を加熱して両者を確実に接合することが可能となる。
一方、アルミ板材2に加える圧延荷重は、用いるアルミやアルミ合金の種類、あるいはアルミ板材2の保持温度やパススケジュールに応じて適宜調整される。
上述のようにして所定の保持温度及び所定の圧延荷重を加えることにより、複数枚のアルミ板材2を互いに圧延接合することが可能となる。
ただ、アルミ板材2はさまざまな材質や厚みを選択しうるため、合金や板厚によっては圧延条件が非常にシビアなものになってしまうことがある。例えば、アルミ板材2の保持温度や圧延荷重の範囲が非常に狭い範囲に設定されていると、実際にラインで生産する際に温度や荷重がばらついて設定した範囲から外れ、接合不良などの欠陥が発生する可能性がある。
特に、アルミ複合板1に用いられるアルミ板材2にはそもそも接合が困難な材料が多く、このような材料の場合は圧延条件の範囲も狭くなりやすい。それゆえ、実際にラインで生産する場合には圧延条件だけで安定してアルミ複合板1を生産することは困難である場合もある。
そこで、本発明のアルミ複合板1の製造方法では、圧延条件の最適化だけでなく金属粒子3のアンカー効果を併用することで、圧延接合での接合性を更に高めているのである。具体的には、本発明のアルミ複合板1の製造方法では、上述した圧延接合のための工程とは別に、図1(a)に示されるようなアルミ板材2の間に複数の金属粒子3を予め配設する金属粒子配設工程4を設けている。
金属粒子配設工程4は、アルミ板材2の間に複数の金属粒子3を予め配設しておくものであり、配設された金属粒子3が互いに対面し合うアルミ板材2の接合面6の双方に埋まり込んで物理的なアンカー効果を発揮することにより、アルミ板材2同士の接合性を高める構成となっている。まず、金属粒子配設工程4に用いられる金属粒子3について詳しく説明する。
金属粒子3は、金属、合金または金属酸化物の粒子であり、圧延荷重が加わった際にアルミ板材2中に埋まり込むことができるようにアルミ板材2よりも硬質に形成されている。このような金属粒子3としては、
(1)鉄または鉄の酸化物の粒子
(2)アルミ合金またはアルミナ
を用いることができる。
(1)の金属粒子3である鉄を含む粒子は、圧延接合のために高温高圧下にするとアルミ板材2との間に金属間化合物を形成可能となっている。(1)の金属粒子3はアルミ板材2のアルミとの間に金属間化合物を形成し、形成された金属間化合物を介してアルミ板材2同士を繋ぎ合わせる効果(アンカー効果)を有している。
このようにアルミ板材2のアルミとの間に金属間化合物を形成する鉄または鉄の酸化物を金属粒子3とすれば、金属粒子3がアルミ板材2に食い込んでアルミ板材2同士を物理的につなぎ止める物理的なアンカー効果だけでなく、アルミ板材2同士を金属間化合物で繋ぎ合わせる化学的なアンカー効果をも発揮させることができる。その結果、1回の圧延パスでもアルミ板材2同士が接合性良く接合し、複数行われるパスのうち初期のパスからアルミ板材2同士の接合強度を飛躍的に高めることができる。
また、上述のようにして得られたアルミ複合板1の製品は、アルミ板材2が強い接合強度で接合されており、アルミ板材2の剥離を起こす心配がない。それゆえ、1パスあたりの圧下量を大きくとることが可能となり、圧延効率(生産性)を向上させることも可能となる。
特に、アルミ板材2の間に配設された鉄または鉄の酸化物の金属粒子3は、アルミ板材2の接合面6の強度を増加させアルミ板材2の変形を抑制するという作用も有する。このようにアルミ板材2の変形を抑制できれば、圧下率を大きくすることができない接合性の低いアルミ板材2の圧延接合においても圧下率を飛躍的に向上させることが可能となる。
上述したようなアルミ板材2同士の確実な接合効果が期待できる金属粒子3の平均粒径としては、鉄の場合は40〜100μmが好ましいことを本発明者らは知見している。これは、例えばJIS Z8801に規定されるメッシュで#150〜#400程度のふるいを用いて粒度を調整したものである。金属粒子3の平均粒径を40μm以上とすることで、金属粉子の爆発や舞い上がりなどを抑制しつつ圧延接合することが可能になる。また、金属粒子3の平均粒径を100μm以下に抑えることで、製品であるアルミ複合板1の機械特性に悪影響が出にくくなる。
これらの金属粒子3は、接合面6の全表面積に対して5〜40%の面積を金属粒子3(の投影面)が占める程度に配設することで、アルミ板材2同士を接合性良く接合することを可能とする。金属粒子3の面積率を5%以上とすることでアルミ板材2同士の接合性を十分に向上させることが可能となる。また、金属粒子3の面積率を40%以下に抑えることで、接合面6において金属粒子3に覆われていない部分の面積率が大きくなり、金属粒子3に覆われていない部分でアルミ板材2同士を確実に接合させることが可能となる。また、製品であるアルミ複合板1の機械特性にも悪影響が出にくくなる。
なお、(1)の金属粒子3には、鉄以外にもアルミとの間に金属間化合物を形成可能な金属、例えばチタン、コバルト、ニオブまたはこれらの酸化物の粒子を用いることもできる。
一方、(2)の金属粒子3の内、アルミ合金に関しては、JIS−A1000系(純アルミ系)以外のアルミ合金、例えばJIS−A2000系(Al−Cu系)、A3000系(Al−Mn系)、A4000系(Al−Si系)、A5000系(Al−Mg系)、A6000系(Al−Mg−Si系)もしくはA7000系(Al−Zn系)から形成されている。
具体的には、例えばアルミ板材2が板材によく用いられるA5000系のような材料の場合は、これより硬度が高いA2000系やA7000系などのアルミ合金で形成されるか、アルミ合金より硬度の高いアルミナの粒子を用いると良い。これらの(2)の金属粒子3は、アルミ板材2と同じアルミから主体的に構成される材料であるため、異種金属を主体とする(1)の金属粒子3の場合に比べて製品であるアルミ複合板1の組成を大きく変化させることがない。それゆえ、上述した(1)の場合のように鉄などの異種金属がアルミ複合板1に含まれることで材料特性が損なわれることを嫌う場合などに特に好ましく用いられる。
このようなアルミ合金またはアルミナの金属粒子3は、金属粒子3がアルミ板材2に食い込んでアルミ板材2同士を物理的につなぎ止める物理的なアンカー作用を有しており、1回の圧延パスでもアルミ板材2同士が接合性良く接合させることができ、複数行われるパスのうち初期のパスからアルミ板材2同士の接合強度を飛躍的に高めることができる。
また、上述のようにして得られたアルミ複合板1の製品は、アルミ板材2が強い接合強度で接合されており、アルミ板材2の剥離を起こす心配がない。それゆえ、1パスあたり
の圧下量を大きくとることが可能となり、圧延効率(生産性)を向上させることも可能となる。
特に、このような金属粒子3はアルミ板材2の接合面6の強度を増加させアルミ板材2の変形を抑制するという作用も有する。このようにアルミ板材2の変形を抑制できれば、一般に圧下率を大きくすることができないアルミ板材2のように軟らかい材料の圧延接合においても圧下率を飛躍的に向上させることが可能となる。
上述したようなアルミ板材2同士の確実な接合効果が期待できる金属粒子3の平均粒径としては、アルミの場合は20〜300μmが好ましいことを本発明者らは知見している。これは、JIS Z8801に規定されるメッシュで#50〜#640程度のふるいを用いて粒度を調整したものである。金属粒子3の平均粒径を20μm以上とすることで、金属粉子の爆発や舞い上がりなどを抑制しつつ圧延接合することが可能になる。また、金属粒子3の平均粒径を300μm以下に抑えることで、製品であるアルミ複合板1の機械特性に悪影響が出にくくなる。
これらの金属粒子3は、接合面6の全表面積に対して5〜60%の面積を金属粒子3(の投影面)が占める程度に配設することで、アルミ板材2同士を接合性良く接合することを可能とする。金属粒子3の面積率を5%以上とすることでアルミ板材2同士の接合性を十分に向上させることが可能となる。また、金属粒子3の面積率を60%以下に抑えることで、接合面6において金属粒子3に覆われていない部分の面積率が大きくなり、金属粒子3に覆われていない部分でアルミ板材2同士を確実に接合させることが可能となる。
なお、アルミ板材2と同じアルミから成る金属粒子3(つまり、上述した(2)の金属粒子3)は、異種材料から成る鉄を含む金属粒子3(つまり、(1)の金属粒子3)よりもアルミ複合板1の機械特性に及ぼす影響が小さい。それゆえ、(2)の金属粒子3の面積率は(1)の金属粒子3より大きくできる。また、(2)の金属粒子3は、火災や粉塵爆発の危険が少ないため、(1)の金属粒子3より粒径を小さくもできる。
ところで、上述した金属粒子3は一方のアルミ板材2の接合面6上にただ載せられているだけであるため、例えばアルミ板材2を炉内に入れて加熱する場合はアルミ板材2を立てかけた状態にすることがあり、金属粒子3がアルミ板材2の上から滑り落ちてしまう虞がある。当然、金属粒子3が滑り落ちて脱落したものや金属粒子3の分布が偏ったものは、アルミ板材2同士の接合性が不十分になる可能性が高い。また、アルミ板材2の表面に生産ラインで風が当たった場合にも、接合面6に載せられているだけの金属粒子3であれば飛散してしまう虞がある。つまり、実際の製造ラインでの使用に耐えるためには、風に当たった程度やアルミ板材2を傾けた程度では金属粒子3が接合面6から脱落しないように接合面6に対して位置固定する何らかの固定手段7を設るのが好ましい。
このようにアルミ板材2の重ね合わせ面(接合面6)に対して金属粒子3を位置固定する固定手段7には、図2〜図4に示すような手段が考えられる。
図2に示すように、金属粒子3の平均粒径より薄く形成されたシート部材8を用いて金属粒子3を捕捉し、このシート部材8を捕捉した金属粒子3ごとアルミ板材2の間に配設することができる。
図2(a)に示す例は、シート部材8に6μm〜20μmの厚さを備えたアルミ箔またはアルミ合金箔が用いられており、このシート部材8は金属粒子3の平均粒径20μm〜300μmより薄く形成されている。図2(a)では、アルミ箔(アルミ合金箔)のシート部材8を水平方向に配置しておいて、シート部材8の上方から金属粒子3を散布する。
図2(b)に示すように、金属粒子3が上面に散布されたシート部材8を、互いに接合面6を対面させた上下一対のアルミ板材2の間に配備する。そして、図2(c)に示すように、上下一対のアルミ板材2の間にシート部材8を挟み込むようにして、重ね合わせる。
最後に、図2(d)に示すように、互いに重ね合わされたアルミ板材2及びシート部材8に所定の圧延荷重を加えると、金属粒子3を捕捉したシート部材8とアルミ板材2とが圧延接合されて、アルミ複合板1が接合される。
上述のようにシート部材8を用いて金属粒子3をアルミ板材2の重ね合わせ面(接合面
6)に対して位置固定すれば、シート部材8が金属粒子3の粒径より薄いため、小さい圧下量の場合でも金属粒子3をアルミ板材2の重ね合わせ面の双方に確実に接触させることが可能となり、金属粒子3による変形防止の効果を得ることが可能となる。
また、シート部材8にアルミ箔やアルミ合金箔を用いれば、シート部材8の材料組成とアルミ板材2の材料組成とが大きく相違することがないため、材料特性や機械的特性を大きく変更することなくアルミ複合板1を製造することが可能となる。
なお、上述した例はシート部材8にアルミ箔やアルミ合金箔を用いたものであったが、シート部材8に用いる材料はアルミ系の材料でなくても良いし、金属箔でなくても良い。例えば、加熱炉で焼失するのであれば、シート部材8に紙などを用いても良い。また、製造されたアルミ複合板1の材料特性や機械的特性が許容範囲内におさまるのであれば、アルミ以外の金属箔をシート部材8に用いることも可能である。
また、図3に示すように、金属粒子3をアルミ板材2の表面に押し付けて表面に埋め込むことにより、アルミ板材2の重ね合わせ面に対して金属粒子3を位置固定することもできる。
具体的には、図3(a)に示すように、まず接合しようとする2枚のアルミ板材2のうち、一方のアルミ板材2を接合面6を上方に向けて水平に寝かした状態にし、接合面6の上方から金属粒子3を振りかけるようにして散布する。
その次に、図3(b)に示すように、接合面6上に金属粒子3が散布(配設)されたアルミ板材2に対して、ローラを用いて散布された金属粒子3をアルミ板材2に押し付けるようにする。そうすると、金属粒子3が押し付けられてアルミ板材2の接合面6に埋め込まれる。
図3(c)に示すように、接合面6に金属粒子3が埋め込まれたアルミ板材2の上方から別のアルミ板材2を重ね合わせ、上下のアルミ板材2の間に金属粒子3が配設されるようにして圧延接合する。そうすると、図3(d)に示すようなアルミ複合板1を得ることができる。
上述のように金属粒子3をアルミ板材2の表面に押し付けてその表面に埋め込めば、他に部材を用いることなく簡便に金属粒子3をアルミ板材2に固定することが可能となる。
なお、上述した例では、ローラを用いて金属粒子3をアルミ板材2に埋め込むやり方を例示したが、例えばプレスなどを用いて金属粒子3をアルミ板材2に埋め込むこともできる。また、接合しようとするアルミ板材2のうち、一方のアルミ板材2が硬質、他方が軟質である場合は、アルミ板材2が柔らかすぎると金属粒子3が埋没して変形防止の効果が低下してしまう可能性があるため、金属粒子3を硬質なアルミ板材2に押し付けるのが好ましい。
さらに、図4に示すように、金属粒子3を、液状の金属粒子固定剤9と共に、互いに重ね合わせるアルミ板材2の間に配設することもできる。
具体的には、図4(a)に示すように、予め混練装置などを用いて金属粒子3が分散された液状の金属粒子固定剤9を用意する。この金属粒子固定剤9は、熱可塑性を備えた接着剤または粘着剤(疑似接着剤)であり、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂などを用いた合成接着剤、膠やデンプン糊のような天然接着剤などの有機系接着剤を用いることができる。また、この金属粒子固定剤9には、熱可塑性以外の接着剤を用いても良い。この金属粒子固定剤9は、内部に金属粒子3を分散させた状態でアルミ板材2の表面に塗布され、接合面6の上に金属粒子3を均等に配備可能となっている。
図4(b)に示すように、金属粒子3が液状の金属粒子固定剤9と一緒に上面に配備されたアルミ板材2は、その表面に金属粒子3が液状の金属粒子固定剤9を用いて固定されており、傾けたり風を当てた程度であれば金属粒子3が飛ぶことはない。
図4(c)に示すように、金属粒子3が液状の金属粒子固定剤9と一緒に塗布されたアルミ板材2の上方から別のアルミ板材2を近づけ、互いの接合面6を上下に対面させた状態でアルミ板材2同士を圧延接合する。そうすると、図4(d)に示すようなアルミ複合板1を得ることができる。
なお、上述した金属粒子固定剤9は、アルミ板材2の表面に塗布した際に、その塗布厚さが金属粒子3の平均粒径よりも薄くなるように塗布されるのが好ましい。また、金属粒子固定剤9は、アルミ板材2の表面に塗布された状態でその硬度が金属粒子3よりも柔らかくなるような接着剤も用いるのが好ましい。このようにすれば、金属粒子3がアルミ板材2の接合面6に接触しやすくなり、金属粒子3によるアンカーリング効果を高めることが可能になるからである。
上述のように金属粒子3を液状の金属粒子固定剤9と共にアルミ板材2の間に配設すれば、そのままではアルミ箔やアルミ板材2に固定しにくいような金属粒子3であってもアルミ板材2に確実に固定することが可能となる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
1 アルミ複合板
2 アルミ板材
3 金属粒子
4 金属粒子配設工程
5 圧延接合工程
6 接合面
7 固定手段
8 シート部材
9 金属粒子固定剤

Claims (5)

  1. 複数のアルミ板材を重ね合わせ、重ね合わせた複数のアルミ板材を所定の温度に保持しつつ圧延し、前記複数のアルミ板材が互いに接合された複合板を製造するアルミ複合板の製造方法であって、
    互いに重ね合わせるアルミ板材の間に、複数の金属粒子を予め配設しておき、圧延を行うものであって、
    前記複数の金属粒子は、前記アルミ板材の重ね合わせ面に対して位置固定状態となって、前記アルミ板材の間に配設されていて、
    前記金属粒子を捕捉すると共に当該金属粒子の平均粒径よりも薄く形成されたシート部材を、アルミ板材の間に配設することを特徴とするアルミ複合板の製造方法。
  2. 前記シート部材が、アルミまたはアルミ合金の箔であることを特徴とする請求項に記載のアルミ複合板の製造方法。
  3. 前記金属粒子をアルミ板材の表面に押し付けて当該表面に埋め込むことにより、当該金属粒子をアルミ板材の間に配設することを特徴とする請求項に記載のアルミ複合板の製造方法。
  4. 前記金属粒子を、液状の金属粒子固定剤と共に、互いに重ね合わせるアルミ板材の間に配設することを特徴とする請求項に記載のアルミ複合板の製造方法。
  5. 前記金属粒子が、鉄、アルミ、アルミ合金またはアルミナの粉末であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアルミ複合板の製造方法。
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