以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、実施の形態に係る光学ユニットを有する灯具ユニットが搭載された車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。図2は、灯具ユニットの概略構造を示す斜視図である。図3は、灯具ユニットの分解斜視図である。なお、図2及び図3では、灯具ユニット10の内部構造の理解を容易にするために、第2ヒートシンク18、第2光源モジュール22及びカバー部材36の図示を省略している。また、図3では第2リフレクタ26の図示を省略している。
本実施の形態において説明する車両用灯具1は、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する車両用前照灯装置である。一対の前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、図1には車両用灯具1として車両右側に配置される前照灯ユニットの構造を示す。
図1に示すように、車両用灯具1は、車両前方側に開口部を有するランプボディ2と、ランプボディ2の開口部を覆うように取り付けられた透光カバー4とを備える。透光カバー4は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成されている。ランプボディ2と透光カバー4とにより形成される灯室3内には、灯具ユニット10及び制御部12が収容されている。灯具ユニット10は、ブラケット14に取り付けられている。ブラケット14は、支持機構(図示せず)によりランプボディ2に固定されている。灯室3の下部には、灯具ユニット10の点消灯や後述するシェードの変位等を制御する制御部12が配置されている。なお、制御部12が設けられる位置は、特に限定されない。
図1〜図3に示すように、灯具ユニット10は、第1ヒートシンク16、第2ヒートシンク18、第1光源モジュール20、第2光源モジュール22、第1リフレクタ24、第2リフレクタ26、レンズホルダ32、投影レンズ34、カバー部材36、及び光学ユニット100を備える。
第1ヒートシンク16は、アルミなどの金属により多数のフィンを有する形状に形成され、ねじ等の締結部材50によりブラケット14に取り付けられている。第1ヒートシンク16は、灯具ユニット10の光軸に対して垂直方向略上方を向く光源モジュール搭載面16aを有する。光源モジュール搭載面16aには、第1光源モジュール20が搭載されている。また、第1ヒートシンク16の所定位置には、後述する締結部材51が挿通される複数の挿通孔16bが設けられている。本実施の形態の第1ヒートシンク16は、灯具前方側から見て第1リフレクタ24の左右上方と第2リフレクタ26の下方とに、灯具前方側に突出するユニット支持部16cが設けられており、ユニット支持部16cに挿通孔16bが形成されている。
なお、本実施の形態の車両用灯具1は、灯具ユニット10に隣接する第2の灯具ユニット11を有する。灯具ユニット10の第1ヒートシンク16は、第2の灯具ユニット11のヒートシンク11aと一体的に形成されている。
第2ヒートシンク18は、アルミなどの金属により多数のフィンを有する形状に形成され、第1ヒートシンク16の上方で灯具前後方向に延在し、灯具後方側の端部が第1ヒートシンク16に支持されている。第2ヒートシンク18の灯具前方側の端部は、レンズホルダ32の近傍に位置している。第2ヒートシンク18は、光軸に対して垂直方向略下方を向く光源モジュール搭載面18aを有する。光源モジュール搭載面18aには、第2光源モジュール22が搭載されている。
第1光源モジュール20は、光出射面が垂直方向略上方を向くように配置されている。第2光源モジュール22は、光出射面が垂直方向略下方を向くように配置されている。第1光源モジュール20及び第2光源モジュール22は、例えば発光ダイオード(LED)であり、発光素子と、発光素子を支持する基板とを有する。なお、灯具ユニット10に用いられる光源は、白熱球やハロゲンランプ、放電球等であってもよい。
第1リフレクタ24は、略ドーム状であり、第1光源モジュール20の上方に配置されて第1ヒートシンク16に固定されている。第1リフレクタ24は、回転楕円面の一部で構成される反射面を内側に有する。この反射面は、第1焦点と、第1焦点よりも灯具前方側に位置する第2焦点とを有する。第1リフレクタ24は、第1光源モジュール20の発光部が第1リフレクタ24の第1焦点と略一致するように、光源モジュール搭載面16aとの位置関係が定められている。
第2リフレクタ26は、略ドーム状であり、第2光源モジュール22の下方に配置されて第1ヒートシンク16に固定されている。第2リフレクタ26は、放物面の一部で構成される反射面を内側に有する。この反射面は、1つの焦点を有する。第2リフレクタ26は、第2光源モジュール22の発光面が第2リフレクタ26の反射面の焦点と略一致するように、光源モジュール搭載面18aとの位置関係が定められている。
第1リフレクタ24及び第2リフレクタ26よりも灯具前方側には、光学ユニット100を挟んでレンズホルダ32が配置されている。レンズホルダ32は、略筒状の部材であり、投影レンズ34が嵌め込まれている。レンズホルダ32の灯具後方側の端部には、第1ヒートシンク16の挿通孔16bに対応する位置に、貫通孔32aが設けられている。投影レンズ34は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、その後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。投影レンズ34は、レンズホルダ32により灯具ユニット10の光軸上に、且つ後方焦点が第1リフレクタ24の反射面の第2焦点と略一致する位置に配置されている。
光学ユニット100は、全体的な形状が略板状であるベース部110を有する。ベース部110は、灯具前方から見て環状の枠部112と、枠部112の下方で主表面が灯具前後方向を向くように配置された略板状のプレート部114とを有する。また、ベース部110は、枠部112の内周縁で構成される開口部116を有する。開口部116は、その中心領域を灯具ユニット10の光軸が通るように配置されており、開口部116によって光源光の投影レンズ34への入光が許容される。
枠部112の下端側には、開口部116の周縁の一部を塞ぐことができる第1シェード130及び第2シェード140が連結されている。第1シェード130及び第2シェード140は、枠部112によりそれぞれ独立に揺動可能に保持されており、各シェードの上端縁が光軸に接近した位置と、退避した位置とを取ることができる。光学ユニット100は、各シェードが光軸に接近した位置にあるとき、各シェードの上縁が第1リフレクタ24の反射面の第2焦点と重なるように配置されている。枠部112及びプレート部114には、第1ヒートシンク16の挿通孔16bに対応する位置に、貫通孔118が設けられている。光学ユニット100の構造については後に詳細に説明する。
レンズホルダ32及び光学ユニット100は、レンズホルダ32の貫通孔32a、光学ユニット100の貫通孔118及び第1ヒートシンク16の挿通孔16bに、ねじ等の締結部材51が挿通されることで、第1ヒートシンク16に固定されている。
カバー部材36は、灯具ユニット10からの照射光を通すための開口部36aを有し、ねじ等の締結部材52により第1ヒートシンク16に固定されている。カバー部材36は、灯具前方から見て、灯具ユニット10における投影レンズ34の存在領域を除く領域を覆っている。
続いて、実施の形態に係る光学ユニット100の構造について詳細に説明する。図4は、実施の形態に係る光学ユニットの分解斜視図である。図4に示すように、本実施の形態に係る光学ユニット100は、車両用灯具に用いられる光学ユニットであり、ベース部110、第1シェード130、第2シェード140、第1モータ150A、第2モータ150B、ケース170、第1カバー190A及び第2カバー190Bを有する。以下、第1モータ150A及び第2モータ150Bを特に区別しない場合は、これらをモータ150と総称する。また、第1カバー190A及び第2カバー190Bを特に区別しない場合は、これらをカバー190と総称する。
ベース部110は、上述のように枠部112、プレート部114、開口部116及び複数の貫通孔118を有する。さらに、ベース部110は、灯具前方から見て、枠部112の右側(車幅方向内側)の下端領域に、灯具前方に突出する第1シェード支持軸120Aを有し、枠部112の左側(車幅方向外側)の下端領域に、灯具前方に突出する第2シェード支持軸120Bを有する。また、ベース部110は、プレート部114の車幅方向中央の領域に、単一のケース固定用貫通孔121を有する。また、ベース部110は、灯具前方から見てプレート部114の右側の領域に、位置決め用嵌合部122A及び出力軸用貫通孔123Aを有し、プレート部114の左側領域に、位置決め用嵌合部122B及び出力軸用貫通孔123Bを有する。本実施の形態において、位置決め用嵌合部122A,122Bは、貫通孔である。また、位置決め用嵌合部122Aが略真円形状であり、位置決め用嵌合部122Bが略長穴形状である。
また、ベース部110は、灯具前方から見て、プレート部114の右側の側端部に第1シェード用第2ストッパ124Aを有し、プレート部114の左側の側端部に第2シェード用第2ストッパ124Bを有する。各ストッパは、灯具前方に突出している。さらに、ベース部110は、右側領域の所定位置に、復帰ばね第1係止部126A及び復帰ばね第2係止部127Aを有し、左側領域の所定位置に、復帰ばね第1係止部126B及び復帰ばね第2係止部127Bを有する。復帰ばね第2係止部127A,127Bは、復帰ばね第1係止部126A,126Bよりも上方に配置されている。
第1シェード130及び第2シェード140は、それぞれ略L字形状をしており、略水平方向に延在し、光源光を遮るための水平部132,142と、水平部132,142の一端から略垂直方向下方に延在し、モータ150の回転力を受けるための垂直部134,144とを有する。第1シェード130の水平部132の縁部132aは、第1シェード130が後述する進出位置にあるときロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するように加工されている。第2シェード140の水平部142の縁部142aは、第2シェード140が後述する進出位置にあるとき片ハイ用配光パターンのカットオフラインを形成するように加工されている。垂直部134,144の下端には、モータ150の出力軸に設けられた後述する接続部160と噛み合う溝部135,145が設けられている。また、灯具前方から見て、垂直部134の右側の側端面には、灯具後方に突出する第1シェード用第1ストッパ136が設けられ、垂直部144の左側の側端面には、灯具後方に突出する第2シェード用第1ストッパ146が設けられている。
第1シェード130及び第2シェード140は、それぞれ水平部132,142と垂直部134,144とが交わる領域に、灯具前方に突出する筒部138,148を有する。第1シェード130は、第1シェード支持軸120Aが筒部138に挿通されて、ベース部110に保持される。したがって、第1シェード130は車幅方向内側に配置される。水平部132は、第2シェード支持軸120Bに向けて延在する。灯具前方から見て、垂直部134は、第1シェード用第2ストッパ124Aよりも左側に延在し、溝部135が出力軸用貫通孔123Aの近傍に配置される。溝部135には、出力軸用貫通孔123Aを介して灯具後方側から灯具前方側に突出する第1モータ150Aの出力軸152が接続される。また、第1シェード用第1ストッパ136は、プレート部114の右側端面よりも右側、すなわちプレート部114の外側に配置される。
第2シェード140は、第2シェード支持軸120Bが筒部148に挿通されてベース部110に保持される。したがって、第2シェード140は、車幅方向外側に配置される。水平部142は、第1シェード支持軸120Aに向けて延在する。灯具前方から見て、垂直部144は、第2シェード用第2ストッパ124Bよりも右側に延在し、溝部145が出力軸用貫通孔123Bの近傍に配置される。溝部145には、出力軸用貫通孔123Bを介して灯具後方側から灯具前方側に突出する第2モータ150Bの出力軸152が接続される。また、第2シェード用第1ストッパ146は、プレート部114の左側端面よりも左側、すなわちプレート部114の外側に配置される。
筒部138,148の外周には、それぞれ復帰ばね104A,104Bが嵌め合わされている。復帰ばね104A,104Bは、例えばねじりコイルばねで構成され、両端部がアーム状に延びるコイル部を有する。第1シェード130がベース部110に保持された状態で、復帰ばね104Aは、一端が復帰ばね第1係止部126Aにより係止され、他端が復帰ばね第2係止部127Aにより係止される。また、第2シェード140がベース部110に保持された状態で、復帰ばね104Bは、一端が復帰ばね第1係止部126Bにより係止され、他端が復帰ばね第2係止部127Bにより係止される。
第1シェード130及び第2シェード140は、モータ150により回動される。図5(A)及び図5(B)は、第1シェード及び第2シェードの動作を説明するための図である。図5(A)及び図5(B)は、灯具前方から見た光学ユニット100を示している。
第1シェード130及び第2シェード140は、それぞれ第1シェード支持軸120A、第2シェード支持軸120Bを回動軸として、光源光の一部を遮光する進出位置と光源光の当該一部を非遮光とする退避位置とに変位可能である。各シェードが進出位置にあるとき、水平部132,134の縁部132a,142aが第1リフレクタ24の第2焦点の近傍に配置される。これにより、第1光源モジュール20から照射された光の一部が遮光される。また、第2光源モジュール22から照射された光の略全部が遮光される。一方、各シェードが退避位置にあるとき、進出位置にあるシェードによって遮光されていた第1光源モジュール20の照射光の一部、及び第2光源モジュール22の照射光の略全部が投影レンズ34に入光される。
第1シェード130は、第1モータ150A(図4参照)の出力軸152の回転により、進出位置及び退避位置の一方から他方へ変位される。第2シェード140は、第2モータ150B(図4参照)の出力軸152の回転により、進出位置及び退避位置の一方から他方へ変位される。また、各シェードは、モータ150がオフにされると、復帰ばね104A,104Bの付勢力により前記他方から前記一方へ変位される。
本実施の形態において、第1シェード130は、第1モータ150Aの出力軸152からの力が、出力軸152に設けられた接続部160を介して伝達され、出力軸152の回転により進出位置から退避位置へ変位する(図5(B)に示す状態)。退避位置に向けて変位する第1シェード130は、垂直部134が第1シェード用第2ストッパ124Aに突き当たって退避位置で停止する。また、第1シェード130は、第1モータ150Aがオフになると、復帰ばね104Aの付勢力により退避位置から進出位置へ変位する(図5(A)に示す状態)。進出位置に向けて変位する第1シェード130は、第1シェード用第1ストッパ136がプレート部114に突き当たって進出位置で停止する。このように、ロービーム用配光パターンを形成するための第1シェード130が復帰ばね104Aにより進出位置へ戻るよう構成することで、光学ユニット100がハイビーム用配光パターン又は片ハイ用配光パターンの形成姿勢で固定されてしまうことを確実に回避してフェールセーフ機能を実現できる。
一方、第2シェード140は、第2モータ150Bの出力軸152からの力が、出力軸152に設けられた接続部160を介して伝達され、出力軸152の回転により退避位置から進出位置へ変位する(図5(B)に示す状態)。進出位置に向けて変位する第2シェード140は、第2シェード用第1ストッパ146がプレート部114に突き当たって進出位置で停止する。また、第2シェード140は、第2モータ150Bがオフになると、復帰ばね104Bの付勢力により進出位置から退避位置へ変位する(図5(A)に示す状態)。退避位置に向けて変位する第2シェード140は、垂直部144が第2シェード用第2ストッパ124Bに突き当たって退避位置で停止する。
図5(A)に示すように、第1シェード130が進出位置、第2シェード140が退避位置にある状態で、灯具ユニット10は、ロービーム用配光パターンを形成することができる。また、図5(B)に示すように、第1シェード130が退避位置、第2シェード140が進出位置にある状態で、灯具ユニット10は、左側通行時に対向車線側のみにハイビーム領域を有する、いわゆる右片ハイ用配光パターンを形成することができる。また、第1シェード130及び第2シェード140が退避位置にある状態で、灯具ユニット10は、ハイビーム用配光パターンを形成することができる。また、灯具ユニット10がハイビーム用配光パターンの形成状態にあるとき、第2光源モジュール22の照射光が灯具前方に照射される。これにより、ハイビーム用配光パターンの照度を増大させることができる。
なお、車両左側に配置される前照灯ユニットの灯具ユニットでは、灯具前方から見て第1シェード130が左側(車幅方向内側)に配置され、第2シェード140が右側(車幅方向外側)に配置される。そして、当該灯具ユニットは、ロービーム用配光パターンと、ハイビーム用配光パターンと、左側通行時に自車線側のみにハイビーム領域を有する、いわゆる左片ハイ用配光パターンとを形成することができる。上述した各配光パターンの形状は公知であるため、詳細な説明は省略する。
モータ150は、ケース170に収容され、ケース170を介してベース部110に固定される。ケース170には、2つのモータ150が収容された状態で、カバー190が取り付けられる。カバー190により、ケース170からのモータ150の脱落が抑制される。モータ150、ケース170及びカバー190により、シェード駆動部が構成されている。
続いて、モータ150、ケース170及びカバー190の構造について詳細に説明する。図6は、モータ、ケース及びカバーの概略構造を示す斜視図である。図7(A)は、比較例に係る光学ユニットを灯具後方側から見たときのシェード駆動部を模式的に示す図である。図7(B)は、本実施の形態に係る光学ユニットを灯具後方側から見たときのシェード駆動部を模式的に示す図である。図8は、カバーのケースへの取付構造を説明するための模式図である。図7(A)及び図7(B)は、出力軸152に対して垂直な平面に沿ったシェード駆動部の断面を模式的に示している。図8は、出力軸152に対して平行で且つカバー190の第1腕部190b及び第2腕部190cを通る平面に沿ったシェード駆動部の断面を、模式的に示している。なお、図7(A)、図7(B)及び図8では、モータ150の内部構造の図示を省略している。
図6〜図8に示すように、モータ150は、例えばDCモータで構成され、ハウジング151、出力軸152、及び端子接続部153A,153Bを有する。ハウジング151は、出力軸152が突出する上面151aと、上面151aと対向する底面151bと、互いに対向する略平坦な第1側面151c及び第2側面151dと、互いに対向する湾曲した第3側面151e及び第4側面151fとを有する。上面151a及び底面151bには、それぞれ外方にやや突出し、内部に軸受を収容するボス部154a,154bが設けられている。
出力軸152には、平歯車等のギヤで構成される接続部160が設けられている。出力軸152は、接続部160を介して第1シェード130又は第2シェード140に接続される。給電用の端子接続部153A,153Bは、ハウジング151の第1側面151cにおける底面151bの近傍に設けられている。端子接続部153Aは、陽極及び陰極の一方に対応し、端子接続部153Bは、陽極及び陰極の他方に対応する。
モータ150は、ハウジング151の長さ寸法L、高さ寸法H及び幅寸法Wについて、出力軸152の延在方向の寸法を長さ寸法Lとしたとき、高さ寸法H及び幅寸法Wは、一方が他方よりも大きい。本実施の形態では、平面である第1側面151cと第2側面151dとが並ぶ方向を高さ寸法Hとし、曲面である第3側面151eと第4側面151fとが並ぶ方向を幅寸法W(長径寸法)としている。そのため、モータ150は、幅寸法Wが高さ寸法Hよりも大きい。なお、ここではハウジング151の寸法について説明しているが、出力軸152の延在方向の寸法を長さ寸法Lとした場合は、モータ150とハウジング151とで高さ寸法H及び幅寸法Wが一致するため、ハウジング151の高さ寸法H及び幅寸法Wをモータ150の高さ寸法H及び幅寸法Wに置き換えて説明することもできる。
ケース170は、第1モータ150Aを収容する第1収容空間171A及び第2モータ150Bを収容する第2収容空間171Bを有する。したがって、本実施の形態に係る光学ユニット100では、第1モータ150A及び第2モータ150Bが単一のケース170に収容される。そのため、本実施の形態によれば、第1モータ150A及び第2モータ150Bをそれぞれ別個のケースに収容する場合に比べて、光学ユニット100の部品点数を減らすことができる。
ケース170は、第1収容空間171Aを形成する壁部172Aと、第2収容空間171Bを形成する壁部172Bと、第1収容空間171Aへ第1モータ150Aを挿入するための開口部176Aと、第2収容空間171Bへ第2モータ150Bを挿入するための開口部176Bとを有する。また、ケース170は、第1モータ150A用のコネクタ178A及び一対の端子部材180Aと、第2モータ150B用のコネクタ178B及び一対の端子部材180Bとを有する。以下、第1収容空間171A及び第2収容空間171Bを特に区別しない場合は、これらを収容空間171と総称する。また、壁部172A及び壁部172Bを特に区別しない場合、これらを壁部172と総称する。また、開口部176A及び開口部176Bを特に区別しない場合、これらを開口部176と総称する。
壁部172は、略長方形状の底壁部172aと、第1壁部172bと、第2壁部172cと、第3壁部172dと、第4壁部172eとを含む。第1壁部172bと第2壁部172cとは互いに対向している。第3壁部172dと第4壁部172eとは、互いに対向するとともに第1壁部172b及び第2壁部172cに対して略垂直に延在する。第1壁部172b、第2壁部172c、第3壁部172d及び第4壁部172eは側壁部を構成し、この4つの側壁部と底壁部172aとにより収容空間171が形成されている。4つの側壁部は、下端が底壁部172aの周縁部に連結されているが、上端側には壁部172が設けられていない。すなわち、収容空間171を形成する4つの側壁部の上端側に開口部176が設けられている。
第2壁部172cの外側面には、外部電源の端子が接続されるコネクタ178A,178Bが設けられている。一対の端子部材180A,180Bは、コネクタ端子と、給電端子と、配線部とが一体的に形成されてなる部材である。一対の端子部材180A,180Bは、一端側がコネクタ内に配置されてコネクタ端子として機能する。また、他端側が収容空間171において露出し、モータ150の端子接続部153A,153Bに挿入される給電端子として機能する。また、一端側及び他端側を除く領域が、コネクタ178A,178Bから収容空間171まで引き回されてコネクタ端子と給電端子とに接続される配線部として機能する。外部電源から送り出された電力は、コネクタ178A、178Bから一対の端子部材180A,180Bを介して、モータ150に供給される。
第1収容空間171A用の開口部176Aと第2収容空間171B用の開口部176Bとは、互いに反対方向を向いている。したがって、第1モータ150Aは、第1収容空間171Aを挟んで第2収容空間171Bが存在する領域とは反対側の領域から、第2収容空間171Bに近づく方向に押圧されて第1収容空間171Aに挿入される。また、第2モータ150Bは、第2収容空間171Bを挟んで第1収容空間171Aが存在する領域とは反対側の領域から、第1収容空間171Aに近づく方向に押圧されて第2収容空間171Bに挿入される。したがって、本実施の形態のケース170では、モータ150を収容空間171へ挿入する際に必要となる、開口部176周りに確保すべき空間を、第1収容空間171Aと第2収容空間171Bとの間に設ける必要がない。そのため、底壁部172Aaと底壁部172Baとの距離を近づけることができる。これにより、ケース170を小型化することができ、ひいては光学ユニット100を小型化することができる。
モータ150は、第1側面151cが底壁部172aと対向するように配置され、出力軸152の軸方向に対して略垂直の方向であって、第1側面151cと底壁部172aとの距離が近づく方向に押圧されて、開口部176を介して収容空間171に挿入される。モータ150がケース170に収容された状態で、上面151aと第1壁部172b、底面151bと第2壁部172c、第1側面151cと底壁部172a、第3側面151eと第3壁部172d、第4側面151fと第4壁部172eがそれぞれ対向する。モータ150が収容空間171に挿入された状態で、一対の端子部材180A,180Bが端子接続部153A,153Bに挿入されている。
ケース170の第2壁部172cには、モータ150のボス部154bが挿入されるスリット172c1が設けられている。また、第2壁部172cは、外側面から突出する2つの枠部172c2を有する。2つの枠部172c2は、第2壁部172cの外側面と直交する方向から見て、スリット172c1を挟むように配置されている。第1壁部172bには、モータ150のボス部154aが挿入されるスリット172b1が設けられている。また、第1壁部172bには、外側面に2つの凹部172b2が設けられている。2つの凹部172b2は、第1壁部172bの外側面と直交する方向から見て、スリット172b1を挟むように配置されている。また、第1壁部172bには、外側面の所定位置に位置決め用凸部172b3が設けられている。
モータ150がケース170に挿入される際、ボス部154bが開口部176側から底壁部172a側に向けて、第2壁部172cのスリット172c1内を摺動する。また、ボス部154aが開口部176側から底壁部172a側に向けて、第1壁部172bのスリット172b1内を摺動する。モータ150がケース170に収容された状態で、出力軸152は、スリット172b1を介して収容空間171から外部に突出する。
図7(B)に示すように、第1モータ150A及び第2モータ150Bは、それぞれの出力軸152が互いに平行となるようにして、第1収容空間171A及び第2収容空間171Bに収容されている。また、第1モータ150A及び第2モータ150Bは、それぞれの幅寸法Wの方向が第1収容空間171Aと第2収容空間171Bとが並ぶ方向に対して略垂直となるようにして第1収容空間171A及び第2収容空間171Bに収容されている。すなわち、第1モータ150A及び第2モータ150Bは、出力軸152の軸方向に対して垂直な幅寸法W及び高さ寸法Hのうち、より大きい幅寸法Wの方向が車幅方向に対して垂直となり、より小さい高さ寸法Hが車幅方向に対して平行となるように配置されている。
図7(A)に示す比較例の構造では、第1モータ150A及び第2モータ150Bは、幅寸法Wの方向が第1収容空間371A及び第2収容空間371Bの並ぶ方向に対して平行となる姿勢で、ケース370の各収容空間に収容されている。これに対し、本実施の形態では、より大きい寸法である幅寸法Wの方向が2つの収容空間が並ぶ方向に対して略垂直となるようにしてモータ150を収容している。これにより、シェード駆動部の2つのモータが並ぶ方向の寸法を、比較例の構造に比べて小さくすることができる。本実施の形態では、シェード駆動部の車幅方向の寸法を小さくすることができる。具体的には、幅寸法Wと高さ寸法Hとの差の2倍の長さ(2・(W−H))だけ、寸法を小さくすることができる。これにより、灯具ユニット10の設置場所の自由度を高めることができる。
ケース170の開口部176には、カバー190が装着される。第1カバー190Aは、壁部172Aに係止されて、第1収容空間171A用の開口部176Aを塞ぐ。一方、第2カバー190Bは、壁部172Bに係止されて、第2収容空間171B用の開口部176Bを塞ぐ。
カバー190は、本体部190aと、2本の第1腕部190b(腕部)と、2本の第2腕部190cとを有する。本体部190aは、カバー190がケース170に取り付けられた状態で、モータ150の第2側面151dと対向し、第2側面151dにおける上面151a側端部から底面151b側端部まで延在する。したがって、開口部176は、主にカバー190の本体部190aによって覆われる。
2本の第1腕部190bは、上面151a側の本体部190aの端部から、本体部190aの延在方向に対して略垂直な方向に突出している。2本の第1腕部190bは、第1壁部172bの外側面と直交する方向から見て、カバー190がケース170に取り付けられた状態でスリット172b1を挟むように配置されている。第1腕部190bの先端部には、カバー190がケース170に取り付けられた状態でケース170側を向く面に、凸部190b1が設けられている。
2本の第2腕部190cは、底面151b側の本体部190aの端部から、第1腕部190bの突出方向と同じ方向で第1腕部190bと平行に突出している。2本の第2腕部190cは、第2壁部172cの外側面と直交する方向から見て、カバー190がケース170に取り付けられた状態でスリット172c1を挟むように配置されている。第2腕部190cの先端部には、カバー190がケース170に取り付けられた状態でケース170とは反対の方向を向く面に、係合爪部としての凸部190c1が設けられている。
図8に示すように、カバー190がケース170に取り付けられる際、第2腕部190cが枠部172c2内に挿通されて、凸部190c1が枠部172c2に係合する。これにより、カバー190の第2腕部190c側がケース170に取り付けられる。カバー190がケース170に取り付けられた状態において、第2腕部190cは第2壁部172cの外側で第2壁部172cに沿って延在する。
続いて、カバー190の第1腕部190b側がケース170に接近するように押し付けられる。このとき、第1腕部190bは、第1壁部172bの外側に回り込み、第1壁部172bに押圧されて第2腕部190cから離れる方向に弾性変形する。そして、カバー190の第1腕部190b側がさらに押し込まれて、本体部190aがモータ150の第2側面151dと平行となり、第1腕部190bがケース170の第1壁部172bと平行になる。第1腕部190bは、この過程で第1壁部172bによる押圧が解除され、弾性によって変形前の状態に戻る。そして、第1腕部190bの凸部190b1が、第1壁部172bの凹部172b2に嵌合して、カバー190の第1腕部190b側がケース170に取り付けられる。カバー190がケース170に取り付けられた状態において、第1腕部190bは第1壁部172bの外側で第1壁部172bに沿って延在する。すなわち、カバー190は、第1腕部190bの弾性を用いてケース170にスナップフィット結合される。
このように、第1カバー190A及び第2カバー190Bは、カバーの弾性を用いてケース170にスナップフィット結合されている。これによれば、ケース170に収容されたモータ150を、カバー190によって収容空間171内に固定することができる。したがって、抜け止めランス等のモータ150を固定するための構造を、ケース170側に形成する必要がない。そのため、ケース170側にモータ固定用の構造を形成する際に必要となる金型挿抜等のための空間を、第1収容空間171Aと第2収容空間171Bとの間に設ける必要がなくなるため、第1収容空間171Aと第2収容空間171Bとをより近づけることができる。その結果、光学ユニット100の小型化が可能となる。また、スナップフィットによりカバー190をケース170に固定しているため、光学ユニット100の製造工程を簡略化することができる。
図4、図6、図7に示すように、ケース170は、第1収容空間171Aと第2収容空間171Bとの間に、ケース170をベース部110に固定するための固定機構182が設けられている。本実施の形態において、固定機構182は、ねじ等の締結部材が挿通される挿通孔である。固定機構182には、筒状部材184が嵌め込まれる。ケース170は、第1壁部172bが、ベース部110のプレート部114におけるケース取付面114a(図8参照)、すなわち灯具後方側の主表面と対向するように、ベース部110に取り付けられる。したがって、モータ150は、ケース取付面114aに対して出力軸152が略垂直となるように配置される。ケース170は、貫通孔である固定機構182がプレート部114のケース固定用貫通孔121と位置合わせされて、ベース部110に取り付けられる。
ケース170がベース部110に取り付けられる際、第1モータ150Aの出力軸152及び接続部160がプレート部114の出力軸用貫通孔123Aに挿通され、歯車である接続部160の歯が第1シェード130の溝部135と噛み合わされる(図3参照)。また、第2モータ150Bの出力軸152及び接続部160がプレート部114の出力軸用貫通孔123Bに挿通され、接続部160の歯が第2シェード140の溝部145と噛み合わされる(図3参照)。
また、ケース170の位置決め用凸部172b3がプレート部114の位置決め用嵌合部122Aに嵌め込まれ、これによりベース部110に対するケース170の高精度な位置決めがなされる。ケース170は、ねじ等の締結部材186がケース170の固定機構182及びプレート部114のケース固定用貫通孔121に挿通されることで、ベース部110に固定される。本実施の形態では、固定機構182は、出力軸152と直交する面方向におけるシェード駆動部の重心位置に近い、第1収容空間171Aと第2収容空間171Bとの間の領域に設けられている。そのため、1つの固定機構182で、ベース部110に対してシェード駆動部を安定的に固定することができる。したがって、光学ユニット100の部品点数を削減することができる。
なお、本実施の形態では、ケース固定用貫通孔121A及び固定機構182を貫通孔とし、締結部材186を用いてベース部110にケース170を固定しているが、従来公知の他の固定様式を採用してもよい。
図8に示すように、ケース170がベース部110に固定された状態で、第1腕部190bは、ケース170の第1壁部172bとプレート部114のケース取付面114aとで挟まれている。そのため、第1腕部190bの凸部190b1が第1壁部172bの凹部172b2から退避する方向への第1腕部190bの変位が、プレート部114によって規制される。よって、ケース170からカバー190が外れることをより確実に防ぐことができ、その結果、モータ150がケース170から外れることをより確実に防ぐことができる。したがって、本実施の形態の光学ユニット100によれば、定められたモータ150の取付姿勢を維持することができるため、光学ユニット100の動作信頼性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る光学ユニット100は、第1モータ150Aを収容する第1収容空間171A及び第2モータ150Bを収容する第2収容空間171Bを有する単一のケース170を備えている。そのため、2つのモータを別々のケースに収容し、これらをベース部110に固定する場合に比べて、光学ユニット100の部品点数を削減することができる。また、これにより、光学ユニット100の製造コストの削減と、製造工程の簡略化とを図ることができる。
また、本実施の形態に係る光学ユニット100において、カバー190は、ケース170に取り付けられた状態において第1壁部172bの外側で第1壁部172bに沿って延在する第1腕部190bを有し、第1腕部190bの弾性を用いて第1壁部172bにスナップフィット結合されている。そして、第1腕部190bは、ケース170がベース部110に固定された状態で、第1壁部172bとケース取付面114aとで挟まれている。そのため、カバー190がケース170から外れることをより確実に抑制することができる。その結果、ケース170からのモータ150の脱落をより確実に抑制することができるため、光学ユニット100の動作信頼性の向上を図ることができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述の実施の形態に変形が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。