JP5860280B2 - スラグ溶融装置及びこれを備えるガス化溶融設備 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば都市ごみ、産業廃棄物などの固体可燃物をガス化炉でガス化(部分燃焼)し、生成した未燃チャー(未燃炭素分)及び灰分を含む熱分解ガスを溶融炉に導入し、空気を供給して熱分解ガスの燃焼熱により灰分を高温で溶融させて、スラグと燃焼ガスに分離するスラグ溶融装置及びこれを備えるガス化溶融設備に関する。
従来のガス化溶融設備の一例として図4に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。このガス化溶融設備1は、図示しないシャフト炉式ガス化溶融炉と、これに連接した二次燃焼炉3を備えている。この二次燃焼炉3の内壁面に付着した溶融スラグ2は、排出シュート4内壁面を流下して、水封槽5の水面に達し、凝固して内壁面から分離するようになっている。
ただし、二次燃焼炉3の内壁面に多くの溶融スラグ2が付着すると、出滓口6付近に大きなスラグ塊2が形成され、このスラグ塊2により、出滓口6が閉塞されることがある。
このような場合、出滓口6付近に設けられた供給口7から融点降下剤を出滓口6内に供給して、スラグ塊2(固着スラグ)の出滓口6内面に密着する根元部分に供給する。これによって、固着スラグ2の根元部分の融点を低下させることができ、この固着スラグ2を自重で落下させることができる。このようにして、出滓口6を閉塞させる固着スラグ2を除去することができる。
特開2007−85561号公報
しかし、図4に示す融点降下剤供給方法では、この出滓口6の内面に付着した固着スラグ2の温度が1000℃程度以下に低下すると、融点降下剤と固着スラグ2との反応が困難となり、固着スラグ2の融点を低下させることができず、その結果、出滓口6に固着するスラグ2を除去することができないことがある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、出滓口に固着するスラグを確実、かつ、迅速に溶融除去して、出滓口が固着スラグによって閉塞されることを防止できるスラグ溶融装置及びこれを備えるガス化溶融設備を提供することを目的としている。
本発明に係るスラグ溶融装置は、ガス化炉で生成された未燃ガスを燃焼し、それに含まれる灰分を溶融して溶融スラグを生成し、この生成した溶融スラグを出滓口から排出するようにした溶融炉と、前記溶融炉に設けられ前記出滓口に接続するスラグ排出シュートと、前記スラグ排出シュート側から噴射する火炎によって、前記出滓口に固着するスラグを加熱して溶融除去するためのスラグバーナとを備えるスラグ溶融装置において、前記スラグ排出シュート側からスラグの融点を低下させるための塩基度調整剤を、前記スラグバーナが火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に供給することができる調整剤供給装置を備えることを特徴とするものである。
この発明に係るスラグ溶融装置によると、ガス化炉で生成された未燃ガスを溶融炉で燃焼し、それに含まれる灰分を溶融することができ、この溶融炉で生成された溶融スラグを出滓口及びスラグ排出シュートを経由してこのスラグ溶融装置から排出することができる。
そして、スラグバーナは、スラグ排出シュート側から噴射する火炎によって、出滓口に固着するスラグを加熱して溶融除去することができ、出滓口が固着スラグによって閉塞されることを防止できる。
また、出滓口に固着するスラグの塩基度が適正範囲外となって、スラグの融点が高くなっていると、スラグバーナから噴射される火炎によって、その固着スラグを溶融させることができない場合があるが、このようなときは、調整剤供給装置によって、スラグ排出シュート側からスラグの融点を低下させるための塩基度調整剤を、スラグバーナが火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に供給して、固着スラグに付着させることができる。すなわち、スラグバーナが噴射した火炎が当たっている位置の固着スラグに塩基度調整剤を付着させることができる。これによって、固着スラグと塩基度調整剤の反応が容易になり、出滓口に固着したスラグの塩基度を適正範囲内にして、スラグの融点を低下させることができる。
つまり、塩基度調整剤を、スラグバーナが火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に供給することによって、火炎で予熱された塩基度調整剤を、同様に火炎で加熱された固着スラグに供給することができる。これによって、塩基度調整剤を固着スラグに効果的に付着させることができ、固着スラグの塩基度を適正範囲内にして、スラグの融点を低下させることができる。その結果、出滓口に固着したスラグをスラグバーナの火炎によって溶融除去することができ、出滓口が固着スラグによって閉塞されることを防止できる。
この発明に係るスラグ溶融装置において、前記調整剤供給装置は、塩基度調整剤を前記スラグバーナから噴射される火炎に巻き込まれるようにして供給するものとするとよい。
このようにすると、塩基度調整剤を、スラグバーナが噴射する火炎によって確実に予熱することができ、この予熱された塩基度調整剤は、出滓口に固着したスラグに反応し易くなるので、固着スラグの塩基度を確実、かつ、迅速に適正範囲内にして、スラグの融点を低下させることができる。これによって、スラグバーナが噴射する火炎によって、出滓口に固着したスラグを効率よく溶融除去することができる。
この発明に係るスラグ溶融装置において、前記調整剤供給装置は、塩基度調整剤を、調整剤供給ライン、又は前記スラグバーナに接続する燃焼用酸素供給ライン若しくは燃料供給ラインに通して供給するものとするとよい。
塩基度調整剤を、調整剤供給ラインに通して供給するようにすると、塩基度調整剤の供給量の調整を簡単に行うことができる。そして、塩基度調整剤を、スラグバーナに接続する燃焼用酸素供給ライン又は燃料供給ラインに通して供給するようにすると、塩基度調整剤をスラグバーナから噴射される火炎に確実に巻き込ませることができる。これによって、塩基度調整剤を火炎で確実に予熱することができ、しかも、この予熱された塩基度調整剤を火炎で加熱された固着スラグに確実に付着させることができる。よって、塩基度調整剤を効果的に固着スラグに付着させて、固着スラグを溶融除去することができる。
この発明に係るスラグ溶融装置において、前記調整剤供給装置は、前記出滓口に固着するスラグに供給された塩基度調整剤と当該スラグとの反応性に応じて、粒径が異なる複数種類の塩基度調整剤のうちから所望の粒径の塩基度調整剤を供給するものとするとよい。
このようにすると、固着スラグに対して反応性の良い適切な粒径の塩基度調整剤を選択して、当該固着スラグに供給することができ、固着スラグの塩基度を迅速、確実に適正範囲内にすることができる。これによって、固着スラグの溶融除去を迅速、確実に行うことができる。
この発明に係るスラグ溶融装置において、前記調整剤供給装置は、前記出滓口に固着するスラグの塩基度が0.3〜1.0の範囲内になるように塩基度調整剤を供給するものとするとよい。
スラグの融点は、その塩基度が0.3〜1.0の範囲内になると、それ以外の塩基度の場合と比較して低くなる。従って、出滓口に固着するスラグの塩基度が0.3〜1.0の範囲内になるように、調整剤供給装置が、塩基度調整剤を固着スラグに供給することによって、当該固着スラグの融点を適切に低下させることができ、この固着スラグをバーナから噴射される火炎によって確実に溶融除去することができる。
本発明に係るガス化溶融設備は、この発明に係るスラグ溶融装置を備えることを特徴とするものである。
本発明に係るガス化溶融設備は、この発明のスラグ溶融装置を備えており、このスラグ溶融装置は、上記と同様に作用する。
この発明に係るスラグ溶融装置及びガス化溶融設備によると、スラグ排出シュート側からスラグの融点を低下させるための塩基度調整剤を、スラグバーナがスラグ排出シュート側から火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向であって出滓口に固着するスラグに向かう方向に供給することができる構成としたので、塩基度が適正範囲外となって融点の高くなったスラグが出滓口に固着した場合でも、スラグの融点を低下させてスラグを確実、かつ、迅速に溶融除去することができる。その結果、スラグバーナで使用される燃料、及び塩基度調整剤の使用量の低減を図ることができる。
この発明の一実施形態に係るガス化溶融設備を示す部分断面正面図である。 図1に示すガス化溶融設備が備えているスラグ溶融装置を示す部分拡大正面図である。 スラグの塩基度と、スラグの融点との関係を示す図である。 従来のガス化溶融設備の一部を示す部分断面正面図である。
以下、本発明に係るガス化溶融設備の一実施形態を、図1〜図3を参照して説明する。このガス化溶融設備16は、図1に示すように、ガス化炉17、旋回溶融炉18、スラグ排出シュート19、スラグバーナ20、水封槽21、及び調整剤供給装置22を備えている。この旋回溶融炉18、スラグ排出シュート19、スラグバーナ20、及び調整剤供給装置22が、スラグ溶融装置23を構成している。
図1に示すガス化炉17は、例えば流動床式ガス化炉であるが、他の型式のガス化炉であってもよい。このガス化炉17は、炉下部の空気供給口(図示せず)から供給される燃焼用空気により流動床が形成され、流動床内に供給された固体可燃物(例えば都市ごみ、産業廃棄物等)を低空気比で部分燃焼させ、この燃焼熱により所定の温度(例えば500〜600℃)に維持される流動床内で固体可燃物を熱分解ガス化する装置である。
ガス化炉17における部分燃焼の結果、固体可燃物に混入した不燃物(鉄、アルミニウムなどの金属を主として含有する物質)は、炉底に設けた下側排出口から排出装置24によって排出される。そして、ガス化炉17で生成される熱分解ガス(CO、CH4等)、未燃チャー(未燃炭素)、灰分及び燃焼生成ガス(H2O、CO2、N2等)は、炉頂部に設けた上側排出口17aから排出され、接続ダクト25を経て旋回溶融炉18の予燃焼部26に導入される。旋回溶融炉18は、予燃焼部26と、略円筒形の入口側主燃焼部27と出口側主燃焼部28とを備えている。以下、旋回溶融炉18に導入されるこれら熱分解ガス、未燃チャー、灰分、及び燃焼生成ガスを総称して未燃ガスと呼ぶ。
予燃焼部26においては、未燃ガス中の熱分解ガス(CO、CH4等)、未燃チャー、及び必要に応じて補助バーナ29から供給される燃料が、空気供給口(図示せず)から供給される燃焼用空気によって燃焼して高温となり、予燃焼部26の出口で灰分が溶融し、スラグとなる。予燃焼部26において燃焼した未燃ガスは、溶融状態の灰分(スラグ)と共に、入口側主燃焼部27に導入される。入口側主燃焼部27でスラグ2は、燃焼ガス9と分離する。
この入口側主燃焼部27と出口側主燃焼部28内の温度は熱分解ガスと未燃チャーが燃焼することにより例えば約1300〜1500℃に維持されているので、未燃ガス中の灰分は溶融スラグ状態を維持し、基本的には炉底の出滓口31から排出される。旋回溶融炉18から排出された溶融スラグ2は、水封槽21内の水封水32に落下して急冷されて水砕スラグとなり、コンベヤ等の搬送手段(図示せず)によって取り出される。取り出された水砕スラグは路盤材等に有効利用することができる。
そして、旋回溶融炉18へ導入された未燃ガスは、予燃焼部26、入口側主燃焼部27、及び出口側主燃焼部28において燃焼した後、出口側主燃焼部28から二次燃焼室33に送り込まれる。二次燃焼室33では、空気供給口(図示せず)から供給される燃焼用空気によりトータルの空気比が1.2〜1.5となるように設定されており、燃焼ガスに含まれる未燃分はここで完全に燃焼される。この二次燃焼室33から排出される排ガスの保有する顕熱は図示しないボイラーの熱源等として有効利用されている。
次に、図2を参照して、スラグ溶融装置23を構成する出滓口31、スラグ排出シュート19、スラグバーナ20、水封槽21、及び調整剤供給装置22を説明する。
出滓口31は、スラグ2を旋回溶融炉18から排出するためのものであり、図2に示すように、略V字を形成する入口側主燃焼部27と出口側主燃焼部28の底部が交わる部分に設けられている。
スラグ排出シュート19は、略鉛直方向に配置され、その上端部が、旋回溶融炉18の底部に形成された出滓口31を囲むように旋回溶融炉18の底部に結合して設けられている。そして、その下端部が、水封槽21に充填されている水封水32に浸かるように配置されて水封されている。
スラグバーナ20は、スラグ排出シュート19側から噴射する火炎によって、出滓口31に固着したスラグ2を加熱することによって、この固着スラグ2を溶融除去することにより、出滓口31が固着スラグ2により閉塞することを防止するためのものである。このスラグバーナ20は、スラグ排出シュート19の上部に設けられている。
そして、このスラグバーナ20には、燃料供給ライン34及び燃焼用酸素供給ライン35が接続しており、これら各ライン34、35を通じて燃料及び燃焼用酸素がスラグバーナ20に供給される構成となっている。そして、これら各燃料供給ライン34及び燃焼用酸素供給ライン35には、電動式(又は手動式)の第1及び第2の各開閉弁36、37が設けられている。
水封槽21は、この出滓口31から排出されて落下してくる溶融スラグ2を水封水32で急令して水砕スラグとなるようにして、この水砕スラグをコンベヤ等の搬送手段(図示せず)によって取り出すことができるようになっている。そして、スラグ排出シュート19の下端部が、水封槽21に充填されている水封水32に浸かるように配置されることにより水封されている。
調整剤供給装置22は、図2に示すスラグ排出シュート19側からスラグ2の融点を低下させるための第1及び第2の各塩基度調整剤(粉粒状体)41、42を、スラグバーナ20が火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に供給することができるものである。
ここで、スラグバーナ20がスラグ排出シュート19側から火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を調整剤供給装置22が供給する方法は、例えば第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を噴射するタイミング及び噴射時間を、スラグバーナ20が火炎を噴射するタイミング及び噴射時間に対して略一致するようにしてもよいし、スラグバーナ20が火炎を噴射して、固着スラグ2をある程度加熱した後で、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を噴射するようにしてもよい。
この調整剤供給装置22は、図2に示すように、例えば2種類の第1及び第2塩基度調整剤41、42のうちから所望の塩基度調整剤41、42を調整剤用ノズル43から噴射することができるものである。そして、この調整剤用ノズル43には、調整剤供給ライン44が接続しており、この調整剤供給ライン44を通じて、所望の第1又は第2塩基度調整剤41、42を調整剤用ノズル43から噴射することができるようになっている。この調整剤供給ライン44には、電動式(又は手動式)の第3開閉弁38が設けられている。
また、この調整剤供給ライン44には、第1塩基度調整剤41が貯留されている第1調整剤容器45、及び第2塩基度調整剤42が貯留されている第2調整剤容器46が接続している。つまり、2つの第1及び第2の各調整剤容器45、46のそれぞれの底部が、例えば電動式(又は手動式)の第4及び第5の各開閉弁39、40を介して調整剤供給ライン44に接続している。更に、調整剤供給ライン44における第1及び第2の各調整剤容器45、46との接続部47、48よりも上流側部と、これら2つの第1及び第2の各調整剤容器45、46の天井部とが、圧力供給ライン49で接続されている。そして、この調整剤供給ライン44は、その上流側から圧縮空気が供給される構成となっている。
更に、第1調整剤容器45には、第1塩基度調整剤41が貯留され、第2調整剤容器46には、第2塩基度調整剤42が貯留されている。この第1塩基度調整剤41は、固着スラグ2に供給されたときに、この固着スラグ2と反応して固着スラグ2の塩基度を高める作用をするものであり、例えばCa(OH)若しくはCaCOの粉状体又は粒状体である。そして、第2塩基度調整剤42は、固着スラグ2に供給されたときに、この固着スラグ2と反応して固着スラグ2の塩基度を低下させる作用をするものであり、例えばSiOの粉状体又は粒状体である。
次に、図2に示す調整剤供給装置22の作用を説明する。この調整剤供給装置22によると、第1塩基度調整剤41(又は第2塩基度調整剤42)を調整剤用ノズル43から噴射させるときは、まず、第3開閉弁38を開放する。これによって、調整剤供給ライン44の上流側から供給される圧縮空気が第1及び第2の各調整剤容器45、46に供給される。次に、第4開閉弁39(又は第5開閉弁40)を開放する。すると、第1調整剤容器45(又は第2調整剤容器46)内に貯留されている第1塩基度調整剤41(又は第2塩基度調整剤42)が、この第4開閉弁39(又は第5開閉弁40)及び調整剤供給ライン44を通って調整剤用ノズル43から噴射する。
ただし、第1又は第2調整剤容器45又は46内に貯留されている第1又は第2塩基度調整剤41又は42が、調整剤供給ライン44内に効率よく導かれるようにするために、例えば第4及び第5開閉弁39、40の各出口と、調整剤供給ライン44との接続部47、48にエゼクタ(図示せず)を設けてもよい。このエゼクタにより、各調整剤容器45、46内に貯留されている各塩基度調整剤41、42を吸引して、調整剤用ノズル43に効率よく搬送することができる。
次に、図2に示すスラグバーナ20及び調整剤用ノズル43の取付け方法について説明する。スラグバーナ20は、出滓口31に固着するスラグ2に火炎を噴射してそのスラグ2を加熱することができる方向に向けて、スラグ排出シュート19に取り付けられている。
そして、調整剤用ノズル43は、例えばスラグバーナ20に接近させてその側方に配置され、スラグバーナ20から噴射された火炎によって加熱される固着スラグ2に所望の第1又は第2塩基度調整剤41、42を供給することができる方向に向けて、スラグ排出シュート19に取り付けられている。更に、この実施形態では、調整剤用ノズル43及びスラグバーナ20は、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42をスラグバーナ20から噴射される火炎に巻き込まれるようにして固着スラグ2に供給することができるように、それぞれの向きが設定されている。
このように調整剤用ノズル43及びスラグバーナ20を設けると、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を、スラグバーナ20が噴射する火炎によって確実に予熱することができ、この予熱された第1及び第2の各塩基度調整剤41、42は、出滓口31に固着したスラグ2に付着し易くなるので、固着スラグ2の塩基度を確実、かつ、迅速に適正範囲内にして、スラグ2の融点を低下させることができる。これによって、スラグバーナ20が噴射する火炎によって、出滓口31に固着したスラグ2を効率よく溶融除去することができる。
次に図3について説明する。この図3は、スラグ2の塩基度とスラグ2の融点との関係を示す図である。この図から分かるように、スラグ2の塩基度が0.3〜1.0の範囲では、スラグ2の融点が低く、スラグ2の塩基度が0.3よりも小さくなるに従ってスラグ2の融点が高くなる。そして、スラグ2の塩基度が1.0よりも大きくなるに従ってスラグ2の融点が高くなる。
従って、この実施形態の調整剤供給装置22は、出滓口31に固着するスラグ2の塩基度が0.3〜1.0の適正範囲(スラグ2の融点が低い範囲)内になるように、第1又は第2塩基度調整剤41、42を固着スラグ2に供給することによって、当該固着スラグ2の融点を適切に低下させることができ、この固着スラグ2をスラグバーナ20から噴射される火炎によって確実に溶融除去することができる。
次に、上記のように構成された旋回溶融炉18、スラグ排出シュート19、スラグバーナ20、水封槽21、及び調整剤供給装置22を備えるスラグ溶融装置23の作用を説明する。
図2に示すスラグ溶融装置23によると、ガス化炉17で生成された生成物(未燃ガス及びその中の灰分)を旋回溶融炉18で溶融燃焼することができ、この旋回溶融炉18で生成された溶融スラグ2を出滓口31及びスラグ排出シュート19に通して水封槽21に供給して冷却し、この旋回溶融炉18から排出することができる。
そして、スラグバーナ20は、スラグ排出シュート19側から噴射する火炎によって、出滓口31に固着するスラグ2を加熱して溶融除去することができ、出滓口31が固着スラグ2によって閉塞されることを防止できる。
また、出滓口31に固着するスラグ2の塩基度が適正範囲外(スラグ2の塩基度の適正範囲(スラグ2の融点が低い塩基度の範囲)である0.3〜1.0以外の範囲)となって、スラグ2の融点が高くなっていると、スラグバーナ20から噴射される火炎によって、その固着スラグ2を溶融させることができない場合があるが、このようなときは、調整剤供給装置22によって、スラグ排出シュート19側からスラグ2の融点を低下させるための第1又は第2塩基度調整剤41、42を、スラグバーナ20が火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に調整剤用ノズル43から供給して、固着スラグ2に付着させることができる。すなわち、スラグバーナ20の噴射した火炎が当たっている位置の固着スラグ2に第1又は第2塩基度調整剤41、42を付着させることができる。これによって、出滓口31に固着したスラグ2の塩基度を適正範囲内(0.3〜1.0)にして、スラグ2の融点を低下させることができる。
つまり、第1又は第2塩基度調整剤41、42を、スラグバーナ20が火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に調整剤用ノズル43から供給することによって、火炎で予熱された第1又は第2塩基度調整剤41、42を、同様に火炎で加熱された固着スラグ2に供給することができる。これによって、第1又は第2塩基度調整剤41、42を固着スラグ2に効果的に付着させることができ、固着スラグ2の塩基度を適正範囲内(0.3〜1.0)にして、スラグ2の融点を低下させることができる。その結果、出滓口31に固着したスラグ2をスラグバーナ20の火炎によって確実、かつ、迅速に溶融除去することができ、出滓口31が固着スラグ2によって閉塞されることを防止できる。その結果、スラグバーナ20で使用される燃料、及び塩基度調整剤41、42の使用量の低減を図ることができる。
なお、調整剤供給装置22が第1又は第2塩基度調整剤41、42を固着スラグ2に向けて噴射するタイミングは、例えば旋回溶融炉18やスラグ排出シュート19等に設けられた覗き窓から作業者が、出滓口31に固着するスラグ2の大きさを目視したり、監視カメラを通して視認することによって判断することができる。
そして、第1又は第2塩基度調整剤41、42のいずれを固着スラグ2に向けて供給するかの判断は、例えば第1及び第2塩基度調整剤41、42を順番に固着スラグ2に供給してみて、その溶融状態を監視することによって、供給すべき適切な第1又は第2塩基度調整剤41、42を決定することができる。
ただし、上記実施形態では、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を、調整剤供給ライン44に通して調整剤用ノズル43から噴射するようにしたが、これに代えて、燃焼用酸素供給ライン35又は燃料供給ライン34に通してスラグバーナ20から噴射するようにしてもよい。
つまり、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を、調整剤供給ライン44に通して供給するようにすると、第3〜第5開閉弁38、39、40の開度を調整することによって、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42の供給量の調整を簡単に行うことができる。そして、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を、スラグバーナ20に接続する燃焼用酸素供給ライン35又は燃料供給ライン34に通して供給するようにすると、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42をスラグバーナ20から噴射される火炎に確実に巻き込ませることができる。これによって、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を火炎で確実に予熱することができ、しかも、この予熱された第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を火炎で予熱された固着スラグ2に確実に供給することができる。よって、第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を効果的に固着スラグ2に付着させて、固着スラグ2を溶融除去することができる。
そして、上記実施形態では、1種類の粒度の第1及び第2の各塩基度調整剤41、42を、調整剤用ノズル43から噴射するようにしたが、これに代えて、それぞれの粒度(粒径)の異なる複数種類の第1及び第2の各塩基度調整剤41、42をそれぞれ別々の容器に貯留しておき、これら複数種類の粒度の第1及び第2塩基度調整剤41、42のうちから所望の塩基度調整剤を調整剤用ノズル43から噴射するようにしてもよい。このようにすると、固着スラグ2に対して反応性の良い適切な粒径の塩基度調整剤41、42を選択して、当該固着スラグ2に供給することができ、固着スラグ2の塩基度を迅速、確実に適正範囲内にすることができる。これによって、固着スラグ2の溶融除去を迅速、確実に行うことができる。
そして、固着スラグ2に対して反応性の良い適切な粒径の第1又は第2塩基度調整剤41、42を決定する方法は、例えば、粒度の相違するそれぞれの第1又は第2塩基度調整剤41、42を固着スラグ2に供給してスラグ2の溶融状態を監視して、実際に固着スラグ2に対して反応性の良い適切な粒度の第1又は第2塩基度調整剤41、42を判断する。
そして、上記のように粒度(粒径)の異なる複数種類の第1及び第2の各塩基度調整剤41、42をそれぞれ別々の容器に貯留するときに、例えば所定の容器に貯留される最小粒度の塩基度調整剤の平均粒径を約0.1mmとし、所定の他の容器に貯留される最大粒度の塩基度調整剤の平均粒径を約1.0mmとすることが好ましい。そして、更に他の容器に上記以外の粒度の塩基度調整剤を貯留するときは、平均粒径を例えば約0.3mm、約0.6mmとすることができる。
また、上記実施形態では、第1及び第2塩基度調整剤41、42のうちから所望の塩基度調整剤を出滓口31に固着するスラグ2に向けて供給することができるようにしたが、これに代えて、第1又は第2塩基度調整剤41、42のいずれか一方のみを出滓口31に固着するスラグ2に向けて供給できるようにしてもよい。このような場合として、例えば処理される固体可燃物の質によって、出滓口31に固着するスラグ2の塩基度が、0.3未満となるときがあるが、約1.0を超えるときがない場合、及び1.0を超えるときがあるが、0.3未満となるときがない場合がある。
このような各場合に、スラグ2の塩基度を適正範囲内にすることができる第1又は第2塩基度調整剤41、42のいずれか一方のみ(Ca(OH)若しくはCaCO又はSiO)を調整剤用ノズル43から供給できるようにしてもよい。
更に、上記実施形態の調整剤供給装置22は、出滓口31に固着するスラグ2の塩基度が0.3〜1.0の範囲内になるように、第1又は第2塩基度調整剤41、42を供給するようにしたが、これに代えて、スラグバーナ20から噴射される火炎によって、固着スラグ2を昇温でき得る温度範囲内において、固着スラグ2を溶融除去できるような塩基度(例えば0.2〜1.2)に調整することができるように、第1又は第2塩基度調整剤41、42を供給するようにしてもよい。
そして、上記実施形態では、図2に示すように、調整剤用ノズル43をスラグバーナ20に接近させてその側方に配置したが、これに代えて、調整剤用ノズル43をスラグバーナ20から離して、例えばスラグバーナ20の反対側に配置してもよい。要は、調整剤用ノズル43は、スラグバーナ20から噴射された火炎によって加熱される固着スラグ2に所望の第1又は第2塩基度調整剤41、42を供給することができる方向に向けて設ければよい。
以上のように、本発明に係るスラグ溶融装置及びこれを備えるガス化溶融設備は、出滓口に固着するスラグを確実、かつ、迅速に溶融除去して、出滓口が固着スラグによって閉塞されることを防止できる優れた効果を有し、このようなスラグ溶融装置及びこれを備えるガス化溶融設備に適用するのに適している。
2 溶融スラグ、固着スラグ
9 燃焼ガス
16 流動床式ガス化溶融設備
17 流動床式ガス化炉
17a 上側排出口
18 旋回溶融炉
19 スラグ排出シュート
20 スラグバーナ
21 水封槽
22 調整剤供給装置
23 スラグ溶融装置
24 排出装置
25 接続ダクト
26 予燃焼部
27 入口側主燃焼部
28 出口側主燃焼部
29 補助バーナ
31 出滓口
32 水封水
33 二次燃焼室
34 燃料供給ライン
35 燃焼用酸素供給ライン
36 第1開閉弁
37 第2開閉弁
38 第3開閉弁
39 第4開閉弁
40 第5開閉弁
41 第1塩基度調整剤
42 第2塩基度調整剤
43 調整剤用ノズル
44 調整剤供給ライン
45 第1調整剤容器
46 第2調整剤容器
47、48 接続部
49 圧力供給ライン

Claims (8)

  1. ガス化炉で生成された未燃ガスを燃焼し、それに含まれる灰分を溶融して溶融スラグを生成し、この生成した溶融スラグを出滓口から排出するようにした溶融炉と、前記溶融炉に設けられ前記出滓口に接続するスラグ排出シュートと、前記スラグ排出シュート側から噴射する火炎によって、前記出滓口に固着するスラグを加熱して溶融除去するためのスラグバーナとを備えるスラグ溶融装置において、
    前記スラグ排出シュート側からスラグの融点を低下させるための塩基度調整剤を、前記スラグバーナが火炎を噴射するときに、その火炎の向かう方向に供給することができる調整剤供給装置を備えることを特徴とするスラグ溶融装置。
  2. 前記調整剤供給装置は、塩基度調整剤を前記スラグバーナから噴射される火炎に巻き込まれるようにして供給することを特徴とする請求項1記載のスラグ溶融装置。
  3. 前記調整剤供給装置は、塩基度調整剤を、調整剤供給ライン、又は前記スラグバーナに接続する燃焼用酸素供給ライン若しくは燃料供給ラインに通して供給することを特徴とする請求項1又は2記載のスラグ溶融装置。
  4. 前記調整剤供給装置は、前記出滓口に固着するスラグに供給された塩基度調整剤と当該スラグとの反応性に応じて、粒径が異なる複数種類の塩基度調整剤のうちから所望の粒径の塩基度調整剤を供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスラグ溶融装置。
  5. 前記調整剤供給装置は、前記出滓口に固着するスラグの塩基度が0.3〜1.0の範囲内になるように塩基度調整剤を供給することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスラグ溶融装置。
  6. 前記調整剤供給装置は、
    前記出滓口に固着するスラグと反応して塩基度を高める第1塩基度調整剤が貯留された第1調整剤容器であって、その底部が開閉弁を介して調整剤供給ラインに接続された第1調整剤容器と、
    前記出滓口に固着するスラグと反応して塩基度を低下させる第2塩基度調整剤が貯留された第2調整剤容器であって、その底部が開閉弁を介して前記調整剤供給ラインに接続された第2調整剤容器と、を有し、
    前記調整剤供給ラインを通じて、前記第1塩基度調整剤及び前記第2塩基度調整剤のうちの所望の塩基度調整剤を調整剤用ノズルから噴射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスラグ溶融装置。
  7. 前記第1調整剤容器及び前記第2調整剤容器は、それぞれの天井部から圧縮空気が供給されるように構成された、請求項6に記載のスラグ溶融装置。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載のスラグ溶融装置を備えることを特徴とするガス化溶融設備。
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