JP5840567B2 - 化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法 - Google Patents

化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5840567B2
JP5840567B2 JP2012123471A JP2012123471A JP5840567B2 JP 5840567 B2 JP5840567 B2 JP 5840567B2 JP 2012123471 A JP2012123471 A JP 2012123471A JP 2012123471 A JP2012123471 A JP 2012123471A JP 5840567 B2 JP5840567 B2 JP 5840567B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
chemical mechanical
mechanical polishing
slurry
polishing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012123471A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013251339A (ja
Inventor
加藤 充
充 加藤
知大 岡本
知大 岡本
晋哉 加藤
晋哉 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2012123471A priority Critical patent/JP5840567B2/ja
Publication of JP2013251339A publication Critical patent/JP2013251339A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5840567B2 publication Critical patent/JP5840567B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、半導体デバイス製造に好適な、化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法に関する。ここで「化学機械研磨用エロージョン防止剤」とは、ストップ膜および絶縁膜の両方が除去される「エロージョン」と呼ばれる現象を防止するために、化学機械研磨用スラリーに加えられる添加剤を意味する。
本発明の化学機械研磨用エロージョン防止剤および化学機械研磨用スラリーは、好ましくは、半導体素子の分離工程、層間絶縁膜の平坦化、プラグおよび埋め込み金属配線形成、より好ましくは半導体素子の分離工程で使用される。
半導体回路の高性能化は、回路を構成するトランジスタ、抵抗、配線等の微細化による高密度化によって、およびこれと同時に高速応答化によって達成された。加えて、配線の積層化により、さらなる高密度化および高集積化が可能となった。これらを可能とした半導体製造における技術として、STI(Shallow Trench Isolation:浅溝素子分離)、層間絶縁膜平坦化、ダマシンプロセス、メタルプラグが挙げられる。STIとは、トランジスタ素子分離のことであり、ダマシンとは、金属配線の埋め込み技術のことであり、メタルプラグとは、層間絶縁膜を貫通した構造を持つ金属による三次元配線のことである。そして、これらの各工程に欠かす事のできない技術がCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)であり、STI形成、層間絶縁膜平坦化、ダマシンプロセス、メタルプラグ埋め込みのそれぞれの工程において、常に用いられている。これらの微細なパターンは、フォトリソグラフィ工程により形成されるレジストマスクを転写することで形成されるが、微細化が進むにつれリソグラフィに用いる投影レンズの焦点深度が浅くなり、ウェハの凹凸をそれ以内に収めなければならないため、要求される平坦性が高くなる。CMPにより加工面を平坦化することによって、ナノオーダー、原子レベルでの平坦面が得られ、三次元配線、すなわち積層化による高性能化が可能となる。
STI形成工程では、素子分離領域となる溝の形成と溝以外の領域への研磨ストップ膜の形成を行った後、溝内部および研磨ストップ膜上に、素子分離用の絶縁膜を成膜する。次いで、余分の絶縁膜を研磨ストップ膜が露出するまでCMPにより研磨除去し、平坦化する。ストップ膜としては通常窒化ケイ素が用いられ、絶縁膜には酸化ケイ素が使われることが多い。
高平坦化と素子保護のために、ストップ膜が露出した時点で、ストップ膜および絶縁膜の研磨速度がともに低下することが必要である。ウェハ全面でストップ膜を確実に露出させるために、ウェハ上の研磨速度が速い領域では、ストップ膜が露出した後も比較的長時間研磨が行われる。このため、ストップ膜の研磨速度が高い場合には、ストップ膜が絶縁膜とともに過度に除去される「エロージョン」と呼ばれる現象が起こり、素子分離のための絶縁膜が薄くなってしまう。一方、ストップ膜の露出後も絶縁膜の研磨速度が高い場合には、パターン凹部の絶縁膜が過度に除去される「ディッシング」と呼ばれる現象が発生し、やはり素子分離用の絶縁膜が薄くなってしまう。
エロージョンおよびディッシングを、図1〜3を用いてさらに説明する。図1は、研磨前のパターンウェハの模式断面図であり、パターンウェハ1上に、絶縁膜2(酸化ケイ素など)、ストップ膜3(窒化ケイ素など)および絶縁膜4(酸化ケイ素など)が形成されている。図2は、エロージョンおよびディッシングが生じた研磨後のパターンウェハの模式断面図である。図2のパターンウェハでは、ストップ膜3が絶縁膜4とともに過度に除去されたエロージョン、およびパターン凹部の絶縁膜が過度に除去されたディッシングが生じている(D1:ストップ膜の初期膜厚、D2:エロージョン量、D3:ディッシング量)。一方、図3は、エロージョンおよびディッシングが抑制された研磨後のパターンウェハの模式断面図である。なお、図中の各部の寸法は、理解を容易にするために設定したもので、各部と各部との間の寸法比は、実際のものとは必ずしも一致しない。
現在、STI形成のためには、セリア(酸化セリウム)砥粒およびアニオン性高分子の組合せを含有するスラリーが主に用いられている(例えば、特許文献1および2)。セリア砥粒を含有するスラリーは、優れた平坦化能力を有するものの、高コストであり、また砥粒の分散安定性が悪いために経時変化が起こりやすく、被研磨膜への研磨傷も生じやすい問題がある。
セリア砥粒を含有するスラリーの上記問題を解決するために、シリカ砥粒および各種の水溶性化合物の組合せを含有するスラリーが提案されている(例えば、特許文献3〜9)。しかし特許文献3〜9のいずれも、パターンを有さないブランケットウェハを用いて、酸化ケイ素膜および窒化ケイ素膜の研磨速度を別々に測定したものである。本発明者らが検証したところ、パターンを有さないブランケットウェハで高い研磨速度比(窒化ケイ素膜の研磨速度に対する、酸化ケイ素膜の研磨速度の比率)を示すスラリーを用いても、実際の半導体デバイスに用いられるものと同様の窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜からなる凹凸パターンを有するウェハでは、窒化ケイ素膜の研磨抑制効果が不十分であることが判明した。この原因としては、ブランケットウェハに比べて、パターンウェハでは凸部の窒化ケイ素膜に実質的に高い圧力がかかることや、凸部の窒化ケイ素膜に吸着していた水溶性化合物が脱着して凹部に逃げ込む現象が起こっていることが考えられる。
また、シリカ砥粒およびポリエチレンイミンの組合せを含有するスラリーが検討されている(例えば特許文献10〜12)。特許文献10の表2では、シリカ砥粒を含有するスラリーにポリエチレンイミン(特許文献10に記載の「PEI」)を添加していくと、ポリエチレンイミン量が増えるにつれて、窒化ケイ素膜(特許文献10に記載の「SiN」)の研磨速度に対する酸化ケイ素膜(特許文献10に記載の「PE−TEOS」)の研磨速度の比が、低下していくことが示されている。このことから、単にシリカ砥粒およびポリエチレンイミンのみの組合せを含有するスラリーは、STI形成のための化学機械研磨用スラリーとしては適していないと考えられる。また、特許文献11および12は、研磨後のウェハ表面の面粗れ(ヘイズ)の防止を目的としたものであり、STI形成工程における過研磨時の研磨量や残段差の低減を目的としたものではない。
特許第3672493号公報 特許第3649279号公報 特開2000−144111号公報 特開2002−114967号公報 特開2002−118082号公報 特開2002−201462号公報 特開2002−261053号公報 特開2005−159351号公報 特開2008−187191号公報 特開2002−305167号公報 特開2006−352042号公報 特開2007−19093号公報
本発明は、エロージョンおよびディッシングを有効に防止することができる上に、異なるウェハパターンによる研磨量のばらつきを抑えることができる化学機械研磨用エロージョン防止剤を提供することを目的とする。なお、化学機械研磨用エロージョン防止剤および化学機械研磨用スラリーが有する「異なるウェハパターンによる研磨量のばらつきを抑えることができる特性」を、以下では「パターン均一性」と略称することがある。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、4個以上の水酸基を有し且つアミノ基を有しない化合物(a)(以下「化合物(a)」と略称することがある)、4個以上の水酸基および1個のアミノ基を有する化合物(b)(以下「化合物(b)」と略称することがある)、および4個以上のアミノ基を有する化合物(c)(以下「化合物(c)」と略称することがある)の組合せを使用することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、以下の本発明を完成させた。
[1] 4個以上の水酸基を有し且つアミノ基を有しない化合物(a)、4個以上の水酸基および1個のアミノ基を有する化合物(b)、および4個以上のアミノ基を有する化合物(c)を含有する化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[2] 前記化合物(a)の分子量が100〜100,000であり、且つその水酸基含量が5〜40mmol/gである、上記[1]の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[3] 前記化合物(a)が単糖類に由来する骨格を有する、上記[1]または[2]の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[4] 前記化合物(a)が2〜50個の単糖類が結合した化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、上記[1]〜[3]のいずれか一つの化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[5] 前記化合物(b)の分子量が150〜1,000である、上記[1]〜[4]のいずれか一つの化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[6] 前記化合物(b)がグルカミンおよびその誘導体から選ばれる少なくとも一つである、上記[1]〜[5]のいずれか一つの化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[7] 前記化合物(c)の分子量が200〜100,000であり、且つそのアミノ基含量が3〜30mmol/gである、上記[1]〜[6]のいずれか一つの化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[8] 前記化合物(c)が、ポリアルキレンイミン(c1);アリルアミン、N−アルキルアリルアミン、N,N−ジアルキルアリルアミン、ジアリルアミン、N−アルキルジアリルアミン、ビニルアミン、ビニルピリジンおよび(メタ)アクリル酸−N,N−ジアルキルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体(但し、前記アルキレンは炭素数1〜6の2価のアルキレン基を表し、前記アルキルは炭素数1〜4の1価のアルキル基を表す。)25〜100質量%と、不飽和二重結合を有するその他の単量体75〜0質量%とを重合して得られた重合体(c2);およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、上記[1]〜[7]のいずれか一つの化学機械研磨用エロージョン防止剤。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれか一つの化学機械研磨用エロージョン防止剤、砥粒(d)、および水を含有する化学機械研磨用スラリー。
[10] 前記砥粒(d)がシリカである、上記[9]の化学機械研磨用スラリー。
[11] 化学機械研磨用スラリー中、
前記化合物(a)の濃度が0.01〜10質量%であり、
前記化合物(b)の濃度が0.001〜10質量%であり、
前記化合物(c)の濃度が0.001〜5質量%であり、
前記砥粒(d)の濃度が0.2〜30質量%である、
上記[9]または[10]の化学機械研磨用スラリー。
[12] pHが9〜13である、上記[9]〜[11]のいずれか一つの化学機械研磨用スラリー。
[13] 上記[9]〜[12]のいずれか一つの化学機械研磨用スラリーを用いて絶縁膜を研磨する、化学機械研磨方法。
[14] 窒化ケイ素膜上の酸化ケイ素膜を研磨する、上記[13]の化学機械研磨方法。
本発明の化学機械研磨用エロージョン防止剤を含む化学機械研磨用スラリーを用いることで、エロージョンおよびディッシングを効果的に抑制でき、異なるウェハパターンには研磨量のばらつきを抑制することができる。
研磨前のパターンウェハの模式断面図である。 エロージョンおよびディッシングが生じた研磨後のパターンウェハの模式断面図である。 エロージョンおよびディッシングが抑制された研磨後のパターンウェハの模式断面図である。
〔化学機械研磨用エロージョン防止剤〕
本発明の化学機械研磨用エロージョン防止剤は、化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)を必須成分として含有する。化合物(a)、化合物(b)、化合物(c)は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の化学機械研磨用エロージョン防止剤は、化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)以外の任意成分(例えば、水など)をさらに含有していてもよい。
化学機械研磨用エロージョン防止剤が水以外の任意成分を含有する場合、水以外の任意成分の含有量は、化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)の総量に対して、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
化学機械研磨用エロージョン防止剤中の化合物(a)と化合物(b)との質量比(即ち、化合物(a)/化合物(b))は、好ましくは0.1〜100、より好ましくは0.3〜70、さらに好ましくは0.5〜40である。化学機械研磨用エロージョン防止剤中の化合物(a)と化合物(c)との質量比(即ち、化合物(a)/化合物(c))は、好ましくは1〜1000、より好ましくは3〜700、さらに好ましくは5〜400である。化学機械研磨用エロージョン防止剤中の化合物(b)と化合物(c)との質量比(即ち、化合物(b)/化合物(c))は、好ましくは0.1〜100、より好ましくは0.3〜70、さらに好ましくは0.5〜40である。
化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)のいずれか1成分のみを用いる場合や、化合物(a)および化合物(b)のみで化合物(c)を用いない場合には、パターンウェハを研磨した際にストップ膜の研磨抑制効果が低く、ストップ膜およびストップ膜に隣接した絶縁膜が過度に研磨されるエロージョンが発生する。また、化合物(a)および化合物(c)のみで化合物(b)を用いない場合や、化合物(b)および化合物(c)のみで化合物(a)を用いない場合には、ストップ膜の研磨抑制効果は比較的高いものの、ウェハパターンの形状や大きさによる研磨速度の差が大きく、様々なパターンウェハを均一に研磨することが困難である。
以下、化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)について詳述する。
〔化合物(a)〕
化合物(a)の水酸基の数は、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上である。一方、化合物(a)の水酸基の数の上限に特に限定は無いが、化合物(a)の入手し易さなどの観点から、この水酸基の数は、好ましくは4000以下、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは300以下である。
化合物(a)の水酸基含量は5〜40mmol/gであることが好ましく、10〜35mmol/gであることがより好ましく、15〜30mmol/gであることがさらに好ましい。化合物(a)の水酸基含量が上記範囲であることにより、化合物(a)は良好な水溶性と被研磨膜への吸着性を併せ持ち、ストップ膜およびパターン凹部の絶縁膜の研磨がより抑制される。
なお、化合物(a)の水酸基含量は、JIS K0070に準拠した方法によって測定できる。また、化合物(a)の化学構造が既知の場合には、その分子量と水酸基数から、化合物(a)の水酸基含量を計算することもできる。
化合物(a)の分子量は、100〜100,000であることが好ましく、150〜50,000であることがより好ましく、200〜10,000であることがさらに好ましい。化合物(a)の分子量が100未満では、被研磨膜への化合物(a)の吸着性が弱く、ストップ膜およびパターン凹部の絶縁膜の研磨抑制効果が低くなる傾向となる。一方、分子量が100,000を超えると、研磨用スラリーの粘度が高くなり、研磨速度や研磨均一性が低下し、エロージョンおよびディッシングを有効に防止できない場合が多い。
なお、化合物(a)が重合体であって、実質上、様々な分子量の化合物の混合物である場合、「化合物(a)の分子量」は「化合物(a)の重量平均分子量」を指す。化合物(a)の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドを校正用標準試料として用い、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定することができる。
化合物(a)としては、例えば、アラビノース、キシロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フコース、ラムノース等の単糖類;スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、ゲンチオビオース、キシロビオース、イソマルツロース等の二糖類;ラフィノース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、ケストース、ゲンチオトリオース、キシロトリオース等の三糖類;ニストース、イソマルトテトラオース、ゲンチオテトラオース、キシロテトラオース等の四糖類;フラクトフラノシルニストース、パンノース等の五糖類;α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン類;5〜20個のグルコースが環状に連結したサイクロデキストラン;デキストリン、デキストラン、プルラン、イヌリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類;エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、イソマルチトール等の糖アルコール類;ポリビニルアルコール、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル)等の水酸基含有高分子;およびそれらの誘導体が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」は、「メタクリル酸またはアクリル酸」を示す。
化合物(a)の中でも、単糖類に由来する骨格を有する化合物が、パターンウェハを研磨した際のストップ膜の研磨抑制効果が特に高く、化合物(b)および化合物(c)との併用で極めて高い相乗効果を発揮することから好ましい。化合物(a)は、単糖類が2〜50個結合した化合物(例えば、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、シクロデキストリン類、サイクロデキストラン、低分子量デキストラン等)およびその誘導体(例えば、単糖類が2〜50個結合した化合物の骨格の一部を水素添加により還元して得られる糖アルコール類等)からなる群から選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。化合物(a)は、二糖類、三糖類、四糖類、二糖類を還元して得られる糖アルコール類、およびシクロデキストリン類からなる群から選ばれる少なくとも一つであることがさらに好ましく、スクロース、ラフィノース、ケストース、ニストース、ラクチトール、マルチトールまたはα−シクロデキストリンであることが特に好ましい。
〔化合物(b)〕
化合物(b)の水酸基の数は、好ましくは4〜100、より好ましくは4〜40、さらに好ましくは5〜20である。
化合物(b)の水酸基含量は10〜40mmol/gであることが好ましく、12〜35mmol/gであることがより好ましく、15〜30mmol/gであることがさらに好ましい。化合物(b)の水酸基含量が上記範囲であることにより、化合物(b)は良好な水溶性と被研磨膜への吸着性を併せ持ち、パターンの形状や大きさによらず様々なパターンをより均一に研磨することができる。
化合物(b)の水酸基含量は、JIS K0070およびJIS K7237に準拠した方法によって次のように求めることができる。まず、JIS K0070に準拠して水酸基含量を測定するが、これにより得られた数値は、実際には水酸基と一級アミノ基および二級アミノ基の総量となる。このため、次にJIS K7237に準拠した方法で一級アミノ基および二級アミノ基の総量を求め、JIS K0070に準拠して求めた「見かけの水酸基含量」の値から減ずることにより、真の水酸基含量が得られる。なお、JIS K7237に準拠した方法で一級アミノ基および二級アミノ基の総量を求めるには、通常の方法で求めた全アミノ基含量の値から、サンプルを予め過剰量の無水酢酸と反応させて一級アミノ基および二級アミノ基をアミド基に変換してから求めた三級アミノ基含量の値を減ずる。また、化合物(b)の化学構造が既知の場合には、その分子量と水酸基数から、化合物(b)の水酸基含量を計算することもできる。
化合物(b)の分子量は、150〜1,000であることが好ましく、160〜700であることがより好ましく、170〜500であることがさらに好ましい。化合物(b)の分子量が150未満では、被研磨膜への化合物(b)の吸着性が弱く、ストップ膜およびパターン凹部の絶縁膜の研磨抑制効果が低くなる傾向となる。一方、分子量が1,000を超えると、パターンの形状や大きさによって被研磨膜への化合物(b)の吸着性が変わりやすく、様々なパターンを均一に研磨することが困難となりやすい。
なお、化合物(b)が重合体であって、実質上、様々な分子量の化合物の混合物である場合、「化合物(b)の分子量」は「化合物(b)の数平均分子量」を指す。化合物(b)の数平均分子量は、沸点上昇法によって測定することができる。
化合物(b)としては、例えばグルカミン、ヘキソサミン、およびそれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。グルカミン、ヘキソサミンおよびそれらの誘導体としては、D体、L体、D体およびL体の混合物のいずれも使用することができるが、入手容易性の観点から、それらのD体が好ましい。グルカミンの誘導体としては、例えば、N−メチルグルカミン、N−エチルグルカミン、N−ブチルグルカミン、N−オクチルグルカミンなどが挙げられる。また、ヘキソサミンとしては、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミンなどが挙げられる。化合物(b)の入手容易性、および化学機械研磨用エロージョン防止剤の研磨特性の観点から、化合物(b)として、グルカミン、N−メチルグルカミン、N−エチルグルカミンからなる群から選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
〔化合物(c)〕
化合物(c)のアミノ基含量は、3〜30mmol/gであることが好ましく、5〜25mmol/gであることがより好ましく、7〜20mmol/gであることがさらに好ましい。アミノ基含量が上記範囲であることにより、化合物(c)は良好な水溶性と被研磨膜への吸着性を併せ持ち、ストップ膜およびパターン凹部の絶縁膜の研磨がより抑制される。
なお、化合物(c)のアミノ基含量は、JIS K7237に準拠した方法によって測定することができる。また、化合物(c)の化学構造が既知の場合には、その分子量とアミノ基数から、化合物(c)のアミノ基含量を計算することもできる。
化合物(c)のアミノ基の数は、好ましくは4〜400、より好ましくは4〜200、さらに好ましくは4〜100である。また、化合物(c)は水酸基を有していてもよい。
化合物(c)の分子量は、200〜100,000であることが好ましく、250〜30,000であることがより好ましく、300〜10,000であることがさらに好ましく、400〜5,000であることが特に好ましい。化合物(c)の分子量が200未満では、被研磨膜への化合物(c)の吸着性が弱く、ストップ膜およびパターン凹部の絶縁膜の研磨抑制効果が低くなる傾向がある。一方、化合物(c)の分子量が100,000を超えると、研磨用スラリーの粘度が高くなり、研磨速度や研磨均一性が低下しやすい上、砥粒が凝集しやすくなる場合がある。
なお、化合物(c)が重合体であって、実質上、様々な分子量の化合物の混合物である場合、「化合物(c)の分子量」は「化合物(c)の数平均分子量」を指す。化合物(c)の数平均分子量は、沸点上昇法によって測定することができる。
化合物(c)としては、例えば、ポリアルキレンイミン(c1)(例えばポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、N−メチルポリエチレンイミン等);アリルアミン、N−アルキルアリルアミン(例えばN−メチルアリルアミン、N−エチルアリルアミン、N−プロピルアリルアミン等)、N,N−ジアルキルアリルアミン(例えばN,N−ジメチルアリルアミン、N,N−ジエチルアリルアミン、N−メチル−N−エチルアリルアミン等)、N−アルキルジアリルアミン(例えばN−メチルジアリルアミン、N−エチルジアリルアミン等)、ビニルアミン、ビニルピリジンおよび(メタ)アクリル酸−N,N−ジアルキルアミノエチル(例えば(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル等)からなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体25〜100質量%と、不飽和二重結合を有するその他の単量体(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、スチレン、メチルビニルエーテル、ビニルピロリドン、エチレン、プロピレン、ブタジエン等)75〜0質量%とを重合して得られた重合体(c2);ポリリジン、ポリオルニチン、水溶性キトサン;ピペラジン骨格を有するアミン(例えば1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、1,4−ビス[3−(シクロヘキシルメチルアミノ)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[2−(2−アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジン、1−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピル]ピペラジン、1−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチル]ピペラジン等);およびそれらの誘導体が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。なお、本発明において「(メタ)アクリルアミド」は「メタクリルアミドまたはアクリルアミド」を示す。
化合物(c)は、好ましくは、ポリアルキレンイミン(c1);アリルアミン、N−アルキルアリルアミン、N,N−ジアルキルアリルアミン、ジアリルアミン、N−アルキルジアリルアミンおよび(メタ)アクリル酸−N,N−ジアルキルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体(但し、前記アルキレンは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、前記アルキルは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)50〜100質量%と、不飽和二重結合を有するその他の単量体50〜0質量%とを重合して得られた重合体(c2);およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一つである。このような化合物(c)は、パターンウェハを研磨した際のストップ膜の研磨抑制効果が特に高く、化合物(a)および化合物(b)との併用で極めて高い相乗効果を発揮する。
化合物(c)は、より好ましくはポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、N−メチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(N−メチルアリルアミン)、ポリ(N,N−ジメチルアリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(N−メチルジアリルアミン)、(アリルアミン/N,N−ジメチルアリルアミン)共重合体、(アリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体、(N,N−ジメチルアリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体およびポリ(メタ)アクリル酸−N,N−ジアルキルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも一つである。化合物(c)は、さらに好ましくはポリエチレンイミン、N−メチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(N−メチルアリルアミン)、ポリ(N,N−ジメチルアリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(N−メチルジアリルアミン)、(アリルアミン/N,N−ジメチルアリルアミン)共重合体、(アリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体および(N,N−ジメチルアリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
少なくとも一つの2級アミノ基および/または少なくとも一つの3級アミノ基を有する化合物(c)を用いると、砥粒と配合した際のスラリーの安定性が向上する傾向がある。そのため化合物(c)は、一層好ましくは、ポリエチレンイミン、N−メチルポリエチレンイミン、ポリ(N−メチルアリルアミン)、ポリ(N,N−ジメチルアリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(N−メチルジアリルアミン)、(アリルアミン/N,N−ジメチルアリルアミン)共重合体、(アリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体および(N,N−ジメチルアリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
〔化学機械研磨用スラリー〕
本発明の化学機械研磨用スラリーは、上記の化学機械研磨用エロージョン防止剤(即ち、化合物(a)、化合物(b)、化合物(c))、砥粒(d)、および水を必須成分として含有する。
化学機械研磨に一般に用いられている砥粒を、本発明の化学機械研磨用スラリー中の砥粒(d)として用いることができる。
砥粒(d)としては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ダイヤモンド、炭化ケイ素などが挙げられる。中でも、研磨速度や砥粒分散安定性に優れる上、本発明のエロージョン防止効果が特に発揮されることから、シリカが好ましい。
砥粒(d)の平均粒径は、研磨速度に優れ、被研磨膜への研磨傷も少なくなるという観点から、5〜500nmであること好ましく、10〜400nmであることがより好ましく、20〜300nmであることがさらに好ましい。
なお、平均粒径の測定は、大塚電子株式会社製粒径測定装置「ELSZ−2」を用いて、キュムラント法により解析することにより求めることができる。
本発明の化学機械研磨用スラリー中の化合物(a)の濃度は0.01〜10質量%であることが研磨速度とエロージョン抑制効果がともに優れることから好ましく、0.05〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜6質量%であることがさらに好ましく、0.5〜5質量%であることが特に好ましい。
本発明の化学機械研磨用スラリー中の化合物(b)の濃度は0.001〜10質量%であることがパターンの形状や大きさによらず様々なパターンをより均一に研磨することができることから好ましく、0.01〜8質量%であることがより好ましく、0.05〜6質量%であることがさらに好ましく、0.1〜4質量%であることが特に好ましい。
本発明の化学機械研磨用スラリー中の化合物(c)の濃度は0.001〜5質量%であることが研磨速度とエロージョン抑制効果がともに優れることから好ましく、0.005〜2質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%であることがさらに好ましく、0.02〜0.5質量%であることが特に好ましい。
本発明の化学機械研磨用スラリー中の砥粒(d)の濃度は、0.2〜30質量%であることが研磨速度や砥粒分散安定性に優れることから好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることがさらに好ましい。
本発明の化学機械研磨用スラリーのpHは、研磨速度、エロージョン抑制効果および砥粒分散安定性がともに優れるという観点から、9〜13であることが好ましく、10〜12であることがより好ましい。化学機械研磨用スラリーのpHの調整は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、イミダゾール等の塩基;塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フタル酸等の酸;あるいはグリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸、エチレンジアミン四酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン等のキレート剤;などをスラリーに添加することにより行うことができる。
さらに、本発明の化学機械研磨用スラリーは、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸等の水溶性高分子や、界面活性剤、抗菌剤、水溶性有機溶剤などを、本発明の効果を阻害しない範囲で含有していても良い。
本発明の化学機械研磨用スラリーは、絶縁膜に形成された凹凸パターンを平坦化するのに特に有用であり、とりわけSTI形成工程で素子分離用の絶縁膜を研磨して平坦化する用途に適している。本発明の化学機械研磨用スラリーは、ストップ膜が露出した時点でストップ膜および絶縁膜の研磨速度がともに低下するため、ストップ膜および絶縁膜の両方が過度に除去されるエロージョンやパターン凹部の絶縁膜が過度に除去されるディッシングの発生を抑制することができる。ストップ膜としては窒化ケイ素膜やポリシリコン膜を用いることができる。但し、本発明のエロージョン抑制効果が一層発揮されるため、ストップ膜として窒化ケイ素膜を用いることが好ましい。一方、絶縁膜は酸化ケイ素膜であることが本発明のディッシング抑制効果が特に発揮されることから好ましい。なお、酸化ケイ素膜は少量のホウ素、リン、炭素、フッ素などで変性されていても良い。
本発明の化学機械研磨用スラリーを用いた化学機械研磨の方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、研磨定盤上に貼り付けた研磨パッドの表面に本発明のスラリーを供給しながら、被研磨膜を形成したウェハを押し当てて加圧し、研磨定盤とウェハをともに回転させて被研磨膜を研磨する方法が挙げられる。本発明に使用可能な研磨パッドとしては特に制限がなく、発泡樹脂、無発泡樹脂、不織布等のいずれも使用可能である。また、研磨層のみからなる単層パッドでも良く、研磨層の下にクッション層を備えた二層構造のパッドでも良い。本発明の化学機械研磨用スラリーの研磨パッド上への供給方法としては、全ての成分を含んだ一液として送液してもよいし、各成分を含む複数の液を送液して配管途中やパッド上で混合して所望の濃度に調整しても良い。また、研磨の途中で、各成分の種類や濃度を適宜変化させても良い。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、研磨性能の評価は次の方法で実施した。
[化学機械研磨用スラリーのpH]
株式会社堀場製作所製pHメーター「F−22」を用い、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液:pH4.00(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液:pH7.00(25℃)、ホウ酸塩pH緩衝液:pH9.00(25℃))を用いて3点校正した後、化学機械研磨用スラリーのpHを25℃に調温した状態で測定した。
[酸化ケイ素および窒化ケイ素の膜厚測定]
ナノメトリクス社製膜厚測定装置「Nanospec Model5100」を用い、倍率10の対物レンズで酸化ケイ素および窒化ケイ素の膜厚を測定した。
[パターンウェハの段差測定]
株式会社ミツトヨ製表面粗さ測定機「SJ−400」を用い、標準スタイラス、測定レンジ 80μm、JIS2001、GAUSSフィルタ、カットオフ値λc 2.5mm、およびカットオフ値λs 8.0μmの設定で測定を行い、断面曲線からパターンウェハの段差を求めた。
[パターンウェハの研磨性能評価]
ニッタ・ハース社製研磨パッド「IC1400(同心円溝);直径380mm」を株式会社エム・エー・ティー製研磨装置「BC−15」の研磨定盤に貼り付け、株式会社アプライドマテリアル製ダイヤモンドドレッサー(ダイヤ番手#100;直径190mm)を用い、純水を150mL/分の速度で流しながらドレッサー回転数140rpm、研磨パッド回転数100rpm、ドレッサー荷重5Nにて60分間研磨パッド表面を研削した(以下「コンディショニング」と称する)。
次に、研磨パッド回転数100rpm、ウェハ回転数99rpm、研磨圧力24kPaの条件において、研磨スラリーを120mL/分の速度で供給しつつ、膜厚が1000nmでパターンのない酸化ケイ素膜(プラズマ化学蒸着により形成されたPETEOS酸化ケイ素膜)を表面に有する直径2インチのシリコンウェハを60秒間、コンディショニングを行わずに研磨した。その後、コンディショニングを30秒間行った後、ウェハを交換して再度研磨およびコンディショニングを繰り返し、計10枚のウェハを研磨した。
次いで、線状の凸部と凹部が交互に繰り返し並んだ凹凸パターンのある、SKW社製STI研磨評価用パターンウェハ「SKW3−2」を上記と同条件で1枚研磨した。該パターンウェハは様々なパターンの領域を有するものであり、膜厚および段差の測定対象として以下のパターン(i)〜(iv)の領域を選択した。なお、パターン(ii)はウェハ中の複数の場所に存在するが、パターン(i)に隣接したものを測定対象とした。
パターン(i):凸部幅100μmおよび凹部幅100μmのパターン
パターン(ii):凸部幅50μmおよび凹部幅50μmのパターン
パターン(iii):凸部幅500μmおよび凹部幅500μmのパターン
パターン(iv):凸部幅70μmおよび凹部幅30μmのパターン
上記パターンは、いずれも、その凸部と凹部の初期段差が約500nmであり、パターン凸部がシリコンウェハ上に膜厚13nmの酸化ケイ素膜、その上に膜厚110nmの窒化ケイ素膜、さらにその上に膜厚670nmの酸化ケイ素膜(高密度プラズマ化学蒸着により形成されたHDP酸化ケイ素膜)を積層した構造であり、パターン凹部はシリコンウェハを400nmエッチングして溝を形成した後に膜厚670nmのHDP酸化ケイ素膜を形成した構造である。
パターンウェハの研磨において、研磨によりパターン(i)の凸部窒化ケイ素膜上の酸化ケイ素膜が消失した時点をジャスト研磨とし、ジャスト研磨におけるパターン(i)の酸化ケイ素膜および窒化ケイ素膜の膜厚、パターン段差を測定した。その後、ジャスト研磨に要した研磨時間の15パーセントに相当する時間だけパターンウェハをさらに研磨して過研磨時のモデル試験を行い、再度、パターン(i)の膜厚および段差を測定するとともに、パターン(ii)〜(iv)の膜厚を測定した。
ジャスト研磨後に追加で行った過研磨中のパターン(i)の窒化ケイ素膜の研磨量を「エロージョン量」として評価し、過研磨中のパターン(i)の酸化ケイ素膜の研磨量を「ディッシング量」として評価した。いずれも、値が小さい方が好ましい。
これらの測定結果を下記表に示す。なお下記比較例では、上記過研磨の時間まで研磨しても、パターン(ii)〜(iv)の凸部酸化ケイ素膜が残ったものがあった。そのため、下記表では、凸部酸化ケイ素膜厚の値も記載した。
過研磨後の各パターン凸部の膜厚(窒化ケイ素膜の膜厚および窒化ケイ素膜上の酸化ケイ素膜の膜厚の合計値)を、パターン(i)を基準にした相対値{[パターン(ii)〜(iv)の凸部膜厚]−[パターン(i)の凸部膜厚]}として評価した。いずれも絶対値が小さい方が、パターン形状による研磨量の差が小さいため、好ましい。そして、パターン(i)〜(iv)の凸部膜厚の最大値と最小値の差を「凸部の最大膜厚差」として評価した。値が小さい方が、パターン形状によらず均一に研磨されているため好ましい。
[実施例1]
数平均分子量1200のポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製「エポミンSP−012」)1.0g、分子量195のN−メチルグルカミン4.0g、および分子量342のスクロース40gを純水1355gに溶解させた後、シリカスラリー(シリカの平均粒径は170nm、キャボット・マイクロニクス社製「Semi−Sperse 25」)600gと均一に混合して、化学機械研磨用スラリーを調製した。該スラリー中のポリエチレンイミン濃度は0.05質量%、N−メチルグルカミン濃度は0.2質量%、スクロース濃度は2.0質量%、シリカ砥粒濃度は7.5質量%である。また、該スラリーのpHは10.9であった。
パターンウェハの研磨性能を評価した結果、表2に示すように、実施例1の化学機械研磨用スラリーは、パターン(i)のエロージョン量が6nm、ディッシング量が20nmと非常に少なく、過研磨時の窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜の研磨抑制効果に極めて優れていた。また、表2に示すように、該スラリーは凸部の最大膜厚差も9nmと小さく、パターン均一性にも優れていた。
[実施例2〜5]
化学機械研磨用スラリーの成分および濃度を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして化学機械研磨用スラリーを調製した。スラリーのpHは表1に示したとおりであった。
パターンウェハの研磨性能を評価した結果、表2に示すように、実施例2〜5の化学機械研磨用スラリーは、エロージョン量およびディッシング量がともに少なく、過研磨時の研磨抑制効果に優れていた。また、表2に示すように、該スラリーは凸部の最大膜厚差も小さく、パターン均一性にも優れていた。
[実施例6〜10]
化学機械研磨用スラリーの成分および濃度を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして化学機械研磨用スラリーを調製した。但し、実施例6および7については、水酸化カリウムをスラリー1kgに対して1.7gの割合で添加した。スラリーのpHは表3に示したとおりであった。なお、数平均分子量600のポリエチレンイミンとしては日本触媒株式会社製「エポミンSP−006」を、数平均分子量1800のポリエチレンイミンとしては日本触媒株式会社製「エポミンSP−018」を用いた。また、日東紡績株式会社製「PAS−21」の低分子量成分を分取クロマトグラフィーにより除去したものを数平均分子量3200のポリ(ジアリルアミン)として用いた。
パターンウェハの研磨性能を評価した結果、表4に示すように、実施例6〜10の化学機械研磨用スラリーは、エロージョン量およびディッシング量がともに少なく、過研磨時の研磨抑制効果に優れていた。また、表4に示すように、該スラリーは凸部の最大膜厚差も小さく、パターン均一性にも優れていた。
[比較例1〜5]
化学機械研磨用スラリーの成分および濃度を表5に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして化学機械研磨用スラリーを調製した。スラリーのpHは表5に示したとおりであった。
パターンウェハの研磨性能を評価した結果、表6に示すように、比較例3および5の化学機械研磨用スラリーは、エロージョン量およびディッシング量が大きく、過研磨時の窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜の研磨抑制効果に劣っていた。また、該スラリーは凸部の最大膜厚差も大きく、パターン均一性にも劣っていた。他方、比較例1、2および4の化学機械研磨用スラリーは、そのエロージョン量およびディッシング量は少ないが、凸部の最大膜厚差が大きく、パターン均一性に劣っていた。
[比較例6〜8]
化学機械研磨用スラリーの成分および濃度を表7に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして化学機械研磨用スラリーを調製した。スラリーのpHは表7に示したとおりであった。
パターンウェハの研磨性能を評価した結果、表8に示すように、比較例6および7の化学機械研磨用スラリーは、そのエロージョン量およびディッシング量は少ないが、凸部の最大膜厚差が大きく、パターン均一性に劣っていた。他方、比較例8の化学機械研磨用スラリー(即ち、シリカスラリー)は、エロージョン量およびディッシング量が多く、且つパターン均一性にも劣っていた。
上記実施例1〜10から分かるように、化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)を含有している本発明の化学機械研磨用スラリーは、パターンウェハを研磨した際の凸部の最大膜厚差が小さく、パターン均一性に優れている。また、本発明の化学機械研磨用スラリーは、エロージョン量およびディッシング量もともに少なく、過研磨時の研磨抑制効果にも優れている。
一方、比較例1〜8から分かるように、化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)のいずれかを含有していない化学機械研磨用スラリーは、いずれも、凸部の最大膜厚差が大きく、パターン均一性に劣っている。
本発明の化学機械研磨用エロージョン防止剤を含む化学機械研磨用スラリーを用いれば、エロージョンおよびディッシングを効果的に抑制することができる上に、パターン形状による研磨量のばらつきを抑えることができる。本発明の化学機械研磨用エロージョン防止剤および化学機械研磨用スラリーは、特に半導体素子を分離するためのSTI形成工程において有用である。
1 パターンウェハ
2 酸化絶縁膜(酸化ケイ素など)
3 ストップ膜(窒化ケイ素など)
4 絶縁膜(酸化ケイ素など)
D1 ストップ膜の初期膜厚
D2 エロージョン量
D3 ディッシング量

Claims (14)

  1. 単糖類に由来する骨格および4個以上の水酸基を有し且つアミノ基を有しない化合物(a)、グルカミンおよびその誘導体から選ばれる少なくとも一つであり、且つ4個以上の水酸基および1個のアミノ基を有する化合物(b)、および4個以上のアミノ基を有する化合物(c)を含有する化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  2. 前記化合物(a)の分子量が100〜100,000であり、且つその水酸基含量が5〜40mmol/gである、請求項1に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  3. 前記化合物(a)が2〜50個の単糖類が結合した化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1または2に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  4. 前記化合物(b)の分子量が150〜1,000である、請求項1〜のいずれか一項に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  5. 前記化合物(c)の分子量が200〜100,000であり、且つそのアミノ基含量が3〜30mmol/gである、請求項1〜のいずれか一項に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  6. 前記化合物(c)が、ポリアルキレンイミン(c1);アリルアミン、N−アルキルアリルアミン、N,N−ジアルキルアリルアミン、ジアリルアミン、N−アルキルジアリルアミン、ビニルアミン、ビニルピリジンおよび(メタ)アクリル酸−N,N−ジアルキルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体(但し、前記アルキレンは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、前記アルキルは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を重合して得られた重合体(c2);およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜のいずれか一項に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  7. 前記化合物(c)が、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、N−メチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(N−メチルアリルアミン)、ポリ(N,N−ジメチルアリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(N−メチルジアリルアミン)、(アリルアミン/N,N−ジメチルアリルアミン)共重合体、(アリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体、(N,N−ジメチルアリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体およびポリ(メタ)アクリル酸−N,N−ジアルキルアミノエチル(但し、前記アルキルは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  8. 前記化合物(c)が、ポリエチレンイミン、N−メチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(N−メチルアリルアミン)、ポリ(N,N−ジメチルアリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(N−メチルジアリルアミン)、(アリルアミン/N,N−ジメチルアリルアミン)共重合体、(アリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体および(N,N−ジメチルアリルアミン/N−メチルジアリルアミン)共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の化学機械研磨用エロージョン防止剤、砥粒(d)、および水を含有する化学機械研磨用スラリー。
  10. 前記砥粒(d)がシリカである、請求項9に記載の化学機械研磨用スラリー。
  11. 化学機械研磨用スラリー中、
    前記化合物(a)の濃度が0.01〜10質量%であり、
    前記化合物(b)の濃度が0.001〜10質量%であり、
    前記化合物(c)の濃度が0.001〜5質量%であり、
    前記砥粒(d)の濃度が0.2〜30質量%である、
    請求項9または10に記載の化学機械研磨用スラリー。
  12. pHが9〜13である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の化学機械研磨用スラリー。
  13. 請求項9〜12のいずれか一項に記載の化学機械研磨用スラリーを用いて絶縁膜を研磨する、化学機械研磨方法。
  14. 窒化ケイ素膜上の酸化ケイ素膜を研磨する、請求項13に記載の化学機械研磨方法。
JP2012123471A 2012-05-30 2012-05-30 化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法 Active JP5840567B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012123471A JP5840567B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012123471A JP5840567B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013251339A JP2013251339A (ja) 2013-12-12
JP5840567B2 true JP5840567B2 (ja) 2016-01-06

Family

ID=49849759

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012123471A Active JP5840567B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5840567B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7045171B2 (ja) * 2017-11-28 2022-03-31 花王株式会社 研磨液組成物

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4116136B2 (ja) * 1998-03-04 2008-07-09 花王株式会社 研磨液組成物
JP5423669B2 (ja) * 2008-04-23 2014-02-19 日立化成株式会社 研磨剤及びこの研磨剤を用いた基板の研磨方法
JP2010153781A (ja) * 2008-11-20 2010-07-08 Hitachi Chem Co Ltd 基板の研磨方法
JP4894981B2 (ja) * 2009-10-22 2012-03-14 日立化成工業株式会社 研磨剤、濃縮1液式研磨剤、2液式研磨剤及び基板の研磨方法
JP5481166B2 (ja) * 2009-11-11 2014-04-23 株式会社クラレ 化学的機械的研磨用スラリー
KR101359092B1 (ko) * 2009-11-11 2014-02-05 가부시키가이샤 구라레 화학적 기계적 연마용 슬러리 및 그것을 이용하는 기판의 연마 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013251339A (ja) 2013-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6001532B2 (ja) 化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法
KR101726486B1 (ko) 화학 기계 연마용 슬러리 및 화학 기계 연마 방법
JP4930651B2 (ja) 研磨剤、濃縮1液式研磨剤、2液式研磨剤及び基板の研磨方法
KR101359092B1 (ko) 화학적 기계적 연마용 슬러리 및 그것을 이용하는 기판의 연마 방법
JP5290769B2 (ja) Cmpスラリー及びこれを用いる半導体ウェハーの研磨方法
US20150232704A1 (en) Polishing agent, polishing agent set and method for polishing base
JP7167042B2 (ja) 研磨液、研磨液セット及び研磨方法
JP5840567B2 (ja) 化学機械研磨用エロージョン防止剤、化学機械研磨用スラリーおよび化学機械研磨方法
JP7216880B2 (ja) 研磨液及び研磨方法
JP2008182181A (ja) 研磨用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151006

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151111

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Ref document number: 5840567

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150