上記特許文献1に開示されている発明によれば、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の露出幅を小さくできるため、蓄電装置の容積効率が良好となるという効果を奏する。しかしながら、この発明では、正極極板ないし負極極板に正極用集電部材ないし負極用集電部材を溶接するためにはそれぞれ複数回の溶接が必要であり、更に、巻回電極体の中央部には溶接するための正極用集電部材ないし負極用集電部材のコ字状の翼部を配置するための開口空間を必要とすること、超音波溶接時にコ字状の翼部の内部にアンビルを配置する必要があること等、製造設備が複雑化するという問題点が存在している。
また、上記特許文献1には、電極極板を接続する工程は超音波溶接法を用いることが特に好ましいと記載されているが、実施例での巻回数は16回(2分割した片側では8回)であり、積層厚みは320μmとなっている。それに対し、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の容量が大きい密閉電池では、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の積層枚数は上記特許文献1に開示されている発明の場合よりも非常に多くなっていると共に、積層厚みも遙かに厚くなっている。
そのため、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の容量が大きい角形密閉二次電池では、積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部と集電部材との間の溶接方法として超音波溶接法を採用して安定した状態に溶接するためには、積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部をそれぞれ集電部材に密着させるための大きな加圧と、超音波振動を積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部の他端側まで到達させるための大きなエネルギーが必要となる。上記特許文献1に開示されている発明では、コ字状の集電部材の内部に配置されたアンビルで加圧及び超音波エネルギーを受ける必要があるため、アンビルに相応の剛性が必要となり、しかも、コ字状の集電部材の内部に供給できる大きさのアンビルで大きな加圧を受けつつ更に安定した溶接条件を見出すことは技術的に非常に困難である。
また、図11に示した従来法では、一度の溶接で正極芯体露出部及び負極芯体露出部のそれぞれについてシリーズ溶接することができるが、溶接用の電極棒71及び72による加圧によるコ字状の溶接用部品75の歪みをなくすために、コ字状の溶接用部品の内部に加圧受け76や通電用として金属ブロックの供給を行うなどの対策が必要となり、溶接設備の複雑化の課題があった。
なお、上記特許文献2には、図12に示したように、集電部材81の基部82の両側に電極体83の芯体84を2つに分割して集束した電極芯体群84a及び84bを当接させ、これらの電極芯体群84a及び84bの外側に配置した一対の当て板85a及び85bと共に一体にシリーズスポット溶接した極板芯体集結装置80が示されている。
また、上記特許文献3には、図13A及び図13Bに示すように、正極極板及び負極極
板がそれぞれセパレータを介して、正極芯体露出部91及び負極芯体露出部92がそれぞれ反対側に配置されるように、巻回された偏平状の巻回電極体93を備え、たとえば正極芯体露出部91の巻回された中央空間91aに嵌合される縁部分が曲面状とされた長方形状の接続部94aと、巻回軸方向と直交する偏平軸長方向に突出する端子部94bと、両者を連結する短い連結部94cとを備える正極端子94を用い、この正極端子94の端子部94bを正極芯体露出部91の巻回された中央空間91aに嵌合させ(図13A参照)た後、正極芯体露出部91の両側からシリーズスポット溶接することにより電気的に接続するようにした偏平巻回電極電池90が示されている。
しかしながら、上記特許文献2及び3に開示されているシリーズスポット溶接法では、正極極板ないし負極極板の芯体露出部は、2分割されて直接正極端子ないし負極端子の両側からシリーズスポット溶接されているが、正極端子ないし負極端子の溶接面は平坦面となっているため、正極端子ないし負極端子と正極極板ないし負極極板の芯体露出部との間の溶接強度を高くするとともに溶接部の内部抵抗のばらつきを小さくすることは困難であった。加えて、正極端子ないし負極端子は充実体である必要があることから、正極端子ないし負極端子の質量が大きくなるという課題も存在している。
また、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の容量が大きい角形密閉二次電池の場合には、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の積層枚数は非常に多くなる上、正極芯体及び正極集電体としてはアルミニウム又はアルミニウム合金が、負極芯体及び負極集電体としては銅又は銅合金等が用いられる。これらのアルミニウム又はアルミニウム合金や銅又は銅合金は、電気抵抗が小さく、しかも熱伝導率も良好な材料であるため、正極芯体露出部と正極端子との間及び負極芯体露出部と負極端子との間を、それぞれ確実に抵抗溶接して溶接強度を強くするとともに、溶接部の内部抵抗を小さくするには多大な溶接エネルギーを必要とする。しかも、抵抗溶接に際して溶接エネルギーを大きくすると、スパッタされたチリの発生が増加するが、このチリが電極体内部に移動することによって内部短絡ないし耐圧不良の原因となり、製造歩留まりの低下を招くようになる。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方側の芯体露出部は2分割され、その間に連結導電部材が安定的に位置決め配置されて芯体露出部と集電部材との間及び芯体露出部と連結導電部材との間が抵抗溶接された、溶接部の低抵抗化を実現でき、しかも、溶接部分の品質が安定化すると共に製造歩留まりが向上した角形密閉二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の角形密閉二次電池は、積層ないし巻回された正極芯体露出部及び負極芯体露出部を有する電極体と、前記正極芯体露出部に電気的に接合されている正極集電部材と、前記負極芯体露出部に電気的に接合されている負極集電部材と、角形外装缶とを備えている角形密閉二次電池において、前記正極芯体露出部及び前記負極芯体露出部の少なくとも一方は、2分割されてその間に少なくとも1つの連結導電部材を保持した樹脂材料製の中間部材が配置され、前記2分割された芯体露出部側の前記集電部材は、前記2分割された芯体露出部の最外側の少なくとも一方の面に配置され、前記2分割された芯体露出部と前記少なくとも1つの連結導電部材と共に抵抗溶接法によって電気的に接合されており、前記連結導電部材の前記抵抗溶接部分の周囲の前記中間部材の樹脂材料部分に空隙が形成されていることを特徴とする。
本発明の角形密閉二次電池においては、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方の2分割された方には、2分割されたその間に少なくとも1つの連結導電部材を保持した樹脂材料製の中間部材が配置されている。そして、2分割された芯体露出部側の集
電部材は、2分割された芯体露出部の最外側の少なくとも一方の面に配置され、2分割された芯体露出部と中間部材の少なくとも1つの連結導電部材と共に抵抗溶接法によって電気的に接合されている。
そのため、本発明の角形密閉二次電池によれば、シリーズ抵抗溶接法によって、2分割された側の芯体露出部と連結導電部材及び集電部材との間を一度に接合することができる。加えて、連結導電部材を複数個設けた場合には、連結導電部材は樹脂材料製の中間部材に保持されているから、複数の連結導電部材間の寸法精度が向上し、しかも、2分割された側の芯体露出部の間に安定な状態で位置決め配置できるため、抵抗溶接部の品質が向上して低抵抗化を実現できる。そのため、本発明の角形密閉二次電池によれば、出力が向上し、しかも、出力のバラツキが低減した角形密閉二次電池が得られる。
更に、本発明の角形密閉二次電池においては、連結導電部材の抵抗溶接部分の周囲の中間部材の樹脂材料部分に空隙が形成されている。すなわち、中間部材の樹脂材料部分は実質的に2分割された芯体露出部の両方の内面側に接触ないし近接配置された状態になると共に、連結導電部材の抵抗溶接部分の周囲の中間部材の樹脂材料部分に空隙が形成された状態となっている。
これにより、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は、直ちに連結導電部材の周囲に形成されている空隙内に捕獲されると共に、中間部材の樹脂材料部分に衝突した場合にはこの樹脂材料部分の表面ないし内部で冷却及び捕獲されるので、集電体の外へ飛び出したり、電極体の内部へ飛散することが少なくなる。そのため、本発明の角形密閉二次電池によれば、内部短絡の発生が少なく、溶接部分の品質が安定化すると共に製造歩留まりが向上した信頼性の高い密閉電池が得られるようになる。なお、本発明においては、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は中間部材の樹脂材料部分でも捕獲されるので、空隙は、必ずしも完全な環状に形成されている必要はなく、連結導電部材の抵抗溶接部分の周囲に断続的に(環の一部が途切れているように)形成されていてもよく、また、その配置形状も、円環状であっても、楕円環状であっても、さらには角形環状であってもよく、任意である。
なお、本発明の角形密閉二次電池においては、樹脂材料製の中間部材に設けられる連結導電部材は少なくとも一つあればよいが、この場合は樹脂材料製の中間部材が連結導電部材の溶接点を支点として回動し易くなるため、樹脂材料製の中間部材の配置の安定化及び大電流充放電を可能とするために、樹脂材料製の中間部材に設けられる連結導電部材は複数個とすることが好ましい。また、本発明の角形密閉二次電池においては、樹脂材料製の中間部材を正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方に配置すればよいが、両方共に設けることが好ましい。
なお、本発明の2分割された芯体露出部側の集電部材は、2分割された芯体露出部の最外側の少なくとも一方の面に配置されていればよいが、2分割された芯体露出部の最外側の両方の面に配置されていることが好ましい。ただし、2分割された芯体露出部の最外側の他方の面には電極端子に直接接続されていない集電受け部材を配置しても、実質的に集電部材を2分割された芯体露出部の最外側の両方の面に配置した場合と同様の作用効果を奏することができる。そのため、本発明における「集電部材」とはこのような「集電受け部材」をも含む意味で用いられている。
なお、抵抗溶接は、集電部材を2分割された芯体露出部の最外側の両方の面に配置した方が物理的に安定した状態で行うことができる。また、2分割された芯体露出部の最外側の他方の面には、何も配置せず、直接一対の抵抗溶接用電極の一方を当接させて抵抗溶接することも可能である。しかしながら、この場合は、抵抗溶接用電極と2分割された芯体
露出部の最外側の他方の面との間に融着が生じる可能性があるので、2分割された芯体露出部の最外側の両方の面にそれぞれ電極端子に接続された集電部材を配置するか、一方側の面に電極端子に接続された集電部材を配置すると共に他方側の面に集電受け部材としての集電部材を配置する方が好ましい。
また、本発明の角形密閉二次電池の中間部材に使用し得る樹脂材料としては、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。また、中間部材の樹脂材料部分の幅は、連結導電部材の近傍において、溶接を行った後に芯体露出部と対向する樹脂材料部分の面(溝部は除く)が芯体露出部と接するような状態となるように設定すればよいので、連結導電部材の長さよりも長くても短くてもよい。ただし、中間部材の樹脂材料部分の幅と連結導電部材の長さの差が大きいと芯体露出部の変形度合いが大きくなるので、中間部材の樹脂材料部分の幅は、連結導電部材の長さの0.8倍〜1.2倍程度が好ましい。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記空隙は、前記中間部材の樹脂材料部分と前記連結導電部材との間に形成された溝からなることが好ましい。
樹脂材料は金属材料よりも加工しやすく、しかも、空隙を中間部材の樹脂材料部分と連結導電部材との間に形成された溝とすることにより、容易に所定の大きさの空隙を形成することができる。そのため、本発明の角形密閉二次電池によれば、容易に上記効果を奏する角形密閉二次電池を製造することができるようになる。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記空隙は、前記抵抗溶接部分から離間した位置の前記樹脂材料部分に形成された溝からなるものとしてもよい。
本発明の角形密閉二次電池では、中間部材の樹脂材料部分は実質的に2分割された芯体露出部の両方の内面側に接触ないし近接配置された状態となっているので、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は、中間部材の樹脂材料部分の内部ないし中間部材の樹脂材料部分と芯体露出部との間を通って抵抗溶接部の周囲へ移動する。そのため、本発明の角形密閉二次電池によれば、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属の移動抵抗が大きくなるので、容易に樹脂材料部分の内部ないし抵抗溶接部分から離間した位置の樹脂材料部分に形成された溝内に捕獲されるようになる。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記電極体は前記正極芯体露出部及び前記負極芯体露出部がそれぞれ前記角形外装缶の両側端部に位置するように挿入され、前記中間部材の樹脂材料部分は、前記2分割された芯体露出部の延在方向において、前記2分割された芯体露出部の端部及び前記集電部材の端部よりも前記角形外装缶側に突出していることが好ましい。
本発明の角形密閉二次電池では、電極体は正極芯体露出部及び負極芯体露出部がそれぞれ角形外装缶の両側端部に位置するように挿入されているから、角形外装缶の内面の両側端部には、突出している中間部材の樹脂材料部分が位置していると、2分割された芯体露出部の端部及び集電部材の端部が角形外装缶の内面の両側端部と接触するおそれがなくなる。そのため、本発明の角形密閉二次電池によれば、正極芯体露出部ないし負極芯体露出部が角形外装缶と短絡するおそれが抑制された信頼性の高い角形密閉二次電池となる。
また、一般に、角形密閉二次電池においては、平板状の樹脂シートを折り曲げて電極体を包んだ状態で角形外装缶内に挿入されるが、本発明の角形密閉二次電池によれば、電極体の角形外装缶の内面の両側端部には突出している中間部材の樹脂材料部分が位置してい
るので、たとえ樹脂シートにズレがあっても、確実に正極芯体露出部ないし負極芯体露出部が角形外装缶と接触することが抑制される。しかも、本発明の角形密閉二次電池に外力が加わって角形外装缶が変形することがあっても、中間部材の樹脂材料部分は剛体であるために変形し難いので、単に樹脂シートのみで覆った場合よりも正極芯体露出部ないし負極芯体露出部が角形外装缶と接触する可能性が少なくなり、信頼性の高い角形密閉二次電池が得られる。
加えて、中間部材の樹脂材料部分は、2分割された正極芯体露出部ないし負極芯体露出部内に挿入したときにそれぞれの芯体露出部の端部及び集電部材の端部よりも突出する大きさを備えているから、中間部材を2分割された芯体露出部内に挿入する際には、突出する樹脂材料部分を把持して容易に2分割された芯体露出部内に挿入することができるので、中間部材を把持し易く、また、組付けが容易になるという付加的な効果も生じる。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記中間部材の樹脂材料部分は、前記角形外装缶に対向する部分に平坦部が形成されていることが好ましい。この場合においては、前記中間部材の樹脂材料部分は、角形外装缶に対向する側の角部に面取り部が形成されていることが好ましい。
中間部材の樹脂材料部分の角形外装缶に対向する部分に平坦部が形成されていると、電極体を角形外装缶内に挿入する際に、中間部材の樹脂材料部分の平坦部を角形外装缶の両側端部の少なくとも一方に当接させて滑らすようにして挿入することができるので、組付けが容易となる。しかも、中間部材の樹脂材料部分の角形外装缶に対向する側の角部に面取り部が形成されていると、より角形外装缶内に挿入し易くなり、しかも、平板状の樹脂シートを折り曲げて電極体を包んだ状態で角形外装缶内に挿入する場合であっても、中間部材の樹脂材料部分の角部で樹脂シートを切り裂いてしまうことが抑制される。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記中間部材の樹脂材料部分は、前記2分割された芯体露出部への挿入側の角部に面取り部が形成されていることが好ましい。
本発明の角形密閉二次電池によれば、中間部材の樹脂材料部分のうち、2分割された芯体露出部への挿入側の角部に面取り部が形成されているので、中間部材を積層された芯体露出部の間に挿入する際に、面取り部が形成されている中間部材が柔軟な芯体露出部と接触しても芯体露出部に損傷を与えることが少なくなり、容易に連結導電部材を芯体露出部と当接させることができるようになるので、溶接性が向上する。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記中間部材はガス抜き用の孔及び切り欠きの少なくとも一方を備えていることが好ましい。
中間部材がガス抜き用の孔や切り欠きを備えていると、電池に異常が生じた際、電極体内部に発生したガスを容易に電極体の外部に排出することができ、角形密閉二次電池に普通に備えられている感圧式電流遮断機構やガス排出弁などが安定的に動作するので、安全性を確保することができる。加えて、中間部材の体積が減少するので、角形密閉二次電池を軽くすることができるようになる。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記連結導電部材はブロック形状又は柱状体形状であることが好ましい。
本発明の角形密閉二次電池によれば、連結導電部材がブロック形状又は柱状体形状とされているので、抵抗溶接時に押圧力を印加しても変形し難くなり、溶接部分の物性が安定化し、しかも、溶接部分の品質が良好となる。なお、連結導電部材の形状としては、円柱
状、角柱状、楕円柱状、円筒状、角筒状、楕円筒状等の、変形し難い形状のものを採用し得る。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記ブロック形状又は柱状体形状の互いに対向する2つの面の角部に面取り部が形成されていることが好ましい。
本発明の角形密閉二次電池によれば、ブロック形状又は柱状体形状の互いに対向する2つの面の角部に面取り部が形成されていると、中間部材を積層された芯体露出部の間に挿入する際に、連結導電部材が柔軟な芯体露出部と接触して芯体露出部に損傷を与えることが少なくなり、容易に連結導電部材を芯体露出部と当接させることができるようになるので、溶接性が向上する。しかも、連結導電部材の対向する二つの面のそれぞれの面積が小さくなるために、連結導電部材の対向する二つの面はプロジェクションとして作用するので、電流が集中して発熱し易くなり、溶接部分の物性が安定化し、しかも、溶接部分の品質が良好となる。
また、本発明の角形密閉二次電池においては、前記連結導電部材の前記面取り部が形成されている面は平面とされていることが好ましい。
連結導電部材の面取り部が形成されている面は曲面及び平面の両態様をとることができる。しかしながら、面取り部が形成されている面を平面とすると、中間部材を積層された芯体露出部の間に挿入した際に、角部を面取り部が形成されている面と中間部材における連結導電部材が露出した面との間が芯体露出部に対して必ず鈍角となる。そのため、本発明の角形密閉二次電池によれば、中間部材を積層された芯体露出部の間に挿入して抵抗溶接する際、芯体露出部と連結導電部材とが接触し易くなるので、溶接性が向上する。
以下に本発明を実施するための形態を例示し、詳細に説明する。ただし、以下に示す各実施形態は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお本発明で使用し得る発電要素は、正極極板と負極極板とをセパレータを介して積層又は巻回することにより、一方の端部に複数枚の正極芯体露出部が形成され、他方の端部に複数枚の負極芯体露出部が形成された偏平状のものに適用できるが、以下においては、偏平状の巻回電極体に代表させて説明する。
[実施形態1]
最初に、実施形態1の角形密閉二次電池の例として角形非水電解質二次電池を図1〜図3を用いて説明する。なお、図1Aは実施形態1にかかる角形非水電解質二次電池の断面図であり、図1Bは図1AのIB−IB線に沿った断面図であり、図1Cは図1AのIC−IC線に沿った断面図であり、図1Dは図1CのID部分の拡大図である。図2Aは実施形態1の正極用連結導電部材の平面図であり、図2Bは図2AのIIB−IIB線に沿った断面図であり、図2Cは正極用連結導電部材の正面図であり、図2Dは正極用中間部材の断面図であり、図2Eは図2DのIIE-IIE線に沿った断面図であり、図2Fは正極用中間部材の面取り位置を変更した変形例の正面図であり、図2Gは図2Fの正極用中間部材を電極体に取り付けた状態の平面図である。図3Aは実施形態1にかかる溶接状態を示す側面図であり、図3Bは抵抗溶接後の図3AのIIIB部分の拡大図である。
この角形非水電解質二次電池10は、正極極板と負極極板とがセパレータ(何れも図示省略)を介して巻回された偏平状の巻回電極体11を有している。正極極板は、アルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、アルミニウム箔が帯状に露出するようにスリットすることにより作製されている。また、負極極板は、銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、銅箔が帯状に露出するようにスリットすることによって作製されている。
そして、上述のようにして得られた正極極板及び負極極板を、正極極板のアルミニウム箔露出部と負極極板の銅箔露出部とがそれぞれ対向する電極の活物質層と重ならないようにずらして、ポリエチレン製多孔質セパレータを介して巻回することで、巻回軸方向の一方の端には複数枚重なった正極芯体露出部14を備え、他方の端には複数枚重なった負極芯体露出部15を備えた偏平状の巻回電極体11が作製されている。
複数枚の正極芯体露出部14は積層されて正極用集電部材16を介して正極端子17に接続され、同じく複数枚の負極芯体露出部15は積層されて負極用集電部材18を介して負極端子19に接続されている。なお、正極端子17、負極端子19はそれぞれ絶縁部材20、21を介して封口板13に固定されている。この実施形態1の角形非水電解質二次
電池10は、上述のようにして作製された偏平状の巻回電極体11の封口板13側を除く周囲に絶縁性の樹脂シート23を介在させて角形の電池外装缶12内に挿入した後、封口板13を電池外装缶12の開口部にレーザ溶接し、その後、電解液注液孔22から非水電解液を注液し、この電解液注液孔22を密閉することにより作製されている。
偏平状の巻回電極体11は、図1B及び図1Cに示すように、正極極板側では、積層された複数枚の正極芯体露出部14が2分割されてその間に正極用連結導電部材24Aを少なくとも1個、ここでは2個保持した樹脂材料からなる正極用中間部材24が挟まれており、同じく負極極板側では、積層された複数枚の負極芯体露出部15が2分割されてその間に負極用連結導電部材25Aを2個保持した樹脂材料からなる負極用中間部材25が挟まれている。また、正極用連結導電部材24Aの両側に位置する正極芯体露出部14の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極用集電部材16が配置されており、負極用連結導電部材25Aの両側に位置する負極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極用集電部材18が配置されている。このような正極用中間部材24、負極用中間部材25、正極用連結導電部材24A及び負極用連結導電部材25Aの具体的構成及び作用については後述する。
なお、正極用連結導電部材24Aは正極芯体と同じ材料であるアルミニウム製であり、負極用連結導電部材25Aは負極芯体と同じ材料である銅製であるが、正極用連結導電部材24A及び負極用連結導電部材25Aの形状は、同じであっても異なっていてもよい。また、正極用中間部材24及び負極用中間部材25に使用し得る樹脂材料としては、たとえばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などが挙げられる。
また、実施形態1の角形非水電解質二次電池10においては、図1A、図1B及び図2Dに示したように、正極用中間部材24及び負極用中間部材25はそれぞれ正極用連結導電部材24Aないし負極用連結導電部材25Aを2つずつ保持させたものを用いた例を示したが、正極用連結導電部材24Aないし負極用連結導電部材25Aの数は要求される電池の出力等に応じて1個としてもよく、更には3個以上設けてもよい。特に、1個の中間部材に複数個の連結導電部材を設けると、それぞれの連結導電部材は共に樹脂材料製の中間部材に保持されているから、複数の連結導電部材間の寸法精度が向上し、しかも、2分割された側の芯体露出部の間に安定な状態で位置決め配置できるようになる。
これらの正極用集電部材16と正極芯体露出部14との間及び正極芯体露出部14と正極用連結導電部材24Aとの間(それぞれ4箇所、図1B参照)は共に抵抗溶接されており、また、負極用集電部材18と負極芯体露出部15との間及び負極芯体露出部15と負極用連結導電部材25Aとの間(それぞれ4箇所)も共に抵抗溶接によって接続されている。
以下、偏平状の巻回電極体11の具体的製造方法、並びに、正極芯体露出部14、正極用集電部材16、正極用連結導電部材24Aを有する正極用中間部材24を用いた抵抗溶接方法、及び、負極芯体露出部15、負極用集電部材18、負極用連結導電部材25Aを有する負極用中間部材25を用いた抵抗溶接方法を図2及び図3を用いて詳細に説明する。しかしながら、実施形態1においては、正極用連結導電部材24Aと正極用中間部材24の形状及び負極用連結導電部材25Aと負極用中間部材25の形状は実質的に同一とすることができ、しかも、それぞれの抵抗溶接方法も実質的に同様であるので、以下においては正極極板側のものに代表させて説明することとする。
まず、正極極板及び負極極板を、正極極板のアルミニウム箔露出部と負極極板の銅箔露
出部とがそれぞれ対向する電極の活物質層と重ならないようにずらして、ポリエチレン製多孔質セパレータを介して巻回して得られた偏平状の巻回電極体11の正極芯体露出部14を、巻回中央部分から両側に2分割し、電極体厚みの1/4を中心として正極芯体露出部14を集結させた。ここで、集結させたアルミニウム箔の厚さは片側約660μmであり、総積層数は88枚(片側44枚)である。また、正極用集電部材16は厚さ0.8mmのアルミニウム板を打ち抜き、曲げ加工等にて製作した。なお、この正極用集電部材16はアルミニウム板から鋳造等にて製作してもよい。
そして、正極芯体露出部14の最外周側の両面に正極用集電部材16、内周側に正極用連結導電部材24Aを有する正極用中間部材24を、正極用連結導電部材24Aの両側の円錐台状の突起24bがそれぞれ正極芯体露出部14と当接するように、2分割された正極芯体露出部14の間に挿入する。
ここで、実施形態1の正極用中間部材24に保持された正極用連結導電部材24Aの形状を図2A〜図2Cを用いて説明する。この正極用連結導電部材24Aは、円柱状の本体24aの対向する二つの面24eのそれぞれにたとえば円錐台状の突起24bが形成されている。そして、この円錐台状の突起24bの中央部には、先端側から円柱状の本体24aの内部まで開口24cが形成されており、また、円柱状の本体24aの対向する二つの面24eと側面24hとの間に角部24fが形成されている。
この円錐台状の突起24bの高さH1は、抵抗溶接部材に一般的に形成されている突起(プロジェクション)と同程度、すなわち、数mm程度であればよい。また、開口24cの深さDは、ここでは円錐台状の突起24bの高さH1よりも大きくされ、開口24cは突起24bが設けられた円柱状の本体24aの面24eから突起24bの高さH1の深さよりも浅い位置まで形成されている(開口24cの深さDは2H1よりも小さい)ことが好ましく、突起24bが設けられた円柱状の本体24aの表面から突起24bの高さH1の1/2の深さよりも浅い位置まで形成されている(開口24cの深さDは3/2H1よりも小さい)ことがより好ましい。
また、円柱状の本体24aの径及び長さは、偏平状の巻回電極体11や電池外装缶12(図1参照)によっても変化するが、3mm〜数10mm程度であればよい。なお、ここでは正極用連結導電部材24Aの本体24aの形状は円柱状のものとして説明したが、角柱状、楕円柱状等、金属製のブロック状のものであれば任意の形状のものを使用することができる。また、正極用連結導電部材24Aの形成材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、モリブデン等からなるものを使用することができ、更に、これらの金属からなるもののうち、突起24bにニッケルメッキを施したもの、突起24bとその根本付近までをタングステンもしくはモリブデン等の発熱を促進する金属材料に変更し、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる正極用連結導電部材24Aの本体24aにロー付け等によって接合したもの等も使用し得る。
実施形態1の正極用連結導電部材24Aは、2個が樹脂材料からなる正極用中間部材24によって一体に保持されている。この場合、それぞれの正極用連結導電部材24Aは互いに並行になるように保持されている。この正極用中間部材24の形状は角柱状、円柱状等任意の形状をとることができるが、2分割した正極集電体露出部14内で安定的に位置決めして固定されるようにするために、横長の角柱状とされている。
そして、角柱状の正極用中間部材24の長さwは、角形非水電解質二次電池のサイズによっても変化するが、20mm〜数十mmとすることができ、その幅hは、正極用連結導電部材24Aの近傍において、溶接を行った後に正極芯体露出部14と対向する樹脂材料部分24pの面(溝部は除く)が正極芯体露出部14と接するような状態となるように設
定すればよいので、正極用連結導電部材24Aの両端部間の長さH2よりも長くても短くてもよい。ただし、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの幅hと正極用連結導電部材24Aの両端部間の長さH2との間の差が大きいと正極芯体露出部14の変形度合いが大きくなるので、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの幅hは正極用連結導電部材の両端部間の長さH2の0.8倍〜1.2倍程度が好ましい。
また、連結導電部材の形状が正極用中間部材24のように円柱状等の本体部の対向する二つの面に円錐台形等の突起が設けられたものである場合には、本体部の高さH3が樹脂材料部分の幅hより小さく、連結導電部材の高さH2が樹脂材料部分の幅hと同じであるか、あるいは突起の先端部が樹脂材料部分から突出する(H2≧h)ようにすることが好ましい。
また、実施形態1の正極用中間部材24では、正極用連結導電部材24Aの周囲の樹脂材料部分24pに環状に断面が「コ」字状の溝24qが形成されている。なお、この環状の溝24qの深さ及び幅は任意であるが、ここでは、環状の溝24qは正極用連結導電部材24Aの両側の面24eの一部及びその側面24hが露出するように設けられている。すなわち、実施形態1の正極用中間部材24では、樹脂材料部分24pの幅hは正極用連結導電部材24Aの両端部間の長さH2に対してH2≧hとされているため、正極用連結導電部材24Aの周囲において、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pに形成された環状の溝24qと、正極用連結導電部材24Aの面24e、24h、及び突起24bとの間に本発明における環状の空隙24rが形成されていることになる。そのため、この環状の溝24qも本発明の「空隙」の一部を構成している。
そして、図1Dに示したように、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pは、2分割された正極芯体露出部14の延在方向において、2分割された正極芯体露出部14の端部14t及び正極用集電部材16の端部16tよりも角形外装缶12側に突出部24tが形成されるようなされている。このような構成を採用すると、角形外装缶12の内面の側端部に位置する偏平状の巻回電極体11の少なくとも一方側の端部には、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tが位置しているので、2分割された正極芯体露出部14の端部14t及び正極用集電部材16の端部16tが共に角形外装缶12の内面側と接触するおそれがなくなる。
しかも、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの端部の突出部24tは、2分割された正極芯体露出部14内に挿入したときに正極芯体露出部14の端部14t及び正極集電部材16の端部16tよりも突出するから、この突出部24tを把持することによって、正極用中間部材24を2分割された正極芯体露出部14内に容易に挿入することができるようになる。
また、通常は、偏平状の巻回電極体11は平板状の樹脂シート23を折り曲げて包んだ状態で角形外装缶12内に挿入されるが、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tの存在により、たとえ樹脂シート23にズレがあっても、確実に正極芯体露出部14の端部14t及び正極集電部材16の端部16tが角形外装缶12と接触することが抑制される。また、たとえ角形非水電解質二次電池10に外力が加わって角形外装缶12が変形することがあっても、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pは、樹脂シート23とは異なり、剛体であるために変形し難いので、単に樹脂シート23のみで覆った場合よりも正極芯体露出部14の端部14t及び正極集電部材16の端部16tが角形外装缶12と接触する可能性が小さくなる。
更に、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tは、角形外装缶12に対向する部分に平坦部24uが形成されており、この平坦部24uの長さ方向の角部には
面取り部24u'が形成されている。このような構成を備えていると、偏平状の電極体11を角形外装缶12内に挿入する際に、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tに形成されている平坦部24uを角形外装缶12の側端部の少なくとも一方に当接させて滑らすようにして挿入することができるので、組付けが容易となる。しかも、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tの平坦部24uの長さ方向の角部には面取り部24u'が形成されているので、より角形外装缶内12内に挿入し易くなり、しかも、平板状の樹脂シート23を折り曲げて偏平状の電極体11を包んだ状態で角形外装缶12内に挿入する場合であっても、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tの角部で樹脂シート23を切り裂いてしまうことが抑制される。
また、実施形態1で用いられた正極用中間部材24の樹脂材料部分24pは、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの2分割された正極芯体露出部14への挿入側の角部にも面取り部24vが形成されている。このような構成を備えていると、正極用中間部材24を積層されて2分割された正極芯体露出部14の間に挿入する際に、正極用中間部材24の面取り部24vが正極芯体露出部14と接触しても正極芯体露出部14に損傷を与えることが少なくなり、2分割された正極芯体露出部14の間に挿入して、正極用連結導電部材24Aを分割された正極芯体露出部14の内面側に当接させることができるようになる。
なお、上記実施形態1では、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tの平坦部24uの長さ方向の角部に面取り部24u'を形成した例を示したが、この変形例として、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの突出部24tの平坦部24uの幅方向の角部であって、角形外装缶12の底部と対向する側に面取り部24u"を形成してもよい。このような構成とすると、正極用中間部材24を2分割された正極芯体露出部14内に挿入した場合には、図2Gに示した状態となるので、抵抗溶接後に正極用中間部材24が取り付けられた電極体11を角形外装缶12内に挿入する際には、平板状の樹脂シート23を折り曲げて偏平状の電極体11を包んだ状態で角形外装缶12内に挿入する場合であっても、よりスムーズに角形外装缶内12内に挿入することができるようになる。
次いで、図3Aに示したように、上下に配置された一対の抵抗溶接用電極棒31及び32間に正極用集電部材16及び正極用連結導電部材24Aを保持した正極用中間部材24が配置された偏平状の巻回電極体11を配置し、一対の抵抗溶接用電極棒31及び32をそれぞれ正極芯体露出部14の最外周側の両面に配置された正極用集電部材16に当接させる。そして、一対の抵抗溶接用電極棒31及び32間に適度の圧力を印加し、予め定めた一定の条件で抵抗溶接を実施する。
この抵抗溶接においては、正極用中間部材24は2分割された正極芯体露出部14の間に安定的に位置決めされた状態で配置されているので、一対の抵抗溶接用電極棒31及び32を一組のみ用いて複数個の正極用連結導電部材24A部分を1個ずつ抵抗溶接しても、あるいは、一対の抵抗溶接用電極棒31及び32を複数組用いて複数個の正極用連結導電部材24A部分を2個以上まとめて抵抗溶接してもよい。この実施形態1の正極用中間部材24を用いると、連結導電部材24Aと電極棒31及び32間の寸法精度が向上しているので、正確にかつ安定した状態で抵抗溶接することが可能となり、溶接強度がばらつくことが抑制される。
しかも、実施形態1の正極用中間部材24には、正極用連結導電部材24Aの周囲において、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pに形成された環状の溝24qと正極用連結導電部材24Aの面24e、24h、及び突起24bとの間に本発明における環状の空隙24rが形成されている。そのため、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属Mは、図3Bに示したように、直ちに正極用連結導電部材24Aの周囲に形成されてい
る環状の空隙24r内に捕獲されると共に、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pに衝突した場合にはこの樹脂材料部分24pの表面ないし内部で冷却及び捕獲されるので、集電体の外へ飛び出したり、電極体の内部へ飛散することが少なくなる。そのため、実施形態1の角形非水電解質二次電池10によれば、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属Mに起因する内部短絡の発生が少なく、溶接部分の品質が安定化すると共に製造歩留まりが向上した信頼性の高い角形密閉二次電池としての角形非水電解質二次電池10が得られるようになる。
なお、実施形態1の正極用連結導電部材24Aは、突起24bに開口24cが形成されているため、突起24bの先端部に電流が集中し易く、更に突起24bの先端が正極芯体露出部14に食い込み易くなるため、開口24cが形成されていない場合よりも溶接性が向上する。そして、突起24bの先端部が半つぶし状態になり、突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円環状から円状に変化するように圧力を加えて抵抗溶接を行うと、より安定的に溶接を行うことができる。
したがって、正極用連結導電部材24Aの突起24bの形状は、たとえば図4Dに示すように、突起24bの先端部が半つぶし状態になり、突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円環状から円状に変化しているようにすることが望ましい。この場合、突起24bの内部には空洞24dが形成されている。これは、突起24bの正極芯体露出部14との接触部を円状にすることにより、正極用連結導電部材24Aの中心からの発熱を促して、更に安定した溶接が可能となる。
なお、突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が半つぶし状態となるか円環状となるかは、主に溶接時の加圧力に依存することがわかっており、溶接加圧力が弱い場合は突起先端が環状となり、溶接加圧力が強い場合は突起先端が半つぶれ状となる傾向にある。また、その他には、突起24bの高さが高くかつ開口24cの深さが深いほど半つぶし状態となり易く、開口の深さが浅い場合は、突起24cの先端が環状のまま芯体露出部に食い込む状態となり易いものと考えられる。
また、この抵抗溶接時には、一対の抵抗溶接用電極棒31及び32と正極用連結導電部材24Aの中心軸が一致していることが望ましく、正極用連結導電部材24Aは加圧等により位置ずれをしないように保持されていることが望ましい。また、抵抗溶接機としては周知のトランジスタ等を用いた半導体式溶接電源を使用し得る。
ここで、上記の突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円環状の場合と円状の場合で、発熱状態に差異が生じる理由について、図4を用いて説明する。なお、図4Aは突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円環状の場合の抵抗溶接電流が流れる経路を示す図であり、図4Bは図4Aの発熱が強い部分を示す図であり、図4Cは突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円環状の場合の抵抗溶接電流が流れる経路を示す図であり、図4Dは図4Cの発熱が強い部分を示す図である。
電流は最も抵抗値の少ない箇所を流れるため、抵抗溶接用電極棒31及び32の内部ではその中心が最も電流が流れる部分となる。突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円環状の場合、図4Aに示したように、溶接電流Iは、たとえば上側の抵抗溶接用電極棒31から上側の正極用集電部材16及び正極芯体露出部14を経て、正極用連結導電部材24Aの上側の突起24bの円環状の先端部から円環状に分流されて正極用連結導電部材24Aの本体24a内へ流れ、更に、正極用連結導電部材24Aの下側の突起24bの円環状の先端部を通って電流が集中され、下側の正極芯体露出部14及び正極用集電部材16を経て、下側の抵抗溶接用電極棒32に流れる。そのため、突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円環状の場合、突起24bの中心には電流が流れ
ないので、図4Bに示したように、円環状に溶接の起点が発生することになり、溶接の起点が多数になる。
それに対し、突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が半つぶし状態となって円状となっている場合、突起24の内部には空洞24dが形成されているから、図4Cに示すように、溶接電流Iは、たとえば上側の抵抗溶接用電極棒31から上側の正極用集電部材16及び正極芯体露出部14を経て、正極用連結導電部材24Aの上側の突起24bの円状の先端部の中心から円環状に分流されて正極用連結導電部材24Aの本体24a内へ流れ、更に、正極用連結導電部材24Aの下側の突起24bの円状の先端部の中心を通って電流が集中され、下側の正極芯体露出部14及び正極用集電部材16を経て、下側の抵抗溶接用電極棒32に流れる。
この例では、溶接電流Iは、突起24b部分において空洞24d部分を避けて円環状に電流が分流されるが、円状の先端部の中心の内部に空洞24dが存在しているため、金属の溶融に伴う吸熱が少なくなるので、突起24bの円状の先端部の中心の付近が最も発熱し易くなる。そのため、突起24bが正極芯体露出部14と接触している部分が円状の場合、突起24bの円状の先端部の中心に電流が集中するため、溶接電流Iによって強く発熱する部分の形状は、図4Dに示したように球状となるので、より安定した溶接状態となり、しかも、溶接強度も強くなる。
なお、上記実施形態1では、正極用連結導電部材24Aとして柱状の本体24aを有し、突起24bとして開口24cが形成されている円錐台状のものを用いた例を示した。しかしながら、本発明においては、突起24bは開口が形成されていないものであっても、角錐台状のもの、すなわち、三角錐台状のものや四角錐台状のものや更に多角錐台状のものも使用することができる。
突起24bに開口が形成されていない場合、突起24bの作用は従来の抵抗溶接時のプロジェクションと同様になるが、この場合でも良好に正極用集電部材16、積層された複数枚の正極芯体露出部14及び正極用連結導電部材24Aとの間の抵抗溶接を行うことができる。この場合、突起24bに形成する開口24cの深さが浅くなると、抵抗溶接時に生じる作用効果は徐々に突起24bに開口を形成しない状態に近づいていく。
また、正極用連結導電部材24Aとして、円柱状の本体24aを有するものを使用した例を示したが、正極用連結導電部材24Aの本体24aとしては角柱状、楕円柱状等の金属製のブロック状のものであればよく、更には開口24c(図2参照)が本体24aを貫通しているものも使用し得る。特に、開口24cが本体24aを貫通している場合は、正極用連結導電部材24Aの本体24aは筒状のものとなるが、この場合は、本体24aの両端部を成形してあるいはそのまま突起として兼用させることができる。このように正極用連結導電部材24Aの本体24aを筒状とした場合、電気抵抗を小さくするためには筒状部分の厚さをある程度厚くした方がよい。
なお、上記実施形態1では、積層された複数枚の正極芯体露出部14を2分割し、正極用集電部材16及び正極用連結導電部材24Aを用いて抵抗溶接する場合について述べたが、正極用連結導電部材24Aを正極用集電部材に兼用してこの正極用連結導電部材24Aを正極端子17に接続してもよい。この場合、上記実施形態1で使用されている正極用集電部材に換えて、正極用連結導電部材24Aと同じ材料で形成された薄板材からなる溶接受け部材を用いればよい。
[実施形態2〜4]
実施形態1の正極用中間部材24に保持される正極用連結導電部材24Aとしては、図
2に示したように、円柱状の本体24aの対向する二つの面24eのそれぞれにたとえば円錐台状の突起24bが形成されているものを示した。このように、本体24aが円柱状であると、円柱状の本体24aの対向する二つの面24eと側面24hとの間に角部24fが形成される。そのため、図3に示すように、正極用連結導電部材24Aを保持した正極用中間部材24を積層された正極芯体露出部14を2分割してその内側に配置し、正極用連結導電部材24Aの両側の円錐台状の突起24bがそれぞれ積層された正極芯体露出部14と当接するようにする際、角部24fが正極用中間部材24の表面から露出していると、この露出している角部24fが積層された正極芯体露出部14と接触し易いため、正極芯体露出部14が変形され易くなる。
そこで、実施形態2の正極用連結導電部材24Bとしては、実施形態1の円柱状の本体24aの対向する二つの面24eと側面24hとの間の角部24fに面取り部が形成されている面24gを形成した。この実施形態2の正極用連結導電部材24Bを図5Aを用いて説明する。なお、図5Aは実施形態2の正極用連結導電部材24Bの正面図である。
このように面取り部が形成されている面24gを形成した実施形態2の正極用連結導電部材24Bによれば、積層された正極芯体露出部14を2分割してその内側に正極用中間部材24を正極用連結導電部材24Bの両側の円錐台状の突起24bがそれぞれ正極芯体露出部14と当接するように配置する際、たとえ面取り部が形成されている面24gが正極用中間部材24の表面よりも突出していても、積層された正極芯体露出部14に損傷を与えることが少なくなり、容易に積層された正極芯体露出部14の溶接位置にまで挿入させることができるようになり、溶接性が向上する。
なお、実施形態2の正極用連結導電部材24Bにおける面取り部が形成されている面24gは、曲面及び平面のどちらをも採用することができるが、面取り部が形成されている面24gを平面状とすると、面取り部が形成されている面24gと突起24bが形成された面との間が積層された正極芯体露出部14に対して必ず鈍角となるので、正極用連結導電部材24Bを積層された正極芯体露出部14と接触させる際に正極芯体露出部14と突起24bとが接触し易くなるので、より溶接性が向上する。
また、実施形態3の正極用連結導電部材24Cにおいては、図5Bに示したように、正極用連結導電部材24Cのように、面取り部が形成されている面24gが突起24bの形成部分にまで延在されており、実施形態2の正極用連結導電部材24Bの本体24aにおけるそれぞれ互いに平行な2つの平面からなる面24eが存在しない形状を示した。この実施形態3の正極用連結導電部材24Cも一応の良好な抵抗溶接効果を奏する。
しかしながら、実施形態2の正極用連結導電部材24Bのように、突起24bが設けられている2つの面24eがそれぞれ露出している状態、すなわち、正極用連結導電部材24Bの本体24aにそれぞれ互いに平行な2つの平面からなる面24eが形成されている状態とすると、抵抗溶接時に抵抗溶接用電極で加圧された際に正極用連結導電部材24Bが変形し難くなり、また、抵抗溶接時に溶融変形した突起24bの一部あるいは溶融した正極芯体露出部14の一部がこの面24eに留まって正極用連結導電部材24Bの側面方向に流れ出ることが抑制され、しかも、面24eが正極芯体露出部14と接する面となることで正極用連結導電部材24Bの位置が安定化されて、より信頼性の高い抵抗溶接部が得られるようになるため、より好ましい。
なお、実施形態4の正極用連結導電部材24Dは、実施形態2の正極用導電部材24Bにおいて、突起24bの中央部に、突起24bの高さHよりも浅い深さDの開口24cを設けたものである。
また、実施形態2〜4の正極用連結導電部材24B〜24Dのように、面取り部が形成されている面24gを形成すると、正極用中間部材24を2分割された正極芯体露出部14間に挿入し易くなることを示すため、実施形態4の正極用連結導電部材24Dを用いた場合について、抵抗溶接を行った際の模式側面図を図5Dに示す。図5Dの記載によれば、正極用中間部材24の表面から正極用連結導電部材24Dが突出していても、幾何学的に正極芯体露出部14が変形し難いことが理解できる。また、図5Dには、正極用中間部材24の正極芯体露出部14間に挿入される側の角部が面取りされた例も示されている。この図5に示した正極用中間部材24の形状からしても、正極用中間部材24を2分割された正極芯体露出部14間に挿入する場合においても、幾何学的に正極芯体露出部14が変形し難いことが理解できよう。
[実施形態5及び6]
なお、上記実施形態1及び4では、偏平状の巻回電極体11の正極芯体露出部14を巻回中央部分から両側に2分割して集結させ、正極芯体露出部14の最外周側の両面に正極用集電部材16を当接させ、正極用連結導電部材24Aないし24Dを有する正極用中間部材24を2分割された正極芯体露出部14の間に挿入し、正極用集電部材16の両面に一対の抵抗溶接用電極31、32当接して抵抗溶接した例(図3参照)を示した。しかしながら、本発明においては、2分割された正極芯体露出部14の最外周側の両面に正極端子17に接続された正極用集電部材16を当接させることは必ずしも必要な条件ではなく、少なくとも2分割された正極芯体露出部14の一方の面に正極用集電部材16を当接させて抵抗溶接すればよい。
このような少なくとも2分割された正極芯体露出部14の一方の面に正極端子17に接続された正極用集電部材16を当接させた実施形態5及び6の溶接後の正極用中間部材24部分の配置状態を、図6を用いて説明する。なお図6Aは実施形態5の溶接後の正極用中間部材24部分の配置状態を示す側面図であり、図6Bは実施形態6の溶接後の正極用中間部材24部分の配置状態を示す側面図である。なお、実施形態5及び6では、正極用中間部材24として実施形態1で使用したものと同様の正極用連結導電部材24Aを備えているものを用いて説明する。
実施形態5では、図6Aに示すように、2分割された正極芯体露出部14の最外側の一方の面に正極端子17に接続された正極用集電部材16を当接するように配置すると共に、2分割された正極芯体露出部14の最外側の他方の面に集電受け部材16aを当接するように配置し、正極用集電部材16と集電受け部材16aとの間に一対の抵抗溶接用電極を当接して抵抗溶接を行ったものである。この場合、実施形態5では、集電受け部材16aは、直接正極端子17とは電気的に接続されておらず、抵抗溶接時に一対の抵抗溶接用電極の一方側を受け止める役割を果たす。この実施形態5のような構成でも、正極用中間部材24の正極用連結導電部材24Aが備えているプロジェクション効果のため、実質的に実施形態1の場合と同様の作用効果を奏する。すなわち、集電受け部材16aは、抵抗溶接に関しては実質的に正極用集電部材16と同様の作用効果を奏するものでる。そのため、本発明における「集電部材」とはこのような「集電受け部材」をも含む意味で用いられている。抵抗溶接は、集電部材を2分割された芯体露出部の最外側の両方の面に配置した方が物理的に安定した状態で行うことができる。
また、実施形態6では、図6Bに示すように、2分割された正極芯体露出部14の最外側の一方の面には正極用集電部材16を当接するように配置すると共に、2分割された正極芯体露出部14の最外側の他方の面には、何も設けず、正極用集電部材16と2分割された正極芯体露出部14の他方側との間に一対の抵抗溶接用電極を当接して抵抗溶接を行ったものである。すなわち、この実施形態6では、抵抗溶接時に一対の抵抗溶接用電極の一方側を2分割された正極芯体露出部14の最外側の他方の面に直接接触させて抵抗溶接
を行っている。この実施形態6のような構成でも、正極用中間部材24の正極用連結導電部材24Aが備えているプロジェクション効果のため、一応良好な抵抗溶接を行うことができるが、抵抗溶接用電極と正極芯体露出部14の最外側の他方の面との間に融着が生じる可能性があるので、実施形態1ないし5のように、正極芯体露出部14の最外側の他方の面には、正極用集電部材16ないし集電受け部材16aを配置することが望ましい。
[実施形態7〜9]
上記実施形態1では、合成樹脂製の正極用中間部材24として直方体形状のものを用いた例を示したが、本発明では連結導電部材24Aを安定して保持できれば実施し得るため、合成樹脂製の正極用中間部材24の形状としては直方体に限定されるものではない。たとえば、図7Aに示した実施形態7の正極用中間部材241のように、正極用連結導電部
材24A間に切り欠き部分24x形成したり、図7Bに示した実施形態8の正極用中間部材242のように、長さ方向に貫通孔24yを形成したり、図7Cに示した実施形態9の正極用中間部材243のように、正極用連結導電部材24A間に開口24zを形成したりしてもよい。このような構成を採用すると、これらの切り欠き部分24x、貫通孔24y、開口24zなどがガス抜き通路として作用するため、電池に異常が生じた際、電極体内部に発生したガスを容易に電極体の外部に排出することができ、角形密閉二次電池に普通に備えられている感圧式電流遮断機構やガス排出弁などが安定的に動作するので、安全性を確保することができ、信頼性の高い角形密閉二次電池を製造することができるようになる。
[実施形態10〜12]
実施形態10の正極用中間部材244を図8Aを用いて、実施形態11の正極用中間部材245を図8Bを用いて、さらに実施形態12の正極用中間部材246を図8Cを用いて説明する。なお、図8Aは実施形態10にかかる正極用中間部材244の縦断面図であり、図8Bは実施形態11にかかる正極用中間部材245の縦断面図であり、さらに図8Cは実施形態12にかかる正極用中間部材246の縦断面図である。また、図8A〜図8Cにおいては、それぞれ実施形態1の場合と同様の形状の正極用連結導電部材24Aを用いた例を示している。
実施形態10の正極用中間部材244は、図1〜図3に示した実施形態1の正極用中間部材24において、特に正極用連結導電部材24Aの周囲の樹脂材料部分24pに環状に溝を形成することなく、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pと正極用連結導電部材24Aの面24e及び突起24bとの間に形成される空間をそのまま環状の空隙24r1として利用したものである。この実施形態10の正極用中間部材244を用いても、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は、正極用連結導電部材24Aの周囲に形成されている環状の空隙24r1内に捕獲されると共に、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pに衝突した場合にはこの樹脂材料部分24pの表面ないし内部で冷却及び捕獲されるので、集電体の外へ飛び出したり、電極体の内部へ飛散することが少なくなる。
そのため、実施形態10の角形非水電解質二次電池においても、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属に起因する内部短絡の発生が少なく、溶接部分の品質が安定化すると共に製造歩留まりが向上した信頼性の高い角形密閉二次電池としての角形非水電解質二次電池が得られるようになる。
また、実施形態11の正極用中間部材245は、実施形態10の正極用中間部材244において、更に突起24bが形成されている位置である抵抗溶接部分から離間した位置の樹脂材料部分24pに、正極用連結導電部材24Aを囲むように、環状の溝24qを形成したものである。この場合においては環状の溝24qの深さ及び幅は任意である。
すなわち、実施形態11の正極用中間部材245では、正極用中間部材245の樹脂材料部分24pと正極用連結導電部材24Aの面24e及び突起24bとの間に形成される空間に基づく環状の空隙24r1と環状の溝24qに基づく環状の空隙24r2とを備えていることになる。この実施形態11の正極用中間部材245を用いても、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は、実施形態10の正極用中間部材244の場合と同様に、正極用連結導電部材24Aの周囲に形成されている環状の空隙24r1内に捕獲されると共に、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pに衝突した場合にはこの樹脂材料部分24pの表面ないし内部で冷却及び捕獲される。
加えて、これらの部分で捕獲されなかった抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は、更に溶接箇所から離間する方向に移動するが、移動中に温度が低下すると共に速度も低下しているので、環状の溝24qからなる環状の空隙24r2内に容易に捕獲される。そのため、実施形態11の正極用中間部材245を用いた場合は、実施形態10の正極用中間部材244を用いた場合よりも、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属集電体の外へ飛び出したり、電極体の内部へ飛散することが少なくなる。
そのため、実施形態11の角形非水電解質二次電池においても、実施形態10の角形非水電解質二次電池よりも、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属に起因する内部短絡の発生が少なく、溶接部分の品質が安定化すると共に製造歩留まりが向上した信頼性の高い角形密閉二次電池としての角形非水電解質二次電池が得られるようになる。
さらに実施形態12の正極用中間部材246では、正極用中間部材246の樹脂材料部分24pに形成した環状の溝24qに基づく環状の空隙24r2のみを備えていることになる。この実施形態12の正極用中間部材246を用いても、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は、実施形態10の正極用中間部材244の場合と同様に、正極用中間部材24の樹脂材料部分24pの表面ないし内部で冷却及び捕獲されると共に、この樹脂材料部分24pで捕獲されなかったものは正極用連結導電部材24Aの周囲に形成されている環状の空隙24r2内に捕獲される。そのため、実施形態12の正極用中間部材246を用いたが合いであっても、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属集電体の外へ飛び出したり、電極体の内部へ飛散することが少なくなる。
なお、上記実施形態1〜12では、正極側について述べたが、負極側においても、負極芯体露出部15、負極用集電部材18、負極用中間部材25、負極用連結導電部材25A、負極用集電受け部材(図示省略)の材料の物性が相違する他は、同様の構成を採用することにより、実質的に同様の作用・効果を奏する。また、本発明は、必ずしも正極側及び負極側の両方に採用しなければならないものではなく、正極側及び負極側のいずれか一方にのみ適用してもよい。
また、上記実施形態1〜12では、中間部材の樹脂材料部分に形成する溝を「環状」にした例を示したが、本発明においては、抵抗溶接時に発生したスパッタチリや溶融した金属は中間部材の樹脂材料部分でも捕獲されるので、溝は、必ずしも完全な環状に形成されている必要はなく、連結導電部材の抵抗溶接部分の周囲に断続的に(環の一部が途切れているように)形成されていてもよく、また、その配置形状も、円環状であっても、楕円環状であっても、さらには角形環状であってもよく、任意の形状を採用することができる。更に、上記実施形態1〜12では、溝の断面が「コ」字状の例を示したが、「U」字状であっても「V」字状であってもよい。
また、本発明においては、角形密閉二次電池の製造に際して、正極用連結導電部材及び負極用連結導電部材としてそれぞれ突起の形状が異なるものを用いることもできる。たとえばリチウムイオン二次電池では、正極芯体としてはアルミニウム又はアルミニウム合金
が使用され、負極芯体としては銅又は銅合金が使用されているように、一般的な密閉電池の正極芯体及び負極芯体はそれぞれ異なる金属材料が使用されている。アルミニウム又はアルミニウム合金に比べて銅又は銅合金は電気抵抗が小さいため、負極芯体露出部側の抵抗溶接は、正極芯体露出部側の抵抗溶接よりも困難であって、積層された負極芯体露出部内に溶融し難い部分が生じやすい。
このような場合には、負極芯体露出部間に使用する負極用連結導電部材の突起の形状としては、溶接電流を集中させて抵抗溶接を行い易くするため、突起に開口が形成されているものを使用すればよく、また、正極芯体露出部間に使用する正極用連結導電部材の突起の形状としては、抵抗溶接が容易に進行するため、正極用連結導電部材がより変形し難くなるようにするために突起に開口が形成されていないものを使用すればよい。
なお、上記各実施形態及び図面においては、説明を簡潔にするため、一つの電極芯体露出部に対して2つの連結用導電部材を有する一つの中間部材を用いて抵抗溶接している例で示したが、当然のことながら連結用導電部材の数は3個以上とすることもでき、電池のサイズや要求出力等に応じて適宜調整すればよい。