JP5832856B2 - 局所鎮痛作用増強剤及び局所鎮痛キット - Google Patents

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本発明は、局所鎮痛作用増強剤、局所鎮痛製剤、局所鎮痛キット及び局所鎮痛作用増強方法に関する。
リナロールは、天然では植物のベルガモット、ローズウッド、リナロエ等の多くの植物に見出されるモノテルペンアルコールの1種であり、前記植物から得られる精油として従来から用いられてる。例えば、前記ベルガモットから得られるベルガモット精油は前記リナロールを主成分として含有しており、香料や清涼化剤として医薬部外品、化粧品及び食品等に用いられたり、アロマオイルとして民間療法に用いられたりしている。リナロールの生理活性については近年研究が進んでおり、例えば、特許文献1にはリナロールが神経障害性疼痛に効果があることや、リナロールを含有する神経伝達を抑制するための組成物が記載されており、非特許文献1にはリナロールがオピオイドμ−受容体が関係する鎮痛効果を示すことが記載されている。
鎮痛効果を示す薬剤としては、前記μ−受容体に結合して効果を示すμ−受容体作動薬が挙げられ、非特許文献1にはリナロールがμ−受容体作動薬であるモルヒネの鎮痛作用を増強することが記載されている。しかしながら、モルヒネのようなμ−受容体作動薬は副作用が強いため、長期投与における安全性において問題を有していた。
鎮痛効果を示す薬剤としては、他に、プロスタグランジンE2生成に必要な酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)活性の阻害作用を有する非ステロイド系消炎鎮痛剤や、ナトリウムチャンネルの遮断作用を有する局所麻酔剤が挙げられる。しかしながら、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤は局所鎮痛作用としては効果が十分ではないという問題を有しており、前記局所麻酔剤は痙攣等の発作をひき起こす恐れがあるため投与量について十分な注意が必要であるという問題を有していた。
特表2010−518030号公報
桑波田ら、AROMA RESEARCH、No.38、Vol.10/No.2、2009年、128〜133頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤の投与量が少なくても局所鎮痛効果を十分に増強せしめることができる局所鎮痛作用増強剤及び局所鎮痛作用増強方法、並びに、局所鎮痛効果に優れた局所鎮痛製剤及び局所鎮痛キットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、非ステロイド系消炎鎮痛剤及び局所麻酔剤の局所鎮痛効果は、リナロールを併用することにより増強されることを見出した。また、前記リナロールはオピオイドμ−受容体が関係する鎮痛効果を有することが公知であるが、本発明者らは、リナロールの使用量がリナロール単独では鎮痛作用を奏さない少量であっても前記局所鎮痛作用の増強効果が達成されることを見出し、前記局所鎮痛作用の増強効果はリナロール自体が有する鎮痛作用によるものではなく、リナロールを併用したことによる相乗効果であることを見出した。さらに、本発明者らは、非ステロイド系消炎鎮痛剤の作用機序はプロスタグランジンE2生成に必要な酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)活性の阻害作用に基づくものであり、局所麻酔剤の作用機序はナトリウムチャンネルの遮断作用に基づくものであることから、リナロールの奏する前記局所鎮痛作用の増強効果は、モルヒネ等のμ−受容体作動薬が関係して奏される効果とは作用機序が異なる、リナロールの新たな属性により奏される効果であることを見出した。本発明者らはこのような発明者らが見出した知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤の局所鎮痛作用増強剤は、リナロールからなることを特徴とするものである
さらに、本発明の局所鎮痛キットは、有効成分としての非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤と、局所鎮痛作用増強剤としてのリナロールとを備えることを特徴とするものである
本発明において、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤としては、ジクロフェナク及び/又はその薬学的に許容される塩であることが好ましい。また、本発明において、前記局所麻酔剤としては、リドカイン及び/又はその薬学的に許容される塩であることが好ましい。
本発明によれば、非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤の投与量が少なくても局所鎮痛効果を十分に増強せしめることができる局所鎮痛作用増強剤及び局所鎮痛作用増強方法、並びに、局所鎮痛効果に優れた局所鎮痛製剤及び局所鎮痛キットを提供することが可能となる。
リナロールの投与量の決定試験において、リナロールの投与量と舐め、噛み行動時間との関係を示すグラフである。 実施例1〜2及び比較例1により得られた試料について、局所麻酔剤の局所鎮痛作用の増強効果の試験におけるリドカインの投与量と抑制率との関係を示すグラフである。 実施例1及び比較例1により得られた試料について、非ステロイド系消炎鎮痛剤の局所鎮痛作用の増強効果の試験結果におけるジクロフェナクの投与量と抑制率との関係を示すグラフである。 比較例1〜2により得られた試料について、非ステロイド系消炎鎮痛剤の局所鎮痛作用の増強効果の試験結果におけるジクロフェナクの投与量と抑制率との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の局所鎮痛作用増強剤について説明する。本発明の局所鎮痛作用増強剤は、非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤が発揮する局所鎮痛作用を増強する。
前記非ステロイド系消炎鎮痛剤とは、プロスタグランジンE2生成に必要な酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)活性の阻害作用により局所鎮痛作用を発揮する鎮痛剤である。このような非ステロイド系消炎鎮痛剤としては、ケトプロフェン、チアプロフェン酸、スプロフェン、ロキソプロフェン、トルメチン、カルプロフェン、ベノキサプロフェン、ピロキシカム、メロキシカム、ベンジダミン、ナプロキセン、フェルビナク、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、ジフルニサール、アザプロパゾン、エトドラック、バルデコキシブ、セレコキシブ、ロフェコキシブ、フルルビプロフェン等が挙げられ、これらが単独であってもよく、これらの薬学的に許容される塩であってもよく、これらの混合物であってもよい。前記薬学的に許容される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;亜鉛塩等が挙げられる。これらの中でも、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤としては、COX−2活性の阻害作用が強く、リナロールによる局所鎮痛作用の増強効率がより高いという観点から、ジクロフェナク及び/又はその薬学的に許容される塩であることが好ましく、前記ジクロフェナクの薬学的に許容される塩としては、ジクロフェナクナトリウムが好ましい。
前記局所麻酔剤とは、ナトリウムチャンネル遮断作用により局所鎮痛作用を発揮する鎮痛剤である。このような局所麻酔剤としては、リドカイン、テトラカイン、プロカイン、ベンゾカイン、エチドカイン、プリロカイン、ジブカイン、ブピバカイン、プロパラカイン、フェナカイン、コカイン、オキシブプロカイン、プロピトカイン、アミノ安息香酸エチル、オルソカイン、オキセサゼイン、メピバカイン又はクロロプロカイン等が挙げられ、これらが単独であってもよく、これらの薬学的に許容される塩であってもよく、これらの混合物であってもよい。前記薬学的に許容される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との塩;酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸との塩が挙げられる。これらの中でも、前記局所麻酔剤としては、速効性があり、効力対毒性比が大きいという観点から、リドカイン及び/又はその薬学的に許容される塩であることが好ましく、前記リドカインの薬学的に許容される塩としては、リドカイン塩酸塩が好ましい。
本発明の局所鎮痛作用増強剤とは、リナロールからなることを特徴とするものである。前記リナロールとは、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールであり、常温(20〜25℃)で液体の化合物である(20℃における密度:0.87g/cm以下、リナロールの質量を示す場合には20℃における質量を示す。)。このようなリナロールとしては、天然の植物から精製されたものでも工業的に合成されたものでもよく、R体でもS体でもR体とS体との混合物であってもよい。
前記リナロールの有効量としては、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤の局所鎮痛作用増強剤として用いる場合には、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤1質量部に対して、リナロールが20〜1000質量部であることが好ましく、50〜330質量部であることがより好ましい。また、前記局所麻酔剤の局所鎮痛作用増強剤として用いる場合には、前記局所麻酔剤1質量部に対して、リナロールが100〜2000質量部であることが好ましく、200〜1000質量部であることがより好ましい。前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤の質量に対する前記リナロールの質量が前記下限未満では局所鎮痛作用増強効果が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとリナロール自体の有する鎮痛作用が発現して副作用等が生じる傾向にある。
前記リナロールの投与量としては、投与方法、投与対象の種、年齢、病状等によって異なり、適宜調整することができ、1日当たりの投与量を数回に分けて投与してもよいが、リナロール自体の有する鎮痛作用が発現することによる副作用等の発生を抑制できる傾向にあるという観点から、リナロール自体の有する鎮痛作用が発現する投与量以下であることが好ましい。例えば、体重18gのマウスに前記リナロールを皮下注射によって投与する場合には、1日当たりの投与量は0.1〜10μl(87〜8700μg)であることが好ましい。前記マウスに同条件で前記非ステロイド系消炎鎮痛剤を投与する場合には通常1日当たりの投与量は1〜100μgであるが、本発明の局所鎮痛作用増強剤を併用して投与することにより前記投与量を5〜50%の量にすることができる。また、前記マウスに同条件で前記局所麻酔剤を投与する場合には通常1日当たりの投与量は0.2〜20μgであるが、本発明の局所鎮痛作用増強剤を併用して投与することにより前記投与量を5〜50%の量にすることができる。
次いで、本発明の局所鎮痛製剤について説明する。本発明の局所鎮痛製剤は、有効成分としての前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤と、前記局所鎮痛作用増強剤としてのリナロールとを含有しており、前記リナロールにより局所鎮痛作用が増強されていることを特徴とするものである。
本発明の局所鎮痛製剤において、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤と、前記リナロールとの質量比は、局所鎮痛作用増強効果が十分に得られ、且つ、リナロール自体の有する鎮痛作用が発現しない傾向にあるという観点から、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤と共に含有せしめる場合には、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤との質量比(非ステロイド系消炎鎮痛剤の質量:リナロールの質量)が1:1000〜50:1000であることが好ましく、3:1000〜20:1000であることがより好ましい。また、同様の観点から、前記局所麻酔剤と共に含有せしめる場合には、前記局所麻酔剤との質量比(局所麻酔剤の質量:リナロールの質量)が0.5:1000〜10:1000であることが好ましく、1:1000〜5:1000であることがより好ましい。
本発明の局所鎮痛製剤における前記リナロールの含有量は、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤との質量比や、前記本発明の局所鎮痛作用増強剤において述べたリナロールの投与量を満たすように適宜調整することができ、投与方法や剤型によっても異なるが、本発明の局所鎮痛製剤の全質量に対して0.1〜20質量%であることが好ましい。
本発明の局所鎮痛製剤における有効成分としての前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤の含有量は、前記リナロールとの質量比や、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤の投与量を満たすように適宜調整することができ、投与方法や剤型によっても異なるが、本発明の局所鎮痛製剤の全質量に対して0.0001〜0.01質量%であることが好ましい。
本発明の局所鎮痛製剤としては、経口投与、皮下投与、局所投与、鼻腔内投与、経皮投与等の投与方法により投与することができ、前記投与方法に応じて、例えば、液剤、錠剤、カプセル剤、パップ剤、硬膏剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、リザーバー型パッチ剤、リニメント剤、エアゾール剤等の剤型の製剤に調製することができる。
先ず、前記液剤を例に挙げて本発明の局所鎮痛製剤の好適な実施形態及び製造方法について説明する。前記液剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液等が挙げられる。このような液剤は、生理食塩液等の水溶液、水−プロピレングリコール混液、ホホバオイル等の溶媒に、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤(以下場合により有効成分という)とリナロールとを、前記有効成分とリナロールとの質量比が前記質量比となるように溶解、懸濁又は乳化等させることで得ることができる。
次いで、前記パップ剤を例に挙げて本発明の局所鎮痛製剤の他の好適な実施形態及び製造方法について説明する。前記パップ剤としては、経時安定性、放出性、経皮吸収性、皮膚安全性に優れているという観点から、その基剤として、水溶性高分子、多価アルコール及び水を含有してなる親水性基剤を用いることが好ましい。
前記水溶性高分子としては、ゼラチン、カゼイン、プルラン、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、可溶性デンプン、カルボキシデンプン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルエーテル、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリN−ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミドとアクリル酸及び/又はアクリル酸塩との共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記水溶性高分子の含有量は製剤全体の1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、1〜15質量%であることがさらに好ましい。前記含有量が前記下限未満では得られる基剤の粘度が低くなり保型性が保てなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると得られる基剤の粘度が高くなり練合時や塗工時の作業性が低下する傾向にある。
前記多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記多価アルコールの含有量は製剤全体の10〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。前記含有量が前記下限未満では得られるパップ剤の保湿効果が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記水溶性高分子の溶解性が低下する傾向にある。前記水の含有量は水溶性高分子を溶解させ、増粘性、凝集性、保型性を有する基剤を得られるという観点から、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
前記基剤としては、必要に応じてさらに、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等の多価金属化合物からなる架橋剤;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオ−ルジグリシジルエ−テル等の分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物からなる架橋剤;カオリン、酸化亜鉛、二酸化チタン、タルク、ベントナイト、合成ケイ酸アルミニウム等の充填剤;チモール、メチルパラベン、エチルパラベン等の防腐剤;アスコルビン酸、ステアリン酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル、ビタミンE、ビタミンE酢酸エステル、エデト酸二ナトリウム等の抗酸化剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−アミノ安息香酸エチル、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニル等の紫外線吸収剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の乳化剤等の成分のうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記パップ剤の支持体としては、薬効成分との相互作用や吸着がなく、薬効成分の放出に影響を与えない素材であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等が挙げられ、その形態としては、フィルム、シート、多孔体、発泡体、織布、不織布;多孔体、発泡体、織布、不織布等とシートとのラミネート体等が挙げられる。また、前記パップ剤の剥離被覆物としては、剥離紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、及びこれらをシリコーンで離型処理したもの等を用いることができる。
前記パップ剤の製造方法としては、公知の製造方法を適宜採用することができ、例えば、先ず、前記水溶性高分子を前記多価アルコ−ル及び水に混合、分散又は溶解して均一な練合物とし、必要に応じて安定化剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、乳化剤、防腐剤、抗菌剤等を加え、次いで、前記練合物に有効成分とリナロールとを加え、均一に分散せしめたものを前記支持体に直接展延するか、又は、一旦前記剥離被覆物に展延し、その後前記支持体に圧着転写して製造する方法が挙げられる。
次いで、前記硬膏剤を例に挙げて本発明の局所鎮痛製剤の他の好適な実施形態及び製造方法について説明する。前記硬膏剤としては、その粘着性基剤として、皮膚安全性、薬効成分放出性、皮膚への付着性等に優れているという観点から、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコ−ン系粘着剤等を用いることが好ましい。前記アクリル系粘着剤のベースポリマーとしては、アルキル基の炭素数が4〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又は共重合体、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他の官能性モノマ−との共重合体を用いることが好ましい。前記ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。前記シリコーン系粘着剤のベースポリマーとしては、ポリオルガノシロキサン、ポリジメチルシロキサンを主成分とするものが挙げられる。
前記粘着性基剤としては、さらに粘着付与剤を用いることができ、前記粘着付与剤としては、ロジン及び水添、不均化、重合、エステル化されたロジン誘導体等のロジン系粘着付与剤;α−ピネン、β−ピネン等のテルペン樹脂;テルペン−フェノール樹脂、脂肪族系、芳香族系、脂環族系、共重合系の石油樹脂;及びアルキル−フェニル樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。
前記硬膏剤のベースポリマーとしては、公知のものから適宜選択できるが、皮膚安全性、薬効成分放出性、皮膚への付着性等を考慮して、非ステロイド炎症鎮痛薬の放出特性に優れているという観点からは、極性の低いスチレンーイソプレン−スチレンブロック共重合体を用いることが好ましい。また、前記ベースポリマーとしては、さらに、ポリイソブチレン等の他のポリマーを1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記硬膏剤としては、前記ベースポリマーを可塑化、軟化させ、皮膚への適度な付着性を維持させることを目的として、さらに軟化剤を用いることができる。前記軟化剤としては、ポリブテン、ポリイソブチレン、流動パラフィン、イソプロピルミリスチレート等の高級脂肪酸エステル類;シリコンオイル、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ラッカセイ油等の植物油が挙げられ、これらの中でも、前記ベースポリマーとしてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用いた場合にはアーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ラッカセイ油、流動パラフィンを用いることが好ましく、このような軟化剤の含有量としては、前記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体100質量部に対して150〜350質量部であることが好ましい。
前記硬膏剤の支持体としては、薬効成分の放出に影響を与えないものが好ましく、伸縮性及び非伸縮性のものから選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂からなるフィルム、シート、積層体、多孔質膜、発泡体、紙、織布及び不織布等が挙げられる。また、前記硬膏剤の剥離被覆物としては、前記パップ剤において挙げたものと同様のものを用いることができる。
前記硬膏剤の製造方法としては、公知の製造法を適宜採用することができ、例えば、合成ゴム系のテープの場合には、先ず、ニ−ダ−、ミキサ−等の混合機を用いて120〜160℃の温度において前記粘着性基剤と前記軟化剤と前記粘着付与剤とを加熱混合し、次いで、有効成分及びリナロールを加え、前記支持体に直接展延するか、又は、一旦前記剥離被覆物に展延し、その後前記支持体に圧着転写して製造する方法が挙げられる。アクリル系粘着剤を用いた硬膏剤の場合には、前記粘着基剤、有効成分及びリナロール、必要に応じて添加剤を溶媒に溶解、分散させ、得られた溶液又は分散液を前記支持体表面に直接塗布して乾燥させ、厚み30〜200μmの貼付層を形成する。また、この溶液ないし分散液を前記剥離被覆物上に塗布して乾燥させることにより得られた貼付層を前記支持体に密着させてもよい。前記溶媒としては、前記粘着基剤等の含有成分の全てに相溶性のある有機溶媒であれば特に制限されず、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;四塩化炭素、クロロホルム及び塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
次いで、前記軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ゲル状クリーム剤、ローション剤、リザーバー型パッチ剤、リニメント剤、エアゾール剤を例に挙げて本発明の局所鎮痛製剤の他の好適な実施形態及び製造方法について説明する。
前記軟膏剤は、有効成分とリナロールとに加えて、ミリスチン酸等の高級脂肪酸又はそのエステル;鯨ロウ等のロウ類;ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤;親水ワセリン等の炭化水素類を少なくとも含有するものである。このような軟膏剤としては、例えば、先ず、高級脂肪酸又はそのエステル5〜15質量%、界面活性剤1〜10質量%、有効成分0.0005〜0.01質量%、リナロール0.1〜20質量%を室温又は加温下で混合し、ロウ類4〜10質量%、炭化水素50〜90質量%を加え加温又は加熱融解し、50〜100℃に保ち、全成分が透明溶解液になった後、ホモミキサーで均一に混和し、撹拌しながら室温まで下げることによって得ることができる。
前記ゲル剤は、有効成分とリナロールとに加えて、エタノール、グリコール類等の低級アルコール;水;カルボキシビニル重合体等のゲル化剤;トリエタノールアミン等の中和剤を少なくとも含有するものである。このようなゲル剤としては、例えば水55質量%以下にゲル化剤0.5〜5質量%を加えて膨張させ、一方、有効成分0.0005〜0.01質量%とリナロール0.1〜20質量%とをグリコール類40質量%以下及び低級アルコール60質量%以下の混合物に溶解せしめ、これら両者の混合物にさらに中和剤を加えてpH4〜7となるように調整することで得ることができる。
前記クリーム剤は、有効成分とリナロールとに加えて、ミリスチン酸エステル等の高級脂肪酸エステル;水;流動パラフィン等の炭化水素類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類等の乳化剤を少なくとも含有するものである。このようなクリーム剤としては、例えば、有効成分、リナロール、高級脂肪酸エステル、水、炭化水素類、乳化剤を適量加えて混合、撹拌することにより得ることができる。
前記ゲル状クリーム剤は、前記ゲル剤と前記クリーム剤との中間の性質を有するものであり、前記クリーム剤に用いられる各成分に加えて、カルボキシビニル重合体等のゲル化剤とジイソプロパノールアミン等の中和剤を配合し、pH4〜8に調整することにより得ることができる。このようなゲル状クリーム剤としては、例えば有効成分0.0005〜0.01質量%とリナロール0.1〜20質量%とを高級脂肪酸エステル25質量%以下と低級アルコール40質量%以下の混合物に溶解し、さらに乳化剤5質量%以下を加え、一方、水にゲル化剤0.5〜5質量%を加えて膨張させる。これらを混合しホモミキサーで均一に乳化せしめ、乳化後、中和剤を添加してpHを4〜8に調整することにより得ることができる。
前記ローション剤は、例えば、有効成分とリナロールとに加えて、エタノール等の低級アルコール、水及び/又はグリコール類を少なくとも含有するものである。このようなローション剤としては、有効成分、リナロール、低級アルコール、水及び/又はグリコール類を適量加えて混合、撹拌することにより得ることができる。
前記リザーバー型パッチ剤は、(1)裏打ち材層、(2)薬剤貯蔵層、(3)薬剤放出層、(4)感圧接着剤層からなり、前記(2)薬剤貯蔵層が、例えば、有効成分とリナロールとに加えて、(a)グリコール類、低級アルコール、水、水溶性高分子、(b)脂肪族アルコール及び多価アルコール(c)パラフィン類、シリコン類からなる群から選択されるいずれか1つを少なくとも含有する基剤からなるものである。
前記リニメント剤は、例えば、有効成分とリナロールとに加えて、エタノール;ポリエチレングリコール等のアルコール;水;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪酸エステルを少なくとも含有するものである。このようなリニメント剤としては、有効成分0.0005〜0.01質量%をリナロール0.1〜20質量%、アルコール10〜70質量%、水55質量%以下、脂肪酸エステル60質量%以下と混合、撹拌することにより得ることができる。
前記エアゾール剤は、有効成分とリナロールとに加えて、低級アルコール、ジメチルエーテル及び/又は液化石油ガスを少なくとも含有するものであり、所望によりカンフル、α−トコフェロール、メントール等の薬効補助剤を含有していてもよい。このようなエアゾール剤としては、有効成分0.0005〜0.01質量%、リナロール0.1〜20質量%及び低級アルコールを混合してエアゾール容器に充填し、さらに噴射剤としてジメチルエーテル及び/又は液化石油ガスを圧入することにより得ることができる。
本発明の局所鎮痛製剤としては、本発明の目的を損なわない範囲において、投与方法や剤型に応じて、経皮吸収促進剤、抗ヒスタミン剤等の、リナロールや前記有効成分以外の薬効成分や、安定剤、酸化防止剤、香料、充填剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等の薬理上許容される各種添加剤をさらに含有することができる。
次いで、本発明の局所鎮痛キットについて説明する。本発明の局所鎮痛キットは、有効成分としての非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤と、局所鎮痛作用増強剤としてのリナロールとを備えることを特徴とするものである。
本発明の局所鎮痛キットとしては、例えば、局所鎮痛作用を発揮する前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤を含有する製剤(製剤A)と、前記局所鎮痛作用を増強するリナロールからなる本発明の局所鎮痛作用増強剤を含有する製剤(製剤B)とを備えるものを挙げることができる。
前記製剤Aとしては、従来公知のものを適宜採用することができる。前記製剤Bとしては、局所鎮痛作用増強効果が十分に得られ、且つ、リナロール自体の有する鎮痛作用が発現しない傾向にあるという観点から、前記リナロールの質量が、前記製剤Aに非ステロイド系消炎鎮痛剤が含有されている場合には、前記製剤Aにおける前記非ステロイド系消炎鎮痛剤1質量部に対して20〜1000質量部であることが好ましく、50〜330質量部であることがより好ましい。また、同様の観点から、前記製剤Aに前記局所麻酔剤が含有されている場合には、前記リナロールの質量が、前記製剤Aにおける前記局所麻酔剤1質量部に対して100〜2000質量部であることが好ましく、200〜1000質量部であることがより好ましい。
前記製剤Bにおける前記リナロールの含有量は、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤との質量比や、本発明の局所鎮痛作用増強剤において述べたリナロールの投与量を満たすように適宜調整することができ、投与方法や剤型によっても異なるが、0.1〜20質量%であることが好ましい。また、前記製剤Bとしては、経口投与、皮下投与、局所投与、鼻腔内投与、経皮投与等の投与方法により投与することができ、前記投与方法に応じて、例えば、液剤、錠剤、カプセル剤、パップ剤、硬膏剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、リザーバー型パッチ剤、リニメント剤、エアゾール剤等の剤型の製剤に調製することができる。このような製剤Bの好適な実施形態及び製造方法としては、前記局所鎮痛製剤において述べたものから前記有効成分を除いたものを挙げることができる。さらに、前記製剤Bとしては、本発明の目的を損なわない範囲において、前記投与方法や前記剤型に応じて、経皮吸収促進剤、抗ヒスタミン剤等の、リナロールや前記有効成分以外の薬効成分や、安定剤、酸化防止剤、香料、充填剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等の薬理上許容される各種添加剤をさらに含有することができる。
本発明の局所鎮痛キットとしては、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤や、前記リナロールを混合したり投与するための容器や器具をさらに備えていてもよい。
次いで、本発明の局所鎮痛作用増強方法について説明する。本発明の局所鎮痛作用増強方法は、有効成分としての非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤と、局所鎮痛作用増強剤としてのリナロールとを併用することにより、前記リナロールが局所鎮痛作用を増強することを特徴とするものである。このようにリナロールを併用することにより局所鎮痛作用が増強されるため、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤の投与量を通常の投与量の5〜50質量%に減らすことができる。
前記本発明の局所鎮痛作用増強方法としては、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤と、前記リナロールとを同時に用いてもよく、別々に時間を空けて用いてもよい。時間を空けて用いる場合、投与する順番は前記非ステロイド系消炎鎮痛剤又は前記局所麻酔剤が先であっても、前記リナロールが先であってもよく、投与の間隔は投与方法や製剤の剤型によっても異なるが、例えば液剤を皮下投与する場合には、30分間以内であることが好ましい。
本発明の局所鎮痛作用増強方法において、前記同時に用いる方法としては、例えば、前記本発明の局所鎮痛製剤を用いる方法が挙げられる。前記別々に用いる方法としては、例えば、前記本発明の局所鎮痛キットを用いる方法が挙げられる。
本発明の局所鎮痛作用増強方法に用いられる前記リナロールの量としては、局所鎮痛作用増強効果が十分に得られ、且つ、リナロール自体の有する鎮痛作用が発現しない傾向にあるという観点から、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤と併用する場合には、前記非ステロイド系消炎鎮痛剤1質量部に対して、リナロールが20〜1000質量部であることが好ましく、50〜330質量部であることがより好ましい。また、前記局所麻酔剤と併用する場合には、同様の観点から、前記局所麻酔剤1質量部に対して、リナロールが100〜2000質量部であることが好ましく、200〜1000質量部であることがより好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、それぞれの実施例及び比較例により得られた組成物を試料として、それぞれの局所鎮痛作用増強効果を以下の方法により試験して評価した。
<局所鎮痛作用増強効果の評価>
(試験の概要)
カプサイシンをddY系雄性マウスの右後肢足蹠内に投与すると、投与直後より投与部位に対する激しい舐め、噛み行動(licking/biting response)が出現する。この舐め、噛み行動の時間を指標として、非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤を単独で右後肢足蹠内に前投与した場合、及び、各試料と非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤とを右後肢足蹠内に前投与した場合の局所鎮痛作用を評価した。なお、リナロールを含むテルペン類は経皮吸収効果を促進することが公知であるが、本試験においては各試料を足蹠内に直接投与しているため、吸収促進効果は局所鎮痛作用増強効果には影響しない。
(リナロール及びl−メントールの投与量の決定)
本試験に用いたマウスにおいてリナロール単独では局所鎮痛作用を奏さない投与量を決定するために、先ず、平均体重18gのddY系雄性マウスの右後肢足蹠内にリナロールをそれぞれ0、1.25、2.5、5、10(μl)ずつ投与した。なお、リナロールの投与量が5μl未満である場合には、ホホバオイルを添加し、投与量の全量が5μlとなるようにして投与した。次いで、前記投与から10分後にカプサイシンの生理食塩水溶液(カプサイシン:1600ng/10μl、)を投与し、前記カプサイシン投与後5分間の間の舐め、噛み行動をしている時間(秒)を測定した。リナロールの投与量と舐め、噛み行動時間との関係を図1に示す。図1から、リナロール単独では局所鎮痛作用を奏さない投与量は1.25μl(リナロールの質量:1087.5μg、5μlホホバオイル溶液)と決定した。また、l−メントールについても同様にして、l−メントール単独では局所鎮痛作用を奏さない投与量を5μg(5μlホホバオイル溶液)と決定した。
(局所麻酔剤の局所鎮痛作用の増強効果)
平均体重18gのddY系雄性マウスの右後肢足蹠内にそれぞれ実施例及び比較例により得られた試料を5μl投与し、次いで5分間以内に、前記マウスの右後肢足蹠内に局所麻酔剤としてリドカイン塩酸塩の生理食塩水溶液を5μlずつ、1.25、2.5、5、10、20(μg/5μl)の濃度でそれぞれ投与した。前記リドカイン塩酸塩の投与から10分後に前記マウスの右後肢足蹠内にカプサイシンの生理食塩水溶液(カプサイシン:1600ng/10μl)を投与した。前記カプサイシン投与後5分間の間の舐め、噛み行動をしている時間を測定し、評価を行った。評価は、前記試料に代えてホホバオイル(5μl)のみを投与後、5分間以内に前記局所麻酔剤に代えて生理食塩水(10μl)のみを右後肢足蹠内に前投与した場合における前記カプサイシン投与後5分間の間の舐め、噛み行動時間(A)と、各試料を投与後、5分間以内にリドカイン塩酸塩の生理食塩水溶液を右後肢足蹠内に前投与した場合における前記カプサイシン投与後5分間の間の舐め、噛み行動時間(B)とから、抑性率(C)をそれぞれ次式:
C(%)= 100−((B/A)×100)
を用いて算出することにより行った。実施例1〜2及び比較例1により得られた試料についての結果を図2に示す。
(非ステロイド系消炎鎮痛剤の局所鎮痛作用の増強効果)
前記リドカイン塩酸塩の生理食塩水溶液に代えて非ステロイド系消炎鎮痛剤であるジクロフェナクナトリウムの生理食塩水溶液を5μlずつ、5、10、20、40(μg/5μl)の濃度でそれぞれ投与したこと以外は、前記局所麻酔剤の局所鎮痛作用の増強効果における試験方法と同様に行った。実施例1及び比較例1により得られた試料についての結果を図3に示し、比較例1〜2により得られた試料についての結果を図4に示す。
(実施例1)
リナロールをホホバオイル溶液に溶解し、リナロールのホホバオイル溶液(1.25μl/5μl、リナロールの質量:1087.5μg)を得た。
(実施例2)
リナロールの濃度を2.5μl/5μlとしたこと以外は実施例1と同様にしてリナロールのホホバオイル溶液(2.5μl/5μl、リナロールの質量:2175μg)を得た。
(比較例1)
リナロールを用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてホホバオイル溶液を得た。
(比較例2)
リナロールに代えてl−メントールを用い、l−メントールの濃度を5μg/5μlとしたこと以外は実施例1と同様にしてl−メントールのホホバオイル溶液(5μg/5μl)を得た。
図2〜3に示す結果から明らかなように、リドカイン又はジクロフェナクの局所鎮痛作用は、本発明の局所鎮痛作用増強剤(実施例1〜2)と併用することにより増強されることが確認され、リナロールと併用することによってリドカイン又はジクロフェナクの投与量が少なくても十分な局所鎮痛効果が得られることが確認された。また、リナロール単独では局所鎮痛効果を奏さない投与量であった場合(実施例1)においてもリドカイン又はジクロフェナクの局所鎮痛作用は増強され、本発明が奏する局所鎮痛作用の増強効果はリナロールを併用したことによる相乗効果であることが確認された。さらに、図3に示す結果から明らかなように、リナロールと同様に単独で局所鎮痛作用を奏することができるl−メントールを用いて実施例1〜2と同様の試験を行っても局所鎮痛作用の増強効果は確認されず(比較例2)、本発明が奏する局所鎮痛作用の増強効果はリナロールに特有の効果であることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤の投与量が少なくても局所鎮痛効果を十分に増強せしめることができる局所鎮痛作用増強剤及び局所鎮痛作用増強方法、並びに、局所鎮痛効果に優れた局所鎮痛製剤及び局所鎮痛キットを提供することが可能となる。
したがって、本発明の局所鎮痛作用増強剤、局所鎮痛製剤、局所鎮痛キット及び局所鎮痛作用増強方法は、医薬・医療産業において極めて有用である。

Claims (6)

  1. リナロールからなることを特徴とする、非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤の局所鎮痛作用増強剤。
  2. 前記非ステロイド系消炎鎮痛剤がジクロフェナク及び/又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする請求項1に記載の局所鎮痛作用増強剤。
  3. 前記局所麻酔剤がリドカイン及び/又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする請求項1に記載の局所鎮痛作用増強剤。
  4. 有効成分としての非ステロイド系消炎鎮痛剤又は局所麻酔剤と、局所鎮痛作用増強剤としてのリナロールとを備えることを特徴とする局所鎮痛キット。
  5. 前記非ステロイド系消炎鎮痛剤がジクロフェナク及び/又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする請求項4に記載の局所鎮痛キット。
  6. 前記局所麻酔剤がリドカイン及び/又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする請求項4に記載の局所鎮痛キット。
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