JP5857794B2 - 拡散層付き金属材料ならびにその製造方法 - Google Patents
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Description
このような金属材料に関して、従来、いくつかの提案がなされている。
本発明は、従来のもの比較して、耐酸化性がより優れるAl拡散金属材料ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の(1)〜(10)である。
(1)Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程と、
前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程と
を備える、拡散層付き金属材料の製造方法。
(2)前記金属材料がNi基基材である、上記(1)に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
(3)前記元素αが、Zr、HfおよびYからなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記(1)または(2)に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
(4)さらに、表面に熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成する工程を備える、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって得られる、拡散層付き金属材料。
(6)最表面から10〜40μmまでの部分において、Alの平均濃度が90〜99.99原子%であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料。
(7)表面から10〜50μmまでの部分において、β−NiAlが主要な相であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する拡散層付き金属材料。
(8)さらに、熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を有する、上記(7)に記載の拡散層付き金属材料。
(9)前記金属材料がNi基基材である、上記(7)または(8)に記載の拡散層付き金属材料。
(10)上記(5)、(7)、(8)または(9)に記載の拡散層付き金属材料からなるタービン翼。
本発明は、Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程と、前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程とを備える、拡散層付き金属材料の製造方法である。
このような製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
このような被膜付き金属材料を、以下では「本発明の被膜付き基材」ともいう。
このような拡散層付き金属材料を、以下では「本発明の拡散層付き基材」ともいう。
本発明の製造方法は、Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程を備える。
このような工程を以下では、被膜形成工程ともいう。
本発明の被膜付き基材は、被膜形成工程によって得ることが好ましい。
ここで、Ni基単結晶合金は、Niをベースとし、AlあるいはTiを添加し、加えてCr、W、Taなどの高融点金属を添加した上で、所定の温度で溶体化処理を行い、さらに時効処理を行って得られるものであり、Niの母相(γ相)中にNi3Al型あるいはNi3Ti型の析出相(γ´相)が分散析出して強化された単結晶型の超合金をいう。
ここで溶体化処理としては、例えば1230〜1290℃から多段のステップにより1300〜1340℃まで昇温した後、1〜10時間保持する処理が挙げられる。
また、時効処理としては、例えば1000〜1150℃で3〜5時間保持する処理が挙げられる。
ここで元素αは、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αである。したがって、元素αは2以上の元素を意味する場合もある。
また、ここで希土類元素とは、Sc、Yおよびランタノイドを意味する。ランタノイドの代表として、LaやCeが挙げられる。
このような元素αは、Zr、HfおよびYからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、Zrであることがより好ましい。
電解めっき処理は、有機溶媒にアルミニウム塩と元素αの塩とを溶解した浴に前記金属材料を陰極として浸漬して、従来公知の方法で行うことができる。
ここで有機溶媒はジメチルスルホンを好ましく用いることができ、その他にも、either1−ethyl−3−methyl imidazolium chllride(EMIC)やn−butyl pyridinium chloride(BPC)を用いることができる。
また、アルミニウム塩は、無水塩化アルミニウムを好ましく用いることができ、その他にも、AlBr3などのハロゲン化物を用いることができる。
また、例えば元素αがZrの場合、元素αの塩は、塩化ジルコニウムであることが好ましい。また、有機溶媒としてジメチルスルホン酸を用い、さらに、アルミニウム塩として無水塩化アルミニウムを用い、かつ、元素αの塩として塩化ジルコニウムを用いることが好ましい。
また、陰極電流密度は10〜150mA/cm2が好ましく、20〜80mA/cm2がより好ましい。
また、電解めっき処理によって被膜を形成すると、被膜の厚さを所望値に制御し易いという点でも好ましい。
本発明の製造方法は、前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程を備える。
このような工程を、以下では拡散工程ともいう。
ここで表面部とは、最表面から10〜50μmの深さまでの部分をいうものとする。
本発明の製造方法は、さらに、表面に熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成する工程を備えることが好ましい。
このような工程を、以下ではセラミック被膜形成工程ともいう。
本発明の製造方法によって得られる拡散層付き金属材料の表面に、熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成すると、その被膜は剥がれ難いことを本発明者は見出した。剥がれ難いため、このような被膜を備える拡散層付き金属材料は、さらに熱遮蔽性が高くなることを、本発明者は見出した。
本発明の被膜付き基材は、最表面から10〜40μmまでの部分において、Alの平均濃度が90〜99.99原子%、好ましくは95〜99.9原子%、より好ましくは98〜99.9原子%であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%、好ましくは0.1〜5原子%、より好ましくは0.1〜2原子%である、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料である。
なお、最表面から垂直深さで10〜40μmまでの部分におけるAlおよび元素αの平均濃度は、電子プローブマイクロアナライザで測定した値を意味するものとする。
このような本発明の被膜付き基材は、前述の本発明の製造方法によって製造することができる。
本発明の拡散層付き基材は、最表面から垂直深さで10〜50μm、好ましくは15〜50μmまでの部分において、結晶構造が主としてβ−NiAl型であって(すなわち、その部分におけるβ−NiAl型の結晶の存在比率(質量比率)が50質量%以上であって)、その部分における元素αの原子%を0.01〜10原子%、好ましくは0.1〜5原子%、より好ましくは0.1〜2原子%である、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する拡散層付き金属材料である。
このような本発明の拡散層付き基材は、従来のもの比較して、耐酸化性がより優れるので好ましい。
なお、最表面から垂直深さで10〜50μmまでの部分におけるAlおよび元素αの平均濃度は、電子プローブマイクロアナライザで測定した値を意味するものとする。
また、拡散層付き基材がβ−NiAl型の結晶構造を有する物かどうかは、X線回折によって明らかにすることができる。また、最表面から垂直深さで10〜50μmまでの部分におけるβ−NiAl型の結晶構造を有する物の存在比率(質量比率)は、試料断面を走査型電子顕微鏡で観察した際の組成像のコントラストによって求められる各結晶構造相の面積率と、電子プローブマイクロアナライザで測定したその箇所におけるNi、Alの濃度から求めることができる。
このような本発明の拡散層付き基材は、前述の本発明の製造方法によって製造することができる。
本発明の拡散層付き基材の表面に形成された熱遮蔽性を備えるセラミック被膜は、剥がれ難いことを本発明者は見出した。剥がれ難いため、このような被膜を備える本発明の基材は、さらに熱遮蔽性が高くなることを、本発明者は見出した。
めっき浴を用意し、ここへNi基板を陰極として浸漬させた。また、陽極としてアルミニウム板を浸漬させた。
ここでめっき液は、ジメチルスルホン酸と無水塩化アルミニウムとを10:3(モル比)で溶解した組成物に、この組成物を基準として、0.005モル%のZrCl4を添加したものである。
そして、めっき液の温度を110℃に調整した後、陰極電流密度を60mA/cm2に保持し、めっき液をマグネットスターラーで常に攪拌して、Ni基板に電解めっき処理を施した。そして、30分後に、厚さが30μmの被膜が付いた被膜付き基材を得た。なお、被膜の厚さは、被膜形成前後の質量変化量からの算出、および光学顕微鏡を用いた断面観察(倍率:500倍)によって求めた。
ここで、表中、Position=「a」、Position=「b」、Position=「c」得られた被膜付きNi基板の試験片表面における3点の部位を意味する。「a」は試験片表面における中央部位、「c」は試験片表面における端に近い部位、「b」は、「a」と「c」の中間地点の部位を意味する。電析の場合は、電析における電流密度分布が試験片形状に依存し、試験片の中央部と端部では電析条件が異なる可能性があるため、各箇所の濃度を測定した
実施例1では陰極電流密度を60mA/cm2としたが、実施例2では陰極電流密度を80mA/cm2とした。
そして、それ以外は全て実施例1と同様の操作を行って被膜付きNi基板を得て、同様の測定を行った。
測定結果を第2表に示す。
実施例1では、ジメチルスルホン酸と無水塩化アルミニウムとの組成物に、この組成物を基準として0.005モル%のZrCl4を添加したが、実施例3では、0.0075モル%のZrClを添加した。
そして、それ以外は全て実施例1と同様の操作を行って被膜付きNi基板を得て、同様の測定を行った。
測定結果を第3表に示す。
実施例1では、ジメチルスルホン酸と無水塩化アルミニウムとの組成物に、この組成物を基準として0.005モル%のZrCl4を添加したが、実施例4では、0.0075モル%のZrCl4を添加した。
また、実施例1では陰極電流密度を60mA/cm2としたが、実施例4では陰極電流密度を80mA/cm2とした。
そして、それ以外は全て実施例1と同様の操作を行って被膜付きNi基板を得て、同様の測定を行った。
測定結果を第4表に示す。
Claims (9)
- Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程と、
前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程と
を備える、拡散層付き金属材料の製造方法。 - 前記金属材料がNi基基材である、請求項1に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
- 前記元素αが、Zr、HfおよびYからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1または2に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
- さらに、表面に熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成する工程を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
- 最表面から10〜40μmまでの部分において、Alの平均濃度が90〜99.99原子%であり、その部分におけるZr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料。
- 表面から10〜50μmまでの部分において、β−NiAlが主要な相であり、その部分におけるZr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する拡散層付き金属材料。
- さらに、熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を有する、請求項6に記載の拡散層付き金属材料。
- 前記金属材料がNi基基材である、請求項6または7に記載の拡散層付き金属材料。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の拡散層付き金属材料からなるタービン翼。
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