JP5837993B2 - 堆積物の沈着が少ない炭酸カルシウム含有物質の水性懸濁液 - Google Patents

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Description

本発明は、炭酸カルシウムを含む物質の水性懸濁液に関し、さらに具体的には、スラリーが、異なる電極電位を有する導電性の表面に接触しているとき、または直流(DC)電界にさらされているときに、導電性の表面に形成される堆積物の量が減少する、炭酸カルシウムを含む物質の水性懸濁液に関する。
新たに粉砕された、分散していない炭酸カルシウムの表面は、弱く正の電荷を帯び、pH値は約8から9である。しかし、炭酸カルシウムを含む物質の水性懸濁液の調製において、当業者はしばしば、この懸濁液の1つまたは複数の特性を調整するために添加剤を選定して投入する必要がある。例えば、固形分の多い懸濁液は、対応する分散剤を加えた場合のみ処理することができる。添加剤の選定にあたって当業者は、添加剤の費用効率が高いままで、懸濁液を川下で輸送や処理、利用する際に望ましくない相互作用や影響がもたらされないことを考慮しなければならない。
ポリアクリル酸ナトリウムや、とりわけポリリン酸ナトリウムなどの分散剤を加えると、粒子上に負の電荷を発生させるという点で、懸濁液中の炭酸カルシウム粒子の表面電荷に影響を与える。この効果を利用して、US5,171,409に記載されているように、懸濁液から固形粒子を分離することができる。
しかし、このように分散した炭酸カルシウムを含有する懸濁液は、この懸濁液の生産や貯蔵、輸送の間に深刻な問題を引き起こすことがある。粉砕機や貯蔵タンクなど、炭酸カルシウムを含有する懸濁液の調製および貯蔵に関与する生産設備や貯蔵設備は通常、性質の異なる鋼鉄または合金からなる。例えば、溶接継手にはしばしば、主に使用されている鋼鉄の性質とは異なる合金が用いられる。棒鋼圧延機内の棒材は、鋼鉄の性質が圧延機の壁とは異なる。このような、負の電荷を帯びた固形粒子を伴う炭酸カルシウムを含有する懸濁液が、標準電極電位の異なる2種類以上の異種金属または合金に接触している場合、ガルバニック対が形成され、これによって陽極側の金属上に炭酸カルシウムの堆積物が形成される。
さらに、電位差が発生するのは金属の性質が異なるためだけでなく、タンクの撹拌機用電気モーターなどの電動設備で、アースが適切に取られていないことも原因になる。例えば、貯蔵タンク内の撹拌機を電動モーターで動かしているとき、モーターから懸濁液を通じて電位差が生じているタンク壁へと漏れ電流または迷走電流が流れる恐れがある。多くの場合、このような電位差は、鋼鉄の性質を変えたり、電気機器を交換したりしても避けることができない。しかし、たいていはこのような電位差は注目もされず、もしくはこのような電位差が存在することも全く知られていない。
堆積物の形成は、陽極側の金属の腐食を促進することがあり、また、鉄金属の腐食によって生じた酸化鉄により、懸濁液が変色する恐れもある。この問題は、炭酸カルシウムを含有する懸濁液の固形分が増加するとさらに悪化し、特に、固形分が多い炭酸カルシウムを含有する懸濁液中、即ち懸濁液の全重量に基づいて固形分が45重量%を超える懸濁液中で顕著になる。
このような電気化学反応を抑え、克服できる可能性があり、当技術分野において知られていることの1つは、懸濁液のpH値の調整である。しかし、炭酸カルシウムを含有する物質の懸濁液においてpHを調整すると、懸濁液中での凝集または粘度上昇または酸に敏感な物質の一部の溶解、もしくはこの組合せなど、望ましくない影響を及ぼす恐れがある。従ってpH調整は、生産設備の壁もしくは配管、または貯蔵タンクの壁などの金属表面に炭酸カルシウムを含有する懸濁液から堆積物が形成されるのを抑え、または防ぐための選択肢にはならない。
WO2004/041882およびWO2004/041883には、炭酸カルシウムなどの鉱物質を粉砕したものの弱いイオン性の水性懸濁液が開示されている。櫛形ポリマーを含む低電荷のアクリレートまたはマレイネート(maleinate)を加えた沈降炭酸カルシウムを調製する方法がWO2010/018432に記載されている。
米国特許第5171409号明細書 国際公開第2004/041882号 国際公開第2004/041883号 国際公開第2010/018432号
従って、炭酸カルシウムを含有する物質のスラリーから堆積物が形成されるのを抑制、低減または防止する添加剤が必要とされている。
従って本発明の目的は、特に懸濁液が異なる金属表面に接触している場合、またはガルバニック対の形成、漏れ電流および/または迷走電流の流れにより生じる可能性のある電界にさらされている場合に、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリーから、金属表面に堆積物が形成されるのを抑制、低減または防止する添加剤を提供することである。また、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリーによる金属腐食を低減または防止する添加剤を提供することが望ましいであろう。さらに、電気伝導度など懸濁液の他の物理特性に対して受け入れられないような影響を与えない添加剤を提供することが望ましいであろう。また、堆積物の形成を抑制、低減または防止し、および/または金属腐食を低減もしくは防止するだけでなく、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリーの粘度を変え、従って分散剤の添加を考慮しなくても良くなる添加剤を提供することが望ましいであろう。
本発明の別の目的は、特に懸濁液が異なる金属表面に接触している場合、および/またはガルバニック対の形成、漏れ電流および/または迷走電流の流れにより生じる可能性のある電界にさらされている場合に、堆積物を金属表面に形成する傾向がほとんど、または全くない炭酸カルシウム含有物質を含む水性の懸濁液またはスラリーを提供することである。また、流体であり、従って炭酸カルシウム固形物を非常に多量に含むことができる炭酸カルシウム含有物質の水性スラリーを提供することが望ましい。
前述および他の目的は、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中に堆積防止剤として少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを使用することにより解決され、ここで少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、pH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有し、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーの電気伝導度は、25℃で500μS/cm未満である。
本発明の別の態様によれば、堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーは、炭酸カルシウム含有物質および少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含んで提供され、ここで少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの比電荷は、pH8において−10C/gから−250C/g、スラリーのブルックフィールド粘度は、20℃で25から5000mPa・s、スラリーの電気伝導度は、25℃で500μS/cm未満である。
本発明のさらに別の態様によれば、堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーを製造する方法が以下のステップを含んで提供される。
a)炭酸カルシウム含有物質を提供するステップ。
b)水を提供するステップ。
c)少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを提供するステップ。ここで、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの比電荷は、pH8において−10C/gから−250C/g。
d)ステップa)の炭酸カルシウム含有物質をステップb)の水に接触させるステップ。
e)ステップc)のポリマーを、ステップd)の前、もしくは間、もしくは後、またはこの組合せにおいて炭酸カルシウム含有物質に接触させるステップ。
ここで、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、得られる水性スラリーの導電率が25℃で500μS/cm未満になるような量で加える。
本発明のさらに別の態様によれば、炭酸カルシウム含有複合粒子を製造する方法が提供され、この方法には堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーを製造する本発明の方法のステップa)からe)が含まれ、さらに、ステップe)で得られたスラリーを乾燥するステップf)が含まれる。
本発明のさらに別の態様によれば、紙、プラスチック、塗料および/または農業の用途において、本発明による堆積物および/または腐食が低減されるスラリーを使用することができる。
本発明の有利な実施形態は、対応する従属請求項に記載されている。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの比電荷は、pH8において−10C/gから−200C/gであり、pH8において−10C/gから−150C/gが好ましく、pH8において−10C/gから−135g/Cがより好ましく、−10C/gから−100C/gが最も好ましい。
1つの実施形態によれば、炭酸カルシウム含有物質は、粉砕された炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムまたは、これらの混合物である。別の実施形態によれば、炭酸カルシウム含有物質の重量中央粒径d50は、0.1から100μm、0.25から50μm、または0.3から5μmであり、好ましくは0.4から3.0μmである。
1つの実施形態によれば、スラリーの固形分は、水性スラリーの全重量に基づいて45から82重量%であり、60から78重量%が好ましく、70から78重量%がより好ましい。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、式(I)の構造単位を含み、
Figure 0005837993
式中、R、R、R、R、R、Rは、水素または、好ましくは1から40個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、
Xは、負の電荷を帯びた官能基であり、
Yは、結合官能基(functional linkage group)を表し、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群から独立して選択され、
Zは、正の電荷を帯びた官能基であり、
およびRは、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、
は、水素、または1から40個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、
a、b、cおよびdは、5から150の値を有する整数で、a、b、cまたはdのうちの少なくとも1つは0よりも大きい値を有し、
n、m、oは、アニオン電荷を持つポリマーがpH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有するように選択される。別の実施形態によれば、スラリーは、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で含み、0.05から5重量%が好ましく、0.1から3重量%がより好ましく、0.2から2.0重量%がさらにより好ましく、0.25から1.5重量%または0.5から1.25重量%が最も好ましい。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーのブルックフィールド粘度は、20℃で25から5000mPa・sであり、20℃で50から2000mPa・sが好ましく、20℃で80から1000mPa・sがより好ましく、20℃で100から700mPa・sが最も好ましい。別の実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーの電気伝導度は、25℃で50から500μS/cmであり、25℃で70から300μS/cmが好ましく、25℃で80から250μS/cmがより好ましく、25℃で100から200μS/cmが最も好ましい。
1つの実施形態によれば、スラリーが同じ時間、異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、または直流(DC)電界にさらされているときに、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含まないが同じ固形分および粘度を有するスラリーに比べて、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーでは、導電性の表面に形成される堆積物の量が減少する。別の実施形態によれば、スラリーが同じ時間、異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、またはDC電界にさらされているときに、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーによって導電性の表面に形成される堆積物の量は、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含まないが同じ固形分および粘度を有するスラリーによって形成される堆積物の量の10重量%未満であり、5重量%未満が好ましく、2重量%未満がより好ましく、1重量%未満が最も好ましい。さらに別の実施形態によれば、スラリーが異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、またはDC電界にさらされているときに、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーによって導電性の表面には、いかなる堆積物も形成されない。さらに別の実施形態によれば、電界のDC電圧は1から50mV、および/またはアンペア数は0.1から250mAである。
1つの実施形態によれば、スラリーには、pH8において−250C/gを超える比電荷を有する添加剤を含まない。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、堆積物および/または腐食を低減する水性スラリー中に、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で存在し、0.05から5.0重量%が好ましく、0.1から3.0重量%がより好ましく、0.2から2.0重量%がさらにより好ましく、0.25から1.5重量%または0.5から1.25重量%が最も好ましい。別の実施形態によれば、堆積物および/または腐食を低減する水性スラリー中の水性スラリーの固形分は、水性スラリーの全重量に基づいて45から82重量%であり、60から78重量%が好ましく、70から78重量%がより好ましい。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、得られる水性スラリーが20℃で25から5000mPa・sのブルックフィールド粘度を有するような量で加える。別の実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で存在し、0.05から5.0重量%が好ましく、0.1から3.0重量%がより好ましく、0.2から2.0重量%がさらにより好ましく、0.25から1.5重量%または0.5から1.25重量%が最も好ましい。
本発明において「炭酸カルシウム含有物質」という用語は、炭酸カルシウム含有物質の全重量に基づいて炭酸カルシウムを少なくとも80重量%含む物質を指す。
「比電荷」という用語は、pH値が8のときの特定の量のポリマー中の電荷の量をC/gで示したものを指す。比電荷は、pH値8で比電荷がゼロになるまでカチオン性ポリマーを用いて滴定することにより求めることができる。
本発明による「導電率」は、以下の実施例の項で定義する測定方法に従って測定される炭酸塩含有物質の水性懸濁液の電気伝導度を意味するものとする。導電率はμS/cmで示し、25℃で測定してもよい。
本発明の意味において「堆積物」は、表面に残った固形物質の蓄積物または沈着物である。堆積物は炭酸カルシウムを含むことが好ましい。
本発明において「電界」という用語は、任意の種類の電源により引き起こされる可能性のある電界、またはガルバニック対の形成、漏れ電流および/もしくは迷走電流の流れにより生じる可能性のある電界を指す。電界はガルバニック対の形成により生じることが好ましく、ここで炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリーは、異なる標準電極電位、例えば、異なる直流(DC)標準電極電位を有する異種金属、合金または他の導電性の物質の2つ以上に接触している。別の好ましい実施形態では、電界は、電源が同じで分離された2つの導電性電極(例えば金属)へ一種の直流(DC)電流を流すことにより引き起こされる。
本発明による「標準電極電位」は、参照電極として標準水素電極を用い、溶質濃度1モル(M)、気体圧力1気圧、温度25℃で求める。
「粉砕された炭酸カルシウム(ground calcium carbonate)」(GCC)は本発明の意味において、石灰石、大理石、方解石、白亜などの天然物から得られ、粉砕、ふるい分け、および/または、例えばサイクロンや分級機による分別などの湿式および/または乾式処理を通じて加工された炭酸カルシウムである。
本明細書全体にわたり、炭酸カルシウム生成物の「粒径」は、粒径の分布で表される。dの値は、d未満の直径を有する粒子が重量でx%となる直径を表す。これが意味するところは、d20の値は、全粒子の20重量%がこれよりも小さい粒径であり、d75の値は、全粒子の75重量%がこれよりも小さい粒径であるということである。従って、d50の値は重量中央粒径であり、即ち全粒子の50重量%は、この粒径よりも大きいか、または小さい。本発明において特に記載のない限り、粒径は重量中央粒径d50として示す。0.4から2μmのd50の値を有する粒子の重量中央粒径d50の値を求めるためには、Micromeritics社(米国)製Sedigraph5120装置を用いることができる。
本発明において、「アニオン電荷を持つ櫛形ポリマー」という用語は、炭酸基および/または他の酸基が遊離酸または遊離酸の塩の形、即ちカルボン酸イオンの形で結合している主鎖(バックボーンとも呼ばれる。)ならびに、場合により炭化水素鎖で末端を封鎖したポリアルキレンオキシドを含む側鎖から構成された櫛の形をしたポリマーを指す。ポリアルキレンオキシドの側鎖は、エステル結合、アミド結合またはエーテル結合を介して主鎖に結合させることができる。炭酸基およびポリアルキレンオキシドの側鎖に加えてさらに、官能基または非官能基、例えば四級アンモニウム基などの正の電荷を帯びた官能基を主鎖に結合させることができる。本発明において用いられる「アニオン電荷を持つ」という用語は、櫛形ポリマーが、負の全電荷または実効電荷を有する、即ちすべての正および負の電荷の合計が負であることを意味すると理解される。言い換えれば櫛形ポリマーは、アニオン電荷を持つ官能基または残基を過剰に持たなければならない。これは、本発明のアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、全電荷または実効電荷が負、即ち櫛形ポリマーがアニオンである限り、正および負の両方の電荷を帯びた官能基または残基、即ちカチオンおよびアニオンの官能基または残基を含んでもよいことを意味する。例えば、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、アニオン電荷を持つ官能基もしくは残基のみを含んでもよく、またはアニオン電荷およびカチオン電荷を持つ官能基もしくは残基を含んでもよく、従って両性の性質を有してもよい。
本発明の意味において「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は合成された物質で、一般に水性の環境中において二酸化炭素と石灰との反応に続いて沈降させることにより、または水中でカルシウムおよび炭酸イオン源を沈降させることにより得られる。PCCはバテライト、カルサイトまたはアラゴナイトでもよい。
本発明の意味において「懸濁液」または「スラリー」は、不溶性の固形物および水、場合によりさらに添加剤を含み、通常大量の固形物を含むため粘性があり、もとの液体よりも密度が高くなることがある。
本発明において「粘度」という用語は、ブルックフィールド粘度を指す。本発明によれば、ブルックフィールド粘度の測定は、1分間撹拌した後、RVT型ブルックフィールド(商標)粘度計を使用し、温度20℃、回転速度100rpm(回転/分)で、No.1から5の適切なディスクスピンドルを用いて行う。
アニオン電荷を持つ櫛形ポリマー
本発明によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中で堆積防止剤として用い、ここで、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの比電荷は、pH8において−10C/gから−250C/gである。アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、主鎖(バックボーンとも呼ばれる。)およびこれに結合している側鎖から構成された、櫛の形をしたポリマーである。
驚いたことに本発明者らは、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中でpH8において−10C/gから−250C/gのアニオンの比電荷を有する少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを用いると、このスラリーによる金属表面での堆積物の形成および/または腐食を低減または防止できることを見出した。このような堆積物は、スラリーが異なる標準電極電位を有する金属表面などの導電性の表面に接触しており、これによりガルバニック対が形成され、従って電界が生じるとき、または、DC電圧が印加されたり、または漏れ電流が流れたり、もしくは迷走電流が直接流れたりする結果生じる可能性のある電界にスラリーがさらされているときに形成されることがある。金属表面での堆積物の形成は、この金属表面の腐食を促進する可能性があるため、堆積物の低減または防止によってもまた、金属表面の腐食を低減または防止することができる。
さらに驚いたことに本発明者らは、本発明のアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを、固形物の多い炭酸カルシウムのスラリーに加えてもスラリーの電気伝導度は大幅に変わることはなく、むしろ低いままであることを見出した。
いかなる理論によっても制限されることなく、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、負の電荷を帯びた主鎖(ポリマーバックボーンとも呼ばれる。)により、弱く正の電荷を帯びた炭酸カルシウム粒子に吸着されると考えられる。さらに、吸着されたアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの側鎖は、粒子間の立体反発および/または浸透圧反発の原因となり、これにより炭酸カルシウム含有物質のスラリーを立体的および/または浸透圧的に安定させることがある。
1つの実施形態によれば、炭酸カルシウム物質を含む水性スラリー中で堆積防止剤として少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを用いると、スラリーが同じ時間、異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、またはDC電界にさらされているときに、本発明によるアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは少なくとも使用していないが同一であるスラリーと比べて、導電性の表面に形成される堆積物の量が減少するスラリーになる。
本発明の例示的な実施形態の1つによれば、スラリーが同じ時間、異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、またはDC電界にさらされているときに、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーによって導電性の表面に形成される堆積物の量は、本発明によるアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含まないが同じ固形分および同じ粘度を有するスラリーによって形成される堆積物の量の10重量%未満であり、5重量%未満が好ましく、2重量%未満がより好ましく、1重量%未満が最も好ましい。
例えばスラリーは、異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触していてもよく、または1分間、5分間、10分間、30分間、1時間、12時間、24時間、48時間、1週間、2週間もしくは1カ月間、DC電界にさらされてもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、スラリーが異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、またはDC電界にさらされているときに、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーによって導電性の表面には、いかなる堆積物も形成されない。
導電性の表面の例には、銅、ステンレス鋼、真鍮、炭素鋼、クロム鋼の合金またはグラファイトを含む表面がある。本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの導電性の表面は、金属または金属合金の表面である。
本発明の1つの実施形態によれば、電界は、ガルバニック対の形成、漏れ電流の流れおよび/または迷走電流の流れにより生じる。電界の電圧およびアンペア数は、電界の発生源に応じて変わることがある。1つの実施形態による電界のDC電圧は、1から50mV、2から40mV、5から35mVもしくは10から20mV、および/またはアンペア数は、0.1から250mA、1から150mA、10から100mAもしくは20から60mAである。
少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの主鎖は、不飽和モノ炭酸もしくはジ炭酸または他の酸、不飽和炭酸エステル、不飽和炭酸アミド、アリルエステルまたはビニルエーテルのコポリマーを含んでもよい。もしくはアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの主鎖は、多糖類誘導ポリマーを含むカルボキシル基または多糖類誘導ポリマーを含む他の酸基でもよく、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
本発明により用いられる少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、不飽和モノ炭酸またはジ炭酸を、不飽和炭酸エステル、不飽和炭酸アミド、アリルエーテルまたはビニルエーテルと共重合させることにより得ることができて、ここで炭酸は、遊離酸の形および/または遊離酸の塩の形で存在してもよい。もしくはアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、ポリマー−類似反応により生成してもよく、ここで、潜在的な、または遊離したカルボキシル基を含むポリマーは、部分的なアミド化、または場合によっては、カルボキシル基のエステル化を促進する条件下で、アミン官能基またはヒドロキシル官能基を含む1つまたは複数の化合物と反応する。
アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの側鎖は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブチレンオキシド、フェニル−エチレンオキシドなどのエポキシドを含有する重合化合物を含んでもよい。ポリエーテル側鎖は、ポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド、またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含む混合したコポリマーを含み、これらの自由末端にヒドロキシル基、一級アミノ基または1から40個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を有するのが好ましく、1から4個の炭素原子を有する直鎖のアルキル基が好ましい。このようなアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの固有粘度は、10から100ml/gでもよく、15から80ml/gが好ましく、20から70ml/gが最も好ましい。ポリマー中の炭酸基または他の酸基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または価電子が2もしくは3個の他の金属のイオンの塩、アンモニウムイオン、有機アンモニウム基またはこれらの混合物によって部分的または完全に中和されていてもよい。
本発明において用いることができるアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、US2009/0199741A1、US6,387,176B1、EP1136508A1、EP1138697A1、EP1189955A1およびEP0736553A1に記載されている。これらの文書では、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを生成する方法ならびにセメントなどの鉱物をベースにした結合剤でのこれらの利用について開示されている。また、適したアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、ウェブサイトwww.sika.comで入手できる製品カタログ「SIKA ViscoCrete(登録商標)、selbstverdickender Beton SCC」に記載されている。
バックボーン上にアニオン電荷を持ち、非帯電側鎖を備えた合成ポリマーを、充填材用および顔料用の分散剤としてMelPers(登録商標)という商品名でBASF(ドイツ)から入手できる。上記合成ポリマー内のアニオンおよび立体の特性を持つアンカー基は、以下に電気立体分散機構として記載される効果につながる。この分散剤は、ナノスケールの固体系で用いられるのが好ましい。
EP1761609B1には、ポリマーバックボーンおよびポリ−(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)側鎖を含むアクリル酸を有する櫛形分岐コポリマー分散剤が記載されている。この添加剤の分子量は90000g/モル、ポリアルキレンオキシド側鎖の分子量は3000g/モル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの比は66.8/28.7である。
US2011/031652には、エトキシル化アクリル酸ポリマーである市販されている櫛形ベースのコポリマーがセッコウ用の分散剤として記載されている。このような櫛形ポリマーの別の例がWO2011/028817に記載されている。
これらの文書では、このようなポリマーを炭酸カルシウム含有物質の水性スラリー中で堆積防止添加剤として使用することについては言及していない。これとは反対にこれらの文書は主に、コンクリートおよびセッコウの調製について触れている。従って本発明者らは、このようなアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが堆積防止剤として用いることができることを見出したとき非常に驚いた。
本発明の意味において堆積防止添加剤として使用できる可能性のあるアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの別の例として、BASF Construction Polymers,GmbH(ドイツ、トローストベルク)によるMELFLUX(登録商標)分散剤シリーズ、CoAtex,LLC(サウスカロライナ州チェスター)によるETHACRYL(登録商標)M分散剤、またはKao Specialties Americas,LLC(ノースカロライナ州ハイポイント)によるMIGHTY EG(登録商標)分散剤のポリマーがある。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、式(I)の構造単位を含み、
Figure 0005837993
上式で、R、R、R、R、R、Rは水素または、好ましくは1から40個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、
Xは、負の電荷を帯びた官能基であり、
Yは結合官能基を表し、エーテル、エステル、アミドからなる群から独立して選択され、
Zは、正の電荷を帯びた官能基であり、
およびRは水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、
は水素、または1から40個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、
a、b、c、dは5から150の値を有する整数で、a、b、c、dのうちの少なくとも1つは0よりも大きい値を有し、
n、m、oは、アニオン電荷を持つポリマーがpH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有するように選択される。
1から40個の炭素原子を有するアルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec.−ブチル、tert.−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ドデシル、オクタデシルがある。アルキル基は、1つまたは複数のハロゲン基の置換基、例えばF、ClまたはBrで置換されてもよく、および/またはアクリルオキシ基、アミノ基、アミド基、アルデヒド基、カルボキシ基、シアノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、ケトン基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、リン酸基、スルホン酸基またはビニル基のうちの1つまたは複数の置換基で置換されてもよい。
本発明の1つの実施形態によれば、R、R、R、R、R、Rは、水素または1から20個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、1から10個の炭素原子が好ましく、1から6個の炭素原子がより好ましい。好ましい実施形態によれば、R、R、R、R、R、Rは水素またはメチルから独立して選択される。本発明の別の実施形態によれば、R、R、Rは水素である。本発明のさらに別の実施形態によれば、R、R、Rのうちの1つまたは複数はXである。
本発明の1つの実施形態によれば、Xにはエステル、アミドまたはエーテルの官能基が含まれる。本発明の好ましい実施形態によれば、Xはリン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基およびこれらの混合物からなる群から選択される。
本発明の1つの実施形態によれば、Yはリン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、硫酸エステル基、スルホン酸エステル基、カルボン酸エステル基、リン酸アミド基、ホスホン酸アミド基、硫酸アミド基、スルホン酸アミド基およびカルボン酸アミド基からなる群から独立して選択される結合官能基を表す。
本発明の1つの実施形態によれば、Zは四級アンモニウム基を表す。
本発明の1つの実施形態によれば、Rは1から28個、好ましくは1から18個、より好ましくは1から6個、最も好ましくは1から3個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル鎖である。好ましい実施形態によれば、Rは水素またはメチルである。
1つの実施形態によれば、および/またはbおよび/またはcは7から120の値を有する。本発明の別の実施形態によれば、a、b、c、dは、5≦(a+b+c)・d≦150となるように、好ましくは10≦(a+b+c)・d≦80となるように選択される。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの構造単位の総量に基づいて、式(I)の構造単位を少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも98モル%、最も好ましくは99モル%含む。本発明の別の実施形態によれば、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、式(I)の構造単位からなる。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、実施例で記載する方法により求めた100ml/g以下の固有粘度を特徴とし、10から100ml/gが好ましく、15から80ml/gがより好ましく、20から70ml/gが最も好ましい。
本発明の少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、pH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有する。本発明の1つの実施形態によれば、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの比電荷はpH8で測定したとき−10C/gから−200C/gであり、−10C/gから150C/gが好ましく、−10C/gから135C/gがより好ましく、−10C/gから−100C/gが最も好ましい。
本発明によれば、「少なくとも1つの」アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーという表現は、1つまたは複数のアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中で堆積防止剤として使用されてもよいことを意味する。1つの実施形態によれば、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマー1つだけが、堆積防止剤として炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中で用いられる。別の実施形態によれば、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを少なくとも2つ混合した物が堆積防止剤として炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中で用いられる。
本発明の少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、堆積防止剤として炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中で用いられ、ここで少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーの電気伝導度は、25℃で500μS/cm未満である。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーの電気伝導度は、25℃で50から500μS/cmであり、25℃で70から300μS/cmが好ましく、25℃で80から250μS/cmがより好ましく、25℃で100から200μS/cmが最も好ましい。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーのブルックフィールド粘度は、20℃で25から5000mPa・sであり、20℃で50から2000mPa・sが好ましく、20℃で80から1000mPa・sがより好ましく、20℃で100から700mPa・sが最も好ましい。好ましくは、1分間撹拌した後に回転速度100rpm、温度約20℃で測定したスラリーのブルックフィールド粘度は、25から5000mPa・sである。より好ましくは、1分間撹拌した後に回転速度100rpm、温度約20℃で測定したスラリーのブルックフィールド粘度は、80から1000mPa・sまたは100から700mPa・sである。
少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、水性スラリー中でスラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で用いられてもよく、0.05から5重量%が好ましく、0.1から3重量%がより好ましく、0.2から2.0重量%がさらにより好ましく、0.25から1.5重量%または0.5から1.25重量%が最も好ましい。
1つの実施形態によれば、スラリーは、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で含み、0.05から5重量%が好ましく、0.1から3重量%がより好ましく、0.2から2.0重量%がさらにより好ましく、0.25から1.5重量%または0.5から1.25重量%が最も好ましい。
少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、水性スラリーの全重量に基づいて固形分を45から82重量%、例えば58から81重量%、63から80重量%、または70から78重量%有する水性スラリー中で使用されてもよい。1つの実施形態によれば、水性スラリーの固形分は、水性スラリーの全重量に基づいて45から82重量%であり、60から78重量%が好ましく、70から78重量%がより好ましい。
炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー
少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを堆積防止剤として炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中で使用する。
1つの実施形態によれば、炭酸カルシウム含有物質は、粉砕された炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムまたは、これらの混合物である。
粉砕された炭酸カルシウム(GCC)は例えば、大理石、石灰石、白亜および/または苦灰石のうちの1つまたは複数を特徴としてよい。本発明の1つの実施形態によれば、GCCは乾式粉砕により得られる。本発明の別の実施形態によれば、GCCは湿式粉砕およびその後の乾燥により得られる。
通常、粉砕ステップは従来の任意の粉砕装置を用いて、例えば、二次的な物体との衝撃により主として精製されるような条件下、即ち、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、微粉砕機(pulveriser)、破砕機、デクランパー(de−clumper)、ナイフカッター、または当業者に周知のこのような他の設備のうちの1つまたは複数の内部で行うことができる。湿式粉砕された炭酸カルシウム含有物質を含む炭酸カルシウム含有物質の場合、粉砕ステップは、自生粉砕が起こるような条件下で、および/または横型ボールミル粉砕および/もしくは当業者に周知のこのような他の処理により実施してもよい。こうして得られた湿式処理で粉砕された炭酸カルシウム含有物質は、洗浄し、乾燥させる前に周知の処理、例えば凝集、ろ過または強制蒸発により脱水してもよい。その後の乾燥ステップは、噴霧乾燥などの1ステップで、または少なくとも2つのステップで行うことができる。また、このような炭酸カルシウム物質は、選鉱ステップ(浮遊、漂白または磁気分離などのステップ)を経て、不純物を取り除くことが一般的である。
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、例えばアラゴナイト、バテライトおよび/またはカルサイトの鉱物結晶形のうちの1つまたは複数を特徴としてもよい。アラゴナイトは一般に針状であり、一方でバテライトは六方晶系に属する。カルサイトは、偏三角面体、角柱状、球状および菱面体の形状を取り得る。PCCは、例えば二酸化炭素を用いた沈降、石灰ソーダ法またはPCCがアンモニア生産の副生成物であるソルベー法など、さまざまな方法で生成することができる。得られたPCCのスラリーは機械的に脱水し、乾燥させることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、炭酸カルシウム含有物質の少なくとも1つは、粉砕された炭酸カルシウム(GCC)を含む。
炭酸カルシウムに加えて、炭酸カルシウム含有物質にはさらに、二酸化チタンおよび/または三酸化アルミニウムなどの金属酸化物、アルミニウムトリヒドロキシドなどの金属水酸化物、硫酸塩などの金属塩、タルクおよび/またはカオリン粘土および/または雲母などのケイ酸塩、炭酸マグネシウムおよび/またはセッコウ、サテンホワイトなどの炭酸塩、ならびにこれらの混合物が含まれてもよい。
本発明の1つの実施形態によれば、炭酸カルシウム含有物質中の炭酸カルシウムの量は、炭酸カルシウム含有物質の全重量に基づいて少なくとも80重量%、例えば少なくとも95重量%、好ましくは97から100重量%、より好ましくは98.5から99.95重量%である。
本発明の1つの実施形態によれば、炭酸カルシウム含有物質の重量中央粒径d50は、0.1から100μm、0.25から50μm、または0.3から5μmであり、好ましくは0.4から3.0μmである。
本発明の1つの態様によれば、堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーは、炭酸カルシウム含有物質および少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含んで提供され、ここで少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの比電荷は、pH8において−10C/gから−250C/g、スラリーのブルックフィールド粘度は、20℃で25から5000mPa・s、および/またはスラリーの電気伝導度は、25℃で500μS/cm未満である。
炭酸カルシウム含有物質を含むスラリーは、水性スラリーの全重量に基づいて固形分を45から82重量%、例えば58から81重量%、63から80重量%、または70から78重量%有することができる。1つの実施形態によれば、水性スラリーの固形分は、水性スラリーの全重量に基づいて45から82重量%であり、60から78重量%が好ましく、70から78重量%がより好ましい。
炭酸カルシウム物質を含むスラリーのpHは7から11でもよく、7.5から10.7が好ましく、8.5から10.3がより好ましい。
1つの実施形態によれば、スラリーのブルックフィールド粘度は、20℃で25から5000mPa・sであり、20℃で50から2000mPa・sが好ましく、20℃で80から1000mPa・sがより好ましく、20℃で100から700mPa・sが最も好ましい。
1つの実施形態によれば、スラリーの電気伝導度は25℃で50から500μS/cmであり、25℃で70から300μS/cmが好ましく、25℃で80から250μS/cmがより好ましく、25℃で100から200μS/cmが最も好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、スラリーには、pH8において−250C/gを超える比電荷を有する添加剤を含まない。
本発明の好ましい実施形態によれば、スラリーは、炭酸カルシウム含有物質および少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーからなる。
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で存在し、0.05から5.0重量%が好ましく、0.1から3.0重量%がより好ましく、0.2から2.0重量%がさらにより好ましく、0.25から1.5重量%または0.5から1.25重量%が最も好ましい。
本発明による堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーは、紙、プラスチック、塗料および/または農業の用途において利用することができる。
堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーを製造する方法
堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーを製造する方法には、
a)炭酸カルシウム含有物質を提供するステップ
b)水を提供するステップ
c)比電荷がpH8において−10C/gから−250C/gである、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを提供するステップ
d)ステップa)の炭酸カルシウム含有物質をステップb)の水と接触させるステップ
e)ステップd)の前、もしくは間、もしくは後、またはこの組合せにおいて、ステップc)のポリマーを炭酸カルシウム含有物質と接触させるステップを含み、
ここで少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、得られる水性スラリーの導電率が25℃で500μS/cm未満になるような量で加える。
本発明の別の態様によれば、炭酸カルシウム含有複合粒子を製造する方法が提供され、
a)炭酸カルシウム含有物質を提供するステップ
b)水を提供するステップ
c)比電荷がpH8において−10C/gから−250C/gである、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを提供するステップ
d)ステップa)の炭酸カルシウム含有物質をステップb)の水と接触させるステップ
e)ステップd)の前、もしくは間、もしくは後、またはこの組合せにおいて、ステップc)のポリマーを炭酸カルシウム含有物質と接触させるステップを含み、
ここで少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、得られる水性スラリーの導電率が25℃で500μS/cm未満になるような量で加え、
f)ステップe)で得られたスラリーを乾燥させる、別のステップを含む。
方法ステップe)に従った、ステップa)の炭酸カルシウム含有物質の、ステップc)のアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーへの接触は、混合および/または均質化および/または粒子分割の条件下で行ってもよい。当業者は、混合速度、分割および温度などのこれらの混合および/または均質化および/または粒子分割の条件を当業者の処理設備に応じて適応させるであろう。
例えば、混合および均質化は、プロシェアミキサー(ploughshare mixer)により行ってもよい。プロシェアミキサーは、機械的に作り出される流動床の原理によって機能する。プロシェア・ブレードは、水平の円筒形ドラムの内壁近くを回転し、生成物床(product bed)の外、開いた混合空間の中へ混合物の成分を運ぶ。機械的に作り出された流動床によって、大きなバッチであっても非常に短時間で確実に強く混合される。チョッパーおよび/またはディスパーサー(disperser)を用い、乾燥時の運転において塊を分散させる。本発明の処理において使用できる設備は、例えばGebruder Lodige Maschinenbau GmbH(ドイツ)から入手できる。
本発明の1つの実施形態によれば、方法ステップe)は、プロシェアミキサーを用いて行うことができる。
本発明の別の実施形態によれば、方法ステップe)は粉砕装置内で行い、ボールミル内が好ましく、方法ステップe)の間に形成された凝集塊および/または凝集体を粉砕装置の入口へ戻して再循環させるサイクロン装置と組み合わせることが好ましい。サイクロン装置は、粒子、凝集塊または凝集体などの粒子状物質を分離し、重力に基づいて小さい粒子状物質と大きい粒子状物質に分割することができる。
実験的な実施形態によれば、方法ステップe)の間に形成される炭酸カルシウム含有複合粒子は、より小さな粒子に分割される。本発明において用いられる「分割(dividing)」という用語は、粒子がより小さな粒子に分裂されることを意味する。これは、粉砕によって行ってもよく、例えばボールミル、ハンマーミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、微粉砕機、破砕機、デクランパー、またはナイフカッターを用いる。しかし、方法ステップe)の間に形成された炭酸カルシウム含有複合粒子をより小さな粒子に分割することができる他の任意の装置を用いてもよい。
例示的な実施形態によれば、ステップa)の炭酸カルシウム含有物質は、炭酸カルシウム含有物質を湿式粉砕することにより得られる粉砕された炭酸カルシウムを含み、ステップe)は、炭酸カルシウム含有物質を湿式粉砕する前、もしくは間、もしくは後、またはこの組合せにおいて行われる。
方法ステップe)は、室温、即ち20℃で行ってもよく、他の温度で行ってもよい。本発明の1つの実施形態によれば、方法ステップe)は少なくとも1秒間行い、好ましくは少なくとも1分間、例えば少なくとも15分間、30分間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、または10時間行う。
本発明の1つの実施形態によれば、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーは、得られる水性スラリーが20℃で20から5000mPa・sのブルックフィールド粘度を有し、および/または25℃で50から500μS/cmの電気伝導度を有するような量で加える。ブルックフィールド粘度は、50から2000mPa・sが好ましく、20℃で80から1000mPa・sがより好ましく、20℃で100から700mPa・sが最も好ましく、および/またはスラリーの電気伝導度は、25℃で70から300μS/cmであり、25℃で80から250μS/cmがより好ましく、25℃で100から200μS/cmが最も好ましい。
本発明の炭酸カルシウム含有複合粒子を得るために、上述の本発明の方法に従って得られたスラリーを、当技術分野において知られている任意の適した方法を用い、ステップf)に従って乾燥させてもよい。スラリーを含む炭酸カルシウムは、例えば、熱によって、例えば噴霧乾燥機もしくは電子レンジにより、または乾燥器内で乾燥させてもよく、または機械的に、例えばろ過により、または含水量を下げることにより乾燥させてもよい。本発明の炭酸カルシウム含有複合粒子は、水と混合して、本発明の堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーを得ることができる。
本発明の範囲および利益は、本発明の特定の実施形態を説明するための以下の実施例に基づいてよりよく理解されるであろうが、これらに限定されるものではない。
1.測定方法
pH測定
pHは25℃でメトラー・トレド製セブンイージーpH計およびメトラー・トレド製InLab(登録商標)エキスパートプロpH電極を用いて測定する。測定器の3点校正(セグメント法による。)は、20℃でのpH値が4、7、10の市販されている緩衝液(アルドリッチ製)を用いて最初に行う。pHの報告値は、測定器で検出される終点の値である(終点は、測定された信号と直前の6秒間の平均との差が0.1mV未満のとき)。
粘度測定
ブルックフィールド粘度の測定は、1分間撹拌した後、RVT型ブルックフィールド(商標)粘度計を使用し、温度20℃、回転速度100rpm(回転/分)で、No.1から5の適切なディスクスピンドルを用いて行った。
電気伝導度測定
懸濁液の導電率は、この懸濁液をPendraulik歯付きディスク撹拌機(tooth disc stirrer)を用いて1500rpmで撹拌した後、対応するメトラー・トレド製導電率拡張ユニットおよびメトラー・トレド製InLab(登録商標)730導電率プローブを備えたメトラー・トレド製セブンマルチ計測装置を用いて25℃で直接測定した。
測定器は、メトラー・トレドから市販されている導電率校正液を用いて該当する導電率の範囲で最初に校正した。導電率に対する温度の影響は、リニア補正モードにより自動で補正された。
測定された導電率は、基準温度25℃で報告される。導電率の報告値は、測定器で検出される終点の値である(終点は、測定された導電率と直前の6秒間の平均との差が0.4%未満のとき)。
粒子状物質の粒径分布(直径がX未満の粒子の質量%)および重量中央粒径(d50
粒子状物質の重量中央粒径および粒径質量分布は、沈降法、即ち重力場における沈降の挙動を分析することにより求めた。測定は、Sedigraph(商標)5120を用いて行った。
方法および測定器は当業者に周知であり、充填材および顔料の粒度を求めるために一般に用いられる。測定は、重量で0.1%のNa水溶液中で行う。サンプルは、高速撹拌機および超音波を用いて分散させた。
懸濁液中の物質の固形分重量(重量%)
固形分重量は、固形物質の重量を水性懸濁液の全重量で割ることにより求めた。固形分重量の含有率は、水分分析計MJ33(メトラー・トレド)を用いて求めた。
比表面(BET)測定
鉱物充填材の比表面積(単位m/g)は、BET法を用いて求めたが、この方法は当業者に周知である(ISO9277:1995)。次に、鉱物充填材の全表面積(単位m)は、鉱物充填材の比表面積および質量(単位g)を掛け算することにより得た。この方法および測定器は当業者に周知であり、充填材および顔料の比表面を求めるために一般に用いられる。
比電荷(C/g)
電荷の値がゼロに達するのに必要なカチオン性ポリマーの要求量を、メトラー製DL77滴定装置およびMutec製PCD−02検出器を用いて、カチオン滴定法により測定した。カチオン試薬はN/200(0.005N)メチルグリコールキトサン(キトサン)、アニオン試薬はN/400(0.0025N)K−ポリビニル−硫酸塩(KPVS)であり、いずれも和光純薬(WAKO Chemicals GmbH)から販売されていたものである。
必要に応じてサンプルは、測定前にNaOH(0.1M)を用いてpH8.0+/−0.1に調整した。
経験から最初の滴定は正しくないことが明らかであったので、最初に10mlの水を検出器内に用意し、次いで0.5mlのKPVSを加えた。その後、当量点の直後に戻るまでキトサンで滴定した。引き続き測定を開始した。0.5から2.0mlの0.005モルの試薬を滴定中に消費して、再現性のある値を得た。
急速に沈降するのを避けるため、サンプルは撹拌下で風袋を計ったシリンジにより採取した。次に、シリンジの中身を蒸留水ですすいでサンプル容器内へ移した。その後、検出器を下端まで蒸留水で満たし、ピストンを注意深く挿入した。引き続き、カチオン滴定溶液をメモタイトレーター(memotitrator)にセットし、ビュレットが検出器または液体に接触しないようにしながらビュレットの上端を検出器に固定した。各滴定の後、滴定曲線を利用して滴定の結果を検証した。
電気化学的電荷の計算:
Figure 0005837993
上式で、K=+1000
V:キトサン消費量[ml]
c:キトサン濃度[mol/l]
t:キトサン力価ファクター
E:正味量(Weight−in quantity)[g]
F:固形物の質量比[g/g]
z:原子価(当量数)
得られた電荷の値(単位μVal/g)は以下の通りファラデー定数を掛けてC/gに換算した。
[C/g]=[μVal/g]・0.096485
固有粘度
固有粘度は、ショット(Schott)製AVS350システムにより求めた。サンプルは、NaOHを用いてpH10に調整した6重量%NaCl水溶液に溶かした。測定は25℃でキャピラリータイプ0aを用いて実施し、ハーゲンバッハ補正を用いて補正した。
2.添加剤
添加剤A(比較例):
US4,868,228に記載のナトリウム/マグネシウムポリアクリレート
比電荷:−931C/g(pH8で測定)
Mw=6000g/モル(多分散性:2.6)
固有粘度:6.8ml/g
添加剤B(本発明):
ViscoCrete−3082、シーカ(SIKA)(スイス)から入手可能。
比電荷:−0.3C/g(pH4.6で測定)および−99C/g(pH8で測定)
固有粘度:19.6ml/g
酸価:29.6mg KOH/g
けん化価:30.5mg KOH/g
添加剤C(本発明):
MelPers0045、BASF(ドイツ)から入手可能。
比電荷:−49C/g(pH5.9で測定)および−69C/g(pH8で測定)
固有粘度:30.3ml/g
添加剤D(本発明):
Ethacryl M(ライオンデル・ケミカル(Lyondell Chemical Company))、エトキシル化アクリル酸ポリマーである市販されている櫛形ベースのコポリマー(CAS536754−81−1)
2−プロペン酸、2−メチル−、ポリマー・2−メチルオキシランポリマー・オキシランエーテル・1、2−プロパンジオールモノ(2−メチル−2−プロペノエート)(1:1)、ナトリウム塩)
比電荷:−115C/g(pH7.2で測定)および−130C/g(pH8で測定)、固有粘度:57.9ml/g
酸価:5.6mg KOH/g
けん化価:8.9mg KOH/g
添加剤E(比較例):
アクリル−ポリエチレンオキシドエステルおよびメタクリル酸から構成される櫛形ポリマー。
比電荷:−286C/g(pH7.6で測定)および−294C/g(pH8.0で測定)
固有粘度:38.2ml/g
3.実施例
[実施例1(比較例)]
ノルウェー原産の天然の炭酸カルシウムは、10から300mmの炭酸カルシウムの石を42から48μmのd50の値に対応する粉末度まで最初に乾式で自生粉砕することによって得られる。引き続きこの乾燥−粉砕された生成物を、1.4リットル縦型アトライターミル(ダイノーミル)内で30から35℃の水中で、スラリーの全重量に基づいて75から76重量%の固形分重量で湿式粉砕し、粒子の60重量%の直径が2μm未満、33重量%の直径が1μm未満、8重量%の直径が0.2μm未満、d50の値が1.4μmに達するまで行う。
この粉砕処理の間、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.45重量%の添加剤Aを加え、100から500mPa・sの粘度を得た。添加剤Aのカルボン酸基の70モル%は、対イオンとしてナトリウムイオンを含み、30モル%のカルシウムイオンを含んでいた。粉砕された炭酸カルシウムの最終的な比表面は、6.9m/gであった。
[実施例2(比較例)]
入手したノルウェー原産の天然の炭酸カルシウムは、10から300mmの炭酸カルシウムの石を42から48μmのd50に対応する粉末度まで最初に乾式で自生粉砕することによって得られる。引き続きこの乾燥−粉砕された生成物を、1.4リットル縦型アトライターミル(ダイノーミル)内で40から45℃の水中で、スラリーの全重量に基づいて75から76重量%の固形分重量で湿式粉砕し、粒子の90重量%の直径が2μm未満、63重量%の直径が1μm未満、15重量%の直径が0.2μm未満、d50の値が0.75μmに達するまで行った。
この粉砕処理の間、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.65重量%の添加剤Aを加え、100から500mPa・sの粘度を得た。添加剤Aのカルボン酸基の50モル%は、対イオンとしてナトリウムイオンを含み、50モル%のマグネシウムイオンを含んでいた。粉砕された炭酸カルシウムの最終的な比表面は、11.4m/gであった。
[実施例3]
ノルウェー原産の天然の炭酸カルシウムは、10から300mmの炭酸カルシウムの石を42から48μmのd50に対応する粉末度まで最初に乾式で自生粉砕することによって得られる。引き続きこの乾燥−粉砕された生成物を、1.4リットル縦型アトライターミル(ダイノーミル)内の水中で、スラリーの全重量に基づいて75から76重量%の固形分重量で湿式粉砕し、粒子の60重量%の直径が2μm未満、33重量%の直径が1μm未満、8重量%の直径が0.2μm未満、d50の値が1.4μmに達するまで行う。
この粉砕処理の間、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.42重量%の添加剤Bを加えた。スラリーの粘度は100から500mPa・sであり、粉砕された炭酸カルシウムの最終的な比表面は、6.2m/gであった。
[実施例4]
入手したノルウェー原産の天然の炭酸カルシウムは、10から300mmの炭酸カルシウムの石を42から48μmのd50に対応する粉末度まで最初に乾式で自生粉砕することによって得られる。引き続きこの乾燥−粉砕された生成物を、1.4リットル縦型アトライターミル(ダイノーミル)内の水中で、スラリーの全重量に基づいて75から76重量%の固形分重量で湿式粉砕し、粒子の90重量%の直径が2μm未満、63重量%の直径が1μm未満、15重量%の直径が0.2μm未満、d50の値が0.75μmに達するまで行った。
この粉砕処理の前および間に、スラリー中の固形物の重量に基づいて合計で0.9重量%の添加剤Bを加えた。スラリーの粘度は100から500mPa・sであり、粉砕された炭酸カルシウムの最終的な比表面は、12.2m/gであった。
[実施例5]
入手したノルウェー原産の天然の炭酸カルシウムは、10から300mmの炭酸カルシウムの石を42から48μmのd50に対応する粉末度まで最初に乾式で自生粉砕することによって得られる。引き続きこの乾燥−粉砕された生成物を、1.4リットル縦型アトライターミル(ダイノーミル)内で40から45℃の水中で、スラリーの全重量に基づいて76から77重量%の固形分重量で湿式粉砕し、粒子の92重量%の直径が2μm未満、64重量%の直径が1μm未満、粒子の13重量%の直径が0.2μm未満、d50の値が0.72μmに達するまで行った。
この粉砕処理の前および間に、スラリー中の固形物の全重量に基づいて合計で0.81重量%の添加剤Cを加えた。スラリーの粘度は100から500mPa・sであり、粉砕された炭酸カルシウムの最終的な比表面は、11.6m/gであった。
[実施例6]
水酸化カルシウムおよび二酸化炭素を65から95℃の温度で15から17重量%の固形分重量で反応させることにより得た偏三角面体の沈降炭酸カルシウムを、フィルタープレスによりスラリーの全重量に基づいて53重量%の固形分のろ過ケークに濃縮した。このスラリーをスラリー中の固形物の全重量に基づいて1.0重量%の添加剤Bと混合した。スラリーの粘度は100から500mPa・sであった。偏三角面体の炭酸カルシウムのd50は1.8μm、比表面積は5.5m/gであった。
[実施例7]
水酸化カルシウムおよび二酸化炭素を65から95℃の温度で15から17重量%の固形分重量で反応させることにより得た偏三角面体の沈降炭酸カルシウムを、フィルタープレスによりスラリーの全重量に基づいて50重量%の固形分のろ過ケークに濃縮した。このスラリーをスラリー中の固形物の全重量に基づいて0.25重量%の添加剤Dと混合した。スラリーの粘度は100から500mPa・sであった。偏三角面体の炭酸カルシウムのd50は1.8μm、比表面積は5.5m/gであった。
[実施例8(比較例)]
入手したノルウェー原産の天然の炭酸カルシウムは、10から300mmの炭酸カルシウムの石を42から48μmのd50の値に対応する粉末度まで最初に乾式で自生粉砕することによって得られる。引き続きこの乾燥−粉砕された生成物を、1.4リットル縦型アトライターミル(ダイノーミル)内で30から35℃の水中で、スラリーの全重量に基づいて75から76重量%の固形分重量で湿式粉砕し、粒子の88重量%の直径が2μm未満、d50の値が0.72μmに、d98の値が3.31μmに達するまで行った。
この粉砕処理の間、スラリー中の固形物の全重量に基づいて1.08重量%の添加剤Eを加え、100から500mPa・sの粘度を得た。粉砕後の最終的な粘度は204mPa・s、pHは9.0であった。
[実施例9]
水酸化カルシウムおよび二酸化炭素を65から95℃の温度で15から17重量%の固形分重量で反応させることにより得た偏三角面体の沈降炭酸カルシウムを、フィルタープレスによりスラリーの全重量に基づいて50重量%の固形分のろ過ケークに濃縮した。このスラリーをスラリー中の固形物の全重量に基づいて0.25重量%の添加剤Dと混合した。スラリーの粘度は100から500mPa・sであった。偏三角面体の炭酸カルシウムのd50は1.8μm、比表面積は5.5m/gであった。
[実施例10(比較例)]
撹拌下で10重量%NaCl溶液を微量加えることにより、実施例9のスラリーの導電率が1500から1700μS/cmの間に達するまで増加させた。
[実施例11]
実施例1から10のスラリーのサンプルを500mlのプラスチック製のカップに入れた。2本の電極をスラリーの中に浸した。この電極の幅は30mmであった。電極を浸漬する深さは65mm、2本の電極間の距離は30mmであった。実験室の供給電力を電気分解用の電源として使用した。DC電圧は0から35Vで調整が可能であった。電極の表面(19.5cm)およびスラリーの電気伝導度に応じてできるだけ多くの電流が流れるように、アンペア数は最大に設定した。
実施例1から6および8から10のスラリーについては、ステンレス鋼の電極を用い、実施例7のスラリーについては、銅製の陽極およびステンレス鋼製の陰極を用いた。得られた結果は下の表1にまとめている。
Figure 0005837993
上の表にまとめた結果では、電圧がわずか5V、アンペア数がわずか数mAと非常に低いとき既に、比較例1および2の水性スラリーでは短時間で陽極上に堆積物が多く発生することが示されている。また、比較例8および10では、陽極上の著しい量の堆積物が高い電圧で示されている。さらに、比較例2および8では目に見える陽極の腐食につながっている。
本発明の実施例3から7、および9のスラリーでは、電圧(V)およびアンペア数(mA)を増加しても、10分後の陽極上に固形の堆積物は実質的に認められない。さらに、本発明の実施例3から7、および9のいずれも、10分後に陽極の腐食は見られない。

Claims (22)

  1. 少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーの、炭酸カルシウム含有物質を含む水性スラリー中における堆積防止剤としての使用であって、
    少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、pH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有し、
    少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーの電気伝導度が、25℃で500μS/cm未満であ
    比電荷は、pH値8で比電荷がゼロになるまでカチオン性ポリマーを用いて滴定することにより決定するものであり、
    少なくとも1つのアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、式(I)
    Figure 0005837993

    式中、R 、R 、R 、R 、R およびR は水素またはアルキル基から独立して選択され、
    Xは、負の電荷を帯びた官能基であり、
    Yは、結合官能基を表し、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群から独立して選択され、
    Zは、正の電荷を帯びた官能基であり、
    およびR は、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、
    は、水素、または1から40個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、
    a、b、cおよびdは、5から150の値を有する整数であり、a、b、cまたはdのうちの少なくとも1つは0よりも大きい値を有し、ならびに
    n、mおよびoは、前記アニオン電荷を持つポリマーがpH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有するように選択される、
    の構造単位を含むものである、使用。
  2. 請求項1に記載の使用であって、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、pH8において−10C/gから−200C/gの比電荷を有する、使用。
  3. 請求項1または2に記載の使用であって、炭酸カルシウム含有物質が、粉砕された炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムまたは、これらの混合物である、使用。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の使用であって、炭酸カルシウム含有物質が、0.1から100μmの重量中央粒径d50を有する、使用。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の使用であって、スラリーが、水性スラリーの全重量に基づいて45から82重量%の固形分を有する、使用。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の使用であって、スラリーが、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量の、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含む、使用。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の使用であって、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーのブルックフィールド粘度が、20℃で25から5000mPa・sである、使用。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の使用であって、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含むスラリーの電気伝導度が、25℃で50から500μS/cmである、使用。
  9. 請求項1かのいずれかに記載の使用であって、スラリーが同じ時間、異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、または直流(DC)電界にさらされているときに、スラリーが、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含まないが同じ固形分および粘度を有するスラリーに比べて少ない量の堆積物を導電性の表面に形成する、使用。
  10. 請求項に記載の使用であって、スラリーが同じ時間、異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、またはDC電界にさらされているときに、スラリーが導電性の表面に、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含まないが同じ固形分および粘度を有するスラリーによって形成される堆積物の量の10重量%未満の量の堆積物を形成する、使用。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の使用であって、スラリーが異なる標準電極電位を有する導電性の表面の少なくとも2つに接触しているとき、またはDC電界にさらされているときに、スラリーが導電性の表面にいかなる堆積物も形成しない、使用。
  12. 請求項10または11に記載の使用であって、電界のDC電圧が1から50mVおよび/またはアンペア数が0.1から250mAである、使用。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の使用であって、スラリーが、pH8において−250C/gを超える比電荷を有する添加剤を含まない、使用。
  14. 堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーであって、
    炭酸カルシウム含有物質、および
    少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを含み、
    アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、pH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有し、ならびに
    スラリーのブルックフィールド粘度が、20℃で25から5000mPa・sであり、スラリーの電気伝導度が25℃で500μS/cm未満であり、
    比電荷は、pH値8で比電荷がゼロになるまでカチオン性ポリマーを用いて滴定することにより決定するものであり、
    少なくとも1つのアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、式(I)
    Figure 0005837993

    式中、R 、R 、R 、R 、R およびR は水素またはアルキル基から独立して選択され、
    Xは、負の電荷を帯びた官能基であり、
    Yは、結合官能基を表し、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群から独立して選択され、
    Zは、正の電荷を帯びた官能基であり、
    およびR は、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、
    は、水素、または1から40個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、
    a、b、cおよびdは、5から150の値を有する整数であり、a、b、cまたはdのうちの少なくとも1つは0よりも大きい値を有し、ならびに
    n、mおよびoは、前記アニオン電荷を持つポリマーがpH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有するように選択される、
    の構造単位を含むものである、スラリー。
  15. 請求項14に記載の堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーであって、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で存在する、スラリー。
  16. 請求項14または15に記載の堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーであって、水性スラリーの固形分が、水性スラリーの全重量に基づいて45から82重量%である、スラリー。
  17. 堆積物および/または腐食を低減する水性スラリーを製造する方法であって、
    a)炭酸カルシウム含有物質を提供するステップと、
    b)水を提供するステップと
    c)pH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有する、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを提供するステップと、
    d)ステップa)の炭酸カルシウム含有物質をステップb)の水に接触させるステップと、
    e)ステップc)のポリマーを、ステップd)の前、および/または間、および/または後において炭酸カルシウム含有物質に接触させるステップを含み、
    少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを、得られる水性スラリーの導電率が25℃で500μS/cm未満になるような量で加え、
    前比電荷は、pH値8で比電荷がゼロになるまでカチオン性ポリマーを用いて滴定することにより決定するものであり、
    少なくとも1つのアニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、式(I)
    Figure 0005837993

    式中、R 、R 、R 、R 、R およびR は水素またはアルキル基から独立して選択され、
    Xは、負の電荷を帯びた官能基であり、
    Yは、結合官能基を表し、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群から独立して選択され、
    Zは、正の電荷を帯びた官能基であり、
    およびR は、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択され、
    は、水素、または1から40個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、
    a、b、cおよびdは、5から150の値を有する整数であり、a、b、cまたはdのうちの少なくとも1つは0よりも大きい値を有し、ならびに
    n、mおよびoは、前記アニオン電荷を持つポリマーがpH8において−10C/gから−250C/gの比電荷を有するように選択される、
    の構造単位を含むものである、方法。
  18. 炭酸カルシウム含有複合粒子を製造する方法であって、請求項17に記載の方法によるステップa)からe)、およびステップe)で得られたスラリーを乾燥させるさらなるステップf)を含む、方法。
  19. 請求項17または18に記載の方法であって、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーを、得られる水性スラリーが20℃で25から5000mPa・sのブルックフィールド粘度を有するような量で加える、方法。
  20. 請求項17から19のいずれか一項に記載の方法であって、少なくとも1つの、アニオン電荷を持つ櫛形ポリマーが、スラリー中の固形物の全重量に基づいて0.01から10重量%の量で存在する、方法。
  21. 請求項17から20のいずれか一項に記載の方法であって、水性スラリーの固形分が、スラリーの全重量に基づいて45から82重量%である、方法。
  22. 請求項14から16のいずれか一項に記載の堆積物および/または腐食が低減されるスラリーの使用であって、紙、プラスチック、塗料および/または農業の用途における、使用。
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