JP5846493B2 - 中空ナノ構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中空ナノ構造体の新規な製造方法、及び新規な中空ナノ構造体に関する。
ナノスケールの空孔を有する中空ナノ構造体(例えばナノチューブ等)には、燃料電池の触媒、有害元素の吸着フィルタ、環境センサなど、様々な応用が期待されている。
ナノチューブ製造における既存技術は、(1)自己組織化法、(2)テンプレート法、(3)被覆ナノワイヤ(コア−シェル型ナノワイヤ)のコア部除去法、の3つに大別することができる。
(1)自己組織化法は、カーボンナノチューブと同様に、特定の物理的・化学的条件下において、成分原子が自然にチューブ状に形成する性質を利用する手法である。例えば特許文献1には、低真空中で金属銅の表面に高エネルギービームを照射して、励起した銅原子と低真空中に残留する酸素原子とを結合させつつ、自己組織化によって、内部が中空なナノチューブを製造する方法が開示されている。また非特許文献1には、緩やかな段階的酸化処理と速い酸化処理との組み合わせによって単結晶BiナノワイヤからBiナノチューブを作製したことが報告されている。しかし、このような自己組織化を発現する材料はごく限られているため、利用可能な材料には制約がある。また、自己組織化反応は偶発的な要素を含んでいるため、作成されるナノチューブの形状を制御することが困難である場合が多い。
(2)テンプレート法は、ナノ空孔を有する多孔質の陽極酸化アルミナ膜をテンプレート(鋳型)として用い、空孔内壁表面に材料を円筒状に堆積させた後、溶剤を用いた湿式エッチング処理により不要な型材(陽極酸化アルミナ膜)を除去する方法である(例えば特許文献2参照。)。エッチング処理が必須であるため、簡便な製造方法とすることは一般に困難である。
(3)被覆ナノワイヤのコア部除去法は、ナノワイヤに異種材料を被覆してコア−シェル型構造を形成し、コア部であるナノワイヤを、シェル部を残して何らかの方法で除去する方法である。例えば特許文献3には、基板上にナノワイヤを成長させる工程と、ナノワイヤの表面に外部被覆層を形成させる工程と、外部被覆層の先端に選択的エッチングを施すことでナノワイヤの先端を露出させる工程と、ナノワイヤ全体を除去して中空状の外部被覆層を残すことでナノチューブを形成させる工程とを有するナノチューブの製造方法が開示されている。コア部の除去方法としては、特許文献3におけるような湿式エッチング(ウェットエッチング)のほか、酸化燃焼、及び熱昇華が知られている。ウェットエッチングでコア部を除去するためには、溶剤をコア部に直接接触させなければならないため、コア部を露出させる処理が必須となる。またエッチング処理を行うため、上記テンプレート法と同様に簡便さの点で不利である。一方、酸化燃焼や熱昇華によってコア部を除去するためには、例えば800℃以上といった高温での処理が必要となる。
特開2008−94686号公報 米国特許出願公開公報2007/0277866号明細書 特開2011−36995号公報
Li, L.; Yang, Y.-W.; Li, G.-H.; Zheng, L.-D. Small 2006, 2(4), 548-553.
そこで本発明は、コア−シェル型構造体のコア部を化学処理して中空ナノ構造体を製造する方法であって、コア部を露出させる処理を必須とせず、簡便にコア部を除去することが可能な、中空ナノ構造体の製造方法を提供することを課題とする。また、該方法を利用した多層中空ナノ構造体の製造方法を提供する。また、中空ナノ構造体及び多層中空ナノ構造体を提供する。
本発明者は検討の結果、酸化物をコアとして用い、酸化物コア表面をカーボン層で被覆してからシェル層を形成することにより、比較的低温で該カーボンによる還元反応が起きて酸化物コアを還元的に分解処理できることを見出し、本発明を完成するに至った。
第1の本発明は、
炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である1種以上の酸化物によって構成された酸化物ナノコア部材を準備する工程と、
該酸化物ナノコア部材の表面に炭素被覆層を形成する工程と、
該炭素被覆層の表面に、非炭素材料によって構成されたシェル層を形成することにより、コア−シェル構造体を作製する工程と、
該コア−シェル構造体を熱処理する工程と
を上記順に有する、中空ナノ構造体の製造方法である。
ここで、本発明において、「中空ナノ構造体」は、チューブ状の態様(ナノチューブ)に限定されるものではなく、球状に近い又は球状の態様(ナノビーズ)をも包含する概念である。なお、「チューブ状」とは、チューブ端部に開口部を有する態様に限定されるものではなく、端部に開口部を有しない態様をも包含するものとする。ある酸化物MO(xは整数又は分数)について「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度」とは、炭素が酸化物MOを0価まで還元して一酸化炭素又は二酸化炭素を発生する反応の標準反応ギブズエネルギーが負になる最低の温度を意味する。なお、易還元性の酸化物の中には、絶対零度以上の全ての温度で当該標準反応ギブズエネルギーが負になる酸化物が存在する(例えばAgO等。)が、そのような酸化物については、絶対零度以上のあらゆる温度X[℃]について、「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度がX以下である」ものとする。また、「非炭素材料」とは、炭素以外の元素を含んでなる材料を意味する概念であって、炭素鋼や炭化ケイ素(シリコンカーバイド)等の、炭素を含有する材料をも包含する概念である。
第2の本発明は、多層中空ナノ構造体を製造する方法であって、
炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である1種以上の酸化物によって構成された酸化物ナノコア部材を準備する工程と、
該酸化物ナノコア部材の表面に炭素被覆層を形成する工程と、
該炭素被覆層の表面に、非炭素材料によって構成されたシェル層を形成することにより、中間体を作製する工程と、
該中間体に対して、
表面に、炭素被覆層、及び非炭素材料によって構成されたシェル層、を順に形成することを1又は複数回行うことにより、コア−シェル構造体を作製する工程と、
該コア−シェル構造体を熱処理する工程と
を上記順に有する、中空ナノ構造体の製造方法である。
第2の本発明においては、複数のシェル層が形成されることになる。なお、これら複数のシェル層を構成する材料は同一でも相互に異なっていてもよい。
第1及び第2の本発明において、シェル層が、上記熱処理の温度で炭素が浸透及び拡散できる層であることが好ましい。
第1及び第2の本発明においては、上記コア−シェル構造体を作製した後、該コア−シェル構造体を熱処理する工程の前に、当該コア−シェル構造体中の最も内側の炭素被覆層を露出させる工程を有していてもよい。
第1及び第2の本発明においては、上記酸化物が、CuO、CuO、NiO、Co、Fe、Fe、SnO、及びZnOからなる群から選ばれる1種以上であることが特に好ましい。
第1及び第2の本発明においては、シェル層を構成する非炭素材料が、上記熱処理の温度で炭素による還元を受けない材料であることが好ましい。
第1及び第2の本発明においては、上記熱処理の温度が360℃以下であることが好ましい。
第3の本発明は、中空ナノ構造体であって、
非炭素材料層を有するシェル部材と、該シェル部材によって画定された中空部とを有し、
上記シェル部材が、上記中空部側の表面に、上記非炭素材料層を構成する材料とは異なる非炭素材料で構成された内側層を有し、
上記内側層を構成する非炭素材料は、対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料である、中空ナノ構造体である。
第4の本発明は、多層中空ナノ構造体であって、
非炭素材料層を有し第1の中空部を画定する第1のシェル部材と、非炭素材料層を有し第2の中空部を画定する第2のシェル部材と、を有し、
上記第1のシェル部材が、上記第2の中空部に配置されている、中空ナノ構造体である。
第4の本発明においては、上記第1のシェル部材がさらに、該第1のシェル部材の非炭素材料層とは異なる非炭素材料で構成された内側層を第1の中空部側の表面に有し、該内側層を構成する非炭素材料は、対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料である形態としてもよい。
第1及び第2の本発明に係る中空ナノ構造体の製造方法によれば、酸化物ナノコア部材とシェル層との間に炭素被覆層が形成されているコア−シェル構造体を熱処理に供するので、酸化物ナノコア部材が炭素によって還元的に分解処理される。したがって、酸化物ナノコア部材を露出させる処理を必須とせず、また熱処理によって簡便にコア部材を分解処理することが可能な、中空ナノ構造体の製造方法を提供することができる。
第3の本発明に係る中空ナノ構造体によれば、第1の本発明の方法で製造することが可能な、中空ナノ構造体を提供することができる。
第4の本発明に係る中空ナノ構造体によれば、第2の本発明の方法で製造することが可能な、多層中空ナノ構造体を提供することができる。
第1の本発明の一の実施形態である中空ナノ構造体の製造方法S100を説明するフローチャートである。 中空ナノ構造体の製造方法S100を、断面視によって模式的に説明する図である:(A)コア部材準備工程S101に対応する図である;(B)炭素被覆層形成工程S102に対応する図である;(C)シェル層形成工程S103に対応する図である;(D)熱処理工程S104に対応する図である;(E)最終的に製造される中空ナノ構造体の断面模式図である。 第1の本発明の他の実施形態である中空ナノ構造体の製造方法S200を説明するフローチャートである。 中空ナノ構造体の製造方法S200を、断面視によって模式的に説明する図である:(A)コア部材準備工程S101に対応する図である;(B)炭素被覆層形成工程S102に対応する図である;(C)シェル層形成工程S103に対応する図である;(D)炭素被覆層露出工程S204に対応する図である;(E)熱処理工程S205に対応する図である;(F)最終的に製造される中空ナノ構造体の断面模式図である。 第1の本発明のさらに他の実施形態である中空ナノ構造体の製造方法S1000を説明するフローチャートである。 中空ナノ構造体の製造方法S1000を、斜視図によって模式的に説明する図である。 第2の本発明の一の実施形態である中空ナノ構造体の製造方法S300を説明するフローチャートである。 中空ナノ構造体の製造方法S300を、断面視によって模式的に説明する図である:(A)コア部材準備工程S301に対応する図である;(B)第1炭素被覆層形成工程S302に対応する図である;(C)第1シェル層形成工程S303に対応する図である;(D)第2炭素被覆層形成工程S304に対応する図である;(E)第2シェル層形成工程S305に対応する図である;(F)熱処理工程S306に対応する図である;(G)最終的に製造される多層中空ナノ構造体の断面模式図である。 第3の本発明の一実施形態である中空ナノ構造体500を説明する断面模式図である。 第4の本発明の一実施形態である多層中空ナノ構造体600を説明する断面模式図である。 (a)CuOナノワイヤを分離する様子を撮影した光学顕微鏡写真である。(b)CuOナノワイヤを付着させたAFMカンチレバーを撮影した光学顕微鏡写真である。 (a)実施例1の単層Ptナノチューブを切断する前の様子を撮影した光学顕微鏡写真である。(b)実施例1の単層Ptナノチューブが曲げ応力で脆性破壊する寸前の様子を撮影した光学顕微鏡写真である。 (a)実施例1の単層Ptナノチューブの切断前のSEM像である。(b)実施例1の単層Ptナノチューブの切断後の断面SEM像である。(c)実施例2の単層Ptナノチューブの断面SEM像である。 実施例3の多層Agナノチューブの切断後の断面SEM像である。 (a)実施例1の単層Ptナノチューブの断面中央部分のEDXスペクトルである。(b)実施例2の単層Ptナノチューブの内側面のEDXスペクトルである。(c)実施例3の多層Agナノチューブの断面中央部分のEDXスペクトルである。 第1の本発明によって製造可能なAl中空ナノ構造体を逆テンプレートとして利用することにより、導電金属ナノコイルを製造するプロセスを模式的に説明する図である。
本発明の上記した作用および利得は、以下に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図では、符号を一部省略することがある。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。また、特に断らない限り、数値範囲について「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
<1.中空ナノ構造体の製造方法(1)(第1の本発明)>
第1の本発明に係る中空ナノ構造体の製造方法の一の実施形態について説明する。図1は、中空ナノ構造体の製造方法S100(以下、「製造方法S100」又は単に「S100」と略記することがある。)を説明するフローチャートである。また図2は、製造方法S100を断面視によって模式的に説明する図である。図1に示すように、製造方法S100は、コア部材準備工程S101と、炭素被覆層形成工程S102と、シェル層形成工程S103と、熱処理工程S104とをこの順に有する。以下、図1及び図2を参照しつつ、各工程について順に説明する。
(コア部材準備工程S101)
コア部材準備工程S101(以下、単に「S101」と略記することがある。)は、炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である1種以上の酸化物によって構成された酸化物ナノコア部材(以下、単に「コア部材」又は「ナノコア」と略記することがある。)10を準備する工程である。本工程で準備した酸化物ナノコア部材10が、最終的に製造される中空ナノ構造体100の形状を決める鋳型となる。
ある酸化物MO(xは整数又は分数)について「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である」とは、
炭素から一酸化炭素ガスが発生する反応:
C(s)+(1/2)O(g) → CO(g) (1)
の標準反応ギブズエネルギーΔ(C,CO)、又は、炭素から二酸化炭素ガスが発生する反応:
(1/2)C(s)+(1/2)O(g) → (1/2)CO(g) (2)
の標準反応ギブズエネルギーΔ(C,CO)が、金属Mの酸化反応:
xM(s、l、又はg)+(1/2)O(g) → MO(s) (3)
の標準反応ギブズエネルギーΔ(M,MO)よりも負になる温度領域のうち最低の温度が1500℃以下であることを意味する。このとき、当該温度領域において、炭素が酸化物MOを0価に還元して一酸化炭素ガスを発生する反応:
O(s)+C(s)→xM(s、l、又はg)+CO(g) (4)
の標準反応ギブズエネルギーΔ=Δ(C,CO)−Δ(M,MO)、又は、炭素が酸化物MOを0価に還元して二酸化炭素ガスを発生する反応:
O(s)+(1/2)C(s)→xM(s、l、又はg)+(1/2)CO(g) (5)
の標準反応ギブズエネルギーΔ=Δ(C,CO)−Δ(M,MO)が負の値となり、炭素による酸化物MOの0価への還元反応が自発的に進行する。
ある酸化物MO(xは整数又は分数)について、
Δ(C,CO) < Δ(M,MO) (6)
又は
Δ(C,CO) < Δ(M,MO) (7)
が成立する温度領域が絶対零度以上1500℃以下の温度範囲に存在するならば、当該酸化物は本発明に言う「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である酸化物」に該当する。
酸化物ナノコア部材を構成する酸化物の、炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度は、1500℃以下でなければならず、1000℃以下であることが好ましく、750℃以下であることより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましく、360℃以下であることが特に好ましい。
「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である酸化物」に該当する具体的な酸化物としては、例えば、CuO、CuO、ZnO、FeO、Fe、Fe、AgO、As、As、Bi、CdO、CoO、Co、CrO、Cr、CsO、Ga、GeO、GeO、HgO、In、KO、MnO、MnO、Mn、Mn、MoO、MoO、NaO、NbO、NbO、Nb、NiO、Ni、OsO、PbO、PbO、Pb、PdO、RbO、Re、Rh、RuO、RuO、Sb、Sb、SeO、SeO、SnO、SnO、Ta、TeO、TlO、UO、V、V、V、WO、及びWOを挙げることができる。
「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1000℃以下である酸化物」としては、上記例示した具体的な酸化物のうち、CuO、CuO、ZnO、FeO、Fe、Fe、AgO、As、As、Bi、CdO、CoO、Co、CrO、CsO、GeO、GeO、HgO、In、KO、MnO、Mn、MoO、MoO、NiO、Ni、OsO、PbO、PbO、Pb、PdO、RbO、Re、Rh、RuO、RuO、Sb、Sb、SeO、SeO、SnO、SnO、TeO、TlO、V、WO、及びWOを挙げることができる。
「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が750℃以下である酸化物」としては、上記例示した具体的な酸化物のうち、CuO、CuO、FeO、Fe、Fe、AgO、As、As、Bi、CdO、CoO、Co、CrO、CsO、GeO、GeO、HgO、In、KO、MnO、MoO、MoO、NiO、Ni、OsO、PbO、PbO、Pb、PdO、RbO、Re、Rh、RuO、RuO、Sb、Sb、SeO、SeO、SnO、SnO、TeO、TlO、WO、及びWOを挙げることができる。
「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が500℃以下である酸化物」としては、上記例示した具体的な酸化物のうち、CuO、CuO、AgO、As、As、Bi、CdO、CoO、Co、CrO、GeO、HgO、MnO、MoO、NiO、Ni、OsO、PbO、PbO、Pb、PdO、Re、Rh、RuO、RuO、Sb、Sb、SeO、SeO、TeO、及びTlOを挙げることができる。
「炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が360℃以下である酸化物」としては、上記例示した具体的な酸化物のうち、CuO、CuO、AgO、As、As、Bi、CdO、CoO、Co、CrO、HgO、MoO、NiO、Ni、OsO、PbO、PbO、Pb、PdO、Rh、Re、RuO、RuO、Sb、Sb、SeO、SeO、TeO、及びTlOを挙げることができる。
上記した酸化物の中でも、熱処理の温度をより低くすることが可能になる点、及びナノワイヤ等としての入手が容易である点等の観点から、CuO、CuO、NiO、Co、Fe、Fe、SnO、及びZnOが特に好ましい。なお、2種以上の酸化物を適宜組み合わせて用いることも可能である。
なお、製造時の取り扱いが容易である観点からは、コア部材を構成する上記酸化物は、絶対零度以上80℃以下の温度においては炭素による還元反応が進行しない酸化物であることが好ましい。
ここで、本発明においてある酸化物が「絶対零度以上80℃以下の温度においては炭素による還元反応が進行しない酸化物」であるか否かは、次の炭素混合加熱試験によって決定するものとする。
(炭素混合加熱試験)
レーザー回折法による体積分布の中間値を与える球相当径が10μmである非晶質炭素粉末10mmol分と、これに20mmolの酸素原子を含む量の、上記同様に定義される球相当径が10μmである当該酸化物粉末との均一混合物を、Arガスフロー雰囲気(内径5mmの石英ガラス管使用、1気圧、標準状態(0℃,1気圧)換算で8mL/秒)中、80℃で24時間保持する。系から流出したフローガスを捕集分析して二酸化炭素も一酸化炭素も検出されない場合に、当該酸化物は「絶対零度以上80℃以下の温度においては炭素による還元反応が進行しない酸化物」であるものとする。
なお上記における二酸化炭素および一酸化炭素の検出は、赤外線式ガス分析計(FTIRあるいはNDIR)を用いて行うものとする。
コア部材10の形状は特に限定されるものではなく、微粒子(ナノビーズ)であってもよく、細線(ナノワイヤ)であってもよく、ナノロッド(アスペクト比30未満)のようにナノワイヤと比較してアスペクト比の小さい(短い)ものであってもよく、その他ナノベルトやナノコイル等、より複雑な形状を有していてもよい。ただし、当該コア部材内部のどの点についても当該点に最も近い表面からの距離(深さ)が500nm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である形状を有するコア部材を用いることにより、後述する熱処理工程S104において炭素によってコア部材をより確実に還元的に分解処理することが可能になる。この要件は、例えば、ワイヤ長手方向に直交する面での断面が略円形であるナノワイヤ、ナノロッド、及びナノコイルにおいては、該断面の短軸方向の半径が上記上限値以下であることに対応する。また、ナノベルトについては、該ナノベルトの厚さの1/2の値が上記上限値以下であることに対応する。また、ナノビーズについては、同一体積の球相当粒子の半径の値が上記上限値以下であることに対応する。
酸化物ナノコア部材は、公知の方法によって作製することができる。例えば銅酸化物ナノコアについては、直径0.1mm程度の銅細線を空気中、600℃で4〜40時間加熱酸化することにより、直径数十nm〜700nm、長さ数μm〜100μmのCuOナノワイヤ群が当該銅細線の表面上に成長する。ナノワイヤの径は加熱時間を長くとることによって大きくできる。このCuOナノワイヤ群から所望の数量のCuOナノワイヤを例えばピエゾ素子駆動のSiマイクロカンチレバー等を用いて折り取ることにより、CuOナノワイヤを得ることができる。なお、銅酸化物ナノワイヤを成長させる方法については、特開2004−214196号公報にも開示がある。
また例えば亜鉛酸化物ナノコアについては、サファイア基板表面に触媒として例えば金の薄膜をコーティングし、真空下でZnO粉末を加熱して昇華させてサファイア基板上に析出させることにより、サファイアの結晶構造の周期性に起因して周期的な並びでZnOナノワイヤが成長することが知られている。また亜鉛酸化物に関しては、ZnO粉末の熱昇華および温度等の堆積条件を設定することにより、ZnOナノリングやZnOナノコイルが作製できることも報告されている(R. Yang and Z. L. Wang, J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 1466-1467.)。
また例えばマンガン酸化物ナノコアについては、YuanらはMnOを原料として用い、それを200℃加圧条件下水熱反応させることで、γ−MnOOHの単結晶ナノワイヤを合成でき、さらにそのγ−MnOOHの単結晶ナノワイヤを300℃以上の温度にて加熱することで、β−MnOの単結晶ナノワイヤを得ることを報告している(Yuan et. al., Appl. Phys. 2005, A80, 743-747.)。Crisostomoらは、KMnOを出発原料として用い、それを還元させることでマンガン酸化物のナノ構造を有する粉体を得ている(Crisostomo et al., Chem. Mater., 2007, 19, 1832-1839.)。Zhengらは、硫酸マンガンをNaClOで酸化することで、β−MnOの単結晶ナノチューブができると報告している(Zheng et. al., J. Phys. Chem. B, 2005, 109, 16439-16443.)。また、MnSOをKCrで酸化させることで、ウニ状構造のα−MnOナノ粒子を得ることをも報告している(Zheng et. al., Solid State Communications, 2007, 141, 427-430.)。
また、上記の銅酸化物、亜鉛酸化物、マンガン酸化物ナノコアの作製方法の他にも、種々の酸化物からなるナノワイヤ、ナノロッド、ナノベルト、ナノチューブの作製方法(例えば、陽極酸化多孔質アルミナ膜を用いたテンプレート法等。)が報告されている(例えば総説として、G. Shen, P.-C. Chen, K. Ryu and C. Zhou, J. Mater. Chem., 2009, 19, 828-839.)。
(炭素被覆層形成工程S102)
炭素被覆層形成工程S102(以下、単に「S102」と略記することがある。)は、S101で準備した酸化物ナノコア部材10の表面に炭素被覆層20を形成する工程である(図2(B)参照。)。炭素被覆層20は、後述する熱処理工程S104においてコア部材10の還元的分解処理を容易にする観点から、非晶質炭素によって形成することが特に好ましい。炭素被覆層20が非晶質炭素であることにより、熱処理を受けた際に炭素原子が酸化物ナノコア部材10中に浸透拡散することが一層容易になるので、より低い温度での熱処理によってコア部材10を分解処理することが可能になる。
非晶質炭素で構成された炭素被覆層20を形成する方法としては、CH等の炭化水素系ガスを用いたプラズマCVD法や、スパッタリング堆積法、真空蒸着法等の公知の方法を用いることが可能である。ただし、被覆性の良さ(陰となる部分にも被覆しやすいこと)等の観点から、スパッタリング堆積法によって炭素被覆層を形成することが好ましい。
なお、後述する熱処理工程S104においてコア部材10の還元的分解をより均一に進行させる観点からは、炭素被覆層20はコア部材10の表面に均一に形成することがより好ましい。このような均一な炭素被覆層20の形成を容易にする目的で、例えばコア部材10に対して一方向から炭素をスパッタリング堆積させてから、今度は他の方向(例えば反対方向等。)から炭素をスパッタリング堆積させる手法等を採ることも可能である。
コア部材10表面に形成する炭素被覆層20の厚さは、当該コア部材10を全て還元分解処理できるだけの炭素のモル量に対応する厚さとすることが好ましい。この厚さはコア部材10の酸化物のモル量だけでなく、コア部材10の形状にも依存する。例えばコア部材10がナノワイヤである場合、堆積している炭素の量は概ねコア部材10の表面積と炭素被覆層20の厚さとの積に比例し、よって概ねナノワイヤの径に比例するのに対して、コア部材10の酸化物のモル量はコア部材の体積に比例し、よって概ねナノワイヤの径の2乗に比例する。したがって通常、炭素被覆層20の厚さは概ねナノワイヤの径に比例して厚くする。例えば、外径120nmのCuOナノワイヤ表面に非晶質炭素の炭素被覆層20を形成する場合、該炭素被覆層20の厚さは2nm以上とすることが好ましく、7nm以上とすることがより好ましく、また通常30nm以下であり、10nm以下とすることが好ましい。
(シェル層形成工程S103)
シェル層形成工程S103(以下、単に「S103」と略記することがある。)は、S102で形成した炭素被覆層20の表面に、非炭素材料によって構成されたシェル層30を形成することにより、コア−シェル構造体50を作製する工程である(図2(C)参照。)。シェル層30を構成する非炭素材料としては、後述する熱処理工程S104における熱処理の温度で炭素による還元を受けない材料を好ましく用いることができる。そのような材料としては、後述する熱処理工程S104の加熱温度において融解しない金属及び半導体、並びに、当該加熱温度において炭素によって還元されない安定酸化物等を挙げることができる。
シェル層30の材料として使用可能な金属及び半導体としては、Pt、Ag、Ge、及びSi等を好ましく例示することができる。また、ある酸化物MO(xは整数又は分数)が「熱処理工程S104の加熱温度において炭素によって還元されない安定酸化物」であるとは、当該酸化物が当該加熱温度において自発分解せず、かつ、当該加熱温度において、
Δ(C,CO) > Δ(M,MO) (8)
及び
Δ(C,CO) > Δ(M,MO) (9)
がともに成立することを意味する。そのような安定酸化物としては、例えばSiO、Al、TiO、及びMgO等を好ましく挙げることができる。
シェル層30を形成する方法としては、シェル層30を構成する材料に応じて、CVD法や、スパッタリング堆積法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法等の公知の方法を用いることが可能である。ただし、被覆性の良さ等の観点から、スパッタリング堆積法によってシェル層を形成することが好ましい。
形成するシェル層30の厚さは特に制限されるものではなく、コア部材10の形状及び炭素被覆層20の厚さ、並びに最終的に製造を希望する中空ナノ構造体100の形状に応じて、適宜選択することができる。ただし、通常は1nm以上であり、好ましくは3nm以上であり、また通常100nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
(熱処理工程S104)
熱処理工程S104(以下、単に「S104」ということがある。)は、S103で作製したコア−シェル構造体50を熱処理する工程である(図2(D)参照。)。コア−シェル構造体50を熱処理することにより、炭素被覆層20の炭素による酸化物ナノコア部材10の還元的分解が進行し、中空ナノ構造体100が製造される(図2(E)参照。)。この分解反応は固相還元反応であるが、炭素被覆層20の炭素原子が酸化物ナノコア部材10を構成する酸化物の格子間隙又は結晶粒界を通じてコア部材内部に浸透拡散することにより、コア部材10の表面のみならず、コア部材10の内部においても酸化物の炭素による還元反応が進行すると本発明者は推定している。酸化物ナノコア部材10を構成する酸化物(例えばCuO等。)が還元されて生じた0価の元素(例えばCu等。)は、シェル層30の内側面に堆積して新たな層40を形成する(図2(E))。酸素を失ったことにより、0価の元素がシェル層30内側に占める体積は、熱処理前に酸化物が占めていた体積よりも減少している。炭素が還元剤として作用した結果生じたCO及び/又はCOガスは、シェル層30の欠陥部分や結晶粒界等を通じて外部に放出されると考えられる。また、余剰の炭素原子は、シェル層30の欠陥部分や結晶粒界等を通って外部に放出されるか、又はシェル層30の結晶格子の格子間隙を通じて浸透拡散して外部に放出されると考えられる。
S104における熱処理は、Nガス、Arガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
S104における熱処理の温度は、上記した酸化物ナノコア部材10を構成する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度以上である必要がある。なお、ある温度において実際に炭素による還元反応が起きるか否かは、当該温度を保持温度として上記した炭素混合加熱試験を行うことによって知ることができる。捕集した流出フローガスから上記の各検出方法でCO又はCOが検出されれば還元反応が起きると判断できる。
S104における熱処理の温度は、上記した酸化物ナノコア部材10を構成する酸化物の炭素による還元反応が起きる最低温度以上である必要がある。還元反応の活性化障壁等も考慮すると、通常100℃以上であり、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは250℃以上であり、特に好ましくは300℃以上であり、また通常1500℃以下であり、応用可能性等の観点から好ましくは1000℃以下であり、より好ましくは750℃以下であり、さらに好ましくは500℃以下であり、特に好ましくは360℃以下であり、最も好ましくは310℃以下である。特に、熱処理温度を360℃以下とすることにより、MOS−FET等の半導体集積回路の配線形成プロセスにおいて許容される上限温度を確実に下回るため、例えば電子デバイス材料への応用可能性を一層高めることができる。
S104における熱処理の好ましい時間は、酸化物ナノコア部材を構成する酸化物及びコア部材の形状、炭素被覆層の厚み、並びに熱処理の温度に応じて定まる。例えば、コア部材を外径約120nmのCuOナノワイヤとし、炭素被覆層を8nm厚とし、熱処理の温度を300℃とした場合には、20分〜60分程度(例えば30分等。)の熱処理時間を好ましく採用することができる。
S101〜S104の各工程を経ることにより、中空ナノ構造体100が製造される。図2(E)に示すように、中空ナノ構造体100は、非炭素材料で構成されたシェル層30の内側に、酸化物ナノコア部材が還元されて生じた0価元素が堆積した内側層40を有している。
第1の本発明に関する上記説明では、開口部を有しない中空ナノ構造体100を製造する形態の製造方法S100を例示したが、第1の本発明は当該形態に限定されない。熱処理工程S104の後にさらに中空ナノ構造体100を一部切断等することにより、内側層を有し且つ開口部を有する形態の中空ナノ構造体を製造する形態とすることも可能である。
<2.中空ナノ構造体の製造方法(2)(第1の本発明)>
第1の本発明に係る中空ナノ構造体の製造方法の他の実施形態について説明する。図3は、中空ナノ構造体の製造方法S200(以下、「製造方法S200」又は単に「S200」と略記することがある。)を説明するフローチャートである。また図4は、製造方法S200を断面視によって模式的に説明する図である。図3に示すように、製造方法S200は、コア部材準備工程S101と、炭素被覆層形成工程S102と、シェル層形成工程S103と、炭素被覆層露出工程S204と、熱処理工程S205とをこの順に有する。以下、図3及び図4を参照しつつ、各工程について順に説明する。
(コア部材準備工程S101〜シェル層形成工程S103)
コア部材準備工程S101からシェル層形成工程S103までは、製造方法S100について上述したS101乃至S103と同様である。以下、炭素被覆層露出工程S204と、熱処理工程S205について説明する。
(炭素被覆層露出工程S204)
炭素被覆層露出工程S204(以下、「S204」と略記することがある。)は、S102で形成した炭素被覆層20を露出させる工程である(図4(D)参照)。S204においては、炭素被覆層20の一部を露出させる。このことは、シェル層30’(図4(F)参照)に開口部を設けることに相当する。図4におけるようにコア部材10がナノワイヤであった場合には、例えばコア−シェル構造体50の一部を機械的に折り取る等して切断することによって、炭素被覆層20を断面Aにおいて露出させることができる。このような切断は、例えば、一方の端部を保持したコア−シェル構造体50に対して、ピエゾ素子駆動のSiマイクロカンチレバー等を用いて、他方の端部においてコア−シェル構造体50の長手方向に交差する方向に力をかけ、脆性破壊させることによって行うことができる。シェル層30が金属(例えばPt等。)によって構成されていても、部材のサイズがナノメートルオーダーになると降伏応力が増大するので、脆性破壊させることが容易になっている。また、機械的な力を負荷する以外の方法としては、ドライエッチングにより端部を選択的にエッチングする方法等を例示することができる。また、コア−シェル構造体がナノビーズ状である場合には、集束イオンビーム(FIB)による穴あけ加工等の方法を例示することができる。
(熱処理工程S205)
熱処理工程S205(以下、「S205」と略記することがある。)は、S204において炭素被覆層20を露出させたナノ−シェル構造体50’を熱処理する工程である(図4(E)参照)。熱処理の好ましい条件は、製造方法S100について上述したS104と同様である。S205においては、炭素被覆層20の一部が端面Aにおいて露出していること(すなわちシェル層30’が開口部を有していること)により、COガス及び/又はCOガス、並びに酸化物MOが還元されて生じた0価の元素Mが当該開口部を通じてナノ−シェル構造体50’の外部に放出される。
S101乃至S205の各工程を経ることにより、中空ナノ構造体200が製造される。図4(F)に示すように、中空ナノ構造体200は、少なくとも一の開口部A’を有するシェル層30’によって構成されている。
第1の本発明に関する上記説明では、熱処理工程S205において酸化物MOが還元されて生じた0価の元素Mがシェル層の開口部を通じて全てナノ−シェル構造体50’の外部に放出される形態の、中空ナノ構造体の製造方法S200を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。熱処理工程の前に炭素被覆層露出工程を行うことによってシェル層に開口部を設けた場合であっても、開口部の形成状況、及び、熱処理工程における加熱条件等を適宜調整することにより、酸化物MOが還元されて生じた0価の元素M(例えばCu等。)の大半をナノ−シェル構造体の外部に放出しつつも、当該0価の元素Mの一部をシェル層の内側に堆積させる形態とすることも可能である。このようにして、シェル層の内側に堆積する0価元素Mの量を調整することが可能である。
第1の本発明に関する上記説明では、一の酸化物ナノコア部材に個別に一のシェル層が対応する形態の、中空ナノ構造体の製造方法S100及びS200を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。複数の酸化物ナノコア部材に一体のシェル層が対応する形態の中空ナノ構造体の製造方法とすることも可能である。以下に、第1の本発明に係る中空ナノ構造体の製造方法のさらに他の実施形態として、複数の酸化物ナノコア部材に一のシェル層が対応する形態の中空ナノ構造体の製造方法について説明する。
<3.中空ナノ構造体の製造方法(3)(第1の本発明)>
第1の本発明に係る中空ナノ構造体の製造方法のさらに他の実施形態について説明する。図5は、中空ナノ構造体の製造方法S1000(以下、「製造方法S1000」又は単に「S1000」と略記することがある。)を説明するフローチャートである。また図6は、製造方法1000を斜視図によって模式的に説明する図である。S1000は、複数のコア部材を各個に炭素被覆した後、一体のシェル層によって被覆して、その後熱処理することにより、中空ナノ構造体として高秩序ナノ多孔質体1000を製造する方法である。図5に示すように、製造方法S1000は、コア部材準備工程S1010と、炭素被覆層形成工程S1020と、シェル層形成工程S1030と、熱処理工程S1040と、分離工程S1050とをこの順に有する。以下、図5及び図6を参照しつつ、各工程について順に説明する。
(コア部材準備工程S1010)
コア部材準備工程S1010(以下、単に「S1010」と略記することがある。)は、複数の酸化物ナノコア部材として、ZnOナノワイヤ配列を形成する工程である。サファイア基板表面に触媒として例えば金の薄膜をコーティングし、真空下でZnO粉末を加熱して昇華させてサファイア基板上に析出させることにより、サファイアの結晶構造の周期性に起因する周期的な並びで、サファイア基板上に複数のZnOナノワイヤを成長させる。形成したZnOナノワイヤ配列は、サファイア基板上に各ZnOナノワイヤが立設された構造を有している(図6(A)参照)。
(炭素被覆層形成工程S1020)
炭素被覆層形成工程S1020(以下、単に「S1020」と略記することがある。)は、S1010で準備したZnOナノワイヤ配列の各ZnOナノワイヤの表面に炭素被覆層を形成する工程である。炭素被覆層の形成は上記同様に行うことができ、例えばスパッタリング堆積法により好ましく行うことができる。
(シェル層形成工程S1030)
シェル層形成工程S1030(以下、単に「S1030」と略記することがある。)は、サファイア基板のZnOナノワイヤ配列が立設された表面に、シェル層を構成すべき非炭素材料(以下、単に「シェル材料」ということがある。)を堆積させることにより、一体のシェル層を形成する工程である。シェル層を構成する非炭素材料としては、上記同様の非炭素材料が使用可能である。ただし、電着による堆積が可能になる等の観点からは、金属を好ましく採用できる。シェル材料を堆積させる方法としては、上記したスパッタリング堆積法等の公知の方法を用いることができる。また、シェル材料が金属である場合には、S1010でサファイア基板表面に形成していたAu薄膜を陰極として用いるなどして、当該金属を電析させる方法を採ることも可能である。
S1010乃至S1030を経ることにより、各個に炭素被覆された複数の酸化物ナノコア部材(ZnOナノワイヤ)が一の一体のシェル層によって被覆された形態の、コア−シェル構造体が作製される(図6(B)参照)。
(熱処理工程S1040)
熱処理工程S1040(以下、単に「S1040」と略記することがある。)は、S1030で作製したコア−シェル構造体を熱処理する工程である。コア−シェル構造体を熱処理することにより、炭素被覆層の炭素によってZnOナノワイヤが還元的に分解処理され、シェル層中のZnOナノワイヤが存在していた箇所に中空部が形成される。これにより、中空ナノ構造体として高秩序ナノ多孔質構造体1000がサファイア基板に直接又は間接に付着した構造が形成されることになる。S1040は、上記の熱処理工程と同様の条件下で行うことができる。
(分離工程S1050)
分離工程S1050(以下、単に「S1050」と略記することがある。)は、S1040で形成された高秩序ナノ多孔質構造体1000を、サファイア基板から分離する工程である。本工程S1050は、サファイア基板(及びAu薄膜等)を例えばドライエッチングやウェットエッチング等の公知の方法で分解処理することによって行うことが可能である。また、高秩序ナノ多孔質構造体1000の厚さが十分に厚いために強度が十分にある場合には、切削加工でサファイア基板を切り離すこと等によって行うことも可能である。
S1010乃至S1050を経ることにより、単独の高秩序ナノ多孔質構造体(ナノ多孔質膜)1000を得ることができる(図6(C)参照)。
(高秩序ナノ多孔質構造体1000)
製造方法S1000によって製造される高秩序ナノ多孔質構造体1000は、一定の厚さを有する膜状ないしは板状のシェル層に、該シェル層を貫通するように、複数の略平行な筒状の中空部が設けられた、多孔質の構造を有する。そして、これら複数の中空部は、S1010で準備したZnOナノワイヤ配列の周期性を反映して、周期的な並びで配置されている(図6(C)参照)。
第1の本発明に関する上記説明では、高秩序ナノ多孔質構造体1000をサファイア基板から分離する工程S1050を有する形態の、中空ナノ構造体の製造方法S1000を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。分離工程S1050を行わないことによって、高秩序ナノ多孔質構造体1000がサファイア基板に保持されたままとする形態の、中空ナノ構造体の製造方法とすることも可能である。かかる形態によれば、サファイア基板の存在によって高秩序ナノ多孔質構造体1000の機械的強度を補うことが可能である。
<4.中空ナノ構造体の製造方法(4)(第2の本発明)>
第2の本発明に係る中空ナノ構造体の製造方法の一の実施形態について説明する。図7は、中空ナノ構造体の製造方法S300(以下、「製造方法S300」又は単に「S300」と略記することがある。)を説明するフローチャートである。また図8は、製造方法S300を断面視によって模式的に説明する図である。製造方法S300は、2つのシェル層を有する多層中空ナノ構造体300を製造する方法である。図7に示すようにS300は、コア部材準備工程S301と、第1炭素被覆層形成工程S302と、第1シェル層形成工程S303と、第2炭素被覆層形成工程S304と、第2シェル層形成工程S305と、熱処理工程S306とをこの順に有する。以下、図7及び図8を参照しつつ、各工程について順に説明する。
(コア部材準備工程S301)
コア部材準備工程S301(以下、「S301」と略記することがある。)は、第1の本発明の製造方法S100について上述したS101と同様にして、酸化物ナノコア部材10を準備する工程である(図8(A))。
(第1炭素被覆層形成工程S302)
第1炭素被覆層形成工程S302(以下、「S302」と略記することがある。)は、第1の本発明の製造方法S100について上述したS102と同様にして、酸化物ナノコア部材10の表面に第1の炭素被覆層120を形成する工程である(図8(B))。第1の炭素被覆層120の厚さは、該層に含まれる炭素だけでコア部材10を全て還元可能な厚さとしてもよいし、後述する第2の炭素被覆層140に含まれる炭素量を合計した炭素量がコア部材10を全て還元可能な炭素量となる厚さとしてもよい。
(第1シェル層形成工程S303)
第1シェル層形成工程S303(以下、「S303」と略記することがある。)は、第1の本発明の製造方法S100について上述したS103と同様にして、炭素被覆層120の表面に、非炭素材料によって構成された第1のシェル層130を形成することにより、中間体250を作製する工程である(図8(C))。
第1のシェル層130は、後述する熱処理工程S306での熱処理の温度において炭素が浸透及び拡散可能な層とすることが好ましい。そのような第1のシェル層130を構成する非炭素材料としては、例えば原子半径(金属結合半径)が135pm以上である金属元素を好ましく採用することができる。金属材料において原子半径が135pm以上になると、金属結晶格子中の間隙が炭素原子に対して十分に大きくなるので、加熱を受けた際に炭素原子が当該格子中の間隙を通って浸透及び拡散することが可能になる。このような金属元素としては、Ag、Au、Pt、Sn、Pb、Bi等を好ましく例示できる。炭素原子が第1のシェル層130を浸透及び拡散できることにより、熱処理工程S306において後述する第2炭素被覆層形成工程S304で形成される第2の炭素被覆層140から炭素原子が第1のシェル層130を通り抜けて酸化物ナノコア部材10まで到達することが可能になるので、第2の炭素被覆層140に含まれる炭素をコア部材10の還元剤として作用させることが可能となる。なお、このように炭素の浸透及び拡散を可能にする第1のシェル層130を構成する非炭素材料は金属に限定されるものではなく、例えば半導体や安定酸化物等であっても、炭素原子が移動可能な程度に大きい原子間隙を有していれば、熱処理工程S306での熱処理の温度において炭素が浸透及び拡散可能な層とすることが可能である。そのような安定酸化物の具体的な例としては、例えば非晶質SiO、MgO等を好ましく例示することができる。
(第2炭素被覆層形成工程S304)
第2炭素被覆層形成工程S304(以下、「S304」と略記することがある。)は、第1の本発明の製造方法S100について上述したS102と同様にして、中間体250の表面に第2の炭素被覆層140を形成する工程である(図8(D))。第2の炭素被覆層140の厚さに対応して、最終的に製造される多層中空ナノ構造体300における第1のシェル層130と第2のシェル層150との空隙の大きさが定まる。第2の炭素被覆層140の厚さは、最終的に製造される多層中空ナノ構造体300における第1のシェル層130と第2のシェル層150との空隙の所望の大きさ、及び、コア部材10の還元に関与させるべき炭素の量に応じて適宜決定することができる。
(第2シェル層形成工程S305)
第2シェル層形成工程S305(以下、「S305」と略記することがある。)は、第1の本発明の製造方法S100について上述したS103と同様にして、S304で形成した第2の炭素被覆層140の表面に第2のシェル層150を形成することにより、コア−シェル構造体260を形成する工程である(図8(E))。なお、第2のシェル層150は、第1のシェル層130を構成する非炭素材料と同一の非炭素材料によって形成してもよく、また異なる非炭素材料によって形成してもよい。
(熱処理工程S306)
熱処理工程S306(以下、「S306」と略記することがある。)は、コア−シェル構造体260を熱処理する工程である(図8(F))。熱処理の雰囲気及び温度については、第1の本発明の製造方法S100について上述したS104と同様である。酸化物ナノコア部材10を構成する酸化物(例えばCuO等。)が還元的に分解されて生じた0価の元素(例えばCu等。)は第1のシェル層130の内側に堆積して、内側層160を形成する。熱処理の時間は上記S104と同様でもよいが、炭素原子が第1のシェル層130を透過して酸化物ナノコア部材10の還元反応に関与する必要がある場合には、長めにとることが好ましい。例えば、コア部材として外径160nmのCuOナノワイヤを用い、第1及び第2の炭素被覆層の厚さをそれぞれ60nmとし、銀からなる第1及び第2のシェル層の厚さをそれぞれ100nmとした場合には、加熱温度300℃において加熱時間を120分〜360分等とすることができる。
なお、S306はコア部材10を完全に還元分解して消失せしめる態様のみに限定されるものではなく、加熱時間を短めに設定して(例えば上記の例で30分等。)コア部材10を一部残してもよい。
S301乃至S306を経ることにより、多層中空ナノ構造体300が製造される。図8(G)に示すように、多層中空ナノ構造体300は、第1のシェル層130(及びその内側に堆積形成された内側層160)が第1の中空部170を画定し、第2のシェル層が第2の中空部180を画定し、該第2の中空部180に第1のシェル層130(及びその内側に堆積形成された内側層160)が配置されている構成を有している。
第2の本発明に関する上記説明では、2つのシェル層を有する多層中空ナノ構造体300を製造する形態の製造方法S300を例示したが、第2の本発明は当該形態に限定されない。第1のシェル層を形成することにより作製した中間体に対して、表面に、炭素被覆層、及び非炭素材料によって構成されたシェル層、を順に形成することを複数回行うことにより、3層以上のシェル層を有する多層中空ナノ構造体を製造する形態の、中空ナノ構造体の製造方法とすることも可能である。第2の本発明においては、最終的に製造される多層中空ナノ構造体が有するシェル層の数は2層以上であり、その数の上限は特に制限されるものではない。ただし通常は10層以下であり、好ましくは5層以下である。
第2の本発明に関する上記説明では、熱処理工程S306の前に最も内側の炭素被覆層120を露出させる工程を有しない形態の、中空ナノ構造体の製造方法S300を例示したが、第2の本発明は当該形態に限定されない。第1の本発明の製造方法S200について上述した炭素被覆層露出工程S204と同様にして切断処理等を行うことにより最も内側の炭素被覆層を露出させてから熱処理工程を行う形態の、中空ナノ構造体の製造方法とすることも可能である。最も内側の炭素被覆層を露出させてから熱処理工程を行った場合には、図8(F)において還元された0価のMもコア−シェル構造体外部に放出されるので、図8(G)における内側層160を有しない形態の多層中空ナノ構造体を製造することが可能である。また、図8(G)における内側層160の0価元素Mの量を大幅に減らした形態の多層中空ナノ構造体を製造することも可能である。
このように、第2の本発明の中空ナノ構造体の製造方法によれば、多層ナノチューブをはじめとする種々の非炭素系の多層中空ナノ構造体を、炭素被覆とシェル層形成を繰り返した後熱処理するという簡便な手法で製造することができ、また既存の方法に比べて層の数、層の材料といった層構成について著しく高い自由度を確保することが可能である。
<5.中空ナノ構造体(第3の本発明)>
第3の本発明に係る中空ナノ構造体について説明する。図9は、第3の本発明の一実施形態である中空ナノ構造体500を説明する断面模式図である。図9に示すように、中空ナノ構造体500は、非炭素材料層410を有するシェル部材450と、該シェル部材450によって画定された中空部470とを有し、シェル部材450が、中空部470側の表面に、非炭素材料層410を構成する非炭素材料とは異なる非炭素材料で構成された内側層420を有する。そして、内側層420を構成する非炭素材料は、対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料である。中空ナノ構造体500は、上記第1の本発明の中空ナノ構造体の製造方法S100によって好ましく製造することができる。
(非炭素材料層410)
非炭素材料層410を構成する非炭素材料としては、第1の本発明の中空ナノ構造体の製造方法について上述した非炭素材料(例えばPt、Ag、SiO等。)を採用できる。非炭素材料層410の厚さは特に制限されるものではないが、通常は1nm以上であり、好ましくは3nm以上であり、また通常100nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
(内側層420)
上記の通り、内側層420を構成する非炭素材料は、対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料(例えばCuO等。)である。ここで、ある非炭素元素Mが「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料」であるとは、当該非炭素元素Mの酸化物MO(xは整数又は分数)のうち少なくとも一種が、炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である酸化物であることを意味する。すなわち対応する酸化物が複数種類存在する非炭素元素については、それら酸化物のうち一種類でも炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下であれば、「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料」に該当するものとする。
内側層420を構成する非炭素材料の、対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度は1500℃以下でなければならず、1000℃以下であることが好ましく、750℃以下であることより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましく、360℃以下であることが特に好ましい。
「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料」に該当する具体的な非炭素材料としては、例えば、Cu、Zn、Fe、Ag、As、Bi、Cd、Co、Cr、Cs、Ga、Ge、Hg、In、K、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Os、Pb、Pd、Rb、Re、Rh、Ru、Sb、Se、Sn、Ta、Te、Tl、U、V、及びWを挙げることができる。
「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1000℃以下である非炭素材料」としては、上記例示した具体的な非炭素材料のうち、Cu、Zn、Fe、Ag、As、Bi、Cd、Cr、Co、Cs、Ge、Hg、In、K、Mn、Mo、Ni、Os、Pb、Pd、Rb、Re、Rh、Ru、Sb、Se、Sn、Te、Tl、V、及びWを挙げることができる。
「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が750℃以下である非炭素材料」としては、上記例示した具体的な非炭素材料のうち、Cu、Fe、Ag、As、Bi、Cd、Cr、Co、Cs、Ge、Hg、In、K、Mn、Mo、Ni、Os、Pb、Pd、Rb、Re、Rh、Ru、Sb、Se、Sn、Te、Tl、及びWを挙げることができる。
「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が500℃以下である非炭素材料」としては、上記例示した具体的な非炭素材料のうち、Cu、Ag、As、Bi、Cd、Co、Cr、Ge、Hg、Mn、Mo、Ni、Os、Pb、Pd、Re、Rh、Ru、Sb、Se、Te、及びTlを挙げることができる。
「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が360℃以下である非炭素材料」としては、上記例示した具体的な非炭素材料のうち、Cu、Ag、As、Bi、Cd、Co、Cr、Hg、Mo、Ni、Os、Pb、Pd、Rh、Re、Ru、Sb、Se、Te、及びTlを挙げることができる。
上記した具体的な非炭素材料の中でも、酸化物の還元のための熱処理の温度をより低くすることが可能になる点、及び酸化物ナノワイヤ等としての入手が容易である点等の観点から、Cu、Zn、Ni、Co、Fe、Sn、及びZnが好ましい。これらの元素は一種のみであってもよく、二種以上が混合等組み合わされていてもよい。
第3の本発明の中空ナノ構造体によれば、非炭素材料層を構成する材料の選択の幅が広く、そして、非炭素材料層の内側に接して、上記のような種々の材料から任意に選択した非炭素材料の層が配設された中空ナノ構造体とすることが可能である。
第3の本発明に関する上記説明では、開口部を有しない形態の中空ナノ構造体500を例示したが、第3の本発明は当該形態に限定されない。中空ナノ構造体500をさらに切断する等して、開口部を有する形態の中空ナノ構造体とすることも可能である。
<6.多層中空ナノ構造体(第4の本発明)>
第4の本発明に係る中空ナノ構造体について説明する。図10は、第4の本発明の一実施形態である多層中空ナノ構造体600を説明する断面模式図である。図10に示すように、多層中空ナノ構造体600は、非炭素材料層510を有し第1の中空部550を画定する第1のシェル部材530と、非炭素材料層570を有し第2の中空部580を画定する第2のシェル部材570とを有し、第1のシェル部材530が第2の中空部580に配置されている中空ナノ構造体である。そして、第1のシェル部材530がさらに、該第1のシェル部材の非炭素材料層510とは異なる非炭素材料で構成された内側層520を、第1の中空部550側の表面に有し、内側層520を構成する非炭素材料は対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料である。多層中空ナノ構造体600は、上記第2の本発明の中空ナノ構造体の製造方法S300によって好ましく製造することができる。
(第1のシェル部材530)
第1のシェル部材530は、非炭素材料層510と内側層520とを有してなり、第1の中空部550を画定している。
非炭素材料層510を構成する非炭素材料としては、第2の本発明の中空ナノ構造体の製造方法について上述した非炭素材料(例えばPt、Ag、SiO等。)を採用できる。非炭素材料層510の厚さは特に制限されるものではないが、通常は1nm以上であり、好ましくは3nm以上であり、また通常100nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
内側層520を構成する非炭素材料は、「対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料」である。内側層520を構成する非炭素材料としては、上記第3の本発明の中空ナノ構造体の内側層について上述したものと同様の非炭素材料を採用できる。
(第2のシェル部材570)
第2のシェル部材570は、非炭素材料層570によって構成されており、第2の中空部580を画定している。
非炭素材料層570を構成する非炭素材料としては、第2の本発明の中空ナノ構造体の製造方法について上述した非炭素材料(例えばPt、Ag、SiO等。)を採用できる。非炭素材料層570の厚さは特に制限されるものではないが、通常は1nm以上であり、好ましくは3nm以上であり、また通常100nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
第4の本発明に関する上記説明では、開口部を有しない形態の多層中空ナノ構造体600を例示したが、第4の本発明は当該形態に限定されない。多層中空ナノ構造体600をさらに切断する等して、開口部を有する形態の多層中空ナノ構造体とすることも可能である。
第4の本発明に関する上記説明では、第1のシェル部材530が非炭素材料層510に加えてさらに内側層520を有する形態の多層中空ナノ構造体600を例示したが、第4の本発明は当該形態に限定されない。第2の本発明に関して述べた通り、開口部を有する代わりに内側層520を有しない形態の多層中空ナノ構造体とすることも可能である。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳述する。ただし本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
第1の本発明の製造方法により、CuOナノワイヤを酸化物ナノコア部材(鋳型)としてPtナノチューブを製造した実施例である。
(コア部材準備工程)
直径0.1mmの銅細線(純度99.9%)を大気圧下、600℃に加熱して4〜40時間空気酸化することにより、当該細線の表面に直径数十nm〜700nm、長さ数μm〜100μmのCuOナノワイヤ群を成長させた。なお、加熱時間と成長したCuOナノワイヤの直径との間には正の相関がみられた。次に、図11(A)の光学顕微鏡写真に示すように、多自由度ナノ把持装置(K. Kobayashi, Y. Toku, M. Muraoka, "Manipulation of Nanowires by Chopsticks", Proc. ATEM '11, (2011), p.145.)を用いて単一のナノワイヤを分離し、さらに図11(B)の光学顕微鏡写真に示すようにAFMカンチレバーの先端に付着させた。
(炭素被覆層形成工程)
CuOナノワイヤを付着させたカンチレバー(以下、「NW付着カンチレバー」と略記することがある。)を、DCマグネトロンスパッタ装置(サンユー電子株式会社製SC−701HMCII)に取り付けた。この際、CuOナノワイヤがスパッタ装置の炭素ターゲット(株式会社ニラコ・C−076515)と平行になるようにした。スパッタ装置を作動させて一方向からCuOナノワイヤに炭素被覆を施した後、NW付着カンチレバーを裏返して設置し、反対側から再度CuOナノワイヤに炭素被覆を施した。炭素の合計スパッタ時間は4分とした。これは炭素被覆層の厚さが8nmとなる時間である。
(シェル層形成工程)
炭素被覆層を形成した後、ターゲットを白金ターゲット(サンユー電子株式会社、φ49×t0.5/4N)に替え、同様にしてPtをスパッタ被覆することにより、コア−シェル構造体を作製した。Ptの合計スパッタ時間は9.4分とした。これはPtシェル層の厚さが80nmとなる時間である。
(熱処理工程)
上記作製したコア−シェル構造体が付着しているNW付着カンチレバーを、Arガス雰囲気中、300℃にて30分間加熱処理することにより、CuOを還元的に分解し、Ptナノチューブを得た。
得られたPtナノチューブは、評価のため、図12(A)及び(B)の光学顕微鏡写真に示すように多自由度ナノ把持装置を応用して曲げ応力をかけ、脆性破壊させて切断し、開口部を有するPtナノチューブとした。
<実施例2>
第1の本発明の方法によって、炭素及びPt被覆したCuOナノワイヤ(コア−シェル構造体)を曲げ応力をかけて切断することにより炭素被覆層の一部を露出させてから熱処理工程を行う形態で、単層Ptナノチューブを製造した実施例である。CuOナノワイヤに炭素被覆を施すまでは実施例1と同様に行った。
(シェル層形成工程)
Ptの合計スパッタリング時間を、Ptシェル層の厚さが約30nmとなる時間とした点以外は、実施例1と同様にしてPtをスパッタし、コア−シェル構造体を作製した。
(炭素被覆層露出工程)
作製したコア−シェル構造体を、上記同様に多自由度ナノ把持装置を応用して曲げ応力をかけ、脆性破壊させて切断することにより、切断端面において炭素被覆層を一部露出させた。
(熱処理工程)
炭素被覆層を一部露出させたコア−シェル構造体が付着しているNW付着カンチレバーを、Arガス雰囲気中、300℃にて240分間加熱処理することにより、CuOを還元的に分解し、これによって開口部を有するPtナノチューブを得た。
<実施例3>
第2の本発明の製造方法により、CuOナノワイヤを酸化物ナノコア部材として多層Agナノチューブを製造した実施例である。CuOナノワイヤをAFMカンチレバーに付着させるまでは実施例1と同様に行った。
(第1炭素被覆層形成工程)
実施例1と同様の手法により両面からスパッタを行い、CuOナノワイヤに炭素被覆を施した。合計スパッタ時間は30とした。これは第1の炭素被覆層の厚さが60nmとなる時間である。
(第1シェル層形成工程)
炭素被覆を施したCuOナノワイヤに対し、Agターゲット(サンユー電子株式会社、φ49×t0.5/4N)を用いた以外は実施例1と同様の手法により両面からスパッタを行い、Ag被覆を施した。合計スパッタ時間は6分とした。これは第1のAgシェル層の厚さが100nmとなる時間である。
(第2炭素被覆層形成工程)
上記第1炭素被覆層形成工程と同様にして両面から炭素をスパッタし、第1のAgシェル層の上からさらに炭素被覆を施した。合計スパッタ時間は30分とした。これは第2の炭素被覆層の厚さが60nmとなる時間である。
(第2シェル層形成工程)
上記第1シェル層形成工程と同様にして両面からAgをスパッタし、第2の炭素被覆層の上からさらにAg被覆を施した。合計スパッタ時間は6分とした。これは第2のAgシェル層の厚さが100nmとなる時間である。
(熱処理工程)
上記被覆したCuOナノワイヤが付着しているNW付着カンチレバーを、Arガス雰囲気中、300℃にて30分間加熱処理することにより、CuOを還元的に分解し、多層Agナノチューブを得た。
得られた多層Agナノチューブは、評価のため、実施例1同様に多自由度ナノ把持装置を応用して曲げ応力をかけ、脆性破壊させて切断し、開口部を有する多層Agナノチューブとした。
<断面SEM観察>
実施例1〜3の各ナノチューブについて、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製SU−70、加速電圧5kV、二次電子検出)により、断面形状を観察した。
図13(a)は、実施例1の単層Ptナノチューブの、切断前の形状例を示すSEM像である。チューブ直径は約300nmである。また、ナノチューブ先端が開口していないことが判る。
図13(b)は、実施例1の単層Ptナノチューブの切断後の断面形状を示すSEM像である。ナノチューブの外径は約300nmである。チューブの断面形状から、内部に空洞の形成が認められる。
図13(c)は、実施例2の単層Ptナノチューブの断面形状を示すSEM像である。ナノチューブの外径は約160nm、内径は約100nmである。実施例1同様の空洞形成が認められる。
図14は、実施例3の多層Agナノチューブの断面形状である。チューブ外径は約800nmである。また、炭素被覆層を形成した箇所が空洞になっていることが判る。このことから、炭素はCuOナノワイヤを還元してCOガスとして、或いは炭素原子として、Agシェル層の結晶格子間隙又は結晶粒界を通過して外部へ排出されたと推測される。
<断面EDX分析>
実施例1〜3の各ナノチューブについて、エネルギー分散型X線分光分析(EDX、加速電圧10kV)により、ナノチューブ断面中心部の元素分析を行った。結果を図15(a)〜(c)に示す。図15(a)は実施例1の単層Ptナノチューブの中心部分、図15(b)は実施例2の単層Ptナノチューブの内側面(紙面右上SEM像中に示した白い点の位置)、図15(c)は実施例3の多層Agナノチューブの中心部分の分析結果である。
図15(a)及び(c)の両方において、Cu及びシェル層の構成金属(それぞれPt、Ag)が顕著に検出されている。また、小さいが炭素や酸素を示すピークも認められる。他方、図15(b)においては、シェル層の構成金属(Pt)が顕著に検出されているが、Cuの検出強度は図15(a)と比較して著しく弱い。
図15(a)から、実施例1の単層Ptナノチューブにおいては、酸素を示すピークが比較的低く、Cuを示すピークが大きいことから、(1)相当程度還元反応が進行したこと、及び、(2)還元により生成したCuは、外部放出されず、ナノチューブ内壁面に堆積したこと、が読み取れる。
図15(b)から、実施例2の単層Ptナノチューブにおいては、Ptに対するCuの相対的なピーク強度が図15(a)と比較して著しく低いことから、炭素被覆層を一部露出させてから加熱したことにより、還元により生成したCuの大部分が外部に放出され、一部のみがシェル層内側に堆積したことが判る。
図15(c)から、実施例3の多層Agナノチューブにおいては、Cuに対する酸素のピークが高いことから、(イ)30分という還元時間が不十分であった、又は(ロ)還元を完全に進行させるには炭素の量が不足していた、と考えられる。
以上の結果から、第1及び第2の本発明によれば、酸化物ナノコア部材を露出させる処理を必須とせず、また熱処理によって簡便にコア部材を分解処理することが可能な、中空ナノ構造体の製造方法を提供することができることが示された。また、炭素による固相還元反応は300℃という低い温度でも進行し得ることが示された。また、第2の本発明によれば、多層中空ナノ構造体を簡便に製造可能であることが示された。
本発明の方法により製造される中空ナノ構造体、及び多層中空ナノ構造体は、広い表面積を有するため、吸着剤や触媒担体として有望である。また、シェル層内側に異なる非炭素材料を堆積させた内側層を有する中空ナノ構造体や、異なる材料で複数のシェル層を形成してなる多層中空ナノ構造体は、機能制御が可能な吸着剤フィルタ等、環境技術の分野における利用が考えられる。また、電気・熱伝導の異方性剤等への応用が考えられる他、熱電変換特性や圧電変換特性等の有用な物理特性を有することが期待され、ナノ熱電対や圧力・歪みセンサといったナノ電子デバイス分野への応用可能性をも有している。
また例えば、SiO等の絶縁体をシェルとするナノチューブの中空部にPtやAg等の導電性金属が堆積しており、先端が切断されたことにより端面のみで当該導電性金属層を露出させた形態は、絶縁被覆型微小電極としての構造を有していることから、細胞等の液中局所電位の計測への応用が期待される。
この他、例えば上記第1の本発明においてZnOナノコイルをコア部材として、Alでシェル層を形成すれば、コイル状の中空部を有するAl中空ナノ構造体を作製することができる。このAl中空ナノ構造体の少なくとも中空部に、導電性金属(例えばCu等。)をメッキ法(例えば電析など)等の公知の方法によって析出させることにより、当該コイル状の中空部を導電性金属で満たすことができる。その後、Alシェル層をNaOH水溶液等の塩基で溶解処理する等の手法を用いて除去することにより、導電金属ナノコイルを得ることができる。この逆テンプレート法による導電金属ナノコイルの製造プロセスを模式的に説明する図を図16に示した。
このような金属ナノコイルについては、電磁誘導による誘導電流発生等が期待される。また、外部磁場下での電流印加による電磁アクチュエータ素子としての応用も期待されるところである。
また例えば、ZnO等のナノコイルをコア部材として、金属のシェル層を形成してナノチューブを形成すれば、導電性の中空ナノコイルを容易に作成可能であり、このような中空金属ナノコイルについても、上記金属ナノコイル同様に電磁誘導による誘導電流発生や、外部磁場下での電流印加による電磁アクチュエータ素子としての機能等が期待される。
10 酸化物ナノコア部材
20 炭素被覆層
30、30’ シェル層
40 内側層
50、50’ コア−シェル構造体
100、200、500 中空ナノ構造体
120 第1の炭素被覆層
130 第1のシェル層
140 第2の炭素被覆層
150 第2のシェル層
160 内側層
170 第1の中空部
180 第2の中空部
250 中間体
260 コア−シェル構造体
410 非炭素材料層
420 内側層
430 シェル部材
470 中空部
510 非炭素材料層
520 内側層
530 第1のシェル部材
550 第1の中空部
570 第2のシェル部材(非炭素材料層)
580 第2の中空部
600 多層中空ナノ構造体
1000 高秩序ナノ多孔質構造体(中空ナノ構造体)

Claims (8)

  1. 炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である1種以上の酸化物によって構成された酸化物ナノコア部材を準備する工程と、
    前記酸化物ナノコア部材の表面に炭素被覆層を形成する工程と、
    前記炭素被覆層の表面に、非炭素材料によって構成されたシェル層を形成することにより、コア−シェル構造体を作製する工程と、
    前記コア−シェル構造体を熱処理する工程と
    を上記順に有し、
    前記シェル層を構成する非炭素材料が、前記熱処理の温度で炭素による還元を受けない材料である、中空ナノ構造体の製造方法。
  2. 多層中空ナノ構造体を製造する方法であって、
    炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である1種以上の酸化物によって構成された酸化物ナノコア部材を準備する工程と、
    前記酸化物ナノコア部材の表面に炭素被覆層を形成する工程と、
    前記炭素被覆層の表面に、非炭素材料によって構成されたシェル層を形成することにより、中間体を作製する工程と、
    前記中間体に対して、
    表面に、炭素被覆層、及び非炭素材料によって構成されたシェル層、を順に形成すること
    を1又は複数回行うことにより、コア−シェル構造体を作製する工程と、
    該コア−シェル構造体を熱処理する工程と
    を上記順に有し、
    いずれの前記シェル層を構成する非炭素材料も、前記熱処理の温度で炭素による還元を受けない材料である、中空ナノ構造体の製造方法。
  3. 前記シェル層は、前記熱処理の温度で炭素が浸透及び拡散できる層である、
    請求項1又は2に記載の中空ナノ構造体の製造方法。
  4. 前記熱処理する工程の前に、
    最も内側の前記炭素被覆層を露出させる工程
    をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空ナノ構造体の製造方法。
  5. 前記酸化物が、CuO、CuO、NiO、Co、Fe、Fe、SnO、及びZnOからなる群から選ばれる1種以上である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空ナノ構造体の製造方法。
  6. 前記熱処理の温度が360℃以下である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空ナノ構造体の製造方法。
  7. 中空ナノ構造体であって、
    非炭素材料層を有するシェル部材と、
    該シェル部材によって画定された中空部と
    を有し、
    前記シェル部材が、前記中空部側の表面に、前記非炭素材料層を構成する材料とは異なる非炭素材料で構成された内側層を有し、
    前記内側層を構成する前記非炭素材料は、対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料であり、
    前記非炭素材料層を構成する非炭素材料は、前記内側層を構成する非炭素材料に対応する酸化物の炭素による還元反応が起きる最低温度以上の温度から選ばれる少なくとも一つの熱処理温度で炭素による還元を受けない材料である、
    中空ナノ構造体(ただし、前記非炭素材料層を構成する材料がシリカ、アルミナ、ジルコニア又はチタニアであり且つ前記内側層を構成する材料が鉄族金属、ロジウム又は白金である場合を除く。)。
  8. 多層中空ナノ構造体であって、
    非炭素材料層を有し、第1の中空部を画定する第1のシェル部材と、
    非炭素材料層を有し、第2の中空部を画定する第2のシェル部材と
    を有し、
    前記第1のシェル部材が、前記第2の中空部に配置されており、
    前記第1のシェル部材がさらに、該第1のシェル部材の前記非炭素材料層とは異なる非炭素材料で構成された内側層を、前記第1の中空部側の表面に有し、
    該内側層を構成する非炭素材料は、対応する酸化物の炭素による還元反応の標準反応ギブズエネルギーに基づく最低温度が1500℃以下である非炭素材料であり、
    前記第1のシェル部材の非炭素材料層および前記第2のシェル部材の非炭素材料層を構成する非炭素材料は、前記内側層を構成する非炭素材料に対応する酸化物の炭素による還元反応が起きる最低温度以上の温度から選ばれる少なくとも一つの熱処理温度で炭素による還元を受けない材料である、
    中空ナノ構造体。
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