JP5859543B2 - 胚培養用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、培養用組成物に関する。より具体的には、本発明は、胚培養用組成物に関する。
体外受精、胚培養および胚移植などは、経済価値の高い動物の改良および生産、ならびに再生医療、生殖医療など幅広い分野において重要な技術である。体外受精および胚培養では、生体外で配偶子または胚を取扱うことになる。現在まで様々な胚培養用培地、例えば胚発生中の周辺体液環境の変化を模倣した逐次培養培地、血清が添加された血清培地および取扱いが容易な無血清の単一培地が開発されてきた。単一培地であれば、逐次培養培地のように胚の発生段階に合わせた培地交換の必要がない。無血清培地であれば、血清培地のように生体由来産物故の品質のばらつきやウイルス汚染などの危険性を低減できる。
無血清単一培地のひとつに、KSOM培地が知られている(非特許文献1および2)。KSOM培地で培養された胚は、KSOMの登場以前の培地で培養された胚と比べて、胚盤胞の細胞数が増加したが(非特許文献3)、生体内で発生した胚盤胞の細胞数には至っていなかった(非特許文献4および5)。
アミノ酸は、生合成の前駆体、エネルギー源、有機性浸透圧調節物質、細胞内pH緩衝物質、抗酸化物質、キレート物質等の作用があり、アミノ酸の胚培養用培地への添加は胚発生に有効に作用することが知られている(非特許文献6)。KSOM培地は、開発当初、アミノ酸としてグルタミンのみを含む培地であったが、KSOM培地に20種類のアミノ酸を加えることで、胚盤胞到達率、ハッチング率、および胚盤胞の細胞数が向上することが明らかになった(非特許文献7)。
ヒト着床前胚の培養用の培地を開発するにあたって、マウス胚を用いた研究が推奨されている(非特許文献8および9)。KSOM培地または20種類のアミノ酸を加えたKSOMaa培地は、マウス胚を用いて研究されたが(非特許文献4および7)、ヒトの胚だけでなく、ウシ、ウサギ、アカゲザル、ブタ、ラットなど様々な動物胚の培養に適している事が確認されており、現在広く使用されている。
Proc Natl Acad Sci USA 2007; 104(36): 14289-14293. マウス胚の操作マニュアル第3版 2005; 149-193. Fertil Steril 2006; 86: 1252-1265. Biol Reprod 1994; 50: 1027-1033. Reproduction 2009; 137: 271-283. Semin Reprod Med 2000; 18(2): 205-218. Mol Reprod Dev 1995; 41(2): 232-238. Human Reproduction 1998; 13(4): 173-183. Human Reproduction Update 2003; 9(6): 557-582.
培養用培地中の各成分の効果は他の成分の濃度に依存するため(非特許文献9)、20種類のアミノ酸をそれぞれ組合せて胚発生に適した濃度に設定するには、膨大な数の検討が必要である。加えて、着床前期胚の研究においては、そのサンプルの希少性のために、そのような大規模な解析は困難であった。このため、KSOMaa培地をはじめ、胚培養用の培地に加えられているアミノ酸濃度は、その多くが体細胞の増殖能を指標に決定された濃度であり、胚発生に最適化されていない。
例えば、KSOMaa培地に加えられているアミノ酸濃度は、Eagleらが体細胞の栄養要求性を指標に定めた特定濃度の必須アミノ酸グループに属する13種類(Science 1959; 130, 432-437)とその他の非必須アミノ酸グループに属する7種類とを、それぞれ1/2の濃度に設定しているだけである。また、ヒト胚培養用に開発された培養液G1またはG2においても、加えられているアミノ酸濃度は、Eagleが体細胞の栄養要求性を指標に定めた濃度がそのまま用いられている。
そのため、生体外での胚培養に適したアミノ酸濃度を有する培養用培地の開発が依然として望まれている。
本発明者らは、かかる要望に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、胚培養に適したアミノ酸濃度を見いだした。
本発明の態様は、以下のテーブルA:
Figure 0005859543
で示される組成を含む、胚培養用組成物を提供する。
本発明の1つの実施形態は、上記のテーブルAで示される組成に、電解質、有機酸、糖質、pH指示薬、pH調整剤、pH緩衝剤、抗生物質、ビタミン類、微量金属元素、キレート剤、ホルモン、細胞成長因子、脂質またはその構成成分、担体蛋白質、細胞外基質成分、還元物質、およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む胚培養用組成物を提供する。
本発明の1つの実施形態は、上記のテーブルAで示される組成および電解質を含む胚培養用組成物を提供する。本発明の別の実施形態は、上記のテーブルAで示される組成、電解質、および有機酸および/または糖質を含む胚培養用組成物を提供する。本発明の他の実施形態は、上記のテーブルAで示される組成、電解質、および有機酸および/または糖質を含み、さらにpH指示薬、pH調整剤、pH緩衝剤、抗生物質、ビタミン類、微量金属元素、キレート剤、ホルモン、細胞成長因子、脂質またはその構成成分、担体蛋白質、細胞外基質成分、還元物質、およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、胚培養用組成物もまた提供する。
本明細書で用いる用語「胚培養用組成物」は、配偶子または胚を取り扱うための組成物を意味する。本発明の1つの実施形態において、胚培養用組成物は、受精卵または卵割球を胚盤胞まで、あるいは胚盤胞がハッチングするまで培養することができる。「胚盤胞まで培養することができる」は、限定するものではないが、例えば受精卵または卵割球を2〜8細胞期胚または桑実胚まで培養することを含む。
本発明の1つの実施形態にかかる胚培養用組成物は、精子または卵細胞の採取、成熟、維持または洗浄に、あるいは卵細胞を体外で受精させる際に使用することもできる。本発明の1つの実施形態にかかる胚培養用組成物は、限定するものではないが、胚培養の間に、新鮮な本発明の実施形態にかかる胚培養用組成物に交換してもよい。
「配偶子」は、精子または卵を意味する。本明細書において「胚」は、受精卵、初期胚および核移植胚などの再構築胚を含み、限定するものではないが、ヒト、マウス、ウシ、ウサギ、アカゲザル、ブタ、ラットなどの哺乳動物に由来する胚を含む。「哺乳動物」は、限定するものではないが、ヒト、マウス、ウシ、ウサギ、アカゲザル、ブタまたはラットであってよい。
胚盤胞は、哺乳動物の初期発生において卵割期の終わった胚を表す。胚盤胞は、透明帯(受精膜)に囲まれた内部細胞塊、胞胚腔および栄養外胚葉からなる。胚盤胞のハッチングは、胚が透明帯を脱出する過程を表し、胚が着床に至るために必須の過程である。
胚の構造や生理機能に異常がある培養胚は、ハッチングが遅延するか、またはハッチングしないことが知られている(Reprod Biomed Online 2003; 7: 228-234)。一方、所定の期間内にハッチングした胚盤胞は、所定の期間内にハッチングしない胚盤胞と比較して、着床率が高いこと(Fertil Steril 2000; 74: 163-165)などが知られている。
胚盤胞の細胞数は、胎児発生率と正に相関すること(J Reprod Fertil 1997; 109: 153-164)、および染色体の正常率と正に相関することが知られている(Hum Reprod; 2010: 1916-1926)。
培養胚の品質の評価方法としては、顕微鏡を用いて胚の形態学的特徴、例えば発生速度、胚盤胞到達率、透明帯からの脱出率(ハッチング率)等を評価する方法や、核染色を用いて胚盤胞の細胞数を計測する評価方法などがある。
これらの評価方法のうち、ハッチングに基づく評価方法は、良質の培養胚を選抜するための好適な評価方法の1つである。胚盤胞の細胞数もまた、培養胚の品質を評価する重要な評価方法の1つである。
本発明の1つの実施形態にかかる胚培養用組成物が含有するアミノ酸は、遊離形または薬理学的に許容される塩の形であってよい。本発明の他の実施形態にかかる胚培養用組成物が含有するアミノ酸は、加水分解などにより分解されて遊離アミノ酸に変換され得るものであってもよい。そのようなアミノ酸は、例えば、エステル体、N−アシル体、オリゴペプチドなどであってもよい。
例えば、グルタミンは、グリシル−L−グルタミン、L−アラニル−L−グルタミン、L−ロイシル−L−グルタミン、L−バリル−L−グルタミン、またはL−イソロイシル−L−グルタミン等のグルタミン誘導体であってもよい。これらのグルタミン誘導体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。本発明の1つの実施形態において、グルタミン誘導体は、例えば、グリシル−L−グルタミンまたはL−アラニル−L−グルタミンである。本発明の別の実施形態において、グルタミン誘導体は、グリシル−L−グルタミンである。本発明の別の実施形態において、グルタミン誘導体は、L−アラニル−L−グルタミンである。
別には、例えば、シスチンは、その一部または全部がシステインであってもよい。
本発明の1つの実施形態において、胚培養用組成物が含有するタウリンは、遊離形または薬理学的に許容される塩の形であってよい。本発明の他の実施形態において、胚培養用組成物が含有するタウリンは、脱水素反応などによりタウリンに変換され得るものであってもよい。例えば、そのようなタウリンは、ヒポタウリンであってもよい。
本発明の1つの実施形態にかかる胚培養用組成物は、必要に応じて、電解質、有機酸、糖質、pH指示薬、pH調整剤、pH緩衝剤、抗生物質、ビタミン類、微量金属元素、キレート剤、ホルモン、細胞成長因子、脂質またはその構成成分、担体蛋白質、細胞外基質成分、還元物質、およびポリマーなどからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。
電解質としては、限定するものではないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化カルシウム二水和物、硫酸マグネシウム七水和物、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、およびリン酸水素二カリウムなどが挙げられる。これらの電解質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
有機酸としては、限定するものではないが、ピルビン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、α−ケトグルタル酸、フマル酸、オキサロ酢酸、イソクエン酸、オキサロコハク酸、酒石酸、アジピン酸、乳酸及びこれらの塩が挙げられる。これらの有機酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
糖質としては、限定するものではないが、グルコース、マルトース、フルクトース、キシリトール、ソルビトールおよびトレハロースなどが挙げられる。これらの糖質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
pH指示薬としては、限定するものではないが、フェノールレッドなどが挙げられる。
pH調整剤としては、限定するものではないが、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
pH緩衝剤としては、限定するものではないが、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−2−エタンスルホン酸)、MOPS(3−モノホリノプロパンスルホン酸)、トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン、N−トリス[ヒドロキシメチル]メチル−2−アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。これらのpH緩衝剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
抗生物質としては、限定するものではないが、ペニシリン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、アンホテリシンB、ナイスタチンなどが挙げられる。これらの抗生物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
ビタミン類としては、限定するものではないが、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ニコチン酸、ビオチン、葉酸などが挙げられる。これらのビタミン類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
微量金属元素としては、限定するものではないが、亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレン、コバルトが挙げられる。これらの微量金属元素は、限定するものではないが、遊離形で用いてもよいし、またはこれらの微量金属元素を含有する薬理学的に許容される化合物として用いてもよい。これらの微量金属元素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
キレート剤としては、限定するものではないが、EGTA(エチレングリコールビス四酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EDDA(エチレンジアミン二酢酸)、およびDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)などが挙げられる。これらのキレート剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
ホルモンとしては、限定するものではないが、インスリン、ハイドロコーチゾン、デキサメタゾン、トリヨードサイロニン、ゴナトトロピン、エストロゲン、プロゲステロンなどが挙げられる。これらのホルモンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
細胞成長因子としては、限定するものではないが、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、成長ホルモンなどが挙げられる。これらの細胞成長因子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
脂質またはその構成成分としては、限定するものではないが、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの脂肪酸およびこれらの塩、またはコレステロール、エタノールアミン、コリン、スフィンゴミエリン、カルジオリピンなどが挙げられる。これらの脂質またはその構成成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
担体蛋白質としては、限定するものではないが、アルブミン、トランスフェリン、セルロプラスミンなどが挙げられる。これらの担体蛋白質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。アルブミンとしては、限定するものではないが、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、組換えウシ血清アルブミン、または組換えヒト血清アルブミン、もしくはこれらの混合物であってよい。
細胞外基質成分としては、限定するものではないが、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロナンなどが挙げられる。これらの細胞外基質成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
還元物質としては、限定するものではないが、2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、還元型グルタチオンなどが挙げられる。これらの還元物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
ポリマーとしては、限定するものではないが、PVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、デキストランなどが挙げられる。これらのポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明の実施形態にかかる胚培養用組成物は、常法により構成成分を配合することで製造することができる。例えば、胚培養用組成物は、常法により無菌溶液の形態、希釈型の無菌濃縮液の形態、または溶解型の無菌凍結乾燥剤の形態で製造または供給され得る。
したがって、本発明の実施形態にかかる胚培養用組成物は、無菌溶液の形態、無菌濃縮液の形態、または無菌凍結乾燥剤の形態であってよい。本発明の実施形態にかかる胚培養用組成物が前記の無菌濃縮液の形態または無菌凍結乾燥剤の形態である場合、限定するものではないが、使用前に滅菌水を用いて希釈または溶解して、無菌溶液の形態の胚培養用組成物にすることができる。
実施例1
培地組成
表2は、左欄から培地が含有する成分名、その分子量(M.W.)および含有量を、対照区としてのKSOMaa培地(比較例1)の組成、および実施例1の培地の組成に関して示す。
Figure 0005859543
精子の回収
ICR系雄性マウス(日本SLC)を屠殺後、精巣上体尾部を切り出した。その精巣上体尾部中央の精巣上体管を切開して得られた精子塊を、ミネラルオイル下に作製した0.4%ウシ血清アルブミン含有TYH培地300μL中に採取した。採取した精子塊を37℃、6%CO条件下で1時間、前培養した。
卵子の回収
ICR系雌性マウス(日本SLC)に、PMSG(妊馬血清性性腺刺激ホルモン、あすか製薬、セロトロピン(商標))を7.5国際単位腹腔内に投与した48時間後に、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、あすか製薬、ゴナトロピン(商標))を7.5国際単位腹腔内に投与し、過排卵を誘発させ、hCG投与の15時間後に当該マウスを屠殺した。屠殺後すぐに卵管を切り出した。その卵管の卵管膨大部から卵子−卵丘細胞集合体を、ミネラルオイル下に作製した0.4%ウシ血清アルブミン含有TYH培地300μL中に採取した。採取した卵子−卵丘細胞集合体を、体外受精まで37℃、6%CO条件下で培養した。
体外受精
採取した卵子−卵丘細胞集合体を含むTYH培地中に、前培養した精子を150匹/μLとなるように加えた。37℃、6%COの条件下で6時間、体外受精した後、第2極体および雌雄前核が観察できた卵を受精卵と判定し、直ちに以下の実験に供した。
胚培養試験
実施例1の培地および比較例1の培地につき、60mm径の培養皿にて、0.1%ウシ血清アルブミンを加えた各培地の100μLドロップをミネラルオイル下に作製し、37℃、5%O、6%COの条件下で一晩放置して、平衡化した。
平衡化後の各培地のドロップに受精卵を移した。受精卵を、複数のドロップ中を移動させることにより洗浄した。洗浄した受精卵を、新鮮な各培地のドロップに移し、37℃、5%O、6%COの条件下で4日間培養した。培養4日目の胚を顕微鏡で観察し、受精卵から胚盤胞もしくはハッチング段階に達した胚の割合を算出した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0005859543
平均値±標準誤差
*比較例1の培地と比較して有意差あり(p=0.0065、Wilcoxon検定)
培養4日目に得られた胚盤胞を、DAPI(4’,6-Diamidine-2’-phenylindole dihydrochloride)(Roche社)を用いて蛍光染色し、胚盤胞の細胞数を計測した。得られた結果を表4に示す。
Figure 0005859543
平均値±標準誤差
**比較例1の培地と比較して有意差あり(p=0.0003、Wilcoxon検定)
表3、表4のごとく、比較例1の培地で培養した群と比較して、実施例1の培地で培養した群では、ハッチング率が有意に向上し、かつ胚盤胞の細胞数が有意に増加した。この結果は、本発明の1つの実施の形態に係る実施例1の培地が、比較例1の培地より胚発生の促進作用および質的向上をもたらし得る点で優れていることを示す。
実施例2
前記表2で示した比較例1の培地が含有するアミノ酸組成を、表2で示した実施例1の培地が含有するタウリンを含むアミノ酸組成に置き換えた培地(実施例2)を作製した(表5)。
Figure 0005859543
比較例1の培地および実施例2の培地を用いて、胚培養試験を実施例1に記載の胚培養試験と同様の条件で行った。得られた結果を表6に示す。
Figure 0005859543
平均値±標準誤差
*比較例1の培地と比較して有意差あり(p=0.0467、wilcoxon検定)
表6のごとく、比較例1で培養した群と比較して、本発明の1つの実施の形態に係る実施例2の培地で培養した群では、胚盤胞の細胞数が有意に増加した。このように、本発明の実施の形態に係る胚培養用組成物が含有するタウリンを含むアミノ酸組成は、前記の組成以外の培地組成にかかわらず、胚の発生を促進する作用を有している。
実施例3および4
表2で示した実施例1の培地が含有するタウリンを含むアミノ酸組成の濃度を、0.7倍にした組成を含む培地(実施例3)および1.3倍にした組成を含む培地(実施例4)を作製した(表7)。
Figure 0005859543
表7中、特に記載がない限り、各成分の濃度の単位はmMである。
実施例1の培地、実施例3の培地および実施例4の培地を用いて、胚培養試験を実施例1に記載の胚培養試験と同様の条件で行った。得られた結果を表8および表9に示す。
Figure 0005859543
平均値±標準誤差
各群間で有意差なし(Steel-Dwass検定)
Figure 0005859543
平均値±標準誤差
各群間で有意差なし(Steel-Dwass検定)
表8、表9のごとく、実施例1の培地が含有するタウリンを含むアミノ酸組成の濃度を、0.7倍に変化させた組成を含む培地(実施例3)であっても、1.3倍に変化させた組成を含む培地(実施例4)であっても、その有効性に有意な差は認められなかった。このことより、本実施の形態に係る胚培養用組成物である実施例1の培地が含有するタウリンを含むアミノ酸組成の有効性は、少なくとも0.7倍から1.3倍の濃度範囲で損なわれることはないことが明らかである。
実施例5
ヒト胚培養試験
表10は、左欄から培地が含有する成分名、その分子量(M.W.)および含有量を、実施例5の培地の組成に関して示す。
Figure 0005859543
実施例5の培地に0.05%遺伝子組換えヒトアルブミンを加えた培地の20μLドロップを、35mm径の培養皿のミネラルオイル下に作製し、37℃、4%O、6%COの条件下で一晩放置して平衡化した。
ヒト受精卵は、今後治療に用いる意思がなく、研究使用への同意が得られた凍結融解後の受精卵を用いた。凍結溶解後のヒト受精卵を1個ずつ、平衡化後の各培地に移した。次いで、ヒト受精卵を、複数のドロップ中を移動させることにより洗浄した。洗浄した受精卵を、新鮮な各培地のドロップに移し、37℃、4%O、6%COの条件下で5〜6日間培養した。培養開始2日目から連日胚を顕微鏡で観察し、胚の発生ステージを観察した。得られた代表的な結果を表11に示す。
Figure 0005859543

表11のごとく、本発明の1つの実施の形態に係る実施例5の培地が、良好なヒト胚の培養培地であることが明らかである。

Claims (2)

  1. 以下の表1
    Figure 0005859543
    で示される各種成分の全て、ならびに電解質、有機酸および糖質を含む、胚培養用組成物。
  2. pH指示薬、pH調整剤、pH緩衝剤、抗生物質、ビタミン類、微量金属元素、キレート剤、ホルモン、細胞成長因子、脂質またはその構成成分、担体蛋白質、細胞外基質成分、還元物質、およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項に記載の胚培養用組成物。
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