JP5852148B2 - 回転角計測装置 - Google Patents

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本発明は、磁気収束板を利用した回転角計測装置に関する。
近年、磁気検出素子(ホール素子、磁気抵抗素子など)と信号処理回路(LSI)を一体化した高機能な磁気センサLSIのさまざまな利用法が進んでいる。例えば、自動車では、ハンドルの回転角度を検出するための回転角センサがある。この種の回転角センサは、例えば、特許文献1に提案されている。この特許文献1には、周囲の磁場を集めて増幅する磁気収束板とシリコン基板上のホール素子を利用した回転角センサが開示されている。
図1は、特許文献1に記載の回転角センサを説明するための構成図である。この回転角センサは、回転体に取り付けられた回転磁石1と、この回転磁石1の下に離れて置かれた集積回路(シリコン基板)2があり、このシリコン基板2上には、このシリコン基板2上に形成されたホール素子3と、さらにそのホール素子3上に磁気収束板4が設けられている。そして、回転磁石1から発生するシリコン基板2の平面に平行な磁場(横磁場)を、磁気収束板4とホール素子3を用いて検出することで、回転磁石1の回転角度を算出するものである。
図2は、図1におけるシリコン基板上に形成されたホール素子と磁気収束板の配置を説明するための図である。シリコン基板2に並行な面をXY平面として、XY平面上の原点を中心に、円形の磁気収束板4が配置され、磁気収束板4の縁の円周下にホール素子3が4つ配置されている。ホール素子(H0、H180)3が、X軸上に原点を中心として対称な位置に配置され、同じくホール素子(H90、H270)3がY軸上に原点を中心として対称な位置に配置されている。H0とH90は、図2のXY座標平面において正の座標成分を有する位置に配置されている。
図3は、図1における回転磁石と磁気収束板とホール素子とシリコン基板とをX軸方向に沿ってみた断面図である。シリコン基板2から垂直に回転磁石1へ向かう方向がZ軸正方向であり、H180からH0の方向がX軸正方向である。また、ホール素子は、磁気収束板4の縁の下に、磁気収束板4の中心に対して対称な位置に2つ描かれている。これらホール素子H0及びH180の感磁面は、シリコン基板2の平面に対して垂直方向となっている。したがって、Z軸方向の磁場を検出する。
しかしながら、図3に示されるように、回転磁石1から発生した磁場は、磁気収束板4に引き寄せられるため、シリコン基板2の平面と並行な横磁場(図3)においてはX軸成分)は、シリコン基板2の平面に対して垂直な方向(Z軸方向)へ曲げられ、ホール素子の感磁面を通過する。したがって、これらのホール素子は、横磁場を信号として検出できる。
このような構成によって、図2に示したホール素子H0とH180は、磁気収束板4に入射する磁場のX軸成分及びZ軸成分を検出し、同様にH90とH270は、Y軸成分及びZ軸成分を検出する。
図2において、磁気収束板4に入射する磁場が、原点を中心にX軸から反時計まわりにθの向きに入射している様子が描かれている。この時、H0は、磁場のX軸成分を正符号出力(+Vx)で検出し、H180は、負符号出力(−Vx)で検出するものとする。同様に、H90は、磁場のY軸成分を正符号出力(+Vy)で検出し、H270は、負符号出力(−Vy)で検出するものとする。そして4つのホール素子は、すべて磁場のZ軸成分をXY平面に入射する方向を正符号出力(+Vz)として検出するものとする。
したがって、H0とH180の差分、H90とH270の差分で検出される信号HVX、HVYは、
HVX=+Vx+Vz−(−Vx+Vz)=2Vx ・・・(1)
HVY=+Vy+Vz−(−Vy+Vz)=2Vy ・・・(2)
となる。つまり、磁場強度のX軸成分及びY軸成分である。Z軸成分はキャンセルされて検出されない。
ここで、回転角センサは、HVXとHVYから磁場の角度θを
θ=atan(HVY/HVX) ・・・(3)
として、算出する。なお、このように角度が算出できるのは回転磁場に対する磁気収束板下の磁場強度が理想的な正弦波状の変化を示すためである。
図4は、上述した特許文献1による回転角センサの信号処理を説明するためのブロック構成図である。回転角センサは、ホール素子H0、H180、H90、H270と、H0とH180の検出信号を減算するX軸減算部11Xと、H90とH270の検出信号を減算するY軸減算部11Yと、X軸減算部11Xの出力(式(1))と、Y軸減算部11Yの出力(式(2))とから式(3)により角度を算出する演算部12とからなる。
また、特許文献2に記載の角度算出手法は、上述したようなXY座標系を利用したものでなく、磁気収束板の円周下に等間隔に配置された複数のホール素子において、信号出力の符号が異なる隣接する2つのホール素子の出力から角度を算出するものである。
このような回転角センサにおいては、ホール素子のオフセットや、ホール素子からの信号を増幅する増幅器のオフセット及びゲインがX軸とY軸で異なることにより発生する算出角度と、検出対象となる回転磁場の角度の誤差が問題となり、いくつかの解決手段が提示されている。例えば、特許文献3は、磁気収束板のホール素子の配置を鏡像関係となるよう配置することでホール素子が有するオフセットを低減するものである。また、例えば、特許文献4は、X軸とY軸に配置された磁気センサが検出するX成分信号とY成分信号に対し、座標変換を施すことで角度誤差を低減するものである。
また、例えば、特許文献5には、外部磁石の磁場歪みによって発生する角度誤差を低減する手法が開示されている。この特許文献5に記載の回転角センサは、MR(磁気抵抗)素子が有する誤差又は外部磁石の磁場の歪みによる誤差を低減するものである。
さらに、例えば、特許文献6には、磁気収束板を利用し、2個以上のホール素子によって各軸成分を演算する手法が開示されている。
米国特許第2002/0021124号明細書(A1) 米国特許第7,235,968号明細書(B2) 特開2012−150003号公報 特開2010−190872号公報 特開2011−158488号公報 特開2004−257995号公報
本発明が対象とする磁気収束板とホール素子を利用した回転角計測装置においては、磁気収束板の性質に注意が必要である。
磁気収束板は、弱い磁場では印加された磁場に対し、線形に磁化されてゆくが、ある一定強度以上の磁場が印加された場合、もはや線形に磁化されなくなる。そのような、線形に磁化されなくなる点を便宜上、磁気飽和点と定義し、線形に磁化されない現象を磁気飽和(現象)と定義する。
図5は、磁気飽和点70mTの磁気収束板に50mTと100mTの磁場を印加したときに、印加方向からなす角度0度〜360度における磁気収束板円周下の磁場強度の変化の様子を示す図である。図5では0度方向(印加磁場と並行)の磁場強度を1と規格化している。図5から分かるように、磁気飽和点以下の50mTの磁場印加では、磁気収束板下の磁場強度は磁場の角度に対して理想的な正弦波(余弦波)を形成する(図5中の菱形プロットとそれらを結ぶ線)が、磁気飽和点以上の100mTの磁場印加では、歪んだ正弦波となる(図5中の四角プロットとそれらを結ぶ線)ことがわかる。
従って、このような磁気飽和点以上の磁場を回転させたときには、磁場の変化が理想的な正弦波ではなくなるので、上記に説明してきた回転角計測装置の算出角度に誤差が発生する。
図6は、上記に説明した磁気飽和点以上の100mTの回転磁場を印加したときに、回転角センサが算出する角度に含まれる角度誤差をシミュレーションした図である。
図6から分かるように、角度誤差は0度、45度、90度と45度おきに最小(0度近辺)となり、1回転360度の間に誤差のピークが正負それぞれ4回の波形(以後、角度誤差の4倍波と呼ぶ)となっている。この角度誤差は、磁気収束板の磁気飽和によって発生するものである。高精度かつ高信頼な回転角計測装置において、このような磁気飽和による角度誤差の増大を防ぐことや、磁気飽和が起きたことを検出することが重要である。磁気飽和が起きるということは、例えば、回転軸に取り付けられた磁石が本来の位置からずれた、あるいは回転軸がずれたということと等価であり、回転角計測装置のユーザーにとって望ましくない故障である。そして、磁気飽和が検出できたとしても、制御の点から角度誤差の増大も望ましくないものでもある。例えば、モーター制御用途の回転角計測装置の場合、角度誤差はトルクリップルにつながることになる。
しかしながら、上述した特許文献1〜6において、このような磁気飽和現象によって発生する角度誤差を低減する装置や方法については、何ら開示されていない。また、上述した特許文献1〜6において示されている装置や方法では磁気収束板の磁気飽和による角度誤差の低減を行うことはできない。また、特許文献1〜6のすべてにおいて、この磁気飽和を検出する手法も開示されていない。
特に最近、パワーステアリングシステム等の自動車の分野では、ISO26262に準拠する機能安全が求められるようになった。ISO26262に準拠するために、発明者らは、自動車の分野で使われる回転角計測装置が、回転磁石等の故障に対してロバストでなければならないことを見出した。つまり、発明者らは、回転磁石の故障により磁気収束板の磁気飽和が起こったときに、磁気飽和による精度低下を防がなければならないという新たな課題を見出した。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、磁気収束板を利用した回転角計測装置において、磁気収束板の磁気飽和による精度低下を防ぐことが可能な回転角計測装置を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、複数のホール素子対と、前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、前記複数の回転角情報から前記回転角情報の補正を行う回転角情報補正部と、前記角度算出部の出力に基づいて、前記磁気収束板の磁気飽和を検知する故障検知部と、を備えていることを特徴とする回転角計測装置である。
また、複数のホール素子対と、前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、前記複数の回転角情報から前記回転角情報の補正を行う回転角情報補正部と、前記複数の回転角情報にそれぞれ対応した前記複数の対の出力信号に基づく複数の振幅情報を算出する振幅算出部と、前記角度算出部の出力と前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、を備えている回転角計測装置である。
また、複数のホール素子対と、前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、前記複数のホール素子対の少なくとも3つの対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、前記複数の回転角情報から前記回転角情報の補正を行う回転角情報補正部と、前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分を2つ以上算出し、これら2つ以上の差分と、基準信号出力部が出力する基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、を備えている回転角計測装置である。
また、前記回転角情報補正部は、前記複数の回転角情報から平均値を算出することを特徴とする。
また、前記回転角情報補正部は、前記複数の回転角情報から加算値を算出することを特徴とする。
また、前記回転角情報補正部は、前記複数の回転角情報から中央値を算出することを特徴とする
た、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力と、基準信号出力部が出力する基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記複数の回転角情報のうち2つの差分と、前記基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記差分を算出する差分算出部を備えていることを特徴とする
また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報と、第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、前記第2の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第1及び第2の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定することを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記複数の回転角情報のうち1つの回転角情報と、前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分と、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、前記第1の故障判定信号と、前記第2の故障判定信号とに基づいて、前記磁気収束板の磁気飽和の判定と、前記複数のホール素子の故障の判定と、を行う判定部をさらに備えたことを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報と、第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号と、第3の基準信号出力部が出力する第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報のうち第1の振幅情報と前記第2の基準信号とを比較し、前記複数の振幅情報のうち前記第1の振幅情報と異なる第2の振幅情報と前記第3の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記第1の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第2の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第3の故障判定信号を出力し、前記第1〜第3の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定することを特徴とする
また、前記故障検知部は、前記2つ以上の差分と前記基準信号とをそれぞれ比較して前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す信号をそれぞれ出力し、これら信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定することを特徴とする。
また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸の位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の前記原点を中心とする円周下に45度ずつそれぞれずらして配置されていることを特徴とする。
また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の前記原点を中心とする円周下に30度ずつそれぞれずらして配置されていることを特徴とする。
また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸を挟んで2つのホール素子対が配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、磁気収束板を利用した回転角計測装置において、磁気収束板の磁気飽和による精度低下を防ぐことが可能な回転角計測装置を提供する。磁場強度が強く磁気収束板に磁気飽和が起きても、高精度に角度を算出することが可能となった。この本発明による効果は、特に、車載用途向けといった安全要求が厳しい用途で使用される回転角センサにおいては、非常に有益なものである。
特許文献1に記載の回転角センサを説明するための構成図である。 図1におけるシリコン基板上に形成されたホール素子と磁気収束板の配置を説明するための図である。 図1における回転磁石と磁気収束板とホール素子とシリコン基板とをX軸方向に沿ってみた断面図である。 特許文献1による回転角センサの信号処理を説明するためのブロック構成図である。 磁気飽和点70mTの磁気収束板に50mTと100mTの磁場を印加したときに、印加方向からなす角度0度〜360度における磁気収束板円周下の磁場強度の変化の様子を示す図である。 磁気飽和点以上の100mTの回転磁場を印加したときに、回転角計測装置が算出する角度に含まれる角度誤差をシミュレーションした図である。 本発明に係る回転角計測装置の実施形態1のホール素子の配置を説明する図である。 図7に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときに、回転角計測装置が算出する角度に含まれる角度誤差Δθ、Δθ45をシミュレーションした図である。 図7に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときのθdのシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係る回転角計測装置の実施形態1の信号処理回路を示す構成図である。 図10Aに示した回転角情報補正部の具体例を示す図で、回転角情報補正部が平均値算出部である場合を示している。 図10Aに示した回転角情報補正部の具体例を示す図で、回転角情報補正部が加算値算出部である場合を示している。 図10Aに示した回転角情報補正部の具体例を示す図で、回転角情報補正部が中央値算出部である場合を示している。 θa=30°とした場合に、磁気収束板に磁気飽和点以上の100mTの回転磁場を印加したときに、回転角計測装置が算出する角度に含まれる角度誤差Δθ、Δθt、Δθaveをシミュレーションした図である。 θa=30°とした場合に、磁気収束板に磁気飽和点以上の100mTの回転磁場を印加したときのθdのシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係る回転角計測装置の実施形態2のホール素子の配置を説明する図である。 図13に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときに、磁気飽和によって発生する角度誤差Δθ、Δθ30、Δθ60をシミュレーションした図である。 図13に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときに、θd及びθd’のシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係る回転角計測装置の実施形態2の信号処理回路を示す構成図である。 図7に示した実施形態1の変更例を示す図である。 本発明に係る回転角計測装置の実施形態3の信号処理回路を示す構成図である。 図18における故障検知部の具体例を示す回路構成図である。 図18に示される回転角計測装置の磁気収束板に対し、磁気飽和前における、配置Aのホール素子の出力から算出した振幅値M(実線)と配置Bのホール素子の出力から算出した振幅値Mc(点線)と、磁気飽和後における、振幅値M(一点鎖線)と振幅値Mc(二点鎖線)と、が入力磁場の回転に対し、どのように変化するかを表した図である。 図18に示される回転角計測装置の磁気収束板に対し、磁気飽和点以上の回転磁場を印加したときのθd及びMdのシミュレーション結果を示す図である。 図18における故障検知部の他の具体例を示す回路構成図である。 図18における故障検知部のさらに他の具体例を示す回路構成図である。 磁気収束板が磁気飽和を起こした場合と、XY座標系のホール素子H0の出力がショート(出力が0)となった場合の、第1の回転角θの角度誤差Δθと、θdと、Mdのシミュレーション結果を表す図である。 本発明に係る回転角計測装置の実施形態4の信号処理回路を示す構成図である。 本発明に係る回転角計測装置の実施形態5の信号処理回路を示す構成図である。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
まず、実施形態1は2つの座標系を用いる場合、実施形態2は3つの座標系を用いる場合で説明を行う。
[実施形態1]
図7は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態1のホール素子の配置を説明する図である。円形の磁気収束板14の円周下の反時計回りに45度おきにそれぞれ複数のホール素子H0、H45、H90、H135、H180、H225、H270、H315が配置されている。複数のホール素子H0、H45、H90、H135、H180、H225、H270、H315のうち、H0とH180が1つのホール素子対、H45とH225が1つのホール素子対、H90とH270が1つのホール素子対、H135とH315が1つのホール素子対となっている。そして、複数のホール素子対の感磁面上には円形の磁気収束板14が設けられている。また、磁気収束板14には回転磁石が磁気収束板14を平面視で覆うように近接配置されている。
この円形の磁気収束板14の中心点Gは、複数のホール素子対H0とH180、H45とH225、H90とH270、H135とH315を結ぶ線分の中点でもある。H180からH0へ向かう直線上にX軸を形成し、H270からH90に向かう直線上にY軸を形成すると、図2の従来と同じXY座標系が形成できる。一方、H225からH45へ向かう直線をX45軸、H315からH135へ向かう直線上にY45軸を形成すると、XY座標系をG中心で反時計回りに45度回転させたXY45座標系となる。
つまり、複数のホール素子対は、90°/Nの整数倍の座標系の座標軸の位置にそれぞれ配置されている。この場合はN=2であり、複数のホール素子対は90°/Nの0倍と1倍の座標系の座標軸の位置にそれぞれ配置されている。また、複数のホール素子対は、磁気収束板の円周下に45度ずつそれぞれずらして配置されていることが好ましい。
従来と同様に、H0とH180の差分が磁場のX成分を、H90とH270の差分が磁場のY成分を表す出力信号(それぞれHVX、HVY)となる。これと同様、H45とH225の差分が磁場のX45成分を、H135とH315の差分が磁場のY45成分を表す出力信号(それぞれHVX45とHVY45)となる。
ここでXY座標系を構成しているホール素子H0、H90、H180、H270の配置を配置Aとし、XY45座標系を構成しているホール素子H45、H135、H225、H315の配置を配置Bとする。
そして、磁気収束板に入射する磁場Bが、原点を中心にX軸から反時計まわりにθの向きに入射しているとすると、磁場強度を表す信号振幅Vすると
HVX=Vcosθ
HVY=Vsinθ
となる。一方、磁場Bは同様にX45軸から反時計回りにθ45の向きに入射しているとすると、
HVX45=Vcosθ45
HVY45=Vsinθ45
となる。それぞれ、角度θとθ45は以下の式で表される。
θ=atan(HVY/HVX)
θ45=atan(HVY45/HVX45)
ここで、角度誤差がない場合をそれぞれ、θideal、θ45idealと定義しておく。
XY45座標系はXY座標系を反時計回りに45度回転させたものであるから、θ45に45°加算した角度をθcとすると、角度誤差がない場合はθidealと同じになる。つまり、
θc=θ45+45°
θc_ideal=θ45ideal+45°=θideal
磁気飽和によって角度誤差がXY座標系でΔθ、XY45座標系でΔθ45発生していたとすると、それぞれ
θ=θideal+Δθ
θ45=θ45ideal+Δθ45
となる。そして、
θc=θ45+45°=θ45ideal+Δθ45+45°=θideal+Δθ45
となり、θcの角度誤差はΔθ45である。
図8は、図7に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときに、回転角計測装置が算出する角度に含まれる角度誤差Δθ、Δθ45をシミュレーションした図である。
磁場の角度に対して配置Aのホール素子による角度算出誤差Δθは、図中実線で表されており、図6と同じ4倍波である。一方、XY45座標系を形成した配置Bのホール素子による角度算出θ45に45°を加算したθcの角度誤差Δθ45は、図中点線で表されており、Δθと同じ4倍波であるが、その極性が反転しているものである。これは、XY45座標系で測定されたΔθ45がΔθに対して4×45°=180°分位相がずれるためである。表1は、ΔθとΔθ45の角度範囲毎の極性を示した表である。
Figure 0005852148
どの角度範囲においても、角度誤差の極性が反対であることがわかる。従って、
Δθ+Δθ45≒0
となる。つまり、本発明においてXY45座標系は、XY座標系で発生する角度誤差を打ち消すような角度誤差を発生する配置となっているものである。
ここで、θとθcの平均値をθaveは、
θave=(θ+θc)/2=(θideal+Δθ+θideal+Δθ45)/2≒θideal
となり、磁気飽和により角度誤差が発生しても、高精度にXY座標系の角度を求めることができる。つまり、XY座標系で角度を算出し、かつXY45座標系で角度を算出し、複数の回転角情報θ、θcから回転磁石の回転角情報を補正(上述した例では算術平均)することで、高精度な磁場の角度測定を実現するものである。図8中一点鎖線は、θaveの残留誤差Δθaveであり、Δθ、Δθ45と比較して明らかに低減していることがわかる。
これによって、従来は磁気収束板の磁気飽和が起きない磁場の範囲でしか利用できなかったが、磁気飽和が起きても測定を行えるようになり、入力磁場範囲を広げることができるものである。また、磁気飽和が起きても測定を行えるので、磁気飽和点の低い大きな磁気収束板を利用してホール素子に入射する磁場の強度を強くすることができ、ホール素子からの信号出力を大きくすることができるので回転角計測装置のSN(Signal to Noise ratio)を向上することができる。
次に、本実施形態のもう一つの効果である磁気飽和の検出について説明する。
磁気飽和を起こしていない場合、
Δθ−Δθ45=0
であることは明らかである。しかし、磁気飽和を起こした場合、角度誤差の4倍波が0°となるK×45°(Kは0から7までの整数)の角度付近を除き、表1のようにΔθとΔθ45の極性は異なるので、
Δθ−Δθ45≠0となることも、これまでの説明から明らかである。従って、θとθcが算出された場合、この差分θdは、
θd=θ−θc=Δθ−Δθ45≠0
である。適当な閾値θd_limを決めておけば、
|θd|<θd_lim
という関係式(|θd|はθdの絶対値)により、|θd|がθd_limよりも大きくなれば、磁気飽和の検出が可能である。つまり、XY座標系の算出角度θのみでは検出できなかった磁気飽和が、XY45座標系の算出角度θ45を利用することで検出可能となる。
図9は、図7に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときのθdのシミュレーション結果を示す図である。磁気飽和により、元々飽和による角度誤差が発生しないK×45°の角度を除き、θdが0ではないことがわかる。
図10Aは、本発明に係る回転角計測装置の実施形態1の信号処理回路を示す構成図である。図10Aの回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、MUX(マルチプレクサ;multiplexer)25と、X軸減算部26Xと、Y軸減算部26Yと、角度算出部27と、第1の記憶レジスタ28aと第2の記憶レジスタ28bと、回転角情報補正部29と、故障検知部30とから構成されている。故障検知部30は、減算部31と閾値比較部33と閾値メモリ32とから構成されている。
つまり、本実施形態1の回転角計測装置は、基板上に設けられた複数のホール素子H0〜H315と、この複数のホール素子H0〜H315の感磁面上に設けられた磁気収束板14とを備え、この磁気収束板14を平面視で覆うようにこの磁気収束板14に近接して配置された回転磁石の回転角を計測する回転角計測装置である。本実施形態1の回転角計測装置は、複数のホール素子H0〜H315で構成される複数のホール素子対を備えるものであり、第1の方向の磁気成分を検出する第1のホール素子対21(H0、H180)と、第1の方向と異なる方向の第2の方向の磁気成分を検出する第2のホール素子対22(H90、H270)と、第1の方向及び第2の方向とは異なる方向の第3の方向の磁気成分を検出する第3のホール素子対23(H45、H225)と、第1の方向〜第3の方向とは異なる方向の第4の方向の磁気成分を検出する第4のホール素子対24(H135、H315)とを備えている。
角度算出部27は、複数のホール素子対のうちの1つの対である第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて、回転磁石の第1の回転角θを算出する。そして、角度算出部27は、複数のホール素子対のうちの1つの対である第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて、回転磁石の第2の回転角θcを算出するものである。つまり、角度算出部は、複数のホール素子対の複数の対(第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24)の出力信号強度に基づいて、回転磁石の回転角情報を複数算出する。すなわち、上記複数の対は、第1のホール素子対21と第2のホール素子対22とで構成される1つの組(1つの対)、及び第3のホール素子対23と第4のホール素子対24とで構成される1つの組(1つの対)のことであり、複数のホール素子対のうち2つのホール素子対で構成される組が、複数の回転角情報にそれぞれ対応して複数あることを意味する。ここで、出力信号の強度とは、出力信号の電圧である。また、すなわち、ホール素子が入力磁場に応じて出力するホール起電力信号である。
また、差分算出部31は、第1の回転角θと第2の回転角θcとの差分を算出するものである。また、閾値比較部33(単に比較部33とも呼ぶ)は、差分算出部31の出力と、基準信号出力部32が出力する基準信号とから回転角計測装置の故障を検知するものである。ここで、閾値比較部33は、磁気収束板14の磁気飽和を検知するものである。
また、回転角情報補正部29は、第1の回転角θ、第2の回転角θcから回転角情報の補正を行う。この補正は、第1の回転角θと第2の回転角θcのうち真の回転角に対して誤差が大きい方の回転角の情報に、真の回転角に対して誤差が小さい方の回転角の情報を与え、真の回転角に近い回転角情報を出力する補正である。これにより、磁気収束板の磁気飽和で決まるダイナミックレンジが広くなる。
図10B〜図10Dは、図10Aに示した回転角情報補正部の具体例を示す図で、図10Bは、回転角情報補正部が平均値算出部である場合、図10Cは、回転角情報補正部が加算値算出部である場合、図10Dは、回転角情報補正部が中央値算出部である場合をそれぞれ示している。
図10Bにおいて、平均値算出部29は、第1の回転角θと第2の回転角θcとから平均値θaveを算出するものである。この平均値θaveは、算術平均であるが、算術平均に限らず相乗平均や調和平均を出力するようにしてもよい。
図10Cにおいて、加算値算出部29は、第1の回転角θと第2の回転角θcとから加算値θaddを出力する。この形態では、θaddが真の回転角の約2倍の値となっており、後段に図示しない除算器やアテネータやビットシフタを備えることで真の回転角に近い値を得ることができる。特に、θaddがディジタル信号として表現した場合、下位ビットを切り捨てて上位ビットを取り出すことで上記算術平均と同じ情報が得られる。本回転角計測装置のユーザーは、θaddを真の回転角の2倍と読み取ればよく、θaddの半分の値が真の回転角に近い値であると読み取ればよい。
図10Dにおいて、中央値算出部29は、第1の回転角θと第2の回転角θcとから中央値θcenterを出力する。回転角情報が2つの場合は、上記算術平均と同じだが、3以上の場合は、中央値となる。この形態では、例えば、複数の回転角情報のうち1つが極端に誤差を持っている場合、つまり異常値(飛び値)である場合に、この異常値の影響を非常に小さくすることができる。
以下、全ての実施形態において、回転角情報補正部29は、平均値算出部29としたもので説明する。また、平均は、算術平均であるとする。なお、言うまでもなく、全ての実施形態において、平均値算出部29は、相乗平均や調和平均を算出するものでもよく、加算値や中央値を算出するものでもよい。
図10Bにおいて、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対22(H90とH270)の出力と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力と、第4のホール素子対24(H135とH315)の出力がそれぞれMUX25に出力される。
MUX25は、時刻φ1において、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対22(H90とH270)の出力をそれぞれX軸減算部26XとY軸減算部26Yに出力する。X軸減算部26XとY軸減算部26Yは、それぞれ出力信号HVXとHVYを角度算出部27に出力する。
角度算出部27は、時刻φ1において、XY座標系の角度θを算出し、第1の記憶レジスタ28aに出力する。そして、時刻φ2においてMUX25は、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力と、第4のホール素子対24(H135とH315)の出力をそれぞれX軸減算部26XとY軸減算部26Yに出力する。X軸減算部26XとY軸減算部26Yは、それぞれ出力信号HVX45とHVY45を角度算出部27に出力する。
角度算出部27は、時刻φ2において、XY45座標系の角度θ45を算出し、45°補正した角度θcを第2の記憶レジスタ28bに出力する。第1及び第2の記憶レジスタ28a、28bは、それぞれθとθcを平均値算出部29と故障検知部30へ出力する。平均値算出部29では、θとθcとからθaveを算出する。θaveにおいては、磁気飽和による角度誤差は低減されている。
故障検知部30に入力されたθとθcは、減算部31へと入力される。減算部31は、θとθcからθdを算出し、比較部(閾値比較部)33へと出力する。比較部33は、θdと閾値メモリ(基準信号出力部)32に格納されている閾値θd_limとから磁気飽和が起きているか判定する。つまり、比較部33は、磁気飽和であることが検出されれば「1」を、磁気飽和でなければ「0」を出力する。つまり、故障検知部30は、角度算出部の出力と、閾値メモリの閾値θd_limとに基づいて、回転角計測装置の故障を検知する。本実施形態での故障検知は、回転磁石が磁気収束板に近づく故障を検知できるものである。言い換えれば、本実施形態は、磁気飽和が起きていると判定できるものであり、磁気飽和が起きていると判定すれば、飽和情報を出力する。
以上のように、磁気収束板14を利用した回転角計測装置において、磁気収束板14の磁気飽和による角度誤差を低減し、また、磁気飽和を検出することができた。
なお、追加座標系としてのXY45座標系は、XY座標をGを中心に45°回転させたものとしたが、45°回転に限らず、追加座標系のためのホール素子の配置が可能な領域が確保できる0°〜90°内の、どの角度θaであっても、角度誤差の低減又は磁気飽和の検出ともに原理的に実施可能である。
追加座標系で算出した角度θtに対し、θc=θt+θaとすると、角度誤差低減の場合は、
θave=(θ+θc)/2
とすれば、角度誤差ΔθaveがΔθ、Δθtに比較して小さくなる。(Δθtは、Δθの位相が異なる波形であるため、両者の平均は元の波形に比べ小さくなる。)
図11は、θa=30°とした場合に、磁気収束板に磁気飽和点以上の100mTの回転磁場を印加したときに、回転角計測装置が算出する角度に含まれる角度誤差Δθ、Δθt、Δθaveをシミュレーションした図である。図中実線がΔθ、点線がΔθt、一点鎖線がΔθaveであり、ΔθaveがΔθ、Δθtに比べ低減していることがわかる。
一方、磁気飽和の検出の場合は、
θd=θ−θc
は、磁気飽和していない場合はθd=0、飽和した場合はθd≠0であり、上記に説明した手法で磁気飽和が検出できる。
図12は、θa=30°とした場合に、磁気収束板に磁気飽和点以上の100mTの回転磁場を印加したときのθdのシミュレーション結果を示す図である。磁気飽和により、θdが0ではないことがわかる。
以上のように、θa=45°でない場合においても、上述したような効果が得られ、本発明に含まれるものである。但し、θa=45°の場合が、角度誤差の4倍波の位相が180°ずれたもの同士の加算(平均)、減算となるので、最もΔθaveが小さく、また最もθdの変動が大きく検出感度が上がり、本発明を利用するのに好適である。
[実施形態2]
図13は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態2のホール素子の配置を説明する図である。
磁気収束板14の円周下に30°おきに、H0、H30、H60、・・・、H330と計12個のホール素子が配置されている。第1のホール素子対121(H0、H180)、第2のホール素子対122(H90、H270)の配置を配置A’、第3のホール素子対123(H30、H210)、第4のホール素子対124(H120、H300)を配置B’、第5のホール素子対125(H60、H240)、第6のホール素子対126(H150、H330)を配置C’とする。
つまり、複数のホール素子対は、磁気収束板の円周下に30度ずつそれぞれずらして配置されている。
この円形の磁気収束板の中心点Gは、第1のホール素子対121(H0、H180)、第3のホール素子対123(H30、H210)、第5のホール素子対125(H60、H240)、第2のホール素子対122(H90、H270)、第4のホール素子対124(H120、H300)、第6のホール素子対126(H150、H330)を結ぶ線分の中点でもある。
配置A’のH180からH0へ向かう直線上にX軸を、H270からH90に向かう直線上にY軸を形成し、同様に配置B’のH210からH30へ向かう直線上にX30軸、H300からH120へ向かう直線上にY30軸を形成し、配置C’のH240からH60へ向かう直線上にX60軸、H330からH150へ向かう直線上にY60軸を形成する。つまり、配置A’、配置B’、配置C’のホール素子によって形成される座標系をそれぞれXY座標系、XY30座標系、XY60座標系とする。XY30座標系と、XY60座標系は、それぞれXY座標系を中心点G回りに30°、60°回転させた座標系となる。
つまり、複数のホール素子対は、90°/Nの整数倍の座標系の座標軸の位置にそれぞれ配置されている。この場合はN=3であり、複数のホール素子対は90°/Nの0倍、1倍、2倍の座標系の位置に配置されている。すなわち、複数のホール素子対は、磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸の位置にそれぞれ配置されている。
それぞれの座標系において算出される角度をθ、θ30、θ60とし、磁気飽和によって発生する角度誤差はそれぞれΔθ、Δθ30、Δθ60とする。なお、算出角度に角度誤差がない時は、θ、θ30、θ60はそれぞれθideal、θ30ideal、θ60idealと表記する。
図14は、図13に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときに、磁気飽和によって発生する角度誤差Δθ、Δθ30、Δθ60をシミュレーションした図である。
図14において、実線がΔθ、点線がΔθ30、二点鎖線がΔθ60である。そして、Δθの誤差を示す波形に対し、Δθ30は120°、Δθ60は240°位相が異なる波形で誤差を発生していることがわかる。これは、XY座標系で測定したΔθが4倍波であるため、30°、60°と回転させたXY30座標系で測定したΔθ30は30°×4分位相が異なり、同様にXY60座標系で測定したΔθ60が60°×4分位相が異なることによる。従って、
Δθ+Δθ30+Δθ60≒0
という関係になる。
θ=θideal+Δθ
θ30=θ30ideal+Δθ30=θideal−30°+Δθ30
θ60=θ60ideal+Δθ60=θideal−60°+Δθ60
であるから、ここで、θ、θ30+30°(≡θc)、θ60+60°(≡θc’)の平均値θaveは、
θave=(θ+θc+θc’)/3=θideal+(Δθ+Δθ30+Δθ60)/3≒θideal
となり、磁気飽和により角度誤差が発生しても、高精度にXY座標系の角度を求めることができる。つまり、XY座標系で角度を算出し、そしてXY30、XY60座標系でも角度を算出することで、高精度な磁場の角度測定を実現するものである。図14中の一点鎖線は、θaveの残留誤差Δθaveであり、Δθ、Δθ30、Δθ60と比較して明らかに低減していることがわかる。
次に、本実施形態のもう一つの効果である磁気飽和の検出について説明する。
上述した実施形態1と同様に磁気飽和が起きていない場合、
Δθ−Δ30=0、Δθ30−Δ60=0
であり、磁気飽和が起きた場合、それぞれ角度誤差が等しくなる角度を除き、
Δθ−Δ30≠0、Δθ30−Δ60≠0
である。適当な閾値θd_limを決めておけば、θd=θ−θc、θd’=θc−θc’として、
|θd|<θd_lim
|θd’|<θd_lim
という関係式により、磁気収束板14の磁気飽和が検出できることになる。
図15は、図13に示される回転角計測装置の磁気収束板に磁気飽和点70mT以上の100mTの回転磁場を印加したときに、θd及びθd’のシミュレーション結果を示す図である。図中実線がθd、点線がθd’である。回転磁場の角度に対して、θd、θd’のどちらかが必ず0ではないことがわかる。このように座標系を3つ利用することで、座標系2つの場合に比べて確実に磁気飽和を検出できる。
図16は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態2の信号処理回路を示す構成図である。図16の回転角計測装置は、配置A’、配置B’、配置C’のグループのホール素子121〜126と、MUX225と、X軸減算部226Xと、Y軸減算部226Yと、角度算出部227と、第1の記憶レジスタ228aと、第2の記憶レジスタ228bと、第3の記憶レジスタ228cと、平均算出部229と、故障検知部230とから構成されている。故障検知部230は、第1の減算部231aと、第1の閾値比較部233aと、第2の減算部231bと、第2の比較部233bと、閾値メモリ232と、論理和部234とから構成されている。
つまり、本実施形態2の回転角計測装置は、基板上に設けられた複数のホール素子H0〜H330と、この複数のホール素子H0〜H330の感磁面上に設けられた磁気収束板14とを備え、この磁気収束板14を平面視で覆うようにこの磁気収束板14に近接して配置された回転磁石の回転角を計測する回転角計測装置である。
本実施形態2の回転角計測装置は、複数のホール素子H0〜H330で構成される複数のホール素子対を備えるものであり、第1の方向の磁気成分を検出する第1のホール素子対121(H0、H180)と、第1の方向と異なる方向の第2の方向の磁気成分を検出する第2のホール素子対122(H90、H270)と、第1の方向及び第2の方向とは異なる方向の第3の方向の磁気成分を検出する第3のホール素子対123(H30、H210)と、第1の方向〜第3の方向とは異なる方向の第4の方向の磁気成分を検出する第4のホール素子対124(H120、H300)と、第1の方向〜第4の方向とは異なる方向の第5の方向の磁気成分を検出する第5のホール素子対125(H60、H240)と、第1の方向〜第5の方向とは異なる方向の第6の方向の磁気成分を検出する第6のホール素子対126(H150、H330)とを備えている。
角度算出部227は、第1のホール素子対121及び第2のホール素子対122の出力信号強度に基づいて回転磁石の第1の回転角θを算出するとともに、第3のホール素子対123及び第4のホール素子対124の出力信号強度に基づいて回転磁石の第2の回転角θcを算出し、さらに、第5のホール素子対125及び第6のホール素子対126の出力信号強度に基づいて回転磁石の第3の回転角θc’を算出するものである。つまり、角度算出部227は、複数のホール素子対の複数の対(第1のホール素子対121及び第2のホール素子対122、第3のホール素子対123及び第4のホール素子対124、第5のホール素子対125及び第6のホール素子対126)の出力信号強度に基づいて、回転磁石の回転角情報を複数算出するものである。すなわち、上記複数の対は、第1のホール素子対121と第2のホール素子対122とで構成される1つの組(1つの対)、第3のホール素子対123と第4のホール素子対124とで構成される1つの組(1つの対)、及び第5のホール素子対125と第6のホール素子対126とで構成される1つの組(1つの対)のことであり、複数のホール素子対のうち2つのホール素子対で構成される組が、複数の回転角情報(ここでは3つの回転角情報)にそれぞれ対応して複数(ここでは3つの組)あることを意味する。ここで、出力信号強度は、出力信号の電圧である。また、すなわち、ホール素子が入力磁場に応じて出力するホール起電力信号である。
また、故障検知部230は、第1の回転角θと第2の回転角θcとの差分を算出する第1の差分算出部231aと、第2の回転角θcと第3の回転角θc’との差分を算出する第2の差分算出部231bとを備えている。
また、第1の差分算出部231aの出力と、基準信号出力部232が出力する基準信号とから回転角計測装置の故障を検知する第1の閾値比較部233aと、第2の差分算出部231bの出力と、基準信号出力部232が出力する基準信号とから回転角計測装置の故障を検知する第2の閾値比較部233bとを備えている。
また、第1の閾値比較部233aと第2の閾値比較部233bとは、磁気収束板14の磁気飽和を検知するものである。また、第1の回転角θと第2の回転角θcと第3の回転角θc’とから平均値θaveを算出する平均値算出部229を備えている。
図16において、配置A’の第1のホール素子対121(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対22(H90とH270)の出力と、配置B’の第3のホール素子対123(H30、H210)の出力と、第4のホール素子対124(H120とH300)の出力と、配置C’の第5のホール素子対125(H60、H240)の出力と、第6のホール素子対126(H150とH330)の出力と、がそれぞれMUX225に出力される。MUX225は、時刻φ1において、配置A’の第1のホール素子対121(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対122(H90とH270)の出力をそれぞれX軸減算部226XとY軸減算部226Yに出力する。時刻φ2において、配置B’の第3のホール素子対123(H30、H210)の出力と、第4のホール素子対124(H120とH300)の出力をそれぞれX軸減算部226XとY軸減算部226Yに出力する。時刻φ3において、配置C’の第5のホール素子対125(H60、H240)の出力と、第6のホール素子対126(H150とH330)の出力をそれぞれX軸減算部226XとY軸減算部226Yに出力する。
そして、X軸及びY軸減算部226X、226Yの出力は、角度算出部227に入力される。角度算出部227においては、時刻φ1においてはXY座標系の角度θを、時刻φ2においてはXY30座標系の角度θ30を補正したθcを、時刻φ3においてはXY60座標系の角度θ60を補正したθc’を算出し、それぞれ第1の記憶レジスタ228a、第2の記憶レジスタ228b、第3の記憶レジスタ228cへと出力する。第1の記憶レジスタ228a、第2の記憶レジスタ228b、第3の記憶レジスタ228cは、それぞれ角度θ、θc、θc’を平均算出部229と、故障検知部230に出力する。平均値算出部229では、θ、θc、θc’とからθaveを算出する。θaveにおいては、磁気飽和による角度誤差は低減されている。
一方、故障検知部230に入力されたθ、θcは第1の減算部231aに、θc、θc’は第2の減算部231bに入力される。第1の減算部231a、第2の減算部231bはそれぞれ、θd、θd’を第1の閾値比較部233a、第2の閾値比較部233bに出力する。第1の閾値比較部233a、第2の比較部233bはそれぞれ閾値メモリ(基準信号出力部)232に格納されたθd_limと第1及び第2の減算部231a、231bの出力を比較し、磁気飽和であることが検出されれば「1」を、磁気飽和でなければ「0」を論理和部234に出力する。論理和部234は、第1及び第2の閾値比較部233a、233bからの出力の論理和を飽和情報として出力する。従って、θd、θd’のどちらかがθd_limよりも大きければ、飽和を検出できる。
なお、上記の例では、θd、θd’に対してθd_limを共通の基準信号としたが、θdに対して第1の基準信号としてθd_limを、θd’に対して第2の基準信号としてθd’_limを用意してもよい。つまり上記の例では第1の基準信号と第2の基準信号は同じとしたものである。
以上、実施形態の説明からわかるように、磁気収束板下のあるホール素子グループによって形成されるXY座標系において、磁気飽和によって発生する角度誤差が4倍波という周期的なものであり、これと異なる位相を持つ角度誤差の4倍波を、別のホール素子グループによって形成される別のXY座標系において発生させ、その位相差(角度差)を加算(平均)、あるいは減算することで利用し、磁気飽和によって発生する角度誤差の低減、あるいは磁気飽和の検出を行うことができた。
本発明は、基準となっているXY座標系の磁気飽和により発生する角度誤差の波形に対して異なる位相の角度誤差の波形を生じさせる座標系を用意すればよく、実施形態1、2に記載の座標系を2個、3個の場合に限るものではない。
角度誤差の低減は、磁気収束板下で形成される座標系の個数をN(Nは2以上の整数)とし、k番目(1≦k≦N)の座標系がXY座標系からの回転角度が90°/N×kとなるように配置されていれば、本発明の磁気飽和による角度誤差の低減を高い効果で行うことができる。実施形態1はN=2、実施形態2はN=3の場合に相当する。
また、本発明の実施形態の説明において、簡便のため各座標系を構成しているホール素子の数は4個、各座標軸の成分ではホール素子の数は2個で説明したが、座標軸を等価的に表せる場合はホール素子の数はその限りではない。例えば、実施形態1において、XY座標系、XY45座標系において、各軸を2個のホール素子としたが、これを4個としても良い。
図17は、図7に示した実施形態1の変更例を示す図で、磁気収束板の円周下のホール素子を計16個とした場合のホール素子の配置を示す図である。つまり、複数のホール素子対は、磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍の角度の座標軸を挟んで2つのホール素子対が配置されている。ここでは、N=2であり、複数のホール素子は、90°/Nの0倍と1倍の座標系の座標軸を挟んで一対のホール素子が配置されている。 図17において、磁気収束板の円周下の反時計回りに、H0_A、H0_B、H45_A、H45_B、H90_A、H90_B、H135_A、H135_B、H180_A、H180_B、H225_A、H225_B、H270_A、H270_B、H315_A、H315_Bの順でホール素子が並べられている。
各ホール素子名の数字がX軸からの角度を表し、添え字のAはその角度からの偏差−δ(度)を、Bは偏差+δ(度)を表す(0°<δ<22.5°)。つまり、H45_AはX軸から角度45−δ度、H45_BはX軸から角度45+δ度である。そして、H180_AとH180_Bの中点からH0_AとH0_Bの中点を通る直線上にX軸を、H270_AとH270_Bの中点からH90_AとH90_Bの中点を通る直線上にY軸を、H225_AとH225_Bの中点からH45_AとH45_Bの中点を通る直線上にX45軸を、H315_AとH315_Bの中点からH135_AとH135_Bの中点を通る直線上にY45軸を形成すると、実施形態1と同様に、XY座標系と、XY45座標系を形成できる。
つまり、第1Aのホール素子対21A(H0_A、H180_A)、第1Bのホール素子対21B(H0_B、H180_B)が0°の座標軸を挟んで配置されている。第3Aのホール素子対23A(H45_A、H225_A)、第3Bのホール素子対23B(H45_B、H225_B)が45°の座標軸を挟んで配置されている。第2Aのホール素子対22A(H90_A、H270_A)、第2Bのホール素子対22B(H90_B、H270_B)が90°の座標軸を挟んで配置されている。第4Aのホール素子対24A(H135_A、H315_A)、第4Bのホール素子対25B(H135_B、H315_B)が90°の座標軸を挟んで配置されている。
つまり、H0_AとH0_Bの出力和と、H180_AとH180_Bの出力和の差分が回転磁場のX成分(HVX)となり、H90_AとH90_Bの出力和と、H270_AとH270_Bの出力和の差分がY成分(HVY)となり、H45_AとH45_Bの出力和と、H225_AとH225_Bの出力和の差分がX45成分(HVX45)となり、H135_AとH135_Bの出力和と、H315_AとH315_Bの出力和の差分がY45成分(HVY45)となる。このような2個以上のホール素子によって各軸成分を演算する手法ついては、上述した特許文献6に記載されている。
つまり、複数のホール素子対の複数の対は、第1A、第1B、第2A、第2Bで形成される1つの組(4つの対)と第3A、第3B、第4A、第4Bで形成される1つの組(4つの対)であり、複数のホール素子対のうち4つのホール素子対で構成される組が、複数の回転角情報にそれぞれ対応して複数あることを意味する。
このようにすることで、実施形態1の座標軸X、Y、X45、Y45の成分をそれぞれ4つのホール素子で等価的に構成することができ、本発明の実施が可能である。
また、同様に、実施形態2の各座標軸の成分もそれぞれ4つのホール素子で等価的に構成することができ、本発明の実施が可能である。
これまでの各実施形態においては、配置Aのホール素子から算出した第1の回転角θと配置Bのホール素子から算出した第2の回転角θcの差分θdによって、磁気飽和を検出する説明を行った。これまでの各実施形態の構成に角度振幅算出部を追加することで、さらに高精度に磁気飽和の検出が可能となるので以下にそれを説明する。
[実施形態3]
図18は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態3の信号処理回路を示す構成図である。なお、磁気収束板とホール素子の配置は、上述した実施形態1の図7と同じである。
図18に示した回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、MUX25と、X軸減算部26Xと、Y軸減算部26Yと、角度振幅算出部(角度算出部41と振幅算出部42)40と、第1の記憶レジスタ28aと第2の記憶レジスタ28bと、第3の記憶レジスタ28cと第4の記憶レジスタ28dと、平均値算出部29と、故障検知部30とから構成されている。
つまり、本実施形態3の回転角計測装置は、基板上に設けられた複数のホール素子H0〜H315と、この複数のホール素子H0〜H315の感磁面上に設けられた磁気収束板14とを備え、この磁気収束板14を平面視で覆うようにこの磁気収束板14に近接して配置された回転磁石の回転角を計測する回転角計測装置である。
第1の方向の磁気成分を検出する第1のホール素子対21(H0、H180)と、第1の方向と異なる方向の第2の方向の磁気成分を検出する第2のホール素子対22(H90、H270)と、第1の方向及び第2の方向とは異なる方向の第3の方向の磁気成分を検出する第3のホール素子対23(H45、H225)と、第1の方向〜第3の方向とは異なる方向の第4の方向の磁気成分を検出する第4のホール素子対24(H135、H315)とを備えている。
角度振幅算出部40は、角度算出部41と振幅算出部42とから構成されている。
角度算出部41は、第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて回転磁石の第1の回転角θを算出するとともに、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて前記回転磁石の第2の回転角θcを算出するものである。つまり、角度算出部は、複数のホール素子対の複数の対(第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24)の出力信号強度に基づいて、回転磁石の回転角情報を複数算出する。すなわち、上記複数の対は、第1のホール素子対21と第2のホール素子対22とで構成される1つの組(1つの対)、及び第3のホール素子対23と第4のホール素子対24とで構成される1つの組(1つの対)のことであり、複数のホール素子対のうち2つのホール素子対で構成される組が、複数の回転角情報にそれぞれ対応して複数あることを意味する。ここで、出力信号強度は、出力信号の電圧である。また、すなわち、ホール素子が入力磁場に応じて出力するホール起電力信号である。
振幅算出部42は、第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて回転磁石からの磁場強度を表す第1の振幅値Mを算出するとともに、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて回転磁石からの磁場強度を表す第2の振幅値Mcを算出するものである。つまり、振幅算出部42は、複数の回転角情報にそれぞれ対応した複数の対(第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24)の出力信号に基づく複数の振幅情報を算出する。
また、故障検知部30は、第1、第2の回転角度θ、θcと、さらに第1、第2の振幅値M、Mcに基づいて、回転角計測装置の故障を検知し、故障情報を出力するものである。また、平均値算出部29は、第1の回転角θと第2の回転角θcとから平均値θaveを算出するものである。
図18に示した回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対22(H90とH270)の出力と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力と、第4のホール素子対24(H135とH315)の出力がそれぞれMUX25に出力される。
MUX25は、時刻φ1において、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対22(H90とH270)の出力をそれぞれX軸減算部26XとY軸減算部26Yに出力する。X軸減算部26XとY軸減算部26Yは、それぞれ出力信号HVXとHVYを角度振幅算出部40の角度算出部41と振幅算出部42に出力する。
角度算出部41は、時刻φ1において、XY座標系の角度θを算出し、第1の記憶レジスタに出力する。
振幅算出部42は、時刻φ1において、例えば以下の式
M=sqrt(HVX+HVY
に従い、磁場強度を表す第1の振幅値Mを算出し、第3の記憶レジスタに出力する。なお、sqrt(X)はXの平方根を算出する関数である。また、磁気飽和をしていない場合、M=Vとなることは明らかであり、HVX、HVYの信号振幅、すなわち、回転磁石からの磁場強度を表す信号振幅であることは、明らかである。
そして、時刻φ2においてMUXは、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力と、第4のホール素子対24(H135とH315)の出力をそれぞれX軸減算部26XとY軸減算部26Yに出力する。X軸減算部26XとY軸減算部26Yは、それぞれ出力信号HVX45とHVY45を角度振幅算出部40の角度算出部41と振幅算出部42に出力する。
角度算出部41は、時刻φ2において、XY45座標系の角度θ45を算出し、45°補正した角度θcを第2の記憶レジスタに出力する。
振幅算出部42は、時刻φ2において、例えば以下の式
Mc=sqrt(HVX45+HVY45
に従い、磁場強度を表す第2の振幅値Mcを算出し、第4の記憶レジスタに出力する。なお、先ほどと同様に磁気飽和をしていない場合、Mc=Vとなることは明らかであり、HVX45、HVY45の信号振幅、すなわち、回転磁石からの磁場強度を表す信号振幅であることは、明らかである。
第1及び第2の記憶レジスタ28a、28bは、それぞれθとθcを平均値算出部29と故障検知部30へ出力する。第3及び第4の記憶レジスタ28c、28dは、それぞれMとMcを故障検知部30へ出力する。
平均値算出部29では、θとθcとからθaveを算出する。θaveにおいては、磁気飽和による角度誤差は低減されている。故障検知部30では、θとθcとMとMcとから故障を検知し、故障情報を出力する。
図19は、図18に示す故障検知部の具体例を示した回路構成図である。
図19において、故障検知部30は、第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ(第1の基準信号出力部)32aと、第2の減算部31bと、第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ(第2の基準信号出力部)32bと、論理和部(故障組み合わせ判定部)34とから構成されている。
第1の減算部31aは、第1の回転角θと第2の回転角θcからθdを算出し、第1の比較部33aへと出力する。第1の比較部33aは、θdと第1の閾値メモリ(に格納されている閾値)θd_limとから故障を検知し、例えば、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」となる第1の故障判定信号を、論理和部34へと出力する。
第2の減算部31bは、第1の振幅値Mと第2の振幅値Mcから、
Md=M−Mc
で表される差分値Mdを算出し、第2の比較部33bへと出力する。第2の比較部33bは、Mdと第2の閾値メモリ(に格納されている閾値)Md_limとから故障を検知し、例えば、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」となる第2の故障判定信号を、論理和部34へと出力する。
論理和部34は、第1の比較部33aと第2の比較部33bとからの第1及び第2の故障判定信号を受け故障情報を出力する。つまり、論理和部34は、第1及び第2の故障判定信号の少なくとも一方が故障の場合「1」を出力し、どちらも正常の場合「0」を出力する。
図20は、図18に示される回転角計測装置の磁気収束板に対し、磁気飽和前における、配置Aのホール素子の出力から算出した振幅値M(実線)と配置Bのホール素子の出力から算出した振幅値Mc(点線)と、磁気飽和後における、振幅値M(一点鎖線)と振幅値Mc(二点鎖線)と、が入力磁場の回転に対し、どのように変化するかを表した図である。
磁気飽和前のMとMcに差は見られないが、磁気飽和後のMとMcはどちらも振動し、4倍波となっていることが分かる。そして、その振動の最も低い値が、磁気飽和前のMとMcの近くにあることが分かる。
従って、これまで磁場の回転角度によっては磁気飽和が起きているかどうかは一方の振幅値M(又はMc)のみを観測することで正確に判断することは難しかった。例えば振幅Mに対し、図20における閾値M_limを磁気飽和点とするようにしても、入力磁場が45度付近にあった時に、MはM_limよりも低いため、すぐに磁気飽和が起きていることを正確に判定することが難しかった。
図21は、図18に示される回転角計測装置の磁気収束板に対し、磁気飽和点以上の回転磁場を印加したときのθd及びMdのシミュレーション結果を示す図である。横軸は磁場の回転角度、縦軸はθd、Mdを表す。θdは実線で、Mdは破線で描かれている。
上述した第1の実施形態と同様に、磁気飽和により4倍波となっており、θdはK×45度の角度を除き、θdが0ではない。θdの正のピークは67.5+90×L度(Lは0〜3までの整数)。θdの負のピークは22.5+90×L度となっている。
Mdはθdと同じ4倍波であるが、θdと異なり、22.5+K×45度の角度を除いた角度で、Mdが0でなく、θdに対し位相が90度進んだ形となっている。Mdの正のピークは90×L度であり、負のピークは45+90×L度である。それゆえ、θdが0であるところで、Mdは0にはならない。
磁気飽和が起きていなければ、XY座標系でもXY45座標系でもホール素子から観測する磁場の強度は変わらない。つまり、M=Mcである。そのためMdは0である。しかし、磁気飽和が起きた場合、
Md=M−Mc≠0
である。そのため、Mdに対し、適当な閾値Md_limを決めておけば、第2の比較部において、
|Md|<Md_lim
という関係式(|Md|はMdの絶対値)により、|Md|がMd_limよりも大きくなれば、Mdだけでも磁気飽和が起きていることが検知できる。
そして、θdが0であるところで、Mdは0にはならないという関係があるので、実施形態1ではθdが0であるところで磁気飽和の検出ができなかったが、その時Mdは0ではないので、θdの代わりに磁気飽和が検出可能である。
従って、第1の比較部33aにおいて、θdとθd_limから磁気飽和(故障)を検知し、第1の故障判定信号を論理和部34へ出力し、第2の比較部33bにおいて、MdとMd_limから磁気飽和(故障)を検知し、第2の故障判定信号を論理和部34へ出力し、論理和部34において、第1及び第2の故障判定信号の論理和を演算することにより、すべての磁場の回転角度で故障情報を出力することができる。つまり、故障検知部30が、角度算出部41の出力に基づいて回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号と、複数の振幅情報に基づいて回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号とのうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、回転角計測装置が故障していると判定するものである。
以上のように、本発明によって、第1、第2の回転角度θ、θcと、第1、第2の振幅値M、Mcとから、回転角計測装置の故障を検知し、故障情報を出力することができた。その故障の検知は、実施形態1と比べて入力回転磁場の角度に依存しないので、また、実施形態2と比べてホール素子を少なくして、小規模な演算で実施可能な振幅算出部を追加しただけで、確実に故障が検知できる。
図22は、図18における故障検知部の他の具体例を示す回路構成図である。
図22の故障検知部30は、第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ32aと、第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ32bと、第3の比較部33cと、第3の閾値メモリ(第3の基準信号出力部)32cと論理和部(故障組み合わせ判定部)34とから構成されている。
第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ32aは、図19と同様である。
第2の比較部33bは、第1の振幅値Mと第2の閾値メモリ(に格納されている閾値)M_limとからとから故障を検知し、例えば、MがM_limよりも大きい場合は「1」(故障)を、M_limよりも小さい場合は「0」(正常)となる第2の故障判定信号を論理和部34へ出力する。第3の比較部33cは、第2の振幅値Mcと第3の閾値メモリ(に格納されている閾値)Mc_limとから故障を検知し、例えば、McがMc_limよりも大きい場合は「1」(故障)を、Mc_limよりも小さい場合は「0」(正常)となる第3の故障判定信号を論理和部34へ出力する。M_limとMc_limは同じ値でも良い(なお、以下では同じ値として説明する)。つまり、図19における故障検知部30の各比較部と同様に、図22の故障検知部30の各比較部も、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」を出力するものである。
図20及び図21からわかるように、θdが0となり第1の回転角θと第2の回転角θcの差分からは磁気飽和を検出することができない時、MまたはMcのどちらかがM_limを必ず越えているものである。例えば、磁場回転角度が0度のとき、θdは0であるが、MはM_limを越えている。磁場回転角度が45度のとき、θdは0であるが、McはM_lim(=Mc_lim)を越えている。従って、第2の比較部33bと第3の比較部33cの出力の第2と第3の故障判定信号のどちらかがが「1」または「0」を出力している。
従って、論理和部34において、第1、第2及び第3の故障判定信号の論理和を演算することにより、すべての磁場の回転角度で故障情報を出力することができる。つまり、故障検知部30が、第1〜第3の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、回転角計測装置が故障していると判定するものである。
つまり、本発明により、θd、M又はMcのみの観測では困難であった、すべての磁場の回転角度での故障情報を正確に出力することができる。
図23は、図18における故障検知部のさらに他の具体例を示す回路構成図である。
図19及び図22の故障検知部30は、第1、第2の回転角度θ、θcと、第1、第2の振幅値M、Mcとから、磁気飽和という故障が起きているかどうか検知するものであったが、図23の故障検知部30は、ホール素子に故障が起きているのか、磁気飽和が起きているのか検知することが可能である。
図23の故障検知部30は、第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ32aと、第2の減算部31bと、第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ32bと、飽和故障判定部(故障組み合わせ判定部)35とから構成されている。
第1の減算部31aは、第1の回転角θと第2の回転角θcからθdを算出し、飽和故障判定部35と第1の比較部33aへと出力する。第1の比較部33aは、θdと第1の閾値メモリ(に格納されている閾値)θd_limとから故障を検知し、例えば、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」となる第1の故障判定信号を、飽和故障判定部35へと出力する。
第2の減算部31bは、第1の振幅値Mと第2の振幅値Mcから、Mdを算出し、飽和故障判定部35と第2の比較部33bへと出力する。第2の比較部33bは、Mdと第2の閾値メモリ(に格納されている閾値)Md_limとから故障を検知し、例えば、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」となる第2の故障信号を、飽和故障判定部35とへと出力する。
飽和故障判定部35は、第1の回転角と、θdと、第1の故障判定信号と、Mdと第2の故障判定信号を受け、ホール素子に故障が起きているのか、磁気飽和が起きているのか判定し、ホール素子の故障の場合は故障情報を、磁気飽和の場合は飽和情報を故障情報として出力する。つまり、飽和故障判定部35は、複数の回転角情報のうち1つの回転角情報と、複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分と、複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、第1の故障判定信号と、第2の故障判定信号とに基づいて、磁気収束板の磁気飽和の判定と、複数のホール素子の故障の判定とを行う。
図24は、磁気収束板が磁気飽和を起こした場合と、XY座標系のホール素子H0の出力がショート(出力が0)となった場合の、第1の回転角θの角度誤差Δθと、θdと、Mdのシミュレーション結果を表す図である。
磁気飽和した時のθdを実線、第1の回転角θの角度誤差Δθを点線、Mdを破線、ホール素子H0の出力がショートした場合のθdを一点鎖線、Mdを二点鎖線で表示している。XY45座標系の第3と第4のホール素子対では故障が起きていないので、第2の回転角θcの角度誤差Δθcは0となり、第1の回転角θの角度誤差Δθはθdと一致するので省略する。
図24からわかるように、角度の差分θdが0となるとき、磁気飽和していても故障していてもΔθも0となるので、算出されている第1の回転角θは正しいことが分かる。そして、例えば、磁場の回転角度が0度の時の振幅の差分Mdは、磁気飽和の場合には正であるが、ホール素子の故障の場合、負であることが分かる。従って、角度の差分が、θdが0で第1の回転角θが0のとき、振幅の差分Mdが0でなく負ならば、ホール素子H0のショートが起きている。また、Mdが0でなく正ならば、磁気飽和が起きていると判定できる。
以下の表2に示すように、同様の手順でその他のホール素子H45、H90、H135、H180、H225、H270、H315の故障も判定できる。表においては、θd、第1の故障判定信号、Md、第2の故障判定信号、第1の回転角θ、Mdの正負、判定結果を列として表示している。
Figure 0005852148
つまり、第1の回転角θと、第1の減算部31aの出力θdと、第1の比較部33aの出力と、第2の減算部31bの出力と、第2の比較部33bの出力とを受けて、飽和故障判定部35が上記の判定を行うことで、ホール素子の故障の場合は故障情報を、磁気飽和の場合は飽和情報を故障情報として出力する。
つまり、第1、第2の回転角度θ、θcと、第1、第2の振幅値M、Mcとから、故障検知部30は、ホール素子に故障が起きているのか、磁気飽和が起きているのか検知することができた。
この本発明による効果は、どのような故障が起きているかが判断できるので、特に、車載用途向けといった安全要求が厳しい用途で使用される回転角センサにおいては、非常に有益なものである。
以上、実施形態の説明からわかるように、磁気収束板下のあるホール素子グループによって形成されるXY座標系において、磁気飽和によって発生する角度誤差及び入力磁場の強度を表す振幅値が4倍波という周期的なものであり、これと異なる位相を持つ角度誤差及び入力磁場の強度を表す振幅値の4倍波を、他のホール素子グループによって形成される他のXY座標系において発生させることで、XY座標系の角度と振幅値と他の座標系の角度と振幅値とから、正確な磁気飽和の検出、又はホール素子の故障を検出することができた。
なお、以上の振幅算出部42を有する実施形態3の説明において、故障検知部30は、磁気飽和の検出を第1、第2の回転角度θ、θcと、さらに第1、第2の振幅値M、Mcに基づいて行っているが、これまでの説明から明らかなように、第1、第2の回転角度θ、θcを使わずに、第1、第2の振幅値M、Mcに基づいてだけでも、従来技術に比べて磁気飽和のより正確な検出が可能である。つまり、図19に記載の故障検知部30の第2の減算部31bと、第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ(第2の基準信号出力部)32bとから磁気飽和のより正確な検出(故障情報の出力)が可能なものである。また、図22に記載の故障検知部30の第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ32bと、第3の比較部33cと、第3の閾値メモリ(第3の基準信号出力部)32cとから磁気飽和のより正確な検出(故障情報の出力)が可能なものである。このような場合も本発明に含まれる。但し、第1、第2の回転角度θ、θcと、さらに第1、第2の振幅値M、Mcに基づくことで、すべての磁場の回転角度での故障情報を正確に出力することができるので好適である。
また、以上の振幅算出部42を有する実施形態3の説明において、磁気収束板とホール素子の配置は、上述した実施形態1の図7と同じであるとしている。すなわち、XY座標系に対し、追加座標系としてのXY45座標系は、XY座標をGを中心に45°回転させたものとしたが、本発明は、振幅算出部42を有する場合も、上述した配置に限るものではない。すなわち、Gを中心に45°でない追加座標系の場合においても、磁気飽和が起きている場合、XY座標系において算出される入力磁場の強度を表す第1の振幅値Mの4倍波と、他の座標系において算出される第2の振幅値Mcの4倍波は、位相が異なるものであり、磁気飽和のより正確な検出が可能なものであり、その場合も本発明に含まれる。
また、本発明の各実施形態の説明において、図10A〜図10Dや図16や図18の信号処理回路の構成において、ホール素子以後のMUX、減算部、角度算出部、振幅算出部を共通化して、各配置グループのホール素子からの信号を時分割で取得した構成にて説明を行ったが、高速な処理を行うために、X軸減算部、Y軸減算部、角度算出部、振幅算出部をホール素子の配置グループ毎に持たせ、連続的に信号処理を行っても良い。また、平均算出部や故障検知部(又は故障検知部)をホール素子と同じ基板上で形成せずに、外部CPUなどで構成しても良い。このような信号処理回路の構成も本発明の技術的範囲に含まれる。
上述した全ての実施形態は、ISO26262に準拠したシステムであり、角度算出部がISO26262に準拠して回転磁石の回転角情報を出力するISO26262準拠角度情報出力部である。また、別の見方をすれば、上述した全ての実施形態は、機能安全システムであり、角度算出部が、回転磁石の回転角情報を機能安全で、つまり、functionnally safelyに出力する機能安全角度情報出力部である。さらに、別の見方をすれば、上述した全ての実施形態は、回転角情報2重系出力システムであり、角度算出部が、回転磁石の2重回転角情報を出力する2重角度情報出力部である。
[実施形態4]
図25は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態4の信号処理回路を示す構成図である。なお、磁気収束板とホール素子の配置は、上述した実施形態1の図7と同じである。
上述したように、図10A〜図10Dや図16や図18の信号処理回路の構成において、高速な処理を行うために、X軸減算部、Y軸減算部、角度算出部、振幅算出部をホール素子の配置グループ毎に持たせ、連続的に信号処理を行っても良い。
図25において、回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、第1のX軸減算部26X1と、第1のY軸減算部26Y1と、第1の角度算出部41aと、第1の記憶レジスタ28aと、第2のX軸減算部26X2と、第2のY軸減算部26Y2と、第2の角度算出部41bと、第2の記憶レジスタ28bと、平均値算出部29と、故障検知部30とから構成されている。故障検知部30は、減算部31と閾値比較部33と閾値メモリ32とから構成されている。
第1の角度算出部41aは、第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて回転磁石の第1の回転角θを算出する。第2の角度算出部41bは、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて回転磁石の第2の回転角θcを算出するものである。つまり、本実施形態4では、複数の回転角情報を2つの角度算出部が算出している。
平均値算出部29と故障検知部30は、上述した実施形態1と同様であるので説明を省略する。
図25において、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力は、第1のX軸減算部26X1に入力される。第2のホール素子対22(H90とH270)の出力は、第1のY軸減算部26Y1に入力される。第1のX軸減算部26X1と第1のY軸減算部26Y1は、それぞれ出力信号HVXとHVYを第1の角度算出部41aに出力する。
第1の角度算出部41aは、HVXとHVYとからXY座標系の角度θを算出し、第1の記憶レジスタ28aに出力する。
配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力は、第2のX軸減算部26X2に入力される。第4のホール素子対24(H135とH315)の出力は、第2のY軸減算部26Y2に入力される。第2のX軸減算部26X2と第2のY軸減算部26Y2は、それぞれ出力信号HVX45とHVY45を第2の角度算出部41bに出力する。
第2の角度算出部41bは、HVX45とHVY45とからXY45座標系の角度θ45を算出し、45°補正した角度θcを第2の記憶レジスタ28bに出力する。第1及び第2の記憶レジスタ28a、28bは、それぞれθとθcを平均値算出部29と故障検知部30へ出力する。
平均値算出部29と故障検知部30の動作は、上述した実施形態1で説明したのと同様である。
このように回転角計測装置を構成したので、第1の回転角と第2の回転角を同時に算出可能であるので、高速な信号処理が可能で、高精度な角度算出と、磁気飽和の検出が高速に行える。
また、このように第1の回転角と第2の回転角を別々の角度算出部にて算出する構成としたので、ホール素子から角度算出部までの間に故障が生じた場合、故障検知部において、第1の回転角と第2の回転角の差分θdにより、実施形態1と同様に、適当な閾値θd_limによって、
|θd|<θd_lim
という関係式で故障も検出することが可能である。
つまり、本発明により、磁気飽和だけでなくホール素子から角度算出部までの故障も検出可能である。
[実施形態5]
図26は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態5の信号処理回路を示す構成図である。本実施形態5は、上述した実施形態3の角度振幅算出部を別々に有した場合の連続的な信号処理回路の構成を示す構成図である。なお、磁気収束板とホール素子の配置は、上述した実施形態1の図7と同じである。
図26において、回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、第1のX軸減算部26X1と、第1のY軸減算部26Y1と、第1の角度振幅算出部40aと、第1の記憶レジスタ28aと、第3の記憶レジスタ28cと、第2のX軸減算部26X2と、第2のY軸減算部26Y2と、第2の角度振幅算出部40bと、第2の記憶レジスタ28bと、第4の記憶レジスタ28dと、平均値算出部29と、故障検知部30とから構成されている。
第1の角度振幅算出部40aは、第1の角度算出部41aと第1の振幅算出部42aとから構成されている。第2の角度振幅算出部40bは、第2の角度算出部41bと第2の振幅算出部42bとから構成されている。
第1の角度算出部41aは、第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて回転磁石の第1の回転角θを算出する。第2の角度算出部41bは、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて前記回転磁石の第2の回転角θcを算出するものである。
第1の振幅算出部42aは、第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて回転磁石からの磁場強度を表す第1の振幅値Mを算出する。第2の振幅算出部42bは、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて回転磁石からの磁場強度を表す第2の振幅値Mcを算出する。平均値算出部29の動作は、上述した実施形態1で説明したものと同様である。
故障検知部30は、上述した実施形態3に記載の図19又は図22又は図23のいずれかで構成されている。
図26において、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力は、第1のX軸減算部26X1に入力される。第2のホール素子対22(H90とH270)の出力は、第1のY軸減算部26Y1に入力される。第1のX軸減算部26X1と第1のY軸減算部26Y1は、それぞれ出力信号HVXとHVYを第1の角度振幅算出部40aの第1の角度算出部41a及び第1の振幅算出部42aに出力する。
配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力は、第2のX軸減算部26X2に入力される。第4のホール素子対24(H135とH315)の出力は、第2のY軸減算部26Y2に入力される。第2のX軸減算部26X2と第2のY軸減算部26Y2は、それぞれ出力信号HVX45とHVY45を第2の角度振幅算出部40bの第2の角度算出部41b及び第2の振幅算出部42bに出力する。
第1の角度算出部41aは、HVXとHVYとからXY座標系の角度θを算出し、第1の記憶レジスタ28aに出力する。第1の振幅算出部42aは、HVXとHVYとから振幅値Mを算出し、第3の記憶レジスタ28cに出力する。第2の角度算出部41bは、HVX45とHVY45とからXY45座標系の角度θを算出し、第2の記憶レジスタ28bに出力する。第2の振幅算出部42bは、HVX45とHVY45とから振幅値Mcを算出し、第4の記憶レジスタ28dに出力する。
平均値算出部29と故障検知部30は、上述した実施形態3と同様であるので動作の説明は省略する。
このように回転角計測装置を構成したので、第1の回転角と第2の回転角と第1の振幅値と第2の振幅値を同時に算出可能であるので、高速な信号処理が可能で、高精度な角度算出と、故障の検出が高速に行える。
また、このように第1の回転角と第2の回転角を別々の角度算出部にて算出し、第1の振幅値と第2の振幅値を別々の振幅算出部で算出する構成としたので、ホール素子から角度振幅算出部までの間に故障が生じた場合、故障検知部において検出が可能であるとともに、ホール素子の故障を検知できるので、一方の座標系のホール素子で故障が起きても、他方の座標系のホール素子を利用することにより、回転角の計測が継続できる。例えば、配置Aのホール素子に故障が起きた場合、第1の回転角は信頼できなくなるが、配置Bのホール素子に故障は起きていないので、第2の回転角を計測し出力し続けることができる。このような本発明の効果は、車載用途向けといった安全要求が厳しい用途で使用される回転角センサにおいては、非常に有益なものである。つまり、本例は、機能安全システムでありISO26262に準拠したシステムである。
本発明の各実施形態において、第1の回転角と第2の回転角の差分、又は第1の振幅値と第2の振幅値の差分を、減算部にて算出し、比較部で閾値との比較を行っているが、これと同様な結果をもつものであれば、どのような演算でも本発明に含まれる。
また、実施の形態3及び5の説明において、角度振幅算出部40を、角度算出部41と振幅算出部42とに分け、それぞれ角度の算出と振幅の算出をお行っているが、例えばCORDIC(COordinate Rotation DIgital Computer)を使うことで、一つの角度振幅算出部として、角度と振幅を同時に算出することもできる。このような演算手法を使った場合の構成も本発明の範囲に含まれる。
また、これまでの説明にて明らかなように、本発明の効果は、磁気飽和による角度誤差の低減(それによる入力磁場範囲の拡張と、又はSNの向上)と、磁気飽和の正確な検出であるが、どちらか一方のみの効果を利用する場合は、平均算出部と故障検知部のどちらか一方のみを備えればよい。
つまり、本発明は、これまでに記載された実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれる。即ち、当業者であればなし得るであろう各種変形や修正を含むことは勿論である。
上述した回転角計測装置の実施態様を以下に記載する。
(1)複数のホール素子対と、前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、前記複数の回転角情報から前記回転角情報の補正を行う回転角情報補正部と、を備えていることを特徴とする回転角計測装置である。
(2)また、前記回転角情報補正部は、前記複数の回転角情報から平均値を算出することを特徴とする。
(3)また、前記回転角情報補正部は、前記複数の回転角情報から加算値を算出することを特徴とする。
(4)また、前記回転角情報補正部は、前記複数の回転角情報から中央値を算出することを特徴とする。
(5)また、前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部を備えていることを特徴とする。
(6)また、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力と、基準信号出力部が出力する基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(7)また、前記故障検知部は、前記複数の回転角情報のうち2つの差分と、前記基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(8)また、前記差分を算出する差分算出部を備えていることを特徴とする。
(9)また、前記故障検知部は、前記磁気収束板の磁気飽和を検知することを特徴とする。
(10)また、前記複数の回転角情報にそれぞれ対応した前記複数の対の出力信号に基づく複数の振幅情報を算出する振幅算出部をさらに備え、前記故障検知部は、さらに、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(11)また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報と、第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(12)また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、前記第2の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(13)また、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第1及び第2の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定することを特徴とする。
(14)また、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記複数の回転角情報のうち1つの回転角情報と、前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分と、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、前記第1の故障判定信号と、前記第2の故障判定信号とに基づいて、前記磁気収束板の磁気飽和の判定と、前記複数のホール素子の故障の判定と、を行う判定部をさらに備えたことを特徴とする。
(15)また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報と、第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号と、第3の基準信号出力部が出力する第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(16)また、前記故障検知部は、前記複数の振幅情報のうち第1の振幅情報と前記第2の基準信号とを比較し、前記複数の振幅情報のうち前記第1の振幅情報と異なる第2の振幅情報と前記第3の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(17)また、前記故障検知部は、前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記第1の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第2の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第3の故障判定信号を出力し、前記第1〜第3の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定することを特徴とする。
(18)また、前記複数の対は、少なくとも3つの対であり、前記故障検知部は、前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分を2つ以上算出し、これら2つ以上の差分と前記基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
(19)また、前記故障検知部は、前記2つ以上の差分と前記基準信号とをそれぞれ比較して前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す信号をそれぞれ出力し、これら信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定することを特徴とする。
(20)また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸の位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
(21)また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の前記原点を中心とする円周下に45度ずつそれぞれずらして配置されていることを特徴とする。
(22)また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の前記原点を中心とする円周下に30度ずつそれぞれずらして配置されていることを特徴とする。
(23)また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸を挟んで2つのホール素子対が配置されていることを特徴とする。
1 回転磁石
2 集積回路(シリコン基板)
3 ホール素子
4,14 磁気収束板
11X X軸減算部
11Y Y軸減算部
12 演算部
21(H0、H180) 第1のホール素子対
22(H90、H270) 第2のホール素子対
23(H45、H225) 第3のホール素子対
24(H135、H315) 第4のホール素子対
25,225 MUX(マルチプレクサ)
26X,226X X軸減算部
26X1 第1のX軸減算部
26X2 第2のX軸減算部
26Y,226Y Y軸減算部
26Y1 第1のY軸減算部
26Y2 第2のY軸減算部
27,227 角度算出部
28a,228a 第1の記憶レジスタ
28b,228b 第2の記憶レジスタ
28c,228c 第3の記憶レジスタ
28d 第4の記憶レジスタ
29,229 平均値算出部
30,230 故障検知部
31 減算部
31a,231a 第1の減算部
31b,231b 第2の減算部
32,232 閾値メモリ
32a 第1の閾値メモリ(第1の基準信号出力部)
32b 第2の閾値メモリ(第2の基準信号出力部)
32c 第3の閾値メモリ(第3の基準信号出力部)
33 閾値比較部
33a,233a 第1の閾値比較部
33b,233b 第2の閾値比較部
33c 第3の閾値比較部
34 論理和部(故障組み合わせ判定部)
35 飽和故障判定部(故障組み合わせ判定部)
40 角度振幅算出部
40a 第1の角度振幅算出部
40b 第2の角度振幅算出部
41 角度算出部
41a 第1の角度算出部
41b 第2の角度算出部
42 振幅算出部
42a 第1の振幅算出部
42b 第2の振幅算出部
121(H0、H180) 第1のホール素子対
122(H90とH270) 第2のホール素子対
123(H30、H210) 第3のホール素子対
124(H120とH300) 第4のホール素子対
125(H60、H240) 第5のホール素子対
126(H150とH330) 第6のホール素子対

Claims (21)

  1. 複数のホール素子対と、
    前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、
    前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、
    前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、
    前記複数の回転角情報から前記回転角情報の補正を行う回転角情報補正部と、
    前記角度算出部の出力に基づいて、前記磁気収束板の磁気飽和を検知する故障検知部と、
    を備えている回転角計測装置。
  2. 複数のホール素子対と、
    前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、
    前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、
    前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、
    前記複数の回転角情報から前記回転角情報の補正を行う回転角情報補正部と、
    前記複数の回転角情報にそれぞれ対応した前記複数の対の出力信号に基づく複数の振幅情報を算出する振幅算出部と、
    前記角度算出部の出力と前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、
    を備えている回転角計測装置。
  3. 複数のホール素子対と、
    前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、
    前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、
    前記複数のホール素子対の少なくとも3つの対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、
    前記複数の回転角情報から前記回転角情報の補正を行う回転角情報補正部と、
    前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分を2つ以上算出し、これら2つ以上の差分と、基準信号出力部が出力する基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、
    を備えている回転角計測装置。
  4. 前記回転角情報補正部は、
    前記複数の回転角情報から平均値を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転角計測装置。
  5. 前記回転角情報補正部は、
    前記複数の回転角情報から加算値を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転角計測装置。
  6. 前記回転角情報補正部は、
    前記複数の回転角情報から中央値を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転角計測装置。
  7. 前記故障検知部は、
    前記角度算出部の出力と、基準信号出力部が出力する基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項1または2に記載の回転角計測装置。
  8. 前記故障検知部は、
    前記複数の回転角情報のうち2つの差分と、前記基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項1または2に記載の回転角計測装置。
  9. 前記差分を算出する差分算出部を備えている請求項に記載の回転角計測装置。
  10. 前記故障検知部は、
    前記複数の振幅情報と、第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項に記載の回転角計測装置。
  11. 前記故障検知部は、
    前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、前記第2の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項10に記載の回転角計測装置。
  12. 前記故障検知部は、
    前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第1及び第2の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定する請求項11に記載の回転角計測装置。
  13. 前記故障検知部は、
    前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記複数の回転角情報のうち1つの回転角情報と、前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分と、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、前記第1の故障判定信号と、前記第2の故障判定信号とに基づいて、前記磁気収束板の磁気飽和の判定と、前記複数のホール素子の故障の判定と、を行う判定部をさらに備えた請求項11に記載の回転角計測装置。
  14. 前記故障検知部は、
    前記複数の振幅情報と、第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号と、第3の基準信号出力部が出力する第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項に記載の回転角計測装置。
  15. 前記故障検知部は、
    前記複数の振幅情報のうち第1の振幅情報と前記第2の基準信号とを比較し、前記複数の振幅情報のうち前記第1の振幅情報と異なる第2の振幅情報と前記第3の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項14に記載の回転角計測装置。
  16. 前記故障検知部は、
    前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記第1の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第2の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第3の故障判定信号を出力し、前記第1〜第3の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定する請求項15に記載の回転角計測装置。
  17. 前記故障検知部は、
    前記2つ以上の差分と前記基準信号とをそれぞれ比較して前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す信号をそれぞれ出力し、これら信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定する請求項に記載の回転角計測装置。
  18. 前記複数のホール素子対は、
    前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸の位置にそれぞれ配置されている請求項1〜17のいずれか1項に記載の回転角計測装置。
  19. 前記複数のホール素子対は、
    前記磁気収束板の前記原点を中心とする円周下に45度ずつそれぞれずらして配置されている請求項18に記載の回転角計測装置。
  20. 前記複数のホール素子対は、
    前記磁気収束板の前記原点を中心とする円周下に30度ずつそれぞれずらして配置されている請求項18に記載の回転角計測装置。
  21. 前記複数のホール素子対は、
    前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸を挟んで2つのホール素子対が配置されている請求項1〜20のいずれか1項に記載の回転角計測装置。
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