JP4167236B2 - 立坑の掘削方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記油圧くさびでは、岩盤に大きな亀裂を生じさせることができないため、ブレーカやピックによる掘削作業に時間がかかるだけでなく、破砕や掘削による衝撃や振動のため、大きな騒音が発生するといった問題点があった。
しかしながら、岩盤81は、出土した転石や現場から切り出された砂岩などの独立した塊状の岩石とは異なり、岩石が連続して岩盤81を形成しており、岩盤81の厚さも厚いので、岩盤81の上面81aから放電用電極60の長さ程度の深さの放電用孔51pを複数形成してこれら放電用孔51p内に放電用電極60を挿入して放電を行っていっても厚さの厚い岩盤81を破砕することが困難であり、立坑の掘削を効率的に行えないという課題があった。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、立坑の掘削を効率的に行える方法を提供することを目的とする。
最良の形態1.
図1(a),(b)は、本最良の形態1に係る立坑の掘削方法を示す図で、本形態では、まず、立坑10を掘削する際に、掘削予定地の地盤80を横切る掘削対象部2の岩盤81の上面81aまで表面層82を掘削して岩盤81の上面81aを露出させた後、露出する岩盤81の上面81aにおける中心から岩盤81を上下に貫通する芯抜き孔11を図外の機械で形成する。芯抜き孔11の内面が自由面3を形成する。芯抜き孔11の周囲において岩盤81の上面81aから岩盤81の下面81bに近い位置まで延長する深さの放電用孔51を図外の機械で複数個形成する。つまり、クレーン23で放電用電極60を吊り下げて放電用孔51内の上下方向における複数の位置に、上から下に順に移動停止させ、移動停止させる毎に放電用電極60の放電部79での放電により衝撃波を発生させるという作業を、複数の放電用孔51に対して個々に行うことにより、複数の放電用孔51の形成の後に放電作業を行って立坑10の掘削作業を終了できるようにし、図6に示した技術のように、放電用孔51pの形成、放電、放電用孔51pの形成というサイクルを繰り返すことなく、作業の効率化を図れるようにした。放電作業は、放電用孔51内に電解液52を注入し、放電用電極60の放電部79が電解液52中に浸るように放電用電極60をクレーン23で吊り下げて放電用電極60の位置を調整した後に、放電用電極60に高電圧を印加し、放電部79での放電で衝撃波を生じさせる。また、岩盤81の破砕後にも電解液52が放電用孔51に残存するように、放電用孔51の底部と岩盤81の下面81bとの間に所定厚さの岩盤81を残すとともに、電解液52としてゲル状の電解液を用いている。複数の放電用孔51は、掘削対象部2の岩盤81の上面81aから見て当該上面81aの中心を中心とした渦巻の軌跡上において所定の間隔(例えば0.3m〜0.8m間隔)を隔てて形成される。また、岩盤81を岩盤81の上面81a側から順に破砕するため、放電用電極60のコネクタ62の外周にホルダー21を取付け、このホルダー21を小型クレーン車22に搭載したクレーン23のワイヤ24にて放電用孔51内に吊り下げ、放電用電極60の放電部を放電用孔51の上部に位置させて放電を行う。このとき、ホルダー21に第1の防音シート25を取付けて放電用電極60の上部を覆うようにするとともに、ワイヤ24に第2の防音シート26を取付け、この防音シート26により、放電用孔51の開口部を覆うようにしている。なお、ホルダー21の上部から引き出された放電用電極60の同軸ケーブル61は、第2の防音シート26をワイヤ24に保持する保持部材27から引き出され、クレーン23の荷台に搭載されたパルスパワー源70に接続される。
全部の放電用孔51での放電作業を終了した後、衝撃波によって生じたひび割れ(亀裂)により細かく小割された岩盤81を小型の削岩機あるいはボーリング機などの掘削機を用いて掘削することにより、立坑10を容易に掘削することができる。なお、掘削機による掘削は、全ての放電用孔51での放電破砕が終了した後に行ってもよいし、所定数の放電用孔51での放電破砕が終了した後に行ってもよいし、1つ1つの放電用孔51での放電作業を終了する毎に行ってもよい。
また、上記例では、芯抜き孔11の断面形状を円形とし、放電用孔51を芯抜き孔11の中心を中心とした渦巻の軌跡上に配置したが、芯抜き孔11の断面形状や2つの放電用孔51,51の間隔を含む放電用孔51の配置方法、及び、放電順序等についても、立坑の径や岩盤81の厚さあるいはその強度分布などにより適宜決定されるものである。
なお、実際の作業においては、破砕作業を効率的に行うため、放電用孔になりうる複数個の穴を予め削孔しておき、破砕の状況に応じて、上記穴のうちの、次の破砕を行うのに適当な穴に放電用電極60を挿入して放電破砕するようにしている。
最良の形態1では、芯抜き孔11を形成し、この芯抜き孔11の内面により自由面3を形成したが、図3に示すように、例えば図外のカッターなどの切削機械を用いて掘削対象部2の岩盤81の立坑10の周縁部となる部分を切削して溝11Rを形成した後、この溝11Rで囲まれた岩盤81Mに放電用孔51を形成し、この放電用孔51内に放電用電極60を挿入して放電させることで、岩盤81Mを破砕するようにしてもよい。溝11Rや後述する溝12は、例えば、掘削対象部2の岩盤81Mの上面81aから岩盤81Mの下面81bに向かう方向である掘削進行方向に延長する複数の孔が掘削進行方向と直交する方向に互いに繋がれた連続孔により形成すればよい。すなわち、溝11Rにより、溝11Rより内側の岩盤81Mを周囲の岩盤81から切り離すようにすれば、溝11Rの内面が自由面3として機能するので、上述したように自由面3を利用して立坑10を効率的に掘削できる。この場合、実施の形態1と同じように、複数の放電用孔51を、掘削対象部2の岩盤81Mの上面81aの中心を中心とした渦巻(あるいは同心円)の軌跡上に所定の間隔を隔てて設けるが、本形態では、掘削対象部2の岩盤81の立坑10の周縁部となる部分に形成された溝11Rによる自由面3を利用するので、溝11R側により形成された自由面3に近い位置の放電用孔51から順番に放電を行うことで、掘削対象部2の岩盤81を掘削対象部2の周囲側(立坑10の周縁部側)から破砕できる。
11R,12 溝、23 クレーン、24 ワイヤ、
25 第1の防音シート、26 第2の防音シート、
51 放電用孔、60 放電用電極、81 岩盤。
Claims (9)
- 立坑掘削予定地の掘削対象部を横切る岩盤に複数個の放電用孔を削孔し、上記放電用孔内に絶縁体を介して配置された放電用電極を挿入して放電させ、上記放電による衝撃波により上記放電用電極周辺の岩盤を破砕して立坑を掘削する方法であって、上記岩盤に、上記岩盤の下面側近傍まで延長する深さの放電用孔を形成し、上記放電用孔内に上記放電用電極を吊り込んで放電させて、上記岩盤を破砕するようにしたことを特徴とする立坑の掘削方法。
- 掘削対象部に立坑を形成するための複数の放電用孔が当該立坑を形成するのに十分な深さに形成され、放電用電極を吊り下げて放電用孔内の上下方向における複数の位置に、上から下に順に移動停止させ、移動停止させる毎に放電用電極の放電部での放電により衝撃波を発生させるという作業を、複数の放電用孔に対して行うことにより立坑を掘削したことを特徴とする立坑の掘削方法。
- 掘削対象部に、掘削対象部の岩盤の上面から岩盤の下面に向かう方向に延長する自由面を形成し、放電用孔内での放電による衝撃波で放電用孔と自由面との間の岩盤を破砕したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立坑の掘削方法。
- 自由面を、掘削対象部の岩盤の上面から岩盤の下面に向かう方向に延長する孔の内面により形成したことを特徴とする請求項3に記載の立坑の掘削方法。
- 自由面を、掘削対象部の岩盤における立坑の周縁部に相当する部位に沿って延長するとともに掘削対象部の岩盤の上面から岩盤の下面に向かう方向に延長して掘削対象部の岩盤と掘削対象部の外側の岩盤とを区切る溝の内面により形成したことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の立坑の掘削方法。
- 自由面を、掘削対象部の岩盤の上面から岩盤の下面に向かう方向とこの方向と直交する方向とに延長して掘削対象部の岩盤を複数の領域に区切る溝の内面により形成したことを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の立坑の掘削方法。
- 自由面に近い放電用孔から放電用孔内での放電を行うことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の立坑の掘削方法。
- 複数の放電用孔を、掘削対象部の岩盤の上面の中心を中心とした渦巻の軌跡上あるいは同心円の軌跡上に設けたことを特徴とする請求項7に記載の立坑の掘削方法。
- 放電用電極の上部に防音シートを設けるとともに、放電用電極を吊り下げる線材に放電用孔の開口部を覆う防音シートを取付けたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の立坑の掘削方法。
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