JP5834966B2 - 車両用駆動装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多段変速機構を有する車両用駆動装置の制御装置に関する。
従来、特許文献1に記載のように、自動変速機において、4つの摩擦係合要素の掴み変えを必要とする6―3変速の際に、6−4−3変速の順で変速を行う自動変速機が案出されている。そして、この自動変速機は、4−3変速時に係合側となる摩擦係合要素の起動に必要な油圧を6−4変速時に行うことによって、6−3変速の変速時間を短縮している。
また、特許文献2に示すように、アクセル開度と車速の変化に基づいて目標ギヤ比を設定すると共に、この目標ギヤ比の変化速度及びプレサーボ時間に基づいて次の変速のプレサーボ時間を推定してこのタイミングでプレサーボ起動を開始させる変速制御装置も案出されている。
特開2002−195402号公報 特開2011−208706号公報
ところで、車両に搭載される変速機構は、燃費やドライバビリティの向上のため、多段化が益々、進んでいる。変速機構の多段化が進むと走行中の変速回数も多くなり、変速時間の短縮も特許文献1のような4つの摩擦係合要素の掴み変え変速のような限定された場合だけではなく、より広い範囲で適用されることが望まれている。
また、特許文献2記載の変速制御装置では、次の変速のプレサーボ時間を推定してプレサーボ起動を開始させているが、飛び変速時など変速速度が速い場合、次の変速のプレサーボ時間を推定するだけでは、サーボの起動が間に合わなくなる虞がある。
そこで、本発明は、多段変速機構を有する車両用駆動装置において、変速速度を向上させ、車両の走行性能を発揮させることを可能とする車両用駆動装置の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、複数の摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の係合状態を各摩擦係合要素の油圧サーボ(例えば31〜34)に供給される油圧によって制御して多段変速機構(7)の変速段を切換える車両用駆動装置(5)の制御装置(21)において、
現在の車両の走行状態を、各変速段毎に決定された走行状態よりも細分化した走行状態として特定する変動値として演算する変動値演算部(44)と、
前記変動値を時間微分して該変動値の変化率を演算する変化率演算部(43)と、
前記油圧サーボ(例えば31〜34)に油圧の供給を行って前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の係合準備を行うもしくは前記油圧サーボ(例えば31〜34)の油圧を低下させて前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の解放準備を行う変速準備制御に必要とする前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)ごとの制御時間(T)を参照し、前記制御時間(T)、前記変動値の変化率及び前記変動値に基づいて、前記複数の摩擦係合要素それぞれについて前記変速準備制御完了後の前記変動値の予測値を演算する予測演算部(42)と、
前記複数の摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)のそれぞれについて各変速段毎に規定された変速準備を開始する準備範囲の内、現在変速段から変速する可能性のある全ての変速段において使用される複数の前記摩擦係合要素の準備範囲について、前記予測演算部(42)が演算した予測値が、これらの範囲内に入っているか否かを前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)ごとに並行して判断する判断部(41)と、
前記予測値が前記準備範囲に入っていると前記判断部(41)が判断した摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)について、前記変速準備制御を開始させるように前記多段変速機構(7)に指令する制御指令部(45)と、を備えた、ことを特徴とする。
また、前記変動値演算部(44)は、車両の走行状態の変化がアップシフト側かダウンシフト側かに応じて前記変動値を別々に演算し、
前記予測演算部(42)は、アップシフト側の前記変動値に基づくアップシフト側予測値と、ダウンシフト側の前記変動値に基づくダウンシフト側予測値を演算し、
前記判断部(41)は、前記アップシフト側予測値がこのアップシフト側予測値に対応した前記準備範囲である前記アップシフト準備範囲に入ったか否か、前記ダウンシフト側予測値がこのダウンシフト側予測値に対応した前記基準範囲であるダウンシフト準備範囲に入ったか否かを判断する、と好適である。
また、前記制御指令部(45)は、前記予測値が前記準備範囲から外れた摩擦係合要素については、前記変速準備制御を取り止める、と好適である。
また、入力トルクが所定のトルク以下の場合、前記予測値が前記準備範囲に入る摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の内、現在の変速段から最も離れた変速段において操作される摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の1つについて前記変速準備制御を開始するように前記制御指令部(45)に指令する規制部(46)を備えると好適である。
また、前記規制部(46)は、前記現在の変速段から最も離れた変速段において操作される摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)に、低速段から該低速段よりもギヤ比が小さい中速段まで連続して係合される第1優先クラッチ(C1)、前記中速段から該中速段よりもギヤ比が小さい高速段まで連続して係合される第2優先クラッチ(C2)のいずれかが存在する場合、これら第1又は第2優先クラッチ(C1,C2)について前記変速準備制御を優先的に開始するよう前記制御指令部(45)に指令する、と好適である。
また、前記判断部(41)は、前記複数の摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)のそれぞれについて、現在の変速段から他のすべての変速段への変速について前記準備範囲が前記予測値に対応して規定された変速準備制御マップ(52)を参照し、前記予測値が前記準備範囲に入っているか否かを前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)ごとに判断すると好適である。
また、本発明は、複数の摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の係合状態を各摩擦係合要素の油圧サーボ(例えば31〜34)に供給される油圧によって制御して多段変速機構(7)の変速段を切換える車両用駆動装置(5)の制御装置(21)において、
現在の車両の走行状態を、各変速段毎に決定された走行状態よりも細分化した走行状態として特定する変動値として演算する変動値演算部(44)と、
前記変動値を時間微分して該変動値の変化率を演算する変化率演算部(43)と、
前記油圧サーボ(例えば31〜34)に油圧の供給を行って前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の係合準備を行うもしくは前記油圧サーボ(例えば31〜34)の油圧を低下させて前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)の解放準備を行う変速準備制御に必要とする前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)ごとの制御時間(T)を参照し、前記制御時間(T)、前記変動値の変化率及び前記変動値に基づいて、前記複数の摩擦係合要素それぞれについて前記変速準備制御完了後の前記変動値の予測値を演算する予測演算部(42)と、
前記予測演算部(42)が演算した予測値が、前記複数の摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)のそれぞれについて各変速段毎に規定された変速準備を開始する準備範囲に入っているか否かを前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)ごとに並行して判断する判断部(41)と、
前記予測値が前記準備範囲に入っていると前記判断部(41)が判断した摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)について、前記変速準備制御を開始させるように前記多段変速機構(7)に指令する制御指令部(45)と、を備え、
前記判断部(41)は、前記準備範囲として、前記油圧サーボ(例えば、31〜34)に油圧を供給して前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)のピストンのガタ詰めを行うサーボ起動制御を開始するサーボ起動準備範囲と、前記油圧サーボ(例えば、31〜34)に供給されている直結係合圧を前記摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)がスリップ回転を開始する直前まで低下させるプレ解放制御を開始するプレ解放準備範囲と、をそれぞれ有し、
前記制御指令部(45)は、前記予測値が前記サーボ起動準備範囲に入っていると前記判断部(41)が判断した摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)について、前記変速準備制御としての前記サーボ起動制御を開始させ、前記予測値が前記プレ解放準備範囲に入っていると前記判断部(41)が判断した摩擦係合要素(例えばC1〜C3,B1)について、前記変速準備制御としての前記プレ解放制御を開始させる、ことを特徴とする。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより各請求項の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る発明によると、現在の車両の走行状態を各変速段毎に決定された走行状態よりも細分化した走行状態として特定する変動値として数値化すると共にこの変動値の変化率を演算することによって、変動値の変化率及び変速準備制御に必要とする制御時間を用いて、摩擦係合要素ごとに変速準備制御完了後の変動値の予測値を求めることができる。そして、上記予測値が各変速段毎に規定された変速準備を開始する準備範囲内に入っているか否かを判断することによって、全ての変速段に亘り変速準備制御を開始するか否か摩擦係合要素ごとに同時並行的に判断することができる。これにより、現在の走行状態に応じて変速の可能性のある摩擦係合要素について適切なタイミングで変速準備制御を開始することができ、変速時間を短縮することができる。そして、多段化された変速機構においてより素早い変速段の変更が可能となることによって、車両の要求に応じたより細やかな変速段の制御が可能となり、車両の走行性能を発揮させることができる。
請求項2に係る発明によると、変動値を変速方向に応じて別々に演算することによって、アップシフト側とダウンシフト側とで変速のタイミングが異なる車両用駆動装置においても、最適なタイミングで変速準備制御を開始することができる。
請求項3に係る発明によると、予測値が準備範囲から外れ、変速準備制御の開始条件が成り立たなくなると変速準備制御を取りやめることによって、必要以上に油圧を消費することを抑えることができる。
請求項4に係る発明によると、入力トルクが低い場合、変速準備制御の開始条件を満たす摩擦係合要素の内、現在の変速段から最も離れた変速段の摩擦係合要素の1つについて変速準備制御を開始する。これにより、入力トルクが低い状態において、変速準備制御において油圧サーボに油圧が入力された摩擦係合要素が、油圧変動などの要因でトルク容量を持ってしまったとしても、タイアップしてしまうことがない。また、変速準備制御によって複数摩擦係合要素の油圧サーボに同時に油圧が供給され、ライン圧が圧低することも防止することができる。
請求項5に係る発明によると、多段変速機構の入力クラッチについては他の摩擦係合要素に対して優先的に変速準備制御を開始させることによって、変速段を形成するのに必ず係合する必要のある入力クラッチについて確実に変速準備制御を実行することができる。
請求項6に係る発明によると、準備範囲を現在の変速段から他のすべての変速段への変速について予測値に対応して変速制御マップに規定し、判断部がこの変速制御マップを参照して予測値が基準範囲内であるか否かを判別することによって、全ての変速段に亘り変速準備制御を開始するか否か摩擦係合要素ごとに同時並行的に判断することができる。
請求項7に係る発明によると、変速準備制御として、摩擦係合要素の油圧サーボに油圧を供給してサーボを起動させるサーボ起動制御を行うことによって、摩擦係合要素を係合する際にピストンのガタ詰めのための時間を必要ぜず、係合速度を向上させることができる。また、変速準備制御として、摩擦係合要素の油圧サーボの油圧を、摩擦係合要素がスリップ回転する直前まで低下させるプレ解放制御を行うことによって、摩擦係合要素の解放に係る時間を短縮することができる。
本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両のスケルトン図。 (a)図1のハイブリッド車両の変速機構の係合表、(b)図1のハイブリッド車両の変速機構の速度線図。 本発明の実施の形態に係るコントロールバルブを示す油圧回路図。 図1のハイブリッド車両の制御装置を示す模式図。 本発明の実施の形態に係るアップシフト側の変速マップ。 本発明の実施の形態に係るサーボ起動制御マップであって、(a)は全体図、(b)は1速段時のマップ、(c)は2速段時のマップ、(d)は3速段時のマップ。 本発明の実施の形態に係るサーボ起動制御マップであって、(a)は4速段時のマップ、(b)は5速段時のマップ、(c)は6速段時のマップ。 本発明の実施の形態に係るプレ解放制御マップであって、(a)は全体図、(b)は1速段時のマップ、(c)は2速段時のマップ、(d)は3速段時のマップ。 本発明の実施の形態に係るプレ解放制御マップであって、(a)は4速段時のマップ、(b)は5速段時のマップ、(c)は6速段時のマップ。 入力クラッチ以外の摩擦係合要素について変速準備制御の実行の可否を判断するためのフローチャート。 3−6アップシフト時の摩擦係合要素の動作を示すタイムチャート図。 4−2ダウンシフト時の摩擦係合要素の動作を示すタイムチャート図。
以下、本発明の実施の形態に係る車両用駆動装置の制御装置について図面に基づいて説明をする。なお、本発明の実施形態に係る車両用駆動装置としてのハイブリッド駆動装置は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車両に搭載されて好適なものであるが、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプなどの車両に搭載されても当然に良い。また、以下の説明において、係合とは摩擦係合要素が完全に締結して一体となる直結係合と、摩擦係合要素がスリップ回転するスリップ係合とのことをいう。更に、解放とは摩擦係合要素が完全に解放されて摩擦材同士が相互作用を及ぼさない状態のことをいう。また、直結係合時の係合圧を直結係合圧、スリップ係合時の係合圧をスリップ係合圧という。
[ハイブリッド駆動装置の概略構成]
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、駆動源として、エンジン2の他に、回転電機(モータ・ジェネレータ)3を有しており、このハイブリッド自動車1のパワートレーンを構成するハイブリッド駆動装置5は、エンジン2と駆動車輪6との間の伝動経路L上に設けられる多段変速機構7と、該多段変速機構7とエンジン2との間に配置され、エンジン2からの動力が入力される入力部9と、を有して構成されている。
上記入力部9は、エンジン2と多段変速機構7との間の動力伝達を行う動力伝達装置10に、回転電機3が付設して構成されており、この動力伝達装置10は、エンジン2のクランク軸2aにドライブプレート11を介して接続されるダンパ12、該ダンパ12がスプライン嵌合する接続軸13を有する接続部14と、この接続部14と変速機構7の入力軸15との間の動力伝達を断接するクラッチK0と、から構成されている。
また、上記クラッチK0は、複数の内摩擦板17及び外摩擦板19がクラッチハウジング20の内部空間に収納された多板クラッチによって構成されており、このクラッチハウジング20は、上記多段変速機構7の入力軸15と一体に回転するように連結されている。
更に、上記クラッチハウジング20の外径側には、回転電機3がクラッチK0と軸方向位置がオーバーラップするように配設されており、この回転電機3は、クラッチハウジング20に固設されたロータ3aの径方向外側に、ステータ3bが対向するように配置されて構成されている。
即ち、ハイブリッド駆動装置5は、エンジン側から車輪側に向かって、接続部14、クラッチK0、回転電機3、多段変速機構7が順次配置されており、エンジン2及び回転電機3の両方を駆動させて車両を走行させる場合(ハイブリッド走行時)には、制御装置(ECU、Electric Control Unit)21によってコントロールバルブ(油圧制御装置)22を制御してクラッチK0を係合させ、車輪側の伝動経路Lに駆動連結された回転電機3の駆動力だけで走行するEV走行時には、クラッチK0を解放して、エンジン側の伝動経路Lと車輪側の伝動経路Lとを切り離すようになっている。
[多段変速機構の構成]
ついで、多段変速機構7の構成について図1及び図2に基づいて説明をする。上記多段変速機構7には、入力軸15上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンPLと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ケース23に対して固定されており、また、上記リングギヤR1は、上記入力軸15に駆動連結されて、該入力軸15の回転と同回転(以下「入力回転」という。)になっている。更に上記キャリヤCR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、クラッチC1及びクラッチC3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、バンドブレーキからなるブレーキB1に接続されてケース23に対して固定自在となっていると共に、上記クラッチC3に接続され、該クラッチC3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、入力軸15の回転が入力されるクラッチC2に接続され、該クラッチC2を介して入力回転が入力自在となっており、また、また、ワンウェイクラッチF1及びブレーキB2に接続されて、該ワンウェイクラッチF1を介してケース23に対して一方向の回転が規制されると共に、該ブレーキB2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ24に接続されており、該カウンタギヤ24は、カウンタシャフト28、ディファレンシャル装置Dを介して駆動車輪6に接続されている。
上記構成の多段変速機構7は、図1のスケルトンに示す各クラッチC1〜C3、ブレーキB1,B2が、図2(a)の係合表に示すように係脱されることにより、前進1速段(1ST)〜前進6速段(6TH)、及び後進1速段(REV)を達成している(図2(b)の速度線図参照)。
[油圧制御装置の構成]
ついで、上記コントロールバルブ22の構成について図3に基づいて説明をする。コントロールバルブ22は、図3に示すように、上述のクラッチC1,C2,C3及びブレーキB1,B2の油圧サーボ31,32,33,34,35に供給する各係合圧を調圧して多段変速機構7の変速比の変更(変速段の変更)を行う変速制御装置22Aを備えている。
この変速制御装置22Aは、大まかに、マニュアルシフトバルブ25、リニアソレノイドバルブ(複数の変速用ソレノイドバルブ)SL1,SL2,SL3,SL4、SL5、第1チェックボールバルブ29等を備えて構成されている。
マニュアルシフトバルブ25は、不図示のシフトレバーの操作によって駆動されるスプール25pを有していると共に、不図示のレギュレータバルブによって調圧されたライン圧Pが入力される入力ポート25aと、ライン圧Pを前進レンジ圧Pとして出力し得る前進レンジ出力ポート25bと、ライン圧Pを後進レンジ圧Pとして出力し得る後進レンジ出力ポート25cと、前進レンジ圧Pをドレーン(排出)し得るドレーンポート25dと、を有している。
即ち、マニュアルシフトバルブ25は、P(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジの状態で、スプール25pのP位置又はN位置によって、入力ポート25aと前進レンジ出力ポート25bとの間、及び入力ポート25aと後進レンジ出力ポート25cとの間を遮断し、前進レンジ圧P及び後進レンジ圧Pを出力せず(非出力とし)、D(ドライブ)レンジの状態で、スプール25pのD位置に基づき、入力ポート25aと前進レンジ出力ポート25bとの間を連通して前進レンジ圧Pを該前進レンジ出力ポート25bから出力し、R(リバース)レンジの状態で、スプール25pのR位置に基づき、入力ポート25aと後進レンジ出力ポート25cとの間を連通して後進レンジ圧Pを該後進レンジ出力ポート25cから出力する。
なお、不図示のシフトレバーがDレンジからNレンジに操作され、スプール25pがD位置からN位置に移動された際は、前進レンジ圧Pがチェックバルブ30を介してドレーンポート25dからドレーンされ、その後、前進レンジ圧Pが略々0圧となると、後述のリニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3,SL4に対してエアが混入しないように、チェックバルブ30が閉じられる。
一方、リニアソレノイドバルブSL1は、上記前進レンジ出力ポート25bに接続されて前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSL1aと、制御装置21からの指令に基づき電子制御されることで自在に調圧されるクラッチC1用の係合圧PC1を出力する出力ポートSL1bと、係合圧PC1をフィードバックするフィードバックポートSL1cと、を備えており、Dレンジの際に、図2の係合表に従って、出力ポートSL1bからクラッチC1の油圧サーボ31に係合圧PC1を調圧出力し、クラッチC1を係合・解放制御する。
また、リニアソレノイドバルブSL2は、同様に、上記前進レンジ出力ポート25bに接続されて前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSL2aと、制御装置21からの指令に基づき電子制御されることで自在に調圧されるクラッチC2用の係合圧PC2を出力する出力ポートSL2bと、係合圧PC2をフィードバックするフィードバックポートSL2cと、を備えており、Dレンジの際に、図2の係合表に従って、出力ポートSL2bからクラッチC2の油圧サーボ32に係合圧PC2を調圧出力し、クラッチC2を係合・解放制御する。
更に、リニアソレノイドバルブSL4は、同様に、上記前進レンジ出力ポート25bに接続されて前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSL4aと、制御装置21からの指令に基づき電子制御されることで自在に調圧されるブレーキB1用の係合圧PB1を出力する出力ポートSL4bと、係合圧PB1をフィードバックするフィードバックポートSL4cと、を備えており、Dレンジの際に、図2の係合表に従って、出力ポートSL4bからブレーキB1の油圧サーボ34に係合圧PB1を調圧出力し、ブレーキB1を係合・解放制御する。
一方、第1チェックボールバルブ29は、上記マニュアルシフトバルブ25の後進レンジ出力ポート25cに接続された入力ポート29aと、上記前進レンジ出力ポート25bに接続された入力ポート29bと、リニアソレノイドバルブSL3の入力ポートSL3aに接続された出力ポート29cと、チェックボール29Bと、を備えて構成されており、該チェックボール29Bが、第1チェックボールバルブ29の内部の油路上を転動して、入力ポート29aと入力ポート29bとに入力された油圧の大きい方に押圧されることで、入力された油圧が大きい方の入力ポート29a又は入力ポート29bと出力ポート29cとを連通させる。即ち、第1チェックボールバルブ29は、Dレンジの際に前進レンジ圧PをリニアソレノイドバルブSL3の入力ポートSL3aに入力し、Rレンジの際に後進レンジ圧PをリニアソレノイドバルブSL3の入力ポートSL3aに入力する。
リニアソレノイドバルブSL3は、上述のように第1チェックボールバルブ29を介して前進レンジ圧P又は後進レンジ圧Pを入力する入力ポートSL3aと、制御装置21からの指令に基づき電子制御されることで自在に調圧されるクラッチC3用の係合圧PC3を出力する出力ポートSL3bと、係合圧PC3をフィードバックするフィードバックポートSL3cと、を備えており、Dレンジ又はRレンジの際に、図2の係合表に従って、出力ポートSL3bからクラッチC3の油圧サーボ33に係合圧PC3を調圧出力し、クラッチC3を係合・解放制御する。
また、リニアソレノイドバルブSL5は、レギュレータバルブに直接的に接続されてライン圧Pを入力する入力ポートSL5aと、制御装置21からの指令に基づき電子制御されることで自在に調圧されるブレーキB2用の係合圧PB2を出力する出力ポートSL5bと、係合圧PB2をフィードバックするフィードバックポートSL5cと、を備えており、図2の係合表に従って、出力ポートSL5bからブレーキB2の油圧サーボ35に係合圧PB2を調圧出力し、ブレーキB2を係合・解放制御する。
[車両用駆動装置の制御装置の構成]
ついで、上記車両用駆動装置の制御装置21について図4〜図10に基づいて説明をする。制御装置21は、図4に示すように、演算装置40及び記憶装置50を有するコンピュータとして構成されており、上記コントロールバルブ22のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5と接続している。また、制御装置21には、シフトポジションを検出するシフトポジションセンサ61、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ62、車速を検出する車速センサ63、ブレーキ開度を検出するブレーキセンサ64などが接続されており、車両の走行状態が通信されるようになっている。
より詳しくは、上記演算装置40はCPU(Central Processing Unit)を主体として構成され、記憶装置50はROM(Read only memory)及びRAM(Random Access Memory)を主体として構成されており、これら演算装置40及び記憶装置50はバスを介して接続されている。
また、記憶装置50のROMには、変速マップ51、変速準備制御マップ52、変速準備制御を実行するのに必要となる各摩擦係合要素(クラッチC1〜C3及びブレーキB1〜B2)の制御時間Tなどのデータが格納されており、RAMにはCPUに対する作業領域が確保されている。
上記変速マップ51は、車速、アクセル開度及びブレーキ開度に応じた多段変速機構7の変速段(ギヤ比)が記録されたマップであり、具体的には多段変速機構7の変速タイミングを示したアップシフト変速線及びダウンシフト変速線が車速、アクセル開度及びブレーキ開度に応じて設定されている。演算装置40は、変速マップ51を参照することによって、多段変速機構7の変速制御を行う変速指令部47として機能するように構成されている。即ち、変速指令部47は、検出された現在のアクセル開度、車速及びブレーキ開度の情報に基づき、変速マップ51を参照し、目標変速段を設定する。そして、この目標変速段となるように上記リニアソレノイドバルブSL1〜SL5に電気指令を与え、上記複数の摩擦係合要素C1〜C3,B1,B2の係合状態を油圧サーボ31〜35に供給される油圧によって制御して多段変速機構7の変速段を切換えるようになっている。
また、演算装置40は、上記変速制御とは独立して行われる変速準備制御を行うために、変動値演算部44、変化率演算部43、予測演算部42、判断部41、制御指令部45及び規制部46として機能する。なお、変速準備制御とは、変速段の切換えを素早く実行することを目的として、摩擦係合要素C1〜C3,B1の油圧サーボ31〜34に油圧の供給を行って摩擦係合要素C1〜C3,B1の係合準備を行うもしくは油圧サーボ31〜34の油圧を低下させて摩擦係合要素C1〜C3,B1の解放準備を行う制御である。
より具体的には、上記変速準備制御は、サーボ起動制御及びプレ解放制御のことであり、このサーボ起動制御とは、油圧サーボ31〜34に油圧を供給して摩擦係合要素のピストンを所定のストローク位置までストロークさせてガタ詰めを行う制御である。即ち、サーボ起動制御とは、油圧サーボ31〜34に摩擦係合要素C1〜C3,B1が解放状態からスリップ係合状態となる直前の圧を供給する制御である。なお、上記所定のストローク位置とは、摩擦係合要素C1〜C3,B1に伝達トルク容量が発生する位置であり、この伝達トルク容量には、摩擦係合要素C1〜C3,B1の油圧サーボ31〜34に油圧を供給していない(油圧指令値が0)の場合に摩擦材間の引き摺りによって発生する引き摺りトルクは考慮しない。
また、プレ解放制御とは、油圧サーボ31〜34に供給されている係合圧を摩擦係合要素が直結係合した状態からスリップ回転を始める直前まで低下させるプレ解放制御のことをいう。また、本実施の形態では多段変速機構7がワンウェイクラッチF1を有している関係上、ブレーキB2についてはその使用頻度が高くない。そのため、ブレーキB2については上記変速準備制御を行わないが、特にワンウェイクラッチF1を設けずにブレーキB2のスリップ制御を行う場合など、このブレーキB2についても他の摩擦係合要素C1〜C3,B1と同様に変速準備制御を行なっても良いことは当然である。
上記変動値演算部44は、車両の走行状態を変速段よりも細分化された変動値GRとして演算して数値化する部分である。具体的には、変動値演算部44は、現在の車両の走行状態を、各変速段毎に決定された走行状態(例えば変速線によって規定された変速段やギヤ比)よりも細分化した走行状態(例えば、変速線間の中間値)として特定する変動値として演算している。言い換えると、変動値演算部44は、アクセル開度、ブレーキ開度及び車速から求まる変速マップ上の現在位置を、変速線間におけるその位置の偏差に応じてアナログ値化した変動値GRとして演算している。なお、この変動値GRは、どのような値として求められても良いが、変速線における変速段又はギヤ比を基準としてアナログ値化された仮想的な変速段又はギヤ比として求められると好適である。
例えば、図5に示すように、アクセル開度A0、車速V0であって車両の走行状態がアップシフト側に変化している場合、現在ギヤ比は変速マップ上では4速段のギヤ比となるが、変動値演算部44は、この現在ギヤ比を、現在のアクセル開度A0における前後のアップシフト線の車速V1,V2及び現在の車速V0に基づいて線形補間することによって変速値GR0として演算する。即ち、変動値GR0が3−4アップシフト線及び4−5アップシフト線の間においてどの程度の割合の位置であるかを求め、この割合を4速段のギヤ比に乗算した値を変動値GR0とする。
また、変速マップ51は、変速線がアップシフト線かダウンシフト線かでその位置が異なるため、変動値演算部44は、車両の走行状態の変化がアップシフト側かダウンシフト側かにより、上記変動値GRをその変速方向に応じて別々に演算している。
上記変化率演算部43は、変動値演算部44によって求められた変動値GRを時間微分して該変動値GRの変化率(加速度)GRAを演算する部分である。より具体的には、アップシフト側の変動値GRUpと、ダウンシフト側の変動値GRDwとのそれぞれについて時間微分を行い、アップシフト側変化率GRUpA及びダウンシフト側変化率GRDwAを演算している。
上記予測演算部42は、記憶装置50から変速準備制御を行うのに必要とする摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとの制御時間Tを参照し、この制御時間T、変動値GRの変化率GRA及び変動値GRに基づいて、複数の摩擦係合要素C1〜C3,B1それぞれについて変速準備制御完了後の変動値GRの予測値GREを演算する部分である。なお、制御時間Tは、油圧サーボ31〜34の設計に応じて摩擦係合要素ごとに異なる。
より具体的には、上記予測値GREは、式(1)によって演算され、アップシフト側の変動値GRUpに基づくアップシフト側予測値GRUpEと、ダウンシフト側の変動値GRDwに基づくダウンシフト側予測値GRDwEのそれぞれが摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとに演算される。
GRE=GR+GRA*T (1)
上述した変速準備制御マップ52は、複数の摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとに、現在の変速段から他のすべての変速段への変速について変速準備制御を開始する準備範囲Xが予測値GREに対応して規定されており、サーボ起動制御マップ52aと、プレ解放制御マップ52bとを有して構成されている。なお、準備範囲Xは、各摩擦係合要素の係脱動作に基づいて各変速段毎に規定される。また、準備範囲Xは、変速方向を持って設定されており、具体的にはアップシフト側予測値GRUpEに対応したアップシフト準備範囲XUpと、ダウンシフト側予測値GRDwEに対応したダウンシフト準備範囲XDwとがある。
サービ起動制御マップ52aは、図6及び図7に示すように、摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとにサーボ起動制御を開始するサーボ起動サーボ起動準備範囲が規定されている。具体的には、摩擦系業要素C1〜C3,B1が係合する範囲がサーボ起動準備範囲として設定されている。図6(a)は、このサーボ起動制御マップ52aに規定されているすべてのサーボ起動準備範囲を示した全体図である。以下、摩擦係合要素ごとにサーボ起動準備範囲について説明をする。
クラッチC1は、第1速段(低速段)から該1速段よりもギヤ比が小さい第4速段(中速段)まで連続して係合される第1入力クラッチ(第1優先クラッチ)である。そのため、ダウンシフト方向で5速段未満の場合にサーボ起動制御を行うようにサーボ起動準備範囲1が設定されている(XS1:GRDwE<5th)。
クラッチC2は、第4速段(中速段)から該4速段よりもギヤ比が小さい第6速段(高速段)まで連続して係合される第1入力クラッチ(第1優先クラッチ)である。そのため、アップシフト方向で4速段以上の場合にサーボ起動制御を行うようにサーボ起動準備範囲2が設定されている(XS2:GRUpE≧4th)。
クラッチC3は、第3速段及び第5速段にて係合されるクラッチである。そのため、アップシフト方向及びダウンシフト方向で3速段の範囲にサーボ起動準備範囲3,XS5が設定されている(XS3:3th≦GRUpE<4th、XS5:3th≦GRDwE<4th)。また、アップシフト方向及びダウンシフト方向で5速段の範囲にサーボ起動準備範囲4,XS6が設定されている(XS4:5th≦GRUpE<6th、XS6:5th≦GRDwE<6th)。
ブレーキB1は、第2速段及び第6速段にて係合されるブレーキである。そのため、アップシフト方向及びダウンシフト方向で2速段の範囲にサーボ起動準備範囲7,XS9が設定されている(XS7:2th≦GRUpE<3th、XS9:2th≦GRDwE<3th)。また、アップシフト方向で6速段の範囲にサーボ起動準備範囲8が設定されている(XS8:6th≦GRUpE)。
上記サービ起動制御マップ52aのサーボ起動準備範囲1〜XS9は、その時点における変速段に応じて、現在の変速段から他の変速段へと変速するのに必要となる範囲が参照される。即ち、現在の変速段が1速段の場合は図6(b)のようにマップが切換わり、サーボ起動準備範囲2,XS3,XS7が準備範囲として設定される。現在の変速段が2速段の場合は図6(c)のようにマップが切換わり、サーボ起動準備範囲2,XS3が準備範囲として設定される。現在の変速段が3速段の場合は図6(d)のようにマップが切換わり、サーボ起動準備範囲2,XS8,XS9が準備範囲として設定される。現在の変速段が4速段の場合は図7(a)のようにマップが切換わり、サーボ起動準備範囲4,XS5,XS8,XS9が準備範囲として設定される。現在の変速段が5速段の場合は図7(b)のようにマップが切換わり、サーボ起動準備範囲4,XS1,XS8,XS9が準備範囲として設定される。現在の変速段が6速段の場合は図7(c)のようにマップが切換わり、サーボ起動準備範囲1,XS6が準備範囲として設定される。
一方、プレ解放制御マップ52bは、図8及び図9に示すように、摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとにプレ解放制御を開始するプレ解放準備範囲が規定されている。より詳しくは各摩擦係合要素が係合する範囲から外れる範囲をプレ解放準備範囲として設定しており、以下、図8(a)を参照しつつこのプレ解放準備範囲について説明をする。
即ち、クラッチC1は、アップシフト方向で5速段以上の場合にサーボ起動制御を行うようにプレ解放準備範囲1が設定されている(XP1:GRUpE≧5th)。クラッチC2は、ダウンシフト方向で4速段未満の場合にサーボ起動制御を行うようにプレ解放準備範囲2が設定されている(XP2:GRDwE<4th)。
クラッチC3は、ダウンシフト方向で2速段の範囲にプレ解放準備範囲3が設定されている(XP3:3th>GRDwE≧2th)。また、アップシフト方向及びダウンシフト方向で4速段の範囲にサーボ起動準備範囲4,XS5が設定されている(XP4:5th<GRDwE≧4th、XP5:4th≦GRUpE<5th)。更に、アップシフト方向で6速段の範囲にプレ解放準備範囲6が設定されている(XP6:6th≦GRUpE)。
ブレーキB1は、アップシフト方向で3速段の範囲にプレ解放準備範囲7が設定されている(XP7:3th≦GRUpE<4th)。また、ダウンシフト方向で1速段の範囲にサーボ起動準備範囲8が設定されている(XS8:2th<GRDwE≧1th)。更に、ダウンシフト方向で5速段の範囲に準備範囲X9が設定されている(XS9:6th<GRDwE≧5th)。
上記プレ解放制御マップ52bのプレ解放準備範囲1〜XP9は、その時点の変速段に応じて、現在の変速段から他の変速段へと変速するのに必要となる範囲が参照される。即ち、現在の変速段が1速段の場合は図8(b)のようにマップが切換わり、プレ解放準備範囲1が準備範囲として設定される。現在の変速段が2速段の場合は図8(c)のようにマップが切換わり、プレ解放準備範囲1,XP7,XP8が準備範囲として設定される。現在の変速段が3速段の場合は図8(d)のようにマップが切換わり、プレ解放準備範囲1,XP3,XP5が準備範囲として設定される。現在の変速段が4速段の場合は図9(a)のようにマップが切換わり、プレ解放準備範囲1,XP2が準備範囲として設定される。現在の変速段が5速段の場合は図9(b)のようにマップが切換わり、プレ解放準備範囲2,XP4,XP6が準備範囲として設定される。現在の変速段が6速段の場合は図9(c)のようにマップが切換わり、プレ解放準備範囲2,XP9が準備範囲として設定される。
上記判断部41は、予測演算部42が演算した予測値GREが複数の摩擦係合要素C1〜C3,B1のそれぞれについて各変速段毎に規定された変速準備を開始する準備範囲Xに入っているか否かを摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとに判断する部分である。より具体的には、判断部41は、アップシフト側予測値GRUpEがこのアップシフト側予測値GRUpEに対応した基準範囲Xであるアップシフト準備範囲XUp(例えば、サーボ起動制御マップ52aのサーボ起動準備範囲2〜XS4,XS7,XS8や、プレ解放制御マップ52bのプレ解放準備範囲1,XP5〜XP7)に入ったか否か、ダウンシフト側予測値GRDwEがこのダウンシフト側予測値GRDwEに対応した前記基準範囲であるダウンシフト準備範囲XDw(例えば、サーボ起動制御マップ52aのサーボ起動準備範囲1,XS5,XS6,XS9や、プレ解放制御マップ52bのプレ解放準備範囲2,XP3,XP4,XP8,XP9)に入ったか否かを判断する。
上記制御指令部45は、予測値GREが変速準備制御マップ52の準備範囲Xに入っていると判断部41が判断した摩擦係合要素C1〜C3,B1について、変速準備制御を開始させる部分である。また、制御指令部45は、この予測値GREが変速準備制御マップ52の準備範囲Xから外れた摩擦係合要素C1〜C3,B1については、変速準備制御を取り止める。
このように、制御装置21は、変速マップ上の変速線の間の点を連続的に変動するアナログ値として演算し、この演算した変動値GRの変化率(加速度)GRAを求めることによって、各摩擦係合要素C1〜C3,B1について変速準備制御完了後の変動値を予測することができる。また、変速準備制御マップ52に摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとに現在の変速段から他のすべての変速段への変速について変速準備制御を開始する準備範囲Xを規定したこととも相まって、全ての変速段に亘り変速準備制御を開始するか否か摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとに同時並行的に判断することができる。これにより、現在の走行状態に応じて変速の可能性のある摩擦係合要素C1〜C3,B1について適切なタイミングで変速準備制御を開始することができ、変速時間を短縮することができる。
また、変動値GRを変速方向に応じて別々に演算することによって、アップシフト側とダウンシフト側とで変速のタイミングを異ならせる車両用駆動装置においても、最適なタイミングで変速準備制御を開始することができる。
更に、予測値GREが変速準備制御マップ52の準備範囲Xから外れ、変速準備制御の開始条件が成り立たなくなると変速準備制御を取りやめることによって、必要以上に油圧を消費することを抑えることができる。
しかしながら、エンジン2及び回転電機3からの多段変速機構7への入力トルクが所定トルク(例えば30[Nm])以下の場合、複数の摩擦係合要素C1〜C3,B1において変速準備制御を同時に開始されると、ライン圧が圧低するおそれがある。また、油圧変動などにより、油圧サーボ31〜34が起動した摩擦係合要素C1〜C3,B1がトルク容量を持つと、タイアップが発生し、意図しない変速段が形成されてしまう虞がある。
そこで、制御装置21は、上記制御指令部45に後述する変速準備制御の開始に関する規制を行う上記規制部46としても機能する。即ち、規制部46は、入力トルクが所定のトルク以下の場合、予測値GREが変速準備制御マップ52の準備範囲Xに入る摩擦係合要素C1〜C3,B1の内、現在の変速段から最も離れた変速段において操作される摩擦係合要素C1〜C3,B1の1つについて変速準備制御を開始するように制御指令部45に指令する部分である。このように、入力トルクが低い場合は、2つ以上の摩擦係合要素C1〜C3,B1の変速準備制御を禁止することにより、ライン圧の圧低を防止することができると共に、タイアップを防止することができる。また、この場合の変速準備制御の開始を許可される摩擦係合要素C1〜C3,B1は、最も高い変速段を形成する摩擦係合要素(C1〜C3,B1)としても良い。
ところが、上記多段変速機構7は、2つの摩擦係合要素が係合されても入力クラッチC1,C2が係合されていない限り、変速段を形成することができない。そのため、規制部46は、上記規制を入力クラッチ以外の摩擦係合要素C3,B1についてのみ適用する。言い換えると、規制部46は、上記最も現在の変速段から離れた変速段において操作される摩擦係合要素に、低速段から中速段まで連続して係合される第1入力クラッチC1(第1優先クラッチ)、中速段から高速段まで連続して係合される第2入力クラッチC2(第2優先クラッチ)のいずれかが存在する場合、これら第1又は第2優先クラッチC1,C2について変速準備制御を優先的に開始するよう制御指令部45に指令する。
具体的には、図10に示すように、規制部46は、連続して係合が保持される上記入力クラッチC1,C2以外の摩擦係合要素C3,B1の変速準備制御の実行の可否を以下のように規制する。即ち、規制部46は、判断部41によって変速準備制御の開始条件が成立するか否かが摩擦係合要素C1〜C3,B1ごとに判断されると(図10のS1,S2)、まず、入力トルクが所定圧以下か否かを判断する(S3)。そして、入力トルクが所定圧以下と判断すると(S3のYES)、入力クラッチC1,C2の変速準備制御の開始条件が成立しているか否かを判断する(S4)。ここで、入力クラッチC1,C2の変速準備制御の開始条件が成立している場合(S4のYES)、制御を終了する(S5)。
一方、入力クラッチC1,C2の変速準備制御の開始条件が成立していない場合(S4のNO)、変速方向がアップシフト側かダウンシフト側かを判断する(S6)。そして、変速方向がアップシフト側の場合(S6のYES)、その摩擦係合要素よりもより高い側の変速段を形成する摩擦係合要素C3,B1があるか否かを判断し(S7)、より高い変速段を形成する摩擦係合要素C3,B1がある場合(S7のYES)、制御を終了する(S5)。また、ステップS7においてより高い変速段を形成する摩擦係合要素C3,B1がない場合(S7のNO)、変速準備制御を実行する(S11)。
規制部46は変速方向がダウンシフト側の場合(S6のNO)、その摩擦係合要素よりもより低い側の変速段を形成する摩擦係合要素C3,B1があるか否かを判断し(S8)、より低い変速段を形成する摩擦係合要素C3,B1がある場合(S8のYES)、制御を終了し(S5)、ステップS8にてより低い変速段を形成する摩擦係合要素C3,B1がない場合(S8のNO)、変速準備制御を実行する(S11)。
更に、入力トルクが所定圧以上の場合であっても、規制部46は、入力クラッチC1,C2の変速準備制御の開始条件が成立するか否かを判断する(S9)。この場合、規制部46は、入力クラッチC1,C2の変速準備制御の開始条件が成立していなければ(S9のNO)、制御指令部45に変速準備制御の実行を許可する(S11)。
また、入力クラッチC1,C2の変速準備制御の開始条件が成立している場合、入力クラッチC1,C2の変速準備制御の終了後に(S10)、規制部46は変速準備制御の実行を制御指令部45に許可する(S11)。
これにより、変速段を形成するのに必ず係合する必要のある入力クラッチC1,C2について確実に変速準備制御を行いつつ、入力トルクの小さい場合にタイアップを防止することができる。
[3−6アップシフト変速の場合]
ついで、図11に基づいて上述した多段変速機構7を3―6アップシフトさせる場合について説明をする。なお、このような飛びアップシフト変速は、運転者がアクセルをオフした際に開始することが多いため、多段変速機構7への入力トルクは、所定トルク以下として説明をする。
多段変速機構7がクラッチC1及びC3を係合して3速段で走行している際に、運転者によってアクセルがオフされると、制御装置21によって目標変速段が6速段に変更され、3−6アップシフト変速が実行される。アクセルがオフされて変動値GRUpが大きく変動すると、時点tにおいて、クラッチC3の予測値GRUpEC3が4速段の領域(プレ解放制御マップ52bのプレ解放準備範囲5)に入る。この時、解放プレ制御を行う虞のある第1入力クラッチC1については変速準備制御の開始条件が成立していないため、制御装置21は、クラッチC3についてプレ解放制御を開始し、直結係合圧であるクラッチC3の係合圧PC3を低下させる。
ついで、クラッチC3のプレ解放制御に続き、時点tにおいてクラッチC2の予測値GRUpEC2が4速段の領域に入り(サーボ起動制御マップ52aのサーボ起動準備範囲2)、クラッチC2の油圧サーボ32に油圧がファストフィルされ、その後待機するサーボ起動制御が行われる。
更に、上記クラッチC2のサーボ起動制御の開始とほぼ同時期である時点tでは、クラッチC1の予測値GRUpEC1が5速段の領域(プレ解放制御マップ52bのプレ解放準備範囲1)に入り、クラッチC1についてプレ解放制御が開始される。また、入力クラッチであるクラッチC1のプレ解放制御の開始条件が成立すると、制御装置21は、クラッチC3のプレ解放制御の開始条件が成立していたとしても、クラッチC3についてのプレ解放制御を中止する。
変速が時点tまで進むと、ブレーキB1の予測値GRUpEB1が6速段の領域(サーボ起動制御マップ52aのサーボ起動準備範囲8)に入るが、入力クラッチであるクラッチC2のサーボ起動制御の開始条件が成立しているため、制御装置21は油圧サーボ34の起動は行わない。
そして、時点tに入るとクラッチC1の係合圧が除々に抜かれ始め、スリップ回転を始める。このクラッチC1の解放が完全に終わると、クラッチC2の係合が開始され、時点tにおいて完全に締結されて、クラッチC2とクラッチC3とで5速段が形成される。即ち、3−5変速が完了する。
変速段が3速段から5速段へと移行すると、サーボ起動制御マップ52aについても3速段用のマップ(図6(d)のマップ)から5速段用のマップ(図7(b)のマップ)へと切り換わる。また、プレ解放制御マップ52bが、3速段用のマップ(図8(d)のマップ)から5速段用のマップ(図9(b)のマップ)へと切り換わる。
5速段用のマップに切り換わると、クラッチC1のプレ解放制御の開始条件が成立しなくなるため、制御装置21は、クラッチC3についてプレ解放制御を開始させる。なお、時点tにおいてもクラッチC3の予測値GRUpEC3は、6速段の領域(プレ解放準備範囲1)に入ってプレ解放制御の開始条件は成立していたが、制御装置21は、変速段が5速段になってクラッチC1のプレ解放制御の開始条件が成立しなくなるまで、プレ解放制御の開始を禁止している。
更に、時点tで5速段になるとクラッチC2についてもサーボ起動制御の開始条件が成立しなくなるため、予測値GRUpEB1が6速段の領域(サーボ起動制御マップ51aのサーボ起動準備範囲8)にあるブレーキB1について、制御装置21はサーボ起動制御を開始する。
そして、時点tになると、5−6変速が始まり、スリップ回転する直前の圧に保持されていたクラッチC3の係合圧PC3が素早く抜かれて行く。クラッチC3の解放が完了するとサーボ起動されていたブレーキB1の油圧サーボ34に油圧が素早く供給されて行き、5−6変速が完了する。
[4−2ダウンシフト変速の場合]
ついで、図12に基づいて上述した多段変速機構7を4―3ダウンシフトさせる場合について説明をする。なお、このような飛びダウンシフト変速は、運転者がアクセルをオンした際に開始することが多いため、多段変速機構7への入力トルクは、所定トルク以上として説明をする。
多段変速機構7がクラッチC1及びC2を係合して4速段で走行している際に、運転者によってアクセルがオンされると、制御装置21によって目標変速段が2速段に変更され、4−2ダウンシフト変速が実行される。アクセルがオンされて変動値GRUpが大きく変動すると、時点t11において、クラッチC2の予測値GRUpEC2が3速段の領域(プレ解放制御マップ52bのプレ解放準備範囲2)に入る。この時、クラッチC2は入力クラッチであるため、他の摩擦係合要素C3,B1に優先されてプレ解放制御が実行される。即ち、係合準備制御(プレ解放制御/サーボ起動制御)の開始条件が成立しだい制御装置21は、係合準備制御を実行する。
ついで、クラッチC2のプレ解放制御に続き、時点t12においてクラッチC3の予測値GRUpEC3が3速段の領域に入り(サーボ起動制御マップ52aのサーボ起動準備範囲5)、制御装置21によってクラッチC2のサーボ起動制御が行われる。
更に、時点t13では、ブレーキB1の予測値GRUpEB1が2速段の領域(プレ解放制御マップ52bのサーボ起動準備範囲9)に入り、ブレーキB1についてプレ解放制御が開始される。
変速が時点t14まで進むと、クラッチC3の予測値GRUpEC3が3速段の領域(サーボ起動制御マップ52aのサーボ起動準備範囲5)から外れるため、制御装置21はクラッチC3についてサーボ起動制御を中止する。
そして、時点tに入るとクラッチC2の係合圧Pが除々に抜かれ始め、時点t16においてこのクラッチC2の係合圧Pが完全に抜かれると共に、クラッチC3のサーボ圧Pが直結係合圧となり、4−3変速が完了する。
4−3変速が完了すると、そのまま3−2変速へと移り、制御装置21によって、サーボ起動されていたブレーキB1の油圧サーボ34の圧PB1が直結係合圧にされると共に、クラッチC3の係合圧PC3が抜かれて、3−2変速が完了する(時点t17)。
このように、実際の変速よりも前に変速に係る摩擦係合要素C1〜C3,B1は、サーボ起動制御もしくは解放プレ制御が実行されているため、多段化された変速機構7において飛び変速などが生じても、素早い変速段の変更が可能となる。
したがって、車両の要求に応じたより細やかな変速制御が可能となり、例えば、回転速度を要求される回転速度に沿って変速機構7を制御させたり、規定の最大/最低回転速度限界近まで回転速度を使用したりすることができ、車両の走行性能(例えば燃費やドライバビリティ)をより発揮させることができる。
なお、上記実施の形態においては、車両用駆動装置としてハイブリッド駆動装置について説明をしたが、当然に回転電機を有していない、通常の自動変速機について本発明を適用しても良い。また、本実施の形態では、6速段の多段変速機構7を一例として説明したが、例えば7速段や8速段など変速段を複数有する多段変速機構であればどのような変速機構でも良い。
また、係合準備制御としてサーボ起動制御及びプレ解放制御のいずれも行ったが、少なくともどちらか一方を行えばよい。更に、アップシフト変速とダウンシフト変速とにおいて同一の変動値GRを使用しても良い。
更に、制御部21は、変速マップ51を用いずにアクセル開度、車速、ブレーキ開度などから計算によって最適な変速段を求めても良い。また、制御部21は、変速準備範囲Xについても同様に車両の走行状態などに基づいて計算によって求めることができる。
また、制御部21は、規制部46によって必ずしも係合準備制御の開始タイミングを規制させる必要はない。更に、本発明の実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良いことは当然である。
5:車両用駆動装置、7:多段変速機構、21:制御装置、31〜34:油圧サーボ、41:判断部、42:予測演算部、43:変化率演算部、44:変動値演算部、45:制御指令部、46:規制部、52:変速準備制御マップ、52a:サーボ起動制御マップ、52b:プレ解放制御マップ、摩擦係合要素:C1〜C3,B1、T:制御時間、XS1〜XS9,XP1〜XP9:準備範囲

Claims (7)

  1. 複数の摩擦係合要素の係合状態を各摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧によって制御して多段変速機構の変速段を切換える車両用駆動装置の制御装置において、
    現在の車両の走行状態を、各変速段毎に決定された走行状態よりも細分化した走行状態として特定する変動値として演算する変動値演算部と、
    前記変動値を時間微分して該変動値の変化率を演算する変化率演算部と、
    前記油圧サーボに油圧の供給を行って前記摩擦係合要素の係合準備を行うもしくは前記油圧サーボの油圧を低下させて前記摩擦係合要素の解放準備を行う変速準備制御に必要とする前記摩擦係合要素ごとの制御時間を参照し、前記制御時間、前記変動値の変化率及び前記変動値に基づいて、前記複数の摩擦係合要素それぞれについて前記変速準備制御完了後の前記変動値の予測値を演算する予測演算部と、
    前記複数の摩擦係合要素のそれぞれについて各変速段毎に規定された変速準備を開始する準備範囲の内、現在変速段から変速する可能性のある全ての変速段において使用される複数の前記摩擦係合要素の準備範囲について、前記予測演算部が演算した予測値が、これらの範囲内に入っているか否かを前記摩擦係合要素ごとに並行して判断する判断部と、
    前記予測値が前記準備範囲に入っていると前記判断部が判断した摩擦係合要素について、前記変速準備制御を開始させるように前記多段変速機構に指令する制御指令部と、を備えた、
    ことを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。
  2. 前記変動値演算部は、車両の走行状態の変化がアップシフト側かダウンシフト側かに応じて前記変動値を別々に演算し、
    前記予測演算部は、アップシフト側の前記変動値に基づくアップシフト側予測値と、ダウンシフト側の前記変動値に基づくダウンシフト側予測値を演算し、
    前記判断部は、前記アップシフト側予測値がこのアップシフト側予測値に対応した前記準備範囲であるアップシフト準備範囲に入ったか否か、前記ダウンシフト側予測値がこのダウンシフト側予測値に対応した前記準備範囲であるダウンシフト準備範囲に入ったか否かを判断する、
    請求項1記載の車両用駆動装置の制御装置。
  3. 前記制御指令部は、前記予測値が前記準備範囲から外れた摩擦係合要素については、前記変速準備制御を取り止める、
    請求項1又は2記載の車両用駆動装置の制御装置。
  4. 入力トルクが所定のトルク以下の場合、前記予測値が前記準備範囲に入る摩擦係合要素の内、現在の変速段から最も離れた変速段において操作される摩擦係合要素の1つについて前記変速準備制御を開始するように前記制御指令部に指令する規制部を備えた、
    請求項1乃至3のいずれか1項記載の車両用駆動装置の制御装置。
  5. 前記規制部は、前記現在の変速段から最も離れた変速段において操作される摩擦係合要素に、低速段から該低速段よりもギヤ比が小さい中速段まで連続して係合される第1優先クラッチ、前記中速段から該中速段よりもギヤ比が小さい高速段まで連続して係合される第2優先クラッチのいずれかが存在する場合、これら第1又は第2優先クラッチについて前記変速準備制御を優先的に開始するよう前記制御指令部に指令する、
    請求項4記載の車両用駆動装置の制御装置。
  6. 前記判断部は、前記複数の摩擦係合要素のそれぞれについて、現在の変速段から他のすべての変速段への変速について前記準備範囲が前記予測値に対応して規定された変速準備制御マップを参照し、前記予測値が前記準備範囲に入っているか否かを前記摩擦係合要素ごとに判断する、
    請求項1乃至5のいずれか1項記載の車両用駆動装置の制御装置。
  7. 複数の摩擦係合要素の係合状態を各摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧によって制御して多段変速機構の変速段を切換える車両用駆動装置の制御装置において、
    現在の車両の走行状態を、各変速段毎に決定された走行状態よりも細分化した走行状態として特定する変動値として演算する変動値演算部と、
    前記変動値を時間微分して該変動値の変化率を演算する変化率演算部と、
    前記油圧サーボに油圧の供給を行って前記摩擦係合要素の係合準備を行うもしくは前記油圧サーボの油圧を低下させて前記摩擦係合要素の解放準備を行う変速準備制御に必要とする前記摩擦係合要素ごとの制御時間を参照し、前記制御時間、前記変動値の変化率及び前記変動値に基づいて、前記複数の摩擦係合要素それぞれについて前記変速準備制御完了後の前記変動値の予測値を演算する予測演算部と、
    前記予測演算部が演算した予測値が、前記複数の摩擦係合要素のそれぞれについて各変速段毎に規定された変速準備を開始する準備範囲に入っているか否かを前記摩擦係合要素ごとに並行して判断する判断部と、
    前記予測値が前記準備範囲に入っていると前記判断部が判断した摩擦係合要素について、前記変速準備制御を開始させるように前記多段変速機構に指令する制御指令部と、を備え、
    前記判断部は、前記準備範囲として、前記油圧サーボに油圧を供給して前記摩擦係合要素のピストンのガタ詰めを行うサーボ起動制御を開始するサーボ起動準備範囲と、前記油圧サーボに供給されている直結係合圧を前記摩擦係合要素がスリップ回転を開始する直前まで低下させるプレ解放制御を開始するプレ解放準備範囲と、をそれぞれ有し、
    前記制御指令部は、前記予測値が前記サーボ起動準備範囲に入っていると前記判断部が判断した摩擦係合要素について、前記変速準備制御としての前記サーボ起動制御を開始させ、前記予測値が前記プレ解放準備範囲に入っていると前記判断部が判断した摩擦係合要素について、前記変速準備制御としての前記プレ解放制御を開始させる、
    ことを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。
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