JP5838755B2 - 安全計装システム - Google Patents

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Description

本発明は、プラントにおける安全計装システムに係わり、特にパーシャルストロークテストに関する。
プラント等において構築される安全計装システム(SIS;Safety Instrument System)は、異常な状態が示されると、プラントを安全な状態に保つように、あるいはプラントを安全な状態に戻すように、自動的に作動する。
この様な安全計装システムに係わる構成の1つとして、緊急遮断弁がある。異常が発生した場合には、緊急遮断弁を閉じることで、安全を確保する。
ここで、緊急遮断弁に対しては、部分作動検査(PST;Partial Stroke Test:パーシャルストロークテスト)が実施される。パーシャルストロークテストは、定期的に緊急遮断弁を閉動作させる(但し、全閉にはしない)テスト方法である。パーシャルストロークテストは、緊急遮断弁が緊急時に確実に作動することを定期的に確認するために行うテストである。
通常、緊急遮断弁は、設備の運転中はバルブが全開の状態で使用されるため、運転中に、流体のバルブや駆動部への固着や、異物の噛み込み等が生じている可能性がある。緊急遮断弁のバルブや駆動部に固着等の不具合がある場合、正常に作動しない場合があり、この様な不具合を確認する場合には、上記全開の状態から閉じる動作の最初を確認すればよく、したがって弁を全閉にしなくてもよく、少し閉じるだけで済む。また、設備の運転中に実施できる。
この様に、パーシャルストロークテストは、設備の運転中に、プロセスへの支障が無い範囲で緊急遮断弁を閉動作させるものである(よって上記の通り全閉にはしない)。また、緊急遮断弁は、例えば、操作端(流量調節弁)が設置された配管上に設けられる。
このような同一の制御系において操作端と緊急遮断弁を具備している装置で、パーシャルストロークテストを緊急遮断弁に実施した場合、緊急遮断弁が閉方向に動作するために、プロセス値(例えば流量)の変動が発生してしまう。上記の通り、パーシャルストロークテストは、設備の運転中に実施されるので、この様なプロセス値の変動は好ましくない。尚、パーシャルストロークテストは、通常、非常に短時間で行われるが、この様な短時間であってもプロセス値の変動は好ましくない。
また、特許文献1に記載の従来技術が知られている。
特許文献1には、プラントに関して、緊急遮断バルブなどに対するストロークテストについての開示がある。すなわち、緊急遮断バルブ等のストロークテストは、SIL(安全度水準)に基づく安全性・信頼性を維持するため、緊急遮断バルブ等が緊急時に確実に動作するかを確認する目的で、定期的または不定期に行われている旨の記載がある。
特開2005−284762号公報
上述したように、パーシャルストロークテスト実施時には、設備の運転中に、プラントのプロセス値(流量等)の変動が伴ってしまう。
これに対して、上記の様に、同一の制御系に操作端と緊急遮断弁が備えられたシステムでは、緊急遮断弁が閉じる分を補うように、操作端を開ける(弁開度を増加させる)ことで、プロセス値(例えば流量)の変動を抑えるようにすることが考えられる。
しかしながら、従来では、操作端への的確な介入量が決定できなかったので、介入を行うと逆効果となる(かえって、プロセス値の変動が大きくなる)可能性もあった。この為、特に操作端に対する介入制御は実施しなかった。
本発明の課題は、緊急遮断弁のパーシャルストロークテスト実施に伴うプラントのプロセス値の変動を抑えることができる安全計装システム等を提供することである。
本発明の安全計装システムは、任意の流体が流れる任意の配管上に流量調節弁と緊急遮断弁とが設けられ、更に該流量調節弁の弁開度を制御する為の弁開度指令値を該流量調節弁に対して出力する流量指示調節計が設けられた安全計装システムにおいて、制御装置を有し、該制御装置は、前記緊急遮断弁の弁開度状態を示す遮断弁情報を入力する入力手段と、予め前記緊急遮断弁の前記弁開度状態とCV値との関係を示す第1のCV特性データが記憶された遮断弁CV特性データ記憶手段と、予め前記弁開度指令値と前記流量調節弁のCV値との関係を示す第2のCV特性データが記憶された調節弁CV特性データ記憶手段と、前記緊急遮断弁に対するパーシャルストロークテスト実施時に、前記入力手段を介して入力される前記遮断弁情報と前記第1のCV特性データとに基づいて、該テストによる緊急遮断弁の閉動作に応じたCV値損失を求めるCV値損失算出手段と、前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値と前記第2のCV特性データとに基づいて、前記流量調節弁の現状のCV値を求める調節弁CV値算出手段と、前記緊急遮断弁におけるCV値損失と、前記流量調節弁の現状のCV値とに基づいて、系全体のCV値が変化しないようにする補正値を求める補正値算出手段と、前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値と前記補正値とを入力し、該弁開度指令値を該補正値を用いて補正して成る補正後弁開度を生成し、該補正後弁開度を前記流量調節弁に入力させる補正手段とを有する。
本発明の安全計装システムによれば、緊急遮断弁のパーシャルストロークテスト実施に伴うプラントのプロセス値の変動を抑えることができる。
任意のプラントに適用した安全計装システムの構成例である。 (a)、(b)は、パーシャルストロークテスト時の損失CV値の算出処理を説明するための図である。 流量調節弁の現在CV値の算出処理を説明するための図である。 流量調節弁への弁開度指令の補正値の算出処理を説明するための図である。 流量調節弁の弁開度補正を説明するための図である。 (a)、(b)は、本手法によって流量の変動が抑えられることを示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、任意のプラントに適用した安全計装システムの構成例を示す。
図1の安全計装システムは、不図示の任意の装置に対して、配管1や流量調節弁(FCV;操作端)4等を介して任意の流体を供給している化学プラントなどに適用されているものである。尚、本説明で言う「安全計装システム」は、安全計装システム自体を意味する場合もあれば安全計装システムが適用されたプラントを意味する場合もあるものとする。
図1の安全計装システムは、その管内を任意の流体が流れる配管1と、この配管1上に設けられる流量検出器(FE)2、流量調節弁(FCV;操作端)4、緊急遮断弁(SOV)5や、流量発信器(FT)3、流量指示調節計(FIC)6、開度発信器(XT)7等を有する。更に、制御部10が設けられている。また、図1では示していないが、「補正手段」(後述する加算器21など)も設けられている。また、図1では、制御部10に係る信号線は、省略して示している。尚、以降の説明において表記の関係で、流量調節弁(FCV;操作端)4を流量調節弁(FCV)4や流量調節弁4、緊急遮断弁(SOV)5を緊急遮断弁5、流量指示調節計(FIC)6を流量指示調節計6、と夫々記載する場合もあるが同義である。 流量調節弁(FCV)4と緊急遮断弁(SOV)5は、同一配管上にあるので、少なくとも一方を全閉にした場合、配管1内の流体の流れが止められることになる(不図示の装置に対する流体の供給がストップすることになる)。
通常時は、緊急遮断弁(SOV)5は、基本的には全開状態となっている。また、流量調節弁(FCV)4の弁開度は、全開/全閉以外の任意の状態となっている。流量調節弁(FCV)4の弁開度は、流量指示調節計(FIC)6によって調整制御される。また、開度発信器(XT)7は、緊急遮断弁(SOV)5の弁開度を検出して、これを制御部10へ送信する。流量発信器(FT)3は、流量検出器(FE)2で検出される流体流量を、流量指示調節計(FIC)6へ送信する。
通常時は、流量指示調節計(FIC)6によって流量調節弁(FCV)4の弁開度を調整することで、流体の流量(上記不図示の装置に対する流体の供給量)が任意の目標値となるように調整される。すなわち、流量指示調節計(FIC)6は、流量検出器(FE)2によって検出される上記流体の現在の流量に基づいて、この流量が上記目標値となるように流量調節弁(FCV)4の弁開度を調整する為の操作信号(MVc)を生成して、これを流量調節弁(FCV)4に対して出力する。これより、流量調節弁(FCV)4の弁開度が上記操作信号値(MVc値)に応じたものとなり、以って流体の流量が任意の目標値となるように調整される。
ここで、この様な制御が行われることで、一見、上述した「パーシャルストロークテスト実施に伴ってプラントのプロセス値(流量等)が変動する状況に対しても、流量指示調節計(FIC)6の上記制御によって変動が抑えられるように思えるかもしれない。しかしながら、既に述べたように、パーシャルストロークテストは、非常に短時間で行われる為、上記プロセス値(流量等)の変動も非常に短時間の現象となり、それ故、流量指示調節計(FIC)6のようなPID制御では対応できない。
この為、本手法を適用することで、この様な問題に対応するものである。
尚、当然のことであるので図示しないし逐一述べないが、データ(信号)送受信を行う場合には、その為の通信線が設けられている。
通常時は上述した動作を行っており、任意のときに部分作動検査(PST;Partial Stroke Test:パーシャルストロークテスト)が開始されると、緊急遮断弁(SOV)5の閉動作が開始されることになる(但し、少なくとも全閉にはならない;途中で止まる)。この為、プロセス値の変動が生じる(流体の流量が減少する)。尚、パーシャルストロークテストに係る処理動作は、例えば制御部10が行うが、この例に限らない。また、テスト開始は例えば人間の操作により指示するが、この例に限らず、予め設定された日時にテスト開始されるものであってもよい。
上記パーシャルストロークテスト時のプロセス値の変動発生を防止/抑制する為には、既に背景技術や課題で説明したように、流量調節弁(FCV)4の弁開度を再調整する必要がある(上記の状況では弁開度を増加させることになる)。しかしながら、上述したように、従来では適切な再調整量が分からなかった。
本手法では、適切な再調整量を決定でき、パーシャルストロークテスト時のプロセス値の変動発生(流量の減少)を防止/抑制することが可能となる。
本手法では、上記のように同一配管上に(同一の制御系に)流量調節弁(FCV)4と緊急遮断弁(SOV)5とが設けられた構成の安全計装システムにおいて、緊急遮断弁5のパーシャルストロークテスト実施時に、これと同一配管上にある流量調節弁4に対する上記流量指示調節計6からの操作信号に介入することで(弁開度を補正する;加算あるいは減算する)、パーシャルストロークテストに伴う変動発生(流量の減少)を回避させることが出来る。
換言すれば、パーシャルストロークテスト実施時に、例えば、同一の制御系内にある流量指示調節計6の出力信号(流量調節弁4に対する弁開度操作信号)に対して、緊急遮断弁5が閉じた分に応じた補正値(例えば、緊急遮断弁5の閉により損なわれるCV値を補うような補正値)による補正を行うことで、プロセス値(流量)の変動を抑制/防止させる。この補正は、流量指示調節計6の出力信号に対して、例えば上記補正値を“加算あるいは減算”するものである。
尚、上記“加算あるいは減算”のどちらになるのかは、操作端(流量調節弁(FCV)4)の動作方式により決定される。すなわち、操作信号が増加した時に流量調節弁4の弁開度が増加する構成の場合には“加算”する。一方、操作信号が増加した時に流量調節弁4の弁開度が減少する構成の場合には“減算”する。すなわち、何れの場合でも、流量調節弁4が開く方向に(弁開度が増加するように)制御するものである(緊急遮断弁5の弁開度が減少した分を補うために行うものである)。
尚、後述する図5の例では加算器21が設けられているが、この例に限らず、例えば加算器21の代わりに減算器(不図示)が設けられてもよい。当然、これに合わせて、他の構成や処理も変わることになるが、これについては特に説明しない(例えば、負の値を減算器に入力すれば、実質的には加算になる等、やり方は色々ある)。尚、これらの加算器21や減算器(不図示)は、何れも、流量調節弁4の弁開度を増加させるように操作信号を補正するものであるので、「補正手段」等と呼ぶ場合もあるものとする。
既に述べたように、この介入のための適切な介入量(流量調節弁(FCV)4に対する操作信号に加算/減算する補正値)を算出する必要がある。
本手法では、上記「プロセス値の変動の抑制/防止」を実現する為に、流量調節弁4と緊急遮断弁5を含めた系統全体のCV値が、パーシャルストロークテストの実施前後で変化が生じさせないようする介入量を算出して、この介入量による介入を行う。
本手法による介入(介入量の決定など)の基本的な考え方は、CV値を用いることである。すなわち、緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値を補うように流量調節弁4に係るCV値を増加させるように、流量調節弁4の弁開度を増加させることにより、損なわれるはずのCV値をキャンセルさせ、以ってその系統全体CV値に変動が生じないようにする。
その為に、予め、流量調節弁4、緊急遮断弁5それぞれのCV特性データを作成して記憶しておく。そして、パーシャルストロークテスト実施時には、緊急遮断弁5に係わるCV特性データを参照して上記「緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値」を求め、流量調節弁4に係わるCV特性データを参照して流量調節弁(FCV)4の現在の(補正前の)CV値を求め、これらに基づいて上記介入量(操作信号に対する補正値)を決定するものである。
まず、緊急遮断弁5に係わるCV特性データは、例えば図2(a)に示す「弁開度−CV値特性曲線」11であってもよいし、例えば図2(b)に示す「動作時間−CV値特性曲線」12であってもよい。どちらか一方を用いればよい。何れにしても、パーシャルストロークテスト実施時に検出される緊急遮断弁5の弁開度あるいは閉動作時間を用いて、上記予め作成・記憶されている特性曲線を参照することで、「緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値」(後述する「損失CV値」ΔCVs1)を求めることができる。そして、これに基づいて、最終的には適切な介入量(補正値)を求めることができ、この介入量を、流量指示調節計(FIC)6からの出力(操作信号)に加算(あるいは減算)することで、流量調節弁4の弁開度を適切に増加させることにより、系統全体CV値が変動しないようにできる(詳しくは後述する)。以って、上記「プロセス値の変動の抑制/防止」を実現できる。
以下、まず、図2(a)、(b)を参照して、「緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値」を求める処理について説明する。この処理は、図1に示す制御部10が実行する。尚、図1に示す構成のうち、制御部10以外の構成は、既存の構成であると見做しても構わない。
制御部10は、ここでは特に図示しないが、例えばCPU/MPU等の演算プロセッサ、メモリ等の記憶装置、入出力インタフェース等を有している。記憶装置には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されており、演算プロセッサがこのアプリケーションプログラムを実行することにより、図2(a),(b)や図3〜図5等で説明する処理が実現される。上記記憶装置には、更に、予め、上述した流量調節弁4、緊急遮断弁5それぞれのCV特性データが記憶されている。
また、制御部10は、上記入出力インタフェースを介して、例えば上記開度発信器(XT)7から送信される、緊急遮断弁(SOV)5の弁開度を入力する。また、制御部10は、上記入出力インタフェースを介して、上記操作信号値(MVc値)も入力する。また、制御部10は、上記入出力インタフェースを介して、例えば後述するようにして求めた介入量(補正出力;ΔMVc1)を、例えば後述する加算器21に対して出力する。
まず、図2(a)について説明する。
図2(a)の例では、例えば図示のような「弁開度−CV値特性曲線」データ11が、予め作成されて制御部10の上記不図示の記憶装置(メモリ等)に記憶されている。
ここで、上記「弁開度−CV値特性曲線」データ11等の緊急遮断弁5に係るCV特性データや、流量調節弁4に係るCV特性データの取得方法について説明しておく。この取得方法の一例は、例えば、流量調節弁(FCV)4や緊急遮断弁(SOV)5の製造メーカーから取得する方法が考えられる。通常、製造メーカーは、自社製の弁の特性データを測定・保有しているものであるからである。
一方、製造メーカーから取得できない場合には、実測に基づいてCV特性データを作成することで取得する必要がある。つまり、この場合、CV値の算出式で必要なデータを実測する必要がある。CV値の算出式は、よく知られているものであり、ここでは特に示さないが、流体に係る算出式で必要なデータは、基本的には、流量、弁差圧、比重等である。
比重は、流体の種類に応じて決まるものであり、例えば流体が水であれば比重=1となる。差圧は、弁入口圧力と弁出口圧力との差であり、流量調節弁(FCV)4や緊急遮断弁(SOV)5の前後に圧力計を設けることで、これら2種類の圧力を検出する。流量は、当然、任意の流量検出器等で測定する。
緊急遮断弁5の弁開度(Xs)を適宜変えながら上記各種データを計測して、計測結果に基づくCV値の算出を行うことで、上記「弁開度−CV値特性曲線」データ11が作成できる。図2(b)に示す「動作時間−CV値特性曲線」データ12も、略同様にして、緊急遮断弁5が全開の状態から弁閉動作を開始させ、開始からの各経過時間毎に、そのときの上記各種データを計測する。これによって、緊急遮断弁5が全開の状態から弁閉動作を開始させてからの各経過時間(動作時間/閉動作時間と呼ぶ)毎に、対応するCV値が算出することができ、これが上記「動作時間−CV値特性曲線」データ12となる。
尚、この例に限らず、例えば予め、上記閉動作時間と弁開度との関係が分かっているのであれば(全開の状態から弁閉動作を開始後、何秒経過した時点で弁開度が幾つに成っているかを示すデータが、例えばメーカー側等に存在する場合には)、これを利用することで、上記「弁開度−CV値特性曲線」データ11から「動作時間−CV値特性曲線」データ12を求めることができる。
尚、緊急遮断弁5の弁開度や閉動作は、例えば制御部10が調整・制御できるものとしてよいが、この例に限らない。
また、制御部10の不図示の記憶装置には、予め、全開時の緊急遮断弁5のCV値が記憶されているものとする(これを、CVOとする)。
そして、パーシャルストロークテスト実施時には、上述した「弁開度−CV値特性曲線」データ11、「動作時間−CV値特性曲線」データ12の何れかを用いて、上記「緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値」を求める。
尚、上記弁開度や閉動作時間を、「緊急遮断弁の弁開度状態を示す遮断弁情報」等と呼ぶものとする。逆に言えば、「緊急遮断弁の弁開度状態を示す遮断弁情報」の具体例が、上記弁開度や閉動作時間である。
まず、図2(a)を参照して説明する。
まず、図1に示すように、制御部10は、開度発信器(XT)7から、緊急遮断弁5の現在の弁開度(Xs)を取得できる。これより、制御部10は、パーシャルストロークテストを開始直後から、例えば随時、緊急遮断弁5の現在の弁開度(Xs)を取得して、この遮断弁開度(Xs)に対応するCV値(CVs1とする)を、上記「弁開度−CV値特性曲線」データ11を参照することで求める。
そして、制御部10は、緊急遮断弁5に係る全開時のCV値と現在のCV値との差ΔCVs1(=CVO−CVs1)を算出する。この差分ΔCVs1が上記「緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値」に相当し、以下、「損失CV値」等と呼ぶものとする。
次に、図2(b)を参照して説明する。
ここで、制御部10は、緊急遮断弁5の弁開閉御も行うものとする。よって、制御部10は、例えば外部からパーシャルストロークテスト開始の指示を受けると、緊急遮断弁5の弁閉動作を開始させる制御を行う。また、制御部10は、当然、時計機能等も有している。よって、制御部10は、緊急遮断弁5の弁閉動作の開始からの経過時間を認識できる。これより、制御部10は、この経過時間を図2(b)に示す“遮断弁動作時間(t)”として用いて、現在の“遮断弁動作時間(t)”に対応するCV値を、「動作時間−CV値特性曲線」データ12を参照して求めることができる。
その後は、上記図2(a)と同じであり、求めたCV値(CVs1)と上記CVOとの差分、すなわち上記「損失CV値」ΔCVs1を求める。
このようにして、緊急遮断弁5の閉による不足容量値を、上記「緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値」の形に換算する。
尚、例えば、上記図2(a)は緊急遮断弁5にその弁開度を検出する開度計が設けられている場合に対応し、図2(b)は緊急遮断弁5に開度計が設けられていない場合(この場合、開度発信器(XT)7は無いことになる)に対応するものと考えても良いが、この例に限らない。
上記図2(a)、(b)の何れかの処理により上記「損失CV値」ΔCVs1を求めたら、続いて、図3に示す「流量調節弁の弁開度−CV値特性曲線」データ13を参照することで、流量調節弁(FCV)4の現在のCV値を求める。
尚、図2の特性曲線データ11,12で示されるように、基本的には、弁開度が増加すればCV値が増加する関係にある。これは図3、図4においても同様であるが、それ故、図3、図4の例は上述した「操作信号が増加した時に流量調節弁4の弁開度が増加する構成」に応じた例であると言える。つまり、図3に示すように、操作信号MVc値が増加すればCV値が増加する関係にあるのは、この例では操作信号MVc値が増加すれば弁開度が増加するからである。
よって、特に図示しないが「操作信号が増加した時に流量調節弁4の弁開度が減少する構成」の場合には、操作信号MVc値が増加すればCV値が減少する特性曲線となることになる。そして、この場合には、後述する図4に示す補正出力「ΔMVc1」は負の値となるので、図5において加算器21では実質的には減算が行われることになり、操作信号MVc値を減少させる補正が行われることになる。これより、流量調節弁4の弁開度は増加することになる。
ここで、図示の「流量調節弁の弁開度−CV値特性曲線」データ13の取得方法も、上記「弁開度−CV値特性曲線」データ11等の取得方法と略同様であってよい。すなわち、メーカー側から特性データを取得できるのであれば、取得したものをそのまま用いればよい。取得できないのであれば、流量調節弁(FCV)4に関して上記圧力計や流量計を設置して上記CV値算出に必要なデータを取得することで、特性曲線13を作成する。これは、流量指示調節計6の出力値(流量調節弁(FCV)4に対してその弁開度を指示する信号である上記操作信号値MVc)を適宜変えながら、そのときの各種データ(上記流量や2種類の圧力等)を取得して、取得したデータに基づいてCV値を算出すればよく、ここでの詳しい説明は省略する。
制御部10は、上記「損失CV値」ΔCVs1を求めたら、続いて、流量指示調節計6の現在の出力値(操作信号MVc)を取得して、この操作信号MVc値に対応するCV値を、「流量調節弁の弁開度−CV値特性曲線」データ13を参照することで求める。このようにして求めた、流量調節弁4の現在のCV値を「CVC1」と記すものとする。
そして、制御部10は、上記のようにして求めた「損失CV値」ΔCVs1および流量調節弁の現在のCV値「CVC1」や、図4に示す「逆特性曲線」データ14等に基づいて、上記操作信号MVcに対する介入量(補正値)を示す補正出力「ΔMVc1」を求める。
ここで、「逆特性曲線」データ14は、上記「流量調節弁の弁開度−CV値特性曲線」データ13のMVc値とCV値とを逆にしたものである。よって、この例に限らず、「流量調節弁の弁開度−CV値特性曲線」データ13を用いても構わない。
制御部10は、例えば図4に示すように、まず、上記流量調節弁4の現在のCV値「CVC1」に、上記「損失CV値」ΔCVs1を加算する(「CVC1+ΔCVs1」を算出する)。これは、上記「緊急遮断弁5の閉動作により損なわれるCV値」を、流量調節弁4で補わせることで、系全体としてのCV値を一定に保つためである(変動させないためである)。つまり、流量調節弁4のCV値が上記「CVC1+ΔCVs1」となるように流量調節弁4の弁開度を調整すれば、パーシャルストロークテスト実施に伴う緊急遮断弁5のCV値の減少分を補って系全体としてのCV値が変動しないようにできる。そして、これによって、緊急遮断弁のパーシャルストロークテスト実施に伴うプラントのプロセス値(流量)の変動を抑えることができる。
次に、「逆特性曲線」データ14を参照して、上記加算値(「CVC1+ΔCVs1」)に応じた流量調節弁4への操作信号値を求める(これは流量指示調節計6の出力を意味しない。流量調節弁4に入力される操作信号値を意味し、例えば流量指示調節計6の出力(MVc)に対して補正を施した後の“補正後の出力「MVC1」”を求めるものである)。
この“補正後の出力「MVC1」”によって流量調節弁4の弁開度を調整制御させることで、流量調節弁4によるCV値が上記「CVC1+ΔCVs1」となる。従って、この“補正後の出力「MVC1」”をそのまま流量調節弁4に入力させる構成としてもよいが、図4に示す例では図示の通り更に補正出力「ΔMVc1」を求める。その理由については後述するものとし、ここでは図4に示す構成例について説明する。
これより、制御部10は、上記のように“補正後の出力「MVC1」”を求めたら、続いて、この“補正後の出力「MVC1」”から上記流量指示調節計6の出力(MVc)を減算することで、上記補正出力「ΔMVc1」を求める(ΔMVc1=MVC1−MVc)。つまり、後に図5に示す加算器21で上記流量指示調節計6の出力(MVc)に対して加算させる補正値「ΔMVc1」を、求める。尚、既に述べたように、この補正値「ΔMVc1」が負の値となることも有り得る。
制御部10は、上述した図4の処理によって補正値「ΔMVc1」を求めたら、続いて、例えば図5に示すように、上記補正出力「ΔMVc1」を、加算器21に入力させる。図5に示す通り、加算器21は、流量指示調節計(FIC)6と流量調節弁(FCV)4との間に設けられており、流量指示調節計(FIC)6の出力(MVc)と上記補正値「ΔMVc1」とを入力しており、これらの加算値(合計値)を流量調節弁(FCV)4へと出力する。つまり、流量指示調節計6の出力(MVc)に補正出力「ΔMVc1」を加算した値(MVc+ΔMVc1)を、流量調節弁(FCV)4へと出力する。
尚、既に述べた通り、この「MVc+ΔMVc1」は、上記“補正後の出力「MVC1」”に相当し、基本的には両者は同じ値となるはずである。
そして、これによって“補正後の操作信号「MVc+ΔMVc1」”によって流量調節弁(FCV)4の弁開度が調整制御されることになり(弁開度は増加する)、上述したようにパーシャルストロークテスト実施に伴う緊急遮断弁5の閉動作によるCV値の減少分を、流量調節弁(FCV)4で補って、系全体としてのCV値が変動しないようにできる。そして、これによって、緊急遮断弁5のパーシャルストロークテスト実施に伴うプラントのプロセス値(流量)の変動を抑えることができる。
尚、例えば図5に示すように(図5では制御部10に係る信号線は、一部を除き省略して示しているが)、制御部10から加算器21に上記補正出力「ΔMVc1」を送るための信号線上に図示のスイッチ22(通常時はOFF状態となっている)を設けるようにしてもよい。この構成例の場合、制御部10は、上記補正出力「ΔMVc1」を出力する際に、補正介入指令を出すことで、スイッチ22をON状態に切り替えることで、補正出力「ΔMVc1」が加算器21に入力される状態にする。これによって、通常時に誤って何らかのデータが加算器21に入力される事態を防止できる。
また、尚、例えば図5に示すように、例えばパーシャルストロークテスト実施時(特に上記補正出力「ΔMVc1」が決定された時点で)、例えば上記補正介入指令によって流量指示調節計6のモードを手動モードにして、流量指示調節計6出力(MVc)を、補正出力「ΔMVc1」で介入する直前の値でホールドするようにしてもよい。
これについては、特に図示等しないが、例えば一例としては、流量指示調節計6は、例えば流量発信器(FT)3の出力を入力して、この入力に応じたPID演算を行うPID部と、このPID部の出力を入力する積分器とから成り、積分器の出力が上記流量指示調節計6出力(MVc)となるものである。この構成において、PID部−積分器間にスイッチ部が設けられ、このスイッチ部は上記補正介入指令によってOFFする構成となっている。これより、上記補正介入指令によってPID部−積分器間が接続断となり、積分器の出力値が更新されない状態(上記手動モードの状態)となる。但し、これは一例であり、必ずしも上記手動モードにする必要はない。
図6(a),(b)は、本手法によって流量の変動が抑えられることを示す図である。
図6(a)は本手法を適用した場合、図6(b)は従来技術の場合のパーシャルストロークテスト実施時の流量変化を示している。尚、この流量は、図1の流量検出器(FE)2で検出した、配管1内を流れる流体の流量である。
図6(b)に示すように、従来では、パーシャルストロークテスト実施時には、緊急遮断弁5が多少閉じられる影響で、流量が減少することになる。つまり、プラントのプロセス値の変動(流量の減少)が生じている。
これに対して、本手法を適用した場合、上述したように流量指示調節計6の出力(MVc)に補正値「ΔMVc1」を加算した値である“補正後の操作信号(MVc+ΔMVc1)”を、流量調節弁(FCV)4に入力させることにより、流量調節弁(FCV)4の弁開度を増加させるので、プラントのプロセス値の変動を抑えることができ、図6(a)に示すように流量は殆ど変化しない。
尚、図6(a)に示す時間t1は、図6のようにプラントおよび操作機器(流量調節弁、遮断弁)遅れ要素を考慮し、タイマを用いて介入開始を遅延させた遅延時間を意味する。
以上説明したように、本手法によれば、系全体のCV値を一定に保つ制御を行うことで、パーシャルストロークテスト実施に伴うプラントの外乱(プロセス値の変動)を抑えることができ、以って今後の安全計装の普及に貢献できる。
尚、上記流量指示調節計6の出力である操作信号MVcのデータは、例えば、流量調節弁(FCV)4の弁開度を指定する弁開度指令値であり、従って操作信号MVcの代わりに弁開度指令値MVc等と記してもよいものとする。
以上、本手法を適用した安全計装システムによれば、緊急遮断弁のパーシャルストロークテスト実施に伴うプラントのプロセス値の変動を抑えることができる。これは、特に、系全体のCV値を一定に保つ制御を行うことで、流量の変動を抑えるものである。尚、流量ではなくCV値を用いるのは、パーシャルストロークテスト実施に伴って不足するMV値(ΔMVc1)を、流量値から算出するのは困難であるからである(複雑な計算になる。例えば、上記既存のCV値算出式を用いて、流量値から逐一CV値を算出する等)。
尚、上述した処理は、一例であり、この例に限らない。例えば、図5の“調節計の出力補正”の際に、上述したように図4に示す補正出力「ΔMVc1」を用いる代わりに、その前段の“補正後の出力「MVC1」”を用いるようにしてもよい。この場合には、例えば、図5における加算器21の代わりに、不図示の切替スイッチ(2入力1出力のスイッチ等)を設ける。この切替スイッチは、流量指示調節計6の出力と制御部10の出力(すなわち、上記“補正後の出力「MVC1」”)とを入力して、何れか一方を流量調節弁4へ出力する構成となる。勿論、通常時には流量指示調節計6の出力を流量調節弁4へ出力させ、パーシャルストロークテスト時には制御部10の出力(MVC1)を流量調節弁4へ出力させるように、不図示の切替スイッチを切替え制御することになる。尚、この切替え制御は、例えば制御部10が実行する。
この様に、他の構成・処理であっても構わない。
尚、CV値とは、流量調節弁の選定時に使用する指標である。また、CV値は電気回路のコンダクタンス(conductance)に相当する。
尚、既に述べたように、制御部10において、例えば、不図示の演算プロセッサが不図示の記憶装置に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより、図2(a),(b)や図3〜図5等で説明する処理が実現される。これは、換言すれば、上記不図示の演算プロセッサが不図示の記憶装置に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより、制御部10は、以下に記載する各種機能部(不図示)の機能を実現するものと言うこともできる。
制御部10は、例えば、任意の流体が流れる任意の配管1上に流量調節弁4と緊急遮断弁5とが設けられ、更に該流量調節弁4の弁開度を制御する為の弁開度指令値(MVc)を該流量調節弁4に対して出力する流量指示調節計6が設けられた安全計装システムにおける制御装置である。
この制御装置は、例えば、下記の各種機能部(何れも不図示)を有する。
すなわち、まず、緊急遮断弁5の弁開度状態を示す遮断弁情報を入力する入力部、予め緊急遮断弁5の弁開度状態とCV値との関係を示す第1のCV特性データ(11or12)が記憶された遮断弁CV特性データ記憶部、予め上記流量調節弁4に係る弁開度指令値とCV値との関係を示す第2のCV特性データ(13)が記憶された調節弁CV特性データ記憶部などを有する。
また、緊急遮断弁5に対するパーシャルストロークテスト実施時に、入力部を介して入力される遮断弁情報と第1のCV特性データとに基づいて、該テストによる緊急遮断弁5の閉動作に応じたCV値損失(ΔCVs1)を求めるCV値損失算出部と、流量指示調節計6から出力される弁開度指令値と第2のCV特性データ(13)とに基づいて、流量調節弁4の現状のCV値(CVC1)を求める調節弁CV値算出部を有する。
更に、緊急遮断弁5の閉動作に係るCV値損失(ΔCVs1)と、流量調節弁4の現状のCV値(CVC1)とに基づいて、系全体のCV値が変化しないようにする補正値(ΔMVc1)を求める補正値算出部を有する。
そして、流量指示調節計6から出力される弁開度指令値(MVc)と上記補正値(ΔMVc1)とを入力し、該弁開度指令値(MVc)を該補正値(ΔMVc1)を用いて補正して成る弁開度補正値を生成し、該弁開度補正値を流量調節弁4に入力させる補正部(21等)を有する。
また、例えば、上記補正値算出部は、流量調節弁4の現状のCV値(CVC1)にCV値損失値(ΔCVs1)を加算することで修正後CV値(CVC1+ΔCVs1)を求め、第2のCV特性データ(13)またはその逆特性データ(14)を用いて該修正後CV値に対応する流量調節弁4の弁開度(MVC1)を求める。そして、該求めた弁開度(MVC1)と流量指示調節計6から出力される弁開度指令値(MVc)との差分を上記補正値(ΔMVc1)として算出する。
また、例えば、上記補正部は、加算器(21)であり、上記補正後弁開度は、該加算器によって、流量指示調節計6から出力される弁開度指令値(MVc)に補正値(ΔMVc1)を加算したものである。
また、制御部10は、上記補正値算出部及び補正部の代わりに、下記の修正弁開度指令値算出部および切替部を有する構成であってもよい。
修正弁開度指令値算出部は、上記緊急遮断弁5に係るCV値損失(ΔCVs1)と、上記流量調節弁4の現状のCV値(CVC1)とに基づいて、系全体のCV値が変化しないようにする修正弁開度指令値(MVC1)を求める。
切替部は、流量指示調節計6から出力される弁開度指令値(MVc)の代わりに、修正弁開度指令値(MVC1)を流量調節弁4に入力させる。
また、例えば、上記修正弁開度指令値算出部は、流量調節弁4の現状のCV値(CVC1)にCV値損失値(ΔCVs1)を加算して修正後CV値を求め、第2のCV特性データまたはその逆特性データを用いて該修正後CV値に対応する流量調節弁4の弁開度(MVC1)を求め、該求めた弁開度(MVC1)を上記修正弁開度指令値とする。
1 配管
2 流量検出器(FE)
3 流量発信器(FT)
4 流量調節弁(FCV;操作端)
5 緊急遮断弁(SOV)
6 流量指示調節計(FIC)
7 開度発信器(XT)
10 制御部
21 加算器
22 スイッチ

Claims (7)

  1. 任意の流体が流れる任意の配管上に流量調節弁と緊急遮断弁とが設けられ、更に該流量調節弁の弁開度を制御する為の弁開度指令値を該流量調節弁に対して出力する流量指示調節計が設けられた安全計装システムにおいて、
    制御装置を有し、
    該制御装置は、
    前記緊急遮断弁の弁開度状態を示す遮断弁情報を入力する入力手段と、
    予め前記緊急遮断弁の前記弁開度状態とCV値との関係を示す第1のCV特性データが記憶された遮断弁CV特性データ記憶手段と、
    予め前記弁開度指令値と前記流量調節弁のCV値との関係を示す第2のCV特性データが記憶された調節弁CV特性データ記憶手段と、
    前記緊急遮断弁に対するパーシャルストロークテスト実施時に、前記入力手段を介して入力される前記遮断弁情報と前記第1のCV特性データとに基づいて、該テストによる緊急遮断弁の閉動作に応じたCV値損失を求めるCV値損失算出手段と、
    前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値と前記第2のCV特性データとに基づいて、前記流量調節弁の現状のCV値を求める調節弁CV値算出手段と、
    前記緊急遮断弁におけるCV値損失と、前記流量調節弁の現状のCV値とに基づいて、系全体のCV値が変化しないようにする補正値を求める補正値算出手段と、
    前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値と前記補正値とを入力し、該弁開度指令値を該補正値を用いて補正して成る補正後弁開度を生成し、該補正後弁開度を前記流量調節弁に入力させる補正手段と、
    を有することを特徴とする安全計装システム。
  2. 前記緊急遮断弁の弁開度状態を示す遮断弁情報は、該緊急遮断弁の閉動作時間であり、
    前記第1のCV特性データは、該緊急遮断弁の動作時間とCV値との関係を示す特性データであることを特徴とする請求項1記載の安全計装システム。
  3. 前記緊急遮断弁の弁開度状態を示す遮断弁情報は、該緊急遮断弁の弁開度であり、
    前記第1のCV特性データは、該緊急遮断弁の弁開度とCV値との関係を示す特性データであることを特徴とする請求項1記載の安全計装システム。
  4. 前記補正値算出手段は、前記流量調節弁の現状のCV値に前記CV値損失値を加算することで修正後CV値を求め、前記第2のCV特性データまたはその逆特性データを用いて該修正後CV値に対応する前記流量調節弁の弁開度を求め、該求めた弁開度と前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値との差分を前記補正値として算出することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の安全計装システム。
  5. 前記補正手段は、加算器であり、
    前記補正後弁開度は、該加算器によって、前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値に前記補正値を加算したものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の安全計装システム。
  6. 任意の流体が流れる任意の配管上に流量調節弁と緊急遮断弁とが設けられ、更に該流量調節弁の弁開度を制御する為の弁開度指令値を該流量調節弁に対して出力する流量指示調節計が設けられた安全計装システムにおいて、
    制御装置を有し、
    該制御装置は、
    前記緊急遮断弁の弁開度状態を示す遮断弁情報を入力する入力手段と、
    予め前記緊急遮断弁の前記弁開度状態とCV値との関係を示す第1のCV特性データが記憶された遮断弁CV特性データ記憶手段と、
    予め前記弁開度指令値と前記流量調節弁のCV値との関係を示す第2のCV特性データが記憶された調節弁CV特性データ記憶手段と、
    前記緊急遮断弁に対するパーシャルストロークテスト実施時に、前記入力手段を介して入力される前記遮断弁情報と前記第1のCV特性データとに基づいて、該テストによる緊急遮断弁の閉動作に応じたCV値損失を求めるCV値損失算出手段と、
    前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値と前記第2のCV特性データとに基づいて、前記流量調節弁の現状のCV値を求める調節弁CV値算出手段と、
    前記緊急遮断弁におけるCV値損失と、前記流量調節弁の現状のCV値とに基づいて、系全体のCV値が変化しないようにする修正弁開度指令値を求める修正弁開度指令値算出手段と、
    前記流量指示調節計から出力される前記弁開度指令値の代わりに、前記修正弁開度指令値を前記流量調節弁に入力させる切替手段と、
    を有することを特徴とする安全計装システム。
  7. 修正弁開度指令値算出手段は、前記流量調節弁の現状のCV値に前記CV値損失値を加算して修正後CV値を求め、前記第2のCV特性データまたはその逆特性データを用いて該修正後CV値に対応する前記流量調節弁の弁開度を求め、該求めた弁開度を前記修正弁開度指令値とすることを特徴とする請求項6記載の安全計装システム。
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