JP5838656B2 - 熱間圧延材の巻取り装置及び巻取り方法 - Google Patents
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Description
また、圧延コイルのマンドレルからの抜き出し時におけるストリップ先端の垂れとストリップ尾端の巻き緩み及び垂れとを同時に抑制することを目的として、ストリップの先端位置と尾端位置との停止位置をそれぞれ所望の範囲内に規制するものもある(例えば、特許文献3参照)。
コイル抜き出し不能トラブルは、ストリップの板厚が10mm以上と比較的厚い場合に、巻取り終了時のストリップ先端位置が鉛直方向5時〜7時の位置となっていると発生する頻度が高い。これは、巻取り終了間際、尾端の巻き緩みを防止するためにクレードルロールで下方からコイルを一定荷重で支えているときに、マンドレルとクレードルロールとの間の限られた距離内に板厚の大きなストリップ先端部が入り込むことで、マンドレルとクレードルロールとの間の圧力が上昇することに起因する。
そこで、本発明は、コイルの抜き出し不能トラブルの発生頻度を低減し、熱間圧延設備の安定稼動を実現することができる熱間圧延材の巻取り装置及び巻取り方法を提供することを課題としている。
これにより、ストリップ尾端位置が上記基準位置となったときのストリップ先端位置が先端停止規制領域内であると判定した場合には、ストリップ先端位置が先端停止規制領域内となる前にマンドレルを停止することができる。したがって、巻取終了段階においてクレードルロールによってコイルを下方から支えているときに、マンドレルとクレードルロールとの間にストリップ先端部が入り込むのを確実に防止することができる。そのため、マンドレルとクレードルロールとの間の圧力上昇を防止し、コイル抜き出し不能トラブルの発生を効果的に抑制することができる。
これにより、ストリップ尾端位置が上記基準位置となったときのストリップ先端位置が先端停止規制領域におけるストリップの進行方向後方側に停止すると予測された場合には、ストリップ先端位置が先端停止規制領域内となる前にマンドレルを停止し、逆にストリップの進行方向前方側に停止すると予測された場合には、ストリップ先端位置が先端停止規制領域を通過した後にマンドレルを停止することができる。このように、ストリップ先端位置が先端停止規制領域内となるのを確実に回避することができる。また、尾端停止目標位置の基準位置からの変位量を抑制することができるので、ストリップ尾端位置が所望の停止位置から大きくずれるのを抑制することができる。
これにより、巻取り終了時におけるストリップ尾端の巻き緩みや垂れを、より効果的に防止することができる。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係る厚肉熱間圧延材の巻取り装置の全体構成を示す図である。
図中、符号Sは厚肉熱間圧延材(ストリップ)である。このストリップSは、図示しない仕上げ圧延機によって10mm以上の厚さに圧延され、図示しないランアウトテーブルで冷却されたものであり、ピンチロール1を経て巻取り機10でコイル状に巻き取られる。ピンチロール1は、ピンチロール回転検出器2aで検出したピンチロール1の回転速度に基づいて、演算処理装置20がピンチロール駆動電動機2bを駆動制御することで回転駆動される。
マンドレル11で巻き取ったコイル3の外巻面側には、周方向に所定間隔で複数(ここでは4つ)のラッパーロール13a〜13dが配設されている。これらラッパーロール13a〜13dは、それぞれコイル3の外巻面に対して接近及び離間可能に構成されている。
図2は、マンドレル回転制御処理手順を示すフローチャートである。このマンドレル回転制御処理は、コイル3の巻取終了段階で実行開始する。
先ず、ステップS1で演算処理装置20は、レーザセンサ14の検出信号をもとにストリップ尾端部を検出したか否かを判定する。具体的には、演算処理装置20は、レーザオフの状態からレーザオンに切り替わった瞬間を検出し、このときストリップSの尾端部がレーザセンサ14のレーザ光軸の位置を通過したものとして、ストリップ尾端部を検出したと判断する。そして、ストリップ尾端部を検出したと判断した場合にはステップS2に移行し、ストリップ尾端部を検出していない場合には検出するまで待機する。
尾端停止位置Bは、上述した尾端停止目標領域内で設定するものとし、マンドレル11の真下位置を0°とし、時計回り方向をプラス方向としたとき、例えば60°以上80°以下の領域内で設定する。ストリップSの板厚が10mm、コイル径が1500mmの場合、尾端停止位置Bは、例えば70°の位置とする。本実施形態では、図3に示すように、尾端停止位置Bをラッパーロール13bの手前に設定する。
したがって、ストリップ尾端位置が尾端停止位置Aにあるときの実際のストリップ先端位置を、尾端停止位置Aから尾端停止位置Bまでの距離に相当する分だけ、コイル内周上でストリップ先端部の進行方向前方に進めた位置を予測し、これを先端停止位置Cとする。
ステップS5では、演算処理装置20は、前記ステップS3で予測した先端停止位置Cを、NG領域外に設定された先端停止目標位置とするべくマンドレル11を回転したときの、ストリップ尾端位置の変位方向及び変位量を演算し、ステップS6に移行する。上記先端停止目標位置は、NG領域の手前で且つNG領域に最も近接する位置とする。
ステップS6では、演算処理装置20は、前記ステップS5で演算した変位方向及び変位量に基づいて、最終的にストリップ尾端部が停止する位置である尾端停止目標位置を決定する。具体的には、基準位置である尾端停止位置Bを上記変位方向に上記変位量だけ変位させた位置Dを尾端停止目標位置として決定する。
そして、ステップS8では、演算処理装置20は、マンドレル11を再び回転し、実際のストリップ尾端位置が尾端停止目標位置となったときにマンドレル11の回転を停止する。このように、ストリップ尾端位置を尾端停止目標位置で停止させる2回目の尾端停止制御を行ってから、マンドレル回転制御処理を終了する。
次に、第1の実施形態の動作について、図6を参照しながら説明する。
巻取終了段階では、コイル3の外巻面から離間されていたラッパーロール13a〜13dをコイル3の外巻面に接近させ、コイル3の外巻面に押し付ける。そして、ストリップSの尾端部がピンチロール1から抜け出し、その後、レーザセンサ14のレーザ受光器14bがレーザ投光器14aからのレーザ光を受光し、レーザオンとなると、演算処理装置20はストリップ尾端部を検出したと判断する(図2のステップS1でYes)。
このとき、図6に示すように、ストリップ先端位置CがNG領域内に位置している場合には(ステップS4でYes)、NG領域の手前で且つNG領域に最も近接する位置を先端停止目標位置Eとする。そして、予測したストリップ先端位置Cを先端停止目標位置Eとするべくマンドレル11を回転させたときのストリップ尾端位置の変位方向及び変位量を演算する(ステップS5)。図6に示す例では、上記変位方向は時計回り方向(プラス方向)であり、上記変位量は、ストリップ先端位置Cから先端停止目標位置Eまでのコイル内周上における長さΔLに相当する。そのため、この場合、尾端停止目標位置は、尾端停止位置BをΔLだけ時計回り方向(プラス方向)に変位させた位置Dとなる(ステップS6)。
一般に、巻取り終了間際、尾端の巻き緩みを防止するためにストリッパーカーを上昇させ、クレードルロールでコイルの外巻面を下方から一定荷重で支えるようになっている。そのため、クレードルロールでコイルを下方から一定荷重で支えているときに、マンドレルとクレードルロールとの間の限られた距離内に板厚の大きなストリップ先端部が入り込むと、マンドレルとクレードルロールとの間の圧力が上昇し、マンドレルをコイルから引き抜く際に抜き出し不能となってしまう。
このように、上記第1の実施形態では、板厚10mm以上の厚肉熱間圧延材をマンドレルにてコイル状に巻き取る際、ストリップ先端・尾端の両方の停止位置が所望の範囲内となるように規制することができる。このとき、ストリップ先端を−30°〜+30°の先端停止規制領域内に停止させないようにするので、コイル抜き出し不能トラブルの発生頻度を低減することができる。また、ストリップ尾端を尾端停止目標領域内に停止させることで、巻取り終了時の緩みや垂れを防止することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態とは先端停止目標位置の設定方法が異なるものである。
(構成)
第2の実施形態の演算処理装置20が実行するマンドレル回転制御処理は、図2に示すマンドレル回転制御処理において、ステップS5の処理が異なることを除いては図2と同様の処理を行う。そのため、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS5では、演算処理装置20は、NG領域外で且つNG領域に最も近接する位置のうち、前記ステップS3で予測した先端停止位置Cに近い方を先端停止目標位置とする。そして、先端停止位置Cを当該先端停止目標位置とするべくマンドレル11を回転したときのストリップ尾端位置の変位方向及び変位量を演算し、前記ステップS6に移行する。
次に、第2の実施形態の動作について、図7を参照しながら説明する。
巻取終了段階にて、演算処理装置20がストリップ尾端位置を検出すると(図2のステップS1でYes)、先ず1回目の尾端停止制御により、実際のストリップ尾端位置がラッパーロール13aの手前に設定された第1の尾端停止位置Aとなったときに、マンドレル11の回転が一時停止される(ステップS2)。次に、演算処理装置20は、ストリップ尾端位置が、ラッパーロール13bの手前に設定された第2の尾端停止位置Bとなったときのストリップ先端位置Cを予測する(ステップS3)。
このように、上記第2の実施形態では、先端停止目標位置を、先端停止規制領域外で且つ先端停止規制領域に最も近接する位置のうち、ストリップ尾端位置が基準位置となったときのストリップ先端位置に近い方とするので、尾端停止目標位置の基準位置からの変位量を抑えることができる。そのため、最終的なストリップ尾端位置が上記基準位置から大きくずれるのを抑制することができ、巻取り終了時におけるストリップ尾端の巻き緩みや垂れを効果的に抑制することができる。
Claims (6)
- 板厚10mm以上の厚肉熱間圧延材を周方向に所定間隔で複数のラッパーロールを配設するマンドレルでコイル状に巻き取り、前記厚肉熱間圧延材の尾端部がコイル外側に垂れたり暴れたりするのを防止し、かつ、コイル抜き出し不能の発生頻度を低減する熱間圧延材の巻取り装置であって、
前記厚肉熱間圧延材の先端部及び尾端部を検出するレーザセンサと、
該レーザセンサの検出信号をもとに、巻取り後のコイル外周上における前記厚肉熱間圧延材の尾端位置を検出する尾端位置検出手段と、
前記コイル外周上における前記厚肉熱間圧延材の尾端を停止する第1の尾端停止制御手段及び第2の尾端停止制御手段とからなり、
前記第1の尾端停止制御手段は、前記厚肉熱間圧延材の尾端位置が前記ラッパーロールの手前に予め設定された停止位置となったときに前記マンドレルの回転を停止するものであり、
前記第2の尾端停止制御手段は、前記第1の尾端停止制御手段による尾端停止制御の後、前記厚肉熱間圧延材の巻取り終了時にクレードルロールでコイルの外巻面を下方から支える領域であって、前記マンドレルの鉛直方向真下位置を0°とし、時計回り方向をプラス方向としたとき、コイル内周上における−30°以上30°以下の領域を先端停止規制領域として設定するとともに、コイル内周上における前記厚肉熱間圧延材の先端位置が、コイル内周上で予め設定された前記先端停止規制領域から外れるときの前記コイル外周上における前記尾端位置を、コイル外周上で予め設定された尾端停止目標領域内で尾端停止目標位置として決定し、前記尾端位置検出手段で検出したコイル外周上における尾端位置が、前記尾端停止目標位置となるように、前記マンドレルの回転の停止を制御することを特徴とする熱間圧延材の巻取り装置。 - 前記コイル外周上における尾端位置が前記尾端停止目標領域内のコイル外周上における所定の基準位置となったときの前記コイル内周上における先端位置を予測する先端位置予測手段と、
前記先端位置予測手段で予測した前記コイル内周上における先端位置が、前記先端停止規制領域内に位置するか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記第2の尾端停止制御手段は、
前記判定手段で前記コイル内周上における先端位置が前記先端位置停止規制領域から外れる位置に位置すると判定したとき、前記コイル外周上における前記基準位置を前記コイル外周上における尾端停止目標位置として決定し、前記判定手段で前記コイル内周上における先端位置が前記先端位置停止規制領域の内部に位置すると判定したとき、前記先端位置予測手段で予測した前記コイル内周上における先端位置を前記先端位置停止規制領域から外れるコイル内周上における所定の先端停止目標位置とするべく前記マンドレルを回転させ、前記マンドレルの回転に伴う前記コイル外周上における尾端位置の変位方向及び変位量を演算し、前記コイル外周上における前記基準位置を前記変位方向に前記変位量だけ変位させた位置を前記コイル外周上における尾端停止目標位置として決定することを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延材の巻取り装置。 - 前記コイル内周上における先端停止目標位置は、前記先端停止規制領域外で、且つ前記先端停止規制領域に最も近接する位置のうち、前記コイル内周上における先端位置の進行方向の後方側に位置する方に設定することを特徴とする請求項2に記載の熱間圧延材の巻取り装置。
- 前記コイル内周上における先端停止目標位置は、前記先端停止規制領域外で、且つ前記先端停止規制領域に最も近接する位置のうち、前記先端位置予測手段で予測した前記コイル内周上における先端位置から近い方に設定することを特徴とする請求項2に記載の熱間圧延材の巻取り装置。
- 前記基準位置は、前記マンドレルの鉛直方向真下位置を0°とし、時計回り方向をプラス方向としたとき、コイル外周上における60°以上80°以下の領域内で設定することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の熱間圧延材の巻取り装置。
- 板厚10mm以上の厚肉熱間圧延材を周方向に所定間隔で複数のラッパーロールを配設するマンドレルでコイル状に巻き取り、前記厚肉熱間圧延材の尾端部がコイル外側に垂れたり暴れたりするのを防止し、かつ、コイル抜き出し不能の発生頻度を低減する熱間圧延材の巻取り方法であって、
前記厚肉熱間圧延材の尾端部を検出するステップと、
該尾端部を検出した検出信号をもとに、巻取り後のコイル外周上における前記厚肉熱間圧延材の尾端位置を検出するステップと、
前記コイル外周上における前記厚肉熱間圧延材の尾端を停止する第1の尾端停止制御ステップ及び第2の尾端停止制御ステップとからなり、
前記第1の尾端停止制御ステップは、前記厚肉熱間圧延材の尾端位置が前記ラッパーロールの手前に予め設定された停止位置となったときに前記マンドレルの回転を停止するものであり、
前記第2の尾端停止制御ステップは、前記第1の尾端停止制御ステップの後、前記厚肉熱間圧延材の巻取り終了時にクレードルロールでコイルの外巻面を下方から支える領域であって、前記マンドレルの鉛直方向真下位置を0°とし、時計回り方向をプラス方向としたとき、コイル内周上における−30°以上30°以下の領域を先端停止規制領域として設定するとともに、コイル内周上における前記厚肉熱間圧延材の先端位置が、コイル内周上で予め設定された前記先端停止規制領域から外れるときの前記コイル外周上における前記尾端位置を、コイル外周上で予め設定された尾端停止目標領域内で尾端停止目標位置として決定し、前記コイル外周上における尾端位置が、前記尾端停止目標位置となるように、前記マンドレルの回転の停止を制御することを特徴とする熱間圧延材の巻取り方法。
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