JP5855479B2 - プラズマエッチング装置 - Google Patents

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Description

本開示の技術は、プラズマを用いてサファイア基板をエッチングするプラズマエッチング装置に関する。
化合物半導体を発光層として有する発光ダイオードでは、従来から、発光層をエピタキシャル成長させるための基材としてサファイア基板が広く用いられている。また、こうした発光ダイオードの製造工程においては、発光層からの光の取り出し効率を高めるためにサファイア基板の表面に凹凸が形成され、該凹凸を形成するための技術として、例えば特許文献1に記載のように、プラズマエッチング技術が多用されている。
特開2003−318441号公報
ところで、上述したサファイア基板のプラズマエッチングでは、通常、エッチングガスとして三塩化ホウ素(BCl)が用いられ、下記式1に示される反応が進行することによりサファイア基板のエッチングが行われる。このとき、サファイア基板と同じ雰囲気に曝されるレジストパターンには、エッチング反応の生成物であるホウ素酸化物やそれの中間生成物等の各種の酸化源が接触することになる。その結果、式1に示される反応によって確かにサファイア基板のエッチングは進行するものの、他方では、こうしたエッチングの進行とともに、少なからずレジストマスクのエッチングも進行することとなる。そして、近年では、発光ダイオードの微細化の進行にともない、上記の凹凸形状に高アスペクト化が求められるため、上述したプラズマエッチング技術では、サファイア基板の選択比が上記要請を満たす程度には得られ難いという問題が生じている。結果として、レジストパターンを厚く形成することやメタルマスクを形成すること等の処置が必要となるために、製造工程の非効率化や複雑化を招く要因にもなっていた。
Al+BCl → AlCl↑+BCl↑ …(式1)
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サファイアのエッチングにおいて選択比を高めることの可能なプラズマエッチング装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様は、レジストマスクを有したエッチング対象物であるサファイア基板を収容する真空槽と、前記真空槽に形成された開口を封止する誘電窓と、前記真空槽の外側で前記誘電窓と互いに向い合うように配置された誘導アンテナ、および、前記誘導アンテナに高周波電力を供給する高周波電源を備え、前記誘電窓を介して前記真空槽内に伝播される高周波によって三塩化ホウ素を含むガスからプラズマを生成するプラズマ生成部と、前記誘電窓と前記誘導アンテナとの間に配置され、高周波電力の供給される容量電極と、を備え、前記容量電極への前記高周波電力の供給によって、前記プラズマ中の粒子を前記誘電窓に引き込むプラズマエッチング装置であって、前記誘電窓における前記真空槽内部側の表面が、樹脂、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムの少なくとも1つからなることを要旨とする。
上述したように、三塩化ホウ素を含むガスから生成されたプラズマでサファイアがエッチングされる際には、レジストマスクの酸化剤となり得る酸素もしくは酸素含有物質が生成される。この点、誘電窓における真空槽内部側の表面が樹脂からなる場合、エッチング時に生成される上記酸化剤の一部が、誘電窓の表面との反応によって消費されるため、レジストマスクに供給される酸化剤の量が先の消費量分だけ抑えられるようになる。また、従来のように誘電窓の表面が石英からなる場合、プラズマ中の粒子の衝突によって誘電窓の表面から酸素が放出されることにより、レジストマスクの酸化剤となる物質が生じる。これに対し、誘電窓における真空槽内部側の表面が、窒化ホウ素、窒化アルミニウムもしくは酸化イットリウムからなる場合、石英と比べて、誘電窓の表面から酸素が放出され難くなる。このように、本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様によれば、レジストマスクの酸化が抑制されることにより、レジストマスクのエッチングレートを低下させることが可能になる。すなわち、エッチングにおけるサファイア基板の選択比を高めることが可能となる。
また、誘導結合型プラズマを利用した装置によってエッチングが行われるため、高周波電力の周波数やパワーの制御が行いやすく、サファイア基板のエッチングを高精度に行うことが可能となる。
さらに、プラズマエッチング装置が、誘電窓と誘導アンテナとの間に配置され、高周波電力の供給される容量電極を備えているため、誘電窓へのエッチング生成物の付着を抑制することができる。そして、サファイア基板のエッチング中にプラズマ中の粒子が誘電窓の表面に引き込まれるため、誘電窓の表面が樹脂から形成されている場合には、誘電窓の表面から樹脂がはじき出され、その後、こうした粒子の一部がレジストマスク上に堆積することによって、レジストマスク上に樹脂が供給される。したがって、レジストマスクの酸化が抑制される結果、レジストマスクのエッチングレートを低下させることが可能になる。すなわち、エッチングにおけるサファイア基板の選択比をさらに高めることが可能となる。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様は、前記誘電窓における前記真空槽内部側の表面が、前記樹脂からなることを要旨とする。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様は、前記誘電窓における前記真空槽内部側の表面が、前記樹脂であるポリイミドからなることを要旨とする。
誘電窓は、その直下にてプラズマが生成されるため、プラズマに曝されることによって高温となる場合がある。この点、本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様によれば、塩素に対する化学的な耐性を有する樹脂のうちで耐熱性に優れたポリイミドにより誘電窓の表面が形成されるため、他の樹脂と比べて誘電窓表面の熱的な劣化を抑えることが可能である。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様は、前記誘電窓が、基材と、該誘電窓における前記真空槽内部側の表面を構成して前記基材の表面を被覆する被覆部とを有することを要旨とする。
誘電窓には、例えばプラズマから与えられる熱によって変形しない程度の熱的な耐性が求められる。この点、本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様によれば、誘電窓が基材とその被覆部とから構成されているため、例えば基材を形成する材料と被覆部を形成する材料とを互いに異ならせるなど、その材料の選択肢を広げることが可能となる。そのため、例えば被覆部の形成材料において熱的な耐性が不足する場合であっても、基材の形成材料における熱的な耐性によって誘電窓としての要請が満たされ得ることになる。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様は、前記誘電窓が、基材と、該誘電窓における前記真空槽内部側の表面を構成して前記基材の表面を被覆する被覆部とを有し、前記基材が窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムのいずれか1つからなることを要旨とする。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様によれば、特に、被覆部が樹脂から形成される場合には、被覆部が酸化によって消費されて基材が誘電窓の表面に露出したとしても、基材が上記の材料によって形成されているために、サファイア基板の選択比を高く維持することができる。なお、プラズマ中の粒子が誘電窓の表面に衝突して被覆部が削られる場合もあるが、このような場合であっても、基材が上記の材料によって形成される以上、サファイア基板の選択比を高く維持することができる。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様は、前記誘電窓が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムのいずれか1つから一体形成されたものであることを要旨とする。
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様によれば、誘電窓を基材と被覆部から形成する場合に比べて、誘電窓を少ない工程数で製造することが可能となる
本開示におけるプラズマエッチング装置の一態様は、前記誘導アンテナと前記容量電極とには、高周波電力が同時に供給されることを要旨とする。
本開示におけるプラズマエッチング装置を具体化した第1実施形態について、その全体構成を真空槽の断面構造とともに示す装置構成図。 (a),(b)は、第1実施形態におけるエッチングのメカニズムを示す概念図。 本開示におけるプラズマエッチング装置を具体化した第2実施形態について、そのエッチングのメカニズムを示す概念図。
[第1実施形態]
以下、本開示におけるプラズマエッチング装置の第1実施形態について図1,図2を参照して説明する。まず、プラズマエッチング装置の全体構成について、図1を参照して説明する。なお、本実施形態のプラズマエッチング装置は、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いて、発光ダイオードの製造工程におけるサファイア基板のエッチングを行うエッチング装置を想定している。
図1に示されるように、円筒状に形成された真空槽10の上部における開口部には、誘電窓11が、該開口部を封止するように取り付けられている。誘電窓11は、石英からなる基材11aを有し、基材11aにおける真空槽10の内部側の表面は、被覆部11bで被覆されている。この被覆部11bは、樹脂の一つであるポリイミドからなる樹脂膜であって、溶着法や蒸着重合法によって基材11aに積層されている。
真空槽10内における誘電窓11の下方には、円柱状のステージ12が設置され、ステージ12の上面には、トレイ13が載置されている。トレイ13の上面には、レジストマスクを有した複数のサファイア基板Sが載置され、トレイ13の上面におけるサファイア基板S以外の部分は、トレイカバー14によって覆われている。これらトレイ13及びトレイカバー14は、例えば酸化アルミニウム、石英、炭化珪素、アルミニウムなどから形成され、クランプ部材15によってステージ12上に固定されている。
ステージ12の内部電極には、サファイア基板Sに負のバイアス電圧を印加するバイアス用高周波電源RF1が、バイアス用整合器MB1を介して接続されている。バイアス用高周波電源RF1は、例えば周波数が12.50MHzである高周波電力を出力する。
また、真空槽10の底部には、該真空槽10内を所定の圧力に減圧する排気部16が接続されている。排気部16は、例えば、ターボ分子ポンプと、その後段に接続されたドライポンプと、これらポンプの排気速度を調節するバルブとから構成されている。
一方、真空槽10の外側には、誘電窓11と互いに向い合うように渦巻き状の誘導アンテナ17が設置され、誘導アンテナ17には、アンテナ用高周波電源RF2が、アンテナ用整合器MB2を介して接続されている。アンテナ用高周波電源RF2は、例えば周波数が12.50MHzである高周波電力を誘導アンテナ17に供給する。さらに、誘電窓11と誘導アンテナ17との間には、誘電窓11の上面に沿って放射状に広がる容量電極18が配設されている。容量電極18は、可変コンデンサ19を介して、上記アンテナ用整合器MB2に誘導アンテナ17と並列に接続されている。
また、真空槽10には、該真空槽10内における誘電窓11の下部に三塩化ホウ素(BCl)ガスを供給する反応ガス供給部20が接続されている。
このように構成されるプラズマエッチング装置において、アンテナ用高周波電源RF2から誘導アンテナ17に高周波電力が供給されると、誘電窓11を介して真空槽10内に高周波エネルギーが伝播されることにより、三塩化ホウ素ガスからプラズマが生成される。次いで、バイアス用高周波電源RF1からステージ12に高周波電力が供給されると、真空槽10内に生成されたプラズマ中のエッチャントがサファイア基板Sに向けて引き込まれる。これによって、サファイア基板Sがレジストマスクの形状に応じた所望の形状にエッチングされる。この際、アンテナ用高周波電源RF2からは容量電極18にも高周波電力が供給されるため、容量電極18とプラズマとが容量結合される結果、プラズマ中の荷電粒子が被覆部11bに引き込まれる。そして、こうした荷電粒子の衝突により、誘電窓11へのエッチング生成物の付着が抑制される。
なお、本実施形態のプラズマエッチング装置では、上述した排気部16、誘導アンテナ17、アンテナ用高周波電源RF2、及び反応ガス供給部20がプラズマ生成部を構成している。
次に、上述したエッチングにおける誘電窓11の作用について、図2を参照して説明する。図2(a)に示されるように、サファイア基板Sのエッチング時には、三塩化ホウ素ガスから生成されたプラズマ中の正イオンのうちの塩素を含む正イオンであるエッチャントP1が、負のバイアス電圧が印加されたサファイア基板Sの表面に引き込まれる。エッチャントP1が引き込まれると、レジストマスク30に覆われていないサファイア基板Sの表面では、サファイアとエッチャントとが反応することによって、揮発性のAlCl粒子P2が生成される。また、サファイア基板Sの表面では、酸素もしくは酸素を含むホウ化物等、酸素を含む揮発性の粒子P3が生成され、これによってサファイア基板Sがその厚さ方向にエッチングされる。この際、酸素を含む粒子P3が樹脂の酸化剤としての性質を有するため、粒子P3の一部がレジストマスク30と反応してCOやCOとなる一方で、同様に粒子P3の一部がポリイミドからなる誘電窓11の表面、すなわち被覆部11bの表面とも反応してCOやCOとなって排気される。
ここで、誘電窓11が被覆部11bを有しない従来の誘電窓11では、プラズマに曝される表面が石英から形成されているため、酸素を含む粒子P3は、誘電窓11の表面と反応することはなく、専らレジストマスク30と反応する。そのため、サファイア基板Sのエッチングにより生成された酸素を含む粒子P3が、レジストマスク30のみで消費されることとなる。これに対して、本実施形態では、誘電窓11の表面がポリイミドからなるため、酸素を含む粒子P3が誘電窓11の表面とも反応する。したがって、誘電窓11の表面が石英から形成されている場合と比べて、レジストマスク30と反応する粒子P3を減少させることができる。これにより、レジストマスク30のエッチングが抑制されてレジストマスク30のエッチングレートが低下することとなる。その結果、レジストマスクのエッチングレートに対するサファイア基板のエッチングレートの比である選択比を高めることが可能となる。なお、こうした誘電窓11の表面による酸化剤の消費は、容量電極18への高周波電力の供給の有無に関わらず生じる作用である。
続いて、サファイア基板Sのエッチング中に、容量電極18に高周波電力が供給されることによって生じる誘電窓11の作用について説明する。図2(b)に示されるように、容量電極18に高周波電力が供給されると、容量電極18とプラズマとの容量結合に伴って、誘電窓11の表面には、プラズマ中における電荷を帯びた粒子P4が引き込まれる。そして、電荷を帯びた粒子P4が誘電窓11と衝突することによって、ポリイミド粒子P5が誘電窓11の表面からはじき出され、はじき出されたポリイミド粒子P5が、サファイア基板S上に堆積する。このとき、サファイア基板Sのうちで露出した部分、すなわちエッチングが進行している部分は、レジストマスク30で囲まれている。そのため、レジストマスク30に堆積するポリイミド粒子P5は、サファイア基板Sのエッチングが進行している部分に堆積するポリイミド粒子P5よりも自ずと多くなる。すなわち、誘電窓11の表面から放出されたポリイミド粒子P5がサファイア基板S上においてレジストマスク30に多く堆積するため、レジストマスク30の表面には、エッチングの進行中に樹脂であるポリイミドが供給され続けることとなる。したがって、こうした現象からもレジストマスク30のエッチングレートが低下することとなる。その結果、エッチングにおけるサファイア基板Sの選択比をさらに高めることが可能となる。
なお、誘電窓11の被覆部11bの材料としては、ポリイミドに代えて、例えばポリテトラフルオロチレン(テフロン:登録商標)等の他の樹脂を用いてもよい。これによっても、上述のメカニズムと同様のメカニズムによって、エッチングにおけるサファイア基板の選択比を高めることが可能となる。ただし、ポリイミドは耐熱性に優れた樹脂であるため、プラズマに曝されることによって100℃を超える高温となる場合がある誘電窓の表面の材料に特に適している。
[実施例1]
以下、上記第1実施形態の実施例を詳細に説明する。
まず、直径が4インチのサファイア基板の表面に厚さが1μmのレジストマスクを形成してエッチング用のサファイア基板を作成した。次いで、ポリイミドからなる被覆部を有する直径が12インチの誘電窓を備えた真空槽内のトレイに5枚のサファイア基板を載置し、三塩化ホウ素ガスから生成したプラズマによって、サファイア基板のエッチングを行った。その後、レジストマスクの厚さとサファイア基板のレジストマスクで覆われていない部分の厚さとを走査型電子顕微鏡を用いて測定して、レジストマスクのエッチングレート(nm/min)とサファイア基板のエッチングレート(nm/min)を算出した。そして、レジストマスクのエッチングレートに対するサファイア基板のエッチングレートの比([サファイア基板のエッチングレート]/[レジストマスクのエッチングレート])である実施例1の選択比を求めた。なお、サファイア基板のエッチングは、以下の条件にて行われた。
・三塩化ホウ素ガスの流量 20〜200sccm
・アンテナ用高周波電源の出力 500〜3000W
・バイアス用高周波電源の出力 50〜2000W
・真空槽内の圧力 0.1〜2Pa
また、被覆部を有さず石英のみからなる誘電窓を備えた真空槽内のトレイにエッチング用のサファイア基板を載置し、その他の条件を実施例1と同じくして、比較例1の選択比を求めた。
その結果、比較例1の選択比は約0.4であった。これに対し、実施例1の選択比は、0.9〜1.0であった。すなわち、従来のように表面が石英からなる誘電窓を用いた場合、選択比が0.4程度にとどまることに対し、表面がポリイミドからなる誘電窓を用いた場合には、1に近い選択比が得られることが確認された。
以上説明したように、第1実施形態のプラズマエッチング装置によれば、以下に列記する効果が得られるようになる。
(1)サファイア基板Sのエッチング時に生成される酸化剤の一部が、誘電窓11の表面を構成する被覆部11bとの反応によって消費されるため、レジストマスク30に供給される酸化剤の量が先の消費量分だけ抑えられるようになる。したがって、レジストマスク30の酸化が抑制される結果、レジストマスク30のエッチングレートを低下させることが可能になる。すなわち、エッチングにおけるサファイア基板Sの選択比を高めることが可能となり、ひいては、レジストパターンを厚く形成することやメタルマスクを形成することが不要となる結果、エッチング工程が簡素化される。
(2)被覆部11bを形成する材料が、樹脂の中でも耐熱性に優れたポリイミドであるため、プラズマに曝されることによる被覆部11bの熱的な変形が抑えられる。
(3)容量電極18に供給される高周波電力によりプラズマ中の粒子が誘電窓11の表面に引き込まれる結果、誘電窓11の表面からレジストマスク30上にポリイミドが供給されることになる。こうしたポリイミドの供給によりレジストマスク30の酸化が抑制されるため、レジストマスク30のエッチングレートをさらに低下させることが可能になる。すなわち、エッチングにおけるサファイア基板Sの選択比をさらに高めることが可能となる。
[第2実施形態]
以下、本開示におけるプラズマエッチング装置を具体化した第2実施形態について、図3を参照して説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態と比較して、誘電窓における真空槽内部側の表面の材料が異なっている。そのため、以下では、こうした相違点を中心に説明する。
本実施形態の誘電窓は、石英からなる基材と窒化ホウ素(BN)からなる被覆部とから構成されている。そして、これにより、エッチングにおけるサファイア基板の選択比を高めている。この本実施形態のプラズマエッチング装置における誘電窓の作用について、図3を参照して説明する。
図3に示されるように、サファイア基板Sのエッチング時には、第1実施形態と同様、三塩化ホウ素ガスから生成されたプラズマ中の正イオンのうちの塩素を含む正イオンであるエッチャントP1が、負のバイアス電圧が印加されたサファイア基板Sの表面に引き込まれる。エッチャントP1が引き込まれると、レジストマスク30に覆われていないサファイア基板Sの表面では、サファイアとエッチャントとが反応することによって、揮発性のAlCl粒子P2が生成される。また、サファイア基板Sの表面では、酸素もしくは酸素を含むホウ化物等、酸素を含む揮発性の粒子P3が生成される。そして、粒子P3の一部はレジストマスク30と反応し、COやCOとなって排気される。
この際、真空槽10に生成されたプラズマと誘導アンテナ17とが少なからず容量結合されるため、誘電窓21の表面には、プラズマ中における電荷を帯びた粒子P4が衝突する。従来のように、誘電窓21の表面が石英から形成されている場合、石英の構成原素には酸素が含まれるため、電荷を帯びた粒子P4の衝突によって誘電窓21の表面から酸素が放出される。そして、この誘電窓21の表面から放出された酸素やその反応物が、上記粒子P3と同様、レジストマスクの酸化剤として機能するために、レジストマスク30のエッチングが進行することとなっていた。
しかし、本実施形態では、誘電窓21の表面を構成する被覆部21bが窒化ホウ素から形成されるため、電荷を帯びた粒子P4が誘電窓21の表面に衝突しても、誘電窓21の表面から酸素が放出されることがない。したがって、誘電窓21の表面が石英から形成されている場合と比べて、レジストマスク30を酸化させる物質を減少させることができる。これにより、レジストマスク30のエッチングが抑制されてレジストマスク30のエッチングレートが低下することとなる。その結果、エッチングにおけるサファイア基板Sの選択比を高めることが可能となる。なお、こうした酸化剤の発生の抑制は、容量電極18への高周波電力の供給の有無に関わらず生じる作用であるが、容量電極18に高周波電力が供給される場合には、上述した効果が特に顕著なものとなる。また、容量電極18に高周波電力が供給される場合には、誘電窓21へのエッチング生成物の付着を抑制することができる。
なお、誘電窓21の被覆部21bの材料としては、窒化ホウ素の他に、窒化アルミニウム(AlN)、及び酸化イットリウム(Y)を用いることができる。これらの材料を用いた場合にも、上述した作用に準じる作用によって、エッチングにおけるサファイア基板Sの選択比を高めることが可能となる。ちなみに、酸化イットリウムでは、その構成元素に酸素が含まれるものの、原子間の結合が石英と比べて強固であるため、電荷を帯びた粒子P4の衝突に際して石英よりも酸素が放出され難い。
[実施例2]
以下、上記第2実施形態の実施例を詳細に説明する。
まず、直径が4インチのサファイア基板の表面に厚さが1μmのレジストマスクを形成してエッチング用のサファイア基板を作成した。次いで、窒化ホウ素からなる被覆部を有する直径が12インチの誘電窓を備えた真空槽内のトレイに5枚のサファイア基板を載置し、三塩化ホウ素ガスから生成したプラズマによって、サファイア基板のエッチングを行った。その後、レジストマスクの厚さとサファイア基板のレジストマスクで覆われていない部分の厚さとを走査型電子顕微鏡を用いて測定して、レジストマスクのエッチングレート(nm/min)とサファイア基板のエッチングレート(nm/min)を算出した。そして、レジストマスクのエッチングレートに対するサファイア基板のエッチングレートの比([サファイア基板のエッチングレート]/[レジストマスクのエッチングレート])である実施例2の選択比を求めた。なお、サファイア基板のエッチングは、以下の条件にて行われた。
・三塩化ホウ素ガスの流量 20〜200sccm
・アンテナ用高周波電源の出力 500〜3000W
・バイアス用高周波電源の出力 50〜2000W
・真空槽内の圧力 0.1〜2Pa
また、窒化アルミニウムからなる被覆部を有する誘電窓を備えた真空槽内のトレイにエッチング用のサファイア基板を載置し、その他の条件を実施例2と同じくして、実施例3の選択比を求めた。
また、酸化イットリウムからなる被覆部を有する誘電窓を備えた真空槽内のトレイにエッチング用のサファイア基板を載置し、その他の条件を実施例2と同じくして、実施例4の選択比を求めた。
その結果、実施例2の選択比は約0.7であった。また、実施例3の選択比は約0.6、実施例4の選択比は約0.5であった。このように、従来のように表面が石英からなる誘電窓を用いた場合、すなわち第1実施形態に記載の比較例1の選択比が0.4程度にとどまることに対し、上記実施例2〜4では0.4よりも高い選択比が得られることが確認された。
以上説明したように、第2実施形態のプラズマエッチング装置によれば、以下に列記する効果が得られるようになる。
(4)誘電窓21における真空槽10内部側の表面が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムのいずれか1つから形成されるため、誘電窓21の表面が石英から形成される場合と比べて、誘電窓21の表面から酸素が放出され難くなる。したがって、レジストマスク30の酸化が抑制されるため、レジストマスク30のエッチングレートを低下させることができるようになる。すなわち、エッチングにおけるサファイア基板Sの選択比を高めることが可能となり、ひいては、レジストパターンを厚く形成することやメタルマスクを形成することが不要となる結果、エッチング工程が簡素化される。
なお、上記の各実施形態は、例えば以下のような形態にて実施することもできる。
・被覆部11b,21bが、樹脂、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化イットリウムのいずれか1つの材料から形成される構成であれば、基材11a,21aは、石英に限られず、プラズマから与えられる熱によって変形しない程度の熱的な耐性を有するような無機材料から形成されてもよい。このように、誘電窓11,21が基材11a,21aと被覆部11b、21bとから構成されれば、上記(1)または(4)の効果を得つつ、基材11a,21aの材料を加工性や形状の安定性の観点から適宜選択することが可能となる。そのため、誘電窓としての所望の物理的な特性を得ることができるようになる。
特に、被覆部11bが樹脂である場合に、基材11aが窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムのいずれかであれば、誘電窓11の表面が酸化によって消費されていっても、上記(4)の効果によってサファイア基板Sの選択比を高く維持することができる。
・上記実施形態では、誘電窓11,21の被覆部11b,21bを、樹脂、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化イットリウムのいずれか1つの材料から形成するようにしたが、2つ以上の材料を組み合わせて、被覆部11b,21bを部分的に異なる材料からなるものとしてもよい。また、上記材料から形成する部分は、少なくとも誘電窓11,21の表面、すなわち被覆部11b、21bの表面であればよい。
・誘電窓21の表面の材料として、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化イットリウムのいずれかを用いる場合には、誘電窓21をこれらの材料から一体形成するようにしてもよい。これによれば、誘電窓製造時の工程数を少なくすることができる。
・上記実施形態では、プラズマを生成するガスとして三塩化ホウ素ガスを用いたが、添加ガスとして、HBr、Cl、SiCl、CH、C、Ar,N、He、Xe、及びHの少なくとも1つを用いるようにしてもよい。こうした添加ガスを用いる場合、反応ガス全体に対する三塩化ホウ素ガスの割合は、60%〜95%にするとサファイア基板のエッチングを進行させる上で好ましい。
上記実施形態ではプラズマエッチング装置として、誘導結合型プラズマを用いて発光ダイオードの製造工程におけるサファイア基板のエッチングを行うエッチング装置を想定したが、プラズマを用いてサファイア基板のエッチングを行うエッチング装置であれば、プラズマの生成方法やサファイア基板の用途はこれに限られない。
10…真空槽、11,21…誘電窓、11a,21a…基材、11b,21b…被覆部、12…ステージ、13…トレイ、14…トレイカバー、15…クランプ部材、16…排気部、17…誘導アンテナ、18…容量電極、19…可変コンデンサ、20…反応ガス供給部、30…レジストマスク、MB1…バイアス用整合器、MB2…アンテナ用整合器、RF1…バイアス用高周波電源、RF2…アンテナ用高周波電源、S…サファイア基板。

Claims (7)

  1. レジストマスクを有したエッチング対象物であるサファイア基板を収容する真空槽と、
    前記真空槽に形成された開口を封止する誘電窓と、
    前記真空槽の外側で前記誘電窓と互いに向い合うように配置された誘導アンテナ、および、前記誘導アンテナに高周波電力を供給する高周波電源を備え、前記誘電窓を介して前記真空槽内に伝播される高周波によって三塩化ホウ素を含むガスからプラズマを生成するプラズマ生成部と
    前記誘電窓と前記誘導アンテナとの間に配置され、高周波電力の供給される容量電極と、
    を備え、前記容量電極への前記高周波電力の供給によって、前記プラズマ中の粒子を前記誘電窓に引き込むプラズマエッチング装置であって、
    前記誘電窓における前記真空槽内部側の表面が、樹脂、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムの少なくとも1つからなる
    ことを特徴とするプラズマエッチング装置。
  2. 前記誘電窓における前記真空槽内部側の表面が、前記樹脂からなる
    請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
  3. 前記誘電窓における前記真空槽内部側の表面が、前記樹脂であるポリイミドからなる
    請求項に記載のプラズマエッチング装置。
  4. 前記誘電窓が、
    基材と、
    該誘電窓における前記真空槽内部側の表面を構成して前記基材の表面を被覆する被覆部とを有する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマエッチング装置。
  5. 前記誘電窓が、
    基材と、
    該誘電窓における前記真空槽内部側の表面を構成して前記基材の表面を被覆する被覆部
    とを有し、
    前記基材が窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムのいずれか1つからなる
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマエッチング装置。
  6. 前記誘電窓が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化イットリウムのいずれか1つから一体形成されたものである
    請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
  7. 記誘導アンテナと前記容量電極とには、高周波電力が同時に供給される
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラズマエッチング装置。
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