JP5834548B2 - 絶縁被覆導電粒子及び異方導電性接着フィルム - Google Patents

絶縁被覆導電粒子及び異方導電性接着フィルム Download PDF

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Description

本発明は、絶縁被覆導電粒子及び異方導電性接着フィルムに関する。
液晶表示用ガラスパネルに液晶駆動用ICを実装する方式は、COG(Chip−on−Glass)実装とCOF(Chip−on−Flex)の2種類に大別することができる。COG実装では、導電粒子を含む異方導電性接着フィルムを用いて液晶用ICを直接ガラスパネルに接合する。一方、COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに液晶駆動用ICを接合し、導電粒子を含む異方導電性接着フィルムを用いてそれらをガラスパネルに接合する。「異方導電性」とは、加圧方向の接続端子間を電気的に接続しつつ、非加圧方向には絶縁性を保つことを意味する。
近年、液晶表示の高精細化に伴って、液晶駆動用ICの回路電極である金バンプには、狭ピッチ化、狭面積化が要求されている状況にある。かかる状況において、異方導電性接着フィルムの導電粒子が隣接する回路電極間に流出してショートを発生させることが問題となっている。また、隣接する回路電極間に導電粒子が流出することにより、金バンプとガラスパネルとの間に捕捉される異方導電性接着フィルム中の導電粒子数が減少して、対向する回路電極間の接続抵抗が上昇し、接続不良が発生することも問題となっている。
そこで、これらの問題を解決する方法として、導電粒子の全表面を絶縁性の被膜で被覆する方法(特許文献1参照)、および絶縁性微粒子によって導電粒子を被覆する方法(特許文献2〜5参照)が提案されている。
特許第2794009号公報 特許第2748705号公報 特開2009−259804号公報 特開2009−170414号公報
しかしながら、特許文献1のように、導電粒子の全表面を絶縁性の被膜で被覆する方法によれば、隣り合う電極間の絶縁性を高くすることができるものの、対向する回路電極間の導通性が低下しやすく、未だ改善の余地がある。
特許文献2及び3のように絶縁性微粒子により導電粒子を被覆した絶縁被覆導電粒子の場合、絶縁性微粒子と導電粒子との接着性を確保するために、絶縁性微粒子としてアクリル樹脂等の有機ポリマーの粒子を用いる。有機ポリマーの粒子は、酢酸エチル、トルエン、及びメチルエチルケトン等の有機溶媒中に分散されたときに、有機ポリマーが有機溶媒に溶解して、絶縁性微粒子の凝集が発生し易い。異方導電性接着フィルムを製造する際、導電粒子を良好な分散性で接着剤中に分散させることが非常に重要である。分散性が良好であるほど、絶縁特性が向上する。特に近年、液晶パネルの電極の狭小化、狭ピッチ化が進みショート不良の対策が極めて重要且つますます困難となっている。そのため、有機溶媒への溶解により低粘度化した接着剤に導電粒子を投入し、超音波分散等の手法により導電粒子を高度に分散させることが必須となっている。
一方、特許文献4では、シリカやチタニアなどの硬質な無機材料を含む絶縁性微粒子が用いられている。これらの絶縁性微粒子は、有機溶媒中で超音波による分散を行っても、絶縁性微粒子が溶解し、凝集することがない。また、無機材料を絶縁性微粒子は、変形しにくいことから、絶縁特性の点でも優れる。
しかしながら、無機材料の絶縁性微粒子を備える絶縁被覆導電粒子を用いると、低圧実装では絶縁性微粒子が十分に変形しないために、回路電極と導電粒子との間に隙間が空いて、導通特性が低下し易い。近年、液晶パネルの薄型化の流れの中で、低圧実装の要求が強くなりつつあることから、低圧実装の場合でも確実に十分な導通特性を得ることが重要である。
そこで、本発明の主な目的は、有機溶媒中での凝集が十分に抑制され、かつ、異方導電性接着フィルムに用いられたときに、低圧実装であっても十分な導通特性を維持することが可能な絶縁被覆導電粒子を提供することにある。
本発明は、導電性の金属表面を有する導電粒子と、導電粒子を被覆する絶縁性微粒子とを有する絶縁被覆導電粒子に関する。前記絶縁性微粒子は、ラジカル重合性有機モノマーと、ラジカル重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するシラン化合物との共重合体の粒子を形成させるステップを含む方法により得ることのできる粒子である。
本発明に係る絶縁被覆導電粒子によれば、有機溶媒中での凝集が十分に抑制され、かつ、異方導電性接着フィルムに用いられたときに、低圧実装であっても十分な導通特性を維持することが可能である。
シラン化合物は、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を2個又は3個有することが好ましい。
シラン化合物に由来するモノマー単位の割合は、共重合体の質量に対して20〜70質量%であることが好ましい。
絶縁性微粒子は、好ましくは、ラジカル重合性有機モノマーとシラン化合物との共重合体の粒子を形成させるステップと、加水分解性シリル基を塩基性化合物によって加水分解させることにより、共重合体を架橋させるステップと、を含む方法により得ることのできる粒子である。塩基性化合物は、3級アミンであることが好ましい。
絶縁性微粒子の平均粒径は、200〜500nmであることが好ましい。
絶縁性微粒子による導電粒子の被覆率は、20%を超えて50%未満であることが好ましい。
本発明はまた、絶縁性接着剤層と、絶縁性接着剤層中に分散している、本発明に係る絶縁被覆導電粒子と、を備える異方導電性接着フィルムに関する。
本発明に係る異方導電性接着フィルムは、例えば、絶縁被覆導電粒子、絶縁性接着剤及びSP値10以下の有機溶剤を含む混合液中で前記絶縁被覆導電粒子を分散させるステップと、混合液を成膜し、成膜した混合液から有機溶剤を除去して当該異方導電性接着フィルムを形成させるステップと、を含む方法により得られる。このとき、異方導電性接着フィルム中における絶縁被覆導電粒子の単分散率は好ましくは60%以上である。
本発明によれば、有機溶媒中での凝集が十分に抑制され、かつ、異方導電性接着フィルムに用いられたときに、低圧実装であっても十分な導通特性を維持することが可能な絶縁被覆導電粒子が提供される。
絶縁被覆導電粒子を備える異方導電性接着フィルムの一実施形態を示す断面図である。 異方導電性接着フィルムによる回路接続方法の一実施形態を示す断面図である。 回路接続構造体の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、異方導電性接着フィルムの一実施形態を示す断面図である。図1に示す異方導電性接着フィルム10は、フィルム状の絶縁性接着剤層7と、絶縁性接着剤層7内に分散した複数の絶縁被覆導電粒子5とを含有する。
絶縁性接着剤層7は、カチオン硬化型等の熱硬化性樹脂組成物からなる。好ましくは、絶縁性接着剤層7は、エポキシ樹脂及びその硬化剤を含有する。
絶縁性接着剤層7は、エポキシ樹脂100質量部に対して3〜15質量部のカチオン性硬化剤を含有することが好ましい。カチオン硬化系硬化剤は、好ましくは潜在性硬化剤である。カチオン系硬化剤は、例えば、三フッ化ホウ素−アミン錯体及びスルホニウム塩から選ばれる。
絶縁性接着剤層7は、絶縁性接着剤層100質量部に対して20〜30質量部のエポキシ樹脂を含有することが好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラック又はクレゾールノボラックとから誘導されるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物などが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。これらのエポキシ樹脂は、エレクトロマイグレーション防止の観点から、不純物イオン(Na、Cl等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品であることが好ましい。
絶縁性接着剤層7は、接着後の応力を低減するため、又は接着性を向上するために、上述の成分に加えてブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴム成分を含有することもできる。また、絶縁性接着剤層7は、充填材、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
フィルム形成性の観点から、絶縁性接着剤層7は、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂(フィルム形成性高分子)を含有することが好ましい。これらのフィルム形成性高分子を配合することは、反応性樹脂の硬化時の応力を緩和できる観点からも好ましい。
絶縁被覆導電粒子5は、導電性の金属表面を有する導電粒子3と、導電粒子3の表面の一部を被覆する絶縁性微粒子1とを有する。
絶縁性微粒子1は、ラジカル重合性有機モノマーと、ラジカル重合性不飽和基を有するシラン化合物との共重合体から構成される有機無機ハイブリッド粒子である。絶縁性微粒子1は、例えば、ラジカル重合性有機モノマーと、シラン化合物との共重合体の粒子を形成させるステップを含む方法により得ることができる。更に、有機無機ハイブリッド粒子に、エポキシ基及び加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤又はシリコーンオリゴマーを吸着させることが好ましい。これにより、絶縁性微粒子1の表面にエポキシ基が導入され、より均一に導電粒子を絶縁性微粒子により被覆することができる。
このような構成を有する絶縁性微粒子1は、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶剤に容易に溶解しない。したがって、絶縁被覆導電粒子を接着剤成分と混合する際に、有機溶剤中での超音波照射を行い樹脂に配合することにより、異方導電性フィルム内における絶縁被覆導電粒子の分散性を向上させることができる。絶縁被覆導電粒子の分散性が向上すると、絶縁特性の向上が実現できる。分散性の向上によって、実装時にバンプ上に捕捉される粒子数のばらつきが低減され、点灯不良の軽減につながる。絶縁性微粒子は加熱加圧時にのみ偏平するため、非加圧方向で隣り合う回路電極間において絶縁被覆導電粒子が接触しても、絶縁性が維持される。加圧方向で対向する回路電極間では絶縁性微粒子が偏平して、低圧実装でも良好な導通特性を得ることができる。このように、絶縁性微粒子の硬さを調節することにより、トレードオフの関係にあった導通特性と絶縁特性の両立が、実現可能となった。更に、絶縁性微粒子による被覆の欠陥が少なく、被覆ばらつきが少ないという点でも有利である。
ラジカル重合性有機モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル基を有するアクリルモノマーである。アクリルモノマーは、好ましくは、メタクリル酸及びアクリル酸アルキルエステルを含む。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル及びこれらに対応するメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
上記共重合体を構成するシラン化合物は、加水分解性シリル基を有することが好ましい。酸又はアルカリの作用により加水分解性シリル基が加水分解して、シラノール基が生成する。更に、シラノール基が相互に反応して、架橋構造が形成される。これにより、ラジカル重合性有機モノマーと、シラン化合物との共重合体から構成され、共重合体がシラン化合物の加水分解性シリル基のうち少なくとも一部が加水分解することにより架橋している有機無機ハイブリッド粒子が生成する。この加水分解のために用いられる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸等の有機酸がある。アルカリとしては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、アミン等がある。これらの中でも、カチオン系硬化剤による硬化の阻害を防止するために、トリエチルアミン等の3級アミンが好ましい。
架橋を進行させるための硬化触媒としては、マレイン酸ジ−n−ブチル錫、ラウリン酸−n−ジブチル錫等の錫系触媒がある。硬化触媒は架橋後、遠心分離による洗浄により除去されることが好ましい。硬化触媒の添加は、粒子合成後でもよいし、遠心分離後であってもよい。望ましくは遠心分離後に硬化触媒が添加される。
ラジカル重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するシラン化合物は、例えば、下記式(I)で表される。式中、Rは、メチル基又は水素原子を示し、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、nは1以上の整数を示す。R及びRの炭素数は好ましくは1〜3である。nは好ましくは1〜5の整数である。
Figure 0005834548
シラン化合物は、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を2個又は3個有することが好ましい。すなわち、式(I)において、mが2又は3であることが好ましい。これにより有機溶剤中での凝集抑制の効果がより顕著に奏される。
ラジカル重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するシラン化合物としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
シラン化合物に由来するモノマー単位の割合は、共重合体の質量に対して好ましくは20〜70質量%である。これにより、凝集性及び導通特性に関する本発明の効果がより一層顕著に奏される。
絶縁性微粒子の平均粒径は、200〜500nmであることが好ましい。絶縁性微粒子の平均粒径が200nmを下回ると、絶縁特性が低下する傾向がある。絶縁性微粒子の平均粒径が500nmを超えると、導通特性向上の効果が低減する傾向がある。
絶縁性微粒子による導電粒子の被覆率は、20%を超えて50%未満であることが好ましい。被覆率が20%以下であると、絶縁特性が低下する傾向がある。被覆率が50%以上であると、導通特性向上の効果が低減する傾向がある。被覆率は、絶縁被覆導電粒子における、導電粒子の投影面積に対する絶縁性微粒子の投影面積の比として定義される。
導電粒子3は金属のみから構成される金属粒子であってもよいし、有機又は無機の核体粒子と、核体粒子を被覆する金属層とを有する複合粒子であってもよい。これらのなかでも、有機核体粒子及びこれを被覆する金属層を有する複合粒子が好ましい。導電粒子3の粒子径は2.0〜4.0μmであることが好ましい。
金属層は、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、パラジウム、ニッケル、錫、クロム、チタン、アルミニウム、コバルト、ゲルマニウム及びカドミウムから選ばれる少なくとも1種の金属、又はITO及びはんだのような金属化合物を含むことができる。特に、耐腐食性の観点からは、金属層はニッケル、パラジウム及び金から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。金属層の最外層がニッケル層、特にニッケルめっき層であり、導電粒子3の金属表面がニッケルから構成されることが特に好ましい。
導電粒子3の金属表面は、突起を形成していることが好ましい。
核体粒子の表面上に金属層を形成する方法としては、無電解めっきの他、置換めっき、電気めっき、スパッタリング等がある。
有機核体粒子は特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレートのようなアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン及びポリブタジエンのようなポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、並びに、ジビニルベンゼンとアクリル酸の共重合体の粒子が有機核体粒子として用いられ得る。
導電粒子3は、水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基からなる群より選択される少なくとも一つの表面官能基を有することが好ましい。これら表面官能基は、例えば、導電粒子の金属表面にカルボキシベンゾトリアゾールを吸着させ、次いで、ベンゾトリアゾールが吸着した導電粒子に、メルカプト基、スルフィド基及びジスルフィド基からなる群より選択される少なくとも一つの基を有する化合物を接触させる方法により容易に導入することができる。
導電粒子3の金属表面に、分子量100以上の塩基性化合物が吸着していることが好ましい。この場合、絶縁性微粒子1は、この塩基性化合物を介して導電粒子3に吸着することができる。
この塩基性化合物は、アミノ基を有することが好ましく、2つ以上のアミノ基を有することがより好ましい。アミノ基が多いほど、絶縁性微粒子と導電粒子との吸着強度が高くなる。
導電粒子から脱落し難く、絶縁性接着剤層中に溶出し難い点から、塩基性化合物の分子量は好ましくは100以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは10000以上、より一層好ましくは50000以上である。塩基性化合物の分子量が大きくなると、絶縁性微粒子の脱落及び塩基性化合物自体の脱落がより効果的に防止される。塩基性化合物の分子量は、通常、200000以下である。
アミノ基は、導電粒子の金属表面に結合しやすいだけではなく、カルボキシル基等の導電粒子の表面官能基との高い反応性を有する。また、導電粒子の表面官能基と絶縁性微粒子表面のエポキシ基との間に化学結合が形成されて、導電粒子と絶縁性微粒子との結合が強固になる。その結果、絶縁性微粒子による被覆が均一となるとともに、導電粒子に絶縁性微粒子が強固に保持される。このことが、絶縁性微粒子の脱落が防止される要因として考えられる。
アミノ基を有する塩基性化合物は、例えば、ポリエチレンイミン、ペンタエチレンヘキサミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン及び1,5−ジアミノペンタンから選ばれるポリアミンである。これらの中でも、ポリエチレンイミンが好ましい。高分子電解質であるポリエチレンイミンは、ポリアミンの中でも最も電荷密度が高いため、表面官能基を有する導電粒子と強固に結合することができる。したがって、表面官能基を有する導電粒子と導電粒子を被覆する絶縁性微粒子との結合を、より一層強固にすることができると考えられる。
表面官能基を有する導電粒子、及び水酸基等を表面に有する絶縁性微粒子の表面電位(ゼータ電位)は、pHが中性領域であれば通常双方とも負電荷である。導電粒子の表面に表面電位が正電荷のアミノ基を有する塩基性化合物が吸着されていると、アミノ基が絶縁性微粒子のエポキシ基と化学結合し、絶縁性微粒子の剥離がより一層起こりにくい。
絶縁被覆導電粒子は、例えば、導電粒子(好ましくは表面官能基を有する導電粒子)の金属表面に塩基性化合物を付着させる工程と、金属表面に塩基性化合物が付着している導電粒子に絶縁性微粒子を接触させる工程と、を含む方法により得ることができる。このような方法により、被覆の欠陥が一層少なく、絶縁性微粒子が容易に脱離しない絶縁被覆導電粒子を製造することができる。
異方導電性接着フィルム10は、例えば、絶縁被覆導電粒子、絶縁性接着剤及びSP値10以下の有機溶剤を含む混合液中で絶縁被覆導電粒子を超音波処理等の手法により分散させるステップと、混合液を成膜し、成膜した混合液から有機溶剤を除去して異方導電性接着フィルムを形成させるステップと、を含む方法により得ることができる。得られる異方導電性接着フィルム中における絶縁被覆導電粒子の単分散率は、好ましくは60%以上である。好適な有機溶剤の具体例としては、酢酸エチル、トルエン及びアセトンが挙げられる。
別の実施形態として、絶縁性接着剤及び絶縁被覆導電粒子5を含有するペースト状の異方性導電接着剤も、回路接続のために好適に用いることができる。
図2は、異方導電性接着フィルムによる回路接続方法の一実施形態を示す断面図である。図2に示されるように、基板21及び該基板上に設けられた電極22を有する第一の回路部材20と、基板31及び基板31上に設けられた電極32を有する第二の回路部材30とを、電極22及び電極32が向き合うように対向配置し、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間に異方性導電接着フィルム10を配置する。この状態で全体を加熱及び加圧することにより、図3の断面図に示されるように、第一の回路部材20と第二の回路部材30とが回路接続された接続構造体100が得られる。
これら回路部材としては、ガラス基板やポリイミド等のテープ基板、ドライバーIC等のベアチップ、リジット型のパッケージ基板等が挙げられる。
得られた接続構造体100において、絶縁被覆導電粒子5の電極との接触部分では絶縁性微粒子1が剥離して、対向する電極同士は導通する。一方、同一基板上で隣り合う電極間は絶縁性微粒子1が介在することで絶縁性が維持される。
以下に実施例をあげて本発明を更に詳しく説明する。ただし、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(絶縁性微粒子1)
500mL三ツ口フラスコに、ラジカル重合性二重結合及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製:KBM−5103)7.5gと、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)6.9gと、アクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)4.1gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36gと、アセトニトリル350gとを入れてこれらを混合した。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した後、80℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径300nmの有機無機ハイブリッド粒子を得た。この有機無機ハイブリッド粒子を含む分散液を20mLの容器に入れ、3000r.p.m.で30分間の遠心分離(株式会社コクサン製:H−103N)により、未反応のモノマーを除去した。更にメタノールを20mL追加し、超音波分散させ再度遠心分離を行った。そこに、硬化触媒として、カルボキシル基の量に対して等モルのトリエチルアミンを入れ、メタノールを追加して超音波分散させて、架橋反応を進行させた。再度の遠心分離後、トリエチルアミンを除去し、得られた絶縁性微粒子1をメタノールに分散させた。
(絶縁性微粒子2)
500mL三ツ口フラスコに、ラジカル重合性二重結合及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、信越化学工業(株)製:KBM−502)7.5gと、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)6.9gと、アクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)4.1gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36gと、アセトニトリル350gとを入れこれらを混合した。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した後、80℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径300nmの有機無機ハイブリッド粒子の分散液を得た。その他は絶縁性微粒子1と同様にして、絶縁性微粒子2のメタノール分散液を準備した。
(絶縁性微粒子3)
500mL三ツ口フラスコに、ラジカル重合性二重結合及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製:KBM−5103)13gと、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)2.5gと、アクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)2.9gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36gと、アセトニトリル350gとを入れこれらを混合した。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した後、80℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径500nmの有機無機ハイブリッド粒子の分散液を得た。その他は絶縁性微粒子1と同様にして、絶縁性微粒子3のメタノール分散液を準備した。
(絶縁性微粒子4)
500mL三ツ口フラスコに、ラジカル重合性二重結合及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製:KBM−5103)5.7gと、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)2.5gと、アクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)10.3gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36gと、アセトニトリル350gとを入れこれらを混合した。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した後、80℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径500nmの有機無機ハイブリッド粒子の分散液を得た。その他は絶縁性微粒子1と同様にして、絶縁性微粒子4の分散液を準備した。
(絶縁性微粒子5)
500mL三ツ口フラスコに、ラジカル重合性二重結合及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製:KBM−5103)7.5gと、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)6.9gと、ヒドロキシメタクリレート(和光純薬工業(株)製)4.1gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36gと、アセトニトリル350gとを入れ、これらを混合した。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した後、80℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径70nmの有機無機ハイブリッド粒子の分散液を得た。その他は絶縁性微粒子1と同様にして、絶縁性微粒子5を準備した。
(絶縁性微粒子6)
500mL三ツ口フラスコに、ラジカル重合性二重結合及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製:KBM−5103)7.5gと、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)6.9gと、アクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)4.1gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36gと、アセトニトリル150gとを入れ、これらを混合した。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した後、80℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径800nmの有機無機ハイブリッド粒子の分散液を得た。その他は絶縁性微粒子1と同様にして、絶縁性微粒子6の分散液を準備した。
(絶縁性微粒子8)
500mL三ツ口フラスコに、ラジカル重合性二重結合及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製:KBM−5103)15gと、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)2.5gと、アクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)1gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36gと、アセトニトリル350gとを入れて、これらを混合した。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した後、80℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径500nmの有機無機ハイブリッド粒子の分散液を得た。その他は絶縁性微粒子1と同様にして、絶縁性微粒子8の分散液を準備した。
(絶縁性微粒子9)
三ツ口フラスコに、メタクリル酸グリシジル2mmol、スチレン18mmol、ジビニルベンゼン0.6mmol、及び2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミノ]ジプロパン}0.1mmolを、これらの合計の濃度が50質量%になるようにイオン交換水に溶解させた。窒素(100mL/分)により1時間かけて溶存酸素を置換した。その後、70℃に加熱しながら6時間重合反応を進行させて、一次粒子径250nmの絶縁性微粒子を得た。遠心分離により未反応モノマーを除去し、メタノールによる洗浄を3回行った。
(導電粒子)
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(樹脂微粒子)3gを、アルカリ脱脂の後、酸で中和した。次いで、樹脂微粒子を、pH6.0に調整したカチオン性高分子液100mLに添加し、60℃で1時間攪拌した後、直径3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)で濾過し、水洗を行った。パラジウム触媒であるアトテックネオガント834(アトテックジャパン(株)製、商品名)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに水洗後の樹脂微粒子を添加し、35℃で30分攪拌した後濾過し、水洗を行った。
次に、水洗後の樹脂微粒子を3g/Lの次亜リン酸ナトリウム液に添加し、表面が活性化された樹脂微粒子(樹脂コア粒子)を得た。この樹脂コア粒子と、水1000mLと、リンゴ酸ナトリウム(濃度20g/L)とを2000mLのガラスビーカーに投入し、超音波分散させた。続いて、フッ素製攪拌羽根により攪拌(600rpm)を行いながらpHを5.5以下に調整し、分散液を80℃に加温した。そこに、無電解ニッケルめっき液であるSEK670(日本カニゼン株式会社 製品名)を(SEK670−0)/(SEK670−1)=1.8の割合で混合した初期薄膜めっき液を、定量ポンプを用いて7ml/分で添加したところ、約30秒後に還元反応が開始し、浴中から気泡が発生して浴全体が灰色から黒色になった。その後、初期薄膜形成を終了した後、間をあけずに硫酸ニッケル(濃度224g/L)、及びリンゴ酸ナトリウム(濃度305g/L)を混合した厚付けめっき液と、次亜リン酸ナトリウム(濃度534g/L)、及び水酸化ナトリウム(濃度34g/L)で混合した厚付けめっき液を13ml/分で2液同時に添加した。その後、気泡の発生が停止するまで攪拌を行ったところ、浴全体が黒色から灰色に変化した。このめっき処理により、樹脂コア粒子を被覆するニッケルめっき層が形成された。
次に、無電解パラジウムめっき液であるパレット(小島化学薬品株式会社、製品名)を建浴し、フッ素製攪拌羽根で攪拌しながら70℃に加温した。そこにニッケルめっき層が形成された粒子を投入し、5分めっきを実施した後、濾過と水洗を3回実施した。40℃の真空乾燥機で7時間乾燥した後、解砕して凝集を解し、ニッケルめっき層及びパラジウムめっき層を有し、最外層がパラジウムめっき層である導電粒子を得た。
(実施例1、絶縁被覆導電粒子1)
<表面官能基を形成する工程>
メルカプト酢酸(和光純薬工業株式会社製、商品名)8mmolをメタノール200mlに溶解し、そこに導電粒子を10g加えた。直径45mmの攪拌羽を取り付けたスリーワンモーター(新東科学株式会社製、商品名:BL3000)を用いて室温(25℃)で2時間攪拌し、メタノールで洗浄したφ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製 :コーテッドタイプメンブレンフィルター)で濾過して、表面官能基としてカルボキシル基を有する導電粒子10gを得た。
<高分子電解質を導電粒子に吸着させる工程>
重量平均分子量70000のポリエチレンイミンを含む30質量%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製、商品名:30%ポリエチレンイミン P−70溶液)を超純水で希釈して0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液を得た。この0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液に上述のカルボキシル基が導入された導電粒子10gを加えた。室温(25℃)で15分間攪拌し、φ3μmのメンブレンフィルタで濾過して、高分子電解質であるポリエチレンイミンが表面に吸着した粒子を得た。この粒子を、超純水200gに混合して室温(25℃)で5分攪拌し、濾過を行った。濾過して得られた粒子を該メンブレンフィルタ上で200gの超純水で2回洗浄して、粒子に吸着していないポリエチレンイミンを除去した。
<絶縁性微粒子によって導電粒子を被覆する工程>
ポリエチレンイミンが吸着した導電粒子10gを、絶縁性微粒子1を2−プロパノール(和光純薬工業(株)製)で希釈して得られた2質量%の絶縁性微粒子分散液50gを滴下しながら室温(25℃)で30分間攪拌して、導電粒子及びこれを被覆する絶縁性微粒子1から構成される絶縁被覆導電粒子を得た。濾過により取り出した絶縁被覆導電粒子を、重量平均分子量1000のシリコーンオリゴマー(日立化成コーテッドサンド株式会社製:SC−6000)50gとメタノール150gの混合液に入れて、室温(25℃)で1時間攪拌して濾過を行った。最後に、絶縁被覆導電粒子をトルエン(和光純薬工業(株)製)に入れて3分攪拌し、濾過を行った。
<分級工程>
得られた絶縁被覆導電粒子を150℃、1時間の条件で真空乾燥した。その後、旋回気流式ふるい分け分級機(株式会社セイシン企業)で凝集物を取り除いた。
(実施例2、絶縁被覆導電粒子2)
絶縁性微粒子1の代わりに絶縁性微粒子2を用いたこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子2を得た。
(実施例3、絶縁被覆導電粒子3)
絶縁性微粒子1の代わりに絶縁性微粒子3を用いたこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子3を得た。
(実施例4、絶縁被覆導電粒子4)
絶縁性微粒子1の代わりに絶縁性微粒子4を用いたこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子4を得た。
(実施例5、絶縁被覆導電粒子5)
絶縁性微粒子によって導電粒子を被覆する工程において、絶縁性微粒子分散液の滴下量を50gから40gに変更したこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子5を得た。
(実施例6、絶縁被覆導電粒子6)
絶縁性微粒子によって導電粒子を被覆する工程において、絶縁性微粒子分散液の滴下量を50gから65gに変更したこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子6を得た。
(実施例7、絶縁被覆導電粒子7)
絶縁性微粒子1の代わりに絶縁性微粒子5を用いたこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子7を得た。
(実施例8、絶縁被覆導電粒子8)
絶縁性微粒子1の代わりに絶縁性微粒子6を用いたこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子8を得た。
(実施例9、絶縁被覆導電粒子10)
絶縁性微粒子1の代わりに絶縁性微粒子8を用いたこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子10を得た。
(実施例10、絶縁被覆導電粒子12)
絶縁性微粒子によって導電粒子を被覆する工程において、絶縁性微粒子分散液の滴下量を50gから32gに変更したこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子6を得た。
(実施例11、絶縁被覆導電粒子13)
絶縁性微粒子によって導電粒子を被覆する工程において、絶縁性微粒子分散液の滴下量を50gから80gに変更したこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子13を得た。
(比較例1、絶縁被覆導電粒子11)
絶縁性微粒子1の代わりに絶縁性微粒子9を用いたこと以外は絶縁被覆導電粒子1と同様にして、絶縁被覆導電粒子11を得た。
(異方導電性接着フィルム)
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製品名PKHC)30g、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部、及びグリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、重量平均分子量:85万)15gを酢酸エチル20gに溶解して、フェノキシ樹脂とアクリルゴムの合計濃度が30質量%の溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(エポキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製品名ノバキュアHX−3941)30gを加えて撹拌し、接着剤溶液を作製した。この接着剤溶液に、シリカフィラー(日本アエロジル社製:Aerosil R202)の酢酸エチル分散液10質量部を35g添加し攪拌した。15gの絶縁被覆導電粒子1を接着剤溶液と混合して、超音波分散を行った。この分散液を、シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルムであるセパレータ(厚み40μm)にロールコータで塗布し、80℃で5分間乾燥して、厚み23μmの異方導電性接着フィルムを形成させた。
作製した異方導電性接着フィルムを用いて、金バンプ(面積:30μm×90μm、スペース10μm、高さ:15μm、バンプ数:362)付きチップ(1.7mm×17mm、厚み:0.5mm)とITO回路付きガラス基板(ジオマテック製、厚み:0.7mm)との接続を、以下の通り行った。
異方導電性接着フィルムを、所定のサイズ(2mm×19mm)に切り出し、そのセパレータとは反対側の面をITO回路付きガラス基板に向け、ITO回路付きガラス基板のITO回路が形成された面に対して、80℃に加熱しながら0.98MPa(10kgf/cm)で加圧することにより貼り付けた。貼り付けられた異方導電性接着フィルムからセパレータを剥離した。その後、チップの金バンプが設けられた面を異方導電性接着フィルムのITO回路付きガラス基板が貼り付けられた面とは反対側の面に向け、その状態でチップの金バンプとITO回路付きガラス基板との位置合わせを行った。次いで、190℃、40g/バンプ、10秒間の条件で加熱及び加圧を行って本接続を行い、実装サンプルを得た。
(導通特性の評価)
実装サンプルの接続抵抗値を4端子法により測定した。定電流電源装置((株)アドバンテスト製R−6145)を用いて一定電流(1mA)をチップ電極−基板電極間に印加し、そのときの接続部分の電位差を、(株)アドバンテスト製デジタルマルチメーター(R−6557)を用いて測定し、抵抗値に換算した。さらに、実装サンプルを85℃、85RH%の高温高湿槽に投入し、500時間経過後に取り出して、上記と同様の方法により信頼性試験後の接続抵抗値を測定した。
(絶縁特性評価)
実装サンプルの回路の接続部に、直流(DC)50Vの電圧を1分間印加し、印加後の絶縁抵抗を、2端子測定法を用いマルチメータで測定した。ここで、絶縁抵抗とは隣り合う回路電極間の抵抗を意味する。
(粒子分散率)
導電粒子を含まない接着剤層に、絶縁被覆導電粒子を含む各異方導電性接着フィルムをラミネートした積層体を準備し、この積層体を1mm角に切断した。また、接着剤層のみを3mm角に切断した。切断した積層体及び接着剤層をそれぞれカバーグラスに乗せ、それらを貼り合わせた後、(株)東レエンジニアリング製高精細自動ボンダ(FC−1200)を用いて80℃で40秒圧延した。続いて、200℃で20秒、更に加熱及び加圧した。得られたサンプルをキーエンス製光学顕微鏡(VH−Z450)を用いて1000倍にて撮像し、異方導電性接着フィルム中における絶縁被覆導電粒子の単分散率を測定した。
(US試験)
トルエンに絶縁被覆導電粒子0.5g浸漬し、30分間超音波(アズワン株式会社製US−4R、高周波出力:160W、発振周波数:40kHz単周波)を照射させた。トルエンを除去し、絶縁被覆導電粒子0.05gを電解水に分散させ、界面活性剤を添加し、超音波分散を5分間行った。絶縁被覆導電粒子の分散液をCOULER MULTISIZER II(ベックマン・コールター株式会社製)の試料カップに注入し、絶縁被覆導電粒子50000個についての平均粒径及び単分散率を測定した。単分散率は下記式により算出し、その値に基づいて下記基準により有機溶媒中での粒子の凝集性を判定した。
単分散率(%)={first peak粒子数(個)/全粒子数(個)}×100
AA:100%〜95%
A:95%〜90%
B:90%〜85%
C:85%未満
(被覆率)
絶縁被覆導電粒子による導電粒子の被覆率を、SEM像の画像解析により測定した。
Figure 0005834548
Figure 0005834548
表1において、「官能基数」は、シランカップリング剤が有するアルコキシ基の数を意味する。表1、表2に示されるように、導電粒子を被覆する絶縁性微粒子として有機無機ハイブリッド粒子を用いた実施例の絶縁被覆導電粒子によれば、有機溶媒中での凝集が十分に抑制され、かつ、異方導電性接着フィルムに用いられたときに、低圧実装であっても十分な導通特性を維持できることが確認された。
1…絶縁性微粒子、3…導電粒子、5…絶縁被覆導電粒子、7…絶縁性接着剤層、10…異方導電性接着フィルム。

Claims (9)

  1. 導電性の金属表面を有する導電粒子と、前記導電粒子を被覆する絶縁性微粒子とを有する絶縁被覆導電粒子であって、
    前記絶縁性微粒子が、ラジカル重合性有機モノマーと、ラジカル重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するシラン化合物との共重合体から構成される有機無機ハイブリッド粒子であり、
    前記ラジカル重合性有機モノマーが、メタクリル酸及びアクリル酸アルキルエステルを含む、絶縁被覆導電粒子。
  2. 前記シラン化合物が、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を2個又は3個有する、請求項1に記載の絶縁被覆導電粒子。
  3. 前記シラン化合物に由来するモノマー単位の割合が、前記共重合体の質量に対して20〜70質量%である、請求項1又は2に記載の絶縁被覆導電粒子。
  4. 前記絶縁性微粒子が、前記ラジカル重合性有機モノマーと前記シラン化合物との共重合体から構成される有機無機ハイブリッド粒子であって、前記共重合体が前記シラン化合物の加水分解性シリル基の加水分解により架橋している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子。
  5. 前記絶縁性微粒子の平均粒径が200〜500nmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子。
  6. 前記絶縁性微粒子による前記導電粒子の被覆率が20%を超えて50%未満である、請求項1〜のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子。
  7. 絶縁性接着剤層と、
    前記絶縁性接着剤層中に分散している、請求項1〜のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子と、
    を備える異方導電性接着フィルム。
  8. 該異方導電性接着フィルム中における前記絶縁被覆導電粒子の単分散率が60%以上である、請求項に記載の異方導電性接着フィルム。
  9. 請求項7又は8に記載の異方導電性接着フィルムを製造する方法であって、
    前記絶縁被覆導電粒子、絶縁性接着剤及びSP値10以下の有機溶剤を含む混合液中で前記絶縁被覆導電粒子を分散させるステップと、
    前記混合液を成膜し、成膜した前記混合液から前記有機溶剤を除去して当該異方導電性接着フィルムを形成させるステップと、を含む、方法。
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