JP5848210B2 - 機械振動子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的に振動する微小部分を備えた機械振動子およびその製造方法に関するものである。
図5は、従来より用いられている微小な振動子(機械振動子)の作製手順を示す工程図である。図5では、振動子の構造を模式的な斜視図で示している。この振動子の製造では、まず、図5(a)に示すように、シリコン基板501の上に、酸化シリコン層502および単結晶シリコン層503が形成された状態とする。例えば、イオン打ち込みやウエハボンディングなどの公知の技術を用いて形成されたいわゆるSOI(Silicon on Insulator)基板を用いることができる。
次に、公知のフォトリソグラフィー技術や電子ビームリソグラフィーなどの微細なパターンの形成、および、形成したパターンをマスクとしたメサエッチングにより、酸化シリコン層502および単結晶シリコン層503を選択的に除去し、図5(b)に示すように、シリコン基板501の上に細線構造504が形成された状態とする。
次に、フッ酸など、シリコンに比較して酸化シリコンをより選択的に溶解するエッチング溶液を用いたウエットエッチングにより、細線構造504の下部の酸化シリコン層502を除去し、図5(c)に示すように、2箇所の支持部505により支持された梁構造506が、シリコン基板501の上に離間して形成された状態とする。酸化シリコン層502が犠牲層となり、この上に形成された単結晶シリコン層503を加工した後、この下の酸化シリコン層502を部分的に除去することで、振動子構造となる梁構造506が形成できる。
このようにして作製された振動子では、梁構造506は、シリコン基板501より離間して形成されているため、機械的に振動させることができる。この振動に対する共振を用いることにより、梁構造506を備えた振動子は、機械共振器として用いることができる(非特許文献1参照)。
断面の形状が矩形とされている梁構造506の共振周波数は、梁の部分の長さの二乗と、用いている材料の密度とに反比例し、梁の部分の厚さと材料のヤング率とに比例する。例えば、単結晶シリコンより構成されている梁構造506では、梁の部分の長さを50μmとし、梁の部分(単結晶シリコン層503)の厚さを1μmとすると、共振周波数は約3MHzとなる。同様の構成は、梁の代わりにメンブレンを用いることでも可能である(非特許文献2参照)。
これらの機械共振器は、コンデンサやコイルなどを用いて構成した電気回路による共振器に比較し、機械振動を用いているので、高いQ値と優れた周波数特性とを有している。また、上述したような機械共振器の共振周波数は、加えられた力により変化するため、共振周波数の変化を検出することにより、感度の非常に高い力検出素子を作製することが可能である(非特許文献3,4参照)。
上述した共振器の特性を示す最も重要な指標として、共振周波数ならびに性能指数(Q値)がある。より速い動作速度で、性能の優れた共振器を得るためには、より高い共振周波数ならびに大きなQ値を持つ共振器を作製することが重要となる。近年、引っ張り歪みを振動部に加えることで、より高い共振周波数ならびに大きなQ値を持つ共振器を実現する技術が報告されている。例えば、シリコン基板の上にCVD法で堆積した非晶質の窒化シリコン層で振動部を構成することで、高い共振周波数および大きなQ値が実現されている(非特許文献5,非特許文献6参照)
また、下層の格子定数のより大きな歪み印加層の上に格子定数のより小さい振動部形成層を形成することでここに引っ張り歪みを印加させ、この振動部形成層で振動部を構成することで、高い共振周波数および高いQ値を実現する技術も提案されている(非特許文献7,特許文献1参照)。これらの技術では、III−V族化合物半導体を用いて上述した構成の共振器を形成している。
例えば、GaAs基板の上に、Al濃度90%程度としたInAlAsからなる歪み印加層を形成し、この歪み印加層の上に、GaAsもしくはAl濃度35%以下のAlGaAsからなる振動部形成層を形成する。この構成では、歪み印加層は、より大きな格子定数を持ち、振動部形成層は、歪み印加層に対して小さな格子定数を持つ状態となる。この積層構造とした後、歪み印加層に空間を形成してこの領域の振動部形成層に振動部(梁構造)を形成する。
特開2009−231858号公報
D.W.Carr et al. , "Measurement of mechanical resonance and losses in nanometer scale silicon wires", Applied Physics Letters, Vol.75, No.7, pp.920-922, 1999. J-P.Raskin et al. ,"A Nobel Parameter-Effect MEMS Amplifier", Journal of Microelectromechanical Systems, Vol.9, No.4, pp.528-537,2000. A.N.Cleland and M.L.Roukes, "A nanometre-scale mechanical electrometer", Nature, Vol.392, pp.160-162, 1998. H.L.C.Tilmans, M.Elewenspoek, and, J.H.Fluitman, "Micro resonant force gauges", Sensor and Actuators, A, vol.30, pp.35-53, 1992. S. S. Verbridge et al. , "High quality factor resonance at room temperature with nanostrings under high tensile stress", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol. 99, 124304, 2006. S. S. Verbridge et al. , "A megahertz nanomechanical resonator with room temperature quality factor over a million", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol.92, 013112, 2008. H. Yamaguchi et al. , "Improved resonance characteristics of GaAs beam resonators by epitaxially induced strain", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol.92, 251913, 2008. Y. Oda1, K. Onomitsu, R. Kometani, S. Warisawa, S. Ishihara, and H. Yamaguchi, "Electromechanical Displacement Detection With an On-Chip High Electron Mobility Transistor Amplifier", Japanese Journal of Applied Physics, vol.50, 06GJ01, 2011.
しかしながら、上述した技術では、製造が容易ではないという問題があった。まず、非特許文献5の技術では、引っ張り歪みを印加された状態とする振動部は、シリコン基板上の窒化シリコンによって構成しているが、窒化シリコンは非晶質であり導電性の制御が難しい。また、非特許文献7および特許文献1の技術では、より高いQ値を得るためには、歪みが緩和されているバッファ層を厚さ数μmにわたって形成し、このバッファ層の上に歪み印加犠牲層を形成することになり、製造工程が長くなる。
以上に説明したように、上述した従来の技術では、高い共振周波数ならびに大きなQ値が得られる機械振動子は、製造が容易ではないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、高い共振周波数が得られる機械振動子が、より容易に製造できるようにすることを目的とする。
本発明に係る機械振動子は、基板の上に接して形成されたIII−V族化合物半導体からなる支持層と、支持層に比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体から構成され、支持層の上に結晶成長により形成されて支持層との格子不整合による引っ張り歪みが残留する振動部形成層と、支持層の側に空間を備えて振動部形成層に形成された振動部とを少なくとも備え、前記振動部形成層は、窒素がドーピングされている。
上記機械振動子において、振動部形成層は、振動部形成層が格子緩和されない範囲の濃度の窒素がドーピングされていればよい。例えば、窒素がドーピングされた振動部形成層は、臨界膜厚以下とされていればよい。
上記機械振動子において、基板側から見て振動部形成層の下側および上側の少なくとも一方に形成されたIII−V族化合物半導体からなる半導体層を備え、振動部は、振動部形成層および半導体層により形成されていてもよい。また、振動部形成層は、導電型を有する状態に形成されていてもよい。
上記機械振動子において、振動部に形成された電界効果トランジスタを備えるようにしてもよい。また、振動部に接続し、振動部の励振および振動部の振動の検出を行うための電極を備えるようにしてもよい。
また、本発明に係る機械振動子の製造方法は、III−V族化合物半導体からなる支持層を基板の上に接して形成する第1工程と、支持層に比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体からなる振動部形成層を窒素をドーピングして支持層の上に結晶成長し、支持層との格子不整合による引っ張り歪みが振動部形成層に残留する状態に形成する第2工程と、支持層の側に空間を形成することで振動部形成層に振動部を形成する第3工程とを備える。例えば、第2工程では、振動部形成層の結晶成長において、振動部形成層が格子緩和されない範囲の濃度の窒素をドーピングすればよい。なお、第2工程では、窒素のドーピング量により振動部形成層に残留する引っ張り歪みの量を制御することができる。
以上説明したことにより、本発明によれば、高い共振周波数が得られる機械振動子が、より容易に製造できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態1における機械振動子の製造方法例を模式的に示す工程図である。 図2は、実施の形態1における機械振動子の共振特性を示す特性図である。 図3は、本発明の実施の形態2における機械振動子の構成を示す構成図であり、(a)は、断面を模式的に示し、(b)は、平面を示している。 図4は、本発明の実施の形態3における機械振動子の構成を示す斜視図である。 図5は、従来より用いられている微小な共振器(機械振動子)の作製手順を示す工程図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における機械振動子の製造方法例を模式的に示す工程図である。図1では、各工程における概略的な状態を斜視図で示している。
まず、図1の(a)に示すように、GaAsの結晶からなる基板101の上に、III−V族化合物半導体であるAl0.65Ga0.35Asからなる支持層102を形成し、支持層102の上に、窒素ドーピングしたGaAsからなる振動部形成層103を形成する。振動部形成層103を構成するGaAsは、支持層102を構成するAlGaAsに比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体である。これらは、よく知られた有機金属気相成長法,分子線エピタキシー法,液相エピタキシー法などの結晶成長方法により順次にエピタキシャル成長して積層すればよい。
上述したように、振動部形成層103は、支持層102に比較して小さい格子定数を有する材料から構成し、加えて、振動部形成層103は、振動部形成層103が格子緩和されない範囲の濃度の窒素をドーピングして形成する。例えば、振動部形成層103は、窒素がドーピングされた状態で臨界膜厚以下に形成すればよい。このように、GaAsなどのIII−V族化合物半導体に対して窒素をドーピングすることで、より格子定数を小さくすることができる。また、窒素のドーピング量により格子定数が制御でき、窒素のドーピング量が多いほど、小さな格子定数とすることができる。
以上のことにより、支持層102の上に結晶成長により窒素をドーピングして形成された振動部形成層103は、支持層102との格子不整合による引っ張り歪みが残留する状態となる。この結果、振動部形成層103は、面方向に引っ張り歪み、すなわち張力のかかった状態となる。また、窒素を導入したことにより、振動部形成層103は、窒素を導入しない場合に比較してより小さな格子定数となるため、支持層102との格子不整合はより大きなものとなり、残留する引っ張り歪みもより大きなものとなる。
なお、振動部形成層103は、支持層102との格子不整合による歪みが緩和することなく引っ張り歪みが残留する状態に形成されていることが重要である。よく知られているように、臨界膜厚を超えてエピタキシャル成長層を厚く形成すると、格子不整合から生じる歪みは緩和される。これに対し、例えば、上述したように、窒素を導入した状態で臨界膜厚より薄い状態に振動部形成層103が形成されていれば、歪みの緩和は発生せず、引っ張り歪みが残留する状態が維持できる。
なお、振動部形成層103が臨界膜厚より若干厚く形成されていてもよい。このような場合でも、振動部形成層103の全てにおいて、全ての歪みが緩和されるわけでない。部分的に歪みが緩和されている状態であれば、上述同様に引っ張り歪みが残留する状態が得られる。また、窒素のドーピング量を増やすと、より格子定数が小さくなるため、臨界膜厚もより薄くなる。このため、窒素のドーピング量が多すぎると、格子緩和をさせない状態とする層厚が薄くなりすぎ、実用的ではなくなる。このため、例えばGaAsにドープする場合、Asに対して10%程度までとすることで、実用的な範囲で、格子緩和が抑制された状態とすることができる。
以上のように、より大きな格子定数を備える支持層102の上に、これより小さな格子定数を備える振動部形成層103を、窒素をドーピングした状態で結晶成長させることで、張力のかかった状態の振動部形成層103が形成された後、公知のリソグラフィー技術による微細なパターンの形成、および、形成したパターンをマスクとしたメサエッチングにより、振動部形成層103を選択的に除去し、図1の(b)に示すように、基板101の上に細線構造104を形成する。
次に、エッチング選択性の高いエッチング溶液を用いたウエットエッチングにより、細線構造104の下部の支持層102を選択的に除去して支持層102の側に空間を形成することで、図1の(c)に示すように、2箇所の支持部105により支持された梁構造(振動部)106を形成する。梁構造106は、基板101の上に離間して振動(変形)可能に形成された状態とする。例えば、フッ化水素水溶液をエッチング液として用いればよい。なお、支持部105は、一部の支持層102により構成された状態となる。
以上のことにより、基板101の上に形成されたIII−V族化合物半導体からなる支持層102と、支持層102に比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体から構成され、支持層102の上に結晶成長により窒素がドープされて形成されて支持層102との格子不整合による引っ張り歪みが残留する振動部形成層103と、支持層102の側に空間を備えて振動部形成層103に形成された梁構造106とを少なくとも備える機械振動子が得られる。この機械振動子では、梁構造106を形成している振動部形成層103は、窒素ドーピングすることで、より小さな格子定数としており、下層の支持層102との間でより大きな格子定数差が得られている。この結果、梁構造106は、引っ張り歪みを備えた状態で形成される。
このように、実施の形態1における機械振動子は、振動部となる梁構造106が、より大きな張力のかかった状態に形成されるようになり、より高い共振周波数を備えた状態が得られる。また、この状態を、下層に、InAlAsなどのより大きな格子定数の材料の層を形成する必要が無く、より少ない層構成で、梁構造106により大きな張力のかかった状態が得られる。また、InAlAsなどの、大気中で劣化しやすい材料を用いる必要がないので、特性の劣化も抑制できる。
また、格子緩和しない状態に振動部形成層103(梁構造106)を形成することで、引っ張り歪みが梁構造106内で均一な状態となり、より高いQ値が得られるようになる。
なお、例えば、振動部形成層103を、シリコンを導入するなどによりn型として導電性を有する状態に形成し、図1の(d)に示すように、梁構造106(振動部形成層103)に一端にショットキー接続する励振電極111を形成し、他端にショットキー接続する検出電極112を形成すれば、励振電極111により梁構造106を励振し、検出電極112により梁構造106の振動を検出することができる。また、振動部形成層103を導電型の無い状態(i型)に形成し、図1の(d)に示すように励振電極111を形成し、梁構造106とは別体の部分に検出電極(不図示)を設けるようにしてもよい。この場合、図1の(d)に示す検出電極112は用いない。この場合、図示しない検出電極と梁構造106との間の静電力は、梁構造106の変位(振動)による変化するため、この変化を図示しない検出電極で検出することで、梁構造106の振動状態が検出できる。
以下、実施の形態1における機械振動子を実際に作製した試料の共振特性について説明する。まず、振動部形成層103を、窒素のドーピング量を4.5%(対As)としたGaAsを用いて層厚200nmに形成した機械振動子を作製した。梁構造106は、幅20μm長さ200μmとした。また、比較試料として、窒素をドーピングしていない機械振動子を作製した。この比較試料は、窒素をドーピングしていないこと以外は、試料と同一である。
図2に試料および比較試料の共振特性を示す。図2の(a)が試料の共振特性であり、(b)が比較試料の共振特性である。図2において、実線は、点で示す実験値をローレンツ関数でフィッティングしたものである。また、このフィッティングした関数より、Q値を求めている。図2より明らかなように、試料は比較試料に対して5倍程度の共振周波数となっている。また、試料は、比較試料に対して30倍程度の大きなQ値が得られた。また、試料および比較試料ともに、1週間空気中に放置した後も、共振特性の変化はみられない。このように、実施の形態1によれば、高い共振周波数が得られる機械振動子が、より容易に製造できる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における機械振動子の構成を示す構成図であり、(a)は、断面を模式的に示し、(b)は、平面を示している。
実施の形態2の機械振動子は、基板301の上に形成されたIII−V族化合物半導体からなる支持層302と、支持層302に比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体から構成され、支持層302の上に結晶成長により形成されて支持層302との格子不整合による引っ張り歪みが残留する振動部形成層303と、支持層302の側に空間311を備えて振動部形成層303に形成された振動部306とを備える。
実施の形態2では、支持層302に平面視円形の開口部302aを形成することで、空間311を構成し、この周囲に支持部305を構成している。また、振動部306は、支持部305に支持され、基板301の上に離間して振動可能に形成されている。例えば、振動部形成層303に微細な貫通孔303aを形成し、貫通孔303aを介して、振動部形成層303に対して支持層302を高い選択比でエッチングするエッチング溶液を用いたウエットエッチングにより、等方的に支持層302をエッチングすることで、空間311が形成できる。このように空間311を形成することで、この領域の振動部形成層303を平面視円形のメンブレンとした振動部306とすることができる。
例えば、支持層302は、III−V族化合物半導体であるAl0.65Ga0.35Asから構成し、振動部形成層303は、窒素ドーピングしたIII−V族化合物半導体であるGaAsから構成すればよい。前述した実施の形態1と同様に、窒素をドーピングすることで、振動部形成層303の格子定数をより小さくすることができ、支持層302との間の格子定数差をより大きくすることができる。この結果、実施の形態2においても、格子定数差をより大きくするために、より多くの層を形成する必要が無く、高い共振周波数が得られる機械振動子が、より容易に製造できるようになる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態3における機械振動子の構成を示す斜視図である。
この機械振動子は、例えばGaAsの結晶からなる基板401の上に形成されたAl0.65Ga0.35Asからなる支持層402と、窒素をドーピングしたGaAsから構成された振動部形成層403と、支持層402の側に空間を備えて振動部形成層403に形成された梁構造の振動部422とを少なくとも備える。
また、振動部形成層403の上には、GaAsからなるチャネル層404と、n型のAlGaAsからなる障壁層405とが積層されている。実施の形態3では、振動部422が、振動部形成層403,チャネル層404,および障壁層405の積層構造によって形成されている。また、これらの積層構造による振動部422は、一部の支持層402により構成された支持部421により支持されている。
加えて、実施の形態3では、振動部422の障壁層405の上に、オーミック接続するソース電極406およびドレイン電極407と、ソース電極406とドレイン電極407との間に配置されてショットキー接続するゲート電極408を備える。この例において、各電極は、梁構造の振動部422の延在方向に延在して形成している。実施の形態3では、上述した構成による電界効果トランジスタを、振動部422に備えているところに特徴がある。このように、振動部422に電界効果トランジスタを組み込むことも可能である。
また、振動部422の梁構造の両端にソース電極およびドレイン電極を設け、振動部422の直下の基板401の上にゲート電極を設ける構成としてもよい。この場合、振動部422の下面とゲート電極上面とは、離間している。また、振動部形成層403,チャネル層404,および障壁層405の積層構造による振動部の上に、図1の(d)を用いて説明したように電極をショットキー接続して設け、この電極に、障壁層405,チャネル層404の振動部以外の領域に形成した電界効果トランジスタを接続する構成としてもよい(非特許文献8参照)。これらのようにすることで、電界効果トランジスタにより振動検出を増幅させることも可能である。
以上に説明したように、本発明によれば、支持層の上に形成する振動部形成層を、支持層に比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体から構成し、加えて窒素がドーピングされているようにしたので、振動部形成層より構成される振動部は、より小さな格子定数の状態が得られ、支持層との間により大きな格子不整合が得られるようになる。この結果、本発明によれば、高い共振周波数が得られる機械振動子が、より容易に製造できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、振動部形成層は、GaAsに限らず、InAsやGaSbなどのIII−V族化合物半導体から構成してもよい。この場合であっても、窒素をドーピングすることで、格子定数を小さくすることができる。また、上述では、n型とするために、シリコンを用いたが、これに限るものではなく、用いるIII−V族化合物半導体にあわせ、Sn、Be、Mg、Mn、Cなどを用いるようにしてもよい。
また、上述では、1例として、振動部形成層の上に、III−V族化合物半導体からなる他の半導体層を積層する場合について説明したが、これに限るものではなく、振動部形成層の下の支持層との間に、III−V族化合物半導体からなる他の半導体層を備え、このような振動部形成層と半導体層との積層構造により振動部を構成してもよい。この場合、振動部においては、厚さ方向の一部に窒素がドーピングされた層が形成されていることになる。窒素をドーピングする層は、格子緩和を抑制するために余り厚くできないが、他の半導体層を積層することで、例えば、振動部の全体を、より高い導電性を有する状態にすることができるようになる。
また、上述では、機械振動子の共振特性について説明したが、本発明の機械振動子は、周波数フィルターに適用可能であり、また、一般的な共振器と同様に、振動部分に加わる力を検出する様々な検出器に対応可能である。
101…基板、102…支持層、103…振動部形成層、104…細線構造、105…支持部、106…梁構造(振動部)、111…励振電極、112…検出電極。

Claims (8)

  1. 基板の上に接して形成されたIII−V族化合物半導体からなる支持層と、
    前記支持層に比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体から構成され、前記支持層の上に結晶成長により形成されて前記支持層との格子不整合による引っ張り歪みが残留する振動部形成層と、
    前記支持層の側に空間を備えて前記振動部形成層に形成された振動部と
    を少なくとも備え、
    前記振動部形成層は、窒素がドーピングされていることを特徴とする機械振動子。
  2. 請求項1記載の機械振動子において、
    前記振動部形成層は、前記振動部形成層が格子緩和されない範囲の濃度の窒素がドーピングされていることを特徴とする機械振動子。
  3. 請求項1または2記載の機械振動子において、
    前記基板側から見て前記振動部形成層の下側および上側の少なくとも一方に形成されたIII−V族化合物半導体からなる半導体層を備え、
    前記振動部は、前記振動部形成層および前記半導体層により形成されていることを特徴とする機械振動子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の機械振動子において、
    前記振動部形成層は、導電型を有する状態に形成されていることを特徴とする機械振動子。
  5. 請求項4記載の機械振動子において、
    前記振動部に形成された電界効果トランジスタを備えることを特徴とする機械振動子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の機械振動子において、
    前記振動部に接続し、前記振動部の励振および前記振動部の振動の検出を行うための電極を備えることを特徴とする機械振動子。
  7. II−V族化合物半導体からなる支持層を基板の上に接して形成する第1工程と、
    前記支持層に比較して小さい格子定数を有するIII−V族化合物半導体からなる振動部形成層を窒素をドーピングして前記支持層の上に結晶成長し、前記支持層との格子不整合による引っ張り歪みが前記振動部形成層に残留する状態に形成する第2工程と、
    前記支持層の側に空間を形成することで前記振動部形成層に振動部を形成する第3工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする機械振動子の製造方法。
  8. 請求項7記載の機械振動子の製造方法において、
    前記第2工程では、窒素のドーピング量により前記振動部形成層に残留する前記引っ張り歪みの量を制御することを特徴とする機械振動子の製造方法。
JP2012180384A 2012-08-16 2012-08-16 機械振動子およびその製造方法 Active JP5848210B2 (ja)

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