JP5857794B2 - 拡散層付き金属材料ならびにその製造方法 - Google Patents

拡散層付き金属材料ならびにその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、AlならびにZrおよび希土類元素等が拡散した拡散層付き金属材料ならびにその製造方法に関する。
高圧タービン翼や燃焼器等の材料として、耐熱酸化コーティング(場合によってはさらに熱遮蔽コーティング)が施されたNi基基材等の金属材料が用いられる。
このような金属材料に関して、従来、いくつかの提案がなされている。
例えば特許文献1には、被覆ガスタービンエンジン部品上の第1コーティングであって、アルミニウム、希土類元素、Hf、Zr、Si等の元素と、ニッケル等の元素とからなる実質的になる第1コーティングと、第1コーティング上の化学蒸着外向成長のアルミ化物拡散オーバコーティングとを具備することを特徴とする超合金アルミ化物拡散コーティングシステムが記載されている。
特許文献2には、Ni基合金基材の表面にアンダーコート、その上にオーバーコート、その上にAl拡散浸透層を形成してなるNi基高温強度部材が記載されている。ここでAl拡散浸透層は、溶射法または蒸着法によって形成すると記載されている。
特許文献3には、Ni基の超合金製の高温機器部品の基材にPtメッキ処理を行う第1工程と、その上にHf、ZrおよびSiの内の1または2以上をPVDによりコーティングする第2工程と、その上にAlの拡散コーティングする第3工程とからなることを特徴とする高温機器部品用耐食コーティング形成方法が記載されている。また、Alの拡散コーティングは、鋼製の箱の中に基材とアルミナ粉、Al合金分を設置しておき、1000℃位に保持して行う旨が記載されている。
特開平11−172463号公報 特開2003−293164号公報 特開2004−131814号公報
特許文献1〜3に記載のNi基基材等の金属材料はその表面にAlを拡散させることで耐酸化性を高めたものであるが、その耐酸化性には、改善に余地があった。
本発明は、従来のもの比較して、耐酸化性がより優れるAl拡散金属材料ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を解決することを目的に鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(10)である。
(1)Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程と、
前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程と
を備える、拡散層付き金属材料の製造方法。
(2)前記金属材料がNi基基材である、上記(1)に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
(3)前記元素αが、Zr、HfおよびYからなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記(1)または(2)に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
(4)さらに、表面に熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成する工程を備える、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって得られる、拡散層付き金属材料。
(6)最表面から10〜40μmまでの部分において、Alの平均濃度が90〜99.99原子%であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料。
(7)表面から10〜50μmまでの部分において、β−NiAlが主要な相であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する拡散層付き金属材料。
(8)さらに、熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を有する、上記(7)に記載の拡散層付き金属材料。
(9)前記金属材料がNi基基材である、上記(7)または(8)に記載の拡散層付き金属材料。
(10)上記(5)、(7)、(8)または(9)に記載の拡散層付き金属材料からなるタービン翼。
本発明によれば、従来のもの比較して、耐酸化性がより優れるAl拡散金属材料ならびにその製造方法を提供することができる。また、熱遮蔽性を備えるセラミック被膜をさらに備える本発明の好ましい態様であれば、耐酸化性に加え、熱遮断性も向上させることができる。
本発明について説明する。
本発明は、Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程と、前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程とを備える、拡散層付き金属材料の製造方法である。
このような製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
また、本発明は、最表面から10〜40μmまでの部分において、Alの平均濃度が90〜99.99原子%であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料である。
このような被膜付き金属材料を、以下では「本発明の被膜付き基材」ともいう。
また、本発明は、表面から10〜50μmまでの部分において、β−NiAlが主要な相であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する拡散層付き金属材料である。
このような拡散層付き金属材料を、以下では「本発明の拡散層付き基材」ともいう。
本発明の拡散層付き基材は、本発明の製造方法によって得ることが好ましい。
初めに、本発明の製造方法について説明する。
<被膜形成工程>
本発明の製造方法は、Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程を備える。
このような工程を以下では、被膜形成工程ともいう。
本発明の被膜付き基材は、被膜形成工程によって得ることが好ましい。
被膜形成工程における処理対象である金属材料は、700〜1200℃程度の高温で処理することでAl化合物を形成し得るものであれば特に限定されない。例えばNi、Ti、Fe、CoおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む金属材料が挙げられ、これらの中でもNiを主成分とする金属材料が好ましく、Ni基基材であることがより好ましい。
ここで、Ni基基材とは、Niをベースとし、AlあるいはTiを添加し、加えてCr、W、Taなどの高融点金属を添加した上で、所定の温で溶体化処理を行い、さらに時効処理を行って得られるものであり、Niの母相(γ相)中にNi3Al型あるいはNi3Ti型の析出相(γ´相)が分散析出して強化された合金基材をいう。
また、Ni基基材は、Ni基単結晶合金であることが好ましい。
ここで、Ni基単結晶合金は、Niをベースとし、AlあるいはTiを添加し、加えてCr、W、Taなどの高融点金属を添加した上で、所定の温度で溶体化処理を行い、さらに時効処理を行って得られるものであり、Niの母相(γ相)中にNi3Al型あるいはNi3Ti型の析出相(γ´相)が分散析出して強化された単結晶型の超合金をいう。
本発明においてNi基単結晶合金は、次の態様1〜態様5のいずれかの組成を有し、溶体化処理および時効処理を行って得られたものを意味するものとする。
ここで溶体化処理としては、例えば1230〜1290℃から多段のステップにより1300〜1340℃まで昇温した後、1〜10時間保持する処理が挙げられる。
また、時効処理としては、例えば1000〜1150℃で3〜5時間保持する処理が挙げられる。
本発明におけるNi基単結晶合金の態様1の組成は、質量比で、Co:15.0質量%以下、Cr:4.1質量%以上8.0質量%以下、Mo:2.1質量%以上6.5質量%以下、W:3.9質量%以下、Ta:4.0質量%以上10.0質量%以下、Al:4.5質量%以上6.5質量%以下、Ti:1.0質量%以下、Hf:0.5質量%以下、Nb:3.0質量%以下、Re:3.0質量%以上8.0質量%以下、Ru:0.5質量%以上6.5質量%以下を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる組成である。
本発明におけるNi基単結晶合金の態様2の組成は、質量比で、Co:15.0質量%以下、Cr:5.1質量%以上8.0質量%以下、Mo:2.1質量%以上6.5質量%以下、W:3.9質量%以下、Ta:4.0質量%以上10.0質量%以下、Al:4.5質量%以上6.5質量%以下、Ti:1.0質量%以下、Hf:0.5質量%以下、Nb:3.0質量%以下、Re:3.0質量%以上8.0質量%以下、Ru:0.5質量%以上6.5質量%以下を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる組成である。
本発明におけるNi基単結晶合金の態様3の組成は、質量比で、Co:4.0質量%以上9.5質量%以下、Cr:4.1質量%以上8.0質量%以下、Mo:2.1質量%以上6.5質量%以下、W:3.9質量%以下、Ta:4.0質量%以上10.0質量%以下、Al:4.5質量%以上6.5質量%以下、Ti:1.0質量%以下、Hf:0.5質量%以下、Nb:3.0質量%以下、Re:3.0質量%以上8.0質量%以下、Ru:0.5質量%以上6.5質量%以下を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる組成である。
本発明におけるNi基単結晶合金の態様4の組成は、質量比で、Co:4.0質量%以上9.5質量%以下、Cr:5.1質量%以上8.0質量%以下、Mo:2.1質量%以上6.5質量%以下、W:3.9質量%以下、Ta:4.0質量%以上10.0質量%以下、Al:4.5質量%以上6.5質量%以下、Ti:1.0質量%以下、Hf:0.5質量%以下、Nb:3.0質量%以下、Re:3.0質量%以上8.0質量%以下、Ru:0.5質量%以上6.5質量%以下を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる組成である。
本発明におけるNi基単結晶合金の態様5の組成は、質量比で、Co:5.0質量%以上8.0質量%以下、Cr:5.1質量%以上8.0質量%以下、Mo:2.2質量%以上4.8質量%以下、W:1.9質量%以下、Ta:5.5質量%以上8.0質量%以下、Al:5.4質量%以上6.0質量%以下、Ti:0.5質量%以下、Hf:0.08質量%以上0.5質量%以下、Nb:1.0質量%以下、Re:4.0質量%以上7.5質量%以下、Ru:1.0質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる組成である。
被膜形成工程では、前記金属材料に電解めっき処理を施す。そして、前記金属材料の表面にAlおよび元素αを含む被膜を形成する。
ここで元素αは、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αである。したがって、元素αは2以上の元素を意味する場合もある。
また、ここで希土類元素とは、Sc、Yおよびランタノイドを意味する。ランタノイドの代表として、LaやCeが挙げられる。
このような元素αは、Zr、HfおよびYからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、Zrであることがより好ましい。
次に、前記金属材料に施す電解めっき処理について説明する。
電解めっき処理は、有機溶媒にアルミニウム塩と元素αの塩とを溶解した浴に前記金属材料を陰極として浸漬して、従来公知の方法で行うことができる。
ここで有機溶媒はジメチルスルホンを好ましく用いることができ、その他にも、either1−ethyl−3−methyl imidazolium chllride(EMIC)やn−butyl pyridinium chloride(BPC)を用いることができる。
また、アルミニウム塩は、無水塩化アルミニウムを好ましく用いることができ、その他にも、AlBr3などのハロゲン化物を用いることができる。
また、例えば元素αがZrの場合、元素αの塩は、塩化ジルコニウムであることが好ましい。また、有機溶媒としてジメチルスルホン酸を用い、さらに、アルミニウム塩として無水塩化アルミニウムを用い、かつ、元素αの塩として塩化ジルコニウムを用いることが好ましい。
また、溶媒としてジメチルスルホンを用いる場合、有機溶媒に対するアルミニウム塩の混合比(アルミニウム塩/有機溶媒)は、モル比で、0.05〜3.0であることが好ましく、0.2〜0.3であることがより好ましく、0.2程度であることがより好ましい。
また、溶媒としてジメチルスルホンを用いる場合、有機溶媒とアルミニウム塩との合計量に対する元素αの混合比(元素α/(有機溶媒+アルミニウム塩))は、モル比で、0.001〜0.5程度で調整できる。なお、ここで元素αが2以上の元素を意味する場合は、元素αのモル量(モル濃度)は、それら2以上の元素の合計モル濃度を意味するものとする。
また、溶媒としてジメチルスルホンを用いる場合、浴温度は、60〜200℃が好ましく、90〜150℃がより好ましく、100〜120℃がより好ましく、110℃程度であることがさらに好ましい。
また、陰極電流密度は10〜150mA/cm2が好ましく、20〜80mA/cm2がより好ましい。
Alおよび元素αを含む被膜は、陰極電流密度と処理時間を調整することで所望の厚さとすることができる。なお、電解めっき処理中はめっき浴を常に攪拌することが好ましい。
このような電解めっき処理を行うことで、前記金属材料の表面に実質的にAlおよび元素αからなる被膜を形成することができる。
このような電解めっき処理によって被膜を形成すると、より均一な厚さの被膜を形成することができるので好ましい。被膜がより均一な厚さであると、本発明の製造方法によって得られる拡散層付き金属材料を用いてなる部材(タービン翼など)の全表面における耐酸化性が向上する。仮に拡散層付き金属材料における被膜の厚さが均一でなかった場合、その厚さが厚い部分または薄い部分における耐酸化性が低くなるので好ましくない。
また、電解めっき処理によって被膜を形成すると、被膜の厚さを所望値に制御し易いという点でも好ましい。
被膜の厚さは特に限定されないが、10〜40μmであることが好ましい。このような厚さとすることで、本発明の製造方法によって得られる拡散層付き金属材料における表面のAlおよび元素αの濃度および存在形態を最適化することができ、より耐酸化性に優れるものが得られるからである。具体的には、最表面から10〜50μmの垂直深さまでの部分における結晶構造が主としてNiAl型であって(すなわち、その部分におけるNiAl型の結晶の存在比率(質量比率)が50質量%以上であって)、その部分における元素αの原子%を0.01〜10原子%、好ましくは0.01〜5原子%である拡散層付き金属材料が得られるからである。このような拡散層付き金属材料は、従来のもの比較して、耐酸化性がより優れるので好ましい。なお、ここでいう拡散層付き金属材料は、後述する本発明の拡散層付き基材であってよい。
なお、被膜の厚さは、断面を光学顕微鏡(例えば500倍の倍率)を用いて観察し、ほぼ均一の厚さとなっていることを確認した上で、被膜付き金属材料の表面に被膜を形成する前後の質量変化量から算出して求めた値を意味するものとする。
<拡散工程>
本発明の製造方法は、前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程を備える。
このような工程を、以下では拡散工程ともいう。
拡散工程では、前記被膜形成工程によって形成された被膜付き金属材料を熱処理する。そして、被膜に含まれるAlおよび元素αを前記金属材料の少なくとも表面部に拡散させる。
ここで表面部とは、最表面から10〜50μmの深さまでの部分をいうものとする。
また、熱処理は、Alおよび元素αを前記金属材料の最表面から内部へ拡散させることができる条件で行えばよい。例えば真空中、不活性ガス(He、Arなど)中またはH2中にて、好ましくは900〜1200℃、より好ましくは1000℃以上1100℃未満で前記金属材料を熱処理する。
前記被膜付き金属材料にこのような熱処理を施すと、Alおよび元素αが、前記金属材料の最表面から内部へ拡散し、少なくとも10〜50μmの深さにまで拡散する。通常、30〜60μm程度の深さにまで拡散する。そして、Alおよび元素αが拡散した拡散層が形成される。この拡散層は耐酸化性の向上に寄与する。
<セラミック被膜形成工程>
本発明の製造方法は、さらに、表面に熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成する工程を備えることが好ましい。
このような工程を、以下ではセラミック被膜形成工程ともいう。
熱遮蔽性を備えるセラミック被膜は特に限定されず、タービン翼の熱遮蔽コーティング(TBC)として従来用いられている公知のものを用いることができる。例えば、6〜8質量%でY23を含む部分安定化ZrO2からなるセラミックコーティングや、さらに、ここへLa23を1〜3重量%程度微量添加した部分安定化ZrO2からなるセラミックコーティングが挙げられる。
このようなセラミック被膜の形成方法も特に限定されず、例えば溶射やPVDで形成することができる。
本発明の製造方法がセラミック被膜形成工程をさらに備えると、本発明の製造方法によって得られる拡散層付き金属材料は、さらに、熱遮蔽性を備えるので好ましい。
本発明の製造方法によって得られる拡散層付き金属材料の表面に、熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成すると、その被膜は剥がれ難いことを本発明者は見出した。剥がれ難いため、このような被膜を備える拡散層付き金属材料は、さらに熱遮蔽性が高くなることを、本発明者は見出した。
次に本発明の被膜付き基材について説明する。
本発明の被膜付き基材は、最表面から10〜40μmまでの部分において、Alの平均濃度が90〜99.99原子%、好ましくは95〜99.9原子%、より好ましくは98〜99.9原子%であり、その部分における元素αの原子%が0.01〜10原子%、好ましくは0.1〜5原子%、より好ましくは0.1〜2原子%である、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料である。
なお、最表面から垂直深さで10〜40μmまでの部分におけるAlおよび元素αの平均濃度は、電子プローブマイクロアナライザで測定した値を意味するものとする。
このような本発明の被膜付き基材は、前述の本発明の製造方法によって製造することができる。
次に本発明の拡散層付き基材について説明する。
本発明の拡散層付き基材は、最表面から垂直深さで10〜50μm、好ましくは15〜50μmまでの部分において、結晶構造が主としてβ−NiAl型であって(すなわち、その部分におけるβ−NiAl型の結晶の存在比率(質量比率)が50質量%以上であって)、その部分における元素αの原子%を0.01〜10原子%、好ましくは0.1〜5原子%、より好ましくは0.1〜2原子%である、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する拡散層付き金属材料である。
このような本発明の拡散層付き基材は、従来のもの比較して、耐酸化性がより優れるので好ましい。
なお、最表面から垂直深さで10〜50μmまでの部分におけるAlおよび元素αの平均濃度は、電子プローブマイクロアナライザで測定した値を意味するものとする。
また、拡散層付き基材がβ−NiAl型の結晶構造を有する物かどうかは、X線回折によって明らかにすることができる。また、最表面から垂直深さで10〜50μmまでの部分におけるβ−NiAl型の結晶構造を有する物の存在比率(質量比率)は、試料断面を走査型電子顕微鏡で観察した際の組成像のコントラストによって求められる各結晶構造相の面積率と、電子プローブマイクロアナライザで測定したその箇所におけるNi、Alの濃度から求めることができる。
このような本発明の拡散層付き基材は、前述の本発明の製造方法によって製造することができる。
本発明の拡散層付き基材は、さらに、熱遮蔽性を備える前記セラミック被膜を有するものであることが好ましい。
本発明の拡散層付き基材の表面に形成された熱遮蔽性を備えるセラミック被膜は、剥がれ難いことを本発明者は見出した。剥がれ難いため、このような被膜を備える本発明の基材は、さらに熱遮蔽性が高くなることを、本発明者は見出した。
熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を備える本発明の拡散層付き基材は、前述の本発明の製造方法の好ましい態様によって製造することができる。セラミック被膜の種類等は、前述と同様であってよく、例えば、6〜8質量%でY23を含む部分安定化ZrO2からなるものであってよい。
本発明の拡散層付き基材および/または本発明の製造方法によって得られる拡散層付き金属材料は、航空機エンジンや産業用ガスタービンなどに使用される(高圧)タービン翼(静・動翼)に好ましく用いることができる。また、燃焼器等にも好ましく用いることができる。
<実施例1>
めっき浴を用意し、ここへNi基板を陰極として浸漬させた。また、陽極としてアルミニウム板を浸漬させた。
ここでめっき液は、ジメチルスルホン酸と無水塩化アルミニウムとを10:3(モル比)で溶解した組成物に、この組成物を基準として、0.005モル%のZrCl4を添加したものである。
そして、めっき液の温度を110℃に調整した後、陰極電流密度を60mA/cm2に保持し、めっき液をマグネットスターラーで常に攪拌して、Ni基板に電解めっき処理を施した。そして、30分後に、厚さが30μmの被膜が付いた被膜付き基材を得た。なお、被膜の厚さは、被膜形成前後の質量変化量からの算出、および光学顕微鏡を用いた断面観察(倍率:500倍)によって求めた。
次に、得られた被膜付きNi基板の表面の組成(Al、Zr、S、Cl)を電子プローブマイクロアナライザを用いて測定した。結果を第1表に示す。
ここで、表中、Position=「a」、Position=「b」、Position=「c」得られた被膜付きNi基板の試験片表面における3点の部位を意味する。「a」は試験片表面における中央部位、「c」は試験片表面における端に近い部位、「b」は、「a」と「c」の中間地点の部位を意味する。電析の場合は、電析における電流密度分布が試験片形状に依存し、試験片の中央部と端部では電析条件が異なる可能性があるため、各箇所の濃度を測定した
<実施例2>
実施例1では陰極電流密度を60mA/cm2としたが、実施例2では陰極電流密度を80mA/cm2とした。
そして、それ以外は全て実施例1と同様の操作を行って被膜付きNi基板を得て、同様の測定を行った。
測定結果を第2表に示す。
<実施例3>
実施例1では、ジメチルスルホン酸と無水塩化アルミニウムとの組成物に、この組成物を基準として0.005モル%のZrCl4を添加したが、実施例3では、0.0075モル%のZrClを添加した。
そして、それ以外は全て実施例1と同様の操作を行って被膜付きNi基板を得て、同様の測定を行った。
測定結果を第3表に示す。
<実施例4>
実施例1では、ジメチルスルホン酸と無水塩化アルミニウムとの組成物に、この組成物を基準として0.005モル%のZrCl4を添加したが、実施例4では、0.0075モル%のZrCl4を添加した。
また、実施例1では陰極電流密度を60mA/cm2としたが、実施例4では陰極電流密度を80mA/cm2とした。
そして、それ以外は全て実施例1と同様の操作を行って被膜付きNi基板を得て、同様の測定を行った。
測定結果を第4表に示す。
Figure 0005857794
Figure 0005857794
Figure 0005857794
Figure 0005857794
第1表〜第4表に示すように、実施例1〜4のいずれの場合も、被膜表面におけるAl濃度は97原子%以上であり、Zr濃度は0.4〜1.5原子%となった。また、被膜表面におけるa〜cのいずれの部位においても、AlおよびZrは、ほぼ均一の濃度となることがわかった。

Claims (9)

  1. Alと、Zr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αとを含む有機溶媒中にて、Al化合物を形成し得る金属材料に電解めっき処理を施して、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料を得る工程と、
    前記被膜に含まれるAlおよび元素αが、前記金属材料の少なくとも表面部に拡散する処理条件において前記被膜付き金属材料を熱処理して、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する金属材料を得る工程と
    を備える、拡散層付き金属材料の製造方法。
  2. 前記金属材料がNi基基材である、請求項1に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
  3. 前記元素αが、Zr、HfおよびYからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1または2に記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
  4. さらに、表面に熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を形成する工程を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の拡散層付き金属材料の製造方法。
  5. 最表面から10〜40μmまでの部分において、Alの平均濃度が90〜99.99原子%であり、その部分におけるZr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αを含む被膜を表面に有する被膜付き金属材料。
  6. 表面から10〜50μmまでの部分において、β−NiAlが主要な相であり、その部分におけるZr、Hf、Siおよび希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素αの原子%が0.01〜10原子%である、Alおよび元素αが拡散してなる拡散層を有する拡散層付き金属材料。
  7. さらに、熱遮蔽性を備えるセラミック被膜を有する、請求項に記載の拡散層付き金属材料。
  8. 前記金属材料がNi基基材である、請求項6または7に記載の拡散層付き金属材料。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の拡散層付き金属材料からなるタービン翼。
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