JP5851287B2 - コンクリート中鉄筋に対する防食方法 - Google Patents
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断面修復部に陽極を設置する手法による電気防食の従来の技術としては、高アルカリ溶液を含有する多孔性材料によって周りを付設したアルミニウム、アルミニウム合金、カドミウム、カドミウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金などの犠牲陽極をコンクリート開口部に挿入し、陽極と鉄筋をコネクターやリード線により接続させて鉄筋を防食する方法がある(特許文献1および特許文献2参照)。
すなわち、本発明は、陽極材を鉄筋が露出したコンクリート開口部に埋め込み、陽極材と鉄筋を導通させ、開口部を断面修復材で充填するコンクリート中鉄筋に対する防食方法において、前記陽極材として、任意形状のアルミニウム合金もしくは亜鉛合金の表面を、塩化物を含有するゲル層で被覆し、該ゲル層の上に、塩化物を含有させた布材を張り付け、さらにその上をセメント系材料で被覆した陽極材を用いることを特徴とするコンクリート中鉄筋に対する防食方法を提供するものである。
すなわち、本発明の陽極材は、アルミニウム合金もしくは亜鉛合金の周りを塩化物を含有するゲル層で覆い、該ゲル層の周りに塩化物を含有させた布材を巻き付け、さらにその周りをセメント系材料で被覆した構造となっている。
本発明で用いられる陽極材Aは、例えば、図1に示すように、柱状もしくは板状のアルミニウム合金もしくは亜鉛合金1からなる陽極の表面を、塩化物を含有するゲル層4で被覆し、該ゲル層4の上に、塩化物を含有させた布材5を張り付け、さらにその上をセメント系材料6で被覆した構造を有する。なお、図1中、2は陽極材Aを鉄筋に設置して陽極と鉄筋を接続させるためのリード線であり、3はアルミニウム合金もしくは亜鉛合金1にリード線2を接続するためのリベットである。
前記ゲル層4の厚さは、0.5〜3mmであることが好ましく、1〜2mmであることがより好ましい。前記ゲル層4の厚さが厚すぎると、布材を張り付ける際の作業性が悪く、また前記ゲル層4の厚さが薄すぎると、水と塩化物を保持する機能が低くなる。
上記混合物中の吸水性樹脂の割合や揮発性溶剤と塩化物溶液との比率が、上記の範囲を逸脱すると、上記混合物を前記アルミニウム合金もしくは亜鉛合金1の表面に均一に塗布し難くなる。
また、前記揮発性溶剤としては、吸水性樹脂を溶液化できるものが好ましく、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、トルエンが好ましい。
前記塩化物溶液は、塩化物濃度が20質量%以上であることが好ましく、飽和溶液がより好ましい。塩化物濃度が20質量%未満であると、アルミニウム合金もしくは亜鉛合金が活性化しにくくなる。
前記布材5を張り付けることにより、前記アルミニウム合金もしくは亜鉛合金1の表面に塩化物と水を長期間安定して保持することができる。
前記布材5の材料は、布材を浸漬する塩化物溶液の保持性に富む材料が好ましく、例えば、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、綿などが好ましい。
また、前記布材5は、一定の厚さおよび目付け量を持つものが好ましく、厚さが厚すぎたり、目付け量が大きすぎると、張り付け時の作業性が悪くなり、厚さが薄すぎたり、目付け量が小さすぎると、塩化物溶液を十分に保持できない惧れがあるため、厚さ0.5〜1.0mmで、目付け量50〜150g/m2 であることが好ましく、厚さ0.6〜0.8mmで、目付け量80〜100g/m2 であることがより好ましい。
前記セメント系材料6の被覆層の厚さは、3〜20mmであることが好ましく、5〜10mmであることがより好ましい。前記セメント系材料6の被覆層の厚さが厚すぎると、コンクリート開口部への設置がし難くなり、また前記セメント系材料6の被覆層の厚さが薄すぎると、布材に吸水している塩化物を保持し難くなる。
前記低級アルコールの混入が多すぎると、空隙が過大となり電気抵抗の増加を招くため、低級アルコールの混入量は、練混ぜ水中、2.5〜30質量%とするのが好ましい。特に、練混ぜ水中、10〜20質量%とするのが、電気抵抗の低減効果が高いので好ましい。
陽極材Aを設置した後、コンクリート開口部11を断面修復材で充填する。断面修復材としては従来と同様のものが用いられる。
なお、本発明で用いられる陽極材は、上述した図1に示す陽極材Aに限定されるものではない。要は、前記アルミニウム合金もしくは亜鉛合金の周りを前記ゲル層で覆い、該ゲル層の周りに前記布材を巻き付け、さらにその周りをセメント系材料で被覆する構造となっていればよく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜種々の変更が可能であることは言うまでもない。
下記の材料を用いて図1に示す構造を有する陽極材を作製した。この陽極材は、径40mm、長さ30mmの円筒形で、ゲル層4の厚さ1mm、布材5の巻き立て厚さ3mm、セメント系材料6の被覆層の厚さ5mmに作製した。
陽極:柱状(径20mm、長さ20mm)のアルミニウム合金
ゲル層の形成材料:吸水性樹脂、イソプロピルアルコールおよび塩化リチウム飽和溶液の混合物(吸水性樹脂20質量%含有、イソプロピルアルコールと塩化リチウム飽和溶液との比率6:4)。吸水性樹脂としてポリアルキレンオキサイド系を使用。
布材:ポリエステル、レーヨンからなる布材(厚さ0.6mm、目付け量90g/m2 )に塩化リチウム飽和溶液を放水状態まで含浸させたもの。
セメント系材料:練混ぜ水にグリセリンを15質量%混入。セメントはプレミックスタイプのセメント系モルタル(BASFポゾリス社製のエマコS88C)を使用。
アノード分極試験は、陽極を埋設したモルタル試験体と円筒形のステンレス板を水酸化カルシウム飽和溶液に浸漬して、ポテンショスタットのプラス端子に陽極材のリード線を、マイナス端子にステンレス板を接続して、陽極材のインスタントオフ電位の変化に伴うアルミニウム合金表面積当りの発生電流密度を測定した。なお、インスタントオフ電位は、水酸化カルシウム飽和溶液中に飽和KCl銀塩化銀電極を入れて測定した。
アノード分極試験の結果を図3に示す。
比較のため、実施例1において塩化物(塩化リチウム)を使用しない以外は実施例1と同様に作製した陽極材(比較例1)、実施例1においてゲル層を設けない以外は実施例1と同様に作製した陽極材(比較例2)および高アルカリ溶液を含有する多孔性材料によって周りを付設したアルミニウム合金からなる特許文献1などに記載されている従来の陽極材(比較例3)について、実施例1と同様のアノード分極試験を行った。その結果を図3にまとめて示す。
実施例1において、ゲル層の形成材料における吸水性樹脂の含有量を15質量%とした以外は実施例1と同様に陽極材を作製した。
この陽極材について実施例1と同様のアノード分極試験を行った。その結果を図4に示す。
実施例1において、ゲル層の形成材料における吸水性樹脂の含有量を15質量%とし、かつイソプロピルアルコールと塩化リチウム飽和溶液との比率を7:3とした以外は実施例1と同様に陽極材を作製した。
この陽極材について実施例1と同様のアノード分極試験を行った。その結果を図5に示す。
実施例1において、陽極として柱状(径20mm、長さ20mm)の亜鉛合金を用いた以外は実施例1と同様に陽極材を作製した。
この陽極材について実施例1と同様のアノード分極試験を行った。その結果を図6に示す。
1 アルミニウム合金もしくは亜鉛合金(陽極)
2 リード線
3 リベット
4 ゲル層
5 布材
6 セメント系材料
11 コンクリート開口部
12 鉄筋
Claims (7)
- 陽極材を鉄筋が露出したコンクリート開口部に埋め込み、陽極材と鉄筋を導通させ、開口部を断面修復材で充填するコンクリート中鉄筋に対する防食方法において、
前記陽極材として、任意形状のアルミニウム合金もしくは亜鉛合金の表面を、塩化物を含有するゲル層で被覆し、該ゲル層の上に、塩化物を含有させた布材を張り付け、さらにその上をセメント系材料で被覆した陽極材を用いることを特徴とするコンクリート中鉄筋に対する防食方法。 - 前記ゲル層が、吸水性樹脂、揮発性溶剤および塩化物溶液の混合物から形成され、該混合物中の吸水性樹脂の割合が10〜25質量%であり、揮発性溶剤と塩化物溶液との比率(質量比)が5:5〜9:1である、請求項1記載の防食方法。
- 前記布材が、レーヨン、ポリエステル、ナイロンまたは綿からなり、厚さ0.5〜1.0mmで、目付け量50〜150g/m2 である、請求項1または2記載の防食方法。
- 前記セメント系材料が、練混ぜ水に低級アルコールを2.5〜30質量%混入してなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防食方法。
- 前記揮発性溶剤が、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノールまたはトルエンである、請求項2記載の防食方法。
- 前記ゲル層に含有させる塩化物および前記布材に含有させる塩化物が、塩化マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化リチウムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防食方法。
- 前記低級アルコールが、グリセリンまたはエチレングリコールである、請求項4記載の防食方法。
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