JP5858396B2 - 覚醒状態維持装置および覚醒状態維持方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環境音を利用して運転者の覚醒状態の低下を抑制する覚醒状態維持装置および覚醒状態維持方法に関する。
高速道路などの単調な道路を走行すると、運転者は、眠気を感じ易くなる。すなわち、運転者の覚醒状態(覚醒水準)の低下が起こり易くなる。
このような運転者の覚醒状態の低下を抑制する技術として、特定の間隔で音楽の特性を変化させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、人の感覚を刺激する音の特性を、覚醒リズムの半周期以下の一定間隔又はランダムな間隔で変化させることで、運転者の覚醒状態を維持している。
特開平8−196637号公報
しかしながら、特許文献1では、変化させる音の特性を音圧とした場合、予め設定された音圧が、予め設定された一定量だけ変化されている。
そのため、車外音が大きい場合は上記方法による音圧の変化量が相対的に小さいため、運転者は音圧変化を感じにくく、十分な覚醒維持の効果を得ることが困難であるという問題がある。
本発明の目的は、音の特性の変化を運転者に知覚させることにより、運転者の覚醒状態を維持させる覚醒状態維持装置および覚醒状態維持方法を提供することである。
本発明の一態様の覚醒状態維持装置は、人の覚醒状態を維持する覚醒状態維持装置であって、車両内部に搭載されたマイクによって取得される聴取音の特性を解析する手段であって、前記聴取音は、前記覚醒状態維持装置が再生する制御音と前記制御音が再生されていない状態での人周辺の環境音とを含む、解析手段と、前記解析手段が解析した前記聴取音を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段が蓄積した前記聴取音の特性を基に、前記環境音に適用する制御方法を設定する設定手段と、前記設定手段が設定した制御方法を前記環境音に適用して前記制御音を生成する生成手段と、を具備する。
本構成によって、聴取音の2つ以上の特定の周波数帯域における音圧の閾値との大小関係の履歴に基づいて、次に環境音に適用する制御方法を設定することが出来るという作用を有し、これにより、同じ周波数特性をもつ聴取音が連続することによる人の聴取音への聞き慣れと聞き慣れが引き起こす覚醒状態の低下を抑制できるという効果を有する。
本発明の一態様の覚醒状態維持装置は、人の覚醒状態を維持する覚醒状態維持装置であって、前記覚醒状態維持装置が再生する制御音と、前記制御音が再生されていない状態での人周辺の環境音と、を合わせた人周辺の聴取音の特性を解析する解析手段と、前記解析手段が解析した前記聴取音を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段が蓄積した前記聴取音の特性を基に、前記環境音に適用する制御方法を設定する設定手段と、前記設定手段が設定した制御方法を前記環境音に適用して、前記制御音を生成する生成手段と、前記聴取音の特性を解析した結果を基に、前記聴取音を人が聞き慣れるまでの聞き慣れ時間を設定する時間設定手段と、前記環境音に適用する前記制御方法を設定するタイミングを制御する時間制御手段と、を具備する。
本構成によって、聴取音に対して人が聞き慣れるまでの聞き慣れ時間を考慮し、人が聴取音に聞き慣れる前に環境音の制御方法を設定できるという作用を有し、これにより、環境音が頻繁に切り替わることによる煩わしさを抑制しつつ、覚醒状態維持効果を提供することが出来るという効果を有する。
本発明によれば、音の特性の変化を運転者に知覚させることにより、運転者の覚醒状態を維持させることができる。
本発明の実施の形態1に係る覚醒状態維持装置の構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1に係る4パターンの音と、聞き慣れとの関係についての評価値を示す図 本発明の実施の形態1に係る車内音蓄積部の処理の説明に供する図 本発明の実施の形態1に係る音圧変化設定部の処理の説明に供する図 本発明の実施の形態1に係る蓄積車内音と音圧変化方法の候補との対応関係を示す図 本発明の実施の形態1に係る覚醒状態維持装置の動作説明に供するフロー図 本発明の実施の形態2に係る覚醒状態維持装置の構成を示すブロック図 本発明の実施の形態2に係る音圧変化設定部の処理の説明に供する図 本発明の実施の形態2に係る蓄積車内音と音圧変化方法の候補との対応関係を示す図 従来技術における音圧変化の説明に供する図 本発明の実施の形態2における音圧変化の説明に供する図 本発明の実施の形態2に係る覚醒状態維持装置の動作説明に供するフロー図 本発明の実施の形態3に係る覚醒状態維持装置の構成を示すブロック図 本発明の実施の形態3に係る音圧変化判定部の処理の説明に供する図 本発明の実施の形態3に係る覚醒状態維持装置の動作説明に供するフロー図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
[実施の形態1]
[覚醒状態維持装置100の構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る覚醒状態維持装置100の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態1では、覚醒状態維持装置および覚醒状態維持方法を車に適用した例を示す。覚醒状態維持装置100は、車両に搭載され、車両の運転者の覚醒状態を維持する。図1において、覚醒状態維持装置100は、車内音取得部101と、切替時間制御部102と、車内音蓄積部103と、環境音分離部104と、音圧変化設定部105と、制御音生成部106と、制御音再生部107とを有する。
車内音取得部101は、例えば、車内に設置した1つ以上のマイクを用いて車内音Srを取得する。ここで、車内音とは、運転者(ドライバ)が車両内で聴取する音(聴取音)であり、マイクによって取得される音である。車内音取得部101は、取得した車内音(車内音信号)Srを切替時間制御部102、車内音蓄積部103、環境音分離部104および制御音生成部106に出力する。
実施の形態1における車内音は、車室内定常走行音である。高速道路を走行中に運転者が通常聴取する車室内定常走行音は、主にロードノイズおよび風切り音を含む。ロードノイズとは、車両のタイヤと路面との摩擦によって発生する音であり、100〜500Hzの周波数帯域(以後、ロードノイズ帯域と呼ぶ)に顕著に現れる。風切り音とは、走行中の車両に風が衝突することにより発生する音であり、1000〜5000Hzの周波数帯域(以後、風切り音帯域と呼ぶ)に顕著に現れる。
ロードノイズ帯域および風切り音帯域は、運転者の眠気を誘発する単調な運転環境下で存在する音の周波数分布において、定常的かつ支配的に存在する。そのため、任意のタイミングで特性を変化させることが容易である。また、音楽やラジオなど運転者が能動的に聴取する車内音に比べて嗜好性が少ないため、効果に個人差が現れにくい。さらに、運転環境下で自然に存在する音であるため、音の特性を変化させる際の違和感が少なく、煩わしさを感じにくい。以上の理由から、音圧変化設定部105において、ロードノイズ帯域および風切り音帯域の音圧を変化させる。音圧変化設定部105の機能については後述する。
切替時間制御部102は、車内音取得部101で取得された車内音Srを基に、前回車内音の特性(例えば音圧)を変化させたタイミングから次に車内音の特性を変化させるまでの期間である切替時間Tを設定する。切替時間制御部102は、設定した切替時間Tを制御し、切替時間Tが経過すると、トリガー信号を、車内音蓄積部103および音圧変化設定部105に出力する。切替時間制御部102は、トリガー信号を車内音蓄積部103および音圧変化設定部105に出力した後、切替時間Tを再び設定する。
具体的には、切替時間制御部102は、時間設定部1021と時間制御部1022とを含む。
時間設定部1021は、車内音取得部101から車内音Srを取得する。時間設定部1021は、取得された車内音Srの特性を解析し、解析された車内音Srの特性に基づいて切替時間Tを算出する。時間設定部1021は、算出された切替時間Tを調整する。時間設定部1021は、調整した切替時間Tをタイマの開始時間として設定する。時間設定部1021は、時間制御部1022のタイマが0になったら車内音Srを車内音取得部101から再び取得し、切替時間Tを算出する。
切替時間Tの算出は、車内音Srの特性のうち周波数帯域、音圧変動、純音成分のうち少なくとも一つに基づいて行われる。周波数帯域に応じた切替時間Tの算出において、時間設定部1021は、車内音Srの高周波帯域の音圧が高いほど、人が車内音Srを聞き慣れるまでの時間(以下、「聞き慣れ時間」と称する)が長くなるため、切替時間Tを長く設定する。音圧特性に応じた切替時間Tの算出においては、時間設定部1021は、車内音Srの音圧変動が大きいほど、聞き慣れ時間が長くなるため、切替時間Tを長く設定する。純音成分に応じた切替時間Tの算出において、時間設定部1021は、Tone To Noise Ratioなどを用いて求めた車内音Srに含まれる純音成分の割合が大きいほど、聞き慣れ時間が長くなるため、切替時間Tを長く設定する。
ここで、車両の100km/h定常走行時における車内音に対し、ロードノイズ成分の周波数帯域(40〜500Hz)の音圧、および風切り音成分の周波数帯域(1k〜5kHz)の音圧のうち少なくとも一方を増減させた4パターンの音と、聞き慣れとの関係についての評価値を説明する。
なお、4パターンの音は、車内音1:車両の100km/h定常走行時の車内音、車内音2:車内音1のロードノイズ帯域の音圧を6dB減衰させた音、車内音3:車内音1の風切り音帯域の音圧を6dB上昇させた音、車内音4:車内音1のロードノイズ帯域の音圧を6dB減衰させ、風切り音帯域の音圧を6dB上昇させた音である。
実験では、車内音1〜4に対して、聞き慣れが生じていない統制された状態において、被験者が十分に聞き分けることが出来る最小の音圧幅を設定し、設定した音圧幅で車内音1〜4を6秒間隔で上下方向に音圧変動させ、音圧変動の有無及びその変動方向をボタン押下によって判断させるタスクを行った。
図2に車内音毎に全被験者で平均して解析した結果を示す。縦軸(Score)は式(1)で表される評価値を表し、横軸(Time)は時間を表している。
Figure 0005858396
ここで、Score Enは評価タイミング(Time)nにおける評価値を表し、Cnは評価タイミングnにおけるタスクの正答率を表し、Iはタスクの入力待ち時間を表し、Rnは評価タイミングnにおける回答時間を表す。図2より、車内音1、車内音2では評価値0.4を下回るのが評価開始から約4分後であるのに対して、車内音3、車内音4では評価開始から6〜7分後となっている。このことから、車内音の高周波成分の音圧が高いほど聞き慣れまでにかかる時間(聞き慣れ時間)が長くなることが分かる。
切替時間Tの調整は、車内音Srへの感度、環境音Seと車内音Srに対する聴取経験のいずれか一方に基づいて行われる。ここで、環境音Seとは車両走行中に発生する走行音である。車内音Srへの感度に応じた切替時間Tの調整は、車内音Srへの感度を年齢、母国語、居住空間などによって推定し、推定した感度に基づいて行われる。すなわち、高齢者の場合は高周波成分(特に1kHz以上)に対する感度が低くなるため、当該帯域に含まれる風切り音成分への感度も低くなり、聞き慣れ時間を短く調整する。
また、子音を多く使う言語(例えば、英語)を母国語とする人は、高周波成分(英語であれば1.5〜5kHz)の音に慣れているために風切り音成分に対する感度が高いのに対し、母音を多く使う言語(例えば、日本語)を母国語とする人は比較的低周波成分(500Hz〜1.5kHz)の音に慣れているために風切り音成分に対する感度が低い。したがって、時間設定部1021は、前者の人に対しては聞き慣れ時間を長く、後者の人に対しては聞き慣れ時間を短く調整する。
また、コンクリートや石の壁などの住居に住む人など音の反射率が高い環境に慣れた人は、高周波成分の音に慣れており、風切り音成分に対する感度が高いため、時間設定部1021は、聞き慣れ時間を長く調整する。一方、日本の伝統的な和室に住む人など音の吸音率の高い環境に慣れた人は、風切り音成分に対する感度は相対的に低いため、時間設定部1021は、聞き慣れ時間を短く調整する。
すなわち、切替時間制御部102は、車内音Sr(聴取音)を聴取する人の車内音Srへの感度を推定する感度推定手段として機能する。時間設定部1021は、切替時間制御部102が推定した人の車内音Srへの感度に応じて、聞き慣れ時間を調整する。
環境音Seに対する聴取経験に応じた切替時間Tの調整では、時間設定部1021は、過去の環境音Seに対する聴取経験を判断し、環境音Seの聴取経験が長いほど聞き慣れ時間が長くなるように調整する。すなわち、同じ車に長年乗っている人、同じ場所をよく運転する人等、覚醒状態維持装置が動作していない環境で聞こえる環境音Seに慣れている人は、覚醒状態維持装置が作り出す車内音Srに気づき易いため、時間設定部1021は、聞き慣れ時間を長く調整する。
車内音Srに対する聴取経験に応じた切替時間Tの調整では、時間設定部1021は、過去の車内音Srに対する聴取経験を判断し、車内音Srの聴取経験が長いほど聞き慣れ時間が短くなるように調整する。すなわち、覚醒状態維持装置が搭載された車両に長期間乗っている人は車内音Srに慣れて車内音Srに対する感度が低くなるため、時間設定部1021は、聞き慣れ時間を短く調整する。
すなわち、切替時間制御部102は、環境音と、車内音Sr(聴取音)を聴取する人の聴取経験を判断する経験判断手段として機能する。時間設定部1021は、切替時間制御部102が判断する環境音と車内音Srの少なくとも一方への人の聴取経験に応じて、聞き慣れ時間を調整する。
なお、切替時間Tは、予め設定された一定値としてもよく、ランダムな値としてもよい。また、切替時間Tは、人の生体情報から決定された値としてもよい。人の生体情報から決定された値としては、例えば、脳波のα波含有率に反比例した値等が挙げられる。切替時間Tを脳波のα波含有率に反比例させることで、覚醒状態が低い場合(α波含有率が高い場合)には、切替時間Tは短くなり、音の特性を高頻度で変化させることが可能となる。また、覚醒状態が高い場合(α波含有率が低い場合)には、切替時間Tは長くなり、音の特性を低頻度で変化させることが可能となる。
時間制御部1022は、時間設定部1021で切替時間Tをタイマの開始時間として設定すると同時にタイマを起動し、タイマがゼロになると(切替時間Tが経過すると)、切替時間Tが経過したこと通知するためのトリガー信号を、車内音蓄積部103および音圧変化設定部105に出力する。つまり、時間制御部1022は、所定の期間毎のタイミングであって、音圧変化設定部105において音圧変化の設定を行うタイミングを制御する。
車内音蓄積部103は、切替時間制御部102から入力されるトリガー信号に従って、車内音取得部101で取得された車内音Srの履歴を蓄積する。図3は車内音蓄積部103が車内音Srを蓄積する様子を示したものである。図3に示すように、車内音蓄積部103は、前回のトリガー信号を取得してから、次にトリガー信号を取得するまでの期間(前回のトリガー取得時から切替時間Tだけ経過するまでの期間)に、車内音取得部101で取得された車内音Srを、蓄積車内音Saとして蓄積する(図3に示す20、21参照)。
車内音蓄積部103は、切替時間制御部102からトリガー信号を取得すると、蓄積車内音Saとしての車内音Srの蓄積を終了し、蓄積車内音San+1(つまり、次の期間での蓄積車内音)としての車内音Srの蓄積を新たに開始する(図3に示す22参照)。このように、車内音蓄積部103は、トリガー信号に従って、切替時間T(所定の期間)毎の車内音を、蓄積車内音として蓄積する。なお、蓄積する車内音は、音そのものでも、音の特性でもよい。
環境音分離部104は、車内音取得部101で取得された車内音Srと、制御音生成部106で生成された制御音(制御音信号)Scとに基づいて、環境音(環境音信号)Seを生成する。環境音分離部104は、生成した環境音Seを、制御音生成部106に出力する。ここで、制御音とは、運転者の覚醒状態を維持するために覚醒状態維持装置100(制御音生成部106)で生成される音である。また、環境音とは、制御音が再生されていない状態における車内音である。つまり、覚醒状態維持装置100が搭載された車両の運転者は、制御音と環境音とが合わされた音を車内音として聴取する。
具体的には、環境音分離部104は、車内音Srを車内音取得部101から取得し、直前に生成されている制御音Scを制御音生成部106から取得する。環境音分離部104は、取得した制御音Scと、予め算出しているスピーカとマイクとの間の伝達関数とを用いて、マイクの位置での制御音Sc’を算出する。スピーカとマイクとの間の伝達関数は、スピーカから出力された音の特性がマイクの位置でどのように変化するかを表したもので、車両の形状によって決定される。環境音分離部104は、車内音Srからマイク位置での制御音Sc’の成分を除去した音を、環境音Seとして抽出(分離)する。
音圧変化設定部105は、切替時間制御部102からトリガー信号が入力されると、車内音蓄積部103に蓄積された蓄積車内音Saに基づいて、次回の制御音Scを生成する際に適用する音圧変化方法を設定する。音圧変化設定部105は、設定した音圧変化方法を、制御音生成部106に出力する。
具体的には、音圧変化設定部105は、比較部1051と設定部1052とを含む。
比較部1051は、車内音蓄積部103で蓄積された車内音(蓄積車内音Sa)の2つ以上の特定の周波数帯域における音圧と、予め設定された閾値とを比較して、各特定の周波数帯域の音圧と閾値との大小関係を判定する。かかる場合、比較部1051は、切替時間制御部102から入力されるトリガー信号に基づいて、所定の期間毎に、上記特定の周波数帯域での音圧と閾値との大小関係を判定する。そして、比較部1051は、各期間での各特定の周波数帯域での音圧と閾値との大小関係(つまり、大小関係の履歴)を保持する。
設定部1052は、比較部1051で判定された、各特定の周波数帯域における大小関係の履歴に応じて、各特定の周波数帯域での音圧変化を設定する。例えば、設定部1052は、特定の周波数帯域のうち、現時点の1つ前の期間(前回の期間)における音圧が閾値未満となる周波数帯域(第1の周波数帯域)の音圧を上昇(増加)させる音圧変化方法を設定する。より具体的には、設定部1052は、比較の結果、現時点の1つ前(前回)の期間における音圧が閾値未満となる特定の周波数帯域が少なくとも1箇所以上存在する場合には、当該特定の周波数帯域のうち少なくとも1箇所以上の周波数帯域の音圧を上昇させる音圧変化方法を設定する。
制御音生成部106は、環境音分離部104で分離された環境音Se、および、音圧変化設定部105で決定された音圧変化方法に基づいて、スピーカから出力する制御音Scを生成する。そして、制御音生成部106は、生成した制御信号Scを環境音分離部104および制御音再生部107に出力する。具体的には、制御音生成部106は、環境音分離部104で分離された環境音Seを取得し、音圧変化設定部105で設定された音圧変化方法を取得し、環境音Seに音圧変化方法を適用して得られる音(つまり、上記特定の周波数帯域の音圧が変化した音)を運転者の耳の位置で再現するための音として、制御音Scを生成する。
制御音再生部107は、制御音生成部106で生成された制御音Scをスピーカから再生する。このように蓄積車内音の履歴に応じて音圧を変化させた制御音が、制御音再生部107のスピーカから出力される。
[覚醒状態維持装置100の動作]
以上の構成を有する覚醒状態維持装置100の動作について説明する。
まず、音圧変化設定部105における音圧変化方法の設定処理について説明する。
ここでは、蓄積車内音Saの周波数分布(蓄積車内音周波数分布)Fsにおける特定の周波数帯域を、ロードノイズ帯域および風切り音帯域の2つの帯域として環境音に対してこれらの帯域の音圧を変化させて制御音を生成する場合の音圧変化方法の候補を示す。
また、ここでは、音圧変化設定部105の比較部1051において、蓄積車内音の比較対象(つまり、閾値)となる音の周波数分布を、基準音の周波数分布(基準周波数分布)Fbという。
よって、特定の周波数帯域(ロードノイズ帯域および風切り音帯域)において、蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧以上の場合を“大”で表し、蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧未満の場合を“小”で表す。また、次回の制御音Scの生成の際に音圧を増加させる場合を“上昇”で表し、音圧を減少させる場合を“減衰”で表し、音圧を変化させない場合を“−”で表す。
図4に、音圧変化設定部105における音圧変化方法の設定処理の一例を示す。図4において、横軸は周波数を表し、縦軸は音圧レベルを表す。
音圧変化設定部105の比較部1051は、蓄積車内音周波数分布Fsのロードノイズ帯域および風切り音帯域での音圧と、基準周波数分布Fbのロードノイズ帯域および風切り音帯域での音圧とをそれぞれ比較する。例えば、図4に示す401では、前回(現時点の1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsにおいて、ロードノイズ帯域が“大”であり、風切り音帯域が“小”である。
そこで、音圧変化設定部105の設定部1052は、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧未満である風切り音帯域の音圧を上昇させる音圧変化方法を設定する。すなわち、設定部1052は、ロードノイズ帯域の音圧を変化させず、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法(404)、又は、ロードノイズ帯域の音圧を“減衰”させ、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法(405)のいずれかを選択する。
なお、音圧変化設定部105の設定部1052では、ロードノイズ帯域の音圧および、風切り音帯域の音圧を“上昇”または、“減衰”させる音圧変化方法を設定したが、ロードノイズ帯域以外の音圧および、風切り音帯域以外の音圧を“減衰”または、“上昇”させる音圧変化方法を設定してもよい。
そして、制御音生成部106は、音圧変化設定部105で設定された音圧変化方法を環境音Seの周波数分布(環境音周波数分布)Feに適用することで、図4に示す404又は405のように、運転者の耳の位置での新たな車内音Sr’の周波数分布(新車内音周波数分布)Fr’が得られる。制御音生成部106は、車内音取得部から車内音Srを取得し、取得した車内音Srの周波数分布Fr(車内音周波数分布)を新車内音周波数分布にするための制御音Scを算出する。図4に示す404および405に示す新車内音周波数分布Fr’では、前回(1回前)の期間において基準周波数分布Fbの音圧未満である風切り音帯域の音圧が何れも上昇し、基準周波数分布Fbの音圧以上に変化している。
音圧変化設定部105は、図4に示す401以外の他の蓄積車内音周波数分布Fs(400、402および403)についても同様にして、音圧変化方法を設定する。
図5は、ロードノイズ帯域および風切り音帯域における、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsと基準周波数分布Fb(閾値)との大小関係(“大”又は“小”)と、音圧変化方法との対応関係をまとめた表である。
例えば、図5に示すように、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsにおいて、ロードノイズ帯域が“大”であり、風切り音帯域が“小”である場合(図4に示す401)に対して、ロードノイズ帯域の音圧を“減衰”させ、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補(図4に示す405)、又は、ロードノイズ帯域の音圧を変化させず、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補(図4に示す404)が対応付けられている。
同様に、図5に示すように、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsにおいて、ロードノイズ帯域が“小”であり、風切り音帯域が“大”である場合(図4に示す402)に対して、ロードノイズ帯域の音圧を“上昇”させ、風切り音帯域の音圧を“減衰”させる音圧変化方法の候補、又は、ロードノイズ帯域の音圧を“上昇”させ、風切り音帯域の音圧を変化させない音圧変化方法の候補が対応付けられている。
また、図5に示すように、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsにおいて、ロードノイズ帯域が“小”であり、風切り音帯域が“小”である場合(図4に示す403)に対して、ロードノイズ帯域および風切り音帯域の双方の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補、又は、ロードノイズ帯域および風切り音帯域の何れか一方の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補が対応付けられている。
なお、図5では、1回前の期間における蓄積車内音において、各特定の周波数帯域と基準周波数分布の音圧との比較結果が全て“大”である場合(図4に示す400)には、いずれの特定の周波数帯域でも音圧を変化させない。
すなわち、音圧変化設定部105は、図5に示すように、車内音の各特定の周波数帯域の音圧と閾値(基準音の各特定の周波数帯域の音圧)との大小関係の履歴(ここでは現時点の1つ前の期間における大小関係の履歴)に応じて、各特定の周波数帯域での音圧変化方法を決定する。具体的には、図5に示すように、上記大小関係の履歴は、所定の期間(ここではトリガー信号によって区切られる期間)毎の大小関係のパターンで表され、音圧変化設定部105の設定部1052は、上記大小関係のパターンの候補(図5では4つのパターン候補)に音圧変化方法の候補がそれぞれ対応付けられた対応関係に基づいて、各特定の周波数帯域での音圧変化を設定する。
また、上記対応関係では、図5に示すように、1回前の期間(現時点の1つ前の期間)における特定の周波数帯域の音圧が閾値(基準音の音圧)未満となるパターンに対して、当該特定の周波数帯域の音圧を増加させる音圧変化方法の候補が対応付けられている。
このようにして、覚醒状態維持装置100は、1回前の蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧未満である特定の周波数帯域を上昇させて得られる制御音を再生する。ここで、基準周波数分布の音圧以上の音圧を上昇させるよりも、基準周波数分布の音圧未満の音圧を上昇させる方が、運転者が知覚できる音圧の変化量は大きくなる。すなわち、音圧が元々大きい周波数帯域の音圧(基準周波数分布の音圧以上)を上昇させるよりも、音圧が元々小さい周波数帯域の音圧(基準周波数分布の音圧未満)を上昇させる方が、運転者に対して音の特性の変化(ここでは音圧差)をより知覚させることができる。
よって、覚醒状態維持装置100は、運転者が聴取していた音(蓄積車内音)のうち、音圧がより小さい特定の周波数帯域の音圧を上昇させることで、音の特性を大きく変化させた音を運転者に確実に聴取させることが可能となり、運転者の覚醒状態を維持させることができる。
次に、覚醒状態維持装置100における処理の流れについて説明する。図6は、覚醒状態維持装置100の動作説明に供するフロー図である。
ステップS101では、車内音取得部101は、例えばマイクを用いて、車内音Srを取得する。
ステップS102では、切替時間制御部102は、車内音Srの特性を解析し、ステップS103では、切替時間制御部102は、切替時間Srの特性から切替時間Tを設定する。
ステップS104では、車内音蓄積部103は、ステップS101において取得された車内音Srを蓄積車内音Saに蓄積する。
ステップS105では、切替時間制御部102は、現時点で保持している切替時間T(ステップS103で設定した値)から、所定時間(タイマ開始時からの経過時間)ΔTを減算することにより、更新された切替時間T(=T−ΔT)を算出する。
ステップS106では、切替時間制御部102は、ステップS105で更新された切替時間Tがゼロ以下であるか否かを判定する。更新された切替時間Tがゼロ以下でない場合(ステップS106:NO)、ステップS107では、車内音取得部101は、車内音Srを取得し、ステップS104の処理に戻る。ステップS107および、ステップS104からステップS106までの処理は、更新された切替時間Tがゼロ以下であると判定されるまで繰り返される。
更新された切替時間Tがゼロ以下であると判定される場合(ステップS106:YES)、ステップS108では、車内音取得部101は、車内音Srを取得し、ステップS109では、切替時間制御部102は、車内音Srの特性を解析し、ステップS110では、切替時間制御部102は、切替時間Srの特性から切替時間Tを新たに設定する。ステップS111では、車内音蓄積部103は、車内音Srの蓄積を、蓄積車内音Saから次の期間に対応する蓄積車内音San+1に切り替える(つまり、n=n+1とする)。
ステップS112では、音圧変化設定部105は、蓄積車内音(車内音の履歴)Saに基づいて、次回の制御音Scを生成する際に用いる音圧変化方法を決定する。例えば、音圧変化設定部105の比較部1051は、蓄積車内音周波数分布Fsの特定の周波数帯域の音圧と、基準周波数分布Fbの上記特定の周波数帯域に対応する周波数帯域の音圧との大小関係を、切替時間Tで区切られる所定の期間毎に判定する。そして、音圧変化設定部105の設定部1052は、例えば、図5に示す対応関係に応じて、音圧変化方法を決定する。
ステップS113では、車内音蓄積部103は、ステップS108で取得された車内音Srを蓄積車内音Saに蓄積する。
ステップS114では、環境音分離部104は、ステップS108で取得された車内音Srと、制御音Scとに基づいて、環境音Seを分離する。この際、環境音分離部104は、制御音Scが存在しない場合は、車内音Srを環境音Seとする。
ステップS115では、制御音生成部106はステップS114で得られた環境音Seに、ステップS112で決定された音圧変化方法を適用して、制御音Scを生成し、制御音再生部107は、生成された制御音Scを再生する。
ステップS116では、切替時間制御部102は、現時点で保持している切替時間T(ステップS110で設定した値)から、所定時間(タイマ開始時からの経過時間)ΔTを減算することにより、更新された切替時間T(=T−ΔT)を算出する。
ステップS117では、切替時間制御部102は、ステップS116で更新された切替時間Tがゼロ以下であるか否かを判定する。更新された切替時間Tがゼロ以下でない場合(ステップS117:NO)、ステップS118では、車内音取得部101は、車内音Srを取得し、ステップS113の処理に戻る。ステップS118および、ステップS113からステップS117までの処理は、更新された切替時間Tがゼロ以下であると判定されるまで繰り返される。
更新された切替時間Tがゼロ以下であると判定される場合(ステップS117:YES)、ステップS108からの処理を再び行う。
以上のように本実施の形態によれば、覚醒状態維持装置100において、車内音蓄積部103が、覚醒状態維持装置100が再生する制御音と、制御音が再生されていない状態の運転者周辺の環境音と、が合わされた車内音を蓄積し、音圧変化設定部105の比較部1051が蓄積された車内音の2つ以上の特定の周波数帯域における音圧と、予め設定された閾値とを比較して、各特定の周波数帯域の音圧と閾値との大小関係を判定し、音圧変化設定部105の設定部1052が各特定の周波数帯域における大小関係の履歴に応じて、各特定の周波数帯域での音圧変化を設定し、制御音生成部106が、設定部1052で設定された音圧変化を環境音に適用して、制御音を生成し、時間設定部1021が、車内音の特性を解析した結果を基に切替時間Tを設定し、時間制御部1022が、環境音Seに適用する音圧変化方法を設定するタイミングを設定する。
こうすることで、運転者は、運転者が過去に聴取している車内音の履歴(ここでは、車内音と閾値との大小関係の履歴)に応じて音圧を変化させた車内音を、特定の期間毎(切替時間T経過毎)に確実に聴取することができる。具体的には、運転者は、音圧変化を知覚しやすい音圧(蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧未満である周波数帯域の音圧)を変化(上昇)させた車内音を聴取することができる。よって、本実施の形態によれば、音の特性の変化を確実に運転者に知覚させることにより、運転者の覚醒状態を維持させることができる。
なお、本実施の形態では、図5において、全ての特定の周波数帯域で、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧以上の場合には、何れの音圧も変化させない場合について説明した。しかし、全ての特定の周波数帯域において、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧以上となる場合に対して、特定の周波数帯域のうち少なくとも1箇所以上の周波数帯域の音圧を減衰させる音圧変化方法の候補を対応付けてもよい。例えば、1回前の蓄積車内音の履歴が、(ロードノイズ帯域:大、風切り音帯域:大)である場合に対して、ロードノイズ帯域および風切り音帯域の双方、又は、いずれか一方の音圧変化が“減衰”となる音圧変化方法を対応付けてもよい。つまり、この場合には、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧未満の周波数帯域では、音圧を上昇させるか変化させないかの音圧変化方法が適用され、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧以上の周波数帯域では音圧を減衰させるか変化させないかの音圧変化方法が適用される。この場合でも、覚醒状態維持装置100は、運転者に対して、前回聴取した車内音と、今回聴取した車内音との間で、音圧変化(音圧の減衰)を知覚させることが可能となる。
また、本実施の形態において、覚醒状態維持装置100は、例えば、図5に示す対応関係を示すテーブルを保持し、1回前の期間における蓄積車内音の音圧と閾値(基準音の音圧)との大小関係と、上記テーブルとに基づいて、音圧変化方法を特定してもよい。
[実施の形態2]
実施の形態1では、1回前(現時点の1つ前)の期間における蓄積車内音のみを用いる場合について説明したのに対し、本実施の形態では、2回前(現時点の2つ前)の期間における蓄積車内音を用いる場合について説明する。
図7は、本実施の形態に係る覚醒状態維持装置200の構成を示すブロック図である。図7において、覚醒状態維持装置200では、覚醒状態維持装置100(図1)と比較して、音圧変化設定部201における処理が実施の形態1の音圧変化設定部105と異なる。
図7において、音圧変化設定部201は、切替時間制御部102からトリガー信号を取得すると、前回(1回前)のトリガー信号を取得してから今回のトリガー信号を取得するまでに車内音蓄積部103で蓄積されていた蓄積車内音Sa、および、前々回(2回前)のトリガー信号を取得してから前回(1回前)のトリガー信号を取得するまでに車内音蓄積部103で蓄積された蓄積車内音San−1を取得し、環境音分離部104から環境音Seを取得する。そして、音圧変化設定部201は、蓄積車内音Sa、蓄積車内音San−1、および環境音Seに基づいて、次回の制御音Scを生成する際に適用する音圧変化方法を設定する。
具体的には、音圧変化設定部201は、取得した蓄積車内音Saの周波数分布(蓄積車内音周波数分布)Fsを算出し、蓄積車内音San−1の周波数分布(蓄積車内音周波数分布)Fsn−1を算出し、環境音Seの周波数分布(環境音周波数分布)Feを算出する。音圧変化設定部201の比較部2011は、蓄積車内音周波数分布Fsにおける少なくとも2箇所以上の特定の周波数帯域の音圧と、基準周波数分布Fbの上記特定の周波数帯域に対応する周波数帯域の音圧(閾値)とを比較して、1回前の期間における各特定の周波数帯域の音圧と閾値との大小関係を判定する。そして、音圧変化設定部201の設定部2012は、実施の形態1と同様、比較部2011での比較の結果、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧未満となる特定の周波数帯域(第1の周波数帯域)が少なくとも1箇所以上存在する場合には、当該特定の周波数帯域のうち少なくとも1箇所以上の周波数帯域の音圧を上昇させる音圧変化方法の候補を設定する。
次いで、音圧変化設定部201は、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧以上となる特定の周波数帯域での音圧変化方法を設定する。例えば、音圧変化設定部201は、上記第1の周波数帯域で設定される音圧変化方法の候補を環境音Seに適用して、候補音周波数分布Fcを算出する。音圧変化設定部201の比較部2011は、上記第2の周波数帯域において、算出された候補音周波数分布Fcと基準周波数分布Fbとの間で音圧の大小関係を比較するとともに、前々回の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1と基準周波数分布Fbとの間で上記第2の周波数帯域での音圧の大小関係を比較する。そして、音圧変化設定部201は、候補音周波数分布Fcと蓄積車内音周波数分布Fsn−1との間で、基準周波数分布Fbの音圧に対する大小関係が同一の場合には、上記第2の周波数帯域での音圧を減衰させる音圧変化の候補を設定し、基準周波数分布Fbの音圧に対する大小関係が異なる場合には、上記第2の周波数帯域での音圧を変化させない音圧変化の候補を設定する。
すなわち、音圧変化設定部201は、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧未満となる特定の周波数帯域(第1の周波数帯域)に対しては、実施の形態1と同様、音圧を上昇させる。更に、音圧変化設定部201は、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧以上となる特定の周波数帯域(第2の周波数帯域)に対して、蓄積車内音周波数分布Fsn−1の音圧と異ならせるように音圧を変化(減衰又は不変)させる。換言すると、音圧変化設定部201は、音圧変化後の周波数分布と、前々回の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1とが異なるように、音圧変化方法を設定する。
次に、音圧変化設定部201における音圧変化方法の設定処理について説明する。
ここでは、実施の形態1と同様、蓄積車内音周波数分布における特定の周波数帯域を、ロードノイズ帯域および風切り音帯域の2つの帯域とした場合の音圧変化方法の候補を示す。
また、実施の形態1と同様、特定の周波数帯域(ロードノイズ帯域および風切り音帯域)において、蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧以上の場合を“大”で表し、蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧未満の場合を“小”で表す。また、次回の制御音Scの生成の際に音圧を増加させる場合を“上昇”で表し、音圧を減少させる場合を“減衰”で表し、音圧を変化させない場合を“−”で表す。また、発生し得ない音圧の履歴パターンには音圧変化方法が対応付けられていない。
図8に、音圧変化設定部201における音圧変化方法の設定処理の一例を示す。図8において、横軸は周波数を表し、縦軸は音圧レベルを表す。
音圧変化設定部201の比較部2011は、蓄積車内音周波数分布Fsのロードノイズ帯域および風切り音帯域での音圧と、基準周波数分布Fbのロードノイズ帯域および風切り音帯域での音圧とをそれぞれ比較する。例えば、図8に示す401では、前回(現時点の1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsにおいて、ロードノイズ帯域が“大”であり、風切り音帯域が“小”である。
そこで、音圧変化設定部201の設定部2012は、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧未満である風切り音帯域(第1の周波数帯域)の音圧を上昇させる音圧変化方法を設定する。すなわち、設定部2012は、音圧が基準周波数分布Fbの音圧未満である風切り音帯域の音圧を、前々回(現時点の2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1に依らず、上昇させる。これにより、図8の404に示すように、環境音Seの風切り音帯域における音圧を変化させた候補音周波数分布Fcが得られる。
次いで、設定部2012は、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧以上であるロードノイズ帯域(第2の周波数帯域)の音圧を設定する。具体的には、設定部2012は、ロードノイズ帯域において、前々回(現時点の2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1と、候補音周波数分布Fcとが異なるように音圧変化を決定する。すなわち、設定部2012は、前々回(2つ前)の期間での蓄積車内音と、候補音(1つ前の期間における上記大小関係に基づいて設定された風切り音帯域(第1の周波数帯域)の音圧変化を環境音に適用して得られる車内音候補)との間で、風切り音帯域(第1の周波数帯域)での閾値に対する大小関係、および、ロードノイズ帯域(第2の周波数帯域)での閾値に対する大小関係のうち少なくとも一方の大小関係が異なるように、ロードノイズ帯域(第2の周波数帯域)の音圧変化を設定する。
図8に示す406〜410は、前々回(2回前)の期間で発生し得る蓄積車内音周波数分布Fsn−1と基準周波数分布Fbとの関係をそれぞれ示す。
例えば、図8において、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1が406(ロードノイズ帯域:大、風切り音帯域:大)である場合について説明する。
404のロードノイズ帯域は“大”であり、406のロードノイズ帯域は“大”である。つまり、基準周波数分布Fbの音圧(閾値)に対する大小関係が404と406とでは同一である。
ここで、例えば、蓄積車内音周波数分布Fsが401であり、蓄積車内音周波数分布Fsn−1が406である場合に、ロードノイズ帯域の音圧を変化させない場合には、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)では、ロードノイズ帯域が“大”となり、風切り音帯域が“大”となる。すなわち、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)と前々回の期間での車内音周波数分布(Fsn−1)とが近似した周波数分布となってしまう。つまり、次回の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)は、前々回の期間での車内音周波数分布(Fsn−1)である406に再び戻ってしまい、単調な音圧変化となってしまう。
一方、上述したように、蓄積車内音周波数分布Fsが401であり、蓄積車内音周波数分布Fsn−1が406である場合に、ロードノイズ帯域の音圧を減衰させると、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)では、ロードノイズ帯域が“小”となり、風切り音帯域が“大”となる(411)。すなわち、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)と前々回の期間での車内音周波数分布(Fsn−1)とが異なる周波数分布となる。つまり、次回の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)は、前々回の期間での車内音周波数分布(Fsn−1)である406とは異なり、複数の期間に渡って異なるパターンの音圧変化が得られる。
そこで、設定部2012は、ロードノイズ帯域での音圧を減衰させる音圧変化の候補を設定する。すなわち、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsが401(ロードノイズ帯域:大、風切り音帯域:小)であり、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1が406(ロードノイズ帯域:大、風切り音帯域:大)である場合、設定部2012は、ロードノイズ帯域の音圧を減衰させ、風切り音帯域の音圧を上昇させる音圧変化方法(411)を設定する。
同様に、例えば、図8において、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1が408(ロードノイズ帯域:小、風切り音帯域:大)である場合について説明する。
404のロードノイズ帯域は“大”であり、408のロードノイズ帯域は“小”である。つまり、基準周波数分布Fbの音圧(閾値)に対する大小関係が404と408とでは異なる。
ここで、例えば、蓄積車内音周波数分布Fsが401であり、蓄積車内音周波数分布Fsn−1が408である場合に、ロードノイズ帯域の音圧を減衰させると、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)では、ロードノイズ帯域が“小”となり、風切り音帯域が“大”となる。すなわち、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)と前々回の期間での車内音周波数分布(Fsn−1)とが近似した周波数分布となってしまう。一方、蓄積車内音周波数分布Fsが401であり、蓄積車内音周波数分布Fsn−1が408である場合に、ロードノイズ帯域の音圧を変化させない場合、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)では、ロードノイズ帯域が“大”となり、風切り音帯域が“大”となる(412)。すなわち、次の期間での車内音周波数分布(Fsn+1)と前々回の期間での車内音周波数分布(Fsn−1)とが異なる周波数分布となる。
そこで、設定部2012は、ロードノイズ帯域での音圧を変化させない音圧変化の候補を設定する。すなわち、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsが401(ロードノイズ帯域:大、風切り音帯域:小)であり、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1が408(ロードノイズ帯域:小、風切り音帯域:大)である場合、設定部2012は、ロードノイズ帯域の音圧を変化させず、風切り音帯域の音圧を上昇させる音圧変化方法(412)を設定する。
図8に示す蓄積車内音周波数分布Fsが401である場合において、蓄積車内音周波数分布Fsn−1が他のパターン(409,410)である場合についても同様にして音圧変化方法(413,414)がそれぞれ対応付けられる。
なお、ここでは、図8に示す401と407とが発生する場合、つまり、前回の蓄積車内音周波数分布および前々回の蓄積車内音周波数分布と、基準周波数分布との大小関係が同一となる場合は発生し得ないことを想定しているため、音圧変化方法の候補は対応付けられていない。また、図8に示す410(2回前の期間の蓄積車内音が無い場合)には、設定部2012は、1回前の蓄積車と音圧変化適用後の環境音との間で、閾値に対する大小関係がロードノイズ帯域および風切り音帯域の双方で異なるように、音圧変化方法を設定している。
また、図8に示す蓄積車内音周波数分布Fsが400、402、403である場合に対しても401と同様にして、音圧変化方法が設定される。
このように、音圧変化設定部201において、比較部2011は、現時点の1つ前の期間および2つ前の期間における、各特定の周波数帯域の音圧と閾値(基準音の音圧)との大小関係を判定する。そして、設定部2012は、特定の周波数帯域のうち、現時点の1つ前の期間における音圧が閾値未満となる周波数帯域(第1の周波数帯域)の音圧を増加させ、現時点の1つ前の期間における音圧が閾値以上となる周波数帯域(第2の周波数帯域)の音圧を、現時点の2つ前の期間以前(ここでは2つ前の期間のみ)での車内音の音圧に基づいて変化させる。かかる場合、設定部2012は、現時点の2つ前の期間での音圧が閾値(基準音の音圧)未満となる第2の周波数帯域の音圧を変化させず(例えば、図8に示す412,413)、現時点の2つ前の期間での音圧が閾値以上となる第2の周波数帯域の音圧を減少させる(例えば、図8に示す411)。
図9は、ロードノイズ帯域および風切り音帯域における、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsおよび前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1のそれぞれと、基準周波数分布Fb(閾値)との大小関係(“大”又は“小”)と、音圧変化方法の候補との対応関係をまとめた表である。
例えば、図9に示すように、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsにおいて、ロードノイズ帯域が“大”であり、風切り音帯域が“小”である場合(図8に示す401)について説明する。
この場合、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1において、ロードノイズ帯域が“大”であり、風切り音帯域が“大”である場合(図8に示す406)に対して、ロードノイズ帯域の音圧を“減衰”させ、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補(図8に示す411)が対応付けられている。同様に、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1において、ロードノイズ帯域が“小”であり、風切り音帯域が“大”である場合(図8に示す408)に対して、ロードノイズ帯域の音圧を変化させず、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補(図8に示す412)が対応付けられている。また、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1において、ロードノイズ帯域が“小”であり、風切り音帯域が“小”である場合(図8に示す409)に対して、ロードノイズ帯域の音圧を変化させず、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補(図8に示す413)が対応付けられている。また、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1が無い場合(図8に示す410)に対して、ロードノイズ帯域の音圧を減衰させ、風切り音帯域の音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補(図8に示す414)が対応付けられている。なお、前々回(2回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1において、ロードノイズ帯域が“大”であり、風切り音帯域が“小”である場合(図8に示す407)、つまり、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布Fsと同一である場合に対しては音圧変化方法の候補が対応付けられていない。
図9では、上述した履歴パターン以外の他の履歴パターンについても同様にして音圧変化方法の候補が対応付けられている。
すなわち、音圧変化設定部201は、図9に示すように、車内音の各特定の周波数帯域の音圧と閾値(基準音の各特定の周波数帯域の音圧)との大小関係の履歴(ここでは現時点の1つ前の期間、および、2つ前の期間における大小関係の履歴)に応じて、各特定の周波数帯域での音圧変化方法を決定する。具体的には、図9に示すように、上記大小関係の履歴は、所定の期間(ここではトリガー信号によって区切られる期間)毎の大小関係のパターンで表され、音圧変化設定部201の設定部2012は、上記大小関係のパターンの候補(図9では20個のパターン候補)に音圧変化方法の候補がそれぞれ対応付けられた対応関係に基づいて、各特定の周波数帯域での音圧変化を設定する。
ここで、図9に示す対応関係において、前回(1回前)の期間での蓄積車内音(車内音の履歴)に着目する。図9に示すように、上記対応関係では、実施の形態1(図5)と同様、1回前の期間(現時点の1つ前の期間)における特定の周波数帯域の音圧が閾値(基準音の音圧)未満となるパターンに対して、当該特定の周波数帯域の音圧を増加させる音圧変化の候補が対応付けられている。1回前の期間における特定の周波数帯域の音圧が基準周波数分布の音圧(閾値)未満となるパターンに対しては、当該特定の周波数帯域の少なくとも1つ以上の帯域における音圧を“上昇”させる音圧変化方法の候補が対応付けられている。
なお、音圧変化設定部201の設定部2012では、ロードノイズ帯域の音圧および、風切り音帯域の音圧を“上昇”または、“減衰”させる音圧変化方法を設定したが、ロードノイズ帯域以外の音圧および、風切り音帯域以外の音圧を“減衰”または、“上昇”させる音圧変化方法を設定してもよい。
これにより、実施の形態1と同様、覚醒状態維持装置200は、運転者が聴取していた音(蓄積車内音)のうち、音圧がより小さい特定の周波数帯域の音圧を上昇させることで、音の特性を大きく変化させた音を運転者に確実に聴取させることが可能となり、運転者の覚醒状態を維持させることができる。
これに対して、図9に示すように、上記対応関係では、2つ以上の特定の周波数帯域のうち、1回前の期間(現時点の1つ前の期間)における音圧が閾値(基準音の音圧)以上となる特定の周波数帯域において、2回前の期間(現時点の2つ前の期間)での音圧が閾値未満となるパターンに対して、当該特定の周波数帯域の音圧を変化させない音圧変化方法の候補が対応付けられ、2回前の期間での音圧が閾値以上となるパターンに対して、当該特定の周波数帯域の音圧を減少させた音圧変化方法の候補が対応付けられている。すなわち、図9において、前回(1回前)の期間での蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧(閾値)以上となる特定の周波数帯域では、前々回(2回目)の蓄積車内音の音圧の大きさ(閾値に対する大小関係)に基づいて減衰させるか、変化させないかのいずれかが決定されている。
これにより、図8に示すように、音圧変化後の周波数分布(411〜414)と、対応する前々回の期間での蓄積車内音周波数分布(406〜410)とは、異なる周波数分布となる。具体的には、図8に示す411〜414と406〜410とをそれぞれ比較すると、ロードノイズ帯域および風切り音帯域の双方又はいずれか一方の帯域において、基準周波数分布との音圧の大小関係が異なる。つまり、覚醒状態維持装置200は、前々回の期間で再生された音と異なる音を再生することで、期間毎に環境音の音圧を変化させる際に同一の(又は近似した)周波数分布の音が繰り返し再生されること(音の単調な繰り返し)を防ぐことができる。
例えば、従来技術(例えば、特許文献1参照)では、図10に示すように、音圧(図10に示す1000)を一定の間隔で変化させることで運転者の感覚を刺激することが可能である。しかし、一定量の音圧変化が時間の経過と伴に単調に繰り返されるため、運転者が長期的に音を聴取する場合には覚醒状態の低下を招く可能性がある。これに対して、本実施の形態では、図11に示すように、音圧切替タイミング(切替時間Tが経過するタイミング)で特定の周波数帯域の音圧(図11では、ロードノイズ帯域の1100及び風切り音帯域の1101)を変化させる際、少なくとも前々回および前回に再生した音の特性と異なる特性を有する音を再生する。これにより、同一の(又は近似した)周波数分布の音が繰り返し再生されることを防ぎ、運転者が長期的に音を聴取する場合でも覚醒状態を維持することが可能となる。
次に、覚醒状態維持装置200における処理の流れについて説明する。図12は、覚醒状態維持装置200の動作説明に供するフロー図である。なお、図12において、実施の形態1(図6)と同一の処理には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
図12において、ステップS201では、音圧変化設定部201は、蓄積車内音Sa、蓄積車内音San−1および環境音Seに基づいて、次回の制御音Scを生成する際に用いる音圧変化方法を決定する。例えば、音圧変化設定部201の比較部2011は、蓄積車内音周波数分布Fsおよび蓄積車内音周波数分布Fsn−1の特定の周波数帯域の音圧と、基準周波数分布Fbの上記特定の周波数帯域に対応する周波数帯域の音圧との大小関係を、切替時間Tで区切られる所定の期間毎に判定する。そして、音圧変化設定部201の設定部2012は、例えば、図9に示す対応関係に応じて、音圧変化方法を決定する。
こうすることで、実施の形態1と同様、運転者は、音圧変化を知覚しやすい音圧(蓄積車内音周波数分布の音圧が基準周波数分布の音圧未満である周波数帯域の音圧)を変化(上昇)させた車内音を聴取することができる。更に、音圧の変化パターンが単調になることを防ぐことで、運転者は、長期的に音を聴取する場合でも、運転者の感覚を刺激し続けることができる。よって、本実施の形態によれば、音の特性の変化を確実に、かつ、長期間に渡って、運転者に知覚させることにより、運転者の覚醒状態を維持させることができる。
なお、本実施の形態において、覚醒状態維持装置200は、上述した方法とは別の方法に従って音圧変化方法を設定してもよい。
例えば、音圧変化設定部201(図7)は、特定の周波数帯域において、蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧未満の場合、本実施の形態と同様、当該特定の周波数帯域(第1の周波数帯域)での音圧を増加(上昇)させる音圧変化方法の候補を選択する。
次いで、音圧変化設定部201は、上記第1の周波数帯域で選択された音圧変化方法の候補を環境音Seに適用し、かつ、第2の周波数帯域(蓄積車内音周波数分布Fsの音圧が基準周波数分布Fbの音圧以上の周波数帯域)で設定され得る音圧変化方法(音圧を減衰させる方法、又は、音圧を変化させない方法)をそれぞれ適用して、複数の候補音周波数分布Fcを算出する。例えば、図4を用いると、蓄積車内音周波数分布Fsが401の場合には、候補音周波数分布Fcとして404および405が算出される。
次いで、音圧変化設定部201は、算出した各候補音周波数分布Fcと基準周波数分布(閾値)Fbとの間で特定の周波数帯域での音圧の大小関係を判定し、前々回の期間での蓄積車内音周波数分布Fsn−1と基準周波数分布Fbとの間で特定の周波数帯域での音圧の大小関係を判定する。そして、音圧変化設定部201は、各候補音周波数分布Fcと蓄積車内音周波数分布Fsn−1との間で、基準周波数分布Fbの音圧に対する大小関係が逆になっている箇所の最も多い候補音周波数分布Fcに適用されている音圧変化方法の候補を、次回の制御音Scの生成の際に用いる音圧変化方法として決定する。これにより、本実施の形態と同様、音圧変化方法を適用後の周波数分布と、前々回の期間での蓄積車内音周波数分布とが異なる周波数分布となるので、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、覚醒状態維持装置200は、例えば、図9に示す対応関係を示すテーブルを保持し、1回前の期間および2回前の期間のそれぞれにおける蓄積車内音の音圧と閾値(基準音の音圧)との大小関係と、上記テーブルとに基づいて、音圧変化方法を特定してもよい。
[実施の形態3]
本実施の形態では、環境音Se(例えば、ロードノイズ又は風切り音)が変動する場合について説明する。
以下、実施の形態1と異なる部分のみ説明する。図13は、本実施の形態に係る覚醒状態維持装置300の構成を示すブロック図である。図13において、覚醒状態維持装置300では、覚醒状態維持装置100(図1)と比較して、音圧変化判定部301が追加され、切替時間制御部302における処理が実施の形態1の切替時間制御部102と異なる。
覚醒状態維持装置300において、音圧変化判定部301は、車内音Srと蓄積車内音Saとを比較する。ここで、上述したように、車内音取得部101で取得される車内音Srは、制御音Scと環境音Seとが合成された音である。よって、車内音Srでは、覚醒状態維持装置300が生成する制御音Scに起因する音圧変化(システムに起因する音圧変化)と、覚醒状態維持装置300に起因しない音圧変化とが発生する。覚醒状態維持装置300に起因しない音圧変化とは、例えば、車両外部の環境(運転者の周辺環境)の変化(例えば、車両が走行する道路面の変化等)に起因する環境音Seの変化が想定される。
次いで、音圧変化判定部301は、現時点での蓄積車内音Saに基づいて特定される音圧変化方法を環境音に適用した場合における音圧変化と、車内音Srの変化とが同等であると判定した場合、切替時間制御部1202にリセット命令を出力する。ここで、リセット命令とは、切替時間制御部302で、切替時間Tがゼロ以下になった場合と同じ動作をさせるための命令である。
具体的には、音圧変化判定部301は、車内音取得部101から車内音Srを取得し、車内音蓄積部103から蓄積車内音Saを取得し、環境音分離部104から環境音Seを取得する。音圧変化判定部301は、取得した車内音Srの周波数分布(車内音周波数分布)Fr、蓄積車内音Saの周波数分布(蓄積車内音周波数分布)Fs、および環境音Seの周波数分布(環境音周波数分布)Feを算出する。
そして、音圧変化判定部301は、切替時間制御部302によって制御されるタイミングで区切られた所定の期間内(つまり、タイマ開始から切替時間Tが経過する途中)において、現時点までの車内音の履歴(例えば、図5に示す蓄積車内音の閾値(基準音)に対する大小関係)に基づいて特定される音圧変化を適用して得られる車内音候補と、現時点の環境音との間で、2つ以上の各特定の周波数帯域での閾値(基準音の音圧)に対する大小関係がすべて同一であるか否かを判定する。
換言すると、音圧変化判定部301は、1回前の期間の各特定の周波数帯域における蓄積車内音周波数分布に対する環境音周波数分布の変化(上昇又は減衰)が、蓄積音周波数分布と音圧変化方法の候補との対応関係(例えば、図5)から特定される音圧変化方法の候補に含まれている場合、切替時間制御部302にリセット命令を出力する。
切替時間制御部302(時間設定部3021、時間制御部3022を含む)は、基本的には、切替時間制御部102(時間設定部1021、時間制御部1022を含む)(図1)と同様の機能を有する。切替時間制御部302は、音圧変化判定部301からリセット命令が入力されると(音圧変化判定部301において、各特定の周波数帯域での閾値に対する大小関係がすべて同一であると判定された場合)、タイマがゼロになった場合と同様、トリガー信号を、車内音蓄積部103および音圧変化設定部105に出力する。すなわち、切替時間制御部302は、所定の期間毎のタイミングであって、音圧変化設定部105において各特定の周波数帯域での音圧変化の設定を行うタイミングを、現時点に再設定する。
切替時間制御部302は、トリガー信号を車内音蓄積部103および、音圧変化設定部105に出力するとともに、タイマをリセットし、再び切替時間Tを算出してタイマを起動させる。すなわち、切替時間制御部302は、タイマがゼロになった場合、又は、リセット命令が入力された場合に、トリガー信号を出力し、タイマをリセットし、新たな切替時間Tを用いてタイマを起動させる。
音圧変化設定部105は、トリガー信号が入力されるタイミング(つまり、切替時間制御部302が制御するタイミング)毎に音圧変化方法の設定処理を行う。ただし、音圧変化設定部105は、音圧変化判定部301からのリセット命令に基づいてトリガー信号のタイミングが再設定された場合には、音圧変化方法の設定を行わない。
次に、音圧変化判定部301における音圧変化の判定方法の一例について図14を用いて説明する。
図14の1300は、現時点で車内音蓄積部103に蓄積された蓄積音周波数分布Fsと基準周波数分布Fbとの関係の一例を示したものである。図14の1300では、基準周波数分布Fbの音圧(閾値)に対して、蓄積音周波数分布Fsのロードノイズ帯域の音圧は大きく、風切り音帯域の音圧は小さい。
現時点での状態が図14の1300の場合、現時点までの車内音の履歴に基づいて特定される音圧変化を適用して得られる車内音候補としては、風切り音帯域の音圧を上昇させ、ロードノイズ帯域の音圧を変化させない音圧変化方法の候補を適用して得られる候補音(1301)、および、風切り音帯域の音圧を上昇させ、ロードノイズ帯域の音圧を減衰させる音圧変化方法の候補を適用して得られる候補音(1302)が存在する。
また、図14の1303および1304は、現時点で車内音取得部101が取得した車内音周波数分布Fr(すなわち、1回前の期間で生成された制御音Scと現時点での環境音Seとが合わされた音の周波数分布)と、基準周波数分布Fbとの関係の一例をそれぞれ示したものである。
例えば、図14の1303では、基準周波数分布Fbに対して、車内音周波数分布Frのロードノイズ帯域の音圧および風切り音帯域の音圧の双方とも大きい。つまり、図14に示すように、1303で示した車内音周波数分布Frと1301で示した候補音周波数分布Fcとの間で、各特定の周波数帯域での基準周波数分布Fbとの大小関係はすべて同一である。
これより、音圧変化判定部301は、現時点で取得した車内音Srが図14の1303の場合には、車内音Srの音圧変化を、システムによる音圧変化(覚醒状態維持装置300に起因する音圧変化)と同等の変化であると判定する。つまり、音圧変化判定部301は、図14の1303への音圧変化(周辺環境の変化に起因する音圧変化)と、覚醒状態維持装置300が所定の期間毎(トリガー信号が生成されるタイミング毎)に生成する制御音の再生によって得られたであろう音圧変化(1301)とが同等の変化であると判定する。すなわち、音圧変化判定部301は、図14の1303への音圧変化を、運転者の覚醒状態を維持するのに十分な音圧変化であると判定する。そして、音圧変化判定部301は、切替時間制御部302にリセット命令を出力する。このように、音圧変化判定部301は、図14の1303への音圧変化が生じたことで、覚醒状態維持装置300による音圧変化(1301)を行わなくてもよいと判断し、所定の期間内(タイマ起動途中)であっても切替時間制御部302に対してタイマのリセットを命令する。
また、リセット命令が入力されると、切替時間制御部302は、トリガー信号を音圧変化設定部105に出力する。ただし、音圧変化設定部105は、リセット命令によるトリガー信号が入力された場合には、環境音に対して音圧変化を行う必要が無いので、音圧変化方法の設定を行わない。
一方、例えば、図14の1304では、基準周波数分布Fbに対して、車内音周波数分布Frのロードノイズ帯域の音圧および風切り音帯域の音圧の双方とも小さい。つまり、図14に示すように、1304で示した車内音周波数分布Frと、1301又は1302で示した候補音周波数分布Fcとの間で、各特定の周波数帯域での基準周波数分布Fbとの大小関係はすべて同一ではない。
これより、音圧変化判定部301は、現時点で取得した車内音Srが図14の1304の場合には、車内音Srの音圧変化を、システムによる音圧変化(覚醒状態維持装置300に起因する音圧変化)と異なる変化であると判定する。つまり、音圧変化判定部301は、図14の1304への音圧変化(周辺環境の変化に起因する音圧変化)と、覚醒状態維持装置300が所定の期間毎(トリガー信号が生成されるタイミング毎)に生成する制御音の再生によって得られたであろう音圧変化(1301又は1302)とが異なる変化であると判定する。すなわち、音圧変化判定部301は、図14の1304への音圧変化を、運転者の覚醒状態を維持するのに十分な音圧変化ではないと判定する。この場合、音圧変化判定部301は、覚醒状態維持装置300による音圧変化(1301又は1302)を行うべきであると判断し、切替時間制御部302へのリセット命令を出力しない。
次に、覚醒状態維持装置300における処理の流れについて説明する。図15は、覚醒状態維持装置300の動作説明に供するフロー図である。なお、図15において、実施の形態2(図12)と同一の処理には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
図15において、ステップS105で更新された切替時間Tがゼロ以下でない場合(ステップS106:No)、ステップS301では、音圧変化判定部301は、ステップS101で取得した現時点の車内音Srの音圧変化が運転者の覚醒状態を維持するのに十分な変化であるか否かを判定する。すなわち、音圧変化判定部301は、現時点の車内音Srと、現時点までの車内音の履歴に基づいて特定される音圧変化を環境音に適用して得られる候補音との間で、特定の周波数帯域での閾値(基準音の音圧)に対する大小関係が全て同一であるか否かを判定する。
現時点の車内音Srの音圧変化が運転者の覚醒状態を維持するのに十分な変化であると判定された場合(ステップS301:Yes)、音圧変化判定部301は、切替時間制御部302にリセット命令を出力し、切替時間制御部302は、タイマをリセットし、ステップS108では、車内音取得部101は、車内音Srを取得し、ステップ109では、切替時間制御部102は、車内音Srの特性を解析し、ステップS110では、切替時間制御部102は、切替時間Srの特性から切替時間Tを新たに設定する。一方、現時点の車内音Srの音圧変化が運転者の覚醒状態を維持するのに十分な変化であると判定されない場合(ステップS301:No)、ステップ107では、車内音取得部101は、車内音Srを取得し、ステップS104の処理に戻る。
また、ステップS302においても覚醒状態維持装置300は、ステップS301と同様の処理を行う。
ここで、本実施の形態と実施の形態1とを比較する。上述したように、覚醒状態維持装置によって所定の期間毎に(切替時間Tが経過する毎に)音圧が変化するとともに、運転者の周辺環境が変化することによっても音圧が変化する。この場合、実施の形態1では、切替時間Tが経過するタイミング(トリガー信号が生成されるタイミング)、および、周辺環境の変化が生じたタイミングの双方において音圧変化が発生する。このため、運転者が聴取する車内音の音圧の変化は頻繁に発生してしまい、運転者に対して煩わしさが増加してしまう。
これに対して、本実施の形態に係る覚醒状態維持装置300は、周辺環境が変わったことによって変化した環境音(運転者が聴取する車内音)Srの音圧が、覚醒状態維持装置300の音圧変化処理によって次に想定された車内音の音圧と同等又は同等以上の変化をしたタイミングを、覚醒状態維持装置300によって音の特性を切り替えるタイミングと同じであると判断する。かかる場合、覚醒状態維持装置300は、音圧変化の設定を行うタイミング(つまり、切替時間T)を再設定し、車内音Srを蓄積する対象を変更する。
また、覚醒状態維持装置300は、上記タイミングが再設定された場合には、当該タイミングでの音圧変化の設定を行わない。これにより、覚醒状態維持装置300での不要な音圧変化処理を防ぐことができる。
こうすることで本実施の形態によれば、周辺環境の変化による音圧の変化を考慮しない場合(例えば実施の形態1)に比べて、運転者が聴取する車内音の音圧が変化する回数を低減することができ、運転者に対する煩わしさを回避することが可能となる。
なお、本実施の形態では、覚醒状態維持装置300が、実施の形態1の覚醒状態維持装置100(図1)と同様にして音圧変化方法を設定する場合について説明したが、覚醒状態維持装置300は、実施の形態2の覚醒状態維持装置200(図7)と同様にして音圧変化方法を設定してもよい。
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
本発明は、音の特性の変化方法を、運転者がそれまで聴取していた音を考慮して決定することにより、音の特性の変化を運転者に確実に知覚させ、運転者の覚醒状態を維持させるものとして有用である。
100,200,300 覚醒状態維持装置
101 車内音取得部
102,302 切替時間制御部
1021,3021 時間設定部
1022,3022 時間制御部
103 車内音蓄積部
104 環境音分離部
105,201 音圧変化設定部
1051,2011 比較部
1052,2012 設定部
106 制御音生成部
107 制御音再生部
301 音圧変化判定部

Claims (12)

  1. 人の覚醒状態を維持する覚醒状態維持装置であって、
    車両内部に搭載されたマイクによって取得される聴取音を蓄積する手段であって、前記聴取音は、前記覚醒状態維持装置が再生する制御音と前記制御音が再生されていない状態での人周辺の環境音とを含む、蓄積手段と、
    前記蓄積手段が蓄積した前記聴取音を基に、前記環境音に適用する制御方法を設定する設定手段と、
    前記設定手段が設定した制御方法を前記環境音に適用して前記制御音を生成する生成手段と、
    を具備し、
    前記設定手段は、前記聴取音の2つ以上の特定の周波数帯域における音圧と、予め設定された閾値とを比較して、各特定の周波数帯域の音圧と前記閾値との大小関係を判定する比較手段、を更に具備し、
    前記設定手段が前記環境音に適用する制御方法は、
    前記蓄積手段が蓄積した前記聴取音の各特定の周波数帯域における前記大小関係の履歴に応じて、各特定の周波数帯域での音圧変化を設定する
    覚醒状態維持装置。
  2. 前記大小関係の履歴は、前記聴取音を人が聞き慣れるまでの聞き慣れ時間で区切られた期間毎の前記大小関係のパターンで表され、
    前記設定手段が前記環境音に適用する制御方法は、前記パターンの候補に音圧変化の候補がそれぞれ対応付けられた対応関係に基づいて、各特定の周波数帯域での音圧変化を設定し、
    前記対応関係では、現時点の1つ前の期間における前記特定の周波数帯域の音圧が前記閾値未満となるパターンに対して、当該特定の周波数帯域の音圧を増加させる音圧変化の候補が対応付けられていることを特徴とする請求項記載の覚醒状態維持装置。
  3. 前記対応関係では、前記2つ以上の特定の周波数帯域のうち、現時点の1つ前の期間における音圧が前記閾値以上となる特定の周波数帯域において、現時点の2つ前の期間での音圧が前記閾値未満となるパターンに対して、当該特定の周波数帯域の音圧を変化させない音圧変化の候補が対応付けられ、前記2つ前の期間での音圧が前記閾値以上となるパターンに対して、当該特定の周波数帯域の音圧を減少させた音圧変化の候補が対応付けられていることを特徴とする請求項記載の覚醒状態維持装置。
  4. 前記比較手段は、前記聴取音を人が聞き慣れるまでの聞き慣れ時間で区切られた期間毎に、各特定の周波数帯域での前記大小関係を判定し、
    前記設定手段が前記環境音に適用する制御方法は、
    前記2つ以上の特定の周波数帯域のうち、現時点の1つ前の期間における音圧が前記閾値未満となる第1の周波数帯域の音圧を増加させ、現時点の1つ前の期間における音圧が前記閾値以上となる第2の周波数帯域の音圧を、現時点の2つ前の期間以前での前記聴取音の音圧に基づいて変化させることを特徴とする請求項記載の覚醒状態維持装置。
  5. 前記設定手段が前記環境音に適用する制御方法は、
    前記2つ前の期間での音圧が前記閾値未満となる前記第2の周波数帯域の音圧を変化させず、前記2つ前の期間での音圧が前記閾値以上となる前記第2の周波数帯域の音圧を減少させることを特徴とする請求項記載の覚醒状態維持装置。
  6. 前記設定手段が前記環境音に適用する制御方法は、
    前記2つ前の期間での前記聴取音と、前記1つ前の期間における前記大小関係に基づいて設定された前記第1の周波数帯域の音圧変化を前記環境音に適用して得られる聴取音候補との間で、前記第1の周波数帯域での前記大小関係、及び、前記第2の周波数帯域での前記大小関係のうち少なくとも一方の大小関係が異なるように、前記第2の周波数帯域の音圧変化を設定することを特徴とする請求項記載の覚醒状態維持装置。
  7. 所定の期間毎のタイミングであって、
    前記設定手段において各特定の周波数帯域での音圧変化の設定を行うタイミングを制御する制御手段と、
    前記所定の期間内において、現時点までの前記聴取音の履歴に基づいて特定される音圧変化を適用して得られる聴取音候補と、現時点の前記環境音との間で、各特定の周波数帯域での前記大小関係がすべて同一であるか否かを判定する判定手段と、を更に具備し、
    前記制御手段は、前記判定手段において、各特定の周波数帯域での前記大小関係がすべて同一であると判定された場合には、前記タイミングを現時点に再設定し、
    前記設定手段は、前記判定手段の判定結果が同一である場合に制御手段で再設定されたタイミングでは、前記音圧変化の設定を行わないことを特徴とする請求項記載の覚醒状態維持装置。
  8. 前記聴取音を人が聞き慣れるまでのき慣れ時間を、予め設定された時間、もしくは前記マイクによって取得される聴取音を解析して得られた特性を基に設定する時間設定手段と、
    前記時間設定手段が設定した前記聞き慣れ時間を、前記設定手段において前記環境音に適用する制御方法を設定するタイミングとして制御する時間制御手段と、を更に具備し、
    前記設定手段は、前記時間制御手段が設定したタイミングで、前記環境音に適用する制御方法を設定することを特徴する請求項1に記載の覚醒状態維持装置。
  9. 前記聴取音を聴取する人の前記聴取音への感度を推定する感度推定手段、を更に具備し、
    前記時間設定手段が設定する前記聞き慣れ時間は、前記感度推定手段が推定した、人の前記聴取音への感度に応じて調整されることを特徴とする請求項に記載の覚醒状態維持装置。
  10. 前記環境音と前記聴取音に対する人の聴取経験を判断する経験判断手段、を更に具備し、
    前記時間設定手段が設定する前記聞き慣れ時間は、前記経験判断手段が判断する前記環境音と前記聴取音の少なくとも一方への人の聴取経験に応じて調整されることを特徴する請求項に記載の覚醒状態維持装置。
  11. 前記環境音は車両走行中に発生する走行音であり、
    前記聴取音は人が車室内で聴取する車内音であることを特徴とする請求項1に記載の覚醒水準維持装置。
  12. 人の覚醒状態を維持する覚醒状態維持方法であって、
    車両内部に搭載されたマイクによって取得される聴取音を蓄積するステップであって、前記聴取音は、前記覚醒状態維持方法によって生成される制御音と前記制御音が再生されていない状態での人周辺の環境音とを含む、蓄積ステップと、
    前記蓄積ステップが蓄積した前記聴取音を基に、前記環境音に適用する制御方法を設定する設定ステップと、
    前記設定ステップが設定した制御方法を前記環境音に適用して前記制御音を生成する生成ステップと、
    を具備し、
    前記設定ステップは、前記聴取音の2つ以上の特定の周波数帯域における音圧と、予め設定された閾値とを比較して、各特定の周波数帯域の音圧と前記閾値との大小関係を判定する比較ステップ、を更に具備し、
    前記設定ステップが前記環境音に適用する制御方法は、
    前記蓄積ステップが蓄積した前記聴取音の各特定の周波数帯域における前記大小関係の履歴に応じて、各特定の周波数帯域での音圧変化を設定する
    覚醒状態維持方法。
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