JP5846343B1 - フェライト系ステンレス冷延鋼板 - Google Patents

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Abstract

成形前および成形後の表面美麗性に優れるとともに、十分な成形性を有するフェライト系ステンレス冷延鋼板を提供する。C:0.01〜0.05%、Si:0.02〜0.75%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.001〜0.10%、N:0.01〜0.06%、Cr:16.0〜18.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。金属組織は、フェライト相からなり、フェライト平均粒径が10μm以下であり、粒径10μm以上40μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で60%以上であり、粒径5μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で20%未満である。

Description

本発明は、成形性(伸び、r値)が良好であると同時に、表面美麗性(耐ローピング性、表面光沢、耐リジング性、および耐肌荒れ性)に優れたフェライト系ステンレス冷延鋼板に関するものである。
フェライト系ステンレス冷延鋼板は、経済的で耐食性に優れているため、建材、輸送機器、家電製品、厨房機器、化学プラント、貯水槽、および自動車部品などの様々な用途に使用されており、その適用範囲は近年さらに拡大しつつある。これらの用途に適用するためには、当該冷延鋼板は耐食性だけでなく、所定の形状に成形できる十分な成形性(例えば、伸び、平均ランクフォード値(以下 平均r値と表記する場合がある))を有すると同時に、成形加工前後の表面美麗性に優れることも必要となる。
従来、フェライト系ステンレス冷延鋼板では成形加工時に「リジング」と呼ばれる圧延方向と平行な凹凸状の起伏や、「肌荒れ(オレンジピール)」と呼ばれる結晶粒の起伏が生じることが知られている。これらは表面美観を損なうため、続く研磨工程で除去されており、研磨負荷軽減のためには極力低減することが望ましい。
また、耐食性に優れるステンレス鋼板は、めっきや塗装を施さずに使用される場合が多く、製品そのものの美観も重視される。具体的には、表面の光沢や、反射像の明瞭さといった目視外観が購買意欲を左右するため、これを向上させることも重要である。製品そのものの目視外観は、表面の平滑性や表面欠陥の有無に依存することが知られている。「ローピング」と呼ばれる圧延方向と平行なうねりは反射像の明瞭さを損ない、また、冷間圧延中の潤滑剤の引き込みによって生じる「オイルピット」と呼ばれる凹み疵や、ワークロールの研磨目が転写した疵などに代表される圧延性表面欠陥は表面の白濁感を助長し、いずれも商品価値を下げるため、両者とも抑制して、可能な限り鏡面に近い平滑表面を得ることが望まれている。
このような要望に対し、特許文献1では、質量%で、C:0.01〜0.03%、S:0.02〜0.030%、Mn:0.45〜1.0%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.20%、N:0.01〜0.06%、Cr:16.0〜18.0%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼スラブを1050℃超で加熱し、800〜1000℃の仕上げ温度で熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延し、800〜950℃で20秒保持したのち、10℃/s以上の冷却速度で冷却するステンレス冷延鋼板の製造方法が開示されている。これにより、金属組織全体に占めるフェライト相の面積率が80〜97%で、かつフェライト相の平均結晶粒径が5〜20μmである金属組織を有し、TS×Elが15000MPa・%以上と、良好な強度と伸びのバランスを有し、かつ、加工時のリジングが小さいフェライト系ステンレス冷延鋼板が得られるとしている。すなわち、特許文献1に記載された技術では、熱延鋼板の長時間焼鈍を省略し、冷延板焼鈍条件と冷却条件を規定している。しかしながら、特許文献1で開示された技術では、熱延板焼鈍を省略しているため、硬質化した熱延鋼板を冷間圧延することになり、冷間圧延工程の製造性を著しく低下させる。
また、特許文献2では、質量%で、C:0.02%以下、Si:0.70%以下、Mn:0.50%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.15%、N:0.02%以下、Cr;16〜23%、Ni:0.50%以下、Ti:0.10%以下、Nb:0.01%以下、Zr:0.20〜0.80%を含有し、ZrがCやNを析出物として固定し、粒径の粗大化を抑止する効果を利用して、仕上げ焼鈍後のフェライト粒の平均結晶粒径を15μm以下とし耐リジング性を向上させる技術が開示されている。しかし、Zrの効果により結晶粒径を15μm以下に抑制することに成功しているが、Zrをそれなりの量含むため製造コストの増大を招く上、結晶粒の粗大化をZr系炭窒化物の析出により抑制しているため、Zr系炭窒化物によるピニング効果に起因して降伏強度が著しく上昇し、成形性、特に破断伸びの低下が著しいという問題がある。
さらに、特許文献3では、冷間圧延時に硬質かつ低粗度表面のワークロールを用いることによって、ロールバイト内への持ち込み油量を低減させてオイルピットを抑制すると同時に、ロール表面凹凸の転写を低減させることによって光沢を向上させる技術が開示されている。しかし、圧延に起因する表面欠陥の除去に一定の効果を発揮する一方で、ローピングやリジング、肌荒れといった素材起因の表面欠陥は解決できず、さらに、研磨負荷が増大しロールの運用コストが増大する。
特開2010−95742号公報 特開2011−256440号公報 特開2000−102802号公報
本発明は、かかる課題を解決し、成形前および成形後の表面美麗性に優れるとともに、十分な成形性を有するフェライト系ステンレス冷延鋼板を提供することを目的とする。
なお、本発明において、「成形前および成形後の美麗性に優れる」とは、成形加工前の表面光沢および耐ローピング性と、成形加工後の耐リジング性および耐肌荒れ性に優れることを意味する。
成形加工前の表面光沢に優れるとは、JIS Z 8741に規定された入射角20°の光の反射エネルギー(Gs20°)を用い、板幅中央部から採取した試験片に対して、圧延方向に対し0°と90°方向で各2点ずつ光沢度を測定し、その平均値が950以上であることを意味する。
耐ローピング性に優れるとは、JIS B 0601−2001に準拠して圧延方向に対して90°方向に、表面の表面粗さを測定した結果、Rzが0.2μm以下であることを意味する。
耐リジング性に優れるとは、板幅中央部より圧延方向に対し、0°方向にJIS5号試験片を採取し、片面を#600仕上げで研磨した後、JIS Z 2241に準拠した単軸引張で20%の予歪を付与し、JIS B 0601−2001に準拠して試験片の平行部中央の研磨面のうねり高さを測定した結果、大うねり(リジング高さ)が2.5μm以下であることを意味する。
耐肌荒れ性に優れるとは、耐リジング性を測定した試験片を用い、JIS B 0601−2001に準拠して試験片の平行部中央の研磨面の表面粗さを測定した結果、Raが0.2μm未満を意味する。
また、十分な成形性とは、十分な伸びおよび平均r値を示すことを意味する。圧延方向に対し、0°、45°、90°の方向にそれぞれJIS13号B試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行う。15%の予歪を付与した際に得られるr値を(1)式によって平均化した平均r値が0.65以上、さらに、通常の引張試験をした際に、圧延方向に対し90°方向の破断伸びが25%以上であることを意味する。
ave=(r0+r90+2×r45)/4 ・・・(1)
ここで、「rave」は平均r値、「r0」は圧延方向と平行な方向のr値、「r90」は圧延方向と直角方向のr値、「r45」は圧延方向と45°方向のr値である。
課題を解決するために検討した結果、以下を知見した。
冷延板焼鈍後のフェライト相の粒径を平均粒径10μm以下となる小粒径の範囲に制御することによって、結晶粒やコロニーの起伏など素材の変形能の異方性に起因するリジングやローピングおよび肌荒れを抑制できる。
冷延板焼鈍後のフェライト相の平均粒径を10μm以下とするためには、冷延板焼鈍前の時点で多量の転位を含み、冷延板焼鈍時の再結晶サイトを増加させておく必要がある。すなわち、本発明では特許文献1に開示されているようなZr炭窒化物を用いることなく、圧延加工あるいは後述するマルテンサイト相の活用により多量の転位を導入し、冷延板焼鈍後のフェライト相の平均粒径を10μm以下に調整することを達成するものである。この転位の増加に伴い金属は硬質化するが、本発明ではこの金属組織が硬質であることを利用して冷延板焼鈍前に表面の変形能を低下させることで、圧延性欠陥が少ない高光沢表面が得られる。
さらに、大半が再結晶および粒成長が進行したフェライト粒になっている金属組織中に数μmオーダーの微細なフェライト粒を混在させて、平均粒径ならびに粒径分布を適切に制御することによって、伸びや平均r値といった成形性の確保も可能になる。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、以下を要旨とするものである。
[1]質量%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.02〜0.75%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.001〜0.10%、N:0.005〜0.06%、Cr:16.0〜18.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、金属組織は、フェライト相からなり、フェライト相の平均粒径が10μm以下であり、粒径10μm以上40μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で60%以上であり、粒径5μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で20%未満であることを特徴とするフェライト系ステンレス冷延鋼板。
[2]質量%で、さらに、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜0.5%、Co:0.01〜0.3%のうちから選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする上記[1]に記載のフェライト系ステンレス冷延鋼板。
[3]質量%で、さらに、V:0.01〜0.25%、Ti:0.001〜0.015%、Nb:0.001〜0.030%、Mg:0.0002〜0.0050%、B:0.0002〜0.0050%、REM:0.01〜0.10%のうちから選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする上記[1]または[2]に記載のフェライト系ステンレス冷延鋼板。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%はすべて質量%である。
本発明によれば、成形前および成形後の表面美麗性に優れるとともに、十分な成形性を有するフェライト系ステンレス冷延鋼板が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフェライト系ステンレス冷延鋼板は、質量%でC:0.005〜0.05%、Si:0.02〜0.75%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.001〜0.10%、N:0.005〜0.06%、Cr:16.0〜18.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。金属組織は、フェライト相からなり、フェライト相の平均粒径が10μm以下であり、粒径10μm以上40μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で60%以上であり、粒径5μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で20%未満である。これらは、本発明において重要な要件であり、中でも、フェライト相の粒径とその量を規定することは特に重要な要件である。このようなステンレス冷延鋼板を用いれば、十分な成形性を有しながら、表面光沢に優れ、耐ローピング性、耐リジング性および耐肌荒れ性を有する、すなわち成形前および成形後の表面美麗性に優れるフェライト系ステンレス冷延鋼板を得ることができる。
なお、本発明におけるフェライト相の結晶粒径は、圧延平行断面の金属組織を現出させた場合のフェライト粒において、(圧延平行方向の粒界間距離+板厚方向の粒界間距離)/2で求められる数値を意味する。
次に、本発明のフェライト系ステンレス冷延鋼板の成分組成について説明する。
以下、特に断らない限り%は質量%を意味する。
C: 0.005〜0.05%
Cはオーステナイト相の生成を促進し、熱延板焼鈍時にフェライト相とオーステナイト相が出現する二相温度域を拡大する効果がある。この効果を得るためには0.005%以上の含有が必要である。また、C量が0.005%未満では、固溶Cの減少およびまたは析出する炭化物量の減少により再結晶ならびに粒成長の進行が過度に助長されるためにフェライトの平均粒径が大きくなり、本発明の所望するフェライトの平均粒径10μm未満を得られない。しかし、C量が0.05%を超えると鋼板が硬質化して延性が低下する。また、C量が0.05%を超えると熱延板焼鈍時に生成するマルテンサイトの量が多くなり、冷延時の圧延負荷が増大し製造性が低下する。また、冷延板焼鈍前に存在するマルテンサイト量が増加することにより、冷延板焼鈍中のマルテンサイトの分解によって生じる微細なフェライト相の量が増加するため、本発明の所望するフェライトの粒径5μm未満の面積率が多くなり、粒径10−40μmの面積率が少なくなり、所定の材料特性が得られない。そのため、C量は0.005〜0.05%の範囲とする。好ましくは0.01〜0.03%の範囲である。さらに好ましくは0.015〜0.02%の範囲である。C量はC含有量を意味し、他の成分についても同様である。
Si: 0.02〜0.75%
Siは鋼溶製時に脱酸剤として作用する元素である。この効果を得るためには0.02%以上の含有が必要である。しかし、Si量が0.75%を超えると、鋼板が硬質化して熱間圧延時の圧延負荷が増大するとともに、冷延板焼鈍後の延性が低下する。そのため、Si量は0.02〜0.75%の範囲とする。好ましくは0.10〜0.50%の範囲である。さらに好ましくは0.15〜0.35%の範囲である。
Mn:0.1〜1.0%
MnはCと同様にオーステナイト相の生成を促進し、熱延板焼鈍時にフェライト相とオーステナイト相が出現する二相温度域を拡大する効果がある。この効果を得るためには0.1%以上の含有が必要である。しかし、Mn量が1.0%を超えるとMnSの生成量が増加して耐食性が低下する。そのため、Mn量は0.1〜1.0%の範囲とする。好ましくは0.55〜0.90%の範囲である。さらに好ましくは0.65〜0.85%の範囲である。
P: 0.04%以下
Pは粒界偏析による粒界破壊を助長する元素であるためP量は低い方が望ましく、上限を0.04%とする。好ましくは0.03%以下である。
S: 0.01%以下
SはMnSなどの硫化物系介在物となって存在して延性や耐食性等を低下させる元素であり、特に含有量が0.01%を超えた場合にそれらの悪影響が顕著に生じる。そのためS量は極力低い方が望ましく、本発明ではS量の上限を0.01%とする。好ましくは0.007%以下である。さらに好ましくは0.005%以下である。
Al: 0.001〜0.10%
AlはSiと同様に脱酸剤として作用する元素である。この効果を得るためには0.001%以上の含有が必要である。しかし、Al量が0.10%を超えると、Al2O3等のAl系介在物が増加し、表面性状が低下しやすくなる。そのため、Al量は0.001〜0.10%の範囲とする。好ましくは0.001〜0.07%の範囲である。さらに好ましくは0.001〜0.01%である。
N: 0.005〜0.06%
Nは、C、Mnと同様にオーステナイト相の生成を促進し、熱延板焼鈍時にフェライト相とオーステナイト相が出現する二相温度域を拡大する効果がある。この効果を得るためにはN量を0.005%以上とする必要がある。しかし、N量が0.06%を超えると延性が著しく低下する上、Cr窒化物の析出を助長することによる耐食性の低下が生じる。よって、N量は0.005〜0.06%の範囲とする。好ましくは0.01〜0.03%の範囲である。さらに好ましくは0.01〜0.02%の範囲である。
Cr:16.0〜18.0%
Crは鋼板表面に不動態皮膜を形成して耐食性を向上させる効果を有する元素である。この効果を得るためにはCr量を16.0%以上とする必要がある。また、Cr含有量が16.0%未満では、再結晶および粒成長が過度に促進されるため、フェライトの平均粒径が大きくなり、本発明の所望するフェライトの平均粒径10μm未満を得られない。一方、Cr量が18.0%を超えると、熱延板焼鈍時にオーステナイト相(熱延板焼鈍の冷却時にマルテンサイト相へと変態する)の生成が不十分となり、冷延板焼鈍時にマルテンサイト変態の分解によって生成する微細なフェライト粒の生成量が不十分となるため、本発明の所望するフェライトの平均粒径10−40μmの面積率が少なくなり、所定の材料特性が得られない。よって18.0%以下とする。好ましくは16.0〜17.5%の範囲である。さらに好ましくは16.5〜17.0%の範囲である。
残部はFeおよび不可避的不純物である。
以上の成分組成により本発明の効果は得られる。さらに製造性あるいは材料特性を向上させる目的で以下の元素を含有することができる。
Cu:0.1〜1.0%、Ni: 0.1〜1.0%、Mo: 0.1〜0.5%、Co: 0.01〜0.3%のうちから選ばれる1種または2種以上
CuおよびNiはいずれも耐食性を向上させる元素であり、特に高い耐食性が要求される場合に、Cuおよび/またはNiを含有することが有効である。また、CuおよびNiにはオーステナイト相の生成を促進し、熱延板焼鈍時にフェライト相とオーステナイト相が出現する二相温度域を拡大する効果がある。これらの効果は各々0.1%以上の含有で顕著となる。しかし、Cu含有量が1.0%を超えると熱間加工性が低下する場合があり好ましくない。そのためCuを含有する場合はその含有量を0.1〜1.0%とする。好ましくは0.1〜0.6%の範囲である。さらに好ましくは0.3〜0.5%の範囲である。Ni含有量が1.0%を超えると加工性が低下するため好ましくない。そのためNiを含有する場合はその含有量を0.1〜1.0%とする。好ましくは0.1〜0.6%の範囲である。さらに好ましくは0.1〜0.3%の範囲である。
Moは耐食性を向上させる元素であり、特に高い耐食性が要求される場合にMoを含有することが有効である。この効果は0.1%以上の含有で顕著となる。しかし、Mo含有量が0.5%を超えると熱延板焼鈍時にオーステナイト相の生成が不十分となり、所定の材料特性が得られなくなる場合があり好ましくない。そのため、Moを含有する場合はその含有量を0.1〜0.5%とする。好ましくは0.2〜0.4%の範囲である。
Coは靭性を向上させる元素である。この効果は0.01%以上の添加によって得られる。一方、含有量が0.3%を超えると製造性を低下させる場合がある。そのため、Coを添加する場合の添加量は0.01〜0.3%の範囲とする。
V: 0.01〜0.25%、Ti: 0.001〜0.015%、Nb: 0.001〜0.030%、Mg: 0.0002〜0.0050%、B: 0.0002〜0.0050%、REM: 0.01〜0.10%のうちから選ばれる1種または2種以上
V: 0.01〜0.25%
Vは鋼中のCおよびNを析出物として固定して、固溶C、Nを低減する。これにより平均r値が向上し、成形性が向上する。さらに、熱延板焼鈍時に生成するマルテンサイトへの過剰なCの濃化を抑制して、マルテンサイトの過度な硬質化を抑制し、冷延素材の硬度分布を低減する効果を有する。これらの効果を得るためには、V含有量を0.01%以上とする。一方、V含有量が0.25%を超えると成形性が低下するとともに、製造コストの増大を招く場合がある。よって、Vを含有する場合はその含有量を0.01〜0.25%の範囲とする。好ましくは、0.02〜0.15%の範囲である。さらに好ましくは0.03〜0.10%の範囲である。
Ti: 0.001〜0.015%、Nb: 0.001〜0.030%
TiおよびNbは、Vと同様に、CおよびNとの親和力の高い元素であり、熱間圧延時に炭化物あるいは窒化物として析出し、母相中の固溶C、Nを低減させ、仕上げ焼鈍後の加工性を向上させる効果がある。これらの効果を得るためには、0.001%以上のTi、0.001%以上のNbを含有する必要がある。Ti量が0.015%あるいはNb量が0.030%を超えると、過剰なTiNあるいはNbCの析出により良好な表面性状を得ることができない場合がある。よって、Tiを含有する場合はその含有量を0.001〜0.015%の範囲、Nbを含有する場合はその含有量を0.001〜0.030%の範囲とする。Ti量は好ましくは0.003〜0.010%の範囲である。Nb量は好ましくは0.005〜0.020%の範囲である。さらに好ましくは0.010〜0.015%の範囲である。
Mg: 0.0002〜0.0050%
Mgは熱間加工性を向上させる効果がある元素である。この効果を得るためには0.0002%以上の含有が必要である。しかし、Mg量が0.0050%を超えると表面品質が低下する場合がある。よって、Mgを含有する場合はその含有量を0.0002〜0.0050%の範囲とする。好ましくは0.0005〜0.0030%の範囲である。さらに好ましくは0.0005〜0.0010%の範囲である。
B: 0.0002〜0.0050%
Bは低温二次加工脆化を防止するのに有効な元素である。この効果を得るためには0.0002%以上の含有が必要である。しかし、B量が0.0050%を超えると熱間加工性が低下する場合がある。よって、Bを含有する場合はその含有量を0.0002〜0.0050%の範囲とする。好ましくは0.0005〜0.0030%の範囲である。さらに好ましくは0.0005〜0.0010%の範囲である。
REM: 0.01〜0.10%
REMは耐酸化性を向上させる元素であり、特に溶接部の酸化皮膜形成を抑制し溶接部の耐食性を向上させる効果がある。この効果を得るためには0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.10%を超えて添加すると冷延焼鈍時に生成するスケールに対する脱スケール性など、製造性を低下させる場合がある。また、REMは高価な元素であるため、過度な添加は製造コストの増加を招くため好ましくない。そのため、REMを含有する場合はその含有量を0.01〜0.10%の範囲とする。
次に、本発明のフェライト系ステンレス冷延鋼板の金属組織について説明する。
フェライト単相とする。さらに、フェライト相の平均粒径は10μm以下である。このような金属組織にすることで、粗大結晶粒の起伏に起因する肌荒れを低減することが可能である。このような組織を得るためには、冷延板焼鈍前に再結晶サイトとなる格子欠陥が多量に存在する組織にしておく、すなわち、冷延板焼鈍前の時点で多量の転位を含み、隣接する結晶粒間の結晶方位差が大きい状態にしておくことが必要である。一般に、転位の増加に伴い金属は硬質化するため、本発明のように冷延板焼鈍前の段階で多量の転位を含有させると、冷延板焼鈍前に既に変形能が低下した状態となり、冷延中の表面変形が抑制され、オイルピットやロール研磨目の転写痕などの圧延性欠陥を低減することが可能となる。その結果、光沢向上に寄与する。
さらに、隣接する結晶粒間の結晶方位差が大きいことは、フェライト粒の面方位がランダムな状態、つまり、フェライトコロニー(類似な結晶方位を有するフェライト粒の集合体)が分断されていることを示している。冷延板焼鈍前に既にフェライトコロニーが破壊され、さらに、冷延板焼鈍で再結晶が進行すると、隣接するフェライト粒の面方位がよりランダムになるため、応力を付与した際の変形が等方的になり、リジングやローピングのように圧延方向に沿って生じる表面の起伏が低減できる。
以上の効果は、フェライト相の平均粒径が10μm以下の微細な状態で得られるため、平均粒径の範囲は10μmを上限とする。なお、10μmを超えると全体的に粒成長が進行するか、あるいは、粗大なフェライト粒を含む組織となるため、粗大結晶粒の起伏に起因する肌荒れが生じるほか、リジングやローピングの発生も助長する。
ところで、検討したところ、冷延板焼鈍後のフェライト相が平均粒径10μm以下の範囲で、全フェライト粒が同等の粒径範囲の場合、強度が向上する一方で、伸びやr値といった成形性が低下することがわかった。本発明者らはこれを解決するためにさらに検討を行った。その結果、ある程度粒成長した粒を混在させることが有効であるとの知見を得た。
平均粒径が10μm以下という前提のもとで、ある程度大粒径のフェライト粒を含むことによって延性や変形能を確保することが重要である。しかしながら、粒径が40μmよりも粗大な粒が存在すると、平均粒径が10μm以下という制約下では必然的に周囲が小粒径のフェライト粒となり、いわゆる混粒組織となって耐肌荒れ性を悪化させる。そのため、40μm以上のフェライト粒の混在は好ましくない。一方、粒径が10μm以下の微細粒径のフェライト粒が多くなると深絞りや曲げ加工などを実施する際に必要な延性が得られない場合がある。そのため、粒径が10μm以上40μm未満のフェライト相が支配的となる金属組織にする必要がある。十分な成形性を得るためには、粒径が10μm以上40μm未満のフェライト粒を、金属組織全体に対する面積率で、60%以上含有させる必要がある。より良い成形性と表面美麗性を両立させる観点から、好ましくは10〜20μmのフェライト粒を60〜80%含む状態とする。
さらに、10μm以上のフェライト粒が存在する状態で、耐肌荒れ性に悪影響を及ぼす混粒組織状態(大小のフェライト粒が二極化して混在する状態)を回避するためには、粒径5μm未満の極微細なフェライト相を、金属組織全体に対する面積率で20%未満に抑える必要がある。5μm未満のフェライト粒が20%以上含まれ、さらに10μm以上のフェライト粒が主体の金属組織になると、粒径が二極化した混粒組織となって肌荒れが生じるほか、成形性も低下する。より滑らかな表面と、十分な成形性を確保する観点より、望ましくは粒径5μm未満のフェライト粒は15%未満とする。
以上のように、本発明のフェライト系ステンレス冷延鋼板の金属組織においては、フェライト相の平均粒径を10μm以下とした上で、粒径10μm以上40μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で60%以上、粒径5μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で20%未満、の全て条件を満たすことが重要である。
上述の範囲に該当しない残部についてのフェライト粒径は特に限定するものではないが、好ましくは粒径5μm以上10μm未満の範囲のフェライト相である。また、フェライト相以外の残部は不可避的析出物および介在物とする。
次に本発明のフェライト系ステンレス冷延鋼板の製造方法の一例について説明する。
上記した成分組成からなる溶鋼を、転炉、電気炉または真空溶解炉等の公知の方法で溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分塊法により鋼素材(スラブ)とする。このスラブを、1100〜1250℃で加熱するか、あるいは加熱することなく鋳造まま直接、熱間圧延して熱延板とする。熱間圧延時、仕上げ圧延をフェライト相とオーステナイト相の二相温度域で終了して熱延板とする。その後コイルに巻き取る際は、その巻取り温度を550〜850℃にする。より好ましくは600〜700℃である。これによって、短時間で仕上げる熱延板の連続焼鈍によるフェライト相の粒径や再結晶を制御しやすくなる。
その後、上記熱延板に対して、フェライト相とオーステナイト相の二相温度域となる900〜1050℃の温度で10秒〜2分間保持する熱延板焼鈍を施す。このような方法は、最終製品である冷延鋼板のフェライト相の粒径を制御する上で有効な方法である。この熱延板焼鈍によってマルテンサイト相を生成させることにより、熱延時に形成したフェライトコロニー(類似な結晶方位を有するフェライト粒の集合体)を分断する効果を得ることができ、さらに、冷延および冷延板焼鈍後の金属組織をよりランダムな面方位分布にすることが可能である。また、熱延板焼鈍を短時間かつ高温の連続焼鈍にすることで、冷延前の時点でフェライト粒径を制御することが可能であり、冷延板焼鈍後の最終製品(冷延鋼板)において所望のフェライト粒に制御することが容易になる。ここで、熱延板焼鈍温度が900℃未満の場合、あるいは熱延板焼鈍時間が10秒未満の場合は、マルテンサイトの生成が不十分であり、フェライトコロニーが残存したままとなって、フェライト相の平均粒径が本発明の範囲を超えて、耐リジング性や耐ローピング性が悪化する。また、冷延板焼鈍後のフェライト粒も粗大になるため光沢や耐肌荒れ性にも悪影響を及ぼす。熱延板焼鈍温度が1050℃を超える、あるいは熱延板焼鈍時間が2分を超える長時間焼鈍では、粒成長が過度に進行してフェライト粒が粗大になる上、マルテンサイト相の生成量が多くなり、冷延板焼鈍時にマルテンサイト相の分解によって生成する微細なフェライト粒の量が過度に増加するため、5μm未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より上回り所定の成形性、光沢度および耐肌荒れ性が得られず、伸びやr値が低下する。これらの理由により、熱延板焼鈍は900〜1050℃の温度で10秒〜2分間保持する。好ましくは、910〜935℃の温度で15〜60秒保持する。
必要に応じて酸洗あるいはメカニカルデスケーリングを施し脱スケールを行う。ただし、方法は特に限定するものではない。
次いで、冷間圧延(冷延)を行う。タンデムミルまたはクラスターミルいずれを使用しても構わない。本発明で冷延の総圧下率は限定されないが、成形性や形状矯正の観点から、冷延の総圧下率は50%以上が好ましい。
次いで、冷延板焼鈍を行う。冷延板焼鈍は、最終製品をフェライト単相組織とするため、フェライト単相温度域で実施する必要がある。また、フェライト相とマルテンサイト相の二相組織のまま冷延した鋼板をフェライト単相組織にするため、フェライト単相域温度範囲の中でも極力高温で実施することが望ましい。そのため、焼鈍温度範囲は800〜890℃とし、好ましくは850〜890℃である。800℃未満の温度範囲ではマルテンサイト相が残存して伸びが低下する場合があり、5μm未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より上回るとともに10μm以上40μm以未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より下回り所定の成形性および光沢度が得られない。890℃より高温では新たにオーステナイト相が生成して冷却時にマルテンサイト変態を起こすため、成形性が著しく低下する場合がある。また、製造性の向上と過剰なフェライト再結晶粒の粒成長回避のため、冷延板焼鈍は連続焼鈍であることが好ましい。また、保持時間は5〜120秒とする。さらに、十分な成形性を得ると同時に、粒径分布の二極化による耐肌荒れ性の低下を防ぐため、好ましくは保持時間が10〜60秒である。
表面仕上げはNo.2B、BA、研磨またはダル加工など限定するものではなく、適当な表面仕上げとする。所望の表面粗さを付与し、ストレッチャーストレインを解消するためには、伸び率0.3〜1.0%の範囲で調質圧延を実施すれば良い。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
表1に示す化学組成を有するステンレス鋼を連続鋳造法により250mm厚のスラブとした。これらを1200℃に加熱した後、熱間圧延で板厚3mmの熱延鋼板とした。この際、仕上げ圧延機出側の板温は900〜980℃、巻取り温度は600〜800℃であった。
次いで、上記熱延板に表2に記載の条件で熱延板焼鈍を施した後、表面にショットブラスト処理を行い、硫酸、および硝酸とふっ酸からなる混酸の2液で酸洗し脱スケールを実施した。得られた熱延焼鈍板をさらに板厚0.8mmまで冷延し、表2に記載の条件で冷延板焼鈍を実施した後、伸び率0.3〜0.9%の調質圧延を施し、最終製品とした。
以上により得られた冷延焼鈍後の最終製品(フェライト系ステンレス冷延鋼板)に対して、以下の方法により、組織観察および性能評価を行った。
組織観察
板幅中央部から組織観察用試験片を採取し、圧延方向断面を鏡面研磨後、王水で腐食(エッチング)し、光学顕微鏡を用いて板厚中央部を倍率500倍で5視野撮影した。得られた組織写真において、白色の部分をフェライト相とした。フェライト相の平均粒径はJIS G 0551に準拠して算出し5視野の平均値とした。これら5視野について、粒径5μm未満のフェライト粒と、粒径10μm以上40μm未満、粒径40μm以上のフェライト粒に分類し、それぞれが占める面積率を求めた。
なお、フェライト相の結晶粒径は、各視野中に存在するフェライト結晶粒について、圧延平行方向および板厚方向の粒界間距離を金属組織写真から測長し、圧延平行方向の粒界間距離と板厚方向の粒界間距離の算術平均値で得られた値とした。
(1)成形性評価
(1-1)破断伸び
板幅中央部からJIS13B号引張試験片を圧延方向に対し90°方向に採取し、JIS Z 2241に準拠した引張試験を行った。破断伸び(El)が圧延方向に対し90°の方向で30%以上である場合を特に優れて合格(◎)、25%以上である場合を合格(○)、25%未満の場合を不合格(×)とした。
(1-2)平均r値
さらに、同じ箇所からJIS13B号引張試験片を圧延方向に対し0°、45°、90°の三方向に引張試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行った。15%の予歪を付与して各々のr値を測定し、下記(1)式により算出される平均r値が0.65以上である場合を合格(○)とし、0.65未満の場合を不合格(×)とした。
ave=(r0+r90+2×r45)/4 ・・・(1)
(2)表面美麗性
(2−1)表面光沢(光沢度)
板幅中央部から試験片を採取し、JIS Z 8741に規定されるように、入射角20°の光の反射エネルギー(Gs20°)を用い、圧延方向に対し、0°と90°方向で各2点ずつ測定した平均値を用い、光沢度950以上の場合を光沢に優れる(○)とし、950未満を不合格(×)とした。また、1000を超える場合を特に優れる(◎)とした。
(2−2)耐ローピング性
板幅中央部から試験片を採取し、JIS B 0601−2001に準拠して圧延方向に90°方向に表面粗さを測定した結果、Rzが0.2μm以下になる場合を合格(○)とし、0.2μmを超える場合を不合格(×)とした。
(2−3)耐リジング性
板幅中央部より圧延方向に対し、0°方向にJIS5号試験片を採取し、片面を#600仕上げで研磨した後、JIS Z 2241に準拠した単軸引張で20%の予歪を付与し、JIS B 0601−2001に準拠して試験片の平行部中央の研磨面のうねり高さを測定した結果、2.5μm以下の場合を合格(○)とし、2.5μm超えの場合を不合格(×)とした。2.0μm未満の場合を特に優れる(◎)とした。
(2−4)耐肌荒れ性
耐リジング性を測定した試験片を用い、JIS B 0601−2001に準拠して試験片の平行部中央の研磨面の表面粗さを測定した結果、Raで0.2μm未満の場合を合格(○)とし、0.2μm以上の場合を不合格とした(×)。
以上の評価結果を製造条件と併せて表2に示す。
Figure 0005846343
Figure 0005846343
鋼成分ならびに製造方法のいずれもが本発明の範囲を満たす場合、十分な成形性(破断伸び、平均r値)を得られ、表面美麗性に優れることを確認した。
Cr含有量が本発明の範囲を下回るNo.11はフェライト相の平均粒径が本発明の範囲を超えて所定の光沢度を得られなかった。Cr含有量が本発明の範囲を上回るNo.12は粒径10μm以上40μm未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より下回り所定の成形性および光沢度が得られなかった。
C含有量が本発明の範囲を上回るNo.13は5μm未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より上回るとともに10μm以上40μm以未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より下回り所定の成形性および光沢度が得られなかった。
C含有量が本発明の範囲を下回るNo.14はフェライト相の平均粒径が本発明の範囲を超えて所定の耐ローピング性および耐肌荒れ性が得られなかった。
熱延板焼鈍温度が低すぎたNo.15はフェライト相の平均粒径が本発明の範囲を超えて所定の耐ローピング性、耐リジング性および耐肌荒れ性が得られなかった。
熱延板焼鈍温度が高すぎたNo.16は5μm未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より上回り所定の成形性、光沢度および耐肌荒れ性が得られなかった。
冷延板焼鈍温度が低すぎたNo.17は5μm未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より上回るとともに10μm以上40μm以未満のフェライト粒の面積率が本発明の範囲より下回り所定の成形性および光沢度が得られなかった。
以上より、所定のフェライト相の平均粒径および粒径分布を適切に制御すれば、所定の成形性と、優れた表面性状を有するフェライト系ステンレス冷延鋼板が得られることを確認した。
本発明で得られるフェライト系ステンレス冷延鋼板は、絞りを主体としたプレス成形品や高い表面美麗性を要求される用途、例えば厨房器具や食器へ適用されるフェライト系ステンレス冷延鋼板として好適である。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.02〜0.75%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.001〜0.10%、N:0.005〜0.06%、Cr:16.0〜18.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    金属組織は、フェライト相からなり、
    フェライト相の平均粒径が10μm以下であり、粒径10μm以上40μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で60%以上であり、粒径5μm未満のフェライト粒が金属組織全体に対する面積率で20%未満であることを特徴とするフェライト系ステンレス冷延鋼板。
  2. 質量%で、さらに、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜0.5%、Co:0.01〜0.3%のうちから選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス冷延鋼板。
  3. 質量%で、さらに、V:0.01〜0.25%、Ti:0.001〜0.015%、Nb:0.001〜0.030%、Mg:0.0002〜0.0050%、B:0.0002〜0.0050%、REM:0.01〜0.10%のうちから選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス冷延鋼板。
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