JP5843528B2 - 放電破砕方法 - Google Patents
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Description
放電破砕装置は、図10(a)に示すように、棒状の中心電極21aと中心電極21aの外周を被覆する筒状の絶縁体21kと絶縁体21kの外周に設けられた外周電極21bとを備えた同軸電極21と、電源22aと大容量コンデンサ22bとを備え同軸電極21に大電流を供給するパルスパワー源22と、同軸電極21とパルスパワー源22とを接続する同軸ケーブル23及びコネクタ24とを備える。放電破砕装置20の同軸電極21の中心電極21aと外周電極21bとは、大容量コンデンサ22bの一方の極板と他方の極板にそれぞれスイッチ22pを介して接続され、スイッチ22pにより大容量コンデンサ22bと同軸電極21とを電気的に接続することによりスイッチ22qを閉じた状態で大容量コンデンサ22bに充電された電荷を同軸電極21の中心電極21a及び外周電極21b間にて放電させ、同軸電極21近傍に衝撃波を発生させて、同軸電極21の周囲のコンクリートにひび割れを発生させる。
まず、破砕対象物50の上面50aにワイヤーソーなどを用いて深溝51を形成し、破砕対象物50を同図のR1,R2,R3,……に示すような複数の領域に分割するとともに、各領域に複数の電極挿入孔52を削孔し、この電極挿入孔52に水などの電解液53を注入した後、電極挿入孔52に絶縁体を介して配置された同軸電極21を挿入し、同軸電極21に大電流を投入して放電させて、前記電極挿入孔52と深溝51の溝面との間のコンクリートにひび割れを発生させた後、ひび割れた部分を小型のブレーカなどの削岩機を用いて破砕する。これにより、従来のブレーカ等の破砕機やコールピックハンマー(ピック)等の削岩機を用いて破砕する場合に比べて、破砕対象物50を効率よく破砕することができる。なお、電極挿入孔52近傍のコンクリートや深溝51近傍のコンクリートなどの一部のコンクリートは衝撃により直接破砕される(例えば、特許文献2参照)。
また、破砕対象物が鉄筋コンクリート構造物である場合には、外周面の鉄筋が配置されている位置よりも深い切り込み溝を形成するとともに、深溝と切り込み溝とで囲まれた領域に電極挿入孔を設けて同軸電極を挿入して放電させるようにしている。このように、鉄筋を切り込み溝により分断することで鉄筋も振動し、鉄筋の一部が衝撃波で破断されるので、破砕対象物が鉄筋コンクリート構造物であっても容易に破砕することができる(例えば、特許文献3参照)。
また、破砕対象物を所定の大きさに切り出す方法としては、ボーリング装置などにより形成したワイヤー挿入孔にワイヤーソーを挿通させて配置し、このワイヤーソーを駆動させて破砕対象物を切断する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
また、破砕物の大きさが細かい場合には、発生する粉塵が多くなり破砕物の収納率が低くなるだけでなく、破砕物を集めて収納したり運搬したりするのが大変であった。
そこで、電極挿入孔52の数を減らすことで破砕物の大きさを大きくすることも考えられるが、電極挿入孔52の数を減らした場合には、放電によるひび割れの発生が少なくなるので、破砕対象物50を十分に破砕することが困難であった。
一方、ワイヤーソーを用いる方法では、予め多数のワイヤー挿入孔を削孔する必要があるだけでなく、切断時の廃液やスラッジなどの二次廃棄物が多いといった問題点がある。
このように、開口部が浅溝で結ばれた複数の電極挿入孔に同軸電極を挿入して放電させるようにしたので、前記浅溝に沿った隙間の大きな直線状のひび割れを生じさせることができる。したがって、従来の自由面を形成するための深溝を形成する場合に比較して、溝形成の作業が少なくかつ短期間で破砕対象物の外縁部と浅溝との間の領域を確実に破砕できるので、作業効率を大幅に向上させることができる。また、本方法では、ひび割れの方向を制御できることから、大きな塊状の破砕物を得ることができるので、破砕物の運搬が容易となる。また、形成する溝が浅くかつ幅が狭いので粉じんの発生量が少なく、作業環境が向上するだけでなく、破砕物の塊の大きさを自由に決められるので、従来に比較して大きい塊を得ることも可能となり、破砕物の回収作業も容易となる。
また、上記のような横溝を設けることで、厚さ(破砕対象物の電極挿入孔が削孔された面とその反対側の面との距離)の厚い破砕対象物を効率よく破砕できるとともに、ほぼ直方体状の破砕物を得ることができるので、破砕物の収納や運搬が容易になる。
これにより、電極挿入孔の配列方向だけでなく、電極挿入孔の配列方向に垂直な方向に延長する互いにほぼ平行な少なくとも2列のひび割れを生じさせることができるので、大きさの揃ったブロック状の破砕物を容易に得ることができる。
また、本発明は、前記各縦溝の深さ方向の延長線上に前記電極挿入孔を位置させたことを特徴とする。
これにより、電極挿入孔の配列方向に垂直な方向のひび割れを確実に誘発できるので、ほぼ直方体状の破砕物を確実に得ることができる。したがって、破砕物の回収作業や運搬作業が更に容易になる。
図1は、本実施の形態1に係る放電破砕方法を示す図で、図2は放電破砕方法を用いた破砕作業の工程図である。
本例では、図1に示すような、長さaが5500mm、幅bが2000mm、厚さcが1500mmである直方体状のコンクリート体(以下、破砕対象物という)10を、図10(a)に示した同軸電極21を備えた放電破砕装置20を用いて破砕する方法について説明する。
まず、破砕対象物10の上面10aの一方側の側面10b側からL=500mm離れた位置に、放電破砕装置の同軸電極を挿入するための複数の電極挿入孔11を400mmピッチで削孔する。これにより、電極挿入孔11を、上面10aの側面10bから一定の距離を隔てた位置に、上面10aと側面10bとのつくる稜線に沿って配置することができる(第1工程)。
本例では、外径が50mmφの同軸電極21を用いて放電を行う関係上、各電極挿入孔11の径を約75mmφ、深さDを約1000mmとした。なお、電極挿入孔11の削孔は、例えば、周知のコアドリルなどを用いて行うことができる。
次に、ウォールソーを用いて、各電極挿入孔11の開口部を結ぶ、幅が電極挿入孔11の径の1/4以下で、深さが電極挿入孔の深さの1/3以下である浅溝12を形成する(第2工程)。
本例では、浅溝12の幅を5mmとし、深さdを150mmとした。なお、ウォールソーは円盤状の回転刃を回転させながら対象物を切削することでスリットを形成するもので、ワイヤーソーを用いた場合に比較して溝幅の狭い浅溝12を形成することができる。浅溝12は上面10a内で終端してもよいし、側面10bと直交する側の側面10cに開口させてもよい。
次に、破砕対象物10の側面10bに横溝13を形成する(第3工程)。
横溝13は、破砕対象物10の上面10aに平行な溝で、本例では、ウォールソーを用い、上面10aからの距離が電極挿入孔11の深さDよりも長い位置(例えば、上面10aからh=1200mの位置)に、幅が5mm、深さが500mmのスリット状の横溝13を形成した。横溝13は破砕物の厚さを規定するとともに、破砕対象物10が鉄筋コンクリート構造物である場合には、横溝13により縦筋が切断されるので、破砕対象物10の破砕と後述する破砕物の剥ぎ取りとを容易に行うことができる。
以下、破砕対象物10の浅溝12を通り浅溝12に平行な面と、電極挿入孔11の配列方向に平行な側面10bと、横溝13を通り横溝13に平行な面とに囲まれた領域を破砕予定領域R(図3参照)という。
なお、放電は電極挿入孔11毎に順次行ってもよいし、同時に行ってもよい。
また、放電の回数は1回でもよいし複数回行ってもよい。また、放電を複数回行う場合には、2回目以降の放電については、電極挿入孔11の孔底で行ってもよいし、図3の破線で示すように、孔底よりも高い位置で行ってもよい。
本例では、電極挿入孔11の開口部を結ぶ浅溝12が形成されているので、放電後の破砕対象物10には、図4(a)に示すような、電極挿入孔11から横溝13が設けられている側面10b(自由面)に向かう複数の折れ線状のひび割れCkと、浅溝12に沿ったひび割れCkよりも大きな隙間を有する直線状のひび割れCnとが発生する。
浅溝12がない場合でも、図4(b)に示すように、電極挿入孔11の開口部同士を結ぶ折れ線状のひび割れCkが発生するが、本例のように、電極挿入孔11の開口部を結ぶ浅溝12を形成することで、浅溝12に沿った直線状のひび割れを誘発することができるとともに、大きな隙間のひび割れを発生させることができる。
なお、説明を簡単にするため、図4(a),(b)のびび割れCk,Cn、及び、後述する図7(a),(b)のびび割れCk,Cm,Cn,Cjの形態については、実際のものを模式化して示した。
ところで、浅溝12に代えて、隣接する電極挿入孔11,11の間に電極挿入孔11と同じ形状の誘導孔を設けてひび割れを誘発させることも考えられるが、実際に誘導孔を設けて放電しても図4(b)と同様の折れ線状のひび割れCkは発生するが、本例のような、大きな隙間の直線状のひび割れを誘発することはできなかった。
したがって、電極挿入孔11の配列方向に沿った大きな隙間のひび割れを発生させるためには、本例にように、電極挿入孔11の開口部を結ぶ浅溝12を形成する必要があることが分かる。
放電後の破砕予定領域Rでは、電極挿入孔11から前記側面10bとの間に生じたひび割れCkと浅溝12に沿った直線状のひび割れCnとに囲まれたコンクリートは、周りのコンクリートとの結合が極めて弱いので、前記ひび割れCk,Cnで囲まれたコンクリートのブロックから成る破砕物Gを破砕対象物10から容易に剥ぎ取ることができる。
前記剥ぎ取られた破砕物Gは、厚さが横溝13の深さに等しく、長さが浅溝12と破砕対象物10の長さ方向に垂直な側面10bとの距離にほぼ等しい、大きさのほぼ揃った大きなブロックなので、例えば、剥ぎ取った破砕物Gを吊り上げてこれを矩形容器に収納して運搬するなどすれば、破砕物の回収作業や運搬作業を容易に行うことができる。
破砕予定領域Rの破砕物Gを全て剥ぎ取った後には、この剥ぎ取られた面を新たな側面10b’(図5を参照)とし、第1工程から第5工程までの作業を繰り返すことで、新たに掘削した複数の電極挿入孔11と新たな側面10b’との間のコンクリートを破砕する作業を繰り返す。なお、破砕予定領域R以外の部分の電極挿入孔11と浅溝12については、予め工程の最初に設けておいてもよい。
また、前記例では、破砕対象物10の側面10bである自由面側から500mm離れた位置に、径が約72mmφ、深さが約100mmの電極挿入孔11を400mmピッチで削孔したが、電極挿入孔11の寸法や位置、ピッチなどはこれに限るものではなく、挿入する同軸電極21の種類、解体する破砕対象物10の強度や厚さ等に応じて適宜設定すればよい。
また、前記例では、電極挿入孔11を直線状に配列したが、折れ線状もしくは曲線状に配置してもよい。なお、この場合も、浅溝12については、電極挿入孔11の開口部を結ぶ折れ線状(個々の浅溝12を直線状)にすることが好ましく、これにより、ひび割れを浅溝12に沿って有効に誘導することができる。
また、横溝13については、破砕対象物10の厚さが薄い場合には省略してもよいが、横溝13により破砕対象物10の下端面のコンクリートが周囲のコンクリートと縁切りされ破砕物の剥ぎ取りが容易となるので、横溝13を設けた方が好ましい。
なお、浅溝12や横溝13の幅を大きくすると粉じんの発生量が多くなるので、15mm以下にすることが好ましく、10mm以下にすると更に好ましい。
また、前記例では、電極挿入孔11を削孔してから浅溝12を形成したが、浅溝12を形成してから電極挿入孔11を削孔してもよい。
また、前記例では、同軸電極21を備えた放電破砕装置20を用いたが、放電電極として、一対の電極を互いに対向するように配置したワイヤー電極を備えた放電破砕装置を用いてもよい。
前記実施の形態1では、破砕対象物10に開口部が浅溝12で結ばれた電極挿入孔11と横溝13とを設けることにより破砕予定領域Rを構成したが、図6に示すように、横溝13を設けた側面10bに縦溝15を複数本形成することで破砕予定領域を複数構成するようにすれば、厚さ方向や長さ方向だけでなく、幅方向の大きさも揃ったブロック状の破砕物を得ることができる。
縦溝15は、横溝13が形成された側面10bに横溝13と垂直な方向に延長するように設けられた幅が5mm、深さkが150mmのスリット状の溝で、一端が上面10aに開口し他端が横溝13に開口する。縦溝15も、浅溝12や横溝13と同様にウォールソーを用いて形成される。なお、縦溝15の深さkは150mmなので、破砕対象物10の上面から見たときの縦溝15の端部(溝底)は電極挿入孔11まで達していない。
本例では、各縦溝15の深さ方向の延長線上に電極挿入孔11が位置するように、各縦溝15を形成した。なお、本例では、縦溝15は横溝13を形成する工程の後に形成した。
縦溝15の深さ方向の延長線上に電極挿入孔11があるように縦溝15を形成すると、図7(a)に示すように、縦溝15と電極挿入孔11とを結ぶ隙間の大きな直線状のひび割れCmが発生するので、破砕物の形状をほぼ直方体状に揃え易くなるので、大きさの揃ったブロック状の破砕物を確実に得ることができる。
また、破砕対象物10が鉄筋コンクリート構造物である場合には、縦溝15により横筋が切断されるので、破砕対象物10の破砕と破砕物の剥ぎ取りとが容易となる。
また、前記例では、縦溝15の間隔を隣接する電極挿入孔11間の距離よりも大きくしたが、電極挿入孔11間の距離よりも小さくして多数設けてもよい。但し、縦溝15のピッチを小さくすると歪みが分散してひび割れを縦溝15に効率よく誘導できないので、縦溝15のピッチとしては隣接する電極挿入孔11間の距離の1/2以上とすることが好ましい。
従来、生体遮蔽壁の解体は、図8に示すように、生体遮蔽壁の側壁部30の放射化されているとされる部分と放射化されていないとされる部分との境界Kに沿って、ボーリング装置などに縦穴31を形成し、この縦穴31を利用して図示しないワイヤーソーにより切断面Zを形成して、放射化されているとされる部分30Aを所定の大きさのブロックに切断する、いわゆるワイヤーソー工法が用いられていた。
ところで、生体遮蔽壁の解体は、例えば、外径が25000mm、内径が21000mmと極めて大きいので、図9(a)に示すように、生体遮蔽壁の側壁部30の放射化されているとされる部分30Aを、例えば、円周方向に12分割するなどして、分割された領域が上面視ほぼ台形状の角柱となるような複数の領域30Nに分割し、この分割した各領域30Nについて、本発明の放電時破砕方法を適用すれば、前記実施の形態1,2と同様に、各領域30Nを容易に破砕することができる。
具体的には、図9(b)に示すように、上面視ほぼ台形状に分割された放射化されているとされる領域30Nとその外周部分である放射化されていないとされる部分30Bとの境界Kに沿って複数の電極挿入孔11を配列するとともに、これらの電極挿入孔11の開口部を結ぶ浅溝12を形成し、更に、横溝13と縦溝15とを形成して破砕領域を決定する。なお、互いに隣接する放射化されているとされる領域30N,30Nの境界には縦溝15を設ける。
そして、削孔された電極挿入孔11に同軸電極21を挿入して浅溝12及び縦溝15に沿ったひび割れを発生させるようにすれば、放射化されているとされる領域30Nを前記境界Kにて確実に分離して破砕できるとともに、放射化されているとされる領域30Nをほぼ同じ大きさのブロック状に破砕して回収することができる。
このように、本発明の放電破砕方法を生体遮蔽壁の解体に適用すれば、ワイヤーソー工法に比較して早期に解体を行うことができるとともに、ワイヤーソー工法の欠点であった切断時の廃液やスラッジなどの二次廃棄物を大幅に減少させることができる。
15 縦溝、20 放電破砕装置、21 同軸電極、22 パルスパワー源、
23 同軸ケーブル、24 コネクタ、29 重機。
Claims (3)
- 破砕対象物に複数の電極挿入孔を削孔し、前記電極挿入孔内に、絶縁体を介して配置された同軸電極、もしくは、一対の電極を互いに対向するように配置したワイヤー電極を挿入して放電させ、前記放電による衝撃波により前記破砕対象物を破砕する放電破砕方法であって、
前記複数の電極挿入孔を線状に配置するとともに、
前記電極挿入孔の開口部を結ぶ、深さが前記電極挿入孔の深さの1/3以下である浅溝と、
前記電極挿入孔が削孔された破砕対象物の面の側面の前記電極挿入孔の孔底よりも下方に設けられる、前記電極挿入孔が削孔された面と平行で、かつ、切り込み深さが前記電極挿入孔の孔底の直下まで達する横溝とを形成した後、
前記電極を放電させて前記浅溝に沿ったひび割れを誘発させ、
前記破砕対象物を破砕するようにしたことを特徴とする放電破砕方法。 - 前記電極挿入孔が削孔された破砕対象物の面の側面に、前記側面及び電極挿入孔が削孔された面に直交し、切り込み深さが前記側面から前記電極挿入孔までの距離よりも短い少なくとも2本の縦溝を形成して前記縦溝に沿ったひび割れを誘発するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の放電破砕方法。
- 前記各縦溝の深さ方向の延長線上に前記電極挿入孔が位置していることを特徴とする請求項2に記載の放電破砕方法。
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