以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の光走査装置の一実施形態を備えた画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電器15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するためにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電器15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11により感光体ドラム13表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置25により中間転写ベルト21の残留トナーを除去及び回収した後、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間にはニップ域が形成されており、用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ31と加圧ローラ32間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
一方、記録用紙は、ピックアップローラ33により給紙トレイ18から引出されて、S字状の用紙搬送経路R1を通じて搬送され、2次転写装置26や定着装置17を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ39へと搬出される。この用紙搬送経路R1には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26a間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始する一組のレジストローラ34、記録用紙の搬送を促す複数組の搬送ローラ35、一組の排紙ローラ36等が配置されている。
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙を各排紙ローラ36から反転経路Rrへと逆方向に搬送して、記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙を各レジストローラ34へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を排紙トレイ39へと搬出する。
次に、本実施形態の光走査装置11の構成を、図2〜図4を用いて詳細に説明する。 図2及び図3は、図1の光走査装置11の筐体内部を上面及び側面から見て概略的に示す図であり、図3には感光体ドラム13も示されている。図4は、上蓋を外した状態での光走査装置11の要部を示す斜視図である。
光走査装置11は、4つの半導体レーザ101から出射された各光ビームBMをミラーやレンズ等の各光学素子により矢印方向に回転駆動されているポリゴンミラー102の各反射面へと導き、各光ビームBMをポリゴンミラー102の各反射面で反射して偏向させ、反射された各光ビームBMをミラーやレンズ等の各光学素子によりそれぞれの感光体ドラム13へと導き、各光ビームBMによりそれぞれの感光体ドラム13を走査するというものである。
半導体レーザ101からポリゴンミラー102までは、4つの半導体レーザ101からポリゴンミラー102へと向う順に、4つのコリメートレンズ103、4つの第1反射ミラー104、シリンドリカルレンズ105、及び第2反射ミラー106が配置されている。
各コリメートレンズ103は、各半導体レーザ101から出射されたそれぞれの光ビームBMを平行光に変換する。各第1反射ミラー104は、各コリメートレンズ103からのそれぞれの光ビームBMを反射して、シリンドリカルレンズ105に入射させる。シリンドリカルレンズ105は、副走査方向Xについて、各光ビームBMをポリゴンミラー102の反射面でほぼ収束するように集光し、副走査方向Xと直交する主走査方向Yについて、各光ビームBMをそのまま平行光として出射する。第2反射ミラー106は、シリンドリカルレンズ105からのそれぞれの光ビームBMを反射し、ポリゴンミラー102に入射させる。
次に、ポリゴンミラー102から感光体ドラム13までは、ポリゴンミラー102から感光体ドラム13へと向う順に、第1fθレンズ107、出射折り返しミラー108、及び第2fθレンズ109が配置されている。
第1fθレンズ107は、副走査方向Xについて、ポリゴンミラー102からの拡散光の各光ビームBMを平行光に変換し、主走査方向Yについて、ポリゴンミラー102からの平行光の各光ビームBMを感光体ドラム13の表面で所定のビーム径となるように集光して出射する。また、第1fθレンズ107は、ポリゴンミラー102の等角速度運動により主走査方向Yに等角速度で偏向されている光ビームBMを感光体ドラム13上の主走査線上で等線速度で移動するように変換する。
各出射折り返しミラー108は、第1fθレンズ107を通過したそれぞれの光ビームBMを反射し、第2fθレンズ109に入射させる。第2fθレンズ109は、副走査方向Xについて、平行光の各光ビームBMを感光体ドラム13上で所定のビーム径となるように集光し、主走査方向Yについて、第1fθレンズ107で収束光となった各光ビームBMをそのまま感光体ドラム13に入射させる。
このような光走査装置11においては、各光ビームBMが、ポリゴンミラー102の反射面で反射されて偏向され、それぞれの光路を通って各感光体ドラム13に入射し、各感光体ドラム13の表面を繰返し主走査する。その一方で、各感光体ドラム13が回転駆動されるので、各光ビームBMにより各感光体ドラム13の2次元表面(周面)が走査され、各感光体ドラム13の表面に静電潜像が形成される。
次に、第2fθレンズ109の取付け構造を詳しく説明する。図4に示すように光走査装置11の筐体110の第1及び第2側部111、112には、4本のレンズホルダー113が架け渡され、各レンズホルダー113にそれぞれの第2fθレンズ109が搭載されている。第1側部111で各レンズホルダー113の端部113aが副走査方向Xに移動され、各レンズホルダー113が第2側部112の各軸118を中心にして矢印方向Qに回転し、これに伴って各第2fθレンズ109が回転して、各第2fθレンズ109の副走査方向Xの傾斜角度が調節される。各第2fθレンズ109の傾斜角度の調節は、各感光体ドラム13表面上の走査線の傾き(スキュー)を解消するために行われるものであり、高精度の調節が必用とされる。
各第2fθレンズ109の傾斜角度を高精度で調節するには、第1側部111における各レンズホルダー113の端部113aの副走査方向Xの位置、つまり各第2fθレンズ109の一端109aの副走査方向Xの位置を高精度で設定せねばならず、このために各第2fθレンズ109の一端109aの周辺を図5〜図9に示すように構成している。
図5及び図6は、各第2fθレンズ109の一端109aの周辺構成を拡大して示す斜視図である。図5の周辺構成と図6の周辺構成とでは、ギアユニット121とレンズホルダー113の端部113aとの間にスペーサ114が介在するか否かという差異があるものの、ギアユニット121によりレンズホルダー113を変位させる点については一致する。スペーサ114は、ギアユニット121の設置スペースが限られて、ギアユニット121をレンズホルダー113の端部113aに近接配置することができないときに、ギアユニット121とレンズホルダー113の端部113aとの間に副走査方向Xに移動自在な状態で配置される。
図5及び図6に示すように第1側部111の支持板111aにはレンズホルダー113の端部113aが載せられ、レンズホルダー113に係止されたバネ部材115により第2fθレンズ109の一端109aが固定されている。また、レンズホルダー113の端部113aには孔113bが形成されており、この孔113bが第1側部111の支持板111aに突設された円筒状のボス(図示せず)に嵌め入れられている。孔113bの径がボスの外径よりも大きく、これらの径の差分の距離だけレンズホルダー113の端部113aを副走査方向Xに移動させることが可能である。
また、上記ボスに、キックバネ116及びキックバネ116の脱落を防止するためのワッシャー117が通され、更にビス111bがボスの雌ねじ孔ねじ込まれ、ワッシャー117とレンズホルダー113の上面との間にキックバネ116のコイルバネ部分が挟み込まれて圧縮され、このコイルバネ部分によりレンズホルダー113の端部113aが下方に押さえ込まれて、レンズホルダー113の端部113aが支持板111aから浮き上らないようにされている。
更に、キックバネ116の一端116bが壁板111cの内側を押圧し、キックバネ116の他端116aがレンズホルダー113の孔113bに係止され、キックバネ116によりレンズホルダー113の端部113aがギアユニット121の側に付勢されている。このキックバネ116の付勢力によりレンズホルダー113の端部113aがギアユニット121に接近する方向に移動し、レンズホルダー113の端部113aがギアユニット121のスクリューネジ122の先端122aに押圧されるか、あるいはレンズホルダー113の端部113aがスペーサ114を介してギアユニット121のスクリューネジ122の先端122aに押圧される。
図7(a)、(b)は、ギアユニット121を上方及び正面方向から見て模式的に示す断面図である。図7(a)、(b)に示すようにギアユニット121は、スクリューネジ122と、スクリューネジ122が貫通するクラウンギア123と、スクリューネジ122及びクラウンギア123を回転自在に支持する基部124と、クラウンギア123に歯合するピニオンギア125と、ピニオンギア125の軸125aの一端に固定されたノブ126とを備えている。
基部124は、第1側部111の支持板111aの上に固定されている。また、基部124は、対向する一対の側壁124a、124bを有しており、一方の側壁124aにはスクリューネジ122の雄ネジ122bに螺合する雌ねじ孔が形成され、他方の側壁124bにはクラウンギア123のシャフト123aを回転自在に支持する孔が形成されている。
スクリューネジ122の先端122aは、キックバネ116の付勢力によりレンズホルダー113の端部113aに押圧されるか、スペーサ114を介してレンズホルダー113の端部113aに押圧されている。また、スクリューネジ122の胴部には、側壁124aの雌ねじ孔に螺合する所定ピッチの雄ネジ122bと、断面形状がD字型の係合軸122cとが形成されている。更に、スクリューネジ122の頭部122dの端面には、プラスドライバーに嵌合する十字溝122e(図5、図6に示す)が形成されている。
クラウンギア123は、側壁124bとピニオンギア125の間に挟まれて、副走査方向Xの移動が禁止されている。また、クラウンギア123のシャフト123aの中心には断面形状がD字型の孔123bが形成され、この孔123bにスクリューネジ122の係合軸122cが挿入されている。クラウンギア123のシャフト123aの孔123bがD字型の断面状を有し、スクリューネジ122の係合軸122cが孔123bよりも僅かに小さなD字型の断面形状を有しており、クラウンギア123のシャフト123aの孔123bに対しては、スクリューネジ122の係合軸122cが副走査方向Xに移動自在にかつ回転不可の状態で通されている。従って、スクリューネジ122は、クラウンギア123と共に回転し、その雄ネジ122bが基部124の側壁124aの雌ねじ孔で回転して、スクリューネジ122そのものが副走査方向Xに移動する。
ピニオンギア125の軸125aは、第1側部111の壁板111cの孔111dに回転自在に通されて支持され、軸125aの一端にノブ126が固定されている。ノブ126の端面には、プラスドライバーに嵌合する十字溝126a(図5、図6に示す)が形成されている。
また、図8に示すように第1側部111の壁板111cの外側において、ピニオンギア125の軸125aが通る孔111dの周囲には凹部111eが形成され、この凹部111e内周には内周ギア111fが形成されている。この内周ギア111fの歯数は、ピニオンギア125の歯数と同一に設定されている。
また、図9に示すようにピニオンギア125の軸125aには、ラチェット127が固定されている。このラチェット127は、軸125a周りに延在する3つのアーム127aと各アーム127aの先端に形成された各爪127bとを有しており、各アーム127aの弾性力により各爪127bが内周ギア111fの歯に押圧されている。プラスドライバーをノブ126の端面の十字溝126aに嵌合させて、ノブ126を回転させると、ピニオンギア125及びラチェット127も回転して、ラチェット127の各爪127bが各アーム127aの弾性力に抗して内周ギア111fの歯を逐次乗り越えて行く。このラチェット127の各爪127bが内周ギア111fの歯を乗り越えるときのプラスドライバーに対する反動(キックバック)と音により、ラチェット127が内周ギア111fの1歯分(ピニオンギア125の1歯分)の回転角度だけ回転したことが認識され得るようになっている。
このような構成のギアユニット121において、プラスドライバーをノブ126の端面の十字溝126aに嵌合させて、ノブ126(ピニオンギア125)を一方向に回転させ、図7(b)に示すようにクラウンギア123を時計回り方向に回転させると、スクリューネジ122の雄ネジ122bが基部124の側壁124aの雌ねじ孔で時計回り方向に回転して、図7(a)に示すようにスクリューネジ122がレンズホルダー113の端部113aに近づく方向に移動し、スクリューネジ122の先端がキックバネ116の付勢力に抗してレンズホルダー113の端部113a(又はスペーサ114と端部113a)を押して変位させる。
また、プラスドライバーをノブ126の端面の十字溝126aに嵌合させて、ノブ126(ピニオンギア125)を他方向に回転させ、図7(b)に示すようにクラウンギア123を反時計回り方向に回転させると、スクリューネジ122の雄ネジ122bが基部124の側壁124aの雌ねじ孔で反時計回り方向に回転して、図7(a)に示すようにスクリューネジ122がレンズホルダー113の端部113aから離れる方向に移動し、キックバネ116の付勢力によりレンズホルダー113の端部113a(又はスペーサ114と端部113a)がスクリューネジ122の先端に追従して移動する。
従って、ノブ126を往復回転させると、レンズホルダー113の端部113aが副走査方向Xに往復移動する。そして、レンズホルダー113が第2側部112の軸118を中心にして回転自在に支持されていることから、レンズホルダー113の端部113aの移動に伴って第2fθレンズ109が軸118を中心にして往復回転して、第2fθレンズ109の副走査方向Xの傾斜角度が調節される。
また、ラチェット127の各爪127bが内周ギア111fの歯を乗り越えるときのプラスドライバーに対する反動と音の繰り返し回数、ピニオンギア125の回転角度、クラウンギア123の回転角度、スクリューネジ122の回転角度、及び第2fθレンズ109の一端109aの変位量(第2fθレンズ109の傾斜角度)が全て対応していることから、プラスドライバーに対する反動と音の繰り返し回数に基づき、第2fθレンズ109の一端109aの変位量(第2fθレンズ109の傾斜角度)を調節設定することができる。
ここで、中間転写ベルト21の表面において、図15(a)に示すように各感光体ドラム13表面から転写された互いに異なる各色のドット(ピクセル)D1、D2が完全に重なれば、色ずれが生じない。また、図15(b)〜(e)に示すように互いに異なる各色のドットD1、D2がずれると、色ずれが生じ、図15(e)に示すように互いに異なる各色のドットD1、D2が完全にずれると、カラー画像の品質が明らかに低下する。ただし、図15(c)に示すように互いに異なる各色のドットD1、D2のずれ量が解像度(ドットピッチS)の半分(ドットハーフ(S/2))であれば、カラー画像の色ずれを認識し難いことが経験的に分かっており、カラー画像の品質低下を許容レベルに収めることができる。従って、互いに異なる各色のドットD1、D2のずれ量がドットハーフ以下であれば、カラー画像の好ましい品質が維持される。
本実施形態では、例えば副走査方向Xのドット密度が1200dpiとなっている。この場合は、レーザ光による感光体ドラム13上の解像度(ドットピッチS)が21μmとなり、解像度の半分(ドットハーフ(S/2))が10.5μmとなるので、感光体ドラム13上の主走査線の位置(ドットの位置)を10.5μm以下の精度で調節設定することができなければ、カラー画像の品質が低下する。このため、ピニオンギア125の歯数を15とし、クラウンギア123の歯数を52とし、スクリューネジ122のネジピッチを0.5mmとしている。この条件では、プラスドライバーに対する反動(キックバック)と音が15回繰返されると、ピニオンギア125が1回転し(360°回転し)、クラウンギア123が1歯分だけ回転し((360/52)°だけ回転し)、スクリューネジ122が9.6μm(=(0.5/52)mm)だけ副走査方向Xに移動し、第2fθレンズ109の一端109aが9.6μmだけ副走査方向Xに移動し、副走査方向Xの移動距離9.6μmに対応する角度だけ第2fθレンズ109の傾斜角度が変化し、感光体ドラム13上の主走査線が最大で9.6μm(ドットハーフ以下)移動する。
すなわち、ピニオンギア125の1回転に対応する感光体ドラム13上の主走査線の移動距離が最大で9.6μm(ドットハーフ以下)となる。従って、主走査線の位置(ドットの位置)をドットハーフ以下の高精度で調節設定し得ることは明らかであり、画像品質が低下することはない。
一方、本実施形態では、ギアの設計製作や設計変更等が容易であり、光走査装置11の設計の自由度が高くなるため、三角形状及び/又は台形形状の歯を有するピニオンギア125及びクラウンギア123を採用している。ただし、このような三角形状及び/又は台形形状の歯のギアのバックラッシが高いため、このバックラッシが第2fθレンズ109の位置精度の低下の大きな原因となって、画像品質が大きく低下する可能性がある。
ところが、先に述べたようにクラウンギア123が1歯分だけ回転したときに、第2fθレンズ109の一端109aが9.6μmだけ副走査方向Xに移動するように設定しているので、ピニオンギア125とクラウンギア123間のバックラッシが画像品質の低下の原因になることはない。これは、クラウンギア123の歯の1ピッチよりもバックラッシが充分に小さいため、バックラッシが10.5μm(ドットハーフ)よりも充分に小さな走査線変位量に対応するからである。
尚、感光体ドラム13上の主走査線の位置をドットハーフ以下で調節すれば、画像品質を維持することができるため、クラウンギア123が1歯分だけ回転したときに、第2fθレンズ109の一端109aが副走査方向Xに最大で10.5μm移動するようにクラウンギア123の歯数を低減しても構わない。また、副走査方向Xのドット密度が2400dpiの場合は、ドットピッチSが10.5μmとなり、ドットハーフ(S/2)が5.2μmとなるので、例えばクラウンギア123の歯数を104として、クラウンギア123が1歯分だけ回転したときに((360/104)°だけ回転したときに)、第2fθレンズ109の一端109aが副走査方向Xに最大で4.8μm(=(0.5/104)mm)移動するようにすればよい。あるいは、副走査方向Xのドット密度が600dpiの場合は、ドットピッチSが42μmとなり、ドットハーフ(S/2)が21μmとなるので、例えばクラウンギア123の歯数を26として、クラウンギア123が1歯分だけ回転したときに((360/26)°だけ回転したときに)、第2fθレンズ109の一端109aが副走査方向Xに最大で19.2μm(=(0.5/26)mm)移動するようにすればよい。
また、スクリューネジ122の先端122aは、キックバネ116の付勢力によりレンズホルダー113の端部113aに押圧されるか、あるいはスペーサ114を介してレンズホルダー113の端部113aに押圧されているので、スクリューネジ122と基部124の雌ねじ孔との間にガタが生じず、またスクリューネジ122の先端122aとレンズホルダー113の端部113a(又はスペーサ114)との間にもガタが生じず、これによっても主走査線の位置をドットハーフ以下の高精度で調節設定することが可能になっている。
更に、ピニオンギア125の軸125aとクラウンギア123のシャフト123aとが直交することから、ピニオンギア125によりクラウンギア123の自由回転が抑えられ、また軸125aに固定されたラチェット127と内周ギア111fとの噛み合いによってもピニオンギア125の自由回転が抑えられるので、スクリューネジ122が自由回転することはなく、第2fθレンズ109の傾斜角度が自ずと変化することもない。
次に、感光体ドラム13上の主走査線の傾斜角度の検出から調節までの手順を説明する。まず、光走査装置11により、各感光体ドラム13別に(各色別に)、一対のテストパターンの静電潜像を感光体ドラム13の両端部に形成し、現像装置12により感光体ドラム13の両端部の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の両端部に各テストパターンを形成し、各感光体ドラム13の両端部の各テストパターンを中間転写ベルト21の両端部に転写して形成する。
ここで、図10(a)〜(c)は、光ビームBMにより走査された感光体ドラム13上の主走査線が傾いていない状態と傾いた状態とを示している。図10(a)に示すように光ビームBMにより走査された感光体ドラム13上の主走査線が傾いていない状態では、感光体ドラム13手前側の主走査線のX方向位置x1と感光体ドラム13奥側の主走査線のX方向位置x2とが一致する。また、図10(b)、(c)に示すように光ビームBMにより走査された感光体ドラム13上の主走査線が傾いている状態では、感光体ドラム13手前側の主走査線のX方向位置x1と感光体ドラム13奥側の主走査線のX方向位置x2とがずれる。
感光体ドラム13の両端部の各テストパターンが中間転写ベルト21にそのまま転写されるので、感光体ドラム13上の主走査線の位置x1、x2がずれていれば、中間転写ベルト21の両端部の各テストパターンもずれることになる。
図11は、各色(YMCK)別に、中間転写ベルト21の両端部に転写された一対のテストパターンP1、P2等を模式的に示している。中間転写ベルト21の両端部近傍には、各テストパターンP1、P2を検出するそれぞれのレジストセンサ131が設けられている。各レジストセンサ131は、各色別に、中間転写ベルト21の周回移動に伴い副走査方向Xに搬送される各テストパターンP1、P2をそれぞれ検出し、それぞれの検出出力を逐次出力する。各レジストセンサ131による各テストパターンP1、P2の検出タイミングが、感光体ドラム13上の主走査線の位置x1、x2に対応する。
図12は、各レジストセンサ131の検出出力に基づき感光体ドラム13上の主走査線の位置x1、x2のずれや傾斜角度等を求めて、第2fθレンズ109の傾斜角度の調節作業を支援するための制御系を示すブロック図である。
図12において、制御部132は、各色別に、各レジストセンサ131の検出出力を入力し、各テストパターンP1、P2の検出タイミングと中間転写ベルト21の周回移動速度に基づき、各テストパターンの副走査方向Xの記録位置を求め、各テストパターンP1、P2のX方向のずれを求める。このX方向のずれは、図10(b)、(c)における主走査線のX方向位置x1とX方向位置x2とのずれに相当する。そして、制御部132は、図11に示すように各テストパターンP1、P2のX方向のずれ量をhとし、各テストパターンP1、P2の離間距離(既知)をiとすると、ずれ量h及び離間距離iに基づき感光体ドラム13上の主走査線の傾斜角度αを求める。これにより、各感光体ドラム13別に(各色別に)、主走査線の傾斜角度αが求められる。
この後、制御部132は、各感光体ドラム13別に、主走査線の傾斜角度αが0となるようなXY平面における第2fθレンズ109の目標傾斜角度を求め、更に主走査線の傾斜角度αと目標傾斜角度の差分に対応するノブ126(ピニオンギア125)の回転方向と回転角度(プラスドライバーに対する反動と音の繰り返し回数)を求めて、ノブ126(ピニオンギア125)の回転方向と回転角度(プラスドライバーに対する反動と音の繰り返し回数)を表示部134に表示する。
作業者は、表示部134の表示内容に従って、ノブ126(ピニオンギア125)を回転させ、第2fθレンズ109の傾斜角度αを目標角度に調節設定する。これにより、各感光体ドラム13別に、感光体ドラム13上の主走査線の傾きが補正される。
このように中間転写ベルト21の両端部に各テストパターンを形成し、各テストパターンをそれぞれのレジストセンサ131で検出して、各レジストセンサ131による各テストパターンの検出タイミングに基づき感光体ドラム13上の主走査線の傾斜角度を求め、この傾斜角度を補正するためのノブ126の回転方向と回転角度を求めて表示しているので、感光体ドラム13上の主走査線の傾きを容易に補正することができる。
次に、ギアユニット121の変形例を説明する。図13(a)、(b)は、ギアユニット121の変形例を側方及び正面方向から見て模式的に示す断面図である。尚、図13(a)、(b)において、図7(a)、(b)と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
図13(a)、(b)に示すようにギアユニット121では、ステッピングモータ141を第1側部111の支持板111aの下面に固定し、ステッピングモータ141の出力軸を支持板111aの孔111gを通じてピニオンギア125に接続固定し、ピニオンギア125をクラウンギア123に歯合させている。また、図7(a)、(b)に示すノブ126、ラチェット127、及び内周ギア111fを省略している。
図14は、各レジストセンサ131の検出出力に基づきステッピングモータ141を制御して、感光体ドラム13上の主走査線の傾きを補正するための制御系を示すブロック図である。
ここでは、先に述べたように光走査装置11により、各感光体ドラム13別に(各色別に)、一対のテストパターンの静電潜像を感光体ドラム13の両端部に形成し、現像装置12により感光体ドラム13の両端部の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の両端部に各テストパターンを形成し、各感光体ドラム13の両端部の各テストパターンを中間転写ベルト21の両端部に転写して、各色(YMCK)別に、中間転写ベルト21の両端部に一対のテストパターンP1、P2を形成する。そして、各レジストセンサ131は、各色別に、中間転写ベルト21の周回移動に伴い副走査方向Xに搬送される各テストパターンP1、P2をそれぞれ検出し、それぞれの検出出力を逐次出力する。
制御部132は、各色別に、各レジストセンサ131の検出出力を入力し、各テストパターンP1、P2の検出タイミングと中間転写ベルト21の周回移動速度に基づき、各テストパターンの副走査方向Xの記録位置を求め、各テストパターンP1、P2のX方向のずれを求める。そして、制御部132は、図11に示すように各テストパターンP1、P2のX方向のずれ量をhとし、各テストパターンP1、P2の離間距離(既知)をiとすると、ずれ量h及び離間距離iに基づき感光体ドラム13上の主走査線の傾斜角度αを求める。これにより、各感光体ドラム13別に(各色別に)、主走査線の傾斜角度αが求められる。
この後、制御部132は、各感光体ドラム13別に、主走査線の傾斜角度αが0となるようなXY平面における第2fθレンズ109の目標角度を求め、更に主走査線の傾斜角度αと目標傾斜角度の差分に対応するピニオンギア125の回転方向と回転角度を求めて、ステッピングモータ141をその回転方向にその回転角度だけ回転させる。これにより、各感光体ドラム13別に、感光体ドラム13上の主走査線の傾きが補正される。
尚、上記実施形態及び変形例では、ギアユニット121のスクリューネジ122によりレンズホルダー113の端部113aに押圧しているが、クラウンギア123と同軸の偏芯カムを設け、この偏芯カムによりレンズホルダー113の端部113aに押圧してもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。