以下、本発明を具体化したチューブ切断装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、一例としての切断装置1の構成について、図1、図2を参照して説明する。図1に示す切断装置1は、図示しないガスセンサの出力を取り出す複数本のリード線に被せて保護するガラスチューブを作製するため、連続して伸びる一本のガラスチューブを所定寸法に切断する装置である。
本実施形態では、切断装置1が切断対象とするガラスチューブとして、図2に示すように、同一径で長さが様々な複数のガラスチューブ11の端部同士を紙テープ12等で繋いで一本にしたチューブ接続体10を用いる。紙テープ12は、ガラスチューブ11の色とは異なる特定色のものが用いられる。後述するが、チューブ接続体10は、後述の供給部2に巻き回して使用する。また、紙テープ12は、状態検出部100において色による識別が行われる際の目印として用いられる。言い換えると、本実施形態のチューブ接続体10は、ガラスチューブ11の色とは異なる特定色の紙テープ12を目印とするマーキングが施されている。
図1に示す切断装置1は、供給部2、送出部3、調子検出部4、状態検出部100、切断部5、搬送部6、排出部7、コントローラ8を備える。供給部2はチューブ接続体10を保持し、送出部3にチューブ接続体10を供給する装置である。供給部2は、チューブ接続体10を巻き回して保持するリール21を備える。リール21はチューブ接続体10の搬送方向に対して直交する回転軸22に、縦回転可能に支持される。リール21には、チューブ接続体10が、チューブ接続体10の搬送方向下流側を右側として見た場合に、反時計回りに巻き回されて保持される。すなわち、チューブ接続体10がリール21から引き出されて供給される場合に、リール21は搬送方向下流側に対して正回転(上記同様に切断装置1を右側から見た場合に時計回り)する。
供給部2はさらに、リール21の回転軸22付近において軸支され、先端側が搬送方向下流側へ向けて延びるとともに、先端側が上下に揺動可能なアーム23を備える。アーム23の先端には自在に回転可能な押さえローラ24が設けられている。供給部2が供給するチューブ接続体10は、供給部2のリール21の上端の位置と略同程度の高さにおいて、送出部3内に供給される。アーム23は自重によりチューブ接続体10を押さえローラ24で下方へ向けて押さえ、供給部2と送出部3との間でチューブ接続体10を張った状態に維持する。アーム23の軸付近にはアーム23の動作に連動してリール21の回転を制止するブレーキ(図示外)が設けられている。リール21は、アーム23の先端(押さえローラ24)が下方へ移動するとブレーキがかかり、上方へ移動するとブレーキが解除されるように構成されている。
次に、送出部3はチューブ接続体10を搬送方向下流側へ向けて送り出す装置であり、供給部2の搬送方向下流側において供給部2に隣り合わせて配置されている。送出部3は、チューブ接続体10を上下に挟んで送り出す上ローラ31および下ローラ32を備える。上ローラ31は下ローラ32に従動するローラであり、下ローラ32へ向けて付勢されている。下ローラ32は送りモータ37(図4参照)によって回動され、後述する調子検出部4の検出結果に応じて駆動または停止する。上ローラ31と下ローラ32のニップ部(挟み位置)が、上記のように、供給部2のリール21上端の位置と略同程度の高さに位置するように、送出部3は組台上に設けられている。また、上ローラ31および下ローラ32の上流側と下流側には、それぞれ、チューブ接続体10の搬送を補助する補助ローラ33が設けられている。なお、送出部3が、本発明における「搬送手段」に相当する。
調子検出部4は、送出部3から状態検出部100へ向けて送り出されるチューブ接続体10の張り具合を検出する装置であり、送出部3と、送出部3の搬送方向下流側に配置される状態検出部100との間の位置に配置される。なお、状態検出部100内にチューブ接続体10が引き込まれる部位は、上記同様、送出部3の上ローラ31と下ローラ32のニップ部の位置と略同程度の高さに位置する。チューブ接続体10は、調子検出部4の配置位置付近で下方に垂れた状態で、送出部3と状態検出部100との間を搬送される。調子検出部4は、搬送方向に直交して平行に並び縦に延びる2本の支柱41(図1ではそのうちの1本を示す)と、一方の支柱41に発光部を固定し、他方の支柱に受光部を固定した4つの光センサ42〜45を備える。光センサ42〜45は支柱41の上から順に所定位置に設けられる。光センサ42〜45は、それぞれが固定された高さにおいて支柱41間を通って搬送されるチューブ接続体10が受光部と発光部との間で光を遮った場合に、その高さにおけるチューブ接続体10の通過を検出する。
状態検出部100は、送出部3から送り出されたチューブ接続体10を切断部5に送る前に、チューブ接続体10の異常(ねじれ、浮き等)を検出する部位である。なお、状態検出部100内にチューブ接続体10が引き込まれる部位の上流側には、2本の棒材間にチューブ接続体10を通過させ、チューブ接続体10の搬送方向における横方向への移動を規制するゲート49が設けられている。状態検出部100の詳細については後述する。
次に、切断部5は、状態検出部100から送出されるチューブ接続体10を所定寸法に切断する装置であり、状態検出部100の搬送方向下流側に配置される。切断部5にチューブ接続体10が引き込まれる部位は、状態検出部100からチューブ接続体10が送出される部位と略同程度の高さに位置する。切断部5は、チューブ接続体10を上下に挟み、所定寸法の送り出しを行う上ベルト51および下ベルト52と、その下流に設けられ、チューブ接続体10を切断する切断刃53と、上ベルト51、下ベルト52、切断刃53の駆動を制御する制御部56を備える。なお、切断部5が、本発明における「切断機」に相当する。
上ベルト51は搬送方向に並んで配置される2つのローラ間で張った状態に架け渡されて設けられ、下ベルト52に向けて付勢されている。上ベルト51は下ベルト52に従動して回動する。下ベルト52も同様に、搬送方向に並んで配置される2つのローラ間で張った状態に架け渡されて設けられている。下ベルト52のローラには、送りモータ57(図4参照)が接続されている。送りモータ57は公知のパルスモータであり、所定寸法に応じたパルス信号が入力されることにより、上ベルト51および下ベルト52の間に挟むチューブ接続体10を、精確に、所定寸法送り出すことができる。また、切断刃53にはカッター駆動モータ58(図4参照)が接続されている。切断部5は、カッター駆動モータ58の駆動によって、上ベルト51および下ベルト52に所定寸法送り出されるチューブ接続体10を切断刃53で切断し、所定寸法のチューブ切断体13を順次作製する。
搬送部6は切断部5で切断され、所定寸法となったチューブ切断体13を排出部7に搬送する装置であり、切断部5の下流側で切断部5の排出口に接続して設けられる。搬送部6は複数の搬送ローラ(図示外)を搬送方向に並べ、例えば内周側にリブを設けたベルトを各搬送ローラに設けたギアに噛ませ、送りモータ67(図4参照)の駆動によって一斉に同一方向に同期回転できるようにしたものである。また、図示しないが、搬送部6には搬送方向に対する横方向へのチューブ切断体13の移動を規制するガイド板が設けられている。
搬送部6の下流側には、チューブ切断体13を整列させてトレイ72に排出する排出部7が設けられている。排出部7は、搬送部6から送り出されるチューブ切断体13が排出部7上で載置される位置の側方に設けられ、搬送方向に対する横方向へチューブ切断体13を押し出す押出板71を備える。なお、図示しないが、排出部7は搬送部6に接続して搬送部6から送り出されたチューブ切断体13を押出板71の正面に配置する複数の搬送ローラ(図示外)を備える。トレイ72は押出板71の下方に設けられ、押し出されて搬送位置から落下するチューブ切断体13を下方で受け止め、チューブ切断体13を整列状態に保持する。
コントローラ8は、切断部5、搬送部6および排出部7が載置された組台の下段に配置され、切断装置1の制御を司る装置である。また、排出部7上に、コントローラ8の操作を行うためのモニタ9が載置されている。モニタ9には表示部91(図4参照)に重ねてタッチパネル92(図4参照)が設けられている。詳細は後述するが、目印(紙テープ12)が状態検出部100を通過した回数をカウントしたカウント値と、排出部7において排出されたチューブ切断体13の本数(チューブ切断体13の作製本数)をカウントしたカウント値が、表示部91に表示される。
次に、図3を参照し、状態検出部100の詳細な構成について説明する。状態検出部100は、光センサ110、カラーセンサ120、エリアセンサ130およびエンコーダセンサ142の4種類のセンサをチューブ接続体10の搬送路に沿って配置し、各センサでチューブ接続体10の異常を検出する。状態検出部100には、チューブ接続体10の搬送を補助する3つの送りローラ101、102、103が、チューブ接続体10の搬送方向上流側から順に並べて配置されている。チューブ接続体10は、送りローラ101、102、103上を搬送される。
送りローラ101の上方には、チューブ接続体10が送りローラ101上で搬送される位置を左右から挟むように発光部と受光部とが配置された光センサ110が設けられている。光センサ110は少なくともチューブ接続体10の直径よりも上方に配置される。前述したように、状態検出部100には送出部3から送り出されるチューブ接続体10が両者間で下方に垂れた状態を経てから引き込まれるため、通常は送りローラ101の上端に接した状態で搬送される。光センサ110は、チューブ接続体10が受光部と発光部との間で光を遮った場合に、チューブ接続体10が送りローラ101上から浮き上がって搬送されたことを検出する。なお、光センサ110が、本発明における「位置検出手段」に相当する。
送りローラ101と送りローラ102の間で、チューブ接続体10の搬送路の側方には、カラーセンサ120が配置されている。カラーセンサ120は、例えば光源から発する光をチューブ接続体10に照射し、その反射光を、赤緑青のフィルタを介して分解し、各色成分の強度をフォトダイオードで検出することにより、チューブ接続体10の色を検出する。本実施形態では、チューブ接続体10の色と、目印である紙テープ12の色(特定色)とを異ならせており、カラーセンサ120の検出結果に基づいて、チューブ接続体10の搬送過程で目印が通過した回数がカウントされる。なお、カラーセンサ120が、本発明における「通過検出手段」に相当する。
送りローラ102と送りローラ103の間で、チューブ接続体10の搬送路の側方には、エリアセンサ130が配置されている。エリアセンサ130は、例えば複数のCCD素子を縦横に並べて配置したセンサであり、検出範囲内に位置する検出対象物が、その検出範囲内で占める領域などを検出することができる。本実施形態では、エリアセンサ130が、搬送中のチューブ接続体10が検出範囲内で占める領域(具体的にはチューブ接続体10を検出したCCD素子の個数)を検出した結果に基づいて、チューブ接続体10の太さが規定よりも細くあるいは太くなった状態、ひいてはチューブ接続体10に捻りや伸び、縮み等が発生した状態が検知される。なお、エリアセンサ130が、本発明における「測定手段」に相当する。
送りローラ103の下流側には、搬送されるチューブ接続体10を上下に挟み、チューブ接続体10の搬送によって従動回転する測定ローラ140と押さえローラ143が設けられている。測定ローラ140は回転軸にロータリーエンコーダ141が組み付けられている。また、押さえローラ143は測定ローラ140の上方に配置され、押さえローラ143へ向けて付勢される。ロータリーエンコーダ141は、例えば外周にスリットの設けられた円盤を挟んで、発光部および受光部を備えたエンコーダセンサ142を配置し、スリット間を断続的に通過する光の検出に基づいて、回転軸の回転量を検出するセンサである。エンコーダセンサ142は、回転軸の回転速度(すなわち測定ローラ140の回転速度)に応じたパルスを出力する。なお、エンコーダセンサ142が、本発明における「発生手段」に相当する。
ロータリーエンコーダ141の利用にあたって、切断部5において所定寸法送り出されるチューブ接続体10に従動回転する測定ローラ140の円周の長さに応じたパルス数が、あらかじめ求められている。また、チューブ接続体10を切断して作製するチューブ切断体13の所望する長さに応じたパルス数も、測定ローラ140の円周の長さに応じたパルス数に基づき、あらかじめ求められている。そして、所望する長さのチューブ切断体13を精度よく作製する上で許容される誤差の範囲が、パルス数の所定閾値(下限値および上限値)として、後述するコントローラ8の制御部82において、あらかじめ設定されている。切断部5におけるチューブ接続体10の切断の際に、チューブ接続体10は上ベルト51および下ベルト52によって所定寸法送り出される。ロータリーエンコーダ141は、チューブ接続体10が上ベルト51および下ベルト52に精確に所定寸法送り出されたか(すなわち引き延ばされたり圧縮されたりしていないか)について、制御部82において出力するパルス数を所定閾値と比較することにより検査するために設けられる。
次に、図4を参照し、切断装置1の電気的な構成について説明する。図4に示すように、切断装置1のコントローラ8は制御部82を備える。制御部82は、公知のCPU、ROM、RAMを備え、切断装置1の全体の制御を司る。コントローラ8は入力インターフェイス81を備える。状態検出部100の備える光センサ110、エリアセンサ130、エンコーダセンサ142、および調子検出部4の備える光センサ42〜45の各出力信号は、入力インターフェイス81を介して制御部82に入力される。
また、コントローラ8はカウンタ88を備え、カラーセンサ120の出力信号がカウンタ88に入力される。前述したように、カラーセンサ120は、チューブ接続体10の搬送過程でチューブ接続体10の色とは異なる特定色(具体的には目印である紙テープ12の色)を検出した場合にH信号を出力する。カウンタ88は、カラーセンサ120の出力信号がLからHに立ち上がる場合にカウント値を1インクリメントする。すなわち、カウンタ88のカウント値は、チューブ接続体10の搬送過程において、目印(紙テープ12)がカラーセンサ120前を通過した回数(言い換えると複数のガラスチューブ11を紙テープ12で接続した接続部位の個数)を示す。カウンタ88のカウント値は、制御部82に送信される。また、制御部82は、カウンタ88に対してリセット信号の送信を行う。カウンタ88は、制御部82からリセット信号を受信すると、カウント値のリセット(ゼロ復帰)を行う。なお、カウンタ88が、本発明における「カウント手段」に相当する。
コントローラ8はさらに、カウンタ89を備える。カウンタ89には、排出部7が備える制御部76からの出力信号が入力される。排出部7の電気的な構成については後述するが、カウンタ89は、制御部76から出力信号を受信すると、カウント値を1インクリメントする。上記同様、カウンタ89のカウント値は、コントローラ8の制御部82に送信される。また、制御部82は、カウンタ89に対してリセット信号を送信し、その受信に基づき、カウンタ89がカウント値のリセットを行う点も、上記同様である。
コントローラ8は、表示制御部86を備える。表示制御部86は、制御部82から出力される切断装置1の操作画面(図示外)の画像データに基づき、モニタ9の表示部91に操作画面を表示するための描画処理を行う。また、モニタ9のタッチパネル92が検出する入力位置(画面上における指等の接触位置)を示す信号は、制御部82に入力される。
送出部3は、下ローラ32を回動する送りモータ37の駆動を制御する制御部36を備える。制御部36は、コントローラ8の制御部82から送信される指示信号を受信して、指示信号に基づき、送りモータ37の駆動または停止を行う。切断部5は、下ベルト52を駆動する送りモータ57と、切断刃53を駆動するカッター駆動モータ58の駆動を制御する制御部56を備える。制御部56も同様に、コントローラ8の制御部82から送信される指示信号を受信して、指示信号に基づき、送りモータ57およびカッター駆動モータ58の駆動または停止を行う。
搬送部6は、複数の搬送ローラ(図示外)を同期回転させるベルトを作動するためのギアが軸に設けられた送りモータ67の駆動を制御する制御部66を備える。制御部66は、上記同様、コントローラ8の制御部82から送信される指示信号を受信して、指示信号に基づき、送りモータ67の駆動または停止を行う。排出部7は、搬送ローラ(図示外)を回転させる送りモータ77と、押出板71を出退させる押出モータ78の駆動を制御する制御部76を備える。制御部76も同様に、コントローラ8の制御部82から送信される指示信号を受信して、指示信号に基づき、送りモータ77および押出モータ78の駆動または停止を行う。
このように構成された切断装置1は、以下のように動作する。作業者が、モニタ9の表示部91に表示される操作画面においてタッチパネル92による操作を行い、切断装置1を駆動する。送出部3の制御部36は、コントローラ8の制御部82からの指示信号を受けて送りモータ37を駆動し、下ローラ32が回動する。上ローラ31と下ローラ32に挟まれたチューブ接続体10が搬送方向下流側へ送り出される[搬送工程]。供給部2と送出部3との間でチューブ接続体10が垂れた状態になると、アーム23の先端側が下方に下がり、リール21にブレーキがかかった状態になる。この状態でチューブ接続体10が送り出されることによって、供給部2と送出部3との間でチューブ接続体10の長さが徐々に短くなっていく。チューブ接続体10が張られ、アーム23の先端側が上方に押し上げられると、リール21のブレーキが解除される。供給部2と送出部3との間にチューブ接続体10が供給されると緊張が緩むので、アーム23の押さえローラ24が下方に向けてチューブ接続体10を押さえる。その結果、アーム23の先端側が下方に下がり、再度リール21にブレーキがかかる。
送出部3と状態検出部100との間では、チューブ接続体10は自重によって垂れ下がった状態となる。送出部3によってチューブ接続体10が両者間に送り出されると、チューブ接続体10は、より垂れ下がった状態となり、調子検出部4において2本の支柱41間を、より低い位置で通過する。チューブ接続体10の垂れ具合が大きくなり、下から2番目の位置に配置された光センサ44がチューブ接続体10の通過を検出すると、コントローラ8の制御部82は、送出部3の制御部36に指示信号を送信し、送りモータ37の駆動を停止させる。チューブ接続体10の垂れ具合はそれ以上大きくならない。
その間、切断部5の下ローラ32が駆動されてチューブ接続体10が状態検出部100に引き込まれることによって、送出部3と状態検出部100との間でチューブ接続体10の長さが次第に短くなる。送出部3と状態検出部100との間におけるチューブ接続体10の垂れ下がり具合は次第に小さくなり、チューブ接続体10は2本の支柱41間を、より高い位置で通過する。チューブ接続体10の垂れ具合が小さくなり、上から2番目の位置に配置された光センサ43がチューブ接続体10の通過を検出すると、コントローラ8の制御部82は、送出部3の制御部36に指示信号を送信し、送りモータ37の駆動を再開させる。送出部3と状態検出部100との間に新たにチューブ接続体10が供給されることによって、両者間におけるチューブ接続体10の長さが次第に長くなる。このように、送出部3と状態検出部100との間におけるチューブ接続体10の垂れ具合を調整することで、切断部5に向かうチューブ接続体10にかかる引っ張り負荷(テンション)が所定の範囲内に調整される。
ところで、チューブ接続体10の垂れ具合が大きくなりすぎると、最も低い位置に配置された光センサ45がチューブ接続体10の通過を検出する。この場合にコントローラ8の制御部82は、送出部3、切断部5、搬送部6、排出部7の各制御部36,56,66,76に指示信号を送信し、各部の駆動を停止させる。制御部82はモニタ9の表示部91にエラー表示を行い、作業者に、チューブ接続体10の搬送異常等の点検を促す。一方、チューブ接続体10が張って垂れ具合が小さくなりすぎると、最も高い位置に配置された光センサ42がチューブ接続体10の通過を検出する。この場合も同様に、コントローラ8の制御部82は、送出部3、切断部5、搬送部6、排出部7の各制御部36,56,66,76に指示信号を送信し、各部の駆動を停止させる。制御部82はモニタ9の表示部91にエラー表示を行い、作業者にチューブ接続体10の搬送異常等の点検を促す。作業者の点検によって異常が解消された場合にはモニタ9のタッチパネル92が操作され、制御部82は、切断装置1の駆動を再開する。
次に、切断部5の下ローラ32の駆動によってゲート49を介して状態検出部100に引き込まれるチューブ接続体10は、送りローラ101上を搬送される。ここで、チューブ接続体10の搬送に異常が生じ、送りローラ101上からチューブ接続体10が浮き上がった場合、光センサ110の検出位置をチューブ接続体10が通過する。光センサ110は発光部、受光部間が遮られ、チューブ接続体10の浮きを検出すると、コントローラ8の制御部82に信号を出力する。制御部82は、送出部3、切断部5、搬送部6、排出部7の各制御部36,56,66,76に指示信号を送信し、各部の駆動を停止させる。制御部82はモニタ9の表示部91にエラー表示を行い、作業者に、チューブ接続体10の搬送異常等の点検を促す。作業者の点検によって異常が解消された場合にはモニタ9のタッチパネル92が操作され、制御部82は、切断装置1の駆動を再開する。一方、光センサ110にチューブ接続体10の浮きが検出されなければ、チューブ接続体10の搬送は継続される。なお、光センサ110の検出結果に基づき各部の駆動を停止する指示信号(第三停止信号)を出力する制御部82が、本発明における「第三出力手段」に相当する。
チューブ接続体10は、送りローラ101と送りローラ102との間を通過する際に、カラーセンサ120によって色の検出が行われる。カラーセンサ120は、あらかじめ登録されたチューブ接続体10の表面色(例えば黒色)を、例えばフラッシュメモリ等に記憶している。カラーセンサ120は、検出したチューブ接続体10の色を、登録された表面色と比較し、同じであればL信号を出力し、異なればH信号を出力する[通過検出工程]。カラーセンサ120の出力はカウンタ88に入力されており、カウンタ88は、L信号からH信号に立ち上がる場合に、カウント値を1インクリメントする。言い換えると、チューブ接続体10に設けられた目印(紙テープ12)がカラーセンサ120前を通過した回数がカウンタ88によって計数される[カウント工程]。なお、カウンタ88のカウント値は制御部82に入力され、モニタ9の表示部91に、目印の検出回数(目印が状態検出部100を通過した回数)として表示される。
チューブ接続体10は、送りローラ102と送りローラ103との間を通過する際に、エリアセンサ130によって検出範囲内で占める領域が検出される。チューブ接続体10に捻りや伸び、縮み等が生じていなければ、チューブ接続体10は検出範囲内で所定範囲の領域を占める。制御部82では、あらかじめ捻りや伸び、縮み等が生じていない場合のチューブ接続体10が検出範囲内で占める領域の範囲が登録されている。より具体的には、基準となる状態のチューブ接続体10をエリアセンサ130で検出した場合にチューブ接続体10を検出することのできるCCD素子の個数が登録されている。制御部82は、登録された所定範囲の領域よりも、検出されたチューブ接続体10の占める領域が小さくあるいは大きく、チューブ接続体10の太さが規定よりも細くあるいは太くなった場合には、チューブ接続体10に捻りや伸び、縮み等が生じていると判断する。そして、上記同様、送出部3、切断部5、搬送部6、排出部7の各制御部36,56,66,76に指示信号を送信し、各部の駆動を停止させる。制御部82はモニタ9の表示部91にエラー表示を行い、作業者に、チューブ接続体10の搬送異常等の点検を促す。作業者の点検によって異常が解消された場合にはモニタ9のタッチパネル92が操作され、制御部82は、切断装置1の駆動を再開する。一方、チューブ接続体10の占める領域が登録された所定範囲の領域と略同じ場合は、チューブ接続体10の搬送が継続される。なお、エリアセンサ130の検出結果に基づき各部の駆動を停止する指示信号(第一停止信号)を出力する制御部82が、本発明における「第一出力手段」に相当する。
送りローラ103を通過したチューブ接続体10は、測定ローラ140と押さえローラ143のニップ部(挟み位置)を通過する。切断部5の上ベルト51および下ベルト52に所定寸法送り出されるチューブ接続体10が実際に送り出された寸法が、測定ローラ140の回転軸に組み付けられたロータリーエンコーダ141によって測定される。制御部82は、測定ローラ140の回転量としてエンコーダセンサ142から出力されたパルス数を所定閾値と比較する。エンコーダセンサ142から出力されたパルス数が所定閾値内に収まらず、上限値を超えた、あるいは下限値を下回った場合、チューブ接続体10は、例えば引き延ばされ、あるいは圧縮された状態にある。制御部82は、このままチューブ接続体10を切断してチューブ切断体13を得たとしても、チューブに生じた伸張あるいは圧縮が戻った場合に寸法が変わるため、精確な所定寸法のチューブ切断体13を得られないと判断する。この場合に制御部82は、上記同様、送出部3、切断部5、搬送部6、排出部7の各制御部36,56,66,76に指示信号を送信し、各部の駆動を停止させる。制御部82はモニタ9の表示部91にエラー表示を行い、作業者に、チューブ接続体10の搬送異常等の点検を促す。作業者の点検によって異常が解消された場合にはモニタ9のタッチパネル92が操作され、制御部82は、切断装置1の駆動を再開する。一方、チューブ接続体10が実際に送り出された寸法が所定寸法と略同じ場合は、チューブ接続体10の搬送が継続される。なお、エンコーダセンサ142の出力するパルス数に基づき各部の駆動を停止する指示信号(第二停止信号)を出力する制御部82が、本発明における「第二出力手段」に相当する。また、測定ローラ140が、本発明における「従動ローラ」に相当する。
状態検出部100を通過したチューブ接続体10は、切断部5の制御部56の制御に基づき、下ローラ32が駆動されて精確に所定寸法送り出され、切断刃53によって、所定寸法のチューブ切断体13に切断される。チューブ切断体13は、搬送部6の制御部66に制御される送りモータ67によって駆動する搬送ローラ(図示外)に搬送されて、排出部7へ向かう。排出部7では、チューブ切断体13が、さらに制御部76に制御される送りモータ77によって駆動する搬送ローラ(図示外)に搬送される。チューブ切断体13の搬送方向先端が図示しないストッパに当接する。制御部76の制御に基づき駆動する押出モータ78によって押出板71が作動し、押出板71が、チューブ切断体13を搬送位置からトレイ72上に押し出す。チューブ切断体13は、トレイ72内で搬送方向先端が揃えられた状態で整列する。
また、制御部76は、押出板71が1回作動するごとにカウンタ89に信号を出力し、この出力信号に基づいて、カウンタ89のカウント値が1インクリメントされる。言い換えると、チューブ切断体13の作製本数が、カウンタ89によって計数される。なお、カウンタ89のカウント値は制御部82に入力され、モニタ9の表示部91に、チューブ切断体13の作製本数として表示される。
コントローラ8の制御部82は、カウンタ89のカウント値が所定値(例えば100)に達すると、送出部3、切断部5、搬送部6、排出部7の各制御部36,56,66,76に指示信号を送信し、各部の駆動を停止させる。制御部82はモニタ9の表示部91に、トレイ72内のチューブ切断体13が所定本数(例えば100本)に達したことを報せる表示を行い、作業者に、トレイ72からチューブ切断体13の取り出しを行うように促す。
トレイ72には、チューブ切断体13が100本収容されている。このうち、目印の検出回数に応じた本数のチューブ切断体13は、ガラスチューブ11同士の接続箇所、すなわち紙テープ12が巻かれた部位を含む。ここで、切断部5においてチューブ接続体10が切断される際に、紙テープ12の巻かれた部位が切断された場合、端部に紙テープ12の残るチューブ切断体13が、2本作製されることになる。したがって作業者は、目印の検出回数を考慮することにより、トレイ72に収容された100本のチューブ切断体13の中から、紙テープ12の残るチューブ切断体13を確実に抜き出すことができる[抜取工程]。
例えば、作業者が紙テープ12の残るチューブ切断体13をトレイ72から抜き出した場合に、端部に紙テープ12が残るチューブ切断体13が1本含まれているとする。この場合、作業者は、端部に紙テープ12が残るチューブ切断体13がもう1本、トレイ72内に存在するものとしてトレイ72内を探すことができる。例えば、目印の検出回数が5であるとした場合、作業者は、上記端部に端部に紙テープ12が残るチューブ切断体13の2本を1本とみなし、残る4本の紙テープ12が残るチューブ切断体13をトレイ72内から探し出せばよい。このように、トレイ72から目印の検出回数を考慮した本数のチューブ切断体13を抜き出せば、トレイ72に残るチューブ切断体13はガラスチューブ11同士の接続箇所を含まないものとみなすことができ、すべてのチューブ切断体13を検品する手間を省くことができる。
作業者によってトレイ72内からチューブ切断体13が取り出され、さらにモニタ9のタッチパネル92が操作されてチューブ切断体13の作製再開が指示されると、制御部82は、カウンタ88,89のカウント値をリセットした後、切断装置1の駆動を再開する。切断装置1は、次の所定本数のチューブ切断体13の作製を開始する。
以上説明したように、本実施形態の切断装置1は、チューブ接続体10にマーキングされた目印(紙テープ12)の検出回数をカウントすることができるので、切断部5において切断された所定数のチューブ切断体13に、接続部位を含むチューブ切断体13が含まれる目安となる本数を知ることができる。ゆえに、カウント数を目安に所定数のチューブ切断体13から目印を含むチューブ切断体13を抜き出せば、接続部位を含むチューブ切断体が含まれないチューブ切断体13を容易に得ることができる。また、接続部位を検出するたびに切断装置1の動作を停止して接続部位を除去する場合と比べ、所定数のチューブ切断体13の切断後に接続部位を含むチューブ切断体13を抜き出すことで、効率よくチューブ切断体13を作製することができる。さらに、接続部位を含むチューブ切断体13の本数を、カウント数を目安に知ることができる。ゆえに、所定数のチューブ切断体13からカウント数を考慮した本数の接続部位を含むチューブ切断体13の抜き出しを開始してから早い段階ですべて抜き出すことができた場合には、残りのチューブ切断体13を確認する手間を省くことができる。なお、チューブ接続体10を目印の部分において切断する場合があるが、このような場合はチューブ切断体13の端部に目印が残る。そこで、端部に同様に目印が残るチューブ切断体13を探し、これら2本のチューブ切断体13をもって1カウント相当とすれば、確実に、カウント数を目安とした本数の、接続部位を含むチューブ切断体13の抜き出しを行うことが可能である。
また、エリアセンサ130の測定結果に基づくチューブ接続体10の外径が所定径未満または所定径を超えた場合にチューブ接続体10の搬送を停止することができる。ゆえに、チューブ接続体10に捻りや伸びが生じた状態のまま所定寸法に切断され、それらの捻りや伸びが解消した場合に所定寸法より小さいチューブ切断体13になってしまうことを防止できる。したがって、所定寸法のチューブ切断体13を精度よく作製でき、歩留まりを向上することができる。
また、エンコーダセンサ142の発生するパルス数に基づくチューブ接続体10の寸法が所定寸法の許容範囲外である場合に、チューブ接続体10の搬送を停止することができるので、チューブ接続体10が精確に所定寸法送り出されないまま切断されてしまうことを防止できる。したがって、所定寸法のチューブ切断体13を精度よく作製でき、歩留まりを向上することができる。
また、光センサ110の検出結果に基づきチューブ接続体10が搬送時に通過する位置に異常が生じた場合に、チューブ接続体10の搬送を停止することができる。したがって、所定寸法のチューブ切断体13を精度よく作製でき、歩留まりを向上することができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、本実施形態では、カラーセンサ120は、チューブ接続体10の色をあらかじめ登録して、チューブ接続体10の色とは異なる色を検出したら、H信号を出力した。これに限らず、例えば、チューブ接続体10の色とは異なる特定色(目印である紙テープ12の色)をあらかじめ登録し、特定色を検出した場合にH信号を出力してもよい。あるいは、カラーセンサ120は検出した色の情報を制御部82に出力し、制御部82が、あらかじめ登録したチューブ接続体10の色の情報と受信した色の情報を比較して、特定色(すなわちチューブ接続体10の色とは異なる色)であるか否かを判定してもよい。
また、制御部82は、エリアセンサ130の検出結果に基づき、登録された所定範囲の領域に収まらず、検出されたチューブ接続体10の占める領域が小さくあるいは大きくなった場合において、チューブ接続体10に捻りや伸び、縮み等が生じたと判断した。これに限らず、登録された所定範囲の領域よりも、検出されたチューブ接続体10の占める領域が小さくなった場合のみを対象とし、チューブ接続体10に捻りや伸びが生じたと判断してもよい。もちろん同様に、検出されたチューブ接続体10の占める領域が登録された所定範囲の領域よりも大きくなった場合のみを対象としてもよい。
制御部82は、光センサ110、エリアセンサ130およびエンコーダセンサ142の検出結果に応じて切断装置1の稼働を停止したが、各部位のすべてを停止せず、部分的な部位の駆動を停止あるいは一時停止してもよい。例えば、光センサ110の検出結果に基づく場合には送出部3の駆動を一時的に停止し、光センサ110の出力信号が正常時の信号に戻った場合に送出部3の駆動を再開するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、切断装置1の作製するチューブ切断体13の一例として、ガスセンサに用いるガラスチューブを挙げた。ガスセンサに限らず、複数のチューブを繋いで一本にしたチューブ接続体を切断することにより作製されるチューブ切断体を用いることのできる機器であれば、本発明に係るチューブ切断装置で作製するチューブ切断体を使用してもよい。