JP2636197B2 - 覚醒維持装置及び覚醒維持用記録媒体 - Google Patents

覚醒維持装置及び覚醒維持用記録媒体

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JP2636197B2
JP2636197B2 JP7027233A JP2723395A JP2636197B2 JP 2636197 B2 JP2636197 B2 JP 2636197B2 JP 7027233 A JP7027233 A JP 7027233A JP 2723395 A JP2723395 A JP 2723395A JP 2636197 B2 JP2636197 B2 JP 2636197B2
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健二 石田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は プラント、ビル、原子
力発電所等の監視作業や自動車の長距離運転など、長時
間の単調作業における作業環境の単調さが原因で生じる
覚醒低下を軽減するための覚醒維持装置及び覚醒維持用
記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、長時間の単調作業において、
作業者が居眠りをしてしまうことを防止する方法が種々
研究されている。従来考えられている「居眠り防止装
置」は、居眠り状態が生じたとき、これを何らかのセン
サーで関知して警報を提示するものがほとんどである。
しかし、このような手法では居眠りを防ぐことはできて
も、眠くなる原因そのものを排除するには至らない。す
なわち、長時間単調作業を行うのにふさわしい環境を整
えることはできず、快適に作業を継続することはできな
いといえる。
【0003】これを解決するため、作業環境そのものに
着目し、単調でない作業環境を実現する考え方を採用し
た従来技術として、例えば特開昭58−69576号に
開示されているようにランダムな時間にランダムな音を
発する方法や、特願平6−37492号に開示されてい
るように音などの物理刺激を断続的に提示する方法など
が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術におけ
る手法は、音源を一定間隔あるいはランダム間隔で断続
的に提示することを特徴としている。具体的には、例え
ば音源として音楽を用い、覚醒低下軽減に効果的な間隔
(数分)で断続的に提示するのであるが、この場合、音
が途切れ途切れになり、音楽を聴きながら作業したい場
合にはブツ切れ感や、もっと聞きたい等の違和感があ
り、快適な作業環境にならないという問題点がある。
【0005】したがって、本発明は上述した課題に鑑み
てなされたものであり、その目的とするところは、違和
感の無い快適な作業環境を整えることにより、居眠りを
防止することができる覚醒維持装置及び覚醒維持用記録
媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するために、本発明の覚醒維持装置は、人間
の感覚を刺激するための音を発生する音源と、前記音を
連続的に発生させつつ、且つ人間の覚醒リズムの半周期
以下の一定間隔あるいはランダム間隔で前記音の特性を
変化させるように前記音源を制御する覚醒維持手段とを
具備することを特徴としている。
【0007】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、前記音の特性として音圧を変化させることを特徴
としている。
【0008】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、前記音の特性として音質を変化させることを特徴
としている。
【0009】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、前記音の特性として音場を変化させることを特徴
としている。
【0010】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、前記音の特性として音像を変化させることを特徴
としている。
【0011】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、さらに、前記覚醒リズムの周期を計測する計測手
段と、前記覚醒リズムの周期の振幅に基づいて人間の覚
醒段階を検出する検出手段とを備え、前記覚醒段階が所
定の覚醒低下段階に入ったタイミングで、前記覚醒維持
手段による覚醒維持を開始することを特徴としている。
【0012】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、さらに、前記覚醒リズムの周期を計測する計測手
段と、前記覚醒リズムの周期の振幅に基づいて人間の疲
労の度合いを検知する検知手段とを備え、前記疲労の度
合いが所定値になったタイミングで、所定の警告を出す
ことを特徴としている。
【0013】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、前記覚醒リズムの周期及び前記覚醒リズムの周期
の振幅を、脳波をもとに計測することを特徴としてい
る。
【0014】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、前記覚醒リズムの周期を11分とすることを特徴
としている。
【0015】また、この発明に係わる覚醒維持装置にお
いて、前記半周期以下の一定間隔あるいはランダム間隔
とは、5秒乃至5.5分であることを特徴としている。
【0016】また、本発明の覚醒維持用記録媒体は、覚
醒リズムの半周期以下の一定間隔あるいはランダム間隔
で断続的に音楽が提示されるように記録された記録媒体
であって、1つの提示区間で音楽が完結するように作
曲、編曲及び記録がなされていることを特徴としてい
る。
【0017】また、この発明に係わる覚醒維持用記録媒
体において、前記半周期以下の一定間隔あるいはランダ
ム間隔とは、5秒乃至5.5分であることを特徴として
いる。
【0018】
【作用】以上のようにこの発明は構成されているので、
人間の感覚を刺激するための音を連続的に発生しつつ、
且つ人間の覚醒リズムの半周期以下の間隔で音の特性を
変化させることにより、作業者にブツ切れ感等の違和感
を与えることなく、覚醒状態を維持させることができ
る。
【0019】また、作業者の覚醒段階を検出する検出手
段を備え、この検出手段により作業者が覚醒を促す必要
がある段階にあると判断された場合に、自動的に覚醒維
持手段を動作させることにより、作業者が自発的に覚醒
維持装置を動作させなくとも、自動的に作業環境を適切
に整えることができる。
【0020】また、作業者の疲労の度合を検知する検知
手段を備え、この検知手段により作業者が疲労している
と判断された場合に警告を発することにより、作業者が
疲労したままで作業を続けることが防止され、事故等を
未然に防ぐことができる。
【0021】また、覚醒状態を維持させるために音楽を
断続的に提示する場合でも、その1つの提示区間で音楽
が完結するように、作曲、編曲及び記録媒体への記録を
しておくことにより、作業者に音楽のブツ切れ感等の違
和感を与えることなく覚醒状態を維持させることができ
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について添付図
面を参照して、詳細に説明する。
【0023】<覚醒リズムの発生メカニズム>人間の生
体特性の1つである覚醒リズムについて、その発生メカ
ニズムを、大脳生理学の視点から説明する。
【0024】大脳の覚醒状態は、図1に示すように、感
覚神経あるいは視床下部(自律神経系)から脳幹網様体
を賦活し、大脳皮質の覚醒度を高くするアクセル系と、
縫線核の働きにより覚醒度を低くするブレーキ系により
制御されている。本実施例では、覚醒リズムが、視床下
部から脳幹網様体を賦活するアクセル系と、縫線核によ
るブレーキ系の働きのバランスに起因すると仮定して説
明を進める。
【0025】覚醒リズムという現象は、上記の系のバラ
ンスが崩れ始める覚醒低下状態において生じ、例えば、
単調な刺激が続くと脳幹網様体の賦活作用が低下する。
そこで、覚醒メカニズムの観点から、覚醒維持のために
は、上記の平衡状態をアクセル系が優位になる状態に変
え、覚醒リズム現象を抑制することが望ましいと考ええ
られる。
【0026】すなわち、感覚神経に入力される刺激の質
・量の制御、意味性の強い音楽等の刺激による大脳皮質
の直接的な刺激により、脳幹網様体を間接的に刺激する
ことで、大脳の覚醒状態のバランスを復帰させることが
できる。
【0027】このように、覚醒リズムは、その存在が実
験的にも示され、また、大脳生理学の点からも説明でき
るので、万人固有の生理現象と考えることができる。
【0028】<覚醒リズムの計測方法>図2は、覚醒リ
ズム周期を検出するための覚醒リズム周期計測装置の構
成を示すブロック図である。具体的には、被験者に、図
3に示すような選択反応作業を行なわせて選択反応時間
を計測し、その反応時間から覚醒リズムを検出する。
【0029】図2に示すCRT1からは、被験者(人)
に対して刺激の提示が行なわれる。つまり、被験者に
は、図3に示すように、CRT1上に表示される色に応
じて、画面に表示される3種類の円(これを反応円とい
う)の色に合わせて、左右に分けて設けた2つのスイッ
チ5a,5b(図2の入力装置に相当)を押し分ける作
業を行なわせる。
【0030】選択反応時間とは、反応円が表示されてか
ら被験者がスイッチを押下するまでの時間であり、ここ
では、それを最大2秒まで計測する。そして、この反応
時間内に反応がない場合には、被験者の見逃しとする。
反応円は、青、黄、赤の3種類の何れかで、5〜20秒
毎のタイミングでランダムに画面中央に2秒間、表示さ
れる。被験者へは、表示される反応円の色に合わせて、
「青なら左のスイッチを押す」、「赤なら右のスイッチ
を押す」、また、「黄なら両方のスイッチを押す」とい
う動作を正確に、かつ、できるだけ速く押すように教示
する。
【0031】入力装置3にて得られた反応時間のデータ
は、コンピュータ2に入力され、そこで、図4に示す特
性を有するバンドパスフィルタを介して、f1(Hz)
〜f2(Hz)の周波数帯域に対してフィルタリングを
行なう。ここで、f1=7.1×10-4(Hz),f2=2.4
×10-3(Hz)であり、扱う信号の特性上、フィルタの
減衰特性は、12〜24dB/octでなければならな
い。
【0032】コンピュータ2は、得られた時系列データ
に対して最大エントロピー法(MEM)を適用し、図5
に示すような急峻なスペクトルのピークを有する覚醒リ
ズム周期を得る。すなわち、図5からも明らかなよう
に、反応時間の時間的な変化に周期が存在し、反応時間
は、覚醒低下が生じると遅れ、覚醒状態になると速くな
ることにより、反応時間は覚醒度に対応する。このこと
から、覚醒リズム周期計測装置にて検出された反応時間
の周期は、被験者の覚醒周期、つまり、覚醒リズムであ
ると言える。
【0033】ただし、図5に示す特性は、選択反応時間
の移動平均から1次回帰直線を差し引いて、選択反応時
間データ自体に含まれる単調増加傾向の覚醒低下成分
(これを、基線変動成分という)を除去したものにME
M解析を施して得られた特性である。
【0034】また、図6は、実際に多くの被験者(ここ
では、20名)について覚醒リズムを計測し、その周期
の発生頻度をヒストグラムにて表わした図である。同図
によれば、横軸である周期の10〜15分に覚醒のピー
ク(図中の分布1)が存在し、これは、上述のように万
人固有の覚醒リズムであることが分かる。
【0035】さらに、本実施例では、被験者に上記の選
択反応作業を課しつつ、同時に、図7に示す構成を有す
る覚醒リズム周期計測装置にて被験者の脳波を計測す
る。つまり、図7に示す脳波センサ10にて被験者(人
間)の脳波を採取し、その結果をコンピュータ12に取
り込むため、A/D変換器11にてA/D変換を施す。
そして、コンピュータ12は、計測された脳波の時間デ
ータに対してα帯域(8〜13Hz)のバンドパスフィ
ルタをかけ、その2乗値(電力)の時系列データに対し
て、ノイズ除去のために移動平均を施した後、周波数分
析(MEM)を施す。
【0036】このような、一連の処理にて得られた脳波
のスペクトルに現われるピークから、上記のような反応
時間を用いた場合と同様に、覚醒リズムの周期を求め
る。
【0037】図8は、本実施例における覚醒リズム周期
の計測手順を示すフローチャートである。同図のステッ
プS1では、データ収集のための実験回数Nを設定し、
ステップS2,S3で、それぞれ、上記の反応時間の計
測、平滑化処理を実行する。ステップS4では等間隔化
処理を実行し、続くステップS5ではトレンドの除去、
つまり、バンドパスフィルタによる、反応時間データに
対する低周波数部分による影響を除去する。この処理に
より、目的とする覚醒リズムよりもはるかに緩やかな変
動を取り除くことができ、急峻で強度の大きいピークの
検出が可能となる。
【0038】ステップS6では、上述のMEMによる周
波数分析を行ない、ステップS7で、振幅強度に対する
しきい値の設定、ステップS8で、このしきい値に基づ
くピーク周期の検出を行なう。そして、ステップS9で
は、ステップS1で設定した回数分のピーク周期データ
が収集できたか否かの判定を行ない、できていなけれ
ば、再度、ステップS2の処理に戻る。しかし、データ
収集が完了していると判断されれば、ステップS10に
て、後述するクラスター分析、すなわち、統計的に分布
構造を明確にする手法により、平均リズム周期の計算を
実行する。
【0039】ステップS11では、得られたピーク周期
データをもとに、図6に示すようなヒストグラムを作成
し、リズム周期の先鋭度とピークの大小関係を検討す
る。さらに、次のステップS12では、ステップS11
で作成したヒストグラムとステップS10で計算したリ
ズムの平均周期とを比較・検証し、最終的には、ステッ
プS13で、固有リズム周期の抽出を行なう。
【0040】このような処理にて、ここでは、周波数解
析の高精度化、及びデータ収集のための計測を複数回数
実行することによるリズム周期データの信頼性の向上が
可能となる。
【0041】図9は、上記の処理において用いたクラス
ター分析にて覚醒リズム周期を求めた結果を示す図であ
る。このクラスター分析は、複数の人について検出して
得られたピーク値を統計的に処理し、固有の周期を見い
出すための多変量解析の1つであり、図9に示されるよ
うに、リズム周期には、11分(分布1)と31分(分
布2)の2群が存在する。
【0042】また、図6に示すヒストグラムでは、10
分(分布1)と30分(分布2)にピークが存在する
が、10分のピークの方が30分のピークよりも急峻で
あり、上記のクラスター分析にて得られた結果と、この
ヒストグラムの併用により、固有性の強いリズムは11
分であると統計的に有意に検出でき、これを覚醒リズム
に活用できる。
【0043】<覚醒維持装置の説明>従来、覚醒維持の
ための刺激として、覚醒リズムに同期させて、例えば、
音刺激を提示する技術が知られているが、この場合却っ
て覚醒低下が促進され、リズムの振幅が大きくなる場合
があるという問題点がある。これは、脳の信号伝達系に
遅れ要素や減衰要素等が存在するためであり、覚醒維持
のためには、単純な刺激提示ではなく、適当な刺激提示
周期を求める必要があることを意味するものである。
【0044】図10は、本実施例に係る覚醒維持装置全
体の構成を示すブロツク図である。同図に示す覚醒維持
装置では、継続刺激制御装置22が、図2,図7にその
構成を示す覚醒リズム周期計測装置21からの覚醒リズ
ムを入力し、そのリズムに基づいて刺激発生装置23を
駆動する。
【0045】そして、刺激発生装置23からの刺激は人
間に与えられるが、覚醒度計測装置24は、後述する方
法で人間の覚醒状態を判定し、その結果を覚醒リズム周
期計測装置21へフィードバックする。
【0046】図11は、図10に示す、本実施例に係る
覚醒維持装置における覚醒維持制御手順を示すフローチ
ャートである。
【0047】図11のステップS21で、継続刺激制御
装置22は、覚醒リズム周期計測装置21にて計測した
覚醒リズムを入力し、ステップS22で、覚醒リズムの
半周期を計算する。そして、ステップS23では、継続
刺激制御装置22がステップS22にて算出した周期を
もとに、刺激発生装置23が、人間に提示する刺激の時
間間隔を算出する。その結果、刺激発生装置23は、ス
テップS24で、人間に対する刺激として、例えば、後
述するCDプレーヤからの音または音楽を発生する。
【0048】ここで、刺激提示間隔について具体的に説
明する。
【0049】覚醒維持のための有効な周期的刺激提示間
隔Tについては、覚醒リズム周期計測装置21にて計測
した覚醒リズム周期をTr、係数をa(=0.1 〜1.0 )
とすると、T=a・Trにて表現できる。また、刺激の
提示時間長Tsは、5秒〜3分の範囲にあることが効果
的である(図12参照)。
【0050】そして、上述のように、覚醒リズムについ
て固有性の強い値は11分であることが確認できたの
で、本実施例では、上記の係数aを0.5とした場合、
つまり、図12に示すように、覚醒リズム周期11分の
半周期である5.5分以内を1周期とした間隔で覚醒刺
激を提示する。その結果、図12において点線で示され
た無刺激時での覚醒リズムに比べて、刺激を覚醒リズム
周期の半周期で提示した場合(図中の実線)の方が反応
時間の短縮が顕著である、換言すれば、覚醒維持が図ら
れたことが読み取れる。
【0051】なお、本実施例では、刺激としての音や音
楽は、断続的にではなく、連続的に提示した上で、覚醒
周期の半周期以内で音の特性を変化させることにより、
断続的に刺激を提示した場合と同様に覚醒効果を得よう
とするものであるが、例えば、最初の刺激提示の後、覚
醒周期の半周期内で断続的に刺激を提示して、覚醒低下
を起こす前に覚醒低下抑止を行なった場合の例を図12
に示す。また、図13は、刺激として音楽を断続的に提
示した場合の効果を示す図であり、音楽を連続的に刺激
として提示する(音の特性等は変化させない)よりも、
断続的に提示する方が覚醒維持の効果が大きいことが分
かる。
【0052】さらに、図14は、被験者に断続的に刺激
を提示する場合、断続提示の間隔に最適な値が存在する
ことを示す図である。同図からも明らかなように、刺激
の断続提示間隔周期は、それが1分〜5.5分の間にあ
る場合の方が、連続的に刺激を提示する、あるいは無刺
激の場合に比べて覚醒低下を防止する効果が大きく、特
に刺激を1分提示して1分休止するパターンが最も覚醒
維持効果が大きい。
【0053】<覚醒度の計測方法>次に、本実施例にお
ける、覚醒リズムを応用した覚醒度の計測方法について
説明する。
【0054】覚醒リズムの出現現象については、図15
の時系列データに示すように、以下の4段階の進展過程
に分類できる。すなわち、段階1は、覚醒リズムが現わ
れない覚醒状態の段階であり、覚醒度は、直線的に緩や
か変動を示す。この段階では、人間(作業者)は、正常
な覚醒状態を維持して作業に集中できている。
【0055】段階2は、作業への集中度が落ち、覚醒低
下の傾向が現われ始める準覚醒低下状態である。このと
きに覚醒リズムが現われ、図15において緩やかで周期
的な波で示されるように、覚醒度は周期的な変動をし始
める。この段階では、人間はややボヤッとした感じを持
つが、眠いという顕著な自覚症状は、まだ現われない。
【0056】段階3では覚醒低下が顕著となり、人間に
は、はっきりとした眠いという自覚症状が生じる。この
とき、明らかな覚醒リズムが現われ、その振幅は、段階
2における覚醒リズムよりも大きく、全体として基線
は、低下方向の勾配を持って上昇していく。そして、段
階4では睡眠の第1段階に至り、場合によっては、瞬間
的に睡眠に陥る。ここでは、完全に居眠り状態が生じて
いる。
【0057】図10に示す覚醒度計測装置24では、人
間の脳波を用いて覚醒度を検出する。具体的には、脳波
のα波帯(8〜13Hz)にバンドパスフィルタによる
フィルタリングを行ない、得られたα波帯の2乗(電
力)を計算して、その時系列波形に移動平均を施すか、
あるいは、ノイズ除去用のバンドパスフィルタを通す。
【0058】こうして得られた信号(α波パワー)に高
速フーリエ変換(FFT)あるいはMEMを施してリア
ルタイムの周波数分析を行ない、そのピークを得る。こ
のピーク値が覚醒リズムの周波数(言うまでもなく、そ
の逆数が周期)になる。
【0059】ここで使用するバンドパスフィルタは、覚
醒リズムが現われる11分近辺の周波数に絞り込んだフ
ィルタである。そして、覚醒リズムが発生すると覚醒度
の振幅が大きくなり、周期的な変動が生じたことが分か
るので、α波パワーに対しての時間平均あるいは平滑化
処理を施して得られた値から、覚醒リズムの出現現象が
どの程度進展したかを見ることができる。
【0060】また、本実施例に係る覚醒度計測装置24
では、上記のα波パワーに対して周波数解析を施して得
られたスペクトルの変化から、覚醒がどの段階にあるの
かを判定する。つまり、図16に示すように、覚醒低下
が進む程、スペクトルのピークが高くなることを利用し
て、正常な覚醒状態のときのスペクトルのベース値と、
覚醒低下が進展して、リズムが最も顕著に現われる状態
でのスペクトル値とに基づいて覚醒低下判定境界値を設
ける。そして、実際のスペクトル値と、この境界値との
比較にて、覚醒段階を判定する。
【0061】なお、覚醒低下が進展して段階4に入った
ときには、覚醒リズムはなくなってα波パワーが増大す
るので、このα波パワーが、ある値よりも大きくなった
ならば、覚醒段階が段階4に至ったとする。
【0062】一方、監視作業のようなストレスの多い状
況下では、作業を継続するとホルモン分泌のバランスが
崩れ、神経や臓器等の代謝悪化が進行する。つまり、視
床下部からのストレス緩和のための代謝促進を目的とす
るホルモン分泌と、関連臓器の過度の活動を抑えるため
のホルモン分泌量の抑制とのバランスが崩れ、代謝悪化
による疲労状態が生じる。そして、人間には、この疲労
からの生体保護を目的とした脳幹網様体の活動低下によ
る覚醒低下が生じることになる。
【0063】そこで、覚醒度計測装置24は、上記の手
法で推定された覚醒段階が、図15,図16に示す段階
2あるいは段階3になったときを、作業者に疲労状態が
生じたと判断して、それを覚醒リズム周期計測装置21
に通知する。覚醒リズム周期計測装置21は、その結果
を受けて、覚醒段階が段階2あるいは段階3になったと
きを、本実施例に係る覚醒維持装置の起動タイミングと
して、作業者に対して所定の警報を発生する。これによ
り、作業者に注意を促す。
【0064】<刺激発生装置についての説明>次に、図
10における刺激発生装置の具体的な構成について説明
する。上記の説明では、覚醒周期の半周期内で断続的に
刺激を与えることにより覚醒の低下を防止できることを
示したが、既に述べたように、刺激としての音や音楽等
を単に断続的に提示したのでは、人間は音楽のブツ切れ
感等の違和感を感じることになる。そこで、本実施例
は、音や音楽を連続的に提示した上で、例えば音圧、音
質、音場、音像等の音の特性を覚醒周期の半周期内で変
化させることにより、音や音楽を断続的に提示する場合
と同じ様に覚醒状態の維持を図ろうとするものである。
【0065】特に、音の特性の内、音像を変化させる場
合では、聴感上の音像位置(音像定位)が移動するよう
に変化させることにより、人間が持つ周囲の状況の把握
や物体の接近などに関する防衛本能を促すことができ、
より高い覚醒維持効果を得ることができる。
【0066】このように、音源そのものは同じでも、そ
の特性に変化を持たせることで覚醒低下を軽減できる例
を図17に示す。これは、「波の音」をモノラルで再生
した場合と、これに音特性の変化として音場あるいは音
像の移動を伴うステレオで再生した場合の反応時間の差
異を示している。ステレオ再生の方が反応時間が早く、
音特性に変化をともなうことで作業中の覚醒低下が軽減
されていることがわかる。
【0067】以下、刺激発生装置の幾つかの実施例につ
いて説明する。
【0068】(第1の実施例)図18は、刺激発生装置
の第1の実施例の構成を示す図である。刺激発生装置2
3は、この第1の実施例では、音楽を再生するためのC
Dプレーヤ31と、再生された音楽の音圧を切り替える
ための音圧切替器32と、ある時間間隔で音圧切替器3
2の音圧設定値を変化させるための音圧制御装置33
と、切り替える音圧の値を予め入力するための設定音圧
入力装置34と、CDプレーヤ31からの再生音を増幅
するためのアンプ35と、アンプ35の出力を再生する
ためのスピーカ36とから構成されている。
【0069】この刺激発生装置は、図19に示すよう
に、ある一定時間Tの間隔で音の大きさを変化させ、提
示する。そのため、あらかじめ設定音圧入力装置34に
より、音圧の設定値であるV1及びV2を音圧制御装置3
3に入力しておく。V1,V2は、0以上の任意の値に設
定できる。ただし、0のときは無音になることを意味す
る。なお、上記の一定時間Tは、既に述べたように覚醒
周期11分の半周期である5.5分以内、具体的には、
5秒から5.5分程度の任意の値に設定される。
【0070】次に上記のように構成される刺激発生装置
の動作について図20に示したフローチャートを参照し
て説明する。
【0071】まず、ステップS31では、既に述べたよ
うに、設定音圧入力装置34により、V1及びV2を音圧
制御装置33に入力しておく。
【0072】次にCDプレーヤ31が再生されると(ス
テップS32YES)、音圧制御装置33は、まず、音
圧がV1になるように音圧切替器32に制御信号を出力
する。音圧切替器32は、この制御信号を受けて、音圧
がV1になるようにボリウムを設定する(ステップS3
3)。
【0073】次に、音圧制御装置33は、内部のタイマ
ーのカウントにより、時間Tが経過すると、音圧がV2
になるように音圧切替器32に制御信号を出力する。音
圧切替器32は、この制御信号を受け、音圧がV2にな
るようにボリウムを設定する(ステップS35)。
【0074】音圧制御装置33は、内部のタイマーのカ
ウントにより、時間Tが経過すると(ステップS36Y
ES)、CDプレーヤ31が停止していなければ(ステ
ップS37NO)、音圧がV1に戻るように音圧切替器
32に制御信号を出力する。音圧切替器32は、この制
御信号を受け、音圧がV1になるようにボリウムを設定
する(ステップS33)。
【0075】音圧制御装置33は、この一連のV1,V2
の音圧制御をCDプレーヤが演奏を中止する(ステップ
S37YES)まで継続する。CDプレーヤの演奏が中
止されると、音圧制御装置33は、音圧を0に設定する
ように音圧切替器32に制御信号を送り、音圧切替器3
2は、この信号を受けて音圧が0になるようにボリウム
を設定する(ステップS38)。以上で動作を終了す
る。
【0076】また、アンプ35は、このように設定され
る音圧の音声信号を増幅し、スピーカ36で再生する。
【0077】なお、上記の説明では、音圧の変化の時間
間隔を一定値であるTに設定したが、これに限定される
ことなく、音圧の変化の時間間隔を覚醒周期の半周期を
越えない範囲でランダムに設定するようにしてもよい。
【0078】(第2の実施例)図21は、刺激発生装置
の第2の実施例の構成を示す図である。刺激発生装置2
3は、この第2の実施例では、音楽を再生するためのC
Dプレーヤ41と、再生された音楽の音質を切り替える
ための音質切替器42と、ある時間間隔で音質切替器4
2の音質設定値を変化させるための音質制御装置43
と、切り替える音質の値を予め入力するための設定音質
入力装置44と、CDプレーヤ41からの再生音を増幅
するためのアンプ45と、アンプ45の出力を再生する
ためのスピーカ46とから構成されている。
【0079】この刺激発生装置は、図22に示すよう
に、ある一定時間Tの間隔で音質を変化させ、提示す
る。そのため、あらかじめ設定音質入力装置44によ
り、音質1、音質2、音質3を設定する。音質1〜3は
任意の音質に設定できる。なお、上記の一定時間Tは、
既に述べたように覚醒周期11分の半周期である5.5
分以内、具体的には、5秒から5.5分程度の任意の値
に設定される。
【0080】次に上記のように構成される刺激発生装置
の動作について図23に示したフローチャートを参照し
て説明する。
【0081】まず、ステップS41では、既に述べたよ
うに、設定音圧入力装置44により、音質1、音質2、
音質3とこれらの切り替え順序を設定しておく。
【0082】次にCDプレーヤ41が再生されると(ス
テップS42YES)、音質制御装置43は、まず、設
定された音質の中からランダムに最初の音質を選択する
(ここでは、例として音質1が選択されたこととす
る)。そして、音質1になるように音質切替器42に制
御信号を出力する。音質切替器42は、この制御信号を
受けて音質1になるようにトーンコントロールする(ス
テップS43)。
【0083】次に、音質制御装置43は、内部のタイマ
ーのカウントにより、時間Tが経過すると(ステップS
44YES)、CDプレーヤ41が停止していなければ
(ステップS45NO)、次に切り替える音質を従来の
音質1以外の中からランダムに選択する(ここでは例と
して音質2を選択したこととする)。そして音質2にな
るように音質切替器42に制御信号を出力する。音質切
替器42は、この制御信号を受けて、音質2になるよう
にトーンコントロールする。
【0084】音質制御装置43は、この一連の音質制御
をCDプレーヤが演奏を中止する(ステップS45YE
S)まで継続する。
【0085】また、アンプ45は、このように設定され
る音質の音声信号を増幅し、スピーカ46で再生する。
【0086】なお、上記の説明では、音質の変化の時間
間隔を一定値であるTに設定したが、これに限定される
ことなく、音質の変化の時間間隔を覚醒周期の半周期を
越えない範囲でランダムに設定するようにしてもよい。
【0087】(第3の実施例)図24は、刺激発生装置
の第3の実施例の構成を示す図である。刺激発生装置2
3は、この第3の実施例では、音楽を再生するためのC
Dプレーヤ51と、再生された音楽の音場を切り替える
ためのDSP(デジタルシグナルプロセッサ)52と、
ある時間間隔でDSP52の設定を変化させるための音
場制御装置53と、切り替える音場を予め入力するため
の音場設定入力装置54と、CDプレーヤ51からの再
生音を増幅するためのアンプ55と、アンプ55の出力
を再生するためのスピーカ56とから構成されている。
【0088】この刺激発生装置は、図25に示すよう
に、ある一定時間Tの間隔で音場を変化させ、提示す
る。そのため、あらかじめ音場設定入力装置54によ
り、用いる音場特性を設定しておく。音場の種類は任意
に設定できる。なお、上記の一定時間Tは、既に述べた
ように覚醒周期11分の半周期である5.5分以内、具
体的には、5秒から5.5分程度の任意の値に設定され
る。
【0089】次に上記のように構成される刺激発生装置
の動作について図26に示したフローチャートを参照し
て説明する。
【0090】まず、ステップS51では、既に述べたよ
うに、音場設定入力装置54により、用いる音場特性を
設定しておく。
【0091】次にCDプレーヤ51が再生されると(ス
テップS52YES)、音場制御装置53は、まず、設
定された音場の中からランダムに最初の音場を選択する
(ここでは、例として音場1が選択されたこととする、
ステップS53)。そして、音場1になるようにDSP
52に制御信号を出力する。DSP52は、この制御信
号を受けて音場1になるようにデジタルフィルタを制御
する(ステップS54)。
【0092】次に、音場制御装置53は、内部のタイマ
ーのカウントにより、時間Tが経過すると(ステップS
55YES)、CDプレーヤ41が停止していなければ
(ステップS56NO)、次に切り替える音場を従来の
音場1以外の中からランダムに選択する(ここでは例と
して音場2を選択したこととする)。そして音場2にな
るようにDSP52に制御信号を出力する。DSP52
は、この制御信号を受けて、音場2になるようにデジタ
ルフィルタを制御する。
【0093】音場制御装置53は、この一連の音場制御
をCDプレーヤが演奏を中止する(ステップS56YE
S)まで継続する。
【0094】また、アンプ55は、このように設定され
る音場の音声信号を増幅し、スピーカ56で再生する。
【0095】なお、上記の説明では、音場の変化の時間
間隔を一定値であるTに設定したが、これに限定される
ことなく、音場の変化の時間間隔を覚醒周期の半周期を
越えない範囲でランダムに設定するようにしてもよい。
【0096】(第4の実施例)図27は、刺激発生装置
の第4の実施例の構成を示す図である。刺激発生装置2
3は、この第4の実施例では、音楽を再生するためのC
Dプレーヤ61と、CDプレーヤ61からの再生音を増
幅するためのアンプ62と、音像を切り替えるための音
像切替スイッチ63と、ある時間間隔で音像切替スイッ
チ63を制御する音像制御装置64と、アンプ62の出
力を再生するための複数のスピーカ65〜68とから構
成されている。
【0097】本実施例では2つの手法について説明す
る。
【0098】(a)ランダムにスピーカを切り替える場
合 この場合、刺激発生装置は、図28に示すように、ある
一定時間Tの間隔でランダムにスピーカを切り替え、音
像を移動させる。なお、上記の一定時間Tは、既に述べ
たように覚醒周期11分の半周期である5.5分以内、
具体的には、5秒から5.5分程度の任意の値に設定さ
れる。
【0099】次に上記のように構成される刺激発生装置
の動作について図29に示したフローチャートを参照し
て説明する。
【0100】まず、CDプレーヤ61が再生されると
(ステップS61YES)、アンプ62はCDプレーヤ
61からの出力音声信号を増幅する。音像制御装置64
は、音を出すスピーカをランダムに選択し(ステップS
62)、音像切替スイッチ63に制御信号を出力する。
音像切替スイッチ63は、この制御信号を受け、選択さ
れたスピーカに出力を切り替える(ステップS63)。
【0101】次に、音像制御装置64は、内部のタイマ
ーのカウントにより、時間Tが経過すると(ステップS
64YES)、再び、今まで再生していたスピーカ以外
のスピーカの中から、音を出すスピーカをランダムに選
択し(ステップS65)、音像切替スイッチ63に制御
信号を出力する。
【0102】音像制御装置64は、この一連の音像切り
替え制御をCDプレーヤ61が演奏を中止するまで継続
する(ステップS63〜ステップS66)。以上によ
り、音像はランダムに移動する。
【0103】(b)音像を順番に移動させる場合 この場合、刺激発生装置は、図30に示すように、ある
一定時間Tの間隔でスピーカを順番に切り替え、音像を
移動させる。なお、上記の一定時間Tは、既に述べたよ
うに覚醒周期11分の半周期である5.5分以内、具体
的には、5秒から5.5分程度の任意の値に設定され
る。
【0104】次に上記のように構成される刺激発生装置
の動作について図31に示したフローチャートを参照し
て説明する。
【0105】まず、CDプレーヤ61が再生されると
(ステップS71YES)、アンプ62はCDプレーヤ
61からの出力音声信号を増幅する。音像制御装置64
は、音を出すスピーカを1つ選択し(ステップS7
2)、音像切替スイッチ63に制御信号を出力する。音
像切替スイッチ63は、この制御信号を受け、選択され
たスピーカに出力を切り替える(ステップS73)。
【0106】次に、音像制御装置64は、内部のタイマ
ーのカウントにより、時間Tが経過すると(ステップS
74YES)、再び、今まで再生していたスピーカの隣
のスピーカを選択し(ステップS75)、音像切替スイ
ッチ63に制御信号を出力する。
【0107】音像制御装置64は、この一連の音像切り
替え制御をCDプレーヤ61が演奏を中止するまで継続
する(ステップS73〜ステップS76)。以上によ
り、音像はある一定方向に移動する。
【0108】なお、上記の説明では、音像の移動の時間
間隔を一定値であるTに設定したが、これに限定される
ことなく、音像の移動の時間間隔を覚醒周期の半周期を
越えない範囲でランダムに設定するようにしてもよい。
【0109】(第5の実施例)この第5の実施例は、刺
激発生装置23に関するものではなく、音の発生源とな
るCDプレーヤやテープレコーダー等で演奏される記録
媒体に関するものである。
【0110】この実施例では、既に述べたような音楽の
ブツ切れ感をなくすため、一定間隔あるいはランダム間
隔に提示する音楽を、あらかじめ一曲の音楽の長さを提
示間隔になるように作曲あるいは編曲を行い、これをコ
ンパクトディスクあるいは磁気記録媒体等に録音し、再
生する。これにより、ブツ切れ感のない覚醒低下軽減の
ための音環境を実現する。具体的には、作曲の段階で提
示間隔で丁度曲が終了するよう、提示区間の最後の方で
は同じメロディーをくり返し、フェードアウトしていく
ようにする。
【0111】また、曲順については、音楽を単にランダ
ムに設定するのではなく、前曲と異なるイメージの曲が
次々に再生されるように設定する。これにより、音環境
の変化を実現し、効果的な覚醒低下軽減作用を促すこと
ができる。
【0112】図32に示すように音楽が断続的に記録さ
れる記録媒体において、各音楽1曲の長さが丁度Tにな
るように作曲あるいは編曲を行う。このとき、同じイメ
ージの曲が続けて再生されないような曲順で録音を行
う。
【0113】なお、上記の一定時間Tは、既に述べたよ
うに覚醒周期11分の半周期である5.5分以内、具体
的には、5秒から5.5分程度の任意の値に設定され
る。
【0114】以上説明したように、本実施例によれば、
万人固有の有意性のある覚醒リズムを見い出し、その覚
醒リズム周期の半周期以内にて覚醒刺激の変化の提示を
行なうことで、長時間作業における作業者の覚醒の低下
を防止して覚醒状態を維持し、作業の安全を確保するこ
とが可能となる。
【0115】なお、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲
で、上記実施例を修正または変形したものに適用可能で
ある。
【0116】例えば、上記実施例では、音あるいは音楽
の発生源としてCDプレーヤを使用する場合について説
明したが、テープレコーダなど音を再生できるものであ
れば何を使用してもよいことは言うまでもない。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
人間の感覚を刺激するための音を連続的に発生しつつ、
且つ人間の覚醒リズムの半周期以下の間隔で音の特性を
変化させることにより、作業者にブツ切れ感等の違和感
を与えることなく、覚醒状態を維持させることができ
る。
【0118】また、作業者の覚醒段階を検出する検出手
段を備え、この検出手段により作業者が覚醒を促す必要
がある段階にあると判断された場合に、自動的に覚醒維
持手段を動作させることにより、作業者が自発的に覚醒
維持装置を動作させなくとも、自動的に作業環境を適切
に整えることができる。
【0119】また、作業者の疲労の度合を検知する検知
手段を備え、この検知手段により作業者が疲労している
と判断された場合に警告を発することにより、作業者が
疲労したままで作業を続けることが防止され、事故等を
未然に防ぐことができる。
【0120】また、覚醒状態を維持させるために音楽を
断続的に提示する場合でも、その1つの提示区間で音楽
が完結するように、作曲、編曲及び記録媒体への記録を
しておくことにより、作業者に音楽のブツ切れ感等の違
和感を与えることなく覚醒状態を維持させることができ
る。
【0121】
【図面の簡単な説明】
【図1】脳活動からみた覚醒メカニズムを説明するため
の図である。
【図2】覚醒リズム周期を検出するための覚醒リズム周
期計測装置の構成を示すブロック図である。
【図3】選択反応作業による選択反応時間の計測状況を
示す図である。
【図4】反応時間のデータに対して用いるバンドパスフ
ィルタの特性図である。
【図5】反応時間のMEMによる処理結果を示す図であ
る。
【図6】覚醒リズム周期の度数分布を示す図である。
【図7】実施例に係る覚醒リズム周期計測装置の構成を
示すブロック図である。
【図8】実施例における覚醒リズム周期の計測手順を示
すフローチャートである。
【図9】覚醒リズム周期のクラスター分析の結果を示す
図である。
【図10】実施例に係る覚醒維持装置全体の構成を示す
ブロツク図である。
【図11】実施例に係る覚醒維持装置における覚醒維持
制御手順を示すフローチャートである。
【図12】実施例に係る覚醒維持のための刺激提示の方
法を示す図である。
【図13】音楽の断続提示による覚醒維持効果を示す図
である。
【図14】刺激の断続提示の間隔に最適な値が存在する
ことを示す図である。
【図15】覚醒リズムの出現現象についての段階的な進
展過程を示す図である。
【図16】覚醒リズムの出現現象についての段階的な進
展過程を示す図である。
【図17】音の特性に変化を持たせることで覚醒低下を
軽減できる例を示した図である。
【図18】刺激発生装置の第1の実施例を示した図であ
る。
【図19】一定時間間隔で音の大きさを変化させる例を
示した図である。
【図20】一定時間間隔で音の大きさを変化させる動作
の手順を示すフローチャートである。
【図21】刺激発生装置の第2の実施例を示した図であ
る。
【図22】一定時間間隔で音質を変化させる例を示した
図である。
【図23】一定時間間隔で音質を変化させる動作の手順
を示すフローチャートである。
【図24】刺激発生装置の第3の実施例を示した図であ
る。
【図25】一定時間間隔で音場を変化させる例を示した
図である。
【図26】一定時間間隔で音場を変化させる動作の手順
を示すフローチャートである。
【図27】刺激発生装置の第4の実施例を示した図であ
る。
【図28】一定時間間隔で音像を移動させる1つの例を
示した図である。
【図29】一定時間間隔で音像を移動させる動作の手順
の1つの例を示すフローチャートである。
【図30】一定時間間隔で音像を移動させる他の例を示
した図である。
【図31】一定時間間隔で音像を移動させる動作の手順
の他の例を示すフローチャートである。
【図32】記録媒体への音楽の記録状態を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 CRT 2 コンピュータ 3 入力装置 4 ディスク 21 覚醒リズム周期計測装置 22 継続刺激制御装置 23 刺激発生装置 24 覚醒度計測装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 20/12 102 G10K 15/00 M

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人間の感覚を刺激するための音を発生す
    る音源と、 前記音を連続的に発生させつつ、且つ人間の覚醒リズム
    の半周期以下の一定間隔あるいはランダム間隔で前記音
    の特性を変化させるように前記音源を制御する覚醒維持
    手段とを具備することを特徴とする覚醒維持装置。
  2. 【請求項2】 前記音の特性として音圧を変化させるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
  3. 【請求項3】 前記音の特性として音質を変化させるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
  4. 【請求項4】 前記音の特性として音場を変化させるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
  5. 【請求項5】 前記音の特性として音像を変化させるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
  6. 【請求項6】 さらに、前記覚醒リズムの周期を計測す
    る計測手段と、前記覚醒リズムの周期の振幅に基づいて
    人間の覚醒段階を検出する検出手段とを備え、 前記覚醒段階が所定の覚醒低下段階に入ったタイミング
    で、前記覚醒維持手段による覚醒維持を開始することを
    特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
  7. 【請求項7】 さらに、前記覚醒リズムの周期を計測す
    る計測手段と、前記覚醒リズムの周期の振幅に基づいて
    人間の疲労の度合いを検知する検知手段とを備え、 前記疲労の度合いが所定値になったタイミングで、所定
    の警告を出すことを特徴とする請求項1に記載の覚醒維
    持装置。
  8. 【請求項8】 前記覚醒リズムの周期及び前記覚醒リズ
    ムの周期の振幅を、脳波をもとに計測することを特徴と
    する請求項6または7に記載の覚醒維持装置。
  9. 【請求項9】 前記覚醒リズムの周期を11分とするこ
    とを特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
  10. 【請求項10】 前記半周期以下の一定間隔あるいはラ
    ンダム間隔とは、5秒乃至5.5分であることを特徴と
    する請求項1に記載の覚醒維持装置。
  11. 【請求項11】 覚醒リズムの半周期以下の一定間隔あ
    るいはランダム間隔で断続的に音楽が提示されるように
    記録された記録媒体であって、1つの提示区間で音楽が
    完結するように作曲、編曲及び記録がなされていること
    を特徴とする覚醒維持用記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記半周期以下の一定間隔あるいはラ
    ンダム間隔とは、5秒乃至5.5分であることを特徴と
    する請求項11に記載の覚醒維持用記録媒体。
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