図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図であり、図2は、図1に示された光記録媒体の略一部断面図である。
図1および図2に示されるように、光記録媒体1は円板状をなし、表面にグルーブ2aおよびランド2bが形成された基板2を備え、基板2の表面に、反射層3、記録層4、保護層5およびカバー層6がこの順に形成されている。図1において、参照番号10で示されているのはセンターホールである。
本実施態様にかかる光記録媒体は追記型の光記録媒体として構成されている。
以上のような構成を有する光記録媒体1は、たとえば、以下のようにして作製される。
まず、基板2の表面上に形成されるべきグルーブ2aおよびランド2bに対応する凹凸形状の表面を有するスタンパ(図示せず)を成形金型に装着して、射出成形法によって、基板2を成形する。
センターホール10の中心から22.2mmないし23.5mmに位置する基板2の再生専用領域には、所定のピッチと、所定のウォブル量で、所定の断面形状を有するグルーブ2aとランド2bが形成され、センターホール10の中心から23.5mmないし58.0mmに位置する基板2のデータ記録領域には、再生専用領域に形成されたグルーブ2aおよびランド2bよりも小さいピッチで、グルーブ2aとランド2bが形成されている。
基板2は、光記録媒体1の支持体として機能し、中央にセンターホール10が形成された約1.1mmの厚さを有する円板である。基板2を形成するための材料は、光記録媒体1の支持体としての機能を有していれば、とくに限定されるものではなく、基板2は、たとえば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などの透明樹脂を用いて、射出成形法によって作製されている。
図2に示されるように、基板2の一方の主面には、交互に、グルーブ2aおよびランド2bが形成されている。基板2の表面に形成されたグルーブ2aおよび/またはランド2bは、データを記録する場合およびデータを再生する場合において、レーザビームのガイドトラックとして、機能するものである。
図2に示されるように、基板2のグルーブ2aおよびランド2bが形成された側の主面には、反射層3が形成されている。
反射層3は、カバー層6、保護層5および記録層4を介して、入射したレーザビームを反射し、カバー層6から出射する機能を有している。
反射層3の厚さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし300nmであることが好ましく、20nmないし200nmであることが、とくに好ましい。
反射層3を形成するための材料は、レーザビームを反射する機能を有していれば、とくに限定されるものではないが、好ましくは、反射層3は、金、アルミニウム、銀、銅、パラジウムなどの単体金属膜や、これら各々の合金膜、さらには、これらの単体金属や合金に微量成分が添加された微量成分含有金属の金属膜などによって形成されている。
図2に示されるように、反射層3の表面上には、記録層4が形成されている。
本実施態様においては、記録層4は、たとえば、下記の一般式(1)ない一般式(4)のいずれかで表わされる特定の構造のアゾ化合物が配位する金属イオンから構成される金属錯体化合物からなり、前記金属が、ニッケル、コバルトおよび銅から選ばれる色素をTFP(テトラフルオロプロパノール)などの溶剤に溶解させて得た色素溶液を、反射層3の表面上に、スピンコーティング法により塗布することによって形成されている。本実施態様においては、記録層4は吸収最大波長λmaxでの381nmにおける光学密度(OD値)が所定の値になるように、色素溶液を塗布して形成されている。
ここに、光学密度(OD値)は、基板2のみの吸光度をゼロとして、基板2の表面上に反射層を形成せずに、直接、記録層4を形成したときの吸光度である。
ここに、一般式(1)および(2)において、Aは含窒素複素芳香環を、一般式(3)および(4)において、Bは含窒素複素芳香環であり、Rは炭素数1ないし6のアルキル基または分岐アルキル基であるが、環状構造を有していてもよい。一般式(1)および(3)中のX、Y、Z、ならびに、一般式(2)および(4)中のX’、Y’は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれるいずれか1種であり、これらはβ−ジケトン構造とともに5員環または6員環を形成する。
具体的には、記録層4が以下の構造式(1)ないし(5)によって表わされる色素を含んでいる。
図2に示されるように、記録層4の表面には、保護層5が形成されている。
保護層5を形成するために用いられる材料はとくに限定されるものではないが、保護層5を形成するために用いられる材料は、Al2O3、AlN、ZnO、ZnS、GeN、GeCrN、CeO、SiO、SiO2、SiNおよびSiCよりなる群から選ばれる少なくとも1種の誘電体材料を主成分として含んでいることが好ましく、ZnS・SiO2を主成分として含んでいることがより好ましい。
また、保護層5の厚さもとくに限定されるものではないが、通常は、3ないし200nmである。
図2に示されるように、保護層5の表面上には、カバー層6が形成されている。
カバー層6は、レーザビームが透過する層であり、好ましくは、10μmないし300μmの厚さを有し、さらに好ましくは、50μmないし150μmの厚さを有している。
カバー層6を形成する材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、光硬化性樹脂によって、さらに好ましくは、紫外線硬化性樹脂であり、カバー層6は、スピンコーティング法によって、保護層5の表面に、紫外線硬化性樹脂溶液などの光硬化性樹脂溶液を塗布して、塗膜を形成し、得られた塗膜に紫外線などの光を照射して、塗膜を硬化させて形成されている。
図3は、基板2の再生専用領域に形成されたグルーブ2aおよびランド2bの詳細を示す略平面図である。
図3に示されるように、基板2の再生専用領域に形成されたグルーブ2aはウォブル(蛇行)しており、図3において、矢印Aで示されるレーザビームの走査方向に対して、参照番号12aで示される第一のウォブル部では、グルーブ2aは右側にウォブル(蛇行)し、参照番号12bで示される第二のウォブル部では、グルーブ2aが左側にウォブル(蛇行)している。
図4は、右側にウォブルしている第一のウォブル部12aのレーザビームの走査方向Aに垂直な方向の略断面図である。
図4に示されるように、グルーブ2aが右側にウォブル(蛇行)している第一のウォブル部12aでは、基板2の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブ2aの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブ2aの左側の溝角度α1と、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブ2aの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブ2aの右側の溝角度α2とが、α1>α2に設定されている。
図5は、左側にウォブルしている第二のウォブル部12bのレーザビームの走査方向Aに垂直な方向の略断面図である。
図5に示されるように、グルーブ2aが左側にウォブル(蛇行)している第二のウォブル部12bでは、基板2の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブ2aの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブ2aの左側の溝角度β1と、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブ2aの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブ2aの右側の溝角度β2とが、β1<β2に設定されている。
基板2にこのような形状のグルーブ2aを形成するために用いられるスタンパを作製する場合には、たとえば、特定の波長のレーザビームを用いるDeep UV法によって、レーザビームの走査方向に対して、レーザビームを左右に変位させることによって、スタンパの表面にウォブルを形成するとともに、レーザビームのパワーを調整することによって、グルーブ2aが右側にウォブル(蛇行)している第一のウォブル部12aでは、基板2の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブ2aの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブ2aの左側の溝角度α1と、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブ2aの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブ2aの右側の溝角度α2とが、α1>α2に、グルーブ2aが左側にウォブル(蛇行)している第二のウォブル部12bでは、基板2の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブ2aの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブ2aの左側の溝角度β1と、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブ2aの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブ2aの右側の溝角度β2とが、β1<β2になるように、基板2の一方の主面に形成されたグルーブ2aおよびランド2bと相補的な案内溝が形成されたスタンパが作製される。
本発明において、|α1−α2|および|β1−β2|が1°ないし6°以下であることが好ましい。|α1−α2|および|β1−β2|が1°ないし6°以下になるように、グルーブ2aおよびランド2bを形成したときには、ピックアップのフォトディテクターへの戻り光量の差分量(回折量)を一層増加させ、ウォブルC/Nのキャリアを増加させる効果が大きくなり、ウォブル量を小さくしても同等のキャリア量が得ることができる。
ここに、光記録媒体1の再生専用領域に形成されたグルーブの溝の角度α1、α2、β1およびβ2は、原子間力顕微鏡(AFM)にて計測している。
本実施態様によれば、グルーブ2aが右側にウォブル(蛇行)している第一のウォブル部12aでは、基板2の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブ2aの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブ2aの左側の溝角度α1と、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブ2aの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブ2aの右側の溝角度α2とが、α1>α2に、グルーブ2aが左側にウォブル(蛇行)している第二のウォブル部12bでは、基板2の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブ2aの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブ2aの左側の溝角度β1と、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブ2aの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブ2aの右側の溝角度β2とが、β1<β2になるように、基板2の一方の主面上に、グルーブ2aおよびランド2bを形成しているから、デトラックによるSERのマージンが広くなって、ピックアップの光検出器への戻り光量の差分量(回折量)が増加して、ウォブル信号のC/Nのキャリアを増大させることができるようになり、そのために、ウォブル量を小さくしても同等のキャリアを得ることができ、ウォブル量を小さくすることによって、クロストークを低減させ、ウォブル信号のC/Nのノイズを低減させることが可能になり、デトラックなどの外乱が生じても、ウォブル信号のC/Nのキャリアを増大させ、ノイズを低減させることができるため、ウォブル信号の品位を良好に維持することが可能になる。
以下、本発明の効果をより一層明らかなものとするために、実施例および比較例を掲げる。
実施例1
まず、基板の表面上に形成されるべきグルーブおよびランドに対応する凹凸形状の表面を有するスタンパを、270nmの波長のレーザビームで露光をするDeep UV法を用いて作製した。
スタンパの作成にあたっては、レーザビームの走査方向に対して、レーザビームを左右に変位させることによって、作製すべき基板の中心から22.2mmないし23.5mmに位置する再生専用領域に対応するスタンパの表面にウォブルを形成するとともに、レーザビームのパワーを変化させることによって、グルーブに対応する溝が右側にウォブルしている溝においては、基板の表面にグルーブが形成されたときに、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブの左側の溝角度α1が20°で、基板の表面にグルーブが形成されたときに、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブの右側の溝角度α2が19°に、グルーブに対応する溝が左側にウォブルしている溝においては、基板の表面にグルーブが形成されたときに、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブの左側の溝角度β1が19°で、基板の表面にグルーブが形成されたときに、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブの右側の溝角度β2が20°になるように、スタンパに溝を形成した。
ここに、光記録媒体の再生専用領域に対応するスタンパの領域に0.35μmのトラックピッチで形成されたグルーブの溝の角度は、原子間力顕微鏡(AFM)にて計測した。
このように作製されたスタンパを、成形金型に装着し、センターホールの中心から22.2mmないし23.5mmの範囲の再生専用領域に、0.35μmのトラックピッチと、半値幅が80nmで、ウォブル量の0−Peakが25nmのグルーブが形成され、センターホールの中心から23.5mmないし58.0mmのデータ記録領域に、0.32μmのトラックピッチが形成されるように、基板を射出成形法によって成形した。
こうして成形された基板の一方の主面上に、Inの含有量が0.2重量%のAgとInの合金からなる60nmの厚さの反射層をスパッタリングによって形成した。
次いで、下記の構造式(1)によって表わされる構造を有する色素をTFP(テトラフルオロプロパノール)の溶剤に溶解させて得た色素溶液を、反射層の表面上に、スピンコーティング法により塗布することによって、記録層を形成した。ここに、記録層は、吸収最大波長λmaxでの381nmにおける光学密度(OD値)が0.24になるように、色素溶液を塗布して形成した。光学密度(OD値)は、基板のみの吸光度がゼロとして、基板の表面に、反射層を形成することなく、記録層を形成したときの吸光度と定義されている。
記録層の形成後、温度80℃で、30分にわたって記録層を乾燥し、ZnS・SiO
2を20nmの膜厚になるようにスパッタリングして、保護層を形成した。
次いで、保護層の表面に、スピンコーティング法により、20℃における弾性率が40MPaの紫外線硬化性樹脂を塗布して、塗膜を形成し、紫外線を照射して、塗膜を硬化させて、0.1mmの膜厚を有するカバー層を形成した。
こうして、光記録媒体サンプル#1を作製した。
以上のようにして作製された光記録媒体サンプル#1を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「ODU1000」(商品名)にセットし、開口数0.85の対物レンズを介して、光記録媒体サンプル#1に405nmの波長を有し、0.35mWの再生パワーを有するレーザビームを照射して、再生専用領域に記録されているディスクインフォメーション情報などのDI情報を再生したところ、デトラックによるSERは、上限値を1×10−3とすると、±45nmで、実用的に十分に広いマージンを得ることができた。
実施例2
溝角度α1および溝角度β2が21°で、溝角度α2および溝角度β1が18°になるように、基板の再生専用領域にグルーブおよびランドを形成した点を除いて、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#2を作製した。
以上のようにして作製された光記録媒体サンプル#2を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「ODU1000」(商品名)にセットし、開口数0.85の対物レンズを介して、光記録媒体サンプル#2に405nmの波長を有し、0.35mWの再生パワーを有するレーザビームを照射して、再生専用領域に記録されているディスクインフォメーション情報などのDI情報を再生したところ、デトラックによるSERは、上限値を1×10−3とすると、±55nmで、実用的に十分に広いマージンを得ることができた。
実施例3
溝角度α1および溝角度β2が23°で、溝角度α2および溝角度β1が18°になるように、基板の再生専用領域にグルーブおよびランドを形成した点を除いて、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#3を作製した。
以上のようにして作製された光記録媒体サンプル#3を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「ODU1000」(商品名)にセットし、開口数0.85の対物レンズを介して、光記録媒体サンプル#3に405nmの波長を有し、0.35mWの再生パワーを有するレーザビームを照射して、再生専用領域に記録されているディスクインフォメーション情報などのDI情報を再生したところ、デトラックによるSERは、上限値を1×10−3とすると、±60nmで、実用的に十分に広いマージンを得ることができた。
比較例1
基板のグルーブに対応する溝を形成する際のレーザビームのパワーを一定に保持して、溝角度α1および溝角度α2ならびに溝角度β1および溝角度β2がいずれも20°になるように、基板の再生専用領域にグルーブおよびランドを形成した点を除いて、実施例1と同様にして、光記録媒体比較サンプル#1を作製した。
以上のようにして作製された光記録媒体比較サンプル#2を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「ODU1000」(商品名)にセットし、開口数0.85の対物レンズを介して、光記録媒体比較サンプル#1に405nmの波長を有し、0.35mWの再生パワーを有するレーザビームを照射して、再生専用領域に記録されているディスクインフォメーション情報などのDI情報を再生したところ、デトラックによるSERは、上限値を1×10−3とすると、±20nmで、実用的に十分に広いマージンを得ることができなかった。
比較例2
実施例1と同様に、|α1−α2|および|β1―β2|が6°になるように、スタンパに溝を形成しようとしたが、|α1−α2|および|β1―β2|が6°になるように溝を形成することはできなかった。
実施例1ないし3ならびに比較例1および2から、グルーブが右側にウォブルしている部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブの左側の溝角度α1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブの右側の溝角度α2とがα1>α2で、グルーブが左側にウォブルしている部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブ2aの左側の溝角度β1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブ2aの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブの右側の溝角度β2とがβ1<β2となるように、基板の表面にグルーブおよびランドを形成した場合には、デトラックによるSERのマージンが十分に広くなったのに対し、グルーブが右側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の壁面と基板の表面とがなす角度と、グルーブの右側の壁面と基板の表面とがなす角度とが等しく、グルーブが左側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の壁面と基板の表面とがなす角度と、グルーブの右側の壁面と基板の表面とがなす角度とが等しい場合には、デトラックによるSERのマージンは狭くなり、実用的でないことがわかった。
また、実施例1ないし3ならびに比較例1および2から、グルーブが右側にウォブルしている部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブの左側の溝角度α1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|が5°であり、グルーブが左側にウォブルしている部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブの左側の溝角度β1と、基板2の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が5°になるように、基板の表面にグルーブおよびランドを形成した場合、グルーブが右側にウォブルしている部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブの左側の溝角度α1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|が3°であり、グルーブが左側にウォブルしている部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブの左側の溝角度β1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が3°になるように、基板の表面にグルーブおよびランドを形成した場合、および、グルーブが右側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度α1と、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|が1°であり、グルーブが左側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度β1と、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が1°になるように、基板の表面にグルーブおよびランドを形成した場合には、デトラックによるSERのマージンが十分に広くなったのに対し、グルーブが右側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度α1と、グルーブの右側の溝角度α2とが等しく、グルーブが左側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度β1と、グルーブの右側の溝角度β2とが等しい場合には、デトラックによるSERのマージンは狭くなり、実用的ではなく、また、グルーブが右側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度α1と、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|が6°で、グルーブが左側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度β1と、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が6°になるように、スタンパを作製することが困難で、グルーブが右側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度α1と、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|およびグルーブが左側にウォブルしている部分において、グルーブの左側の溝角度β1と、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が1°ないし5°であることが好ましいということがわかった。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、前記実施態様ならびに前記実施例1ないし3においては、前記構造式(1)によって表わされる構造を有する色素を用いて、記録層を形成しているが、前記構造式(1)で表わされる構造を有する色素を用いて、記録層を形成することは必ずしも必要でなく、構造式(1)によって表わされる構造を有する色素に代えて、前記構造式(2)、(3)、(4)または(5)で表わされる構造を有する色素を用いて、記録層を形成することもできるし、上記一般式(1)ないし(4)で示される骨格を有する色素を用いて、記録層を形成することもできる。
さらに、前記実施態様ならびに前記実施例1ないし3においては、グルーブが右側にウォブル(蛇行)している部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブの左側の溝角度α1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|が1°、3°、5°になるように、グルーブとランドが形成され、グルーブが左側にウォブル(蛇行)している部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブの左側の溝角度β1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が1°、3°、5°になるように、グルーブとランドが形成されているが、グルーブが右側にウォブル(蛇行)している部分において、グルーブの左側の溝角度α1と、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|およびグルーブが左側にウォブル(蛇行)している部分において、グルーブの左側の溝角度β1と、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が0を越えるように、グルーブおよびランドが形成されていればよく、グルーブが右側にウォブル(蛇行)している部分において、グルーブの左側の溝角度α1と、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|が1°、3°、5°になるように、グルーブとランドが形成され、グルーブが左側にウォブル(蛇行)している部分において、グルーブの左側の溝角度β1と、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が1°、3°、5°になるように、グルーブとランドが形成されていることは必ずしも必要でない。
また、前記実施態様ならびに前記実施例1ないし3においては、グルーブが右側にウォブル(蛇行)している部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度α1、すなわち、グルーブの左側の溝角度α1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度α2、すなわち、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|およびグルーブが左側にウォブル(蛇行)している部分において、基板の表面に対して、時計回りに測定をしたグルーブの左側の壁面の角度β1、すなわち、グルーブの左側の溝角度β1と、基板の表面に対して、反時計回りに測定をしたグルーブの右側の壁面の角度β2、すなわち、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が等しい値に設定されているが、グルーブが右側にウォブル(蛇行)している部分において、グルーブの左側の溝角度α1と、グルーブの右側の溝角度α2との差の絶対値|α1−α2|およびグルーブが左側にウォブル(蛇行)している部分において、グルーブの左側の溝角度β1と、グルーブの右側の溝角度β2との差の絶対値|β1−β2|が等しい値に設定することは必ずしも必要でない。