JP2007035298A - 電気化学電極およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 遷移金属酸化物ナノ粒子の分散性・安定性を保ちながら、多大な表面積を有し優れた触媒活性を呈する電気化学電極およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の電気化学電極は、表面の少なくとも一部が価数の異なる酸化膜で被覆された遷移金属酸化物ナノ結晶が、導電性基材の上に略垂直方向に配列して電気的に接続されている電気化学電極とする。また、本発明の電気化学電極の製造方法は、遷移金属酸化物ナノ結晶を作製する工程と、作製された遷移金属酸化物ナノ結晶の表面で酸化を促進し、表面の少なくとも一部を価数の異なる酸化膜で被覆する工程と、遷移金属酸化物ナノ結晶を導電性基材の上に略垂直方向に配列して堆積させることにより活性層を形成する工程と、を有する電気化学電極の製造方法とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸化・還元反応を利用した電池、センサなどに用いられる電気化学電極に関し、特に、遷移金属酸化物ナノ結晶で構成される電気化学電極およびその製造方法に関する。
従来、微細構造を有する材料は、金属、合金および化合物等の複合材料を急速に凝固することにより得られ、数ミクロンレベルの粒子サイズを有しているものがほとんどである。しかしながら、近年、材料サイズをミクロンレベルからナノメートルレベルに小さくする研究が活発化している。こうしたナノ粒子を中心としたナノ構造体の特徴は、粒子境界(表面)に存在する原子の割合が高いことであり、例えば直径5nmのナノ粒子で40%に達する。ナノ構造体は同一の化学組成を有するミクロンレベルの材料と比較した場合、化学的および物理的特性が大きく異なり、優れた特性を示すことが多い。
ここで、マンガン酸化物(MnOx)を例に挙げると、現在ナノ構造体として入手することは困難であり、通常、市販用に合成されたマンガン酸化物の粒子サイズはミクロンレベルである。ミクロンレベルのマンガン酸化物の酸素還元触媒としての特性を調べた例としては、例えば文献1に示されているように、マンガン酸化物の酸化状態(価数)の異なる材料では触媒活性が異なり、三価のマンガン化合物であるMn23およびMnOOHの酸素還元触媒活性が価数の異なるMn34並びにMn58と比較して高いことが分かっており、さらに、酸素還元電位は−0.3V付近と−1.0V付近に観測されている。
一方、ナノ構造体の作製方法としては、二酸化マンガン(MnO2)を例に挙げると、過マンガン酸カリウム(KMnO4)水溶液を硫酸マンガン(MnSO4)の溶解した硫酸水溶液に噴霧し、合成反応を生じさせ、析出後、加熱処理する例がある(特許文献1参照)。
さらに、マンガン酸化物を応用した酸素還元電極を例に挙げると、ミクロンレベルの粉末体である四酸化三マンガンと二酸化マンガンの混合体を酸素還元電極として使用した空気亜鉛電池の例がある(特許文献2参照)
特表2000−505040号公報(第42頁、第2図) 特開平10−302808号公報(第8頁、第2図) 特開2000−144387号公報(段落番号0015) 特開2003−306319号公報 国際公開第2005/019109号パンフレット(特に実施の形態2) 特開2005-087864号公報(特に図3、図5) Journal of The Electrochemical Society, 149 (4) A504-A507 (2002). レーザー研究 Volume28, Number 6, 2000年6月 348頁−353頁
ナノ構造を有する大表面積材料は、活性部位が仲介する化学反応が重要な役割を果たす触媒用途において特に有益であり、触媒反応においては周囲環境(気体、液体等)との接触面積が大きいほどよく、電極に用いる触媒材料をナノ構造体化することには明確な利点がある。さらに、遷移金属酸化物においては、反応物質との電子の授受に伴う遷移金属自体の価数変化(酸化・還元)が生じることにより触媒活性を示すことが多い。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、遷移金属酸化物ナノ単結晶が価数の異なる表面層を介して凝集した遷移金属酸化物ナノ構造体で構成される電気化学触媒および遷移金属酸化物ナノ構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の微細構造を有する材料を電気化学電極の活性層として用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するために、本発明の電気化学電極は、導電性基材とその上に形成された活性層を含む電気化学電極であって、前記活性層が、遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子からなり、前記ナノ粒子が前記導電性基材と電気的に接続されている構造を有する。
また、本発明の電気化学電極の作成方法は、遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子から構成される活性層を含む電気化学電極の製造方法であって、遷移金属酸化物ナノ結晶を作製する工程と、作製された遷移金属ナノ結晶の表面の酸化を促進し価数の異なる表面層を形成する工程と、前記遷移金属ナノ結晶の少なくとも一部が前記価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子を導電性基材の上に堆積させることにより活性層を形成する工程と、を有する電気化学電極の製造方法である。
以上の構成により、本発明は、優れた触媒活性を有する遷移金属酸化物ナノ結晶から構成される電気化学電極ならびにその製造方法を提供することができる。
より具体的には、本発明の請求項1に記載の発明は、導電性基材とその上に形成された活性層を含む電気化学電極であって、前記活性層が、遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子からなり、前記ナノ粒子が前記導電性基材と電気的に接続されている構造を有することを特徴とする電気化学電極である。遷移金属酸化物をナノ結晶化することにより、表面積を飛躍的に増大させ、バルク材料を用いた触媒には無い優れた触媒性能を発現しうる上に、反応物質ならびに遷移金属酸化物ナノ結晶と接触する表面層の少なくとも一部に価数の異なる酸化物が存在することにより、反応物質・触媒間ならびにナノ結晶間の電子の授受を容易せしめ、触媒能を活性化させるとともに、ナノ結晶の分散性・安定性を保つことができる。さらに、遷移金属酸化物ナノ結晶を表面の価数の異なる酸化物を介して電気的に接続させて電気化学電極として用いることにより、反応時の電流密度の増大のみならず、反応過電圧の低下も期待できる。
ここで、請求項1記載の発明において、遷移金属酸化物ナノ結晶が、マンガン、コバルト、モリブデンのいずれかを含む酸化物で構成されることが望ましい。
さらに請求項3に記載のように、遷移金属酸化物ナノ結晶が四酸化三マンガンであり、価数の異なる表面層が二酸化マンガンであることが好適である。
本発明の請求項4に記載の発明は、遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子から構成される活性層を含む電気化学電極の製造方法であって、遷移金属酸化物ナノ結晶を作製する工程と、作製された遷移金属ナノ結晶の表面の酸化を促進し価数の異なる表面層を形成する工程と、前記遷移金属ナノ結晶の少なくとも一部が前記価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子を導電性基材の上に堆積させることにより活性層を形成する工程と、を有する電気化学電極の製造方法である。この方法によれば、遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部の表面に存在する価数の異なる表面層を介して、遷移金属酸化物ナノ結晶を電気的に接続させて電気化学電極の活性層を形成することが可能となり、優れた触媒活性を呈する電気化学電極を容易に作製しうる。
ここで、活性層を形成する行程において、遷移金属酸化物ナノ結晶の原材料が一酸化マンガン、四酸化三コバルト、二酸化モリブデンいずれかの焼結体であることが望ましい。
本発明によれば、遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子からなり、ナノ粒子が導電性基材と電気的に接続されている構造を有する活性層を含む電気化学電極とすることで、多大な表面積を有し優れた触媒活性を呈する電気化学電極を提供することができる。
また、本発明の電気化学電極の製造方法は、高純度な遷移金属酸化物ナノ結晶を導電性基材の上に直接形成することができるため、活性層の薄膜化・固定化が容易な電気化学電極の製造方法を提供可能である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、少なくとも表面の一部が価数の異なる遷移金属酸化物で被覆された遷移金属酸化物ナノ結晶から構成される活性層を含む電気化学電極について説明する。
本実施の形態における電気化学電極は、導電性基材とその上に形成された活性層を含み、前記活性層が遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子からなり、前記ナノ粒子が前記導電性基材と電気的に接続されている構造を有する。前記遷移金属酸化物ナノ結晶は、粒子状の最小構成単位であり、特に結晶格子が明瞭に確認できる結晶性の高い粒子が好ましい。また、前記遷移金属酸化物ナノ結晶の平均粒径は限定的ではないが、通常1nm以上50nm以下の範囲内であることが好ましく、特に2nm以上20nm以下の範囲内であることがより好ましい。
遷移金属酸化物を構成する遷移金属の種類は限定的ではないが、例えば、マンガン、コバルト、モリブデン等が好適である。遷移金属酸化物が複数の酸化状態(価数)を有することにより、実施の形態2で述べるように、活性層を形成する際に表面の酸化を促すことにより、価数の異なる表面層を形成することが容易となる。
上記の構造を有する電気化学電極の活性層として、図1(a)に、少なくとも表面の一部が二酸化マンガン(MnO2)膜で被覆された四酸化三マンガン(Mn34)ナノ結晶から構成される活性層の透過電子顕微鏡写真を示す。活性層は主として、結晶格子が明瞭に確認できる大きさが2〜10nm程度の単結晶から構成されていることがわかる。電子線回折測定より、単結晶部分はMn34であることを確認した。さらに、直径1nmの電子ビームを断面透過電子顕微鏡観察を行ったナノ結晶に照射し、電子エネルギー損失分光法により評価を行ったところ、Mn34ナノ結晶の表面層ないしはMn34ナノ結晶の接合部分(接触界面)にMnO2層が形成されていることが確認された。すなわち、図1(b)に模式的に示したようにMn34ナノ結晶表面の少なくとも一部が価数の異なる表面層(MnO2)で被覆された構造である。
さらに、活性層は、操作電子顕微鏡写真図2(a)の上面図から明らかなように、一次粒子が凝集して数百nmの二次構造を形成していることがわかる。図2(b)の断面図から、導電性基材の上に活性層が形成されており、その活性層は二次構造が高さ5μm程度のポーラスな構造を有していることがわかる。
上記の構成のように、遷移金属酸化物をナノメートルレベルの微結晶化することにより、表面積を飛躍的に増大させ、バルク材料を用いた触媒には無い優れた触媒性能を発現し得る上に、反応物質ならびに遷移金属酸化物ナノ結晶と接触する表面層の少なくとも一部にナノ結晶と価数の異なる酸化膜が存在することにより、反応物質・触媒間ならびにナノ結晶間の電子の授受を安定かつ容易に行うことができ、触媒能を活性化させるとともに、ナノ結晶の分散性・安定性を保つことができる。
さらに、活性層を、前記遷移金属酸化物ナノ結晶を導電性基材と略垂直方向に配列して高分散を維持しながら電気的に接続されている構造とすることにより、遷移金属酸化物ナノ結晶の分散性・安定性を保ちながら多大な触媒活性点を持たせることができ、反応時の電流密度の増大のみならず、反応過電圧の低下も期待できる。
本実施の形態の電気化学電極は、上記遷移金属酸化物ナノ結晶を含む活性層を有する他は、公知の電気化学電極の構成要素を用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1で説明した遷移金属酸化物ナノ結晶から構成される活性層を含む電気化学電極の製造方法について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態の電気化学電極の製造方法の工程図である。本発明の電気化学電極の製造方法は、(a)遷移金属酸化物ナノ結晶を作製する工程と、(b)作製された遷移金属酸化物ナノ結晶の表面の酸化を促進して、表面の少なくとも一部を中心のナノ結晶とは価数の異なる酸化膜で被覆する工程と、(c)表面の少なくとも一部が価数の異なる酸化膜で被覆された遷移金属酸化物ナノ結晶を導電性基材の上に活性層を形成する工程と、を有する。さらに、遷移金属酸化物ナノ結晶をキャリアガスとともに搬送し、各工程を気相中で大気に曝すことなくシーケンシャルに行うことにより、不純物等の混入のない遷移金属酸化物ナノ結晶からなる活性層を形成することができる。
この方法によれば、価数の異なる酸化膜で表面の少なくとも一部が被覆された遷移金属ナノ結晶を高分散を維持しながら電気的に接続させて形成することが可能となり、優れた触媒活性を呈する電気化学電極を容易に作製し得る。
以下、各工程について説明する。
(a)遷移金属酸化物ナノ結晶を作製する工程
本実施の形態では、遷移金属酸化物ナノ結晶を作製する工程として、固体材料にエネルギーを与えて構成材料を脱離させた後、急冷することにより微結晶化する手法を用いる。具体的には、ガス中蒸発法、レーザアブレーション法、スパッタリング法、などを用いればよい。
また、上記の手法で形成されたナノ結晶は、より小さな微結晶の集合体である、あるいは結晶性が悪い、という場合がある。このような場合には、遷移金属酸化物ナノ結晶の結晶性を向上するために、熱処理工程を設けてもよい。例えば、作製されたナノ結晶を赤外線輻射炉の中に搬送し、200〜800℃で熱処理を行うことにより、結晶化すればよい。
(b)遷移金属酸化物ナノ結晶の表面の酸化を促進して、表面の少なくとも一部を中心のナノ結晶とは価数の異なる酸化膜で被覆する工程
個々の遷移金属酸化物ナノ結晶の表面の酸化を促進し、ナノ結晶表面の少なくとも一部を価数の異なる酸化膜で被覆するには、基材上に凝集堆積する前に気相中で表面酸化の促進処理を行うことが好適である。すなわち、(a)の工程で作製された遷移金属酸化物ナノ結晶を導電性基材に堆積する前に、O2、O3、N2O、NO2等の酸化性ガスを導入し、表面の酸化を促進すればよい。ここで、導入する酸化性ガスの流量を制御することにより、表面酸化の促進を制御することができる。さらに、酸化性ガスにエネルギーを与えて活性化することにより、より微量な酸化性ガスで表面酸化の促進を行うことができる。酸化性ガスにエネルギーを与える方法としては、例えば紫外光照射、電子線照射等を使用することができる。
(c)ナノ結晶を導電性基材の上に略垂直方向に配列して活性層を形成する工程
酸化膜で被覆されたナノ結晶をさらにキャリアガスとともに搬送し、スリットを通して堆積室内にエアロゾルジェットとして導入し、導電性基材上に堆積させる。ここで、(b)の工程で表面酸化の促進を制御することにより、ナノ結晶の凝集状態を変化させ、ナノ結晶の堆積方向における構造(デンドライト構造)を制御して導電性基材の上に略垂直方向に配列して堆積することができる。
さらに具体的に、実施の形態1で図1に示した四酸化三マンガン(Mn34)ナノ結晶から構成される活性層を含む電気化学電極の製造方法について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態において、電気化学電極の活性層の形成に用いた装置の構成を示す図である。図4において、参照符号401はナノ粒子生成室、402は赤外線輻射炉、403は酸化性ガス導入室、404は堆積室を示す。本装置では、遷移金属酸化物ナノ結晶をキャリアガスとともに搬送し、各工程を気相中で大気に曝すことなくシーケンシャルに行う。すなわち、ナノ粒子生成室401内で作製したMn34ナノ粒子をヘリウム(He)ガスで搬送しつつ赤外線輻射炉402内で熱処理することにより単結晶化し、酸化性ガス導入室403で酸素ガスを導入することによりMn34ナノ結晶の表面の少なくとも一部にMnO2層を形成し、最後に堆積室404内で導電性基材上に堆積して活性層を形成する。
以下、先の(a)〜(c)の各工程毎に詳細に説明する。
(a)Mn34ナノ結晶を作製する工程
ここでは、レーザアブレーション法を用いて、Mn34ナノ粒子を生成する。なお、レーザアブレーション法とは、高いエネルギー密度(パルスエネルギー:1.0J/cm2程度又はそれ以上)のレーザ光をターゲット材に照射し、被照射ターゲット材表面を溶融・脱離させる方法である。
まず、ナノ粒子生成室401の内部を到達真空10-7Pa程度まで高真空排気した後、マスフローコントローラ405を経由して一定流量(0.5SLM程度)のHeガスの導入を行う。ここで、スクロールポンプもしくはヘリカル溝ポンプを主体としたガス排気系406の動作と連動することにより、ナノ粒子生成室401内の雰囲気Heガス圧力を、100〜1000Pa程度の範囲の一圧力値に設定する。この状態で、ナノ粒子生成室401内に設置されている一酸化マンガン(MnO)焼結体ターゲット407の表面に対して、パルスレーザ光408を集光照射する。ここでは、Nd:YAGレーザの3倍高調波(波長:355nm)を用いた。このとき、MnOターゲット表面ではレーザアブレーション現象が発生し、Mn、O、MnOxのイオンあるいは中性粒子(原子、分子、クラスター)が脱離し、主にターゲット法線方向に分子、クラスターレベルの大きさを維持して射出して行く。そして、脱離物質は、雰囲気希ガス原子と衝突することにより、飛行方向が乱雑になるとともに、運動エネルギーが雰囲気に散逸され、気相中での会合と凝集が促進され、ナノ粒子を形成する。
以上においては、雰囲気ガスとして、Heガスを用いたが、Ar,Kr,Xe,N2等の他の不活性ガスを用いてもよい。この場合、気体密度がHeガスの場合と同等になるように圧力を設定すればよい。例えば、雰囲気ガスとしてAr(気体密度:1.78g/l)を用いる場合には、He(気体密度:0.18g/l)を基準とすると0.1倍程度の圧力に設定すればよい。
上記手法では、ナノ結晶とともに、小さな微結晶が凝集したナノ粒子の形成が見られた。そこで、凝集粒子を単結晶化するために、ナノ粒子生成室401内で生成されたナノ粒子をHeガスとともに搬送し、赤外線輻射炉402内の石英管中を通過する工程で200〜800℃の熱処理を行った。
(b)Mn34ナノ結晶の表面酸化を促進するする工程
上記(a)の工程で作製されたMn34ナノ結晶をさらにHeガスとともに搬送し、堆積室404に導入する前に、酸化性ガス導入室403においてマスフローコントローラ409を経由して一定流量(0.005SLM程度)のO2ガスを導入し、O2ガスにArエキシマランプ410(波長126nm)を照射して活性化した後にHeガスに流入させることによりMn34ナノ結晶の表面酸化を促進した。
(c)ナノ結晶を導電性基材の上に略垂直方向に配列して活性層を形成する工程
堆積室404内には、活性層を形成するための導電性基材411が設置されている。また、堆積室404内を、スクロールポンプもしくはヘリカル溝ポンプを主体としたガス排気系412の動作と連動して差動排気をすることにより、Mn34ナノ結晶を搬送するためのHeガスの流れを制御している。
この状態で、表面酸化が促進されたナノ結晶をさらにHeガス、活性化された酸化性ガスとともに搬送し、スリットを通して堆積室404内にエアロゾルジェットとして導入することにより、表面酸化状態の影響を受けて凝集構造が制御され、導電性基材411上に略垂直方向に配列して堆積する。
上記の方法により作製した活性層について、微細構造の評価を行った。図1は、ナノ粒子生成室401内の雰囲気Heガス圧力を667Paとして1000秒間レーザ光を照射して生成したナノ粒子を、赤外線輻射炉402内で800℃の熱処理を行い、ナノ結晶化した後、表面酸化を促進して導電性基材上に堆積して形成した活性層の走査電子顕微鏡写真である。堆積された活性層は、一次粒子が略垂直方向に配列して高さ5μm程度のデンドライト的構造を有している。また、その最小構成単位は、図2に示したように、大きさが2〜10nm程度のMn34単結晶部分から構成され、Mn34ナノ結晶の表面層ないしはMn34ナノ結晶の接合部分(接触界面)にMnO2層が形成されていることが確認できた。
以上述べてきたように、本実施の形態の電気化学電極の製造方法によれば、表面の少なくとも一部が価数の異なる酸化膜で被覆された遷移金属酸化物ナノ結晶を高分散を維持しながら電気的に接続させて形成することが可能となり、優れた触媒活性を呈する電気化学電極を容易に作製し得る。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)試験電極Aの作製
試験電極Aの作製は、まず、実施の形態2で説明した方法で、φ3mmのグラッシーカーボンからなる導電性基材上に、φ2mmの開口を有するマスクを介して、図1、図2に示したように、主として大きさが2〜10nm程度のMn34単結晶から構成され、Mn34ナノ結晶の表面層ないしはMn34ナノ結晶の接合部分(接触界面)にMnO2層が形成されている活性層を高さ約5μmで形成した。試験電極の触媒坦持部は、鏡面研磨されたφ3mmのグラッシーカーボンを周囲に6mmのオネジを切ったPEEK材に圧入した構造である。次に、活性層を形成した触媒坦持部を電極本体にねじ込むことで電気的な接触とパッキン材による撥水を行った。試験電極からの電流の取り出しは電極本体のφ1.6mmの真鍮棒を介して行った。
(実施例2)試験電極Bの作製
試験電極Bの作製は、まず、実施の形態2で説明した方法で、ターゲットを四酸化三コバルト(Co34)焼結体とし、酸化性ガス導入室における酸素ガスの導入流量を0.025SLMとした以外は実施例1と同様に行った。活性層は、主として大きさが2〜20nm程度の一酸化コバルト(CoO)単結晶から構成され、CoOナノ結晶の表面層ないしはCoOナノ結晶の接合部分(接触界面)にCo34層が形成され、高さ約5μmであった。
(比較例)試験電極Cの作製
試験電極Cとしては、Mn34ナノ結晶を、表面酸化を促進させずに導電性基材上に堆積して形成した活性層を用いた。具体的には、図4に示した活性層形成装置において、Mn3O4ナノ結晶を酸化性ガス導入室403から堆積室404にHeガスで搬送する工程で、O2ガスの導入ならびにArエキシマランプの照射をしなかった。それ以外の形成条件は、実施例1と同様である。
(試験電極の酸素還元能評価)
上記の方法で作製した三種類の試験電極について、三極セルによるサイクリックボルタンメトリー法により酸素還元能の評価を行った。評価は、試験電極を作用極とし0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液(pH13)中に酸素を飽和溶存させ、酸素雰囲気下で行った。ここで、対極には白金線を、参照極には銀/塩化銀電極を用いた。電圧の掃引速度は0.01V/秒とした。
図5にサイクリックボルタモグラムを示す。表面の少なくとも一部が価数の異なる酸化膜(MnO2)で被覆されていないMn34ナノ結晶から構成される試験電極Cでは、活性層を坦持していない試験電極グラッシーカーボン電極と比較すると、酸素還元電流は大きくなっている。これに対し、本発明の試験電極AおよびBでは、一定の酸素還元電流(500μA/cm2)が流れる酸素還元電位が試験電極C(−0.34V)と比較してAで約0.2V(−0.13V)、Bで0.02V(−0.32V)小さくなっており、小さい過電圧で大きな酸素還元電流が流れていることがわかる。言い換えれば電池等の電極として用いたときに取り出し電圧が大きくなることがわかる。
上記のように、本発明の電気化学電極で高い酸素還元触媒能が得られたのは、遷移金属酸化物をナノメートルレベルの微結晶化することにより表面積を飛躍的に増大させただけでなく、反応物質ならびに遷移金属酸化物ナノ結晶と接触する表面層の少なくとも一部に価数の異なる酸化膜が存在することにより、反応物質・触媒間ならびにナノ結晶間の電子の授受を安定かつ容易に行うことができ、ナノ結晶表面での触媒反応を促進させたためと考えられる。さらに加えて、活性層を、前記遷移金属酸化物ナノ結晶を導電性基材と略垂直方向に配列して高分散を維持しながら電気的に接続されている構造とすることにより、遷移金属酸化物ナノ結晶の分散性・安定性を保ちながら効率的に電荷移動を行うことができたため、約5μmという非常に薄い活性層にもかかわらず、酸素還元電極として効果的に動作したものと考えられる。特に、本発明の試験電極Aでは酸素還元の反応過電圧が大きく低下しており、電池電極として用いた場合には、取り出し電圧の大きな高効率な電池を実現することができる。
なお、サイクリックボルタンメトリー法による電気化学電極の評価では、電解液のpH、電圧の掃引速度によって過電圧、電流密度は変化するものであり、上記の結果は 遷移金属ナノ結晶の電気化学触媒性能の一例を示したものにすぎない。
本発明にかかる電気化学電極は、優れた触媒活性を有し、燃料電池等の電極、ガスセンサ等に有用である。また高価な白金触媒電極に代わる安価な電気化学電極等の用途にも広く応用できる。
本発明の実施の形態1における、マンガン酸化物ナノ結晶の透過電子顕微鏡観察写真ならびに構造模式図 本発明の実施の形態1における、活性層の走査電子顕微鏡観察写真 本発明の実施の形態2における、電気化学電極の製造方法の工程図 本発明の実施の形態2における、活性層形成装置の構成図 実施例3において測定されたサイクリックボルタモグラムを示す図
符号の説明
401 ナノ粒子生成室
402 赤外線輻射炉
403 酸化性ガス導入室
404 堆積室
405、409 マスフローコントローラ
406、412 ガス排気系
407 MnOターゲット
408 パルスレーザ光
410 Arエキシマランプ
411 導電性基材

Claims (7)

  1. 導電性基材とその上に形成された活性層を含む電気化学電極であって、前記活性層が、遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子からなり、前記ナノ粒子が前記導電性基材と電気的に接続されている構造を有することを特徴とする電気化学電極。
  2. 遷移金属酸化物ナノ結晶が、マンガン、コバルト、モリブデンのいずれかを含む酸化物で構成されている請求項1記載の電気化学電極。
  3. 遷移金属酸化物ナノ結晶が四酸化三マンガンであり、価数の異なる表面層が二酸化マンガンで構成されている請求項1または2記載の電気化学電極。
  4. 遷移金属酸化物ナノ結晶の少なくとも一部が価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子から構成される活性層を含む電気化学電極の製造方法であって、遷移金属酸化物ナノ結晶を作製する工程と、作製された遷移金属ナノ結晶の表面の酸化を促進し価数の異なる表面層を形成する工程と、前記遷移金属ナノ結晶の少なくとも一部が前記価数の異なる表面層で被覆されたナノ粒子を導電性基材の上に堆積させることにより活性層を形成する工程と、を有する電気化学電極の製造方法。
  5. 遷移金属ナノ結晶の原材料が一酸化マンガン焼結体である請求項4記載の電気化学電極の作製方法。
  6. 遷移金属ナノ結晶の原材料が四酸化三コバルト焼結体である請求項4記載の電気化学電極の作製方法。
  7. 遷移金属ナノ結晶の原材料が二酸化モリブデン焼結体である請求項4記載の電気化学電極の作製方法。

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