JP6034813B2 - 回転角計測装置 - Google Patents
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Description
図1は、特許文献1に記載の回転角センサを説明するための構成図である。この回転角センサは、回転体に取り付けられた回転磁石1と、この回転磁石1の下に離れて置かれた集積回路(シリコン基板)2があり、このシリコン基板2上には、このシリコン基板2上に形成されたホール素子3と、さらにそのホール素子3上に磁気収束板4が設けられている。そして、回転磁石1から発生するシリコン基板2の平面に平行な磁場(横磁場)を、磁気収束板4とホール素子3を用いて検出することで、回転磁石1の回転角度を算出するものである。
しかしながら、図3に示されるように、回転磁石1から発生した磁場は、磁気収束板4に引き寄せられるため、シリコン基板2の平面と並行な横磁場(図3)においてはX軸成分)は、シリコン基板2の平面に対して垂直な方向(Z軸方向)へ曲げられ、ホール素子の感磁面を通過する。したがって、これらのホール素子は、横磁場を信号として検出できる。
図2において、磁気収束板4に入射する磁場が、原点を中心にX軸から反時計まわりにθの向きに入射している様子が描かれている。この時、H0は、磁場のX軸成分を正符号出力(+Vx)で検出し、H180は、負符号出力(−Vx)で検出するものとする。同様に、H90は、磁場のY軸成分を正符号出力(+Vy)で検出し、H270は、負符号出力(−Vy)で検出するものとする。そして4つのホール素子は、すべて磁場のZ軸成分をXY平面に入射する方向を正符号出力(+Vz)として検出するものとする。
HVX=+Vx+Vz−(−Vx+Vz)=2Vx ・・・(1)
HVY=+Vy+Vz−(−Vy+Vz)=2Vy ・・・(2)
となる。つまり、磁場強度のX軸成分及びY軸成分である。Z軸成分はキャンセルされて検出されない。
ここで、回転角センサは、HVXとHVYから磁場の角度θを
θ=atan(HVY/HVX) ・・・(3)
として、算出する。なお、このように角度が算出できるのは回転磁場に対する磁気収束板下の磁場強度が理想的な正弦波状の変化を示すためである。
また、特許文献2に記載の角度算出手法は、上述したようなXY座標系を利用したものでなく、磁気収束板の円周下に等間隔に配置された複数のホール素子において、信号出力の符号が異なる隣接する2つのホール素子の出力から角度を算出するものである。
また、例えば、特許文献5には、外部磁石の磁場歪みによって発生する角度誤差を低減する手法が開示されている。この特許文献5に記載の回転角センサは、MR(磁気抵抗)素子が有する誤差又は外部磁石の磁場の歪みによる誤差を低減するものである。
さらに、例えば、特許文献6には、磁気収束板を利用し、2個以上のホール素子によって各軸成分を演算する手法が開示されている。
磁気収束板は、弱い磁場では印加された磁場に対し、線形に磁化されてゆくが、ある一定強度以上の磁場が印加された場合、もはや線形に磁化されなくなる。そのような、線形に磁化されなくなる点を便宜上、磁気飽和点と定義し、線形に磁化されない現象を磁気飽和(現象)と定義する。
図5は、磁気飽和点70mTの磁気収束板に50mTと100mTの磁場を印加したときに、印加方向からなす角度0度〜360度における磁気収束板円周下の磁場強度の変化の様子を示す図である。図5では0度方向(印加磁場と並行)の磁場強度を1と規格化している。図5から分かるように、磁気飽和点以下の50mTの磁場印加では、磁気収束板下の磁場強度は磁場の角度に対して理想的な正弦波(余弦波)を形成する(図5中の菱形プロットとそれらを結ぶ線)が、磁気飽和点以上の100mTの磁場印加では、歪んだ正弦波となる(図5中の四角プロットとそれらを結ぶ線)ことがわかる。
従って、このような磁気飽和点以上の磁場を回転させたときには、磁場の変化が理想的な正弦波ではなくなるので、上記に説明してきた回転角計測装置の算出角度に誤差が発生する。
図6から分かるように、角度誤差は0度、45度、90度と45度おきに最小(0度近辺)となり、1回転360度の間に誤差のピークが正負それぞれ4回の波形(以後、角度誤差の4倍波と呼ぶ)となっている。この角度誤差は、磁気収束板の磁気飽和によって発生するものである。高精度かつ高信頼な回転角計測装置において、このような磁気飽和が起きたことを検出することが重要である。磁気飽和が起きるということは、例えば、回転軸に取り付けられた磁石が本来の位置からずれた、あるいは回転軸がずれたということと等価であり、回転角計測装置のユーザーにとって望ましくない故障である。そして、制御の点から角度誤差の増大も望ましくないものでもある。例えば、モーター制御用途の回転角計測装置の場合、角度誤差はトルクリップルにつながることになる。
特に最近、パワーステアリングシステム等の自動車の分野では、ISO26262に準拠する機能安全が求められるようになった。ISO26262に準拠するために、発明者らは、自動車の分野で使われる回転角計測装置が、回転磁石等の故障を高速に検出可能でなければならないことを見出した。つまり、発明者らは、例えば回転磁石の故障により磁気収束板の磁気飽和が起こったときに、磁気飽和を素早く確実に検出しなければならないという新たな課題を見出した。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、回転磁石を利用した回転角計測装置からなる制御システムが、回転磁石等の故障により誤作動することを防ぐために、磁気収束板を利用した回転角計測装置において、磁気飽和を素早く確実に検出することが可能な回転角計測装置を提供することにある。
また、複数のホール素子対を備えた回転角計測装置であって、前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、前記複数の回転角情報にそれぞれ対応した前記複数の対の出力信号に基づく複数の振幅情報を算出する振幅算出部と、前記複数の回転角情報、および、前記複数の振幅情報のうち第1の振幅情報と第1の基準信号出力部が出力する第1の基準信号との比較結果と、前記複数の振幅情報のうち前記第1の振幅情報と異なる第2の振幅情報と第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号との比較結果とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、を備えている回転角計測装置である。
また、複数のホール素子対を備えた回転角計測装置であって、前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石からの磁場強度を表す振幅情報を複数算出する振幅算出部と、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、第1の基準信号出力部が出力する第1の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、を備えている回転角計測装置である。
また、複数のホール素子対を備えた回転角計測装置であって、前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石からの磁場強度を表す振幅情報を複数算出する振幅算出部と、前記複数の振幅情報のうち第1の振幅情報と第1の基準信号出力部が出力する第1の基準信号とを比較し、前記複数の振幅情報のうち前記第1の振幅情報と異なる第2の振幅情報と第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、を備えている回転角計測装置である。
また、前記故障検知部は、前記複数の回転角情報のうち2つの差分と、前記第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記差分を算出する差分算出部を備えていることを特徴とする。
また、前記故障検知部は、前記磁気収束板の磁気飽和を検知することを特徴とする。
また、前記複数の対は、少なくとも3つの対であり、前記故障検知部は、前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分を2つ以上算出し、これら2つ以上の差分と前記第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知することを特徴とする。
また、前記複数のホール素子対は、前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸を挟んで2つのホール素子対が配置されていることを特徴とする。
まず、実施形態1は2つの座標系を用いる場合、実施形態2は3つの座標系を用いる場合で説明を行う。
[実施形態1]
図7は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態1のホール素子の配置を説明する図である。円形の磁気収束板14の円周下の反時計回りに45度おきにそれぞれ複数のホール素子H0、H45、H90、H135、H180、H225、H270、H315が配置されている。複数のホール素子H0、H45、H90、H135、H180、H225、H270、H315のうち、H0とH180が1つのホール素子対、H45とH225が1つのホール素子対、H90とH270が1つのホール素子対、H135とH315が1つのホール素子対となっている。そして、複数のホール素子対の感磁面上には円形の磁気収束板14が設けられている。また、磁気収束板14には回転磁石が磁気収束板14を平面視で覆うように近接配置されている。
つまり、複数のホール素子対は、90°/Nの整数倍の座標系の座標軸の位置にそれぞれ配置されている。この場合はN=2であり、複数のホール素子対は90°/Nの0倍と1倍の座標系の座標軸の位置にそれぞれ配置されている。また、複数のホール素子対は、磁気収束板の円周下に45度ずつそれぞれずらして配置されていることが好ましい。
ここでXY座標系を構成しているホール素子H0、H90、H180、H270の配置を配置Aとし、XY45座標系を構成しているホール素子H45、H135、H225、H315の配置を配置Bとする。
HVX=VBcosθ
HVY=VBsinθ
となる。一方、磁場Bは同様にX45軸から反時計回りにθ45の向きに入射しているとすると、
HVX45=VBcosθ45
HVY45=VBsinθ45
となる。それぞれ、角度θとθ45は以下の式で表される。
θ=atan(HVY/HVX)
θ45=atan(HVY45/HVX45)
ここで、角度誤差がない場合をそれぞれ、θideal、θ45idealと定義しておく。
θc=θ45+45°
θc_ideal=θ45ideal+45°=θideal
磁気飽和によって角度誤差がXY座標系でΔθ、XY45座標系でΔθ45発生していたとすると、それぞれ
θ=θideal+Δθ
θ45=θ45ideal+Δθ45
となる。そして、
θc=θ45+45°=θ45ideal+Δθ45+45°=θideal+Δθ45
となり、θcの角度誤差はΔθ45である。
磁場の角度に対して配置Aのホール素子による角度算出誤差Δθは、図中実線で表されており、図6と同じ4倍波である。一方、XY45座標系を形成した配置Bのホール素子による角度算出θ45に45°を加算したθcの角度誤差Δθ45は、図中点線で表されており、Δθと同じ4倍波であるが、その極性が反転しているものである。これは、XY45座標系で測定されたΔθ45がΔθに対して4×45°=180°分位相がずれるためである。表1は、ΔθとΔθ45の角度範囲毎の極性を示した表である。
Δθ+Δθ45≒0
となる。つまり、本発明においてXY45座標系は、XY座標系で発生する角度誤差を打ち消すような角度誤差を発生する配置となっているものである。
ここで、θとθcの平均値をθaveは、
θave=(θ+θc)/2=(θideal+Δθ+θideal+Δθ45)/2≒θideal
となり、磁気飽和により角度誤差が発生しても、高精度にXY座標系の角度を求めることができる。つまり、XY座標系で角度を算出し、かつXY45座標系で角度を算出し、複数の回転角情報θ、θcから回転磁石の回転角情報を補正(上述した例では算術平均)することで、高精度な磁場の角度測定を実現するものである。図8中一点鎖線は、θaveの残留誤差Δθaveであり、Δθ、Δθ45と比較して明らかに低減していることがわかる。
磁気飽和を起こしていない場合、
Δθ−Δθ45=0
であることは明らかである。しかし、磁気飽和を起こした場合、角度誤差の4倍波が0°となるK×45°(Kは0から7までの整数)の角度付近を除き、表1のようにΔθとΔθ45の極性は異なるので、
Δθ−Δθ45≠0となることも、これまでの説明から明らかである。従って、θとθcが算出された場合、この差分θdは、
θd=θ−θc=Δθ−Δθ45≠0
である。適当な閾値θd_limを決めておけば、
|θd|<θd_lim
という関係式(|θd|はθdの絶対値)により、|θd|がθd_limよりも大きくなれば、磁気飽和の検出が可能である。つまり、XY座標系の算出角度θのみでは検出できなかった磁気飽和が、XY45座標系の算出角度θ45を利用することで検出可能となる。
図10Aは、本発明に係る回転角計測装置の実施形態1の信号処理回路を示す構成図である。図10Aの回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、MUX(マルチプレクサ;multiplexer)25と、X軸減算部26Xと、Y軸減算部26Yと、角度算出部27と、第1の記憶レジスタ28aと第2の記憶レジスタ28bと、回転角情報補正部29と、故障検知部30とから構成されている。故障検知部30は、減算部31と閾値比較部33と閾値メモリ32とから構成されている。
また、回転角情報補正部29は、第1の回転角θ、第2の回転角θcから回転角情報の補正を行う。この補正は、第1の回転角θと第2の回転角θcのうち真の回転角に対して誤差が大きい方の回転角の情報に、真の回転角に対して誤差が小さい方の回転角の情報を与え、真の回転角に近い回転角情報を出力する補正である。これにより、磁気収束板の磁気飽和で決まるダイナミックレンジが広くなる。
図10Bにおいて、平均値算出部29は、第1の回転角θと第2の回転角θcとから平均値θaveを算出するものである。この平均値θaveは、算術平均であるが、算術平均に限らず相乗平均や調和平均を出力するようにしてもよい。
以下、全ての実施形態において、回転角情報補正部29は、平均値算出部29としたもので説明する。また、平均は、算術平均であるとする。なお、言うまでもなく、全ての実施形態において、平均値算出部29は、相乗平均や調和平均を算出するものでもよく、加算値や中央値を算出するものでもよい。
MUX25は、時刻φ1において、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対22(H90とH270)の出力をそれぞれX軸減算部26XとY軸減算部26Yに出力する。X軸減算部26XとY軸減算部26Yは、それぞれ出力信号HVXとHVYを角度算出部27に出力する。
角度算出部27は、時刻φ2において、XY45座標系の角度θ45を算出し、45°補正した角度θcを第2の記憶レジスタ28bに出力する。第1及び第2の記憶レジスタ28a、28bは、それぞれθとθcを平均値算出部29と故障検知部30へ出力する。平均値算出部29では、θとθcとからθaveを算出する。θaveにおいては、磁気飽和による角度誤差は低減されている。
なお、追加座標系としてのXY45座標系は、XY座標をGを中心に45°回転させたものとしたが、45°回転に限らず、追加座標系のためのホール素子の配置が可能な領域が確保できる0°〜90°内の、どの角度θaであっても、磁気飽和の検出が原理的に実施可能である。
追加座標系で算出した角度θtに対し、θc=θt+θaとすると、角度誤差低減の場合は、
θave=(θ+θc)/2
とすれば、角度誤差ΔθaveがΔθ、Δθtに比較して小さくなる。(Δθtは、Δθの位相が異なる波形であるため、両者の平均は元の波形に比べ小さくなる。)
一方、磁気飽和の検出の場合は、
θd=θ−θc
は、磁気飽和していない場合はθd=0、飽和した場合はθd≠0であり、上記に説明した手法で磁気飽和が検出できる。
以上のように、θa=45°でない場合においても、上述したような効果が得られ、本発明に含まれるものである。但し、θa=45°の場合が、角度誤差の4倍波の位相が180°ずれたもの同士の減算となるので、最もθdの変動が大きく検出感度が上がり、本発明を利用するのに好適である。
図13は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態2のホール素子の配置を説明する図である。
磁気収束板14の円周下に30°おきに、H0、H30、H60、・・・、H330と計12個のホール素子が配置されている。第1のホール素子対121(H0、H180)、第2のホール素子対122(H90、H270)の配置を配置A’、第3のホール素子対123(H30、H210)、第4のホール素子対124(H120、H300)を配置B’、第5のホール素子対125(H60、H240)、第6のホール素子対126(H150、H330)を配置C’とする。
つまり、複数のホール素子対は、磁気収束板の円周下に30度ずつそれぞれずらして配置されている。
配置A’のH180からH0へ向かう直線上にX軸を、H270からH90に向かう直線上にY軸を形成し、同様に配置B’のH210からH30へ向かう直線上にX30軸、H300からH120へ向かう直線上にY30軸を形成し、配置C’のH240からH60へ向かう直線上にX60軸、H330からH150へ向かう直線上にY60軸を形成する。つまり、配置A’、配置B’、配置C’のホール素子によって形成される座標系をそれぞれXY座標系、XY30座標系、XY60座標系とする。XY30座標系と、XY60座標系は、それぞれXY座標系を中心点G回りに30°、60°回転させた座標系となる。
それぞれの座標系において算出される角度をθ、θ30、θ60とし、磁気飽和によって発生する角度誤差はそれぞれΔθ、Δθ30、Δθ60とする。なお、算出角度に角度誤差がない時は、θ、θ30、θ60はそれぞれθideal、θ30ideal、θ60idealと表記する。
図14において、実線がΔθ、点線がΔθ30、二点鎖線がΔθ60である。そして、Δθの誤差を示す波形に対し、Δθ30は120°、Δθ60は240°位相が異なる波形で誤差を発生していることがわかる。これは、XY座標系で測定したΔθが4倍波であるため、30°、60°と回転させたXY30座標系で測定したΔθ30は30°×4分位相が異なり、同様にXY60座標系で測定したΔθ60が60°×4分位相が異なることによる。従って、
Δθ+Δθ30+Δθ60≒0
という関係になる。
θ=θideal+Δθ
θ30=θ30ideal+Δθ30=θideal−30°+Δθ30
θ60=θ60ideal+Δθ60=θideal−60°+Δθ60
であるから、ここで、θ、θ30+30°(≡θc)、θ60+60°(≡θc’)の平均値θaveは、
θave=(θ+θc+θc’)/3=θideal+(Δθ+Δθ30+Δθ60)/3≒θideal
となり、磁気飽和により角度誤差が発生しても、高精度にXY座標系の角度を求めることができる。つまり、XY座標系で角度を算出し、そしてXY30、XY60座標系でも角度を算出することで、高精度な磁場の角度測定を実現するものである。図14中の一点鎖線は、θaveの残留誤差Δθaveであり、Δθ、Δθ30、Δθ60と比較して明らかに低減していることがわかる。
上述した実施形態1と同様に磁気飽和が起きていない場合、
Δθ−Δ30=0、Δθ30−Δ60=0
であり、磁気飽和が起きた場合、それぞれ角度誤差が等しくなる角度を除き、
Δθ−Δ30≠0、Δθ30−Δ60≠0
である。適当な閾値θd_limを決めておけば、θd=θ−θc、θd’=θc−θc’として、
|θd|<θd_lim
|θd’|<θd_lim
という関係式により、磁気収束板14の磁気飽和が検出できることになる。
つまり、本実施形態2の回転角計測装置は、基板上に設けられた複数のホール素子H0〜H330と、この複数のホール素子H0〜H330の感磁面上に設けられた磁気収束板14とを備え、この磁気収束板14を平面視で覆うようにこの磁気収束板14に近接して配置された回転磁石の回転角を計測する回転角計測装置である。
また、第1の減算部(差分算出部)231aの出力と、閾値メモリ(基準信号出力部)232が出力する基準信号とから回転角計測装置の故障を検知する第1の閾値比較部233aと、第2の減算部(差分算出部)231bの出力と、閾値メモリ(基準信号出力部)232が出力する基準信号とから回転角計測装置の故障を検知する第2の閾値比較部233bとを備えている。
図16において、配置A’の第1のホール素子対121(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対122(H90とH270)の出力と、配置B’の第3のホール素子対123(H30、H210)の出力と、第4のホール素子対124(H120とH300)の出力と、配置C’の第5のホール素子対125(H60、H240)の出力と、第6のホール素子対126(H150とH330)の出力と、がそれぞれMUX225に出力される。MUX225は、時刻φ1において、配置A’の第1のホール素子対121(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対122(H90とH270)の出力をそれぞれX軸減算部226XとY軸減算部226Yに出力する。時刻φ2において、配置B’の第3のホール素子対123(H30、H210)の出力と、第4のホール素子対124(H120とH300)の出力をそれぞれX軸減算部226XとY軸減算部226Yに出力する。時刻φ3において、配置C’の第5のホール素子対125(H60、H240)の出力と、第6のホール素子対126(H150とH330)の出力をそれぞれX軸減算部226XとY軸減算部226Yに出力する。
以上、実施形態の説明からわかるように、磁気収束板下のあるホール素子グループによって形成されるXY座標系において、磁気飽和によって発生する角度誤差が4倍波という周期的なものであり、これと異なる位相を持つ角度誤差の4倍波を、別のホール素子グループによって形成される別のXY座標系において発生させ、その位相差(角度差)を減算することで利用し、磁気飽和の検出を素早く確実に行うことができた。
また、本発明の実施形態の説明において、簡便のため各座標系を構成しているホール素子の数は4個、各座標軸の成分ではホール素子の数は2個で説明したが、座標軸を等価的に表せる場合はホール素子の数はその限りではない。例えば、実施形態1において、XY座標系、XY45座標系において、各軸を2個のホール素子としたが、これを4個としても良い。
このようにすることで、実施形態1の座標軸X、Y、X45、Y45の成分をそれぞれ4つのホール素子で等価的に構成することができ、本発明の実施が可能である。
また、同様に、実施形態2の各座標軸の成分もそれぞれ4つのホール素子で等価的に構成することができ、本発明の実施が可能である。
これまでの各実施形態においては、配置Aのホール素子から算出した第1の回転角θと配置Bのホール素子から算出した第2の回転角θcの差分θdによって、磁気飽和を検出する説明を行った。これまでの各実施形態の構成に角度振幅算出部を追加することで、さらに高精度に磁気飽和の検出が可能となるので以下にそれを説明する。
図18は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態3の信号処理回路を示す構成図である。なお、磁気収束板とホール素子の配置は、上述した実施形態1の図7と同じである。
図18に示した回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、MUX25と、X軸減算部26Xと、Y軸減算部26Yと、角度振幅算出部(角度算出部41と振幅算出部42)40と、第1の記憶レジスタ28aと第2の記憶レジスタ28bと、第3の記憶レジスタ28cと第4の記憶レジスタ28dと、平均値算出部29と、故障検知部30とから構成されている。
第1の方向の磁気成分を検出する第1のホール素子対21(H0、H180)と、第1の方向と異なる方向の第2の方向の磁気成分を検出する第2のホール素子対22(H90、H270)と、第1の方向及び第2の方向とは異なる方向の第3の方向の磁気成分を検出する第3のホール素子対23(H45、H225)と、第1の方向〜第3の方向とは異なる方向の第4の方向の磁気成分を検出する第4のホール素子対24(H135、H315)とを備えている。
角度算出部41は、第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて回転磁石の第1の回転角θを算出するとともに、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて前記回転磁石の第2の回転角θcを算出するものである。つまり、角度算出部は、複数のホール素子対の複数の対(第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24)の出力信号強度に基づいて、回転磁石の回転角情報を複数算出する。すなわち、上記複数の対は、第1のホール素子対21と第2のホール素子対22とで構成される1つの組(1つの対)、及び第3のホール素子対23と第4のホール素子対24とで構成される1つの組(1つの対)のことであり、複数のホール素子対のうち2つのホール素子対で構成される組が、複数の回転角情報にそれぞれ対応して複数あることを意味する。ここで、出力信号強度は、出力信号の電圧である。また、すなわち、ホール素子が入力磁場に応じて出力するホール起電力信号である。
また、故障検知部30は、第1、第2の回転角度θ、θcと、さらに第1、第2の振幅値M、Mcに基づいて、回転角計測装置の故障を検知し、故障情報を出力するものである。また、平均値算出部29は、第1の回転角θと第2の回転角θcとから平均値θaveを算出するものである。
MUX25は、時刻φ1において、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力と、第2のホール素子対22(H90とH270)の出力をそれぞれX軸減算部26XとY軸減算部26Yに出力する。X軸減算部26XとY軸減算部26Yは、それぞれ出力信号HVXとHVYを角度振幅算出部40の角度算出部41と振幅算出部42に出力する。
振幅算出部42は、時刻φ1において、例えば以下の式
M=sqrt(HVX2+HVY2)
に従い、磁場強度を表す第1の振幅値Mを算出し、第3の記憶レジスタに出力する。なお、sqrt(X)はXの平方根を算出する関数である。また、磁気飽和をしていない場合、M=VBとなることは明らかであり、HVX、HVYの信号振幅、すなわち、回転磁石からの磁場強度を表す信号振幅であることは、明らかである。
そして、時刻φ2においてMUXは、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力と、第4のホール素子対24(H135とH315)の出力をそれぞれX軸減算部26XとY軸減算部26Yに出力する。X軸減算部26XとY軸減算部26Yは、それぞれ出力信号HVX45とHVY45を角度振幅算出部40の角度算出部41と振幅算出部42に出力する。
振幅算出部42は、時刻φ2において、例えば以下の式
Mc=sqrt(HVX452+HVY452)
に従い、磁場強度を表す第2の振幅値Mcを算出し、第4の記憶レジスタに出力する。なお、先ほどと同様に磁気飽和をしていない場合、Mc=VBとなることは明らかであり、HVX45、HVY45の信号振幅、すなわち、回転磁石からの磁場強度を表す信号振幅であることは、明らかである。
第1及び第2の記憶レジスタ28a、28bは、それぞれθとθcを平均値算出部29と故障検知部30へ出力する。第3及び第4の記憶レジスタ28c、28dは、それぞれMとMcを故障検知部30へ出力する。
平均値算出部29では、θとθcとからθaveを算出する。θaveにおいては、磁気飽和による角度誤差は低減されている。故障検知部30では、θとθcとMとMcとから故障を検知し、故障情報を出力する。
図19において、故障検知部30は、第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ(第1の基準信号出力部)32aと、第2の減算部31bと、第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ(第2の基準信号出力部)32bと、論理和部(故障組み合わせ判定部)34とから構成されている。
第1の減算部31aは、第1の回転角θと第2の回転角θcからθdを算出し、第1の比較部33aへと出力する。第1の比較部33aは、θdと第1の閾値メモリ(に格納されている閾値)θd_limとから故障を検知し、例えば、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」となる第1の故障判定信号を、論理和部34へと出力する。
Md=M−Mc
で表される差分値Mdを算出し、第2の比較部33bへと出力する。第2の比較部33bは、Mdと第2の閾値メモリ(に格納されている閾値)Md_limとから故障を検知し、例えば、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」となる第2の故障判定信号を、論理和部34へと出力する。
論理和部34は、第1の比較部33aと第2の比較部33bとからの第1及び第2の故障判定信号を受け故障情報を出力する。つまり、論理和部34は、第1及び第2の故障判定信号の少なくとも一方が故障の場合「1」を出力し、どちらも正常の場合「0」を出力する。
磁気飽和前のMとMcに差は見られないが、磁気飽和後のMとMcはどちらもK×45°(Kは0から7までの整数)の角度で正又は負のピークを持って振動し、互いの位相が180°異なる4倍波となっていることが分かる。そして、その振動の最も低い値が、磁気飽和前のMとMcの近くにあることが分かる。
従って、これまで磁場の回転角度によっては磁気飽和が起きているかどうかは一方の振幅値M(又はMc)のみを観測することで正確に判断することは難しかった。例えば振幅Mに対し、図20における閾値M_limを磁気飽和点とするようにしても、入力磁場が45度付近にあった時に、MはM_limよりも低いため、すぐに磁気飽和が起きていることを正確に判定することが難しかった。
上述した第1の実施形態と同様に、磁気飽和により4倍波となっており、θdはK×45度の角度を除き、θdが0ではない。θdの正のピークは67.5+90×L度(Lは0〜3までの整数)。θdの負のピークは22.5+90×L度となっている。
Mdはθdと同じ4倍波であるが、θdと異なり、22.5+K×45度の角度を除いた角度で、Mdが0でなく、θdに対し位相が90度進んだ形となっている。Mdの正のピークは90×L度であり、負のピークは45+90×L度である。それゆえ、θdが0であるところで、Mdは0にはならない。
Md=M−Mc≠0
である。そのため、Mdに対し、適当な閾値Md_limを決めておけば、第2の比較部において、
|Md|<Md_lim
という関係式(|Md|はMdの絶対値)により、|Md|がMd_limよりも大きくなれば、Mdだけでも磁気飽和が起きていることが検知できる。
そして、θdが0であるところで、Mdは0にはならないという関係があるので、実施形態1ではθdが0であるところで磁気飽和の検出ができなかったが、その時Mdは0ではないので、θdの代わりに磁気飽和が検出可能である。
以上のように、本発明によって、第1、第2の回転角度θ、θcと、第1、第2の振幅値M、Mcとから、回転角計測装置の故障を検知し、故障情報を出力することができた。その故障の検知は、実施形態1と比べて入力回転磁場の角度に依存しないので、また、実施形態2と比べてホール素子を少なくして、小規模な演算で実施可能な振幅算出部を追加しただけで、確実に故障が検知できる。
図22の故障検知部30は、第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ32aと、第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ32bと、第3の比較部33cと、第3の閾値メモリ(第3の基準信号出力部)32cと論理和部(故障組み合わせ判定部)34とから構成されている。
第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ32aは、図19と同様である。
従って、論理和部34において、第1、第2及び第3の故障判定信号の論理和を演算することにより、すべての磁場の回転角度で故障情報を出力することができる。つまり、故障検知部30が、第1〜第3の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、回転角計測装置が故障していると判定するものである。
つまり、本発明により、θd、M又はMcのみの観測では困難であった、すべての磁場の回転角度での故障情報を正確に出力することができる。
図19及び図22の故障検知部30は、第1、第2の回転角度θ、θcと、第1、第2の振幅値M、Mcとから、磁気飽和という故障が起きているかどうか検知するものであったが、図23の故障検知部30は、ホール素子に故障が起きているのか、磁気飽和が起きているのか検知することが可能である。
図23の故障検知部30は、第1の減算部31aと、第1の比較部33aと、第1の閾値メモリ32aと、第2の減算部31bと、第2の比較部33bと、第2の閾値メモリ32bと、飽和故障判定部(故障組み合わせ判定部)35とから構成されている。
第2の減算部31bは、第1の振幅値Mと第2の振幅値Mcから、Mdを算出し、飽和故障判定部35と第2の比較部33bへと出力する。第2の比較部33bは、Mdと第2の閾値メモリ(に格納されている閾値)Md_limとから故障を検知し、例えば、故障の場合は「1」を正常の場合は「0」となる第2の故障信号を、飽和故障判定部35とへと出力する。
磁気飽和した時のθdを実線、第1の回転角θの角度誤差Δθを点線、Mdを破線、ホール素子H0の出力がショートした場合のθdを一点鎖線、Mdを二点鎖線で表示している。XY45座標系の第3と第4のホール素子対では故障が起きていないので、第2の回転角θcの角度誤差Δθcは0となり、第1の回転角θの角度誤差Δθはθdと一致するので省略する。
以下の表2に示すように、同様の手順でその他のホール素子H45、H90、H135、H180、H225、H270、H315の故障も判定できる。表においては、θd、第1の故障判定信号、Md、第2の故障判定信号、第1の回転角θ、Mdの正負、判定結果を列として表示している。
つまり、第1、第2の回転角度θ、θcと、第1、第2の振幅値M、Mcとから、故障検知部30は、ホール素子に故障が起きているのか、磁気飽和が起きているのか検知することができた。
この本発明による効果は、どのような故障が起きているかが判断できるので、特に、車載用途向けといった安全要求が厳しい用途で使用される回転角センサにおいては、非常に有益なものである。
以上、実施形態の説明からわかるように、磁気収束板下のあるホール素子グループによって形成されるXY座標系において、磁気飽和によって発生する角度誤差及び入力磁場の強度を表す振幅値が4倍波という周期的なものであり、これと異なる位相を持つ角度誤差及び入力磁場の強度を表す振幅値の4倍波を、他のホール素子グループによって形成される他のXY座標系において発生させることで、XY座標系の角度と振幅値と他の座標系の角度と振幅値とから、正確な磁気飽和の検出、又はホール素子の故障を検出することができた。
図25は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態4の信号処理回路を示す構成図である。なお、磁気収束板とホール素子の配置は、上述した実施形態1の図7と同じである。
上述したように、図10A〜図10Dや図16や図18の信号処理回路の構成において、高速な処理を行うために、X軸減算部、Y軸減算部、角度算出部、振幅算出部をホール素子の配置グループ毎に持たせ、連続的に信号処理を行っても良い。
図25において、回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、第1のX軸減算部26X1と、第1のY軸減算部26Y1と、第1の角度算出部41aと、第1の記憶レジスタ28aと、第2のX軸減算部26X2と、第2のY軸減算部26Y2と、第2の角度算出部41bと、第2の記憶レジスタ28bと、平均値算出部29と、故障検知部30とから構成されている。故障検知部30は、減算部31と閾値比較部33と閾値メモリ32とから構成されている。
平均値算出部29と故障検知部30は、上述した実施形態1と同様であるので説明を省略する。
図25において、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)の出力は、第1のX軸減算部26X1に入力される。第2のホール素子対22(H90とH270)の出力は、第1のY軸減算部26Y1に入力される。第1のX軸減算部26X1と第1のY軸減算部26Y1は、それぞれ出力信号HVXとHVYを第1の角度算出部41aに出力する。
配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力は、第2のX軸減算部26X2に入力される。第4のホール素子対24(H135とH315)の出力は、第2のY軸減算部26Y2に入力される。第2のX軸減算部26X2と第2のY軸減算部26Y2は、それぞれ出力信号HVX45とHVY45を第2の角度算出部41bに出力する。
第2の角度算出部41bは、HVX45とHVY45とからXY45座標系の角度θ45を算出し、45°補正した角度θcを第2の記憶レジスタ28bに出力する。第1及び第2の記憶レジスタ28a、28bは、それぞれθとθcを平均値算出部29と故障検知部30へ出力する。
このように回転角計測装置を構成したので、第1の回転角と第2の回転角を同時に算出可能であるので、高速な信号処理が可能で、高精度な角度算出と、磁気飽和の検出が高速に行える。
また、このように第1の回転角と第2の回転角を別々の角度算出部にて算出する構成としたので、ホール素子から角度算出部までの間に故障が生じた場合、故障検知部において、第1の回転角と第2の回転角の差分θdにより、実施形態1と同様に、適当な閾値θd_limによって、
|θd|<θd_lim
という関係式で故障も検出することが可能である。
つまり、本発明により、磁気飽和だけでなくホール素子から角度算出部までの故障も検出可能である。
図26は、本発明に係る回転角計測装置の実施形態5の信号処理回路を示す構成図である。本実施形態5は、上述した実施形態3の角度振幅算出部を別々に有した場合の連続的な信号処理回路の構成を示す構成図である。なお、磁気収束板とホール素子の配置は、上述した実施形態1の図7と同じである。
図26において、回転角計測装置は、配置Aの第1のホール素子対21(H0、H180)と第2のホール素子対22(H90、H270)と、配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)と第4のホール素子対24(H135、H315)と、第1のX軸減算部26X1と、第1のY軸減算部26Y1と、第1の角度振幅算出部40aと、第1の記憶レジスタ28aと、第3の記憶レジスタ28cと、第2のX軸減算部26X2と、第2のY軸減算部26Y2と、第2の角度振幅算出部40bと、第2の記憶レジスタ28bと、第4の記憶レジスタ28dと、平均値算出部29と、故障検知部30とから構成されている。
第1の角度算出部41aは、第1のホール素子対21及び第2のホール素子対22の出力信号強度に基づいて回転磁石の第1の回転角θを算出する。第2の角度算出部41bは、第3のホール素子対23及び第4のホール素子対24の出力信号強度に基づいて前記回転磁石の第2の回転角θcを算出するものである。
故障検知部30は、上述した実施形態3に記載の図19又は図22又は図23のいずれかで構成されている。
配置Bの第3のホール素子対23(H45、H225)の出力は、第2のX軸減算部26X2に入力される。第4のホール素子対24(H135とH315)の出力は、第2のY軸減算部26Y2に入力される。第2のX軸減算部26X2と第2のY軸減算部26Y2は、それぞれ出力信号HVX45とHVY45を第2の角度振幅算出部40bの第2の角度算出部41b及び第2の振幅算出部42bに出力する。
平均値算出部29と故障検知部30は、上述した実施形態3と同様であるので動作の説明は省略する。
このように回転角計測装置を構成したので、第1の回転角と第2の回転角と第1の振幅値と第2の振幅値を同時に算出可能であるので、高速な信号処理が可能で、高精度な角度算出と、故障の検出が高速に行える。
また、実施の形態3及び5の説明において、角度振幅算出部40を、角度算出部41と振幅算出部42とに分け、それぞれ角度の算出と振幅の算出をお行っているが、例えばCORDIC(COordinateRotation DIgital Computer)を使うことで、一つの角度振幅算出部として、角度と振幅を同時に算出することもできる。このような演算手法を使った場合の構成も本発明の範囲に含まれる。
つまり、本発明は、これまでに記載された実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれる。即ち、当業者であればなし得るであろう各種変形や修正を含むことは勿論である。
2 集積回路(シリコン基板)
3 ホール素子
4,14 磁気収束板
11X X軸減算部
11Y Y軸減算部
12 演算部
21(H0、H180) 第1のホール素子対
22(H90、H270) 第2のホール素子対
23(H45、H225) 第3のホール素子対
24(H135、H315) 第4のホール素子対
25,225 MUX(マルチプレクサ)
26X,226X X軸減算部
26X1 第1のX軸減算部
26X2 第2のX軸減算部
26Y,226Y Y軸減算部
26Y1 第1のY軸減算部
26Y2 第2のY軸減算部
27,227 角度算出部
28a,228a 第1の記憶レジスタ
28b,228b 第2の記憶レジスタ
28c,228c 第3の記憶レジスタ
28d 第4の記憶レジスタ
29,229 平均値算出部
30,230 故障検知部
31 減算部(差分算出部)
31a,231a 第1の減算部
31b,231b 第2の減算部
32,232 閾値メモリ(基準信号出力部)
32a 第1の閾値メモリ(第1の基準信号出力部)
32b 第2の閾値メモリ(第2の基準信号出力部)
32c 第3の閾値メモリ(第3の基準信号出力部)
33 閾値比較部
33a,233a 第1の閾値比較部
33b,233b 第2の閾値比較部
33c 第3の閾値比較部
34 論理和部(故障組み合わせ判定部)
35 飽和故障判定部(故障組み合わせ判定部)
40 角度振幅算出部
40a 第1の角度振幅算出部
40b 第2の角度振幅算出部
41 角度算出部
41a 第1の角度算出部
41b 第2の角度算出部
42 振幅算出部
42a 第1の振幅算出部
42b 第2の振幅算出部
121(H0、H180) 第1のホール素子対
122(H90とH270) 第2のホール素子対
123(H30、H210) 第3のホール素子対
124(H120とH300) 第4のホール素子対
125(H60、H240) 第5のホール素子対
126(H150とH330) 第6のホール素子対
Claims (16)
- 複数のホール素子対を備えた回転角計測装置であって、
前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、
前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、
前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、
前記複数の回転角情報にそれぞれ対応した前記複数の対の出力信号に基づく複数の振幅情報を算出する振幅算出部と、
前記複数の回転角情報、および、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と第1の基準信号出力部が出力する第1の基準信号との比較結果とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、
を備えている回転角計測装置。 - 複数のホール素子対を備えた回転角計測装置であって、
前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、
前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、
前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石の回転角情報を複数算出する1以上の角度算出部と、
前記複数の回転角情報にそれぞれ対応した前記複数の対の出力信号に基づく複数の振幅情報を算出する振幅算出部と、
前記複数の回転角情報、および、前記複数の振幅情報のうち第1の振幅情報と第1の基準信号出力部が出力する第1の基準信号との比較結果と、前記複数の振幅情報のうち前記第1の振幅情報と異なる第2の振幅情報と第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号との比較結果とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、
を備えている回転角計測装置。 - 複数のホール素子対を備えた回転角計測装置であって、
前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、
前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、
前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石からの磁場強度を表す振幅情報を複数算出する振幅算出部と、
前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、第1の基準信号出力部が出力する第1の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、
を備えている回転角計測装置。 - 複数のホール素子対を備えた回転角計測装置であって、
前記複数のホール素子対の感磁面上に設けられた磁気収束板と、
前記磁気収束板を平面視で覆うように前記磁気収束板に近接配置された回転磁石と、
前記複数のホール素子対の複数の対の出力信号に基づいて、前記回転磁石からの磁場強度を表す振幅情報を複数算出する振幅算出部と、
前記複数の振幅情報のうち第1の振幅情報と第1の基準信号出力部が出力する第1の基準信号とを比較し、前記複数の振幅情報のうち前記第1の振幅情報と異なる第2の振幅情報と第2の基準信号出力部が出力する第2の基準信号とを比較し、前記回転角計測装置の故障を検知する故障検知部と、
を備えている回転角計測装置。 - 前記故障検知部は、さらに
前記複数の回転角情報と、第3の基準信号出力部が出力する第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項1に記載の回転角計測装置。 - 前記故障検知部は、
前記複数の回転角情報のうち2つの差分と、前記第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項5に記載の回転角計測装置。 - 前記差分を算出する差分算出部を備えている請求項6に記載の回転角計測装置。
- 前記故障検知部は、
前記磁気収束板の磁気飽和を検知する請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転角計測装置。 - 前記故障検知部は、
前記複数の回転角情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第1及び第2の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定する請求項1に記載の回転角計測装置。 - 前記故障検知部は、
前記複数の回転角情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記複数の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記複数の回転角情報のうち1つの回転角情報と、前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分と、前記複数の振幅情報のうち2つの振幅情報の差分と、前記第1の故障判定信号と、前記第2の故障判定信号とに基づいて、前記磁気収束板の磁気飽和の判定と、前記複数のホール素子対の故障の判定と、を行う判定部をさらに備えている請求項1に記載の回転角計測装置。 - 前記故障検知部は、
前記角度算出部の出力に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記第1の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第2の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第3の故障判定信号を出力し、前記第1〜第3の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定する請求項2に記載の回転角計測装置。 - 前記複数の対は、少なくとも3つの対であり、
前記故障検知部は、
前記複数の回転角情報のうち2つの回転角情報の差分を2つ以上算出し、これら2つ以上の差分と前記第3の基準信号とに基づいて、前記回転角計測装置の故障を検知する請求項5〜7のいずれか1項に記載の回転角計測装置。 - 前記故障検知部は、
前記2つ以上の差分と前記第3の基準信号とをそれぞれ比較して前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す信号をそれぞれ出力し、これら信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定する請求項12に記載の回転角計測装置。 - 前記故障検知部は、
前記第1の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第1の故障判定信号を出力し、前記第2の振幅情報に基づいて、前記回転角計測装置が故障であるかどうかを示す第2の故障判定信号を出力し、前記第1〜第2の故障判定信号のうち少なくとも1つが故障であることを示すときに、前記回転角計測装置が故障であると判定する請求項4に記載の回転角計測装置。 - 前記複数のホール素子対は、
前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を中心とする円周下に45度ずつそれぞれずらして配置されている請求項1〜14のいずれか1項に記載の回転角計測装置。 - 前記複数のホール素子対は、
前記磁気収束板の上に極座標が定義されたときに、前記極座標の原点を基準として、90°/Nの整数倍(Nは2以上の整数)の角度の座標軸を挟んで2つのホール素子対が配置されている請求項1〜15のいずれか1項に記載の回転角計測装置。
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