JP5856199B2 - 電子機器 - Google Patents

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本発明は、圧電素子に所定の電気信号(音声信号)を印加することでパネルを振動させ、当該パネルの振動を人体に伝達させることにより気導音と骨導音とを利用者に伝える電子機器に関する。
特許文献1には、携帯電話端末などの電子機器として、気導音と骨導音とを利用者に伝えるものが記載されている。また、特許文献1には、気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。また、特許文献1には、骨導音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。
特許文献1に記載された電話機では、圧電バイモルフ及び可撓性物質からなる短形板状の振動体が、筐体の外面に弾性部材を介して取り付けられる旨が記載されている。また、特許文献1には、この振動体の圧電バイモルフに電圧が印加されると、圧電材料が長手方向に伸縮することにより振動体が湾曲振動し、利用者が耳介に振動体を接触させると、気導音と骨導音とが利用者に伝えられることが記載されている。
特開2005−348193号公報
特許文献1に記載の電子機器においては、携帯電話端末などの筐体の外面に振動体が取り付けられる。そのため、筐体の外面から突出した小さな振動体を耳に当てる必要があり、使い勝手が悪い場合があった。そのため、振動体を携帯電話端末などのパネルの背面(内面)に配置し、振動体の変形に起因してパネルを変形させることにより、パネルに接触する対象物(耳)に対して気導音と骨導音とを伝えることが想定される。
しかし、上述した特許文献1では、パネルが変形するときに生じる種々の課題については何ら検討されていなかった。
本発明の目的は、パネルを振動させる電子機器における課題を解決し、良好な電子機器を提供することにある。
本発明にかかる電子機器は、圧電素子と、当該圧電素子を支持するパネルと、当該パネルを保持する筐体と、前記パネルに保持された表示部とを備え、前記パネルにより、前記圧電素子の長辺方向において該圧電素子の直上がその周囲と比較して最も高く隆起するように、前記圧電素子によって前記パネルが曲げられ、当該パネルに接触している人体の接触部位が振動して音を伝える電子機器において、前記表示部と前記筐体との間には、緩衝材が配置される。
本発明は、圧電素子と、当該圧電素子を支持するパネルと、当該パネルを保持する筐体と、を備え、前記パネルにより、気導音と人体の一部を振動させて伝える振動音とを発生させる電子機器において、前記パネルと前記筐体との間には、緩衝材が配置され、当該緩衝材が配置されている場合、前記緩衝材が配置されていない場合に比較して、300Hzから1000Hzの周波数において、歪率が4〜24%小さくなるものである。
本発明によれば、パネルを振動させる電子機器における課題を解決し、良好な電子機器を提供できる。
本発明の一実施形態に係る電子機器の要部の機能ブロックを示す図である。 パネルの好適な形状を示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器の実装構造の要部を概略的に示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器のパネルの振動の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器の音圧に関する周波数特性を示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器の歪率に関する周波数特性を示す図である。 第2の実施形態に係る電子機器の実装構造の要部を概略的に示す図である。 第2の実施形態に係る電子機器のパネルの振動の一例を示す図である。
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器1の要部の機能ブロックを示す図である。電子機器1は、例えば携帯電話端末であって、無線通信部5と、パネル10と、表示部20と、圧電素子30と、入力部40と、制御部50と、を備える。無線通信部5は、公知の構成からなり、基地局等を介して通信ネットワークに無線接続される。
パネル10は、接触を検出するタッチパネル、または表示部20を保護するカバーパネル等である。パネル10は、例えばガラス、またはアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル10の形状は板状であるとよい。パネル10は、平板であってもよいし、表面が滑らかに傾斜する曲面パネルであってもよい。パネル10は、タッチパネルである場合、利用者の指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチパネルの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式を用いることができる。
表示部20は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の表示デバイスである。表示部20は、パネル10の背面側に設けられる。例えば、表示部20は、接合部材(例えば接着剤)によりパネル10の背面に配設される。或いは、表示部20は、パネル10と離間して、電子機器1の筐体に支持される。
圧電素子30は、電気信号(電圧)を印加することで、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮または湾曲する素子である。これらの素子は、例えばセラミック製や水晶からなるものが用いられる。圧電素子30は、ユニモルフ、バイモルフまたは積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、バイモルフを積層した(例えば16層または24層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該複数の誘電体層間に配置された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮し、バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると湾曲する。
圧電素子30は、パネル10の背面(電子機器1の内部側の面)に配置される。圧電素子30は、接合部材(例えば両面テープ)によりパネル10に取り付けられる。圧電素子30は、中間部材(例えば板金)を介してパネル10に取り付けられてもよい。圧電素子30は、パネル10の背面に配置された状態で、筐体の内部側の表面と所定の距離だけ離間している。圧電素子30は、伸縮または湾曲した状態でも、筐体の内部側の表面と所定の距離だけ離間しているとよい。すなわち、圧電素子30と筐体の内部側の面との間の距離は、圧電素子30の最大変形量よりも大きいとよい。
入力部40は、利用者からの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。なお、パネル10がタッチパネルである場合には、パネル10も利用者からの接触を検出することにより、利用者からの操作入力を受け付けることができる。
制御部50は、電子機器1を制御するプロセッサである。制御部50は、圧電素子30に所定の電気信号(通話相手の音声または着信メロディもしくは音楽を含む楽曲等の音響信号に応じた電圧)を印加する。なお、音響信号は、内部メモリに記憶された音楽データに基づくものでもよいし、外部サーバ等に記憶されている音楽データがネットワークを介して再生されるものであってもよい。
圧電素子30に電気信号が印加されると、圧電素子30は長手方向に伸縮又は湾曲する。このとき、圧電素子30が取り付けられたパネル10は、圧電素子30の伸縮又は湾曲にあわせて変形し、パネル10が湾曲振動する。ここで、制御部50が圧電素子30に印加する電気信号の最大電圧は、例えば、振動音ではなく気導音による音の伝導を目的とした所謂パネルスピーカの印加電圧である±5Vよりも高い、±15Vであってよい。これにより、利用者が例えば3N以上の力(5N〜10Nの力)で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10に十分な湾曲振動を発生させ、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介する振動音を発生させることができる。尚、どの程度の印加電圧を用いるかは、パネル10の筐体または支持部材に対する固定強度もしくは圧電素子30の性能に応じて適宜調整可能である。
パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も湾曲振動する。パネル10は、振動する領域において、当該パネル10の主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該複数の箇所の各々において、振動の振幅の値が、時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変化する。パネル10は、ある瞬間において、振動の振幅が相対的に大きい部分と振動の振幅が相対的に小さい部分とが一見パネル10の略全体にランダムにあるいは周期的に分布した振動をする。即ちパネル10全域にわたって、複数の波の振動が検出される。利用者が例えば5N〜10Nの力で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10の上述したような振動が減衰しないためには、制御部50が圧電素子30に対して印加する最大電圧は、±15Vであってよい。そのため、利用者は、上述した圧電素子30の取付領域から離れた領域、例えばパネル10の中央部に耳を接触させて音を聞くことができる。
ここで、パネル10は、利用者の耳とほぼ同じ大きさであってよい。また、パネル10は、図2に示すように、利用者の耳よりも大きいものであってもよい。この場合、利用者が音を聞く際、電子機器1のパネル10により耳全体が覆われやすいことから、周囲音(ノイズ)を外耳道に入りにくくできる。パネル10は、対耳輪下脚(下対輪脚)から対耳珠までの間の距離に相当する長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する幅とを有する領域よりも広い領域が振動すればよい。パネル10は、好ましくは、耳輪における対耳輪上脚(上対輪脚)近傍の部位から耳垂までの間の距離に相当する長さと、耳珠から耳輪における対耳輪近傍の部位までの間の距離に相当する幅を有する領域が振動すればよい。上記の長さおよび幅を有する領域は、長方形状の領域であってもよいし、上記の長さを長径、上記の幅を短径とする楕円形状であってもよい。日本人の耳の平均的な大きさは、社団法人 人間生活工学研究センター(HQL)作成の日本人の人体寸法データベース(1992−1994)等を参照すれば知ることができる。尚、パネル10が日本人の耳の平均的な大きさ以上の大きさであれば、パネル10は概ね外国人の耳全体を覆うことができる大きさであると考えられる。上記のような寸法や形状を有することで、パネル10は、利用者の耳を覆うことができ、耳に当てたときの位置ずれに対して寛容になる。
上記の電子機器1は、パネル10の振動により、気導音と、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介する振動音とを利用者に伝えることができる。そのため、従来のダイナミックレシーバと同等の音量の音を出力する場合、パネル10が振動することで空気の振動により電子機器1の周囲へ伝わる音は、ダイナミックレシーバと比較して少ない。したがって、例えば録音されたメッセージを電車内等で聞く場合等に適している。
また、上記の電子機器1は、パネル10の振動によって振動音を伝えるため、例えば利用者がイヤホンまたはヘッドホンを身につけていても、それらに電子機器1を接触させることで、利用者はイヤホンまたはヘッドホンおよび体の一部を介して音を聞くことができる。
上記の電子機器1は、パネル10の振動により利用者に音を伝える。そのため、電子機器1が別途ダイナミックレシーバを備えない場合、音声伝達のための開口部(放音口)を筐体に形成する必要がなく、電子機器1の防水構造が簡略化できる。尚、電子機器1がダイナミックレシーバを備える場合、放音口は、気体は通すが液体は通さない部材によって閉塞されるとよい。気体は通すが液体は通さない部材は、例えばゴアテックス(登録商標)である。
(第1の実施形態)
図3は第1の実施形態に係る電子機器1の実装構造の要部を概略的に示す図である。図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)におけるb−b線に沿った断面図である。図3(c)は図3(a)におけるc−c線に沿った断面図である。図3に示す電子機器1は、パネル10として、平面視において略長方形状のガラス板が筐体60(例えば金属や樹脂のケース)の前面に配されたスマートフォンである。
パネル10は、例えば静電容量方式のタッチパネルを構成するもので、接合部材70を介して筐体60に支持(保持)されている。パネル10には、平面視における一方向である長手方向の一端側の上部を除く背面に、接合部材70を介して表示部20が接合されている。また、パネル10の長手方向における一端側の上部背面には、圧電素子30が、接合部材70を介して接合され、パネル10により支持されている。つまり、図3(a)に示されているように、圧電素子30の固定部分は、平面視におけるパネル10と表示部20との重複領域の外部に位置している。圧電素子30は、平面視において略長方形状を成し、その長辺がパネル10の短辺に沿うように接合される。なお、接合部材70は、熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤や両面テープ等であり、例えば無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。
図4は、第1の実施形態に係る電子機器1のパネル10の振動の一例を示す図である。第1の実施形態に係る電子機器1では、表示部20がパネル10に取り付けられている。このため、パネル10の他端側は、圧電素子30が取り付けられたパネル10の一端側(以下、主要振動部とも称する)に比して振動しにくくなる。そのため、パネル10の他端側において、パネル10の他端側が振動することによる音漏れが低減できる。
図3において、入力部40は、パネル10の長手方向の他端側において筐体60に支持されている。また、入力部40には、破線で示すように、マイクの送話口41が形成されている。つまり、略長方形状の筐体60の一端側の上部に圧電素子30が配置され、他端側の下部に送話口41が形成されている。
筐体60は、リアケース(第1筐体部)62と、その内側に位置するフロントケース(第2筐体部)61とを備える。リアケース62は、フロントケース61に対して着脱自在である。フロントケース61は、凹部63を有して構成される。同様に、リアケース62は、凹部64を有して構成される。なお、フロントケース61及びリアケース62は、凹状に限らず、適宜の形状に構成することができる。
フロントケース61は、インサート部材である板金80を含む態様で構成されている。パネル10、表示部20、圧電素子30及び入力部40は、フロントケース61の凹部63に配置されている。
表示部20と板金80との間には、緩衝材90が配置されている。緩衝材90は、圧電素子30の振動に伴い湾曲振動する表示部20が、板金80と干渉する(板金80に接触する)ことを低減するものである。つまり、パネル10と筐体の一部であるフロントケース61との間に緩衝材90が配置され、パネル10とフロントケース61との干渉が低減される。緩衝材は、SCF(Super Critical Fluid:超臨界流体)の物質や発泡材等であり、例えば、スポンジや発泡スチロールである。
緩衝材90は、表示部20に接合部材70を介して接合されている。また、緩衝材90は、接合部材を介さずに板金80に接触している。なお、緩衝材90と板金80とは、接触せずに、緩衝材90と板金80との間に隙間があってもよい。また、緩衝材90は、板金80ではなく表示部20に接合されることに限定されるものではなく、緩衝材90は、表示部20及び板金80のいずれか一方のみに接着されてもよい。
緩衝材90の厚さは、圧電素子30から他端方向へ遠ざかるにつれて、つまり主要振動部から離れるにつれて薄くなるように設定することができる。主要振動部から遠ざかる領域ほど、振動が小さくなり、表示部20は、板金80に接触しにくくなるため、緩衝材90を薄くできる。なお、このような緩衝材90の形状に合わせて、表示部20と板金80とを、図3(b)のように平行に配置せず、圧電素子30から他端方向へ遠ざかるにつれて、表示部20と板金80との隙間が小さくなるように電子機器1を構成することもできる。
緩衝材90の厚み、表示部20と板金80との間の隙間よりも大きい場合、緩衝材90は、圧電素子30の振動前から、押圧状態で表示部20と板金80との間に配置される。押圧状態とは、緩衝材90が圧縮されて変形している状態を意味する。なお、緩衝材90の厚みが、表示部20と板金80との間の隙間と同一である場合には、緩衝材90を圧縮せずに表示部20と板金80との間に配置することもできる。
本実施形態では、緩衝材90を、パネル10の長手方向における一端側に配置されている圧電素子30と同様、一端側に配置している。つまり、図3(a)に示されているように、緩衝材90が、圧電素子30の周囲に配置されることになる。
また、本実施形態では、緩衝材90を、圧電素子30の長手方向における端部よりも外側に配置している。つまり、図3(a)に示されているように、緩衝材90が、圧電素子30の長手方向において、圧電素子30よりもパネル10の外周側に配置されることになる。
また、本実施形態では、緩衝材90を、圧電素子30よりも、パネル10の一方向(長手方向)における他端方向に配置している。つまり、図3(a)に示されているように、緩衝材90が、圧電素子30よりも他端側に配置されている入力部40側に配置されることになる。
フロントケース61の凹部63の底部とリアケース62の凹部64の底部との間には、各種の電子部品が配置される。図3(b)では、制御部50の機能を実現するために必要な電子部品(プロセッサ、メモリ等)が組み込まれた回路基板130と、電子機器1を駆動するための電池(バッテリ)150が、凹部64に配置されている。
図5は、第1の実施形態に係る電子機器1の音圧に関する周波数特性を示す図である。図5では、表示部20と板金80との間に緩衝材90が配置されていない場合の周波数特性170と、表示部20と板金80との間に緩衝材90が配置されている場合の周波数特性171とがそれぞれ示されている。横軸は周波数[Hz]を、縦軸はA特性音圧レベル[dBA]を示す。図5に示されるように、例えば、300〜1000[Hz]の周波数帯において、緩衝材90の配置により、音圧レベルが約5〜10[dBA]大きくなっている。
図6は、第1の実施形態に係る電子機器1の歪率に関する周波数特性を示す図である。歪率とは、振動波形の歪みの程度を表すもので、基本波に対する高調波の比率として定義されるものである。歪率は、値が小さいほど、基本波に対する高調波の割合が少なく、音質の良さを表す。図6では、表示部20と板金80との間に緩衝材90が配置されていない場合の周波数特性180と、表示部20と板金80との間に緩衝材90が配置されている場合の周波数特性181とがそれぞれ示されている。横軸は周波数[Hz]を、縦軸は歪率[%]を示す。図6に示されるように、例えば、300〜1000[Hz]の周波数帯において、緩衝材90の配置により、歪率が約4〜24[%]小さくなっている。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10は、パネル10の背面に取り付けられた圧電素子30の変形に起因して変形して、圧電素子30が接着された長手方向の一端側から中央部近傍まで十分に振動する。従って、利用者は、パネル10の中央部から上部の領域の少なくとも一部に、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を接触させることにより、パネル10の振動による気導音及び振動音を聞くことができる。これにより、振動体を筐体60の外面に突出させることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができるため、筐体に比べて非常に小さな振動体を人体に接触させる特許文献1に記載の電子機器よりも使い勝手が向上する。また、圧電素子自体に利用者の耳を当てる必要がないので圧電素子30そのものが破損しにくい。また、パネル10ではなく筐体60を変形させる場合には、振動を発生させる際に、利用者が端末を落としてしまいやすいのに対して、パネル10を振動させた場合には、このようなことが起きにくい。
また、本実施形態において、表示部20及び圧電素子30は、パネル10に接合部材70により接合されている。これにより、圧電素子30の変形の自由度を阻害しにくい状態で圧電素子30をパネル10に取り付けることができる。また、接合部材70は、非加熱型硬化性の接着剤とすることができる。これにより、硬化時に、表示部20及び圧電素子30とパネル10との間に熱応力収縮が発生しにくいという利点がある。また、接合部材70は、両面テープとすることができる。これにより、表示部20及び圧電素子30とパネル10との間に接着剤使用時のような収縮応力がかかりにくいという利点がある。また、パネル10も、接合部材70により筐体60に接合されているので、同様の効果が得られる。
また、本実施形態において、表示部20と板金80との間には、緩衝材90が配置されている。これにより、圧電素子30の振動に伴い湾曲振動する表示部20が、板金80と干渉することを低減することができる。よって、パネル10の振動によって発生する音圧の低下及び歪率の増加を低減することができる。表示部20と板金80との干渉が抑えられる、あるいは小さくできる分、表示部20と板金80との間の隙間を小さくでき、電子機器1の薄型化が図れる。
また、本実施形態において、圧電素子30及び緩衝材90の双方は、パネル10の平面視での一方向における一端側に配置されている。圧電素子30が取り付けられているパネル10の領域(主要振動部)が最も大きく振動するため、緩衝材90を圧電素子30と同じ側に配置することにより、効率的に表示部20と板金80との干渉を抑える、あるいは小さくすることができる。
また、本実施形態において、緩衝材90は、表示部20のみに接着し、板金80には接触のみしている。緩衝材90を、表示部20及び板金80の双方に接着しないことにより、表示部20と板金80との間に緩衝材90を介した張力の発生を防ぎ、パネル10の湾曲振動を必要以上に阻害してしまうことを低減できる。
また、本実施形態において、フロントケース61は、インサート部材としての板金80を含んでいる。板金80により、電子機器1の強度を保ちつつ、厚さを薄くできる。
また、本実施形態において、緩衝材90は、圧電素子30の長手方向における端部よりも外側に配置されている。圧電素子30の端部よりも内側は、大きな振動である主要振動が発生するため、外側に緩衝材90を配置することにより、所望の振動を必要以上に阻害してしまうことを低減できる。
(第2の実施形態)
図7は第2の実施形態に係る電子機器1の実装構造を示す図である。図7(a)は正面図、図7(b)は図7(a)におけるb−b線に沿った断面図、図7(c)は図7(a)におけるc−c線に沿った断面図である。図7に示す電子機器1はパネル10として表示部20を保護するカバーパネル(アクリル板)が上側の筐体60aの前面に配され、入力部40が下側の筐体60bに配された折りたたみ式の携帯電話端末である。表示部20、圧電素子30及び回路基板130は、筐体60aの凹部65に配置される。なお、図7(c)においては、図面の明りょう化のため、2つの緩衝材90の間に視認可能な圧電素子30及び補強部材100の図示を省略している。
第2の実施形態では、パネル10と圧電素子30との間には、補強部材100が配置される。補強部材100は、例えば樹脂製の板、板金またはガラス繊維を含む樹脂製の板である。すなわち、第2の実施形態に係る電子機器1は、圧電素子30と補強部材100とが接合部材70により接着され、さらに補強部材100とパネル10とが接合部材70により接着される構造である。
また、第2の実施形態では、表示部20は、パネル10に接着されるのではなく、筐体60aによって支持されている。すなわち、第2の実施形態に係る電子機器1は、表示部20がパネル10と離間しており、表示部20と筐体60aとが回路基板130を介して結合される構造である。なお、筐体60aを、第1の実施形態のフロントケース61と同様、板金を含むように構成することが可能である。
パネル10と表示部20(筐体60a)との間には、第1の実施形態と同様の緩衝材90が配置されている。なお、パネル10と緩衝材90とは、接合部材70を介して接合され、表示部20と緩衝材90とは、接合部材を介さずに接触している。第1の実施形態と同様、パネル10と緩衝材90とが、接合部材を介さずに接触し、表示部20と緩衝材90とが、接合部材を介して接合されてもよい。
図8は、第2の実施形態に係る電子機器1のパネル10の振動の一例を示す図である。第2の実施形態に係る電子機器1では、パネル10がガラス板と比較し剛性の低いアクリル板であり、また、パネル10の背面に表示部20が接着されていないため、図4に示す第1の実施形態に係る電子機器1に比べ、圧電素子30により生じる振幅が大きくなる。また、パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も振動する。このため、利用者は、空気を介する気導音に加え、パネル10の任意の位置に耳を接触させて振動音を聞くことができる。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10に補強部材100を介して取り付けられた圧電素子30の変形に起因して補強部材100およびパネル10が変形し、当該変形するパネル10に接触する対象物に対して気導音と振動音とを伝える。これにより、振動体自体を耳に当てることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができる。また、圧電素子30は、パネル10の筐体60a内部側の面に取り付けられる。このため、振動体を筐体60aの外面に突出させることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができる。また、パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、パネル10のいずれの箇所においても気導音と振動音とを伝えるための変形が発生する。このため、利用者は、空気を介する気導音に加え、パネル10の任意の位置に耳を接触させて振動音を聞くことができる。
また、本実施形態において、圧電素子30とパネル10との間に補強部材100を配置することで、例えばパネル10に外力が加わった場合に、その外力が圧電素子30に伝達され圧電素子30が破損する可能性を低減することができる。また、人体にパネル10を強く接触させても、パネル10の振動が減衰しにくくできる。また、圧電素子30とパネル10との間に補強部材100を配置することで、パネル10の共振周波数が下がり、低周波帯域の音響特性が向上する。なお、補強部材100に換えて、板状の錘を接合部材70により圧電素子30に取り付けてもよい。
また、本実施形態において、パネル10と表示部20との間には、緩衝材90が配置されている。これにより、圧電素子30の振動に伴い湾曲振動するパネル10が、表示部20と干渉することを低減することができる。
また、本実施形態において、緩衝材90は、パネル10のみに接着し、表示部20には接触のみしている。緩衝材90を、パネル10及び表示部20の双方に接着しないことにより、パネル10と表示部20との間に緩衝材90を介した張力の発生を防ぎ、パネル10の湾曲振動を必要以上に阻害してしまうことを低減できる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、パネル10と表示部20とが重畳しない構成である場合、圧電素子30は、パネル10の中央に配設されてもよい。圧電素子30がパネル10の中央に配設された場合、圧電素子30の振動がパネル10全体に均等に伝わり、気導音の品質を向上させたり、利用者が耳をパネル10の様々な位置に接触させても振動音を認識させたりすることができる。なお、圧電素子30は複数個搭載してもよい。
また、上記の電子機器1においては、圧電素子30はパネル10に貼り付けられているが、パネル10と異なる場所に取り付けられてもよい。例えば、第1の実施形態において、圧電素子30は、筐体60に取り付けられて電池150を覆うリアケース62に貼り付けられてもよい。リアケース62は携帯電話端末等の電子機器1においてパネル10と異なる面に取り付けられることが多いため、そのような構成によれば、利用者はパネル10と異なる面に体の一部(例えば耳)を接触させて音を聞くことができる。この場合、圧電素子30により湾曲振動するリアケース62と、リアケース62と接触しうる部分(例えば、電池150)との間に緩衝材90が配置されることになる。
また、パネル10は、表示パネル、操作パネル、カバーパネル、充電池を取り外し可能とするためのリッドパネルのいずれかの一部または全部を構成することができる。特に、パネル10が表示パネルのとき、圧電素子30は、表示機能のための表示領域の外側に配置される。これにより、表示を阻害しにくいという利点がある。操作パネルは、第1実施形態のタッチパネルを含む。また、操作パネルは、例えば折畳型携帯電話端末において操作キーのキートップが一体に形成され操作部側筐体の一面を構成する部材であるシートキーを含む。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、パネル10と圧電素子30とを接着する接合部材およびパネル10と筐体60(60a)とを接着する接合部材等を同一の符号を有する接合部材70として説明した。しかしながら、第1実施形態および第2実施形態で用いられる接合部材は、接合する対象である部材に応じて適宜異なるものが用いられてよい。
1 電子機器
5 無線通信部
10 パネル
20 表示部
30 圧電素子
40 入力部
41 送話口
50 制御部
60、60a、60b 筐体
61 フロントケース(第2筐体部)
62 リアケース(第1筐体部)
63、64、65 凹部
70 接合部材
80 板金
90 緩衝材
100 補強部材
130 回路基板
150 電池

Claims (19)

  1. 圧電素子と、当該圧電素子を支持するパネルと、当該パネルを保持する筐体と、前記パネルに保持された表示部とを備え、前記パネルにより、前記圧電素子の長辺方向において該圧電素子の直上がその周囲と比較して最も高く隆起するように、前記圧電素子によって前記パネルが曲げられ、当該パネルに接触している人体の接触部位が振動して音を伝える電子機器において、
    前記表示部と前記筐体との間には、緩衝材が配置される
    電子機器。
  2. 請求項1に記載の電子機器において、前記圧電素子及び前記緩衝材の双方は、前記パネルの平面視での一方向における一端側に配置されている、電子機器。
  3. 請求項2に記載の電子機器において、前記緩衝材は、前記圧電素子から他端方向へ遠ざかるにつれて薄くなる、電子機器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器において、前記緩衝材は、前記表示部及び前記筐体のいずれか一方のみに接着されている、電子機器。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器において、前記筐体は、インサート部材としての板金を含む、電子機器。
  6. 請求項3に記載の電子機器において、前記圧電素子は、平面視における形状が長方形状を成し、前記緩衝材は、前記圧電素子の長手方向における端部よりも外側に配置されている、電子機器。
  7. 請求項5に記載の電子機器において、前記筐体は、第1筐体部と、当該第1筐体部の内側に位置し、前記板金を含む第2筐体部とから構成されている、電子機器。
  8. 請求項6に記載の電子機器において、前記緩衝材は、前記圧電素子よりも、前記パネルの前記一方向における他端方向に配置されている、電子機器。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子機器において、前記緩衝材は、前記圧電素子の振動前に押圧状態である、電子機器。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子機器において、前記筐体は、平面視における形状が矩形状を成し、対向する一方の2辺の長さが、社団法人人間生活工学研究センター作成日本人の人体寸法データベース(1992−1994)における対耳珠から対耳輪下脚までの長さ以上である、電子機器。
  11. 請求項10に記載の電子機器において、前記筐体は、対向する他方の2辺の長さが、社団法人人間生活工学研究センター作成日本人の人体寸法データベース(1992−1994)における耳珠から対耳輪までの長さ以上である、電子機器。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電子機器において、前記圧電素子は、前記パネルに接合部材により接合されて固定される、電子機器。
  13. 請求項12に記載の電子機器において、前記接合部材は、非加熱型硬化性の接着材である、電子機器。
  14. 請求項12に記載の電子機器において、前記接合部材は、両面テープである、電子機器。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の電子機器において、前記パネルは、前記筐体に接合部材により接合される、電子機器。
  16. 請求項15に記載の電子機器において、前記接合部材は、非加熱型硬化性の接着材である、電子機器。
  17. 請求項15に記載の電子機器において、前記接合部材は、両面テープである、電子機器。
  18. 請求項1に記載の電子機器において、前記パネルにおける前記圧電素子の固定部分は、当該パネルの平面視における前記表示部との重複領域の外部に位置する、電子機器。
  19. 請求項17又は18に記載の電子機器において、前記表示部は、前記筺体の内側から前記パネルに固定されている、電子機器。
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