JP5856442B2 - セメント混和材およびセメント組成物 - Google Patents

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本発明は、ひび割れ自己治癒材を含むセメント混和材、および前記セメント混和材を含むセメント組成物に関する。
モルタルやコンクリートなどのセメント硬化体は、セメント組成物に含まれるセメントの水和反応によって硬化するものであるが、硬化後に、応力が作用したり、温度や湿度の変化が生じたりすることで、硬化体にひび割れが発生する場合がある。
ひび割れが生じたセメント硬化体は強度低下、外観の悪化の他に、漏水などの原因となるという問題がある。
そこで、近年、硬化後にひび割れが生じた場合にも水分が存在する状態であればひび割れを閉塞する性質、いわゆる自己治癒性を有するセメント硬化体が検討されている。
自己治癒性セメント硬化体を得るためには、種々のセメント混和材をセメント組成物に配合することが行われている。
例えば、特許文献1乃至6には、水酸化カルシウム、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート、炭酸塩、尿素(炭酸ジアミド等)などのひび割れの自己治癒性を有する材料をセメント混和材としてセメント組成物に加えて、その化学的作用を利用して、ひび割れ発生時にもセメント硬化体に自らひび割れを治癒させることが記載されている。
しかし、これらのひび割れの自己治癒性を有する材料は、吸水性、膨潤性、あるいは水との反応活性が高い材料であるため、そのままセメント組成物に混合した場合には、フレッシュコンクリートやフレッシュモルタルのスランプを低下させるおそれがある。
かかるスランプの低下を抑制するために減水剤や高性能減水剤などの添加量を増量する必要があり、凝結遅延や、それによる強度低下、あるいはコストの高騰という問題がある。
かかる問題を改善するために、特許文献7には、ひび割れ自己治癒性を有する材料をセメントとともに混練して造粒物として形成し、かかる造粒物をセメント組成物に混合することが記載されている。
しかし、造粒物の場合、中心部にも自己治癒材が存在しているため、該中心部の自己治癒材はひび割れ発生時に水と反応せずに未反応のまま造粒物内部に残存してしまう。従って、はじめから残存量を見越して多めに造粒物をセメント組成物に混合する必要があり、コストがかかるという問題がある。
また、特許文献8には、多孔質の担体を用いて、ひび割れ自己治癒性を有する薬剤を前記担体の空隙や空孔内に担持させることが記載されている。
しかし、多孔質担体を用いた場合でも、空隙や空孔内部に存在する薬剤は、やはり未反応のまま残存するおそれがあり、材料の無駄なくひび割れ自己治癒性を発揮させることができないという問題がある。
特許第3658568号公報 特開2005−239482号公報 特開2007−332010号公報 特開2009−190937号公報 特許4285675号公報 特開2008−120625号公報 特開2003−95715号公報 特開2011−57520号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、材料の無駄を最小限にでき、流動性にも影響なく、低コストでひび割れ自己治癒性を発揮しうるセメント混和材およびセメント組成物を提供することを課題とする。
本発明のセメント混和材は、径が0.07mm以上1.0mm以下、比表面積が50cm2/g以上である繊維材料からなる担体の表面に、ひび割れ自己治癒材が付着されていることを特徴としている。
本発明によれば、径が0.07mm以上1.0mm以下、比表面積が50cm2/g以上である繊維材料からなる担体の表面にひび割れ自己治癒材が付着されているため、かかるセメント混和材をセメント組成物に混合して得たセメント硬化体にひび割れが発生した場合に、ひび割れの断面に露出する担体の表面のみにひび割れ自己治癒材が存在しているため、露出断面においてひび割れ自己治癒材が反応しやすい。
また、ひび割れ自己治癒材を反応しやすい担体の表面のみに付着させているため、ひび割れ自己治癒材の無駄が少なく材料コストを低減しうる。
尚、本発明において、径とは、繊維材料を任意に3点取り出し、繊維の長さ方向に対して直交する方向で切断した切断断面における最大径をマイクロノギス又はマイクロメータを用いて直接測定した値の平均値をいう。
また、本発明の繊維材料は、断面形状が正円形であることに限定されず、楕円形、三角等の多角形、星形などの不定形であってもよい。
尚、断面形状が正円形の場合には径は直径であり、楕円であれば径は長径であり、多角形状や星形などの不定形状であれば径は断面視における最大幅を有する位置の長さをいう。
また、本発明において、比表面積(cm2/g)とは、繊維材料を任意に20点取り出し、繊維の長さ方向において最も長い位置の長さをノギス又はマイクロメータを用いて直接測定した値の平均値と、前記径とから担体の表面積(前記径の上面下面を有し且つ前記長さの高さを有する円柱として)を算出し、下記の方法で測定される担体一個あたりの質量とから算出した値、すなわち、比表面積(cm2/g)=表面積(cm2)÷質量(g)をいう。
尚、断面形状が正円形で無い場合でも前記径の正円形であると仮定して、前記担体の表面積を算出する。
また、担体一個あたりの質量は、任意に取り出した繊維材料20点を、化学分析や薬品秤量に使用する精密天びん(分解能=最小秤量単位0.01mg)を用いてまとめて秤量し、その秤量値を20で除した平均値とした。
本発明において、前記担体の表面に、ひび割れ自己治癒材が0.01mm以上0.5mm以下の平均厚みで付着されていることが好ましい。
前記担体の表面に、ひび割れ自己治癒材が前記範囲の平均厚みで付着されているため、少量のひび割れ自己治癒材であっても高いひび割れ自己治癒性能が得られ、ひび割れ自己治癒材を効率よく活用しうる。
尚、本発明において平均厚みは、ひび割れ自己治癒材を付着させた担体を任意に3個取り出して切断し、切断断面を光学顕微鏡或いはデジタルマイクロスコープ等を用いて断面画像を撮影し、該断面画像の任意の3箇所におけるひび割れ自己治癒材の厚みを計測した計9箇所の計測値の平均をいう。
本発明において、前記ひび割れ自己治癒材が、炭酸ジアミド、水酸化カルシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種と、セメントとを含む。
前記ひび割れ自己治癒材が、炭酸ジアミド、水酸化カルシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種と、セメントとを含むため、ひび割れ自己治癒性能が高く、且つ、セメントが硬化することによって、担体の表面に適度な厚みにひび割れ自己治癒材を付着させることができ、より、効率よくひび割れ自己治癒性能を発揮しうる。
本発明において、水酸化カルシウムとセメントとを含むひび割れ自己治癒材が付着された担体と、硫酸カルシウムとセメントとを含むひび割れ自己治癒材が付着された担体とが混合されていることが好ましい。
水酸化カルシウムとセメントとを含むひび割れ自己治癒材が付着された担体と、硫酸カルシウムとセメントとを含むひび割れ自己治癒材が付着された担体とが混合されていることにより、より高いひび割れ自己治癒性能を発揮しうる。
水酸化カルシウムと硫酸カルシウムはそれぞれ水の存在下でセメント中に含まれる成分と水和物反応を生じるため、ひび割れが生じた場合に水和物の析出によってひび割れを塞ぐ作用がある。
しかし、水酸化カルシウムと硫酸カルシウムとを水の存在下で直接混合すると、膨張性のエトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O)を混合直後に生成してしまい、セメント硬化体にひび割れが発生した時には、前記水和反応によってひび割れを閉塞することができなくなる。
従って、水酸化カルシウムと、硫酸カルシウムとをそれぞれ担体に付着させおき、担体を混合することで、セメント硬化体にひび割れが生じるまでは、前記水酸化カルシウムと硫酸カルシウムとが反応することがなく、ひび割れが発生した時には高いひび割れ自己治癒性能を発揮しうる。
前記ひび割れ自己治癒材が、硬化促進剤を含むことが好ましい。
ひび割れ自己治癒材に硬化促進剤が含まれている場合には、前記担体にひび割れ自己治癒材を付着させる際に、短時間で付着させることができる。
前記担体の表面に、ひび割れ自己治癒材が複数の層をなすように付着されていることが好ましい。
ひび割れ自己治癒材が、複数の層をなすように担体表面に付着されていることで、例えば、表面層に反応性が高いひび割れ自己治癒材の層を形成し、下層に前記表面層で生成した生成物に作用してさらに水和反応を促進するような作用を有するひび割れ自己治癒材の層を形成することなどができ、より高いひび割れ自己治癒性能を得ることができる。
また、下層に反応性が高いひび割れ自己治癒材の層を形成した後に、表面層にセメント系材料を中心とした自己治癒材による保護層を形成することで、表面層によって下層の反応性が高いひび割れ自己治癒材を保護して、長期間に渡って高いひび割れ自己治癒性能を得ることができる。
本発明において、前記繊維材料がビニロン系繊維またはポリプロピレン系繊維であることが好ましい。
前記担体が、ビニロン繊維またはポリプロピレン繊維である繊維材料から形成されている場合には、特に、ひび割れ自己治癒性能が発揮されうる。
また、本発明のセメント組成物は、前記セメント混和材を含むことを特徴とする。
本発明によれば、材料の無駄を最小限にでき流動性にも影響なく、低コストでひび割れ自己治癒性を発揮しうるセメント混和材およびセメント組成物を提供することができる。
本実施形態のセメント混和材は、径が0.07mm以上1.0mm以下、比表面積が50cm2/g以上である繊維材料からなる担体の表面に、ひび割れ自己治癒材が付着されているものである。
(担体)
本実施形態のセメント混和材に含まれる担体は繊維材料からなる。
前記繊維材料の径は、0.07mm以上1.0mm以下、好ましくは0.1mm以上0.8mm以下である。
繊維材料の径が前記範囲内であることで、ひび割れ自己治癒材を付着させやすく、且つ、所定の比表面積にすることが容易にできるため、少量のひび割れ治癒材であっても効率よくひび割れ自己治癒材治癒時に水などと反応に寄与できるように担体に付着させることができる。
尚、本実施形態の繊維材料の径は、繊維材料を任意に3点取り出し、繊維材料の繊維の長さ方向に直交する方向に切断した場合の断面における最大径をいう。すなわち、断面形状が正円であれば直径であり、楕円であれば長径であり、多角形状や星形などの不定形状であれば断面視における最大幅の長さをいい、かかる径は、ノギスやマイクロメータなどで実測することで計測される。
径とは、繊維の長さ方向に対して直交する方向で切断した切断断面における最大径をマイクロノギス又はマイクロメータを用いて直接測定した値の平均値をいう。
前記繊維材料の比表面積は50cm2/g以上、好ましくは100cm2/g以上700cm2/g以下である。
繊維材料の比表面積が前記範囲内であることで、少量のひび割れ治癒材であっても、効率よくひび割れ自己治癒材治癒時に水などと反応に寄与できるような厚みに担体に付着させることができる。
また、本実施形態において、前記繊維材料の比表面積(cm2/g)は、繊維材料を任意に20点取り出し、繊維の長さ方向において最も長い位置の長さをノギス又はマイクロメータを用いて直接測定した値の平均値と、前記径とから担体の表面積を算出し(前記径の上面下面を有し且つ前記長さの高さを有する円柱として)、下記の方法で測定される担体一個あたりの質量とから算出した値をいう。
尚、断面形状が正円形で無い場合は、前記径の正円であると仮定して、前記担体の表面積を算出する。
担体一個あたりの質量は、化学分析や薬品秤量に使用する精密天びん(分解能=最小秤量単位0.01mg)を使用し、任意に取り出した繊維材料20点をまとめて秤量し、その秤量値を20(個数)で除した平均値とした。
前記精密天秤としては、例えば、島津製作所社製のAUW−120D−SGM等を好適に用いることができる。
前記繊維材料の材質は、特に限定されるものではなく、高分子材料、無機材料、金属材料など任意の材質の繊維材料を用いることができる。
高分子材料としては、例えば、ビニロン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、セルロース系繊維、レーヨン系繊維、アセテート系繊維等が挙げられる。
中でも、ビニロン系繊維またはポリプロピレン系繊維が好ましく、ビニロン系繊維が特に好ましい。
ビニロン系高分子には水酸基が多く存在し、かかる水酸基がセメントとの付着性が高いため、ひび割れ部分において炭酸カルシウムやセメント水和物等の析出核となりやすくひび割れ自己治癒能力が向上する。
無機材料としては、耐アルカリ性ガラス繊維、ロックウール、スラグウール、ワラストナイト繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、アタパルジャイト(パリゴルスカイト)、セピオライト、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
金属材料としては、鋼繊維、高張力鋼繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
前記各繊維材料を、前記比表面積に調整するためには、長繊維を適切な長さに切断することで、調整しうる。
切断する長さは、繊維材料の種類によっても相違するが、例えば高分子材料からなる繊維材料の場合には、長さ0.1mm〜10mm、好ましくは1mm〜10mmの範囲にすることが好ましい。
さらに具体的にビニロン系繊維の場合には、長さ1mm〜10mm、好ましくは2mm〜6mmの範囲にすることが好ましい。
かかる、長さの繊維を得るためには、長さ数m〜数千m程度を任意の長さに裁断加工する方法を採用することができる。
繊維を裁断する裁断装置としては、市販の高速連続裁断加工が可能な繊維裁断機、不要な書類を裁断するシュレッダー等が使用できる。
前記長さの繊維材料からなる担体を用いた場合には、セメント硬化体のひび割れ断面において、ひび割れを担体で架橋しつつ、ひび割れ自己治癒材の反応性で析出を生じさせてひび割れを閉塞しやすくなる。
本実施形態の繊維材料からなる担体は、前記径に対する前記長さの比率(アスペクト比=長さ÷径)が、0.5以上35以下、好ましくは1.0以上20以下であることが好ましい。
担体のアスペクト比が前記範囲であれば、セメント組成物に混合した場合に練混ぜ性能や流動性に悪影響を及ぼすおそれがなく、均一にセメント硬化体にセメント混和材を分散させうる。
(ひび割れ自己治癒材)
本実施形態で用いられるひび割れ自己治癒材は、水の存在下で、セメント硬化体中に含まれるセメントの成分と水和反応して析出物を生じるような成分を含むものであれば、特に限定されないが、炭酸ジアミド、水酸化カルシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種と、セメントとを含むひび割れ自己治癒材を用いることが好ましい。
「セメント」
セメントは、ひび割れ自己治癒材を前記担体に付着させる際に、バインダーとして働き、担体表面に所望の厚みでひび割れ自己治癒材を付着させることができる。
セメントとしては、特に限定されるものではないが、ポルトランドセメント、ポルトランドセメントをベースとした混合セメント、超速硬系セメント、その他の公知のセメント等が挙げられる。
前記ポルトランドセメントとしては、JIS R 5210「ポルトランドセメント」に規定された普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、超早強、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。
ポルトランドセメントをベースとした混合セメントとしては、日本工業規格JIS R 5211「高炉セメント」に規定された高炉セメントのA種・B種・C種、日本工業規格JIS R 5212「シリカセメント」に規定されたシリカセメントのA種・B種・C種、日本工業規格JIS R 5213「フライアッシュセメント」に規定されたフライアッシュセメントのA種・B種・C種等が挙げられる。
超速硬系セメントとしては、日本工業規格の旧JIS R 2511「耐火物用アルミナセメント」に規定されているアルミナセメント、或いは11CaO・7Al23・CaX2(XはF等のハロゲン元素)系の超速硬セメント、アウイン=カルシウムサルフォアルミネート(3CaO・3Al23・CaSO4)系の超速硬セメント等が挙げられる。
その他のセメントとしては、JIS R 5214「エコセメント」に規定された普通エコセメント等が挙げられる。
また、前記各セメントは、通常より大きな粒度(例えば、最大粒径が100〜300μm、ブレーン比表面積が500〜2000cm2/g)に調整した粗粉(粗粒)セメントとして用いてもよい。
さらに、上記例示したセメントは、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
前記セメントは、後述する水の存在下でセメント中の成分と水和反応して析出物を生じるような成分との組み合わせによって適宜選択しうる。
前記セメントは、例えば、セメント混和材100質量部に対して20乃至80質量部の含有量となるように配合されることが好ましい。
前記範囲の含有量であれば、担体への付着性が良好で、且つ、ひび割れ自己治癒性も十分に発揮しうる。
本実施形態におけるひび割れ自己治癒材には、セメント中の成分と水和反応して析出物を生じるような成分としては、A:炭酸ジアミド、B:水酸化カルシウムおよびC:硫酸カルシウムなどを用いることができる。
「A:炭酸ジアミド」
炭酸ジアミド(別名:カルバミド、慣用名:尿素、化学式:(H2N)2C=O)としては、工業用又は肥料用として市販されている例えば、窒素含有量44%〜46%の窒素肥料用尿素などを使用することができる。
炭酸ジアミドは水溶性であるため、予め水に溶かしてから前記各セメントと組み合わせて使用されることが好ましい。
炭酸ジアミドは、水溶液としてセメントに添加すると、セメントの水和反応を抑止する作用があるため、セメントの一部が水和反応しないまま、ひび割れ自己治癒材中に残存する。
よって、かかるひび割れ自己治癒材がセメント硬化体中に存在して、硬化体にひび割れが発生した場合、ひび割れ部分に水が供給されると、セメントの一部が水和を生じさせてひび割れを自己治癒させることが可能となる。
前記炭酸ジアミドの含有量は、ひび割れ自己治癒材100質量部のうち5乃至20質量部(炭酸ジアミド含有量として)であることが好ましい。
この範囲の含有量であれば、セメントと混合した際にセメントの水和反応を十分に抑制させることができる一方、セメント混和材としてセメント組成物に混合した際にセメント硬化体の硬化を阻害するおそれがない。
炭酸ジアミドと組み合わせるセメントとしては、前記セメントの中でも低熱ポルトランドセメント又は中庸熱ポルトランドセメントが好ましい。
これらの、低熱ポルトランドセメント又は中庸熱ポルトランドセメントは、水和反応の遅いビーライト(2CaO・SiO2)含有量が高いため、炭酸ジアミドのセメントとの水和反応の抑制効果を向上させうる。
「B:水酸化カルシウム」
水酸化カルシウム源としては、JIS R 9001「工業用石灰」に適合する特号消石灰、1号消石灰、2号消石灰等、廃棄物の焼却排気ガス等に含まれる有害な塩化水素ガスや亜硫酸ガス等の中和(浄化)用に使用される多孔質で比表面積の極めて大きな高反応性消石灰等などの市販品を用いることができる。
これら水酸化カルシウム源の中では、CaO含有量が70質量%以上で、粒径10〜100μm程度に調製された安価な工業用消石灰(特号消石灰、1号消石灰)を使用することが好ましい。
前記各水酸化カルシウム源は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
水酸化カルシウムは、水の存在下ではセメント中に含まれるカルシウムアルミネート(CaO・Al23、12CaO・7Al23、3CaO・Al23等)と反応しハイドロカルマイト(4CaO・Al23・13H2O)、ハイドロガーネット(3CaO・Al23・6H2O)等のカルシウムアルミネート水和物を生成するが、これらカルシウムアルミネート水和物は、ひび割れ発生時に新たな水分供給があるとさらに膨張性のエトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O)等を生成するためひび割れ自己治癒させることが可能となる。
水酸化カルシウムの含有量は、ひび割れ自己治癒材100質量部のうち10乃至40質量部(水酸化カルシウムの含有量として)であることが好ましい。
水酸化カルシウムの含有量が前記範囲であれば、セメント中のカルシウムアルミネートと反応させる際に十分な量のカルシウムアルミネート水和物を生成できるため好ましい。
水酸化カルシウムと組み合わせるセメントとしては、前記セメントの中でもカルシウムアルミネートを多く含むアルミナセメントが好ましい。アルミナセメントの中でも、アルミナ(Al23)が55質量%以上含まれているアルミナセメントが特に好ましい。
「C:硫酸カルシウム」
硫酸カルシウム源としては、無水石膏、二水石膏、半水石膏等の一般的な工業用石膏が挙げられ、天然品、副生品(排煙脱硫時の副生石膏、ふっ酸製造時の副生石膏、りん酸製造時の副生石膏、酸化チタン製造時の副生石膏等)のいずれであってもよい。
これら硫酸カルシウム源の中でも、特に無水石膏が、SO3含有量が55質量%以上であり、水分を含有せず、微粉砕処理の容易なため好ましく、無水石膏の中でもブレーン比表面積が5000m2/g以上の高反応性のものが特に好ましい。
前記各硫酸カルシウム源は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
硫酸カルシウムの含有量は、ひび割れ自己治癒材100質量部のうち10乃至50質量部(硫酸カルシウム含有量として)であることが好ましい。
硫酸カルシウムの含有量が前記範囲であれば、カルシウムアルミネート水和物と反応して十分な量のエトリンガイトが生成できるため好ましい。
硫酸カルシウムと組み合わせるセメントとしては、前記セメントの中でもポルトランドセメントを用いることが好ましく、中でも、ブレーン比表面積が高く、エーライト(3CaO・SiO2)含有量が高い早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントを使用した場合には、短時間で自己治癒材料の担持層の強度を高められるため好ましい。
また、水和反応の遅いビーライト(2CaO・SiO2)含む低熱ポルトランドセメント又は中庸熱ポルトランドセメントを使用した場合は、ひび割れの自己治癒能力が高まるために好ましい。
尚、硫酸カルシウムと組み合わされるセメントとして通常より大きな粒度(例えば、最大粒径が100〜300μm、ブレーン比表面積が500〜2000cm3/g)に調整した粗粉(粗粒)セメントを使用した場合は、自己治癒性能の長期温存効果が向上するため好ましい。
前記各セメントは単独または組み合わせて硫酸カルシウムと組み合わせてもよい。
硫酸カルシウムは、水の存在下では、セメント中に含まれるカルシウムアルミネート水和物を生成し、これらカルシウムアルミネート水和物は、ひび割れ発生時に新たな水分供給があると、さらに膨張性のエトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O)等を生成するためひび割れ自己治癒させることが可能となる。
「硬化促進剤」
本実施形態のひび割れ自己治癒材には、硬化促進剤が含まれていてもよい。
硬化促進剤としては、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、ギ酸リチウム、ギ酸カルシウム、無水マレイン酸等の水溶性のものが挙げられる。
これらの中では、モルタル及びコンクリートに有害なナトリウムイオン及びカリウムイオンを含まないケイ酸リチウム、アルミン酸リチウム、硝酸リチウム、硝酸カルシウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸カルシウム、硫酸リチウム、硫酸アルミニウム、ギ酸リチウム、ギ酸カルシウム、無水マレイン酸等の使用が好ましい。
上記硬化促進剤は、任意の濃度の水溶液として、ひび割れ自己治癒材に添加されていてもよく、あるいは、炭酸ジアミド、水酸化カルシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種とセメントとを水で混合した混合物を前記担体に付着させた後に、混合物に噴霧または塗布することで、前記混合物の付着層に浸透させてもよい。
硬化促進材の含有量は、ひび割れ自己治癒材100質量部に対して0.05質量部〜5.0質量部であることが好ましい。
但し、前記噴霧または塗布する場合には、噴霧または塗布後にダレが生じない程度の量を噴霧または塗布することが好ましい。
「水」
本実施形態におけるひび割れ自己治癒材に水を添加することで、担体に付着させやすい性状にすることができる。
前記水としては、上水道水、工業用水、地下水、河川水、雨水、蒸留水、化学分析用の高純度水(超純水、純水、イオン交換水)等が使用できるが、セメントの水和反応、モルタルおよびコンクリート硬化体に悪影響を及ぼす有機物、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等を含有しないことが好ましい。
特に、水道水又は工業用水が、安価で品質も安定していることから好ましい。
前記水の量は、ひび割れ自己治癒材100質量部に対して10〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
水の量が前記範囲であれば、担体の表面に所望する厚みにひび割れ自己治癒材を付着させることができる。
「その他の成分」
本実施形態においてひび割れ自己治癒材には、必要に応じて他の成分が含有されていてもよい。例えば、水の混合量を減らすために、各種化学混和剤を併用することもできる。
化学混和剤としては、液体状又は粉末状の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等の減水剤として公知のものを制限なく適用できる。
化学混和剤は、ひび割れ自己治癒材中の粉体成分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部程度含有させることが好ましい。
また、その他の成分として、ベントナイト、タルク、リン酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、非晶質のシリカ質微粉末(シリカフューム)、高炉水砕スラグ、高炉徐冷スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、フェロニッケルスラグ、珪酸質白土や凝灰岩等の天然ポゾラン、エトリンガイト(カルシウムサルフォアルミネート)系膨張材、生石灰系膨張材、超硬焼生石灰等の粉末材料を、ひび割れ自己治癒材に助材として添加してもよい。
これらの助材を添加することでひび割れ自己治癒性能をより向上させうる。
前記助剤は、単独又は混合して用いることができる。
本実施形態のセメント混和材は、ひび割れ自己治癒材が担体表面に単層で付着されていてもよく、あるいは、二層以上の複数の層をなすように付着されていてもよい。
二層以上の複数層になるようにひび割れ自己治癒材を付着させることにより、各層のひび割れ自己治癒材の特性を生かしてより、より高いひび割れ自己治癒性能を得ることができる。
また、担体表面に付着されているひび割れ自己治癒材の厚みの調整が容易に行いうる。
具体的には、前記炭酸ジアミドとセメントとからなるひび割れ自己治癒材を担体表面に塗布した後、水酸化カルシウムとセメントとからなるひび割れ自己治癒材を、さらに付着させたセメント混和材や、前記炭酸ジアミドとセメントとからなるひび割れ自己治癒材を担体表面に塗布した後、前記硫酸カルシウムとセメントとからなるひび割れ自己治癒材を付着させたセメント混和材などが好ましい。
あるいは、同じ材料であってセメントの配合量を変化させたひび割れ自己治癒材を、複数回にわけて付着させて複数層を形成してもよい。
さらに、同一のひび割れ自己治癒材を、複数回に分けて付着させて、複数層を形成してもよい。
本実施形態のセメント混和材は、異なるひび割れ自己治癒材を付着させた担体を、混合してもよい。
例えば、前記水酸化カルシウムと、硫酸カルシウムとは、同時にセメントおよび水などと混合した場合には、混合直後に膨張性のエトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O)等を生成して、担体に付着させることが困難であり、あるいはひび割れが生じるまでにエトリンガイトを生成する反応が終了して、ひび割れ発生時には、これを自己治癒することができなくなるおそれがある。
本実施形態のセメント混和材は、水酸化カルシウムを含むひび割れ自己治癒材を付着させた担体と、硫酸カルシウムを含むひび割れ自己治癒材を付着させた担体とを別々に得て、これらの担体が混合されているため、セメント硬化体の製造後、ひび割れが発生した時に、該ひび割れ面において、2種類のひび割れ自己治癒材の自己治癒能力を発揮させることが可能となる。
尚、セメントおよび水酸化カルシウムを含むひび割れ自己治癒材を付着させた担体と、セメントおよび硫酸カルシウムを含むひび割れ自己治癒材を付着させた担体との混合割合は、セメントおよび水酸化カルシウムと、セメントおよび硫酸カルシウムに含まれるSO3の総量とAl23の総量のモル比率(SO3/Al23)が0.10〜1.20、好ましくは、0.60〜1.20、さらに好ましくは、0.60〜0.80となるように混合することが好ましい。
モル比率(SO3/Al23)がかかる範囲であれば、ひび割れ自己治癒性を有するエトリンガイトが効率よく生成するため好ましい。
前記担体に各ひび割れ自己治癒材を付着させる方法は特に限定されるものではないが、例えば、水とともに混合されたひび割れ自己治癒材を担体に噴霧する方法や、担体を転動したり混合攪拌したりしながら、ひび割れ自己治癒材を添加して担体表面に付着させる方法が挙げられる。
また、予めひび割れ自己治癒材の材料をすべて混合しておいた混合物を振りかける方法を採用しても良く、あるいは、ひび割れ自己治癒材の材料中、粉体材料と液体材料とを交互に添加しながら、ひび割れ自己治癒材の層を担体に付着させる方法を採用してもよい。
これらの付着作業には、攪拌混合装置(一軸式ミキサ、二軸式ミキサ等)、転動式混合装置(パンペレタイザ、傾胴式ミキサ等)等の汎用装置を使用することができる。
前記ひび割れ自己治癒材を付着させた後、ひび割れ自己治癒材を硬化させてセメント混和材が得られる。
かかるセメント混和材において、ひび割れ自己治癒材の厚みは、0.01mm以上0.5mm以下の平均厚み、好ましくは、0.02mm以上0.4mm以下の平均厚みであることが好ましい。
かかる厚みの範囲であれば、ひび割れ自己治癒性能が十分に得られる。
尚、ひび割れ自己治癒材が担体表面に複数の層を成している場合には、各層の平均厚みは0.04mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
各層の平均厚みがかかる範囲であれば担体への付着性が良好である。
(セメント組成物)
次に、本実施形態のセメント混和材を用いたセメント組成物について説明する。
本実施形態のセメント混和材は、コンクリート用のセメント組成物やモルタル用のセメント組成物に混合することができる。
例えば、コンクリート用のセメント組成物は、本実施形態のセメント混和材と、セメントと、細骨材と、粗骨材と、水と、その他各種添加剤とを混合して得られる。
モルタル用のセメント組成物は、実施形態のセメント混和材と、セメントと、細骨材と、水と、その他各種添加剤とを混合して得られる。
尚、本実施形態のセメント組成物のセメントとしては、前記ひび割れ自己治癒材の材料としてのセメントとして例示した各種セメントを使用することができる。
本実施形態のセメント混和材に対するセメントの混合量は、セメント混和材100質量部に対して、セメント100〜300質量部の範囲内で含有させることが好ましい。
細骨材としては、陸砂(山砂)、海砂、川砂、砕砂、珪砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材、銅スラグ細骨材、フェロクロム細骨材、人工軽量細骨材、再生細骨材、溶融スラグ細骨材等が挙げられる。
粗骨材としては、陸砂利(山砂利)、海砂利、川砂利、砕石、高炉スラグ粗骨材、人工軽量粗骨材、再生粗骨材、溶融スラグ粗骨材等が挙げられる。
尚、粗骨材および細骨材とは、JIS A 1102のふるい分け試験に準拠して区別することができる。
前記細骨材および粗骨材の含有量は以下の範囲であることが好ましい。
モルタルの場合は、モルタル硬化体1m3あたり、細骨材の含有量が、1000〜1700kgであると好ましく、1200〜1500kgであるとより好ましい。
また、コンクリートの場合、コンクリート硬化体1m3あたり細骨材の含有量が700〜1000kgが好ましく、800〜900kgがより好ましく、粗骨材の含有量は、コンクリート硬化体1m3あたり800〜1100kgが好ましく、850〜950kgが好ましい。
尚、前記骨材の一部を、前記セメント混和材と置き換えても良い。
その場合は、モルタルまたはコンクリート硬化体に配合する細骨材の全量のうちの5〜30質量%を前記セメント混和材に置換すれば良い。
前記セメント組成物には、セメント組成物を100質量部としたとき、25〜60質量部となる量の水を添加して混練することが好ましく、40〜50質量部となる量であると特に好ましい。
前記水の量が60質量%を超えると、硬化後のコンクリート中に多量の水が残ってしまい、強度が不十分となる恐れがある他、前記セメント混和材中の自己治癒材料の有する自己治癒能力が低下してしまう等により、自己治癒性を長期に維持することが困難となる場合がある。
更に、セメント硬化体中のセメント混和材の含有量は、例えば、モルタルの場合、モルタル硬化体1m3あたり300〜1000kgが好ましく、更に400〜800kgがより好ましい。
また、セメント硬化体がコンクリートの場合、セメント混和材の含有量は当該コンクリート硬化体1m3あたり200〜700kgが好ましく、更に300〜450kgが好ましい。
セメント混和材の含有量がこれらの範囲であると、セメント硬化体の硬化が良好に行えると同時に、セメント硬化体中に未反応のひび割れ自己治癒材が十分に残存して、優れた自己治癒性が得られ、長期に亘って自己治癒性を維持することが可能となる。
本実施形態のセメント組成物で得られたセメント硬化体は、例えば、ひび割れ幅が0.3mm程度の大きなひび割れが生じた場合でも、かかるひび割れを効果的に自己治癒させることが可能となる。
本実施形態のセメント混和材、およびセメント組成物を用いたセメント硬化体は、例えば、コンクリート高架橋の上部工・床版底面及び橋脚・橋台側面、トンネルの覆工コンクリート、農業用水路等のコンクリート底面及び側面等の土木構造物や、オフィスビル又はマンション等のスラブ・壁等の建築構造物や、あるいは、トンネル用セグメント、ボックスカルバート、L型擁壁等の擁壁製品、U字構、ヒューム管、電柱、コンクリートブロック、コンクリートパネル等のコンクリート構造物のように、漏水が発生しやすく、且つひび割れの修復が困難であった構造物に好適に使用することができる。
これらの土木構造物、建築構造物、コンクリート構造物にひび割れが発生した場合に、降雨、降雪、地下水のしみこみ、河川水、海水などの流入・接触等の自然現象によって水が供給され、あるいは、散水・注水操作等により水が供給された場合に、セメント硬化体中のセメント混和材が、水およびセメント中の成分と水和物生成反応を生じることで、ひび割れを効果的に自己治癒させうる。
前記のような土木構造物、建築構造物、コンクリート構造物にひび割れが発生した場合には、従来は、ひび割れに有機性又は無機性の充填材料を注入する補修工事を行ったり、ひび割れが発生しても構造物に影響を与えないようにセメント硬化体に防水工事、止水工事を施すなどの対策がとられていたが、かかる補修工事、防水工事、止水工事等は、コストがかかる上に、セメント硬化体の施工工事と同時に防水工事や止水工事を行う場合には、構造物の工期の長期化を招く。特に、セメント硬化体が、トンネル、鉄道高架橋、自動車高架橋等の構造物である場合には、構造物の供用開始後にこれらのひび割れに対する補修工事を施すことは、通行停止などが必要であり、非常に困難であった。
従って、本実施形態のセメント混和材、およびセメント組成物を用いたセメント硬化体を、かかる構造物に用いた場合には、前記のような補修工事、防水工事、止水工事等を行わなくても、ひび割れ自己治癒材性能が得られる。
特に、従来自己治癒が困難であったひび割れ幅が0.3mm以上の比較的大きいひび割れでも、本実施形態のセメント組成物を用いることで、良好にひび割れを自己治癒することが可能となる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例で使用した機器は以下のとおりである。
[使用機器]
・業務用シュレッダー(担体作製用、RICOH社製、RICUT3143FS、クロス カット方式、裁断幅=約2mm×30mm、モータ=100V15A)
・コンクリート傾胴式ミキサ(ひび割れ自己治癒材の付着処理用、容量100リットル、 200V三相モータ出力2.2kW)
・ハンドスプレー(噴霧塗布用、ポリカーボネート製、手動式、容量2リットル)
・モルタルミキサ(モルタル混練用、ホバートミキサN−50、JIS R 5201「 セメントの物理試験方法」の強さ試験適合品、100V単相モータ出力125W)
・コンクリートミキサ(コンクリート混練用、SUPER DOUBLE MIXER SD−55、大平洋機工社製、二軸強制練りミキサ、容量55リットル、200V三相 モータ出力3.7kW)
・モルタル用耐圧試験機(直径5cm×高さ10cmモルタル円柱供試体の圧縮強度測定 用および割裂によるひび割れ導入用、島津製作所社製、最大載荷能力300KN)
・コンクリート用耐圧試験機(直径10cm×高さ20cmコンクリート円柱供試体の圧 縮強度測定用および割裂によるひび割れ導入用、島津製作所社製、最大載荷能力300 0KN)
・デジタルマイクロスコープ(ひび割れ観察用、キーエンス社製、VHX−1000)
(担体)
本実施例では担体として以下の3種類を用いた。
(1)担体
A) ポリプロピレン繊維(CHファイバー47/72、シーエムシー社製、直径0.72mm×長さ47mm、密度=0.91g/cm3)を、業務用シュレッダーを使用して裁断し、直径0.72mm×長さ約2mmの担体(比表面積=約72cm2/g、アスペクト比=約2.8)を10kg作製した。
B) ビニロン繊維(クラテックRF4000×30、クラレ社製、直径0.66mm×長さ30mm、密度=1.30g/cm3)を、業務用シュレッダーを使用して裁断し、直径0.66mm×長さ約2mmの担体B(ビニロン極短繊維、比表面積=約54cm2/g、アスペクト比=約3)を20kg作製した。
C) ビニロン繊維(パワロンRECS100L×12、クラレ社製、直径0.1mm×長さ12mm、密度=1.30g/cm3)を、業務用シュレッダーを使用して裁断し、直径0.1mm×長さ約2mmの担体C(ビニロン極短繊維、比表面積=約315cm2/g、アスペクト比=約20)を10kg作製した。
D) ポリプロピレン繊維(バルチップPW・Jr、萩原工業社製、直径0.065mm×長さ12mm、密度=0.91g/cm3)を業務用シュレッダーを使用して裁断し、直径0.065mm×長さ約2mmの担体C(ポリプロピレン極短繊維、比表面積=約687cm2/g、アスペクト比=約31)を10kg作製した。
(ひび割れ自己治癒材)
ひび割れ自己治癒材用の混合物として表1に示す各混合物を用意した。
尚、表1において使用した材料は以下のとおりである。
(1)セメント
イ)低熱ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製、JIS R 5210適合品、密度=3.24g/cm3、C2S含有量=56質量%、Al23含有量=2.7質量%、SO3含有量=2.0質量%、ブレーン比表面積=3400cm2/g)
ロ)アルミナセメント(アサヒアルミナセメント1号、旭硝子セラミックス社製、旧JIS R 2511適合品、密度=2.99g/cm3、Al23含有量=55.0質量%、CaO含有量=35.3質量%、SO3含有量=0.1質量%未満、ブレーン比表面積=4500cm2/g)
ハ)早強ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製、JIS R 5210適合品、密度=3.13g/cm3、C3S含有量=65質量%、Al23含有量=5.0質量%、SO3含有量=2.8質量%、ブレーン比表面積=4400cm2/g)
(2)水和反応成分
a)炭酸ジアミド(窒素肥料用尿素、純度=窒素含有量45%、三井化学社製)
b)水酸化カルシウム(JIS特号消石灰、吉澤石灰工業社製、JIS R 9001適合品、CaO含有量=74.0質量%、Al23含有量=0.1質量%未満、SO3含有量=0.1質量%未満、密度=2.34g/cm3、ブレーン比表面積=5000cm2/g)
c)硫酸カルシウム(天然産無水石膏の微粉砕品、住友大阪セメント社製、密度=2.95g/cm3、CaO含有量=41.1質量%、Al23含有量=0.1質量%、SO3含有量=56.7質量%、ブレーン比表面積=6800cm2/g)
(3)水:上水道水(千葉県船橋市産)
(4)硬化促進剤
硫酸リチウム水溶液(工業用硫酸リチウム、Li2SO4含有量=97.2質量%、本庄ケミカル社製、工業用硫酸リチウムの粉末を蒸留水に溶解させ、硫酸リチウム含有量=10質量%の水溶液に調整したもの)
(セメント混和材の製造)
表1に示す各材料の自己治癒材の材料を、1バッチの合計量が10kgとなるように計量した。
次に、コンクリート用傾胴式ミキサに、まず各担体を全量投入後、傾胴式ミキサのドラムの角度を水平から15度上げ、40rpmで回転させながら、自己治癒材の材料のうち、粉体と水(ハンドスプレーで噴霧)とを交互に少しずつ加えて、担体及び自己治癒材料混合物を転動しながら1層又は2層付着させてセメント混和材を18種類(A−1〜A−6、B−1〜B−6、C−1〜C−6)を作製した。
尚、硬化促進剤は、担体に前記材料を付着した後に、傾胴式ミキサを回転させながら、さらに、セメント混和材の表面に噴霧した。
一方、比較のため、表1に示す配合のひび割れ自己治癒材を混合した後、担体を用いずコンクリート用傾胴式ミキサに投入して、傾胴式ミキサのドラムの角度を水平から15度上げ、40rpmで回転させながら、造粒したセメント混和材D−1〜D−3を作製した。
前記造粒物は、ほとんどの造粒物が球形またはそれに近い形状であることが目視で確認された。
尚、前記造粒物は、JIS Z 8801−1「試験用網ふるい−第1部:金属製網ふるい」に規定された目開きが0.05mm〜5mmの試験用ふるいを用いて、目開き5mmのふるいを通過し、且つ0.05mmのふるい上に残った造粒物を選びセメント混和材D−1〜D−3とした。
また、造粒物の比表面積は以下の方法で測定した。
各造粒物を任意に20点取り出し、最も長い位置の長さをノギス又はマイクロメータを用いて直接測定した値の平均値を球体の径として造粒物の表面積を算出し、造粒物一個あたりの質量とから算出した値をいう。
造粒物一個あたりの質量は、前記担体の質量と同様任意の20個の平均質量として測定した。
アスペクト比は、任意に抽出した10個の造粒物の粒径をマイクロノギスで各2箇所ずつ測定し、その平均値から算出した。
各セメント混和材は、容量50リットルのポリエチレン製袋に入れて密封し、20℃恒温室内で1日間養生を行った。
尚、自己治癒材を2層になるように付着させるセメント混和材(A−6、B−6、C−6)に関しては、1層目を付着後に1日間養生し、さらに2層目の付着操作を行なった。
(層厚みの測定)
前記養生を行った各セメント混和材から3個を任意に抽出してカッターナイフで繊維の長さ方向に対して鉛直になる様に切断し、デジタルマイクロスコープを用いて、切断面の画像から担体に付着させたひび割れ自己治癒材の層の厚さ(膜厚)を3箇所ずつ計測し、計9箇所の平均値を求めた。
各厚みの平均値を表1に示す。
Figure 0005856442
次に、各セメント混和材を用いてコンクリートおよびモルタル硬化体を作製し、15打モルタルフロー試験、圧縮強度試験、および自己治癒性能評価試験(通水試験)を行った。
コンクリートおよびモルタル硬化体用のセメント組成物材料を以下に示す。
・セメント(モルタル及びコンクリート共通):普通ポルドランドセメント(住友大阪セ メント社製、JIS R 5210適合品、密度=3.15g/cm3、C3S含有量 =56質量%、C2S含有量=17質量%、Al23含有量=5.2質量%、SO3 含有量=1.9質量%、ブレーン比表面積=3400cm2/g)
・細骨材(モルタル及びコンクリート共通):千葉県富津産陸砂(表乾密度=2.55g /cm3、吸水率=2.1%、FM=2.65)
・コンクリート用粗骨材:茨城県桜川市産硬質砂岩砕石2005(表乾密度=2.65g /cm3、吸水率0.6%、FM=6.67)
・水(モルタル及びコンクリート共通):上水道水
・コンクリート用高性能AE減水剤:レオビルドSP8SVX2(BASF社製、ポリカ ルボン酸系、JIS A 6204適合品)
(モルタルフロー試験)
表1に示す各セメント混和材を用いて、表2示す配合でモルタルを練り混ぜた。尚、各セメント混和材は、モルタルの細骨材に対していずれも10質量%内割置換になるように配合した。
モルタルの練混ぜ方法は、日本工業規格JIS R 5201「ポルトランドセメントの物理試験方法」のモルタル試験方法に準拠する方法で、モルタルミキサを用いて練り混ぜた。
練り上った各モルタルは、直ちにJIS R 5201に準拠して15打モルタルフローを測定してモルタル流動性の評価とした。
(圧縮強度試験)
前記フローを測定した各モルタルをモルタルミキサの練り鉢に戻して、30秒間再度練り混ぜた後、直径5cm×高さ10cmの鋼製簡易型枠に打ち込み、モルタル円柱供試体を4本ずつ作製した。作製した円柱供試体は、鋼製簡易型枠の頭部(開口部)をポリエチレン製ビニールキャップおよび輪ゴムを使用して封かん状態とし、20℃恒温室内で91日間封かん養生した。91日間養生後、供試体4本全てを脱型し、その3本を使用して、耐圧試験機を用いて、日本工業規格JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して材齢91日の圧縮強度を測定した。
(自己治癒性能評価試験(通水試験))
前記供試体のうち圧縮強度試験に用いなかった一本を、日本工業規格JIS A 1113「コンクリートの割裂引張強度試験方法」に準拠して、円柱供試体を割裂し、2つに破断させた。
割裂(破断)させた円柱供試体は、2つの破断面を正確に合わせ、内部直径50mm×幅9mm×厚さ0.8mmの鋼製バンドを2本用いて円柱供試体の外部(側面部分)を2箇所拘束し、デジタルマイクロスコープを用いて円柱供試体に導入したひび割れ部のひび割れ幅を観察(供試体上下面をそれぞれ3箇所ずつ計測)しながら、鋼製バンドの張力を調節することによって、円柱供試体上下面の表面部分のひび割れ幅が約0.3mmとなるように調整した。ひび割れ幅を約0.3mmに調整後、円柱供試体上面(供試体作製時の型枠上部側)に通水試験用の内部直径50mm×高さ100mmの塩化ビニル製パイプを接続し、円柱供試体とパイプの接続部及び円柱供試体側面のひび割れ部分に市販のシーリング材(シリコーンゴム)を塗布して止水処理を行った。
かかる供試体を20℃恒温室内に置き、割裂によりひび割れを導入した材齢91日から、モルタル円柱供試体の上部に接続した塩化ビニル製パイプに上水道水を注水し、常時10cmの水頭を与えてモルタル円柱供試体のひび割れからの漏水量を3日間測定して止水性の評価を、以下の5段階の指標で評価した。
ひび割れの自己治癒による止水性の評価
・初期漏水量=通水開始直後の5分間あたりの漏水量
・評価A:通水試験開始3日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の1%以下となる場 合
・評価B:通水試験開始3日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の1%よりも大きく 、5%以下となる場合
・評価C:通水試験開始3日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の5%よりも大きく 10%以下となる場合
・評価D:通水試験開始3日目の5分間あたりの漏水量を初期漏水量の10%よりも大き く25%以下となる場合
・評価E:通水試験開始3日目の5分間あたりの漏水量を初期漏水量の25%以下にする ことができない場合
各試験結果を表2に示す。
Figure 0005856442
上記表2より、各実施例は、セメント混和材をモルタルに添加した場合のフレッシュ性状(フロー値)及び91日圧縮強度に問題はなく、更に通水試験によるひび割れの自己治癒による止水性の評価が良好であった。
また、担体材料としてビニロン極短繊維を使用した場合であって、ひび割れ自己治癒材を2層になるように付着させた場合の自己治癒による止水性の評価は特に良好であった。
比較例1は、セメント混和材を何ら添加しないプレーンモルタルであるため、自己治癒による止水性の評価が低いことが明らかである。
また、比較例2〜4の場合は、自己治癒材料混合物の造粒物の状態で使用したため、実施例に比して、自己治癒による止水性の評価が大幅に低かった。
次に、表1のセメント混和材を用いて、表3に示す配合のコンクリート用セメント組成物を得た。
具体的には、水セメント質量比:50%(単位水量=175kg/m3)、s/a(細骨材率;細骨材の絶対容積÷(細骨材の絶対容積+粗骨材の絶対容積))=48.1体積%となる配合に、さらに、高性能AE減水剤をセメントに対して0.8〜2.0質量%加えて、目標スランプ=18±3cm(日本工業規格 JIS A 1101)、目標空気量=4.5±1.5%(日本工業規格 JIS A 1128)のコンクリートを、20℃恒温室で、日本工業規格 JIS A 1138「試験室におけるコンクリートの作り方」に準拠し、1バッチあたり25リットル練り混ぜた。
尚、表1のセメント混和材は、コンクリートの細骨材に対して、いずれも総量で50kg/m3ずつ置換した。練り上ったフレッシュコンクリートを用いて、日本工業規格 JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に則してスランプを、又、日本工業規格 JIS A 1128「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法」に則して空気量を測定した。結果を表3に示す。
(圧縮強度試験)
前記フレッシュコンクリートを使用して、直径10cm×高さ20cmの鋼製簡易型枠に打ち込み、コンクリート円柱供試体を4本ずつ作製した。作製した円柱供試体は、鋼製簡易型枠の頭部(開口部)をポリエチレン製ビニールキャップおよび輪ゴムを使用して封かん状態とし、20℃恒温室内で28日間封かん養生した。28日間養生後、供試体4本全てを脱型し、その3本を耐圧試験機を用いて、日本工業規格JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して材齢28日の圧縮強度を測定した。
(自己治癒性能評価試験(通水試験))
前記圧縮試験で使用しなかった1本の供試体は、日本工業規格JIS A 1113「コンクリートの割裂引張強度試験方法」に則して、円柱供試体を割裂し、2つに破断させた。
割裂(破断)させた円柱供試体は、2つの破断面を正確に合わせ、内部直径100mm×幅12mm×厚さ0.8mmの鋼製バンドを3本用いて円柱供試体の外部(側面部分)を3箇所拘束し、デジタルマイクロスコープを用いて円柱供試体に導入したひび割れ部のひび割れ幅を観察(供試体上下面をそれぞれ3箇所ずつ計測)しながら、鋼製バンドの張力を調節することによって、円柱供試体上下面の表面部分のひび割れ幅が約0.3mmとなるように調整した。ひび割れ幅を約0.3mmに調整後、円柱供試体上面(供試体作製時の型枠上部側)に通水試験用の内部直径100mm×高さ100mmの塩化ビニル製パイプを接続し、円柱供試体とパイプの接続部及び円柱供試体側面のひび割れ部分に市販のシーリング材(シリコーンゴム)を塗布して止水処理を行った。
かかる供試体を20℃恒温室内に置いて、割裂によりひび割れを導入した材齢28日から、コンクリート円柱供試体の上部に接続した塩化ビニル製パイプに上水道水を注水し、常時10cmの水頭を与えてコンクリート円柱供試体のひび割れからの漏水量を7日間測定して止水性の評価を、以下の5段階の指標で評価した。
ひび割れの自己治癒による止水性の評価
・初期漏水量=通水開始直後の5分間あたりの漏水量
・評価A:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の1%以下となる場 合
・評価B:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の1%よりも大きく 、5%以下となる場合
・評価C:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の5%よりも大きく 10%以下となる場合
・評価D:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量を初期漏水量の10%よりも大き く25%以下となる場合
・評価E:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量を初期漏水量の25%以下にする ことができない場合
各試験結果を表3に示す。
Figure 0005856442
上記表3より、各実施例は、セメント混和材をコンクリートに添加した場合のフレッシュ性状(スランプ、空気量)及び28日圧縮強度に問題はなく、更に通水試験によるひび割れの自己治癒による止水性の評価が良好であった。
また、担体材料としてビニロン極短繊維を使用した場合であって、ひび割れ自己治癒材を2層になるように付着させた場合の自己治癒による止水性の評価は特に良好であった。
比較例5は、セメント混和材を何ら添加しないプレーンモルタルであるため、自己治癒による止水性の評価が低いことが明らかである。
また、比較例6〜8の場合は、自己治癒材料混合物の造粒物の状態で使用したため、実施例に比して、自己治癒による止水性の評価が大幅に低かった。

Claims (7)

  1. 径が0.07mm以上1.0mm以下、比表面積が50cm/g以上である繊維材料からなる担体の表面に、ひび割れ自己治癒材が付着されており、
    前記ひび割れ自己治癒材に、炭酸ジアミド、水酸化カルシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種と、セメントとが含まれていることを特徴とするセメント混和材。
  2. 前記ひび割れ自己治癒材が0.01mm以上0.5mm以下の平均厚みで付着されている請求項1に記載のセメント混和材。
  3. 水酸化カルシウムとセメントとを含むひび割れ自己治癒材が付着された担体と、硫酸カルシウムとセメントとを含むひび割れ自己治癒材が付着された担体とが混合されている請求項1または2に記載のセメント混和材。
  4. 前記ひび割れ自己治癒材に、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、ギ酸リチウム、ギ酸カルシウム及び無水マレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種である硬化促進剤が含まれている請求項1乃至のいずれか一項に記載のセメント混和材。
  5. 前記担体の表面に、前記ひび割れ自己治癒材が複数の層をなすように付着されている請求項1乃至のいずれか一項に記載のセメント混和材。
  6. 前記繊維材料がビニロン系繊維またはポリプロピレン系繊維である請求項1乃至のいずれか一項に記載のセメント混和材。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のセメント混和材を含むセメント組成物。
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