〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る携帯端末装置を示している。図1に示す構成は筐体モジュールまたは電子機器の一例であり、斯かる構成に本開示の筐体モジュールおよび電子機器は限定されない。
図1に示す携帯端末装置2は、上筐体4−1と、下筐体4−2を備えている。上筐体4−1は第1の筐体の一例である。下筐体4−2は第2の筐体の一例である。上筐体4−1は下筐体4−2の上に重ねられている。上筐体4−1は、下筐体4−2を固定側として可動側、つまり、スライド側筐体である。上筐体4−1には表示部6−1が設置されている。下筐体4−2には表示部6−2(図2)が設置されている。各表示部6−1、6−2はたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)で構成され、文字、図形、画像などの情報表示が表示される。各表示部6−1、6−2にはタッチパネル8が設置されている。タッチパネル8はタッチ入力部の一例であり、指やタッチペンなどのタッチによって位置や情報の入力に用いる。上筐体4−1には表示部6−1を挟んで集音孔10および放音孔12が形成されている。集音孔10は音声などを集音する。放音孔12はスピーカの出力音を放音する。
図2は、携帯端末装置2を分解して示している。上筐体4−1と下筐体4−2との間にはスライド支持機構14が設置されている。上筐体4−1は、このスライド支持機構14により、図1に示す下筐体4−2との重合状態から幅方向のスライド終端までスライドさせることができる。また、このスライド支持機構14により、上筐体4−1をスライド終端から下筐体4−2との重合状態にスライドして復帰させることができる。このスライド支持機構14には、スライドフレーム16、スライド保持部18、上筐体保持部20−1、20−2、連動機構22−1、22−2が備えられている。
スライドフレーム16は上筐体4−1に固定ねじなどの固定手段により取り付けられている。このスライドフレーム16にはスライド保持部18が係合される。スライド保持部18はスライド保持部材の一例である。スライドフレーム16にはレール24が取り付けられている。スライド保持部18の両端にはたとえば、断面コ字形のレール保持部26が形成されている。このレール保持部26はレール24と係合し、レール24を保持する。
スライド保持部18には上筐体保持部20−1、20−2が連動機構22−1、22−2により連結されている。各連動機構22−1、22−2は、スライド保持部18の直線運動(スライド)を上筐体保持部20−1、20−2の円弧運動に変換する変換機構である。上筐体保持部20−1、20−2は上筐体4−1を支持する筐体支持部の一例である。この上筐体保持部20−1、20−2は下筐体4−2に回動可能に取り付けられている。
上筐体保持部20−1、20−2にはそれぞれ上筐体保持板30−1、30−2が備えられている。上筐体保持板30−1、30−2は軸受部32を備える。下筐体4−2の縁部の軸受部34に支持軸36が支持されている。各上筐体保持板30−1、30−2は支持軸36より回動可能に下筐体4−2に支持される。軸受部34は軸固定部としてもよい。
各上筐体保持板30−1、30−2にはロック突起部37が形成されている。このロック突起部37はレール24のガイド溝39に係合し、各上筐体保持板30−1、30−2がスライドフレーム16にロックされる。ロック突起部37とガイド溝39とは、上筐体4−1のスライド開始点(重合位置)から各上筐体保持板30−1、30−2の回動開始点までの区間で係合する。すなわち、各上筐体保持板30−1、30−2の回動開始点に到達した位置で、ガイド溝39からロック突起部37の係合が外れ、各上筐体保持板30−1、30−2が回動可能となる。
各連動機構22−1、22−2はスライド保持部18と各上筐体保持板30−1、30−2との間に設置されている。スライド保持部18には各上筐体保持板30−1、30−2に対応する位置にガイド孔38、40がそれぞれ形成されている。各上筐体保持板30−1、30−2には、ガイド孔38に係合するガイドピン42、ガイド孔40に係合するガイドピン44が設けられている。斯かる構成により、上筐体保持板30−1、30−2がスライド保持部18のスライドに応じて支持軸36を中心に円弧回動する。
図3および図4は、スライド終端までスライドさせた上筐体4−1および下筐体4−2を示している。
上筐体4−1のスライドに応じてスライド保持部18が下筐体4−2の縁部側に張り出す。このスライド保持部18に連動し、各上筐体保持部20−1、20−2が回動し、図3および図4に示すように、下筐体4−2の縁部側に突出状態となる。この結果、各上筐体保持部20−1、20−2に下筐体4−2の縁部側に張り出した上筐体4−1が保持される。
この状態から上筐体4−1をスライド終端からスライド始端に向かってスライドさせると、上筐体保持部20−1、20−2は、図1に示すように、下筐体4−2の縁部側に後退する。
<第1の実施の形態の効果>
(1) 上筐体4−1を下筐体4−2と重合状態と非重合状態との幅広い開閉範囲でスライドさせ、非重合状態にスライドさせた上筐体4−1および下筐体4−2が拡開状態で維持される。
(2) 重合状態で上筐体4−1に覆われる下筐体4−2の面部を非重合状態により拡開でき、各表示部6−1、6−2を幅広く活用できる。
(3) 重合状態で上筐体4−1に覆われる下筐体4−2の表示部6−2を非重合状態により拡開でき、表示面積を大きく取ることができる。この実施の形態では、タッチパネル8が設置されているので、タッチパネル面の拡大が図られている。
なお、この実施の形態において、既述のスライド支持機構14とともにチルト機構46(第2の実施の形態)を備えることにより、スライド終端に到達した上筐体4−1を傾斜させる構成としてもよい。また、既述のスライド支持機構14とともに上筐体4−1のフラット化機構48(第3の実施の形態)を備えることにより、スライド終端に到達した上筐体4−1をスライド方向と直交方向に平行移動(下降移動)させてもよい。これにより、上筐体4−1および下筐体4−2の各表示部6−1、6−2の画面のフラット化が可能である。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態に係る携帯端末装置2は、上筐体4−1および下筐体4−2の重合状態を上筐体4−1のスライド始端として幅方向にスライドし、そのスライド終端で上筐体4−1が下筐体4−2の縁部外に至る。この第1の実施の形態と同様の構成に加え、スライドチルトタイプの一例としてチルト機構46を含む。チルト機構46は、スライド終端に到達した上筐体4−1を傾斜させる構成である。
第2の実施の形態では携帯端末装置2の機能や特徴事項を先行して説明し、機能や特徴事項を実現する構成を説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付している。
<上筐体4−1、下筐体4−2の開閉機能>
図5は重合状態(スライド始端)にある携帯端末装置2を示している。上筐体4−1と下筐体4−2との間にはスライド支持機構14(図2)が設置されている。このスライド支持機構14は、上筐体4−1と下筐体4−2とをスライド可能に結合している。スライド支持機構14は上筐体4−1と下筐体4−2との結合部材の一例である。このスライド支持機構14またはその一部は下筐体4−2の上面に突出していない。
また、この携帯端末装置2は、図5に示すスライド始端(重合状態:閉状態)からスライド終端に到達する連続したスライド動作が可能である。このスライド動作には上筐体4−1の初期手動スライド、スライドアシスト、手動操作による上筐体4−1のチルト動作が含まれる。スライドアシストはばねの復元力によるスライドのアシストである。
上筐体4−1と下筐体4−2の閉状態(重合状態)は、上筐体4−1および下筐体4−2の各縁部が上下および左右方向で一致した状態である。スライド支持機構14にはスライドをアシストするスライドアシスト機構17(図12)を設置する。このスライドアシスト機構17にはたとえば、アシストばね50が用いられている。つまり、このアシストばね50の復元力を上筐体4−1の閉方向に作用させれば、上筐体4−1をスライド始端で下筐体4−2に一致させることができる。つまり、上筐体4−1と下筐体4−2の重合状態への復帰をアシストできる。また、重合状態をアシストばね50で自己保持することができる。
この携帯端末装置2は、集音孔10で集音し、放音孔12から放音させ、通話が可能である。閉状態の上筐体4−1の表示部6−1に設置されたタッチパネル8により情報表示や情報入力が可能である。下筐体4−2の背面側に設置されたカメラ108(図44)により写真撮影が可能である。
図6は、携帯端末装置2(スライドチルトタイプ)の開状態を示している。このスライドチルトタイプでは、スライド支持機構14とともにチルト機構46(図35)を備える。上筐体4−1を矢印a(幅方向)にスライドの後、スライド終端に到達した上筐体4−1をチルト方向bに回動させている。下筐体4−2の表示部6−2の画面に対して上筐体4−1の表示部6−1の画面は傾斜面となる。これにより、下筐体4−2の表示部6−2に上筐体4−1の表示部6−1が加わる。つまり、上筐体4−1のスライドおよびチルト動作により、2つの表示部6−1、6−2の表示画面およびタッチ面が得られ、画面面積および操作面積を拡大することができる。
<アシストばね50の復元力による、開閉動作のアシスト>
(1) スライドアシスト機構17による上筐体4−1のスライドアシスト
図7は、上筐体4−1の手動スライドからアシストスライドへの切替えを示している。上筐体4−1のスライド支持機構14にはスライドアシスト機構17が備えられ、トーションばねなどのアシストばね50が設置されている。このアシストばね50は、復元力により上筐体4−1のスライドをアシストする。このアシストには、アシストばね50のたとえば、復元力による反転構造を使用する。
上筐体4−1の全スライド移動量Smをスライド移動量S1、S2に区分する。スライド移動量S1は、全スライド移動量Smの約2/3である。スライド移動量S2は、全スライド移動量Smの約1/3の区間である。この区間はスライド保持部18によるスライド区間である。Nは、手動スライドからアシストばね50によるアシストスライドへの境界位置(切り替わりポイント)である。矢印a1、a2の大きさは、手動スライドの移動状態(下降状態)を示している。
(2) 上筐体4−1のスライドおよびその必要量
図8は、上筐体4−1のスライド始端からスライド終端への到達状態を示している。上筐体4−1の開動作では、下筐体4−2の全幅が全スライド量Smであり、これが必要スライド量となる。スライド支持機構14には下筐体4−2から突出する上筐体保持板30−1、30−2が備えられている。スライド終端に移動した上筐体4−1は、下筐体4−2側の縁部に下筐体4−2から突出する上筐体保持板30−1、30−2で保持される。この保持動作により、上筐体4−1を下筐体4−2の縁部外までスライドさせ、保持することができる。
この上筐体4−1のスライド動作にはスライド支持機構14によるスライドと、上筐体保持板30−1、30−2の円弧動作とが連携する。上筐体4−1のスライド終端に至る途上で上筐体保持板30−1、30−2のロックが解除される。上筐体4−1のアシストスライドと、アシストばね50による上筐体保持板30−1、30−2のアシスト回動が行われる。連動機構22−1、22−2により、スライド保持部18の移動が上筐体保持板30−1、30−2の円弧回動に変換される。これにより、上筐体保持板30−1、30−2は下筐体4−2の縁部より突出する。下筐体4−2の縁部外に突出した上筐体4−1は上筐体保持板30−1、30−2に保持される。
なお、必要スライド幅は、下筐体4−2が持つ幅が最小幅である。チルトする場合には、上筐体4−1の倒れ込み量が必要スライド幅に加わる。
(3) 上筐体4−1のチルトアシスト動作
図9は、上筐体4−1のチルトアシスト動作を示している。図9において、二点鎖線は水平方向のスライド終端に到達した上筐体4−1を示している。この上筐体4−1はチルト機構46のチルトアシストばね100の復元力により矢印bの方向に回転し、実線で示す傾斜状態となる。これにより、表示部6−1は表示部6−2の画面に対して傾斜面となる。つまり、上筐体4−1の回転はチルトアシストばね100の復元力によりアシストされる。
(4) 上筐体4−1の復帰動作
開状態(図10)から閉状態(図5)への復帰動作は既述のアシスト動作の逆動作となる。この逆動作のアシスト量は開動作と異なる。この実施の形態では、開動作を優先しており、開動作ではスライド支持機構14の初期動作を手動スライドとし、その後をアシスト動作としている。このため、復帰動作では、復帰開始動作がアシストスライドとなり、その後が手動動作である。つまり、復帰動作では手動操作が支配的である。
図10は、スライドチルトタイプの復帰動作を示している。矢印dはチルト機構46による復帰である。矢印a3、a2、a1はスライド終端からスライド始端側への復帰を示している。この最終スライドのみがアシスト動作である。他の操作は手動で行う。
図11は、閉状態を示している。閉状態は矢印fに示すように、ばねの復元力の作用により保持される。つまり、閉状態ではアシストばね50の復元力が常に閉方向に作用している。
<携帯端末装置2の構成>
図12は、携帯端末装置2の構成を分解して示している。図12に示す携帯端末装置2はスライドチルトタイプである。図12において、図2と同一部分には同一符号を付してある。
この携帯端末装置2では、上筐体4−1、下筐体4−2、スライド支持機構14およびチルト機構46を備えている。斯かる筐体構造では、上筐体4−1は下筐体4−2との重合状態から下筐体4−2の縁端外(すなわち、スライド終端)にスライド可能である。上筐体4−1が下筐体4−2の縁部外にスライドすることにより、下筐体4−2の表示部6−2の表示画面の有効面積が拡大する。スライド終端に到達した上筐体4−1は下筐体4−2の縁部外で安定して保持される。そして、下筐体4−2の縁部外(スライド終端)に到達した上筐体4−1はチルト機構46により傾斜させることができる。
スライド支持機構14は、上筐体4−1と下筐体4−2とを摺動可能に連結している。このスライド支持機構14は下筐体4−2に対し、上筐体4−1をスライド始端(下筐体4−2との重合状態)からスライド終端(下筐体4−2の縁端外)にスライド可能に上筐体4−1を支持する。このスライド支持機構14には、スライドフレーム16、スライド保持部18、上筐体保持部20−1、20−2、連動機構22−1、22−2、スライドアシスト機構17が含まれる。
<スライドフレーム16>
図13および図14はスライドフレーム16を示している。このスライドフレーム16は、図13に示すように、レールプレート52と二つのレール24とで構成されている。レールプレート52およびレール24は、金属板を板金加工して形成されている。レールプレート52には凹部54が形成され、この凹部54の内部にレール24が固定される。レールプレート52には凹部54の外側に固定部56が形成されている。この固定部56に固定ねじ58を挿通させ、上筐体4−1の下面側(下筐体4−2との対向面)に固定される。
レールプレート52の縁部にはスライドストッパ60、62が設けられている。スライドストッパ60はスライド始端側で上筐体4−1のスライドを停止させるストッパである。スライドストッパ62はスライド終端側で上筐体4−1のスライドを停止させるストッパである。
各レール24にはガイド溝39が形成されている。ガイド溝39には上筐体保持板30−1、30−2のロック突起部37が係合する。ガイド溝39の長さは、上筐体保持板30−1、30−2をロックする区間を設定する。つまり、ガイド溝39にロック突起部37がロックされているとき、上筐体保持板30−1、30−2の回動が阻止される。
各レール24とレールプレート52とは別部材で構成し、ねじ止めや溶接で一体化してもよく、また、単一の金属板で成形してもよい。
<スライドアシスト機構17>
図15は、スライドアシスト機構17を示している。図16は、スライドアシスト機構17が搭載された上筐体4−1および下筐体4−2を示している。
このスライドアシスト機構17には既述のアシストばね50を備える。アシストばね50は、ばね50a、50bとを備えている。このアシストばね50の復元力は既述のアシストスライドの境界位置N(図7)を境に、前後方向に作用する。
アシストばね50の一端にある固定部51は固定ねじ53によりスライドフレーム16のねじ孔55に固定される。また、アシストばね50の他端にある固定部57は固定ねじ59によりスライド保持部18のねじ孔61に固定される。スライドフレーム16のねじ孔55は上筐体保持板30−2側の位置に設定されている。また、スライド保持部18のねじ孔61は上筐体保持板30−1側の位置に設定されている。つまり、アシストばね50の復元力は、上筐体保持板30−1側の位置と上筐体保持板30−2側の位置から、スライドフレーム16とスライド保持部18との間に作用している。
<スライド保持部18>
図17は、スライド保持部18の一例を示している。スライド保持部18はたとえば、単一の金属板を成形加工した長方形状の金属フレームである。このスライド保持部18の両端部には対向方向に屈曲したレール保持部26が形成されている。各レール保持部26は断面コ字状である。各レール保持部26にスライドフレーム16のレール24が係合し、保持される。各レール保持部26には断面コ字形のスライダ68が設置されている。各スライダ68は潤滑性部材たとえば、滑り性の良いプラスチック材としてPOM(ポリアセタール)やPE(ポリエチレン)材など、潤滑性のある合成樹脂で形成されている。このスライダ68にはレール24が摺動可能な溝幅を持つ摺動溝69が形成されている。したがって、スライダ68はスライドフレーム16のレール24とスライド保持部18のレール保持部26との間に介在し、両者間の潤滑性を維持する。これにより、上筐体4−1のスムーズなスライドが得られる。
スライド保持部18には上筐体保持板30−1、30−2を設置する一対の凹部70が左右に設置されている。各凹部70には、ガイド孔38、40が形成されている。一例であるガイド孔38は、スライド保持部18のスライド方向と直交方向に直線状の長孔である。一例であるガイド孔40は、ガイド孔38の幅内でスライドの前後方向に傾斜した長孔である。このガイド孔40にはガイドピン42の移動を休止する休止部41が形成されている。この休止部41はガイド孔40の一部をU字形に屈曲形成した鍵部である。
スライド保持部18は上筐体4−1のスライドにより、平行移動する。これにより、ガイド孔38、40と係合関係にあるガイドピン42、44の位置が変化する。2箇所のガイド孔38、40は、ガイドピン42、44の位置変化に対応するため、非平行に設定されている。この実施の形態では、一方を基本ガイドとし、他方をそれに追従する孔形状に設定している。
スライド保持部18の各凹部70には前縁側を長辺とした台形状の切欠部72が形成されている。各切欠部72は、上筐体保持板30−1、30−2のロック突起部37が既述のガイド溝39から外れる際の逃がし部を構成している。
各ガイドピン42、44は、ガイド孔38、40にスライド可能な軸部124にフランジ126を備えるとともに、軸部124に加締めにより固定する加締め部128を備えている。加締め部128はたとえば、加締めピンであるが、圧入ピンであってもよい。
各ガイドピン42、44にはフランジ126が形成されている。このフランジ126と加締め部128との間にスライド保持部18と上筐体保持板30−1、30−2とが挟まれている。フランジ126はガイド孔38、40の孔幅より大きく径大に設定され、必要な保持強度とともにガイド孔38、40からの離脱が防止されている。
また、ガイドピン42、44とガイド孔38、40の関係は、基本ガイド孔と追従ガイド孔に分けられる。基本ガイド孔はたとえば、リンクスライドを行ない易い単純形状である。追従ガイド孔は、追従できる形状である。
図18は、レールプレート52と係合したレール保持部26の一部を示している。図19は、図18のXIX −XIX 線断面を示している。レールプレート52の凹部54にはスライド保持部18が係合している。レール24はレール保持部26に取り付けられたスライダ68に摺動可能に係合している。
<上筐体保持部20−1、20−2>
図20は、前面側から見た上筐体保持部20−1、20−2を示している。図21は、背面側から見た上筐体保持部20−1、20−2および上筐体保持部20−1のXXIB−XXIB線断面を示している。
上筐体保持部20−1には上筐体保持板30−1、上筐体保持部20−2には上筐体保持板30−2を備えている。上筐体保持板30−1、30−2は金属板で形成されている。各上筐体保持板30−1、30−2は左右対称形であり、90〔度〕の円弧面を備えている。各上筐体保持板30−1、30−2は円弧縁側を対向させて配置されている。円弧の中心部の角部には切欠部74が形成されている。この切欠部74は軸受部32の逃がし部である。円弧側の角部には既述のロック突起部37が形成されている。
各上筐体保持板30−1、30−2には連動機構22−1、22−2のガイドピン42、44がねじや溶接などの固定手段により固定される。ガイドピン42は既述のガイド孔38に係合させ、ガイドピン44は既述のガイド孔40に係合させる。これにより、スライド保持部18が連動機構22−1、22−2を介して各上筐体保持板30−1、30−2に連結される。
上筐体保持板30−1、30−2には図21のBに示すように、断面L字形に側板部76が形成されている。各側板部76は上筐体保持板30−1、30−2に直交する面部を構成し、上筐体保持板30−1、30−2の下面方向に突出している。図20および図21のAに示す各上筐体保持板30−1、30−2の側板部76は、スライド保持部18のスライド前の配置状態である。
側板部76には第1のがたつき防止突片78が形成されている。このがたつき防止突片78は各上筐体保持部20−1、20−2のがたつき防止手段の一例である。このがたつき防止突片78は側板部76と一体に形成され、側板部76側に平行に折り曲げられている。上筐体保持板30−1、30−2とがたつき防止突片78とは、図21のBに示すように、側板部76により間隔が設定され、平行に配置されている。これにより、がたつき防止突片78が下筐体4−2に係合し、各上筐体保持部20−1、20−2のがたつきを防止する。
また、側板部76には上筐体保持板30−1、30−2を回動させるチルト機構46のガイドピン80、82が固定される。この各ガイドピン80、82は側板部76に位置決めされた固定孔84に固定される。固定孔84に挿通したガイドピン80、82はたとえば、加締めにより固定される。この固定にはねじや溶接を固定手段に用いてもよい。
<連動機構22−1、22−2>
図22は、連動機構22−1、22−2の一例を示している。スライド保持部18には、ガイド孔38、40が形成されている。ガイド孔38にはガイドピン42、ガイド孔40にはガイドピン44が係合される。
図23は、上筐体保持板30−1の連動機構22−1を示している。図24のAは図23のXXIVA −XXIVA 線断面を示している。図24のBは図23のXXIVB −XXIVB 線断面を示している。
各連動機構22−1、22−2では、スライド保持部18の移動がガイド孔38と係合しているガイドピン42に伝達され、ガイド孔40に係合しているガイドピン44に伝達される。これにより、上筐体保持板30−1、30−2が回動する。
図25は、上筐体保持板30−1の回転支持機構86を示している。図26は、上筐体保持板30−2の回転支持機構86を示している。上筐体保持板30−1、30−2には回転支持機構86の回動アーム88がチルト機構46を介して連結されている。
回動アーム88には複数の軸受部32が形成されている。各軸受部32の間には下筐体4−2側の軸受部34が挟み込まれ、これら軸受部32、34に支持軸36が支持されている。この支持軸36にはアシストばね89が設置されている。このアシストばね89は、圧縮状態で保持され、その復元力が回動アーム88を下筐体4−2から突出する方向に作用している。これにより、支持軸36を中心に回動する上筐体保持板30−1、30−2の回動がアシストばね89の復元力によりアシストされる。この実施の形態では、支持軸36の円柱状のシャフト部136にフランジ138を備えている。
回動アーム88にはがたつき防止突片90が形成されている。各がたつき防止突片90は上筐体保持板30−1、30−2と平行に設置されている。各がたつき防止突片90は下筐体4−2に挿入され、下筐体4−2と係合している。このがたつき防止突片90により、回動アーム88の支持軸36と同一方向のがたつきが抑制される。
回動アーム88には窓部92が形成されている。この窓部92には上筐体保持板30−1または上筐体保持板30−2のがたつき防止突片78を貫通させる。窓部92を貫通した各がたつき防止突片78は下筐体4−2に挿入される。このため、上筐体保持板30−1、30−2の回動前には、上筐体保持板30−1、30−2の側板部76と下筐体4−2との間に回動アーム88が挟持された状態となる。
図27は、回動アーム88を合体した上筐体保持板30−2を示している。図27のAは、側板部76の外側から見た上筐体保持板30−2および回動アーム88を示している。図27のBは、側板部76の内側から見た上筐体保持板30−2および回動アーム88を示している。斯かる構成は上筐体保持板30−1も同様である。
図28は、スライド支持機構14を備えた上筐体4−1の平面を示している。図29のAは図28のXXIXA 矢視方向からの側面を示し、図29のBは図28のXXIXB 矢視方向からの側面を示している。
上筐体4−1および下筐体4−2が重合状態では、下筐体4−2の内部に上筐体保持板30−1、30−2が収納されている。この場合、がたつき防止突片78、90が共に下筐体4−2内に挿入されている。これにより、上筐体保持板30−1、30−2のがたつき、上筐体4−1のがたつきが防止されている。上筐体保持板30−1、30−2を支持する回動アーム88の支持軸36、上筐体保持板30−1、30−2の側板部76およびガイドピン80、82が露出している。
図29のAに示すように、下筐体4−2の側面にはがたつき防止突片78に対応する一対の凹部97が形成されている。この凹部97にがたつき防止突片78が挿入されている。このがたつき防止突片78と上筐体保持板30−1、30−2は図29のBに示すように、断面コ字形であるから、これらの間隔内に下筐体4−2が挟み込まれている。
また、下筐体4−2にはがたつき防止突片90に対応する一対の凹部99が形成されている。がたつき防止突片90は支持軸36を中心に回転するので、各凹部99は回動を許容する形状の一例として半円形である。このがたつき防止突片90は、上筐体保持板30−1、30−2の回動角度に関係なく、下筐体4−2の凹部99に挿入される。したがって、回動角度に関係なく、上筐体保持板30−1、30−2のがたつきを防止でき、上筐体4−1を安定して保持する。
図30のAは、下筐体4−2内に収納された上筐体保持板30−1、30−2を示している。図30のBは、下筐体4−2から突出した上筐体保持板30−1、30−2を示している。下筐体4−2の凹部99内にはがたつき防止突片90の回動を規制する回動規制手段としてストッパ140が設置されている。この実施の形態では、ストッパ140にがたつき防止突片90の拘止部142が当たる。これにより、がたつき防止突片90の回動が規制される。この実施の形態では、がたつき防止突片90の回動が90〔度〕内に規制されている。
図31は、下筐体4−2内に収納された上筐体保持板30−2を示している。図32は、図31のXXXII − XXXII線断面を示している。既述したように、凹部97には、がたつき防止突片78が挿入されている。また、凹部99には、がたつき防止突片90が挿入されている。この下筐体4−2に上筐体保持板30−1が収納された状態では、上筐体4−1が下筐体4−2に強固に保持されている。斯かる構成は、上筐体保持板30−2の場合も同様である。
<チルト機構46>
図33は、上筐体保持板30−1側のチルト機構46を示している。図34は、図33のXXXIVA−XXXIVA線断面および図33のXXXIVB−XXXIVB線断面を示している。
チルト機構46は、上筐体4−1を保持する上筐体保持板30−1、30−2を回動アーム88上で回動させる。既述の図26および図27に示すように、各上筐体保持板30−1、30−2の側板部76には、2つのガイドピン80、82が立設されている。これに対し、回動アーム88にはガイド孔94、96が形成されている。この実施の形態では、ガイド孔94は円孔であるのに対し、ガイド孔96は円弧状の長孔である。ガイド孔94にはガイドピン82が円弧移動が可能に支持されている。これに対し、ガイド孔96にはガイドピン80が移動可能に係合している。つまり、ガイドピン82は回転軸を構成する。ガイドピン80にはチルトアシストばね100がガイドピン82の加締め側にばねホールドワッシャー83を介して取り付けられている。チルトアシストばね100はばねホールドワッシャー83と上筐体保持板30−1、30−2の側板部76との間に挟み込まれ固定される。このチルトアシストばね100はチルト前に圧縮状態に保持されている。このチルトアシストばね100の復元力が上筐体保持板30−1、30−2に作用している。斯かる構成により、ガイドピン82を中心にガイドピン80はガイド孔96にガイドされるとともに、チルトアシストばね100の復元力のアシストにより移動する。この結果、上筐体保持板30−1、30−2は回動アーム88上で回動して上筐体4−1が傾斜状態となり、この傾斜状態から水平状態に復帰させることができる。
各ガイドピン80、82は、フランジ130を備える軸部132に加締め部134の加締めにより固定される。加締め部134と側板部76との間にはアシストばね100を保持するばねホールドワッシャー83が取り付けられている。加締め部134は加締めピンにより構成されている。ばねホールドワッシャー83は一例として、アシストばね100を装着する軸部にチルトアシストばね100を拘束するフランジを備えた構成である。
このチルト機構46では、ガイドピン80、82のフランジ130を回動アーム88側に設けているが、加締め部134を回動アーム88側にし、フランジ130を側板部76側に設けてもよい。
図35はチルト機構46の変形例を示している。図36は、図35のXXXVIA−XXXVIA線断面および図35のXXXVIB−XXXVIB線断面を示している。図33および図34に示すチルト機構46では、チルトアシストばね100を上筐体保持板30−1の側板部76側に設置したのに対し、この変形例では、回動アーム88の内側にチルトアシストばね100を設置している。
この変形例では、既述のフランジ130に換えてばねホールドワッシャー83が軸部132に形成されている。この軸部132に加締め部134を加締めにより固定し、ばねホールドワッシャー83と加締め部134との間に上筐体保持板30−1、30−2の側板部76が挟み込まれている。
<スライドストッパ60、62とスライド保持部18との関係>
図37は、スライド前の上筐体4−1を示している。図38は、図37のXXXVIII −XXXVIII 線断面を示している。
スライド前の上筐体4−1では、スライドフレーム16のスライドストッパ60がスライド保持部18の後縁に当たっている。これにより、スライドフレーム16のスライドが阻止され、上筐体4−1は下筐体4−2と同一位置に維持される。このとき、スライドストッパ62はスライド保持部18の前縁と離れた状態である。
図39は、スライド途上の上筐体4−1を示している。図40は、図39のXL−XL線断面を示している。
上筐体4−1をスライドさせると、スライドフレーム16のスライドストッパ62がスライド保持部18の前縁に当たる。つまり、スライドフレーム16とスライド保持部18がスライドストッパ62により係合する。これにより、スライド保持部18がスライドフレーム16よりスライドが可能である。
図41および図42は、スライド途上のスライド保持部18を示している。スライドフレーム16のスライドストッパ62に係止されたスライド保持部18は、上筐体4−1とともにスライドする。スライド保持部18がスライドを開始すると、アシストばね50の復元力により、スライド保持部18のスライドがアシストされる。
このスライド保持部18のスライドは上筐体保持板30−1、30−2に伝達され、上筐体保持板30−1、30−2が回動する。
図43は、スライド保持部18がスライド終端に到達した状態を示している。上筐体保持板30−1、30−2が回動開始点から90〔度〕だけ回動すると、その回動が阻止される。これがスライドフレーム16およびスライド保持部18のスライド終点である。このとき、アシストばね50の復元力がスライド保持部18とスライドフレーム16との間に作用し、スライド終点位置でスライドフレーム16およびスライド保持部18が保持される。
このとき、上筐体4−1は下筐体4−2の縁部外に突出した状態となる。同時に、上筐体保持板30−1、30−2は回動終点に到達している。したがって、下筐体4−2の縁部外に移動した上筐体4−1は上筐体保持板30−1、30−2に保持される。
図44は、スライド終端に到達した上筐体4−1および下筐体4−2の背面を示している。上筐体4−1の背面は、図43に示した構成の背面側の構成である。上筐体4−1を保持する上筐体保持板30−1、30−2は下筐体4−2に取り付けられている。上筐体4−1の背面には上筐体保持板30−1、30−2の移動溝102が形成されている。各上筐体保持板30−1、30−2は、上筐体4−1の各移動溝102を移動する。
下筐体4−2の背面には電池収納部106やカメラ108が設置されている。電池収納部106は電池収納カバー110で開閉される。
この実施の形態では、上筐体保持板30−1、30−2は下筐体4−2の背面側に配置され、下筐体4−2の内部空間を狭めることがない。これにより、下筐体4−2にLCD(Liquid Crystal Display)などの表示部の設置空間が確保されている。
回動アーム88や、上筐体保持板30−1、30−2の一部である側板部76を下筐体4−2の側面に設置すれば、その分だけ下筐体4−2の内部空間を損なうことがない。これにより、下筐体4−2の内部空間を大きく設定でき、実装部材の配置の自由度が高められる。
<スライド動作>
図45は、上筐体4−1のスライド前、移動量S1のスライド、全幅スライドを示している。図46は、スライド保持機構14のスライド前、移動量S1のスライド、全幅スライドの各状態を示している。
上筐体4−1のスライド前、上筐体4−1は図45のAに示すように、下筐体4−2と重合状態である。上筐体4−1は下筐体4−2の上面にアシストばね50の復元力により保持される。また、上筐体4−1は図46のAに示すように、既述のがたつき防止突片78、90で保持される。
上筐体4−1のスライド移動量S1のスライドでは図45のBに示すように、上筐体保持板30−1、30−2は静止状態に維持される。このとき、スライドフレーム16のスライドストッパ62が図46のBに示すように、スライド保持部18の前縁に当たる。
上筐体4−1のスライド移動量S1から全幅スライドに到達すると、図45のCに示すように、上筐体4−1は下筐体4−2の縁部外に突出する。このとき、上筐体保持板30−1、30−2も縁部外に突出し、上筐体4−1は上筐体保持板30−1、30−2に保持される。
回動アーム88にあるがたつき防止突片90は図46のCに示すように、下筐体4−2に保持されている。このため、下筐体4−2の縁部外に突出した上筐体4−1のがたつきが防止される。
図47は、上筐体4−1のスライド前のスライド保持部18およびアシストばね50の状態を示している。図48は、スライド保持機構14および下筐体4−2を背面側から示している。
上筐体4−1のスライド前には、アシストばね50のばね50aとばね50bは圧縮状態にある。このため、アシストばね50の復元力がスライドフレーム16とスライド保持部18とを引き離す方向に作用している。スライドフレーム16のスライドストッパ60がスライド保持部18の後縁に当たっている。これにより、上筐体4−1が下筐体4−2上に保持される。
このとき、上筐体保持板30−1、30−2は図48に示すように、スライド保持部18の下面に維持される。回動アーム88は、下筐体4−2の端縁部に密着状態で維持される。
図49および図50は、上筐体4−1のスライド移動量S1の後のスライド保持部18およびアシストばね50の状態を示している。
上筐体4−1のスライドはスライド移動量S1に到達すると、アシストばね50のばね50aとばね50bはスライド前の状態(図47)から反転状態に遷移する。つまり、上筐体4−1のスライドにより、アシストばね50のばね50aとばね50bは圧縮状態が高まった後、反転状態に移行する。この状態でも、アシストばね50のばね50aとばね50bの圧縮状態が維持され、アシストばね50の復元力がスライドフレーム16をスライド方向つまり、スライドフレーム16とスライド保持部18とを引き離す方向に作用している。
このとき、スライド保持部18に保持されたスライドフレーム16のレール24は、図50に示すように、下筐体4−2から突出する。これにより、上筐体4−1はスライドした分だけ下筐体4−2から突出して保持される。
図51は、スライド終点に到達したスライド保持部18およびアシストばね50の状態を示している。図52は、スライド終点に到達したスライド保持部18が下筐体4−2から突出した状態を示している。図53は、スライド終点に到達したスライド保持部18およびレール24の突出状態を示している。
上筐体4−1をさらにスライドさせると、図51に示すように、スライド保持部18は下筐体4−2の縁部外に突出する。この場合、アシストばね50の状態は、上筐体4−1のスライド移動量S1の状態と同様である。
このとき、スライド保持部18は図52に示すように、下筐体4−2の縁部外に突出する。このスライド保持部18には、既述の通りスライドフレーム16のレール24が係合して下筐体4−2の縁部外に突出する。そして、がたつき防止突片90は図53に示すように、下筐体4−2の内部に係合している。
図54、図55および図56は、上筐体4−1およびスライド保持部18の移動と上筐体保持板30−1、30−2の回動の関係を示している。図54は、スライド移動量S1に上筐体4−1が到達した状態を示している。図55は、上筐体保持板30−1、30−2が45〔度〕回動した状態を示している。図56は、上筐体保持板30−1、30−2が90〔度〕回動した状態を示している。
上筐体4−1がスライド移動量S1にスライドした場合、図54に示すように、スライド保持部18のスライド開始点である。これは、上筐体保持板30−1、30−2の回動角度が0〔度〕の位置である。
スライド保持部18をスライドさせ、スライド保持部18のスライド量Bでは、上筐体保持板30−1、30−2の回動角度が45〔度〕に到達する。
このスライド量Bの位置からスライド保持部18をスライド量Cだけスライドさせると、図56に示すように、スライド終点に到達する。このスライド終点の位置は上筐体保持板30−1、30−2の回動角度が90〔度〕である。このとき、上筐体保持板30−1、30−2のロック突起37がスライド保持部18の後縁に当たる。これにより、上筐体保持板30−1、30−2の回動が阻止される。同時に、スライド保持部18の移動が阻止される。
図57は、スライド保持部18のスライドに対応する上筐体保持板30−2の回動軌跡を示している。
スライド保持部18の移動は、連動機構22−1、22−2により上筐体保持板30−1、30−2に伝達される。ガイド孔38とガイドピン42、ガイド孔40とガイドピン44の係合により、スライド保持部18の移動が上筐体保持板30−1、30−2の回動に変換される。上筐体保持板30−1、30−2は、0〔度〕から90〔度〕の範囲で回動する。
図57のAは、スライド保持部18の移動=0、上筐体保持板30−2の回動角度=0〔度〕の位置を示している。スライド保持部18の移動を受け、図57のBは、上筐体保持板30−2の回動角度=30〔度〕の位置を示している。図57のCは、上筐体保持板30−2の回動角度=45〔度〕の位置を示している。図57のDは、上筐体保持板30−2の回動角度=60〔度〕の位置を示している。図57のEは、上筐体保持板30−2の回動角度=90〔度〕の位置を示している。
図58、図59、図60、図61、図62および図63は、上筐体保持板30−2の回動軌跡と上筐体4−1の移動状態を示している。図58は上筐体4−1のスライド前の状態を示している。図59は図57のAに対応している。図60は図57のBに対応している。図61は図57のCに対応している。図62は図57のDに対応している。図63は図57のEに対応している。
図58のAおよび図59のAは上筐体保持板30−2の回動角度=0〔度〕を示している。この状態は、上筐体4−1が図58のBに示すスライド前から、図59のBに示すスライド移動量S1に到達するまで維持される。この実施の形態では、このとき、ガイドピン44はガイド孔40の休止部41にある。下筐体4−2の縁部Qは支持軸36の軸中心Oより内側にある。つまり、支持軸36は下筐体4−2の縁部より突出している。
図60のAは上筐体保持板30−2の回動角度=30〔度〕を示している。このとき、上筐体4−1は、図60のBに示すスライド移動点P30に到達している。
図61のAは上筐体保持板30−2の回動角度=45〔度〕を示している。このとき、上筐体4−1は、図61のBに示すスライド移動点P45に到達している。
図62のAは上筐体保持板30−1の回動角度=60〔度〕を示している。このとき、上筐体4−1は、図62のBに示すスライド移動点P60に到達している。
図63のAは上筐体保持板30−1の回動角度=90〔度〕を示している。このとき、上筐体4−1は、図63のBに示すスライド移動点P90に到達している。これがスライド終点である。
このような上筐体保持板30−2と上筐体4−1との関係は上筐体保持板30−1側でも同様である。
<チルト動作>
図64のAは、上筐体4−1のチルト前を示している。図64のBは、上筐体4−1のチルト状態を示している。
スライド終点に到達したスライド保持部18は、チルト機構46によりチルト動作が可能である。図64のAに示すように、スライド保持部18はガイド孔94に係合しているガイドピン82を中心に矢印b1方向に回動する。この回動範囲は、ガイドピン80と係合しているガイド孔96の円弧長となる。これにより、図64のBに示すように、スライド保持部18が回動し、上筐体4−1がチルト状態となる。
また、図64のBに示すように、チルト状態からスライド保持部18をガイドピン82を中心に矢印b2方向に回動すれば、上筐体4−1をチルト状態から水平位置(図65のA)に復帰させることができる。
この実施の形態では、下筐体4−2と、スライド後の上筐体4−1との間に形成される隙間に支持軸36が配置されている。このため、支持軸36に支持されたチルト機構46はチルト動作の際、下筐体4−2や他の部材に衝突することなく、上筐体4−1のチルト動作を行うことができる。しかも、チルトした上筐体4−1の縁部と下筐体4−2の縁部とを接触または非接触で維持することができる。
<第2の実施の形態の各種機能、変形例および効果>
(1) 上筐体4−1のがたつきの防止
上筐体4−1はスライドフレーム16およびスライド保持部18により片持ち梁り構造で下筐体4−2に支持されている。がたつき防止突片78、90が下筐体4−2に係合しており、上筐体4−1は下筐体4−2に強固に保持されている。がたつき防止突片90は上筐体保持板30−1、30−2の回動角度に関係なく下筐体4−2に保持される。この結果、上筐体4−1は下筐体4−2にスライド保持機構14を介して安定して保持される。上筐体4−1の保持強度が大きく、上筐体4−1のがたつきを防止できる。換言すれば、上筐体保持板30−1、30−2はコ字形状の折り返し形状により、下筐体4−2に引っ掛けて保持する。これにより、上筐体4−1が下筐体4−2に対して浮きあがりを防止できる。
回動アーム88は、下筐体4−2の側面に配置され、上筐体4−1を保持する際にスライド方向に突出する。つまり、回動アーム88は下筐体4−2の側面に上筐体4−1のスライド方向に対して直角方向に配置されているので、下筐体4−2内への進入部分を少なくできる。また、下筐体4−2内に収納しても、その収納部分は少なく、下筐体4−2の部品実装効率を低下させない。
チルト状態では、回動アーム88が90〔度〕の回転状態で上筐体4−1のスライド方向に突き出る。この回動アーム88にあるがたつき防止突片90が下筐体4−2の凹部99に入り込む。これにより、上筐体4−1は安定した上筐体4−1の保持強度が得られる。
(2) 回動アーム88に板状のリブとしてがたつき防止突片90を下筐体4−2内に設け、このがたつき防止突片90を下筐体4−2の内部リブ構造により、回転可能に保持してもよい。これにより、下筐体4−2に設けた回転支持機構86の強度が高められ、その変形を防止できる。
(3) スライド保持部18をスライド移動させるために、スライド保持部18にはガイド溝39に上筐体保持板30−1、30−2のロック突起部37を係合させ、両者が面接触で円滑に移動できる結合構造とする。このため、上筐体保持板30−1、30−2のロック突起部37にガイド溝39を係合してスライド中、上筐体保持板30−1、30−2のがたつきやずれを防止できる。また、ガイド孔38、40とスライド移動可能なガイドピン42、44の位置関係によっても、上筐体保持板30−1、30−2の横ずれを防止できる。よって、摺動可能で堅牢な筐体モジュールを実現している。
(4) 上筐体4−1のスライドがスライド保持部18のスライド開始点に到達すると、スライド保持部18から上筐体保持板30−1、30−2のロックが外れる。このとき、スライド保持部18に対するアシストばね50によりスライドアシストと、アシストばね89によるアシストと回動アーム88の回動アシストが得られる。これにより、上筐体4−1の迅速なスライドシフト動作が得られる。
(5) 上筐体保持板30−1、30−2が90〔度〕だけ回転した状態では、左右にある回動アーム88は図56に示すように、平行状態(スライド保持部18に対して直交状態)となり、スライド保持部18のスライドストッパとして機能する。回動アーム88が平行状態でチルト機構46が機能し、円滑なチルト動作が得られる。
(6) スライド保持部18のスライド移動量は、スライド保持部18の保持強度と関係している。この実施の形態では、上筐体4−1の全スライド長のうち、上筐体4−1のみのスライド長は、全スライド長の3分の2程度である。上筐体4−1のみのスライドの後、スライド保持部18のスライド長が全スライド長の3分の1程度である。そこで、スライド保持部18を下筐体4−2の縁端外にスライドさせて上筐体4−1を保持している。つまり、スライド保持部18は下筐体4−2に上筐体保持板30−1、30−2を突出させて強固に保持し、安定した上筐体4−1の支持を実現している。
(8) チルト機構46の動作について、この実施の形態では、一方のスライド孔94を基準にして必要な移動距離とし、他方のスライド孔96は追従させる。スライド孔94は円孔とし、他方のスライド孔96を長円孔としている。スライド孔94側の回転にスライド孔96側が追従する孔形状としている。
(9) 上筐体4−1のスライド範囲は、スライドフレーム16の幅とスライド保持部18のガイド孔38、40で決定される。スライドフレーム16の移動は、スライドストッパ60、62とスライド保持部18との衝突により規制することができる。
(10) 上筐体4−1が下筐体4−2にスライド支持機構14により重ね合わされて片持ち梁構造で支持されている。下筐体4−2の上面には、取り付けのためのスリットなどが無く、下筐体4−2の上面が全面的に表示画面や操作面として使用でき、デザイン性も良好である。
(11) 上筐体保持板30−1、30−2は下筐体4−2に強固に支持されており、上筐体4−1と下筐体4−2との間に必要以上の隙間が発生するのを防止できる。
(12) 上筐体保持板30−1、30−2を下筐体4−2に回転可能に保持する回動アーム88は、上筐体保持板30−1、30−2とチルト機構46を構成するリンク機構を備えている。このリンク機構は、下筐体4−2の上面に対して上筐体4−1をチルト方向に移動可能に強固に支持している。
(13) 回動アーム88と上筐体保持板30−1、30−2の回転動作に対し、スライド保持部18は、下筐体4−2の上面よりスライド前方向に直線的に押し出される。これにより、上筐体4−1は上筐体保持板30−1、30−2の上面をガイド面として支持されて下筐体4−2のスライド方向に押し出される。つまり、スライド保持部18が上筐体保持板30−1、30−2にガイドされているので、左右方向の振れを最小限に抑えることができる。
(14) 上筐体4−1を片持ち梁構造で支持する支持軸36には負荷が集中するが、がたつき防止突片78、90により上筐体4−1のがたつきを防止できる。各がたつき防止突片78、90が支持軸36より離れた位置で上筐体4−1を保持している。このため、支持軸36の倒れを防止できる。
(15) 上筐体4−1と下筐体4−2の閉状態では上筐体4−1の表示部6−1およびタッチパネル8を使用でき、この状態から上筐体4−1をスライドした開状態では、、下筐体4−2の表示部6−2およびタッチパネル8を同時に使用できる。これにより、表示画面や操作面の拡大により、搭載機能に伴う表示情報の拡張、操作機能を向上させることができ、利便性が高められる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、第1の実施の形態にスライドフラットタイプの一例としてフラット化機構48(図68)を備えている。フラット化機構48は、スライド終端にスライドした上筐体4−1を下筐体4−2の厚み方向に平行にスライドさせる平行スライド機構の一例である。
<上筐体4−1のフラット化動作(平行スライド動作)>
図65は、上筐体4−1がスライド終点に到達した状態を示している。図66は、フラット化を示している。
図66の二点鎖線は水平方向のスライド終端に到達した上筐体4−1を示している。この上筐体4−1は、フラット化機構48により、図66に示すように、下筐体4−2の背面方向cへ平行移動し、実線で示すように、下筐体4−2とフラット状態となる。フラット化機構48による上筐体4−1の平行スライドにはばねの復元力を利用する。このため、上筐体4−1は矢印方向cへの引き込みが行われ、各表示部6−1、6−2が同一面となり、各画面がフラット化される。
<上筐体4−1の復帰動作>
図67は、上筐体4−1の復帰動作を示している。フラット化位置から上筐体4−1は二点鎖線で示す位置にフラット化機構48により復帰する。この位置から上筐体4−1は、スライド開始位置に復帰させることができる。矢印eはフラット化機構48による復帰である。矢印a3、a2、a1はスライド終端からスライド始端側への復帰を示している。この最終スライドがアシスト動作となる。他の操作は手動で行う。
<フラット化機構48>
図68は下筐体4−2の背面側からフラット化機構48を示している。このフラット化機構48は、第2の実施の形態のチルト機構46のガイド孔94、96の形状を変更すればよい。この実施の形態では、図68に示すように、回動アーム88を長方形状とし、図中上下方向に平行なガイド孔103、105を備えている。各ガイド孔103、105は、上筐体4−1の下筐体4−2と直交方向の平行スライド量に対応した長さを持つ長孔である。
<フラット化機構48による上筐体4−1のフラット化動作>
図69のAは上筐体4−1のフラット化動作(平行スライド動作)前を示している。図69のBは上筐体4−1のフラット化動作(平行スライド動作)後を示している。
スライド終点に到達したスライド保持部18は、フラット化機構48によりフラット化動作が可能である。図69のAに示すように、スライド保持部18はガイド孔103、105に係合しているガイドピン80、82により矢印c1方向に平行移動する。この移動範囲は、ガイドピン80、82と係合しているガイド孔103、105の孔長となる。これにより、図69のBに示すように、スライド保持部18が平行移動し、上筐体4−1の上面が下筐体4−2の上面に一致する。つまり、平行スライドによりフラット状態となる。
また、図69のBに示すように、フラット状態からスライド保持部18をガイドピン80、82により矢印c2方向にスライドすれば、上筐体4−1をフラット状態からスライド終点位置(図69のA)に復帰させることができる。
この場合、上筐体4−1のスライド後、上筐体4−1および下筐体4−2の各上面を同一面化するには、上筐体4−1の上面が下筐体4−2の上面高さと一致するように、長孔からなるスライド孔103、105の溝長を設定すればよい。
<第3の実施の形態の効果>
このようなフラット化機構48をスライド支持機構14とともに備えれば、スライド支持機構14により上筐体4−1がスライド終端に到達した後、フラット化機構48により下筐体4−2の背面方向cに平行移動(下降移動)させることができる。これにより、開状態で上筐体4−1および下筐体4−2の各表示部6−1、6−2の表示画面およびタッチ面をフラット化し、画面およびタッチ面を拡大できる。
上筐体4−1の潜込み量は下筐体4−2側の回動アーム88の大きさまで拡大してもよく、上筐体4−1をより安定化することができる。
〔他の実施の形態〕
他の実施の形態の形態について、項目ごとに列挙して説明する。
<回動アーム88の軸受部32、下筐体4−2の軸受部34および支持軸36の下筐体4−2からの突出量>
図70に示すように、上筐体保持板30−1、30−2の側板部76、回動アーム88の軸受部32、下筐体4−2の軸受部34および支持軸36を下筐体4−2の側面から突出させてもよい。この場合、上筐体4−1の側面にはカバー112が備えられている。このカバー112により、突出した上筐体保持板30−1、30−2の側板部76の一部を覆ってもよい。
図71に示すように、回動アーム88、軸受部32、下筐体4−2の軸受部34および支持軸36を収納する収納凹部114を形成してもよい。下筐体4−2の内部に回動アーム88、軸受部32、下筐体4−2の軸受部34および支持軸36を挿入すれば、下筐体4−2の側面からの突出部材を削減でき、フラット化ないしフラット化に近い状態に構成できる。
この場合、回動アーム88、支持軸36および上筐体保持板30−1、30−2の下筐体4−2の突出量の調整は、上筐体4−1のスライド長をスライド保持部18に形成するガイド孔38、40の長さにより調整し、上筐体4−1およびスライド保持部18の移動量を加減すればよい。ガイド孔40の傾斜角度により、上筐体4−1の移動量を加減できる。
回動アーム88、軸受部32、下筐体4−2の軸受部34および支持軸36は図72に示すように、軸受部34および支持軸36の半径部で下筐体4−2に挿入してもよい。この場合、カバー112を備えた構成としてもよい。また、回動アーム88、軸受部32、下筐体4−2の軸受部34および支持軸36は図73に示すように、全面的に下筐体4−2に挿入し、その突出部材を覆うカバー112を上筐体4−1に備えてもよい。
支持軸36に回転可能に支持されている各回動アーム88を下筐体4−2の側面部の収納凹部114に収納可能とすれば、上筐体4−1の非スライド時、下筐体4−2の側面部内に回動アーム88を隠蔽でき、下筐体4−2からのはみ出しを防止できる。下筐体4−2の内部に挿入可能にすれば、上筐体4−1の下面側のスライド方向端部側の切欠きなどの対策も不要である。支持軸36を下筐体4−2内に設置すれば、下筐体4−2と上筐体4−1との側面を同一面化できる。
また、支持軸36を上筐体4−1のスライド方向に移動可能とし、非スライド時に下筐体4−2の収納凹部114に収納可能としてもよい。支持軸36を外観に現れない構造とすれば下筐体4−2の側面をフラット化できる。
回動アーム88の支持軸36を移動すると、スライド保持部18の移動量が変化する。支持軸36の中心を下筐体4−2の内部に移動させた場合の上筐体4−1の移動量の調整が必要となる。ガイド孔38、40とガイドピン42、44の位置および形状を調整することにより、上筐体4−1の必要な移動量を確保すればよい。その場合、基準となるガイド孔38は傾斜させて移動量を調整し、不足する移動量を補足してもよい。
<アシストばね50、89>
上記実施の形態では、トーションばねを用いているが、他のばねを用いてもよい。上筐体4−1のスライドはアシストばね50によりアシストされ、または、回動アーム88の回転はアシストばね89によりアシストされる。このようなアシストにより、スライドや回動の遊びを解消でき、スライド方向や回動方向のがたつきも抑制できる。
<配線類>
上筐体4−1と下筐体4−2との間の配線は、上筐体4−1と下筐体4−2との対向面部に配線導出入孔を設け、引き回せばよい。
<回動アーム88の逃がし>
回動アーム88の逃がし(凹)は、上筐体保持板30−1、30−2と回動アーム88をチルト動作可能に結合するガイドピン80、82のフランジ、アシストばね100などの退避スペースを構成している。この退避スペースの形状および大きさは対応する部材に応じて任意に決定すればよい。
<各種ガイドピンの固定方法>
ガイドピン80、82は回動アーム88に形成した固定孔に圧入すればよい。この固定には、加締めやとめ輪などの固定方法を用いてもよい。
<上筐体保持板30−1、30−2の回動方法>
上記実施の形態では、上筐体保持板30−1、30−2の開閉が、上筐体保持板30−1、30−2が対向して異なる回転方向に回動するが、互いに同一方向に回動する構成としてあってもよい。
<回動アーム88の支持軸36の突出量とスライド保持部18の変形例>
スライド保持部18は、連動機構22−1、22−2で必要スライド移動量が設定されている。スライド保持部18のスライド方向の幅を変えないで回動アーム88の支持軸36の位置を変えた場合には、支持軸36を中心とした扇状の上筐体保持板30−1、30−2の大きさを変えればよい。この場合、スライド保持部18のガイド孔38、40とガイドピン42、44の位置関係を調整する必要がある。この調整は、チルト時の上筐体4−1の傾斜量を考慮した上で、スライド完了時に必要する上下筐体4−2、4−1の間の隙間決め、スライドで必要なスライド量が確保できるガイドピン42、44の位置とガイド孔38、40の形状を決定すればよい。
(1) 支持軸36の軸径の1/2を下筐体4−2に設置した場合(支持軸36の軸径の1/2が下筐体4−2から突出している場合)
図74、図75および図76は、支持軸36の軸径の1/2を下筐体4−2に設置した場合のスライド保持部18および上筐体保持板30−1、30−2を示している。この例では、ガイドピン42、44が上筐体保持板30−1、30−2の周縁の近傍に一例として40〔度〕程度の間隔で設置されている。スライド保持部18にはガイド孔38がV字形に形成され、ガイド孔40が直線状で傾斜状に形成されている。
斯かる構成では、回動アーム88の回転角度0〔度〕の位置において、回動アーム88の支持軸36の位置が下筐体4−2内の方向に軸径の1/2だけ突出している。この場合、上筐体4−1内のスライド保持部18を結合する上筐体保持板30−1、30−2の扇状の回転半径が狭まる。この関係から、接合スペースの扇形状面積も減り、ガイドピン42、44の位置の回転半径が減り、リンクスライドで押し出されるスライド保持部18の移動量も減少する。
このような関係から、上筐体保持部18のガイドピン42、44の位置を決め、基本ガイド孔であるガイド孔38の傾斜角度を加減することにより、リンクスライド量を設定すればよい。追従ガイド孔であるガイド孔40は、ガイド孔38での動きに追従する形状とすればよい。この場合、ガイド孔38、40の何れかを基準とし、他方を追従ガイドとしてもよい。
スライド終端に到達した上筐体4−1と下筐体4−2との隙間W(図76)は、チルト機構46のチルト構造やチルト角度のチルト条件により異なる。そこで、この上筐体4−1と下筐体4−2との隙間は、チルト条件により設定すればよい。
図74では、上筐体保持板30−1、30−2の回転角度が0〔度〕の位置でのガイドピン42、44およびガイド孔38、40を示している。図75は上筐体保持板30−1、30−2の回転角度が45〔度〕の位置でのガイドピン42、44およびガイド孔38、40を示している。図76はスライド保持部18が上筐体保持板30−1、30−2の回転角度が90〔度〕の位置でのガイドピン42、44およびガイド孔38、40を示している。
上筐体保持板30−1、30−2のそれぞれ2箇所にあるガイドピン42、44のたとえば、スライド方向の先端部側を基本ガイドとし、他方を追従ガイドとすればよい。スライド保持部18のガイド孔38、40は、上筐体保持板30−1、30−2の回転角度が0〔度〕の位置から90〔度〕の位置まで回転により移動する間にスライド保持部18が必要とするスライド移動量となる形状とすればよい。
ガイドピン42のガイド孔38は、上筐体保持板30−1、30−2の回動角度が0〔度〕の位置とスライド保持部18が必要とするスライド移動位置でのガイドピン42の位置(回転角度が90〔度〕時のガイドピン42の位置)間を直線で繋ぐ単純なガイド孔40とする。追従する側のガイド孔は、メインガイドの動作に追従するガイド孔とすればよい。この追従ガイド孔が一連の動作で重複する場合は、そのガイド孔の幅が広がるため、そのガイド孔でもガイドピン42、44の離脱を防止するため、既述のフランジを備えればよい。
基本となるガイド孔38は、ガイドピン42の回転角度0〔度〕の設定位置からスライド保持部18の必要移動位置までを直線的に繋ぎ、スライド保持部18が移動し易いガイドラインに設定すればよい。
ガイド孔40は、P1、P2、P3の順に移動し(図74、図75、図76)、P3は、P2点よりP1点方向に戻る軌跡をたどるため、ガイド孔40は、一部重なり、溝幅が拡大する。このため、ガイドピン44の離脱を防止するには、フランジの径をガイド孔40の径より拡大しておけばよい。
スライド動作速度は上筐体保持板30−1、30−2の回転に対して回転角度が0〔度〕から45〔度〕の間では早く、回転角度が45〔度〕から90〔度〕の間では多少遅くなる関係となる。矢印M1は0〔度〕から45〔度〕の間の移動、矢印M2は45〔度〕から90〔度〕の移動を示している。
(2) 支持軸36を下筐体4−2に設置した場合(支持軸36の全部が下筐体4−2に入り込んでいる場合)
図77、図78および図79は、支持軸36の全部を下筐体4−2に設置した場合のスライド保持部18および上筐体保持板30−1、30−2を示している。図77はスライド保持部18が上筐体保持板30−1、30−2の回転角度が0〔度〕の位置で、ガイドピン42、44の位置とそれにガイドされるガイド孔38、40を示している。図78はスライド保持部18が上筐体保持板30−1、30−2の回転角度が45〔度〕の位置で、ガイドピン42、44の位置とそれにガイドされるガイド孔38、40を示している。図79はスライド保持部18が上筐体保持板30−1、30−2の回転角度が90〔度〕の位置で、ガイドピン42、44の位置とそれにガイドされるガイド孔38、40を示している。
上筐体保持板30−1、30−2の回転半径が少なくなるため、スライド移動量が減ることの対応としてガイド孔40の傾斜が既述した(1) の場合より急勾配の形状となる。
<スライド保持部18のガイド孔38、40、上筐体保持板30−1、30−2のガイドピン42、44の変形例>
図80および図81はスライド保持部18のガイド孔38、40、上筐体保持板30−1、30−2のガイドピン42、44の変形例を示している。
(1) スライド保持部18のガイド孔38、40は、図80のAに示すように、直線孔とし、それぞれを平行に配置してもよい。上筐体保持板30−1、30−2のガイドピン42、44は、上筐体保持板30−1、30−2の周縁の円弧に沿ってガイド孔38、40に係合する位置に設定すればよい。
(2) スライド保持部18のガイド孔38、40は、図80のBに示すように、長さの直線孔とし、両者間に角度を設定してもよい。上筐体保持板30−1、30−2のガイドピン42、44は、上筐体保持板30−1、30−2の周縁の円弧に沿ってガイド孔38、40に係合する位置に設定すればよい。
(3) スライド保持部18のガイド孔40を、図81のAに示すように、長さの直線孔とし、他方をV字形の円弧孔としてもよい。上筐体保持板30−1、30−2のガイドピン42、44は、上筐体保持板30−1、30−2の周縁の円弧に沿ってガイド孔38、40に係合する位置に設定すればよい。
(4) スライド保持部18のガイド孔40は図81のBに示すように、長さの直線孔として傾斜させ、他方をV字形の円弧孔としてもよい。上筐体保持板30−1、30−2のガイドピン42、44は、上筐体保持板30−1、30−2の周縁の円弧に沿ってガイド孔38、40に係合する位置に設定すればよい。
(5) スライド保持部18のガイド孔38、40は図81のCに示すように、共に円弧状とし、一方のたとえば、ガイド孔38を短い円弧孔に設定してもよい。上筐体保持板30−1、30−2のガイドピン42、44は、上筐体保持板30−1、30−2の周縁の円弧に沿ってガイド孔38、40に係合する位置に設定すればよい。
<チルト機構46およびフラット化機構48のガイド孔の形成部材>
図82は、ガイド孔94、96を上筐体保持板30−1、30−2の側板部76に形成したチルト機構46の変形例を示している。図83は、ガイド孔94、96を上筐体保持板30−1、30−2の側板部76に形成したフラット化機構48の変形例を示している。
上記実施の形態では、回動アーム88にガイド孔94、96を形成している。各ガイド孔94、96は上筐体保持板30−1、30−2の側板部76に形成してもよい。この場合、ガイドピン80、82は回動アーム88に形成される。斯かる構成によっても、既述のチルト動作や平行スライド動作が得られる。
<回転支持機構86の変形例>
図84、図85および図86は回転支持機構86の変形例を示している。
(1) 図84のAに示す回転支持機構86ではフランジ138のないフラットなシャフト部136からなる支持軸36を用いている。この例では、回動アーム88の各軸受部32を支持軸36に回動可能に形成する。下筐体4−2の軸受部34を軸固定部として支持軸36を圧入固定する。斯かる構成により、図84のBに示すように、回動アーム88を回動可能に下筐体4−2に設置することができる。
この場合、回動アーム88の各軸受部32を軸固定部とし、この軸固定部に支持軸36を圧入固定してもよい。斯かる構成によっても、回動アーム88を回動可能に下筐体4−2に設置することができる。
(2) 図85のAおよびBに示す回転支持機構86ではフランジ138を有する支持軸36を用いて上記(1) と同様に、回動アーム88を回動可能に下筐体4−2に設置することができる。
(3) 図86のAおよびBに示す回転支持機構86ではシャフト部136の端部にフランジ138を有する支持軸36を使用し、この支持軸36に形成した溝部116に抜け止め防止リング118を固定してもよい。斯かる構成では、回動アーム88側の軸受部32および下筐体4−2側の軸受部34により回動アーム88を回動させ、支持軸36の離脱やがたつきを防止できる。
<上筐体4−1の移動溝102の開閉カバー>
図87および図88は移動溝102を開閉する開閉カバーを備えた上筐体4−1の変形例を示している。
図87に示す上筐体4−1では、移動溝102(図44)ごとに開閉カバー120を備えてもよい。上筐体4−1に設置された上筐体保持板30−1、30−2の各移動溝102は開閉カバー120で閉じられる。これにより、上筐体4−1の側面の外観形態をフラット化できる。
図88に示す上筐体4−1は単一の開閉カバー122により各移動溝102の開閉を単一化している。斯かる構成とすれば、カバー構成を単純化できる。
なお、各開閉カバー120、122は上筐体4−1の開閉動作つまりスライド動作に連動して開閉するように構成してもよい。
<筐体モジュールの利用形態>
上記実施の形態では、筐体モジュールの一実施の形態として携帯端末装置を示しているがこれに限定されない。斯かる構造の筐体モジュールをPC、携帯情報端末、電子ゲーム機などの電子機器に用いてもよい。
<チルト機構46およびフラット化機構48の併用>
上記実施の形態では、チルト機構46とフラット化機構48を異なる実施の形態として説明したが、両者を併用した構成としてもよい。たとえば、ユーザ設定によりいずれか一方の機構を選択し、または操作に応じてチルト状態またはフラット化状態に設定することも可能である。
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
(付記1) 第1および第2の筐体と、
前記第1の筐体に取り付けたスライドフレームにスライド保持部材を係合し、該スライド保持部材に連結された筐体支持部を前記第2の筐体に回動可能に取り付け、スライドにより前記第2の筐体の縁部側に張り出す前記第1の筐体を、前記スライド保持部材に連動して回動する前記筐体支持部に支持させるスライド支持機構と、
を備える筐体モジュール。
(付記2) 前記第1の筐体のスライド方向に復元力を前記第1の筐体に作用させるアシストばねを備え、前記第1の筐体のスライドをアシストする、
付記1に記載の筐体モジュール。
(付記3) スライド終端に到達した前記第1の筐体を前記第2の筐体に対して傾斜させるチルト機構を前記筐体支持部に備える、
付記1または2に記載の筐体モジュール。
(付記4) スライド終端に到達した前記第1の筐体を前記スライド方向と直交方向に平行移動させる平行スライド機構を前記筐体支持部に備える、
付記1ないし3のいずれかに記載の筐体モジュール。
(付記5) 前記筐体支持部は、前記スライドフレームおよび前記スライド保持部材を介して前記第1の筐体を支持する、
付記1ないし4の何れかに記載の筐体モジュール。
(付記6) 前記筐体支持部は、前記第2の筐体に取り付けられた支持軸に回動可能に支持されている、
付記1ないし5の何れかに記載の筐体モジュール。
(付記7) 前記筐体支持部に復元力を作用するアシストばねを備え、前記第2の筐体の縁部側から突出する前記筐体支持部の回動をアシストする、
付記1ないし6の何れかに記載の筐体モジュール。
(付記8) スライドによって開閉される第1および第2の筐体と、
前記第1および第2の筐体のそれぞれに設置された表示部と、
前記第1の筐体に取り付けたスライドフレームにスライド保持部材を係合し、該スライド保持部材と連結した筐体支持部を前記第2の筐体に回動可能に取り付け、スライドにより前記第2の筐体の縁部側に張り出す前記第1の筐体を、前記スライド保持部材に連動して回動する前記筐体支持部に支持させるスライド支持機構と、
を備える電子機器。
(付記9) 前記第1の筐体のスライド方向に復元力を前記第1の筐体に作用させるアシストばねを備え、前記第1の筐体のスライドをアシストする、
付記8に記載の電子機器。
(付記10) スライド終端に到達した前記第1の筐体を前記第2の筐体に対して傾斜させるチルト機構を前記筐体支持部に備え、前記第1の筐体にある前記表示部と前記第2の筐体にある前記表示部との間に角度を設定する、
付記8または9に記載の電子機器。
(付記11) スライド終端に到達した前記第1の筐体を前記スライド方向と直交方向に平行移動させる平行スライド機構を前記筐体支持部に備え、前記第1の筐体にある前記表示部と前記第2の筐体にある前記表示部とをフラット化する、
付記8ないし10のいずれかに記載の電子機器。
(付記12) 前記筐体支持部は、前記スライドフレームおよび前記スライド保持部材を介して前記第1の筐体を支持する、
付記8ないし11の何れかに記載の電子機器。
(付記13) 前記筐体支持部は、前記第2の筐体に取り付けられた支持軸に回動可能に支持されている、
付記8ないし12の何れかに記載の電子機器。
(付記14) 前記筐体支持部に復元力を作用するアシストばねを備え、前記第2の筐体の縁部側から突出する前記筐体支持部の回動をアシストする、
付記8ないし13の何れかに記載の電子機器。
(付記15) 前記第1および第2の筐体のそれぞれに設置された前記表示部の少なくとも一方にタッチ入力部を備える、
付記8ないし14の何れかに記載の電子機器。
以上説明したように、筐体モジュールおよび電子機器の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。