JP5845995B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コンデンサと、該コンデンサが蓄えた電荷を緊急時に放電するための緊急放電抵抗とを備えた電力変換装置に関する。
従来から、例えば直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置として、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、コンデンサと、リアクトルとを備えるものが知られている(下記特許文献1参照)。この電力変換装置は、リアクトルを使って直流電圧を昇圧し、昇圧後の直流電圧をコンデンサによって平滑化する。そして、平滑化した直流電圧を、上記半導体モジュールを使って交流電圧に変換する。
上記コンデンサ等は、電力変換装置のケース内に収容されている。また、コンデンサと半導体モジュールとリアクトルは、電力変換装置を小型化するために、互いに近い位置に配置されている。
特開2009−278794号公報
しかしながら従来の電力変換装置は、コンデンサの近傍に設けられている、半導体モジュールやリアクトル等の電子部品が稼動時に発熱するため、熱(輻射熱)がコンデンサに伝わり、コンデンサの温度が上昇するという問題があった。コンデンサは高温に弱いため、温度が上昇すると劣化しやすくなる。
コンデンサに伝わる熱を少なくするため、コンデンサから離れた位置に電子部品を配置すると、無駄なスペースが生じ、電力変換装置が大型化しやすくなる。そのため、小型化でき、かつコンデンサの温度上昇を抑制できる電力変換装置が望まれている。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、小型化でき、コンデンサの温度上昇を抑制できる電力変換装置を提供しようとするものである。
本発明の第1の態様は、コンデンサ(2)と、
稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
上記発熱電子部品は、変圧用のリアクトル(30)であることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
また、本発明の第2の態様は、コンデンサ(2)と、
稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
上記緊急放電抵抗の両端子(41,42)は上記放電制御回路基板に接続しており、該両端子は、上記放電制御回路基板に形成した配線(50)を介して、上記コンデンサに接続していることを特徴とする電力変換装置にある(請求項2)。
また、本発明の第3の態様は、コンデンサ(2)と、
稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
上記放電制御回路基板に、上記コンデンサの電圧を検出する電圧検出回路(51)が形成されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項3)。
また、本発明の第4の態様は、コンデンサ(2)と、
稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
上記放電制御回路基板に、上記コンデンサに蓄えた電荷が放電電流として流れ続ける常時放電抵抗(52)が形成されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項4)。
また、本発明の第5の態様は、コンデンサ(2)と、
稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
上記緊急放電抵抗に、金属板からなるブラケット(40)が取り付けられており、該ブラケットを上記コンデンサに固定してあることを特徴とする電力変換装置にある(請求項5)。
上記電力変換装置においては、コンデンサに蓄えた電荷を緊急時に放電するための緊急放電抵抗を備える。そして、この緊急放電抵抗を、コンデンサと発熱電子部品との間に配置してある。
このようにすると、発熱電子部品から発生する熱を、緊急放電抵抗によって遮蔽することができる。そのため、発熱電子部品の熱がコンデンサに伝わりにくくなり、コンデンサの温度上昇を抑制することができる。これにより、コンデンサの劣化を防止することが可能になる。
緊急放電抵抗は、緊急時にのみ放電電流が流れて発熱し、緊急時以外の場合(平常時)は発熱しない。そのため、緊急放電抵抗をコンデンサの近傍に配置しても、平常時は、緊急放電抵抗自体の発熱による影響をコンデンサは受けない。したがって、緊急放電抵抗は、発熱電子部品の熱を遮蔽する部材として好適である。
また、上記構成にすると、発熱電子部品の熱がコンデンサに伝わりにくいため、発熱電子部品をコンデンサの近くに配置できる。そのため、無駄なスペースが生じにくくなり、電力変換装置を小型化できる。
また、上記構成にすると、発熱電子部品の熱を遮蔽するための専用の板等を設ける必要がなくなる。そのため、電力変換装置の部品点数を低減でき、装置内を省スペース化しやすくなる。
以上のごとく、本発明によれば、小型化でき、コンデンサの温度上昇を抑制できる電力変換装置を提供することができる。
実施例1における、電力変換装置の断面図。 図1のII−II断面図。 実施例1における、放電制御回路基板の回路図。 図1のIV−IV断面図。 実施例1における、緊急放電抵抗の斜視図。 実施例1における、電力変換装置の回路図。 実施例1における、電力変換装置の断面図であって、コンデンサの内部を透視したもの。 図2のVIII−VIII断面図。 実施例1における、コンデンサの製造工程説明図。 図9に続く図。
上記電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される車載用電力変換装置とすることができる。また、上記「緊急時」とは、例えば上記車両が事故を起こした時を意味する。
また、上記発熱電子部品は、変圧用のリアクトルである(請求項)。
リアクトルはコンデンサに直接、接続されるため、リアクトルをコンデンサの近傍に配置することが特に望まれている。そのため、リアクトルの熱を緊急放電抵抗によって遮蔽し、リアクトルをコンデンサの近くに配置できるようにした場合の効果は大きい。
また、上記緊急放電抵抗の両端子は上記放電制御回路基板に接続しており、該両端子は、上記放電制御回路基板に形成した配線を介して、上記コンデンサに接続している(請求項2、請求項6)。
したがって、緊急時に緊急放電抵抗に放電電流が流れ、緊急放電抵抗が発熱し、発生した熱がコンデンサへ伝わる際には、放電制御回路基板に形成した配線が、その伝熱経路となる。そのため、緊急放電抵抗からコンデンサへ向う熱は、配線を伝わる間に放熱させることができる。これにより、緊急放電抵抗から発生した熱がコンデンサに伝わりにくくなり、この熱によってコンデンサの温度が上昇することを抑制できる。
また、上記放電制御回路基板に、上記コンデンサの電圧を検出する電圧検出回路が形成されている(請求項3、請求項7)。
したがって、緊急時に緊急放電抵抗に放電電流が流れ、緊急放電抵抗が発熱し、発生した熱がコンデンサへ伝わる際には、上記電圧検出回路が伝熱経路となる。そのため、緊急放電抵抗からコンデンサへ向う熱は、電圧検出回路を伝わる間に放熱させることができる。これにより、緊急放電抵抗から発生した熱がコンデンサに伝わりにくくなり、この熱によってコンデンサの温度が上昇することを抑制できる。
また、上記放電制御回路基板に、上記コンデンサに蓄えた電荷が放電電流として流れ続ける常時放電抵抗が形成されている(請求項4、請求項8)。
したがって、緊急時に緊急放電抵抗に放電電流が流れ、緊急放電抵抗が発熱し、発生した熱がコンデンサへ伝わる際には、上記常時放電抵抗が伝熱経路となる。そのため、緊急放電抵抗からコンデンサへ向う熱は、常時放電抵抗を伝わる間に放熱させることができる。これにより、緊急放電抵抗から発生した熱がコンデンサに伝わりにくくなり、この熱によってコンデンサの温度が上昇することを抑制できる。
また、上記緊急放電抵抗に、金属板からなるブラケットが取り付けられており、該ブラケットを上記コンデンサに固定してある(請求項5、請求項9)。
そのため、コンデンサの温度が局所的に上昇することを防止できる。すなわち、上記ブラケットは熱伝導率が高い金属製であるため、上記構造にすると、発熱電子部品から受け取った熱をブラケットの隅々に分散させることができる。これにより、緊急放電抵抗の温度が局所的に上昇することを防止でき、ひいては、緊急放電抵抗に隣接するコンデンサの温度が局所的に上昇することを防止できる。
また、上記緊急放電抵抗と上記コンデンサとの間に上記ブラケットが介在していることが好ましい(請求項10)。
この場合には、発熱電子部品から発生した熱をブラケットによって分散できると共に、緊急時に緊急放電抵抗が発熱した場合にも、その緊急放電抵抗からの発熱をブラケットによって分散することが可能になる。これにより、コンデンサの温度が局所的に上昇することをより防止しやすくなる。
また、上記コンデンサは、コンデンサ素子と、該コンデンサ素子を収容するケースと、該ケース内に上記コンデンサ素子を封止する封止部材とを有し、上記ケースの開口の少なくとも一部を塞ぐ位置に上記緊急放電抵抗が設けられており、上記ブラケットと上記封止部材との間に隙間が形成されていることが好ましい(請求項11)。
この場合には、封止部材とブラケットとの間に隙間を形成してあるため、ブラケットから封止部材に熱が伝わりにくくなる。そのため、コンデンサの温度上昇をより抑制しやすくなる。
(実施例1)
上記電力変換装置に係る実施例について、図1〜図10を用いて説明する。図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、コンデンサ2と、発熱電子部品3と、緊急放電抵抗4と、放電制御回路基板5とを備える。発熱電子部品3は、電力変換装置1の稼動時に発熱する。緊急放電抵抗4は、図6に示すごとく、コンデンサ2にスイッチング素子10を介して接続されている。
放電制御回路基板5は、緊急時にスイッチング素子10をオンすることにより、コンデンサ2に蓄えた電荷を放電電流として緊急放電抵抗4に流し、電荷を放電させる。
そして図1に示すごとく、コンデンサ2と発熱電子部品3との間に緊急放電抵抗4を配置してある。
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される車載用電力変換装置である。また、上記「緊急時」とは、車両が事故を起こした時を意味する。すなわち本例では、車両が交通事故を起こした時に、スイッチング素子10をオンにし、コンデンサ2に蓄えた電荷を放電するよう構成されている。
図6に示すごとく、本例の発熱電子部品3は、昇圧用のリアクトル30である。また、コンデンサ2は、直流電源7の直流電圧に含まれるノイズを除去するフィルタコンデンサ2aと、昇圧後の電圧を平滑化する平滑コンデンサ2bとからなる。
本例の電力変換装置1は、図6に示すごとく、フィルタコンデンサ2aと、昇圧回路78と、平滑コンデンサ2bと、インバータ回路79とを有する。昇圧回路78は、上記リアクトル30と、複数のIGBT素子73とからなる。個々のIGBT素子73にはフリーホイールダイオード71が逆並列接続してある。電力変換装置1は、直流電源7の直流電圧に含まれるノイズをフィルタコンデンサ2aによって除去し、昇圧回路78を使って直流電圧を昇圧する。そして、昇圧後の電圧を平滑コンデンサ2bによって平滑化し、平滑後の直流電圧をインバータ回路79によって交流電圧に変換する。このようにして得られた交流電圧を使って、三相交流モータ70を駆動し、車両を走行させている。
平滑コンデンサ2bには、緊急放電抵抗4と、電圧検出回路51bと、常時放電抵抗52とが接続してある。緊急放電抵抗4の正側の端子41と、平滑コンデンサ2bの正極端子23との間には、スイッチング素子10を設けてある。スイッチング素子10をオンする制御は、緊急制御回路53が行う。
電力変換装置1を稼動すると、平滑コンデンサ2bに電荷が溜まる。この電荷は、放電電流となって常時放電抵抗52に流れる。電力変換装置1を稼動している間は常に、平滑コンデンサ2bの電荷が常時放電抵抗52へ流れるようになっている。また、平滑コンデンサ2bが放電して電圧が低くなると、フィルタコンデンサ2aが蓄えた電荷も、リアクトル30及びフリーホイールダイオード71を通って常時放電抵抗52に流れる。
図6に示すごとく、電圧検出回路51bは、直列接続した複数の抵抗を有する。この複数の抵抗によって、平滑コンデンサ2bの電圧を分圧している。そして、一部の抵抗にかかる電圧を検出することにより、平滑コンデンサ2bの電圧を算出するようになっている。電力変換装置1は、検出した電圧値を、三相交流モータ70の制御に利用している。
また、電力変換装置1は、フィルタコンデンサ2aの電圧を測定する電圧検出回路51aを備える。上述した放電制御回路53と、スイッチング素子10と、常時放電抵抗52と、電圧検出回路51a,51bとは、放電制御回路基板5に形成されている(図3参照)。
一方、図1に示すごとく、リアクトル30は、軟磁性体からなる環状のコア32と、該コア32に巻回した電磁コイル31とからなる。電力変換装置1の稼動時には、電磁コイル31に電流が流れ、この電磁コイル32が主に発熱する。コア32の表面は、絶縁樹脂320によって覆われている。
図4に示すごとく、コンデンサ2は、コンデンサ素子21と、該コンデンサ素子21を収容するケース20と、コンデンサ素子21をケース20内に封止する封止部材22とを備える。ケース20の開口27は、リアクトル30側を向いている。
図7に示すごとく、ケース20には、複数のコンデンサ素子21が収容されている。これら複数のコンデンサ素子21のうち一部のコンデンサ素子21aは、フィルタコンデンサ2aを構成している。また、他のコンデンサ素子21bは、平滑コンデンサ2bを構成している。フィルタコンデンサ2a用のコンデンサ素子21aは、複数のコンデンサ素子21の配列方向(X方向)における、一方側(リアクトル30を設けた側)に配置されている。また、平滑コンデンサ2b用のコンデンサ素子21bは、X方向において、フィルタコンデンサ2a用のコンデンサ素子21aよりも他方側に配置されている。
図4に示すごとく、コンデンサ素子21の負電極212に、金属板からなる負側接続部材29が取り付けられている。負側接続部材29は、全てのコンデンサ素子21の負電極212に共通して接続している。この負側接続部材29から負極端子24が、リアクトル30へ向って、負側接続部材29の法線方向(Y方向)に突出している。負極端子24は、封止部材22の表面から突出し、緊急放電抵抗4を跨いでリアクトル30に達している。本例では、後述する負側バスバー34と負極端子24とを重ね合わせ、ボルト340及びナット341を使って、これらを締結してある。ナット341は、リアクトル30の上記絶縁樹脂320に埋設されている。
図4、図7に示すごとく、コンデンサ素子21の正電極211には、金属板からなる正側接続部材28が取り付けられている。正側接続部材28は、フィルタコンデンサ2aを構成するコンデンサ素子21aと、平滑コンデンサ2bを構成するコンデンサ素子21bとで、別々になっている。すなわち、フィルタコンデンサ2a用のコンデンサ素子21aには第1の正側接続部材28aが接続され、平滑コンデンサ2b用のコンデンサ素子21bには第2の正側接続部材28bが接続されている。
図7に示すごとく、第1の正側接続部材28aから正極端子23が、リアクトル30へ向ってY方向に延出している。正極端子23は、緊急放電抵抗4を跨いでリアクトル30に達している。本例では、後述する正側バスバー33と正極端子23とを重ね合わせ、ボルト340を使って、これらを締結してある。
正極端子23及び負極端子24は、X方向における、コンデンサ2の一方側(フィルタコンデンサ2a用のコンデンサ素子21aを設けた側)から、Y方向に突出している。X方向において、正極端子23及び負極端子24は、緊急放電抵抗4の2つの端子41,42の間に位置している。
図7に示すごとく、X方向における、リアクトル30の幅は、緊急放電抵抗4の幅よりも長い。また、X方向における、コンデンサ2の幅は、リアクトル30の幅よりも長い。このように本例では、X方向における緊急放電抵抗4の幅が短いため、コンデンサ2の全ての部分を、リアクトル30の熱から保護できず、コンデンサ2の一部分のみを保護するようになっている。
本例では、緊急放電抵抗4を、フィルタコンデンサ2a用のコンデンサ素子21aと、リアクトル30との間に設けてある。Y方向から見ると、緊急放電抵抗4は、フィルタコンデンサ2a用のコンデンサ素子21aの略全ての部分と重なっている。すなわち本例では、緊急放電抵抗4を使って、フィルタコンデンサ2a用のコンデンサ素子21aを、リアクトル30の熱から保護している。また、平滑コンデンサ2b用のコンデンサ素子21bの一部と、リアクトル30との間は、緊急放電抵抗4によって遮蔽されていない。
また、上記第2の正側接続部材28bから突部250が、リアクトル30に向ってY方向に延出している。突部250は折れ曲がり、放電制御回路基板5(図2参照)側に突出している。
図7に示すごとく、第2の正側接続部材28bから、正バスバー25がY方向に延出している。また、負側接続部材29から、負バスバー26がY方向に延出している。これら正バスバー25と負バスバー26は、後述する半導体モジュール6に接続する。
一方、図5に示すごとく、緊急放電抵抗4は、セラミックからなる直方体形状の封止部43を有する。この封止部43の内部に抵抗体(図示しない)が封止されている。封止部43から、抵抗体に導通した端子41,42がZ方向に突出している。
また、本例では封止部43に、金属板からなるブラケット40を固定してある。ブラケット40は、封止部43の一方の主面に密着する板状本体部450と、一対のアーム400と、固定部410とを備える。アーム400は、X方向における板状本体部450の両端からY方向に延びている。アーム400の先端部490は、X方向内側に折れ曲がっている。この一対のアーム400によって封止部43を挟持し、板状本体部450を封止部43に固定している。また、上記固定部410は、板状本体部450の、X方向における一端からZ方向に突出している。固定部410には、Y方向に貫通した固定用貫通孔420が形成されている。図2に示すごとく、この固定部410において、緊急放電抵抗4をコンデンサ2のケース20に固定している。
図4に示すごとく、緊急放電抵抗4は、ケース20の開口27を塞ぐ位置に配置されている。ブラケット40は、緊急放電抵抗4の封止部43とコンデンサ2との間に介在している。封止部43の主面はY方向に直交している。コンデンサ2の封止部材22の表面220と、ブラケット40との間には隙間Sを設けてある。
図2に示すごとく、コンデンサ2の正極端子23と負極端子24から、それぞれ突部230,240が、放電制御回路基板5の法線方向(Z方向)に突出している。突部230,240,250は、放電制御回路基板5に接続している。緊急放電抵抗4の端子41,42も、放電制御回路基板5に接続している。
図3に示すごとく、放電制御回路基板5には、スイッチング素子10と、放電制御回路53と、常時放電抵抗52と、電圧検出回路51a,51bとが形成されている。緊急放電抵抗4の正側の端子41とスイッチング素子10とは、放電制御回路基板5に形成された配線50a(プリント配線)によって接続されている。また、平滑コンデンサ2b用の突部250は、別の配線50bによってスイッチング素子10に接続されている。さらに、緊急放電抵抗4の負側の端子42と、コンデンサ2の負極端子24とは、配線50cによって接続されている。
上述したように、本例では、車両が事故を起こした場合(緊急時)に、放電制御回路53がスイッチング素子10をオンする。これにより、平滑コンデンサ2a(図6参照)が蓄えた電荷を緊急放電抵抗4に流し、放電する。
緊急放電抵抗4に放電電流が流れると発熱する。発生した熱の一部は、端子41,42から配線50a,50cへ伝わる。そして、熱が配線50a,50cを伝わる際に、放熱されるようになっている。また、配線50cを伝わった熱は、電圧検出回路51a,51bや常時放電抵抗52にも伝わる。
また、図3、図4に示すごとく、放電制御回路基板5は複数の接続ピン54を備える。この接続ピン54は、後述するモジュール用制御回路基板13に接続している。この接続ピン54を介して、モジュール用制御回路基板13と放電制御回路基板5との間で情報の交換をしている。
図4に示すごとく、放電制御回路基板5は、コンデンサ2のケース20を構成する壁部のうち、モジュール用制御回路基板13に最も近い壁部200に、ボルト固定されている。
一方、図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、半導体素子74(図6参照)を内蔵した複数の半導体モジュール6と、該半導体モジュール6を冷却する複数の冷却管60とを有する。これら複数の半導体モジュール6と冷却管60とを積層し、積層体11を構成してある。
図2に示すごとく、個々の半導体モジュール6は、制御端子61と、パワー端子62とを有する。パワー端子62には、直流電圧が加わる正極パワー端子および負極パワー端子と、三相交流モータ70(図6参照)に接続した交流パワー端子とがある。正極パワー端子と負極パワー端子とは、上述した正バスバー25及び負バスバー26によって、平滑コンデンサ2bに接続している。また、制御端子61は、モジュール用制御回路基板13に接続している。このモジュール用制御回路基板13によって、半導体モジュール6のオンオフ動作を制御している。これにより、正極パワー端子と負極パワー端子との間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流パワー端子から出力している。
図1に示すごとく、積層体11とリアクトル30との間には、支持壁部129が形成されている。支持壁部129は、図2に示すごとく、収容ケース12の底壁126からZ方向に突出している。支持壁部129と積層体11との間には、弾性部材128(板ばね)が介在している。この弾性部材128を使って、積層体11を、ケース12の壁部127へ向けて押圧している。これにより、半導体モジュール6と冷却管60との接触圧を確保しつつ、積層体11をケース12内に固定している。
図1に示すごとく、複数の冷却管60は、Y方向両端部において、連結管119によって接続されている。また、複数の冷却管60のうち、上記壁部127に接触した冷却管60aには、冷媒17を冷却管60に導入するための導入管117と、冷却管60から冷媒17を導出するための導出管118とを接続してある。導入管117から冷媒17を導入すると、連結管119を通って全ての冷却管60に冷媒17が流れ、導出管118から導出される。これにより、半導体モジュール6を冷却するようになっている。
図2、図8に示すごとく、モジュール用制御回路基板13と放電制御回路基板5との間には、中板14を設けてある。中板14には、制御端子61が通る第1開口部15と、放電制御回路基板5の接続ピン54が通る第2開口部16とが形成されている。
図2、図4に示すごとく、第1開口部15と第2開口部16の周辺には、防水突部150,160が形成されている。これら防水突部150,160は、中板14からモジュール用制御回路基板13に向かってZ方向に突出している。この防水突部150,160は、ケース12とカバー120との境界125から水がケース内に漏れた場合に、水をせき止めるために設けてある。これにより、開口部15,16から半導体モジュール6や放電制御回路基板5に水が滴下することを防止している。
また、図1に示すごとく、ケース12には、入力用開口部122と外部機器用開口部123とが、積層体11の積層方向(X方向)に貫通するよう形成されている。また、コンデンサ2に接続した正側バスバー33及び負側バスバー34には、入力端子331,341と、外部出力端子332,342とが形成されている。入力用開口部122から入力コネクタ(図示しない)を差し込み、入力端子331,341に接続するようになっている。そして、入力コネクタを介して、直流電源7(図6参照)とバスバー33,34とを接続するよう構成されている。
また、本例では、外部機器用開口部123に出力コネクタ(図示しない)を差し込み、外部出力端子332,342に接続するよう構成されている。この出力コネクタを介して、車載エアコン等の外部機器に直流電力を供給している。
なお、リアクトル30の電磁コイル31と正側バスバー33とは、接続部315において互いに接続している。また、電磁コイル31の端部316は、図示しないバスバーによって、半導体モジュール6のパワー端子62に接続している。
次に、コンデンサ2の製造方法について説明する。まず図9に示すごとく、ケース20にコンデンサ素子21を入れておき、ケース20の開口27を鉛直方向上側に向けた状態で、流動状態の封止部材22をケース内に入れる。この際、図10に示すごとく、開口27から封止部材22が溢れ出ないようにするため、封止部材22を少なめに入れる。すなわち、封止部材22の表面220と開口27との間に、所定の隙間Sを設けておく。そして、封止部材22を入れた後、封止部材22を固化させる。
本例の作用効果について説明する。図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、コンデンサ2に蓄えた電荷を緊急時に放電するための緊急放電抵抗4を備える。そして、この緊急放電抵抗4を、コンデンサ2と発熱電子部品3(リアクトル30)との間に配置してある。
このようにすると、発熱電子部品3から発生する熱を、緊急放電抵抗4によって遮蔽することができる。そのため、発熱電子部品3の熱がコンデンサ2に伝わりにくくなり、コンデンサ2の温度上昇を抑制することができる。これにより、コンデンサ2の劣化を防止することが可能になる。
緊急放電抵抗4は、緊急時にのみ放電電流が流れて発熱し、緊急時以外の場合(平常時)は発熱しない。そのため、緊急放電抵抗4をコンデンサ2の近傍に配置しても、平常時は、緊急放電抵抗4自体の発熱による影響をコンデンサ2は受けない。したがって、緊急放電抵抗4は、発熱電子部品3の熱を遮蔽する部材として好適である。
また、上記構成にすると、発熱電子部品3の熱がコンデンサ2に伝わりにくいため、発熱電子部品3をコンデンサ2の近くに配置できる。そのため、無駄なスペースが生じにくくなり、電力変換装置1を小型化できる。
また、本例では、発熱電子部品3の熱を遮蔽するための専用の板等を設ける必要がなくなる。そのため、電力変換装置1の部品点数を低減でき、装置内を省スペース化しやすくなる。
また、本例の発熱電子部品3は、変圧用のリアクトル30である。
リアクトル30はコンデンサ2に直接、接続されるため、リアクトル30をコンデンサ2の近傍に配置することが特に望まれている。そのため、リアクトル30の熱を緊急放電抵抗4によって遮蔽し、リアクトル30をコンデンサ2の近くに配置できるようにした場合の効果は大きい。
また、図3に示すごとく、緊急放電抵抗4の両端子41,42は放電制御回路基板5に接続している。そして、上記両端子41,42は、放電制御回路基板5に形成した配線50を介して、コンデンサ2に接続している。
このようにすると、緊急時に緊急放電抵抗4に放電電流が流れ、緊急放電抵抗4が発熱し、発生した熱がコンデンサ2へ伝わる際には、放電制御回路基板5に形成した配線50が、その伝熱経路となる。そのため、緊急放電抵抗4からコンデンサ2へ向う熱は、配線50を伝わる間に放熱させることができる。これにより、緊急放電抵抗4から発生した熱がコンデンサ2に伝わりにくくなり、この熱によってコンデンサ2の温度が上昇することを抑制できる。
また、本例では図3に示すごとく、放電制御回路基板5に、コンデンサ2の電圧を検出する電圧検出回路51(51a,51b)を形成してある。
このようにすると、緊急時に緊急放電抵抗4に放電電流が流れ、緊急放電抵抗4が発熱し、発生した熱がコンデンサ2へ伝わる際には、電圧検出回路51が伝熱経路となる。そのため、緊急放電抵抗4からコンデンサ2へ向う熱は、電圧検出回路51を伝わる間に放熱させることができる。これにより、緊急放電抵抗4から発生した熱がコンデンサ2に伝わりにくくなり、この熱によってコンデンサ2の温度が上昇することを抑制できる。
また、本例では図3に示すごとく、放電制御回路基板5に、コンデンサ2に蓄えた電荷が放電電流として流れ続ける平常放電抵抗52を形成してある。
このようにすると、緊急時に緊急放電抵抗4に放電電流が流れ、緊急放電抵抗4が発熱し、発生した熱がコンデンサ2へ伝わる際には、常時放電抵抗52が伝熱経路となる。そのため、緊急放電抵抗52からコンデンサ2へ向う熱は、常時放電抵抗52を伝わる間に放熱させることができる。これにより、緊急放電抵抗52から発生した熱がコンデンサ2に伝わりにくくなり、この熱によってコンデンサ2の温度が上昇することを抑制できる。
また、図4に示すごとく、本例の緊急放電抵抗4には、金属板からなるブラケット40を取り付けてある。このブラケット40をコンデンサ2に固定してある。
このようにすると、コンデンサ2の温度が局所的に上昇することを防止できる。すなわち、ブラケット40は熱伝導率が高い金属製であるため、上記構造にすると、リアクトル30から受け取った熱をブラケット40の隅々に分散させることができる。これにより、緊急放電抵抗4の温度が局所的に上昇することを防止でき、ひいては、緊急放電抵抗4に隣接するコンデンサ2の温度が局所的に上昇することを防止できる。
また、本例では図4に示すごとく、緊急放電抵抗4とコンデンサ2との間にブラケット40が介在している。
この場合には、発熱電子部品3から発生した熱をブラケット40によって分散できると共に、緊急時に緊急放電抵抗4が発熱した場合にも、その緊急放電抵抗4からの発熱をブラケット40によって分散することが可能になる。これにより、コンデンサ2の温度が局所的に上昇することをより防止しやすくなる。
また、図4に示すごとく、本例では、ブラケット40と封止部材22との間に隙間Sを設けてある。
このようにすると、ブラケット40から封止部材22に熱が伝わりにくくなる。そのため、コンデンサ2の温度上昇をより抑制しやすくなる。
図9、図10に示すごとく、本例では、コンデンサ2を製造する際に、流動状態の封止部材22が開口27から溢れ出ることを防止するため、封止部材22を少なめに入れ、隙間Sを設けてある。本例ではこのように、形成せざるを得ない隙間Sを、ブラケット40から封止部材22へ熱が伝わることを防止する領域として効果的に利用している。
以上のごとく、本例によれば、小型化でき、コンデンサの温度上昇を抑制できる電力変換装置を提供することができる。
1 電力変換装置
10 スイッチング素子
2 コンデンサ
3 発熱電子部品
30 リアクトル
4 緊急放電抵抗
5 放電制御回路基板

Claims (11)

  1. コンデンサ(2)と、
    稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
    上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
    緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
    上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
    上記発熱電子部品は、変圧用のリアクトル(30)であることを特徴とする電力変換装置。
  2. コンデンサ(2)と、
    稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
    上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
    緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
    上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
    上記緊急放電抵抗の両端子(41,42)は上記放電制御回路基板に接続しており、該両端子は、上記放電制御回路基板に形成した配線(50)を介して、上記コンデンサに接続していることを特徴とする電力変換装置。
  3. コンデンサ(2)と、
    稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
    上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
    緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
    上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
    上記放電制御回路基板に、上記コンデンサの電圧を検出する電圧検出回路(51)が形成されていることを特徴とする電力変換装置。
  4. コンデンサ(2)と、
    稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
    上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
    緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
    上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
    上記放電制御回路基板に、上記コンデンサに蓄えた電荷が放電電流として流れ続ける常時放電抵抗(52)が形成されていることを特徴とする電力変換装置。
  5. コンデンサ(2)と、
    稼動時に発熱する発熱電子部品(3)と、
    上記コンデンサにスイッチング素子(10)を介して接続された緊急放電抵抗(4)と、
    緊急時に上記スイッチング素子をオンすることにより、上記コンデンサに蓄えた電荷を放電電流として上記緊急放電抵抗に流し、上記電荷を放電させる放電制御回路基板(5)とを備え、
    上記コンデンサと上記発熱電子部品との間に上記緊急放電抵抗を配置してあり、
    上記緊急放電抵抗に、金属板からなるブラケット(40)が取り付けられており、該ブラケットを上記コンデンサに固定してあることを特徴とする電力変換装置。
  6. 上記緊急放電抵抗の両端子(41,42)は上記放電制御回路基板に接続しており、該両端子は、上記放電制御回路基板に形成した配線(50)を介して、上記コンデンサに接続していることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  7. 上記放電制御回路基板に、上記コンデンサの電圧を検出する電圧検出回路(51)が形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  8. 上記放電制御回路基板に、上記コンデンサに蓄えた電荷が放電電流として流れ続ける常時放電抵抗(52)が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3、請求項6、請求項7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  9. 上記緊急放電抵抗に、金属板からなるブラケット(40)が取り付けられており、該ブラケットを上記コンデンサに固定してあることを特徴とする請求項1〜請求項4、請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  10. 上記緊急放電抵抗と上記コンデンサとの間に上記ブラケットが介在していることを特徴とする請求項5又は請求項9に記載の電力変換装置。
  11. 上記コンデンサは、コンデンサ素子(21)と、該コンデンサ素子を収容するケース(20)と、該ケース内に上記コンデンサ素子を封止する封止部材(22)とを有し、上記ケースの開口(27)の少なくとも一部を塞ぐ位置に上記緊急放電抵抗が設けられており、上記ブラケットと上記封止部材との間に隙間(S)が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
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