JP5832060B2 - 電子部品集合体の研削方法とこれを用いた電子部品集合体の分割方法 - Google Patents
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本発明における堰作成工程は、回路を複数形成した板状の電子部品集合体の回路面側の外周部に固定用接着剤を塗布し硬化させて堰を設ける工程であり、接着性樹脂を堰の内側に塗布して位置決めさせるためのものである。この堰作成工程後、後述する接着性樹脂塗布工程があり、可視光または紫外線を照射して、接着性樹脂からなる層を硬化させた後、固定用冶具を貼り合せる工程があることが好ましい。
固定用接着剤としては、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤があり、好ましくは、作業性の点からアクリル接着剤が良い。堰は、電子部品に分割される分割ラインの外にあることが必要である。
本発明における接着性樹脂塗布工程は、電子部品集合体を冶具に取り付けるために用いられる接着性樹脂を塗布するための工程である。接着性樹脂の厚みを均一にするために、後述する固定用冶具取り付け後、固定用冶具側から荷重をかけることが好ましい。
本発明に用いられる接着性樹脂としては、電子部品集合体の背面に塗布・積層された後、後述する剥離工程によって容易に電子部品集合体から剥離する性質を有するものが好ましい。この性質を有する接着性樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、があり、好ましくは、アクリル系樹脂が良い。接着性樹脂は、電子部品集合体の研削方法のみならず、後述する電子部品の分割方法にも用いることができる。
(A)多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマー/ポリマー末端又は側鎖に2個以上(メタ)アクロイル化された多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーや2個以上の(メタ)アクロイル基を有するモノマーを使用することができる。
(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド2モル変性)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4モル変性)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレ−ト、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、n−(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。
(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートは、研削加工時に接着性樹脂の硬化体が水と接触しても膨潤による電子部品集合体に対して位置ずれを生じさせないものであるのが好ましく、具体的には、疎水性を有するか、水と接触しても大きく膨潤しないもの又は溶解しないものであるのが好ましい。上述の(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレートは、すべて疎水性のモノマーである。
本発明においては、極性有機溶媒を接着性樹脂中に共に用いても良い。極性有機溶媒を共に用いることにより、樹脂層が温水と接触して容易に膨潤し接着強度を低下させることができる。
本発明に於いては、(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレート及び(C)重合開始剤に溶解しない粒状物質を共に用いても良い。これにより、樹脂層が一定の厚みを保持できるため、研削厚み精度が向上する。
接着性樹脂の塗布方法は、バーコート、スプレーガン、スピンコートなどを採用できる。
本発明における冶具取付工程は、電子部品集合体を接着性樹脂の接着性を利用して冶具に貼り付ける工程である。
固定用冶具としては、平滑な材料であれば適宜採用でき、板状体又はフィルム状体の単独または2種以上の積層体を採用できる。固定用冶具の素材は、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属板状体、アクリル、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド、ポリオレフィンや塩化ビニル等の合成樹脂、ガラス、セラミックス等がある。本発明にあっては、固定用冶具は、365nmの波長を20%以上透過するものが好ましい。365nmの波長を20%以上透過するものであるならば接着性樹脂を硬化させるのに時間が掛かりすぎることもなく良好である。固定用冶具の厚さは、上記条件を満足するものであれば特に限定されないが、100μm〜10mmが好ましく、さらには2〜5mmが好ましい。透過率の測定は、測定機器としてトプコン社製UVR−2を採用し、波長365nmの透過率に基づく。
本発明における研削工程は、冶具を介して電子部品集合体を研削装置に固定した後に電子部品集合体の裏面を研削する工程である。
本発明の電子部品集合体の研削方法にあっては、研削工程後、電子部品集合体から接着性樹脂を剥離する剥離工程を有することが好ましい。
本発明において、過熱工程を採用する場合、剥離工程の前に、接着性樹脂を40〜150℃の温度にする加熱工程が好ましい。この加熱工程は、接着性樹脂の接着力を落とす手段であり、例えば、有機溶媒、加熱(昇温)、水又は温水との接触等から選択でき、作業環境上、設備上の観点から加熱、水又は温水との接触が好ましい。加熱の場合には、接着性樹脂の接着力低下のために、40〜150℃の温度にすることが好ましく、更に好ましくは、加熱工程が、接着性樹脂を40〜100℃の温水に接触させる加熱工程であることが好ましい。
本発明にあっては、電子部品集合体は、その回路面の回路間に溝を有することが電子部品を分割するのに好ましく、さらに好ましくは、電子部品集合体が、その回路の表面に30μm以上1000μm以下の凹凸を有することが好ましい。
(1)図1に示すように、電子部品集合体としての半導体ウエハ1上の回路(バンプ)2を区画するためのストリートラインに沿って所定の深さの溝3を切削する。
(2)図2に示すように、半導体ウエハ1の回路面側の外周部に固定用接着剤を塗布し硬化させて堰8を設ける。
(3)図3に示すように、半導体ウエハ1の回路面全体を覆うように、堰8の内側に接着性樹脂4を塗布する。
(4)図4に示すように、堰8を取り除いた後、接着性樹脂4に固定用冶具5を貼り合せ、可視光または紫外線を照射して、接着性樹脂4を硬化させる。
(5)図5に示すように、半導体ウエハ1の裏面を所定の厚さになるまで研削し、個々のチップ6に分割する。
(6)図6(A)、図6(B)に示すように、チップ6の研削面に別の粘着テープ7を貼り合せ、40〜150℃に昇温して、或いは40〜100℃の温水と接触させて、接着性樹脂4を固定用冶具5ごとチップ6から剥離する。その後、図示を省略したが、チップ6をピックアップし電子部品の基体にマウントする。
(実施例1)
(接着性樹脂)
接着性樹脂は、(A)多官能(メタ)アクリレートとして、ウレタンアクリレート(日本合成化学社製「UV−3000B」、以下「UV−3000B」と略す。)8質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」、以下「R−684」と略す。)12質量部の合計20質量部、
(B)単官能(メタ)アクリレートとして、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−140」、以下「M−140」と略す。)30質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ローム&ハース社製「QM−657」、以下「QM」と略す。)50質量部の合計80質量部、
(C)重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGACURE907」、以下「IRGACURE907」と略す。)2質量部、重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(以下、「MDP」と略す)0.1質量部を添加して接着性樹脂を作成した。
固定用冶具は、波長365nmの光を80%透過する厚さ3mmのガラス板を使用した。
<接着性>
表1記載の接着性の評価は、次の方法で行った。直径8インチ、厚み700μmで100μmのハンダバンプを有するシリコンウエハをダイシングテープ(電気化学工業社製「UHP−1005M3」)に貼り合せ、ダイシングソー(ディスコ社製「DAD−341」)を用い、35μm厚のブレードで、切り込み量300μm、チップサイズ3mm角の条件で溝を形成する。次に、ダイシングテープを剥離し、接着性樹脂および固定用冶具を貼り合せ、均一な面がでるように10Kgを加重する。その後、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nm波長で2000mJ/cm2の条件にて接着性樹脂を硬化させる。その後、半導体ウエハの裏面をディスコ社製DFG−850で、厚さ100μmになるまで研削を行い、個々のチップに分割した。分割したチップの接着性が悪くチップ飛びが発生した数を評価し、50個未満であれば○、51個以上100個未満であれば△、101個以上であれば×とした。
表1記載の保持性の評価は、次の方法で行った。接着性の評価と同じ方法により厚さ100μmになるまで研削を行い、個々のチップに分割したときに、分割したチップの保持性が悪く、チップの位置が動いた場合を×、チップの位置が動かず良好な場合を○とした。
表1記載の剥離性の評価は、次の方法で行った。接着性の評価と同じ方法により厚さ100μmになるまで研削を行い、個々のチップに分割した。その後、チップの研削面に粘着テープ(電気化学工業社製「UHP−110B」)を貼り合せ、60℃に加温し樹脂層および保護用シートを剥離した。剥離時に樹脂層からチップが剥離できなかった場合を×、スムーズに剥離できたものを○とした。
実施例2乃至8は、実施例1の(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート又は(C)重合開始剤の比率を変更したこと以外は実施例1と同様の操作、評価を行った。
比較例として、実施例1において、従来の粘着シートのみを用いて実施例1と同様に操作し、評価を行った。この結果を表1に示した。なお、使用した粘着シートは、特許文献3、実施例1に示す粘着テープにより評価を行った。JIS−A硬度(JIS K 6253)の低い基材を使用することによりウエハの保持性が悪く研削精度が劣り、且つチップ化した際にはチップがズレ、チップ飛びが発生した。また、粘着シート側にチップが移行し剥離がうまくいかなかった。
表1には記載しなかったが、実施例1において、チップを剥離する際に40℃の温水に浸漬したところ、樹脂層の付いた固定用冶具とチップとにスムーズに剥離することができた。
2 回路(バンプ)
3 溝
4 接着性樹脂
5 固定用冶具
6 チップ
7 粘着テープ
8 堰
Claims (5)
- 表面に30μm以上1000μm以下の凹凸を有する回路を複数形成してなり、かつ、回路面の回路間に溝を有する板状の電子部品集合体の回路面側の外周部に固定用接着剤を塗布し硬化させて堰を設ける堰作成工程と、堰の内側に、(A)ウレタンアクリレートとジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレートを含有する多官能(メタ)アクリレート、(B)2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチルアクリレートとジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを含有する単官能(メタ)アクリレート、(C)重合開始剤を含有してなる接着性樹脂を塗布する接着性樹脂塗布工程と、接着性樹脂に、波長365nmの光を20%以上透過してなり、かつ、厚さが100μm〜10mmである固定用冶具を取り付け、固定用冶具取り付け後、固定用冶具側から荷重をかける固定用冶具取付工程と、固定用冶具を介して電子部品集合体を研削装置に固定した後に電子部品集合体の裏面を研削する研削工程と、研削工程後、剥離工程の前に、接着性樹脂を40〜150℃の温度にする加熱工程と、電子部品集合体から接着性樹脂を剥離する剥離工程と、電子部品集合体を個々のチップに分割する分割工程と、を有する電子部品集合体の分割方法であり、接着性樹脂が、(A)と(B)の合計量100質量部に対して、(B)単官能(メタ)アクリレートを7〜99質量部、(C)重合開始剤を0.1〜20質量部含有する電子部品集合体の分割方法。
- 加熱工程が、接着性樹脂を40〜100℃の温水に接触させる加熱工程である請求項1記載の電子部品集合体の分割方法。
- (A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートがいずれも疎水性である請求項1乃至2の何れか一項に記載の電子部品集合体の分割方法。
- 接着性樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対し、重合禁止剤0.001〜3質量部を含有する請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子部品集合体の分割方法。
- (C)重合開始剤が2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンであり、重合禁止剤が2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)である請求項4に記載の電子部品集合体の分割方法。
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