JP5849007B2 - 電動ポンプの起動制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には更に、電動ポンプを起動時に回転制御する上記の所定時間を媒体の温度に応じて変更する技術も提案されている。
ポンプ前後の媒体中に気泡が未だ混入していて電動ポンプが作動不安定であるのに、また媒体が未だ十分に温度上昇しておらず高粘度であって電動ポンプの駆動負荷が大きいのに、電動ポンプの起動時回転制御から定常時トルク制御(吐出圧制御)への切り替えが行われることがあり、
気泡が無くなって電動ポンプの作動が安定し、且つ媒体が温度上昇により粘度を低下されて電動ポンプの駆動負荷が小さくなるまでの間、制御性能に優れたトルク(吐出圧)制御のメリットを享受し難く、狙い通りの制御結果を期待できないという問題を生ずる懸念がある。
起動時ポンプ回転上昇判定手段は、上記起動電力供給手段からの起動電力による電動ポンプの回転上昇傾向に基づき、該電動ポンプが所定時間内に上記所定回転数に達するか否かを判定するものであり、更に、
起動後電力供給手段は、上記起動時ポンプ回転上昇判定手段で、電動ポンプが上記所定時間内に上記所定回転数に達すると判定するとき、上記起動電力供給手段からの起動電力に代え、起動後におけるポンプ駆動制御用の起動後電力を電動ポンプに供給するものである。
ポンプ起動指令時に電動ポンプを起動電力で駆動することにより所定回転数に向け回転上昇させ、この時における電動ポンプの回転上昇傾向から、電動ポンプが所定時間内に上記所定回転数に達すると判定したとき、上記起動電力に代え、起動後におけるポンプ駆動制御用の起動後電力を電動ポンプに供給して、起動時回転制御から起動後制御へと切り替えるため、
この切り替えは、例えば媒体中に未だ気泡が混入していて電動ポンプが作動不安定である間や、また媒体が未だ十分に温度上昇しておらず高粘度であって電動ポンプの駆動負荷が大きい間に行われることがなく、
電動ポンプの上記作動不安定や、大きなポンプ駆動負荷が生じなくなったのに調時して、上記起動時回転制御から起動後制御への切り替えを行い得ることとなる。
<実施例の構成>
図1は、本発明の一実施例になる電動ポンプの起動制御装置を具えたハイブリッド車両のパワートレーンを例示するものである。
このハイブリッド車両は、フロントエンジン・フロントホイールドライブ車(前輪駆動車)をベース車両とし、これをハイブリッド化したものであり、
図1において、1は動力源としてのエンジン、2L,2Rはそれぞれ左右前輪(左右駆動輪)、3は、エンジン1からの回転動力を変速して左右前輪2L,2Rに向かわせるVベルト式無段変速機を示す。
ベルト伝動機構4は、エンジン1に同軸のプライマリプーリ4pと、このプライマリプーリ4pに並設したセカンダリプーリ4sと、これらプーリ4p,4s間に無段変速可能に掛け渡したVベルト4vとで構成する。
そして前後進切り替え機構5は、サンギヤ5sと、リングギヤ5rと、これらサンギヤ5sおよびリングギヤ5rに噛合する複数個のピニオン5pを回転自在に支持する共通なキャリア5cとから成る単純遊星歯車組を具え、サンギヤ5sを入力軸5iに結合し、リングギヤ5rをプライマリプーリ4pに結合する。
セカンダリプーリ4sは、終減速機6およびディファレンシャルギヤ装置7を介して左右前輪2L,2Rに結合する。
このモータ/ジェネレータ8は、ハウジング内に固設した環状のステータ8sと、この環状ステータ8s内に所定のラジアルエアギャップを持たせて同心に配置したロータ8rとからなるものである。
そしてモータ/ジェネレータ8は、車両の運転状態の要求に応じ、電動モータ(電動機)として作用したり、ジェネレータ(発電機)として機能させ、ロータ8rを入力軸5iに結着して実用する。
ここで第1クラッチ9は、伝達トルク(クラッチ締結)容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク(クラッチ締結)容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
なお第1クラッチ9は、上記の湿式多板クラッチに代えて乾式多板クラッチで構成してもよいが、いずれにしても、伝達トルク(クラッチ締結)容量を連続的に変更可能なものとする。
なお第2クラッチとしての前進クラッチ5f は、もともとそうであるが、前記した第1クラッチ9と同様、伝達トルク容量(クラッチ締結容量)を連続的に変更可能なものである。
図1につき上述したパワートレーンのモード選択機能を説明する。
図1に示したパワートレーンにおいては、停車状態からの発進時などを含む低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EVモード)が要求される場合、第1クラッチ9を解放し、第2クラッチである前進クラッチ5fを締結する。
この出力回転はその後、終減速機6およびディファレンシャルギヤ装置7を順次経て左右前輪2L,2Rに至り、車両をモータ/ジェネレータ8のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
この状態では、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ8からの出力回転の双方が協調下に入力軸5iに達することとなり、Vベルト式無段変速機3は当該入力軸5iへの回転を、ベルト伝動機構4の選択プーリ比に応じ変速して、セカンダリプーリ4sより出力する。
この出力回転はその後、終減速機6およびディファレンシャルギヤ装置7を順次経て左右前輪2L,2Rに至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ8の協調によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
上記の伝動中におけるVベルト式無段変速機3の潤滑(冷却)は、入力軸5iに駆動結合されて入力軸5iの回転中、これにより機械的に駆動される機械式オイルポンプ11からのオイルで主に当該潤滑を行う。
しかし、発進時や高負荷運転時などスリップ締結を行うため時々発熱量が多くなる前進クラッチ5fの潤滑(冷却)は、必要に応じ電動オイルポンプ12からのオイルによっても当該潤滑を行うこととする。
この場合、電動オイルポンプ12を通常通り要求油量に対応した目標吐出圧になるようトルク制御(吐出圧制御)すると、吐出圧は目標値に制御されていても、油量は、ポンプ駆動負荷の変動による駆動不安定や、大きなポンプ駆動負荷故により要求通りのものにならず、冷却不足を生ずる。
電動オイルポンプ12に、その回転数Np=0を図3に一点鎖線αおよびこれに続く二点鎖線βで示すごとく上記の目標回転数dNpまで上昇させるための起動電力を供給したとき、電動オイルポンプ12のポンプ回路内に気泡が混入しておらず、且つ低温(高粘度)のオイルが存在していなければ、電動オイルポンプ12の回転数Npは図3の一点鎖線αおよび二点鎖線βに示すごとくNp=0から短い所定時間(目標回転数実現所要時間)ΔTdで速やかに目標回転数dNpまで上昇する。
本実施例はこの論理に基づき上記の判定を行い、ポンプ回路内に気泡が混入しておらず、且つ低温(高粘度)のオイルも存在していないとの判定時に、電動オイルポンプ12の駆動制御態様を上記起動電力による起動時回転制御から定常時トルク制御(吐出圧制御)に切り替える。
しかし、図3のポンプ起動指令時t1から上記の所定時間ΔTdが経過する瞬時t4まで当該判定結果を待っていたのでは、その判定に時間がかかって、電動オイルポンプ12の起動時回転制御から定常時トルク制御(吐出圧制御)への切り替え遅れが大きくなり、制御性能に優れたトルク制御(吐出圧制御)による効果を享受し難い。
図3の実線γで示す時系列変化をもってポンプ回転数Npが上昇する場合、ポンプ回転数Npが瞬時t3に至っても未だNp=Npsになっていないことから、電動オイルポンプ12が起動瞬時t1から所定時間ΔTdのうちに停止状態(Np=0)から目標回転数dNpへ回転上昇し得ないと見なすことができる。
この判定結果に応答して行う電動オイルポンプ12の起動時回転制御から定常時トルク制御(吐出圧制御)への切り替えに関わる遅れが小さくなり、制御性能に優れたトルク制御(吐出圧制御)による効果を享受し易くなる。
また設定回転数Npsも、上記したポンプ駆動制御態様切り替え判定用設定時間ΔTsのもとで、上記の判定を行い得るポンプ回転数に定めるのは言うまでもない。
なお設定回転数Npsは、この条件を満たすものであれば、目標回転数dNpおよび設定時間ΔTsに応じ決めてもよいし、固定値であってもよい。
しかし設定回転数Npsは、いずれにしても目標回転数dNpより低いのは言うまでもない。
従ってステップS12は、本発明における起動電力供給手段に相当する。
従ってステップS13は、本発明における起動時ポンプ回転上昇判定手段に相当する。
このステップS13は、設定時間ΔTsの間ステップS12に制御を戻し続け、また設定時間ΔTsが経過した時にNp=Npsになっていない場合も制御をステップS12に戻し続け、ステップS12で上記起動電力の供給・停止サイクルを繰り返す。
この起動電力の供給サイクルは、図2の制御プログラムが実行されるポンプ起動指令時t1に開始され、図4に例示するごとく、このポンプ起動指令時t1から設定時間ΔTs中、電動オイルポンプ12に目標回転数(dNp)実現用の起動電力を供給し、設定時間ΔTsの経過時t3から、ポンプ停止(Np=0)補償用のポンプ停止時間ΔToが経過する瞬時t5までの間、当該起動電力の供給を中止するポンプ回転制御を1サイクルとする。
つまりポンプ回路内に気泡が混入しておらず、且つ低温(高粘度)のオイルも存在していないことで、起動電力供給中にポンプ回転数Npが図3のα,βで示すごとく速やかに上昇したり、図4のt5´〜t6に示すごとく速やかに上昇して、設定時間ΔTs(起動電力供給時間)の経過時t3(図3の場合),t6(図4の場合)までにNp=Npsが実現される場合、
制御をステップS14に進めて電動オイルポンプ12を定常時トルク(吐出圧)制御するようになし、電動オイルポンプ12の駆動制御態様を、ステップS12での起動時回転制御からステップS14での定常時トルク(吐出圧)制御に切り替える。
従ってステップS14は、本発明における起動後電力供給手段に相当する。
しかして電動オイルポンプ12の定常時駆動制御は、かかるトルク(吐出圧)制御に限られず任意のものでよく、電動オイルポンプ12の吐出流量(実回転数Np)が要求吐出流量(目標回転数dNp)となるよう電動オイルポンプ12を回転数フィードバック制御する回転制御であってもよい。
上記した本実施例による電動ポンプの起動制御によれば、
ポンプ起動指令時t1に電動オイルポンプ12を起動電力で駆動することにより目標回転数dNpに向け回転上昇させ(ステップS12)、この時における電動オイルポンプ12の回転上昇傾向から、電動オイルポンプ12が所定時間ΔTd内に目標回転数dNpに達すると判定したとき(ステップS13)、上記の起動電力に代え、起動後におけるポンプトルク制御用の起動後電力を電動オイルポンプ12に供給して(ステップS14)、起動時回転制御から起動後トルク(吐出圧)制御へと切り替えるため、
ポンプ回路内に気泡が混入していて電動オイルポンプ12が作動不安定である間や、またポンプ回路内に温度上昇していない高粘度のオイルが存在していて電動オイルポンプ12の駆動負荷が大きい間に、上記ポンプ駆動制御態様の起動時回転制御から起動後トルク(吐出圧)制御への切り替えが行われることがない。
当該ポンプ駆動制御形態の切り替え直後から、当該トルク(吐出圧)制御による優れた制御性能を確実に享受することができる。
上記ポンプ駆動制御形態の切り替えが実情にマッチした適切なタイミングで行われて、起動後トルク(吐出圧)制御による優れた制御性能を享受し得るという前記の効果を更に顕著なものにすることができる。
電動オイルポンプ12の上記作動不安定や、大きなポンプ駆動負荷が生じなくならない限り、ポンプ駆動制御態様の起動時回転制御から起動後トルク(吐出圧)制御への切り替えが行われることがなく、前記の効果を一層確実なものにすることができる。
2L,2R 左右前輪(左右駆動輪)
3 Vベルト式無段変速機
4 ベルト伝動機構
5 前後進切り替え機構
4p プライマリプーリ
4s セカンダリプーリ
4v Vベルト
5 前後進切り替え機構
5s サンギヤ
5r リングギヤ
5c キャリア
5f 前進クラッチ(第2クラッチ)
5b 後退ブレーキ
6 終減速機
7 ディファレンシャルギヤ装置
8 モータ/ジェネレータ
9 第1クラッチ
12 電動オイルポンプ(電動ポンプ)
Claims (7)
- 電動ポンプを起動制御するための装置において、
ポンプ起動指令に応答して前記電動ポンプに、該電動ポンプを所定回転数で回転させるための起動電力を供給する起動電力供給手段と、
該手段からの起動電力による電動ポンプの回転上昇傾向に基づき、該電動ポンプが所定時間内に前記所定回転数に達するか否かを判定する起動時ポンプ回転上昇判定手段と、
該手段で、電動ポンプが前記所定時間内に前記所定回転数に達すると判定するとき、前記起動電力供給手段からの起動電力に代え、起動後におけるポンプ駆動制御用の起動後電力を電動ポンプに供給する起動後電力供給手段と
を具備してなることをことを特徴とする電動ポンプの起動制御装置。 - 請求項1に記載された、電動ポンプの起動制御装置において、
前記電動ポンプの所定回転数は、前記起動後における電動ポンプの目標回転数であることを特徴とする電動ポンプの起動制御装置。 - 請求項2に記載された、電動ポンプの起動制御装置において、
前記所定時間は、前記電動ポンプの起動が安定しているときの目標回転数実現所要時間に相当する時間であることを特徴とする電動ポンプの起動制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載された、電動ポンプの起動制御装置において、
前記起動時ポンプ回転上昇判定手段は、前記所定時間よりも短い設定時間内に電動ポンプが前記所定回転数よりも低い設定回転数に達した時をもって、電動ポンプが前記所定時間内に前記所定回転数に達すると判定するものであることを特徴とする電動ポンプの起動制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載された、電動ポンプの起動制御装置において、
前記起動時ポンプ回転上昇判定手段で、電動ポンプが前記所定時間内に前記所定回転数に達しないと判定する度に、前記起動電力供給手段は繰り返し、電動ポンプへの起動電力供給を中断して該電動ポンプを停止させた後、再度電動ポンプへ同じ起動電力を供給して該電動ポンプを回転上昇させるものであることを特徴とする電動ポンプの起動制御装置。 - 請求項4に記載された、電動ポンプの起動制御装置において、
前記起動電力供給手段は、電動ポンプへの起動電力供給を中断して該電動ポンプを停止させた後、再度電動ポンプへ同じ起動電力を供給して該電動ポンプを回転上昇させ始めるまでの間に、電動ポンプを停止状態に保っておく所定のポンプ停止時間を設定するものであることを特徴とする電動ポンプの起動制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載された、電動ポンプの起動制御装置において、
エンジン、第1クラッチ、モータ/ジェネレータ、第2クラッチおよび駆動車輪を伝動経路の配列順とし、前記第1クラッチおよび第2クラッチの締結・解放制御により、前記エンジンおよびモータ/ジェネレータのうち、モータ/ジェネレータのみによる電気走行を行うか、エンジンおよびモータ/ジェネレータの協調によるハイブリッド走行を行うかを選択可能なハイブリッド車両に対し、
前記第2クラッチを前記電動ポンプからの吐出媒体により冷却するのに用いるよう構成したことを特徴とする電動ポンプの起動制御装置。
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